みぃねこの備忘録

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Rose Technics QuietSea レビュー

こんにちは。

今回はいつもの中華イヤホンレビュー編として、中価格A5000帯で発売された1DDモデルのRose Technics QuietSeaについてレビューをまとめたいと思います。

 

国内amazonのHiFiGoで取り扱いがあります。

 

US.Amazonコチラを。

 

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Rose Technics QuietSea Wired Dynamic IEMs In-Ear Monitorshifigo.com

 

 

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1. Rose Technics QuietSea について 

Rose Technicsは中華のオーディオブランドです。2015年10月に設立された新興ブランドでROSEブランドの製品設計、製造を行っていて「大胆なデザイン」、「より良いチューニングの追及」、「オリジナルの技術開発」をブランドコンセプトとしたコストパフォーマンスに優れた製品を発売しています。

Roseと云えば、BR5 mk2が有名です。BR5 mk2は5つのバランスドアーマチュアを搭載した複数BAドライバモデルです。木目フェイスプレートにクリアシェルを採用した綺麗な造形のモデルです。もちろん音質も中高音のクリアさとフラットで美麗で爽快な音を聴かせてくれる高音質モデルでした。国内では正規代理店によりイヤホン専門店等でも購入できるため中華イヤホンは視聴ができないという問題をクリアし、その音質はポータブルオーディオファンからも高評価を得ていました。販売価格は国内正規品が3万円後半と高価というところがややネックでした。

さて、Roseから今回U10000のQuietSeaが登場しました。これまで中心だった中価格帯以上の複数BAドライバモデルや多ドラハイブリッドドライバモデルでは流石に価格帯を下げる事ができませんでしたが、A5000-U10000帯のアンダー中価格帯にシングルダイナミックドライバモデルを投入してきました。実はRoseはU5K帯にAURA EVOというモデルも発売しており、同ブランドの中では一番安価なエントリーモデルとなりますが、所謂エントリーグレードという域を出ないもの。今回のQuietSeaはそれよりも上位の位置づけとなりますが、良いものを安価に届けようとする同社の拘りを感じさせるモデルと云えそうです。

 

QuietSeaの特徴は以下の通りです。

 

  • 改良された自己開発トポロジーダイヤフラムを採用した金メッキ真鍮素材のデュアルチャンバードライバユニット
  • 従来の可動コイルダイヤフラムと比較して、ナノ材料の堆積によりマイクロトポロジーを最適化。分割振動を大幅に低減し歪みは0.1% 未満。
  • 新世代の自社開発1.5テスラ磁気フラックス密度ユニットにより強力なアンプを必須としない
  • 5軸CNC精密加工の亜鉛合金製音響室は気流と振動を制御し正確にそして存在感を再現するできるように調整および最適化
  • 同価格帯では例を見ない5N4撚り線単結晶銅線の高品質ケーブル
  • 高品質の金メッキmmcxコネクタは耐久性が向上

 

スペックを詳しく見ていきます。

 

金メッキ真鍮素材のデュアルチャンバーに10mm径ダイナミックドライバユニットを組合せた設計です。 このドライバは、独自開発されたトポロジーダイヤフラムを採用しており、分割振動を大幅に低減し、歪みを限りなく小さく抑えることでクリーンなサウンドを実現しています。

また、このカスタム10mm径ダイナミックドライバユニットは強力な磁気設計を備えた設計です。ドライバの設計パラメーターは気流の制御と、より正確で活気のあるサウンドを生み出すように調整し最適化しています。1.5テスラを超える強い磁力により、ドライバの駆動を容易にしています。

 

QuietSeaは採用したダイナミックドライバが最大の特徴と云えますが、実はシェルの材質にも拘り、高品質の亜鉛合金素材を採用し、高精度の5軸CNC機械加工機による切削加工により製造されています。そのシェル内部には整流を調整し優れたサウンドバランスを得ることに成功しています。

また、特徴的な楕円形ステムノズルとコンパクトなシェルデザインは、人間工学に基づいた造形としています。

 

最後に付属ケーブルです。QuietSeaの付属ケーブルは5N4撚り線単結晶銅線です。その線材は高価であり、価格帯では例を見ない高品質ケーブルです。

 

※宜しければ以前のレビューもご参考ください

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Rose Technics QuietSeaの納期としては現在(2023/10/28)国内amazonのPrime扱いで取り扱いがあります。当日発送、翌日配達は非常に便利です。HiFiGoやAliExpressでオーダーした場合でも現在は安定していますので、AliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月です。尤も万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressや海外サイトでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かるのが気になるところでしたが、最近は円安の影響で国内amazonとの価格差が殆どなく、そのメリットは殆ど感じません。

まあ海外ネットショッピングで心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. Rose Technics QuietSea 実機レビュー 

それでは、早速実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングは黒を基調としたやや大柄タイプの箱です。表面にはイヤホン名が中央部に大きく刻印されています。

 

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外箱から内箱を取り出すと黒を基調とした内箱の中央にイヤホン名が印字されています。

 

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内箱の上蓋を開けると黒地の内装に内装にイヤホンと付属品が収納されています。

 

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付属品のイヤホンケースを開けるとケーブルとイヤーピース等が収納されています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースタイプのS、M、Lの3種が1セット。他にはケーブルとケーブルバンド、リムーバー、イヤホンケースです。中価格A5000帯として一通り揃った付属品となります。個人的にはイヤーピースは特殊形状なので音質傾向違いがもう1セット欲しいかなと。

 

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メーカー名の入ったイヤホンケースはハードケースタイプでイヤホンをしっかりと保護してくれます。

 

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某社のMMCX ASSISTと同様のケーブルとイヤホン本体を分離する器具(リムーバー)が付属します。

 

次に本体を見ていきます。

 

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シェルの造形はオーソドックスなIEMタイプ。シェルはコンパクトですが、特徴的な楕円形ステムノズルが装着感に影響がありそうです。ステムノズル側は金属製、シェル本体が樹脂製、フェイスプレートが金属製のマルチマテリアルのハイブリッド構造でありながら軽量であり重量はそれ程感じません。コンパクトなシェルは耳への装着感も良く重さを感じません。

肝心のビルドクオリティは、中華イヤホンの中価格A5000帯として非常に綺麗に仕上っています。

カラーバリエーションはグレーとシルバーの2種。プラグサイズを3.5mmと4.4mmバランスプラグで選択可能です。今回はグレー、3.5mmを選びました。

さて、ikkoとの共同開発されたシェルは同社OH2のシェルデザインが採用されています。特徴的な楕円ステムノズルや三角おむすび型の造形は当にそれと云えます。

内部音響室がikkoと同様かどうかは残念ながら不明ですが、同社の商品説明からはそれを踏襲しているような内容に感じられますが、真偽不明。

※参考画像:IKKO OPAL OH2

 

続いてケーブルです。

 

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付属ケーブルは先述の通り高品質5N4撚り線単結晶銅線です。価格帯的には宝の持ち腐れとも思える様な高品質ケーブルはメーカがこの線材でなければならなかったと拘りを感じさせます。プレイヤー側コネクタはI字タイプ。イヤホン側はmmcx仕様。この付属ケーブルの被覆はナイロンメッシュ製でさらさらした手触りが高級線材と理解させてくれます。線材は手触りも良く引っ掛かり等は皆無。高級線材の宿命ですが、太めの線材となりますのでしなやかさにはやや難がありますが肝心の耳への装着性や使用感は悪くありません。イヤホン側はシュア掛けで使うようにチューブで癖付けされています。前述の通り全体的に取り回しは悪くありませんので、ケーブルは細めでしなやかさ重視の方以外はそのまま使用することをお勧めします。

また、先述の通り付属ケーブルは3.5mmステレオミニ、4.4mmバランスプラグの2種が選択できます。今回は3.5mmステレオミニを選択しています。

次に他機種との造形の比較です。

 

※画像左からRose Technics QuietSea、TiNHiFi C3

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QuietSeaとTiNHiFi C3の外観の比較として、サイズ感は圧倒的にQuietSeaの方がコンパクトと云えると思います。それでもC3も決して大きいわけではないので、そのコンパクトさが際立つと思います。

ステムノズルの長さと太さ、角度ですが、長さはQuietSeaが長め。太さはQuietSeaが細め。角度はQuietSeaがやや寝ています。

シェルの材質は、C3がオール樹脂仕様ですが重量感はほぼ同じです。

QuietSeaは一般的なIEMに対し、C3はCIEM寄り。QuietSeaはそのコンパクトさが目立ちますし、何よりもその造形から耳への収まりが良く装着感は良好です。寧ろ耳への装着時はシェルが耳に嵌まる形であり、ステムノズルがやや長めイヤピ選びは通常のサイズよりもやや大きめの方が良いと思います。

ケーブルを接続するイヤホン側のコネクタ部はどちらもmmcxです。リケーブルの際はmmcxコネクタを選択しておけば問題ありません。

ステムノズル部には全てにフィルターがあります。QuietSeaはシンプルな金属フィルタですが、C3は音質調整フィルタとなります。

二機種共にシュア掛けで使用するタイプ。シュア掛けが苦手な方には注意が必要です。

なお、前述の通りQuietSeaはステムノズルが楕円形です。付属のイヤーピース以外を使用する場合、軸の柔らかいものがお勧めです。個人的には付属のLサイズでも良いのですがacoustune AEX50 Mサイズが上手くフィットして気に入っています。

イヤーピースは最適なものを選び実際に装着した際に圧迫感が少ないものを選ぶ必要があります。

 

最後にイヤーピースを見てみます。


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付属のシリコンイヤーピースは楕円形ステムノズルに合わせて傘と軸が楕円形の特殊形状タイプとなります。これはikko OH2でもそうでしたが、付属品以外の選択肢を大きく狭めてしまうため個人的には困ったもの。付属イヤピは全体的に柔らかく傘にコシが無いこと。MサイズとLサイズの差が大きく、その中間が欲しいのに…と、サイズ幅が極端なタイプです。付属Mサイズでは音が少し抜け気味になるため、いつもより大きめのLサイズで耳の奥に栓をするように装着しています。幸い傘が柔らかいため何とかなっている状態なので、常用にはAEX50 Mサイズを使うと思います。

付属イヤピは中高音をクリアにしてくれる印象です。耳への装着時はいつもより大きめのサイズのイヤピを耳奥へ挿入し栓をするように耳へ密着させることで私はフィットしました。付属イヤピで装着感に問題ない場合を除き、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。

一応付属イヤーピースのLサイズで私はフィッティングができましたが、長時間は無理そうです。

低、中価格帯に付属するイヤーピースは装着感が悪く、音質的にも実力を発揮できないと感じますが、今回は付属のシリコンイヤピでなんとかフィットできました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. Rose Technics QuietSea 音質レビュー

いよいよ音質についてまとめていきます。

 

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昨年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音に脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

昨年はSony NW-ZX507を使用していましたが、やや演出感のあるドンシャリはメリハリがありグルーブ感のある音はSonyの音で音楽を楽しく聴く事が出来ました。しかし、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5の方がモニターライクながらも、決してつまらない音ではなくリスニングでも使えて万能と考えたからです。

Shanling UP5をUSB-DACで使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

 

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属 Lサイズ、付属ケーブルで聴いてみます。

箱出しで聴いてみた第一印象は「バランスの良い鳴り方。中高音がはっきりと鳴り、低音もしっかりと鳴る音。ボーカルもクリアに聴こえます。やや中高音寄りの弱ドンシャリバランス」です。

箱出しでは高音に荒々しさを感じましたが、鳴らし込み後は、高音が落ち着き低音の強さとバランスが取れた音という印象です。

 

音場

普通からやや広めの印象。前後に奥行を感じられ、左右に広さを感じられます。奥行きも感じられるので立体感のある、空間の広さを感じられます。

 

高音域

全体的に明るく華やかにやや強調感のある鳴りかたですが、刺さりは無く嫌な感じはありません。過不足を感じる事はありませんが上までの伸びやかさはそれ程感じないものの、響きや余韻は適度。必要以上に前に出る出しゃばった鳴り方ではありません。存在感は感じられますが、兎に角元気に騒がしいと感じるような痛々しい感じではありません。やや強調感のある鳴り方は分離と解像感は良好なものの何方かと云えば明朗さを重視した音。

 

中音域

高音域同様に華やかさがありますが、音が集まる団子感や音が重なるゴチャつきは抑えられ整理されて鳴り方ます。音の立ち上がりは良好で解像感も悪くありません。クリアな中音域を明るく鳴らします。ボーカルはクリアで自然からやや近い位置から僅かにドライな声色の印象です。

 

低音域

量感は抑えられ響きや広がりもそれ程感じませんが、芯のある音は強さを感じます。音階や強弱といった低音域の解像感はそこそこ程度ですが、ベースラインは追いやすくボーカルよりも前に出るような不自然さはありません。重低音は沈み込みはそれ程深さがありませんが、強さがありますので十分な低音という印象です。

 

出音のバランス

一言で云えばやや中高音寄りの弱ドンシャリバランス。高音域は明るくやや強調感のある印象ですが不自然な強さではありません。低音は量感は抑え気味ですが、僅かに膨らむ中に適度な締まりがあり緩さを感じる様な音ではありません。中音は僅かに凹みを感じますが、ボーカルはやや近いためW字の出音の印象。全体ではやや中高音寄りながらも中低音に厚みがありクリアで明朗な音を聴かせてくれる出音のバランスです。

 

QuietSeaの音質傾向は、やや高音を華やかに鳴らしながら低音もしっかりと主張させるリスニングサウンドバランスです。中高音の響きや余韻は適度に感じられ華やかに明るく明朗に鳴りますが、やや誇張された印象です。それでも不快で耳障りのない丁度良い強調感と感じられると思います。そのため解像感が高いという印象はそれほど持ちませんが、分離は良好でごちゃつきを感じない整理された音です。例えば遠くで小さく鳴る音は大きな音にかき消されることも無く聴こえます。やや強調された音がそのように感じさせているのだと思います。

中音は僅かに凹みを感じますが、ボーカルが比較的前に出ていることと楽器の音はその周りに位置して鳴ることから華やかさは十分に感じられ分離も良く整った音は過不足を感じません。

そのボーカルはやや近い位置からクリアに聴く事ができます。周りの音や高音や低音にも埋もれることはありません。声色は僅かにドライに感じますが、不思議だったりざらつく事もありません。そのためバラードなどでしっとりとした艶のある声といよりはアップテンポな曲の方が相性の良さを感じます。

低音域は量感をやや抑えた音です。その分響きや広がりは適度という印象ですが、芯がやや大きめの音。やや膨らみますがそれでもボワつく低音とは異なり芯の強さがありますので不足はありません。中高音重視の方にはやや多いと感じるかもしれませんが、それでも中高音域を邪魔するような低音ではありません。

重低音は沈み込みはそれ程深くありませんが、十分な強さを感じられる音。深く響く様な重低音とはいきませんが、不足を感じる様な音ではありません。

 

他機種との比較としてTiNHiFi C3は中低音域を充実させながら高音域を自然に鳴らす音造りでした。見通しの良いクリアな中高音を持つやや中低音重視傾向ながらも高音も適度な強さで鳴らし音楽を小気味よく聴かせてくれます。

C3よりも高中音域の主張を感じますが、不自然に強調されている訳でもなく、適度な印象。低音域はQuietSeaよりもC3の方が量感はあり、中音域に厚みがあります。そのため全体としては似ている傾向ながらもQuietSeaの方がよりリスニングに寄った傾向の印象です。

QuietSeaとC3の音質傾向は中高音寄りと中低音寄りと異なりますが、C3の音は高音域がQuietSeaと比べ一音一音を強めに鳴らすことで不足感を補っているように感じます。一方中低音域はC3に分があります。

そのため、QuietSeaは全体のバランスとしてまとまっており、C3のややピラミッド型のバランスとは異なり正統派弱ドンシャリと云えそうです。

 

※過去レビューも参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

まとめるとRose Technics QuietSeaはやや中高音域寄りのリスニングサウンドであり、解像感よりも音楽を聴く楽しさを感じられる音作りは、所謂のハーマン近似の音と云えそうです。

正直、ハズレの無いハーマンターゲットの音作りは海外では人気の出やすい音造りですし、日本国内のポータブルオーディオファンは中高音寄りフラットが人気が高い市場ですので、個人的には一般ユーザーにお勧めしたい商品です。

一方で従来の中華イヤホンの強ドンシャリの音が好きな方には評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   CADENZA ≧ QuietSea ≧ C3 

中音   QuietSea ≧ C3 ≧ CADENZA

低音   C3 ≧ QuietSea ≧ CADENZA

ボーカル C3 ≧ QuietSea ≧ CADENZA

 

 

4. Rose Technics QuietSea の総評

Rose Technics QuietSeaは高音低音のバランスの良いリスニングサウンドとまとめました。やはりRose Technicsは高音質モデルを造るのが上手いメーカーと云えます。A5000-U10000クラスという価格帯の中ではトップクラスのサウンドモデルと云えそうです。QuietSeaの各音域をしっかりと聴かせてくれる音は一般ユーザー層には受けが良いと思いますし、海外では高評価となる音質傾向です。一方、日本国内のマニアには中高音重視の音が好まれている現状からは、個人的に有線イヤホンで良い音を探している方にお勧めしたいモデルとなります。シンプルに高音質を楽しめるイヤホンです。

 

最後に、今回は中価格A5000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2023年10月28日)は国内amazonやAliExpress等で7,000円台で発売されております。それ故に昨今の円安からは国内amazonでの購入が安心感があってお勧めです。AliExpressでは本国発送は勿論のこと、納期が掛かりますしその入手性には少々難があります。それでも、中華イヤホンの中でもその音質を含めクオリティの高さは十分満足できる内容となっておりますので、低価格中華イヤホンでちょっとよいものを検討中の方や間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実な国内正規品取り扱いを待って。少しでも新製品を早く安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

QuietSea

以下、付属ケーブル、付属イヤピ LDAC UP5
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

OH2

以下、付属ケーブル、付属シリコンイヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★ 
中音★★★★☆  
低音★★★★ 
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.5、★1.0

 

C3

以下、付属ケーブル、付属イヤピ MDAC UP5
高音★★★★☆ 
中音★★★★★  
低音★★★★★ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

CADENZA

以下、付属ケーブル、付属イヤピ MDAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★☆  
低音★★★★★ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★ (硬質な音)

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回は中華イヤホンの中価格U10000帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後は低価格だけではなく、中価格の中華イヤホンも扱っていきます。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

Celest PhoenixCall レビュー

こんにちは。

今回はいつもの中華イヤホンレビュー編として、中価格A10000-U20000帯で発売された2FPD+2BA+1DDモデルのCelest PhoenixCallについてレビューをまとめたいと思います。

 

国内amazonのHiFiGoで取り扱いがあります。

 

AliExpressでも取扱があります。

https://ja.aliexpress.com/item/1005005937545783.html?spm=a2g0o.cart.0.0.35582e1a6sJutP&mp=1&gatewayAdapt=glo2jpn

 

HiFiGoのサイトはコチラ

Kinera Celest Phoenixcall 1DD+2BA+2 Micro Planar Drivers IEMshifigo.com

 

 

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1. Celest PhoenixCall について 

Celestは中華オーディオメーカー、Kineraのサブブランドです。Celestと云えば、以前SPD(Square Planar Driver)を1基搭載したPandamonをレビューしています。そのCelestは他にもA5000帯で1BA+1PDハイブリッドモデルのGumiho(九尾)をラインナップしており、それらで採用された平面磁気駆動(PD)はSquare Planar Driver(SPD)と、他社とは異なるドライバが話題になりました。それもその筈。イヤホンでは円形のドライバが多く採用されているのに対し、このSPDは名前の通り四角形のドライバであり当時インパクトがありました。更にPD搭載モデルがA5000という安価な販売価格が注目されました。

そのCelestから今回新たに登場したのが、2FPD+2BA+1DDのPhoenixCallです。所謂多ドラモデルとなりますが、一般的なバランスドアーマチュア(BA)とダイナミックドライバ(DD)のハイブリッドドライバ構成に加え、Flat Panel Driver(FPD)を採用。異なる3種のドライバで構成された特別なイヤホンと云えます。

 

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さて、Celest PhoenixCallのスペックですが、先述の通り3種のドライバを搭載した多ドラハイブリッドドライバモデルです。1DDには7mm径ダイナミックドライバを採用。低音域を担います。2つのBAには中音域を担うカスタマイズBAを1基と中高音域を担うカスタマイズBAを1基採用。高音域は超高音域までの広いレンジをカバーする6mm径FPDを2基搭載。このFPDはマイクロプレーナードライバとなり、このFPDがCelest PhoenixCallの最大の特徴と云えます。

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PhoenixCallは3種の異なるドライバにより優れたオーディオ性能を得ることに成功しています。全体的に明るいサウンドは、深みのある弾力のある低音を持ち、より穏やかで自然なサウンドです。ミッドレンジはソリッドで自然なサウンドを持ち、高周波はクリアで明るくクリーンです。サウンドステージは広々として自然で、滑らかなボーカルと強い解像度で、快適な音楽体験を提供します。

メーカー発表のf特は非常にフラットな特性を示していますが、実際に聴いてみると大人しいモニターサウンドではない臨場感を感じられながらもクリアなサウンドを届けてくれます。

 

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シェル本体はオール樹脂製です。フェースプレートには古代中国の神話「山と海の伝説」の伝説的なシーンをモチーフに描かれたプレートが封入され、光の反射で鮮やかに彩ります。シェル内部には樹脂が封入されており各ドライバに繋がる音導管が確認できます。シェルカラーはクリアと青紫の二種があり高級感のあるデザインとなっています。

最後に付属ケーブルです。高級線材を採用した5N8芯高純度銅線を銀メッキした編込み線は、明瞭さと透明性が高く音をクリアに伝えます。また、リケーブル可能とし、お好みのケーブルに交換することで、より多くの音への変化を楽しむことができます。更に、1本あたりが太めの1mm線材は程良い堅さがありながらもしなやかで取り回しの良いケーブルとなっています。中華イヤホンメーカーでは付属ケーブルはリケーブル前提で質を落としコストカットしている場合がありますが、PhoenixCallではそんな心配はありません。そのためバランス接続を試したい方以外はリケーブルする必要を感じません。

 

※宜しければ以前のレビューもご参考ください

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PhoenixCallの納期としては現在(2023/9/9)国内amazonで取扱があり、Prime扱いのため当日発送、翌日配達と安心です。HiFiGoやAliExpressでオーダーした場合でも現在はかなり安定しており、10日前後で届くと思います。ほぼ平時に戻った印象です。尤も従来の平時であればAliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressや海外サイトでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かるのが気になるところでしたが、最近は円安の影響で国内amazonとの価格差が殆どなく、そのメリットは殆ど感じません。

まあ海外ネットショッピングで心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. Celest PhoenixCall 実機レビュー 

それでは、早速実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングは紫を基調とした観音開きタイプの中箱です。表面にはFP同様に中国神話をモチーフした鳥群のイラストが描かれており、箱中央部に製品名のPhoenixCallの記載があります。

 

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箱を開けると黒を基調とした内装にイヤホンが収納されています。

箱の下側に付属品が収納された小箱が収められています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースタイプのS、M、Lの3種が2セットとイヤホンに取り付けられていたSサイズのイヤピが1組。他にはケーブルとケーブルバンド、イヤホンケース、ブックチャームです。中価格A10000-U20000帯として必要十分なものが揃った付属品となります。

 

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Celestの刻印が入ったイヤホンケースはハードタイプでイヤホンをしっかりと保護してくれます。

 

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二羽の鳥をモチーフしたブックチャームが付属。

 

次に本体を見ていきます。

 

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シェルの造形は丸みを帯びたオーソドックスなカスタムIEM風のもの。シェルは一般的な大きさですが、厚みがあるためにやや大きく感じます。実際には耳へ収まる部分がコンパクトになっており装着感は良好です。樹脂製シェルは見た目よりも重量感がありますが、耳への装着時はその装着感の良さから重さをそれ程感じません。

フェイスプレートには先述の通り中国神話を模したデザインが施されており、シェルが紫と青の二色を左右で使い分けています。特徴的なフェイスプレートデザインと美麗な本体のイヤホンは他の人とは違うものを求める人には良さそうです。

肝心のビルドクオリティは、中華イヤホンの中価格帯として綺麗に仕上っており、シェルの合わせ面は判らないです。

カラーバリエーションはクリアと紫青の二色展開です。今回は紫青を選択しています。

続いてケーブルです。

 

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付属ケーブルは先述の通り高品質5N8芯高純度銅線に銀メッキを施した編込み線です。シェルのカラーによって付属するケーブルの被覆のカラーが変わります。クリアには白色が。紫青にはそれに合わせて紫青の被覆線材が採用されています。プレイヤー側コネクタはI字タイプ。イヤホン側はフラット2ピン仕様。極性はKZ系と同様に上側がプラスです。この付属ケーブルはやや堅さがありますが、意外としなやかさがあります。また、タッチノイズを感じにくく、肝心の耳への装着性や使用感は悪くありません。イヤホン側にはシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的に取り回しは悪くありませんので、バランス接続をしたい方以外は音質的にもそのまま使用できます。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

次に他機種との造形の比較です。

 

※画像左からCelest PhoenixCall、LETSHUOER S12 Pro

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Celest PhoenixCallとLETSHUOER S12 Proの外観の比較として、サイズ感はPhoenixCallがやや大きく見えます。PhoenixCallのシェルに厚みがありますのでそう見えますし、実際にも体積は大きいです。とはいえPhoenixCallも一般的には普通のサイズの部類になると思いますので、寧ろS12 Proがコンパクトと云えると思います。

ステムノズルの長さと太さ、角度ですが、長さはPhoenixCallが長く、太さはPhoenixCallがやや太くなります。角度はどちらもやや起きています。

PhoenixCallはS12 Proと比べやや大きくなりますが、PhoenixCallはオーソドックスな造形の見た目通り耳への収まりが良く装着感は良好です。

ケーブルを接続するイヤホン側のコネクタ部はどちらもフラット2ピンです。リケーブルの際は通常の2ピンコネクタを選択しておけばそれほど気にする必要はないと思います。

シェルの材質は、PhoenixCallはオール樹脂製。S12 Proはオール金属製のためこちらの方がやや重量感があります。PhoenixCallはシェル内部に樹脂が充填されており重量感はありますが、造形がオーソドックスのため、耳への装着感が良く、重さをそれほど感じないレベルです。寧ろ耳への装着感はステムノズルの太さに影響を受けやすくPhoenixCallはやや太めのためイヤピ選びは通常よりもやや小さいサイズ感で良いと思います。

ステムノズル部には全てにフィルターがあります。PhoenixCallは音導管の先、ステムノズル内側にフィルタがあります。どちらも異物混入による故障を防ぐ事ができます。

二機種共にシェル本体の形状と付属ケーブルからはシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、前述の通りPhoenixCallはステムノズルがやや太めですので小さめのイヤーピースを選択し装着することで圧迫感は少なくなります。そのため付属イヤーピースで耳の奥に栓をするように耳に密着させ装着するとフィットしました。そのため付属のシリコンイヤーピースで上手くフィットする事ができれば音質的にも必要十分だと思います。

 

最後にイヤーピースを見てみます。


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付属のシリコンイヤーピースは黒傘黒軸のやや背が低く傘が幅広形状と一般的な白傘白軸の裾野が弾丸タイプとイヤホンに装着済みの白傘赤軸弾丸形状イヤピがSサイズ1組の3種です。他社製含むサードパーティー商品との互換性の高い一般的な形状は選択肢が増えますので安心です。

付属黒イヤピは音質的にはダイレクトに音を届けてくれ、やや低音がしっかりとするタイプの印象です。白イヤピ2種は中高音をクリアにして僅かに低音を弱めてタイトにさせ全体のバランスをやや腰高にしてくれる印象です。その白イヤピの赤軸タイプは某イヤピのオマージュ品の様子。白軸タイプよりも傘の材質がしっとりしていてより装着感が良い印象です。黒イヤピは耳に浅めに栓をする装着に。白イヤピは耳奥へ挿入し栓をするように耳へ密着させることで私はフィットしました。付属イヤピで装着感に問題ない場合を除き、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。

幸い付属イヤーピースで私はフィッティングが上手くいきました。また、白傘赤軸イヤピの方が装着感が良く感じましたので、そのまま初期装着の付属白傘赤軸Sサイズを使用しています。

低、中価格帯に付属するイヤーピースは装着感が悪く、音質的にも実力を発揮できないと感じますが、今回は付属のシリコンイヤピで上手くフィットできました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. Celest PhoenixCall 音質レビュー

いよいよ音質についてまとめていきます。

 

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昨年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音に脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

昨年はSony NW-ZX507を使用していましたが、やや演出感のあるドンシャリはメリハリがありグルーブ感のある音はSonyの音で音楽を楽しく聴く事が出来ました。しかし、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5の方がモニターライクながらも、決してつまらない音ではなくリスニングでも使えて万能と考えたからです。

Shanling UP5をUSB-DACで使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

 

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属白傘赤軸イヤーピース Sサイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「中低音に厚みがある音。高音は華やかで低音はしっかりと鳴るやや中高音寄りのドンシャリバランス」です。

箱出しでは低音が膨らみボワつきを感じましたが、鳴らし込み後は低音は落ち着き、高音とのバランスが取れた音という印象です。

 

音場

やや広めから広めの印象。前後は奥行を感じ、左右は広さを感じられます。奥行きを感じられ立体感もあります。空間は広さもあり音の立体感を感じます。

 

高音域

華やかさのある印象を持ちます。過不足のない煌びやかさは上までの伸びやかさを感じられますが、響きや余韻はそこそこ。明るく存在感がある華やかさはあるものの、無駄に騒がしいと感じるような常に前に出る様な感じではない繊細さも兼ね備えた鳴り方。そのため刺さりや尖りは感じません。解像感は良好ですが、解像感に全振りする様な刺々しさはありませんので、爽やかに描写してくれます。

 

中音域

明るい華やかさがありますが、真ん中に音が集まる団子感や音が重なるゴチャつきは感じません。音が整理された鳴り方です。音の立ち上がりも良く解像感も感じられ明朗に描写します。ボーカルはクリアで僅かに近い位置から自然でニュートラルな声色の印象です。

 

低音域

量感は適度で響きや広がりも感じられますが、大きく強く鳴らす誤魔化すような鳴らし方ではありません。音階や強弱といった低音域の解像感は悪くありません。ベースラインは追いやすくその機嫌を窺う様な気難しさはありません。より分かり易く感じられますが、ボーカルよりも前に出るような不自然さはありません。重低音は沈み込みは深さがあり、力強さがありますので過不足を感じません。

 

出音のバランス

一言で云えばやや中高音寄りの弱ドンシャリ。中高音域は明るく明朗に鳴らしてくれます。低音は適度な量感ですが、力強さがあり過不足は感じません。出音のバランスが良い音と云えます。

 

高音は明るく華やかに鳴り、上の上までの伸びやかさはありますが、響きや余韻がそれ程多くはないので適度な華やかさに感じられる場合があります。それでも明るさは十分で上までの伸びやかさがあるため、寸止め感はありません。一方で高音域の谷がありそれが過度な響きを抑えており、結果それほど多くないという原因の様な気がしますが、誇張の少ない高音域は不自然さを感じない耳触りの良い音。超高音域まで伸びやかになめらかに鳴り、小さな音も感じ取れます。解像感や描写は良好で、爽やかに小さな音や鮮明に大きな音を鳴らし、高音の出力バランスを上手く調整し整えられている印象です。

中音は僅かに凹みを感じますが、ボーカルは僅かに近い位置にあり楽器の音はその周りに位置しています。中音の域の下の方に厚みがある音は分離も良く整った音は解像感も悪くありません。

ボーカルは僅かに近い位置からクリアに聴く事ができます。周りの音や高音や低音にも埋もれることはありません。声色は自然で息遣いを感じられ艶も感じられます。そのため女性ボーカルのバラードなどでしっとりとした艶のある声を楽しめますし、アップテンポな曲でも伸びやかさを感じられます。

低音の量感は適度で響きや広がりも適度に感じられます。響きよりも一発の力強さに重きを置いた音は音階や強弱の描写も感じ易く、解像感と雰囲気の良さを両立しています。

重低音は沈み込みは深く、力強さを感じられる音。それは低価格帯でよくあるただ強く大きく鳴らす音ではありません。

 

他機種との比較としてLETSHUOER S12 Proと比較した場合、一言で云えば中高音寄りの弱ドンシャリと同じ傾向という印象です。S12 Proの出音は高音と低音が不自然な強調感もなく、それに埋もれない中音が華やかに鳴る。全域のバランスはフラットに近い強調感の少ない音。地味な音ではなく明るさのある音。派手過ぎず、地味過ぎない丁度良い音でした。また、特長はやはり広い空間を感じる音場です。左右や奥行きのある音は描写が確かで、あくまでも自然な強さで音を奏でます。それと比較すれば中高音域の空気感はやや分が悪い印象ですが、低音は負けていませんし、そもそもS12 ProはPhoenixCallよりもやや上の価格A20000帯です。全体としてPhoenixCallはかなり肉薄していると思います。尤も中高音域の解像感を重視した場合にはS12 Proが一枚上手です。

 

次に現在はやや下の価格帯となりますが、比較対象としてTrn Kirinとの比較です。

中価格A10000-U20000帯の平面磁気駆動(PD)モデルの一つです。14.5mm径のPDをシングルで搭載したモデルとなります。

Kirinの音質はPDの特徴を体感できる普通に良い音がするイヤホンです。整った出音は近しいと感じましたが、違いはやはり音場。空間の広さや立体感はPhoenixCallが上手。どちらも全音域をバランス良く聴かせてくれ、出音や音色は普通に音質の良いイヤホンです。どちらも過度に強調するところが無く自然に鳴らしながら、解像感の高い音を聴かせてくれますが、PhoenixCallの方が高音域のレンジが広く、低音域の解像感も良いです。

 

※過去レビューも参考ください

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まとめるとPhoenixCallは多ドラのメリットを活かした広いレンジと各音域の解像感を得ながらそのデメリットであるごちゃつきを抑えた整った音とした高音質と云えます。中高音域寄りの弱ドンシャリは高音域は上までの伸びとあくまでも自然な強さで鳴らし、中低音域を厚めに鳴らす音造りは万人が受け入れやすい音です。そいて同価格帯では間違いなく高音質と云え個人的に好きな音です。

一方で従来のような中華イヤホンの強ドンシャリの音が好きな方には評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   S12 Pro ≧ PhoenixCall ≧ Kirin (質感の順)

中音   S12 Pro ≧ PhoenixCall ≧ Kirin (質感の順)

低音   PhoenixCall ≧ S12 Pro ≧ Kirin (質感の順)

ボーカル S12 Pro ≧ PhoenixCall ≧ Kirin (質感の順)

※価格帯が異なる為、参考程度に

 

4. Celest PhoenixCall の総評

Celest PhoenixCallはKineraのサブブランドとしてかなり特殊というか尖った製品を世に送り出している印象です。その中でもPhoenixCallは音質的にもかなり評価が高くなりそうな気がします。価格帯では間違いなく高音質と云えますし、その中でも上位に入ると思います。個人的に普通に高音質のイヤホンとしてお勧めできます。メーカー発表のf特では極端にフラットなものでしたが、実際に聴いてみれば非常にバランスの良い音質は音楽を楽しく聴く事ができる良いイヤホンと評価できます。

 

最後に、今回は中価格A10000-U20000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2023年9月9日)は国内amazonやHiFiGo、AliExpress等で18,000円台で発売されており、価格差が殆どありません。それ故に昨今の円安からは国内amazonでの購入が安心感があってお勧めです。HiFiGoやAliExpressでは本国発送は勿論のこと、納期が掛かりますし、万が一の際には少々難があります。それでも、中華イヤホンの中でもその音質を含めクオリティの高さは十分満足できる内容となっておりますので、中華イヤホンでちょっとよいものを検討中の方や間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実な国内正規品取り扱いを待って。少しでも新製品を早く安く手に入れたい方はHiFiGoやAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

PhoenixCall

以下、付属ケーブル、付属白傘赤軸イヤピ SDAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★☆  
低音★★★★★ 
音場★★★★★
分離★★★★★
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

S12 Pro

以下、付属ケーブル、付属白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★★ 
音場★★★★★
分離★★★★★
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

 

Kirin

以下、付属ケーブル、付属白イヤピ M使用、Referenceノズル、DAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★★
分離★★★★★
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回は中華イヤホンの中価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後は低価格だけではなく、中価格の中華イヤホンも扱っていきます。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

BGVP P05 レビュー

こんにちは。

今回はいつもの低価格中華イヤホンレビュー編として、中価格A5000帯で発売された1DDモデルのBGVP P05についてレビューをまとめたいと思います。

 

国内amazonのHiFiGoで取り扱いがあります。

 

AliExpressでも取扱があります。 

Bgvp-ダイナミックドライバーインイヤーP05ヘッドセット,10mm puセラミックHDD,iems,Hi-Fi,Android用ヘッドフォン,タイプCマイクとmmcx - AliExpress

 

HiFiGoのサイトはコチラ

BGVP P05 PU+Ceramic Dynamic Driver IEMshifigo.com

 

 

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1. BGVP P05 について 

BGVPは中華のオーディオブランドです。BGVPと云えば、数年前の多ドラハイブリッドのスペック競争の渦中にA10000帯でBGVP DMGという4BA+2DDハイブリッドドライバモデルを発売しており、2DDの力強い低音域に4BAの華やかな中高音域が特徴の強ドンシャリモデルが人気を集めていました。その後、DMGの後継機として6BA+1DDハイブリッドモデル、DMSを発売。こちらは同傾向ながらドンシャリを抑えたモデルであり癖が弱まりバランスを改善していましたが、DMGの強ドンシャリインパクトを超えられなかったという印象でした。尤もそのころには多ドラブームは落ち着き、強ドンシャリよりも低音を抑えた解像感重視の音が日本のポータブルオーディオファンの中で主流となっていて少し登場が遅かったという時代に埋もれたモデルと云えました。その後もBGVPは中価格帯から高価格帯でハイブリッドドライバモデルを中心に商品展開していましたが、競争の激しい中華メーカーの中では新興メーカーの勢いに押されており、以前のように注目されてはいませんでした。それはBGVPの音質傾向はリスニングサウンドにまとめられており、良い意味でドンシャリの美味しいところを引き出すのが上手いメーカーです。この音質傾向は海外の中華イヤホンファンから支持されており、音質に定評のある古参メーカーとして認知されていますが、海外と日本の音質の主流が異なるため、評価が分かれています。またBGVPはハイブリッドドライバモデルの音造りが上手いメーカーと認識しています。個人的には従来の多ドラハイブリッドモデルを洗練していって欲しいと思います。

さて、そのBGVPから今回U10000のBGVP P05が登場しました。これまで中心だった中価格帯以上の多ドラハイブリッドモデルではなく、A5000-U10000帯のアンダー中価格帯のシングルダイナミックドライバモデルです。このP05は同ブランドの中では安価なモデルとなりますが、所謂エントリーグレードという位置づけではなく、良いものを安価に届けようとする同社の拘りを感じさせる仕上がりとなっています。

そのP05の特徴は以下の通りです。

  • 強力なダイナミックドライバーを備えたパワフルなサウンド
  • 特許取得済みのチューニングシステム
  • 繊細で絶妙なデザインで軽量且つ人間工学に優れたシェル
  • リケーブル可能な多層ワイヤシールドで包まれた6ストランド3N OFC無酸素銅銀メッキケーブル

それではスペックを詳しく見ていきます。

 

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P05に採用された高品質の10mmカスタマイズダイナミックドライバーは、スムーズな高周波拡張とクリーンな低周波帯域応答を約束するPU+セラミック構成を採用。この二つの素材により広い周波数応答範囲を得ると共に優れた明瞭さと解像度を備えた高品質のサウンドを提供します。

 

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次にシェル内部キャビティを調整するプレッシャーリリーフ設計により、サウンドリークとループサウンドチューニングによって、ボーカル密度とサウンドステージのプレゼンテーションを調整可能にしています。バランスドサウンディングフィルターと低音に焦点を当てたサウンディングフィルターの2種を付属しそれぞれに交換することで、2つの異なるサウンドシグネチャーを楽しめます。

上記2つがBGVP P05の最大の特徴と云え、P05が単にエントリーグレードではない魅力のあるモデルと云えます。

P05はシェルの材質にも拘り、高品質の6シリーズ航空グレードのアルミニウム合金素材を採用し、高精度のCNC機械加工機による切削加工により製造された円筒形のシェル形状としています。シェル表面にはサンドブラスト処理を行い、更に酸化防止処理を加えた外観は工業製品としても美麗に仕上がっています。

また、非常に軽量なシェルはわずか3.4グラム(ケーブル含まず)と、人間工学に基づいた形状との組み合わせで、軽妙な装着感は非常に快適です。そして、P05ではシュア掛けとストレートダウンの着用パターンで使用可能であり、ユーザーが自由に選択できます。

 

※Equalization Filter Set(バランスタイプの組合せ)

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※Bass Filter Set(低音を強化した組合せ)
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先述の2つのサウンドシグネチャーは円筒型シェルの先端にあるステムノズルと終端(フェースプレート部)のフィルターの2か所をそれぞれの組合せに交換することで2種の音質傾向を楽しめます。


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それぞれの音質傾向はハーマンターゲットカーブに対し、ほぼトレースしたBass Filter Setとやや低音域を抑え高音域をやや強めにしたEqualization Filter Setとなりますが、実際に聴いてみた印象は真にその通りです。Equalization Filter Setは中高音域の解像感の高さを感じられ、Bass Filter SetはBGVPのお家芸という印象。聴き易い適度なドンシャリです。

最後に付属ケーブルです。P05の付属ケーブルは多層ワイヤシールド線の6芯撚線です。その線材は3N無酸素銅を銀メッキ処理した線材を採用した並列フラットケーブルです。

 

※宜しければ以前のレビューもご参考ください

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BGVP P05の納期としては現在(2023/8/26)国内amazonのPrime扱いで取り扱いがあります。当日発送、翌日配達は非常に便利です。HiFiGoやAliExpressでオーダーした場合でも現在は安定していますので、AliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月です。尤も万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressや海外サイトでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かるのが気になるところでしたが、最近は円安の影響で国内amazonとの価格差が殆どなく、そのメリットは殆ど感じません。

まあ海外ネットショッピングで心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. BGVP P05 実機レビュー 

それでは、早速実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングは黒を基調としたスリーブタイプの箱です。表面にはイヤホンイラストが中央部に大きくプリントされており、左上には商品名が大きく印字されています。

 

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スリーブを外すと黒を基調とした内箱の中央にメーカー名が印字されています。

内箱の上蓋を開けると黒地の内装に内装にイヤホンと付属品が収納されています。

 

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付属品のイヤホンケースを開けるとケーブルとFilter Setが収納されています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースタイプのS、M、Lの3種が2セットとフォームタイプMサイズが1組。他にはケーブルとケーブルバンド、Filterが2セット(1セットはイヤホンに組み込み済み)、イヤホンケースです。中価格A5000帯として必要十分なものが揃った付属品となります。

 

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メーカー名の入ったイヤホンケースはハードケースタイプでイヤホンをしっかりと保護してくれます。

 

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Filterは2セット付属し、左からEqualization Filter SetとBass Filter Set。それらの違いはEqualization Filterの方がステムノズルが短め、終端側フィルタは内側フィルタが薄くなっています。

 

次に本体を見ていきます。

 

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シェルの造形は先述の通り円筒形のもの。シェルはコンパクトですが、円筒形の筒の長さがあります。金属製シェルでありながら非常に軽量であり重量はそれ程感じません。耳への装着感も良く重さを感じません。

肝心のビルドクオリティは、中華イヤホンの中価格A5000帯として非常に綺麗に仕上っています。

カラーバリエーションはシルバーのみ。

続いてケーブルです。

 

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付属ケーブルは先述の通り高品質6芯銀メッキOFC線の並列フラットケーブル。価格帯的にはややケーブルにコストカット感があります。プレイヤー側コネクタはI字タイプ。イヤホン側はmmcx仕様。この付属ケーブルは被覆にやや引っ掛かりがありますが、しなやかさがありますので肝心の耳への装着性や使用感は悪くありません。イヤホン側はシュア掛けにもストレートでも使えるようにチューブ等で癖付けされていません。全体的に取り回しは悪くありませんので、国産メーカーの同価格帯のリケーブルできないイヤホンで不便を感じない方やバランス接続をしたい方以外はそのまま使用しても良いと思います。

また、付属ケーブルはマイク無し3.5mmステレオミニ、マイク付き3.5mmステレオミニ、USB Cマイク付きの3種が選択できます。今回は3.5mmステレオミニを選択しています。

次に他機種との造形の比較です。

 

※画像左からTiNHiFi T2 EVO、BGVP P05

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BGVP P05とTiNHiFi T2 EVOの外観の比較として、サイズ感はほぼ同じ。どちらも円筒形のシェルでコンパクトと云えると思います。

ステムノズルの長さと太さ、角度ですが、長さはT2 EVOに対し、P05が交換可能な為、Equalization Filterはほぼ同じ。Bass Filterの場合は長めです。太さはほぼ同じ。角度はどちらも円筒形のため同軸であり同じです。

シェルの材質は、何方もオール金属仕様ですが重量感はあまり感じません。

一般的なIEMに対し、そのコンパクトさが目立ちますし、何よりもその造形から耳への収まりが良く装着感は良好です。寧ろ耳への装着時はイヤピが耳に嵌まる形であり、ステムノズルがやや太めのためイヤピ選びは通常のサイズよりもやや小さめで良いと思います。

ケーブルを接続するイヤホン側のコネクタ部はどちらもmmcxです。リケーブルの際はmmcxコネクタを選択しておけば問題ありません。

ステムノズル部には全てにフィルターがあります。全て金属フィルタですが、P05は金属フィルタの内側に更に音質調整フィルタがあります。

二機種共にシュア掛けとストレートで使用する事ができます。シュア掛けが苦手な方には朗報ですね。

なお、前述の通りP05はステムノズルがやや太めです。イヤーピースを最適なものを選び実際に装着した際に圧迫感が少ないものを選ぶ必要があります。

 

最後にイヤーピースを見てみます。


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付属のシリコンイヤーピースはVocal Ear TipsとBass Ear Tipsの二種に加え、フォームタイプとなります。Bassタイプは傘にコシが無くサイズ幅が極端です。実用的なのはVocalタイプです。こちらは某イヤピに似ていて、使い勝手は良好です。正直これ一択。

Vocalタイプは白イヤピは中高音をクリアにしてくれる印象です。耳への装着時はイヤピを耳奥へ挿入し栓をするように耳へ密着させることで私はフィットしました。付属イヤピで装着感に問題ない場合を除き、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。

幸い付属イヤーピースのVocalタイプで私はフィッティングが上手くいきました。また、Vocalタイプの方がP05の本領を発揮できると感じましたので、普段のサイズよりも小さめの付属VocalタイプSサイズを使用しています。

低、中価格帯に付属するイヤーピースは装着感が悪く、音質的にも実力を発揮できないと感じますが、今回は付属のシリコンイヤピで上手くフィットできました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. BGVP P05 音質レビュー

いよいよ音質についてまとめていきます。

 

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昨年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音に脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

昨年はSony NW-ZX507を使用していましたが、やや演出感のあるドンシャリはメリハリがありグルーブ感のある音はSonyの音で音楽を楽しく聴く事が出来ました。しかし、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5の方がモニターライクながらも、決してつまらない音ではなくリスニングでも使えて万能と考えたからです。

Shanling UP5をUSB-DACで使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

 

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属Vocalタイプ Sサイズ、付属ケーブル。先ずはEqualization Filter Setで聴いてみます。

箱出しで聴いてみた第一印象は「中高音がはっきりと鳴る華やかさのある音。低音は量感は抑え気味ですがしっかりと鳴る音。やや中高音寄りのフラット寄り弱ドンシャリバランス」です。

箱出しでは高音に荒々しさを感じましたが、鳴らし込み後は、高音が落ち着き低音とのバランスが取れた音という印象です。

 

音場

普通からやや広めの印象。前後はそれほど奥行を感じませんが、左右はやや広さを感じられます。奥行きをそれ程感じないこともあり立体感はそこそこですが、左右の空間を感じられますので窮屈さはありません。

 

高音域

全体的に華やかさのある印象を持ちます。強調感のある強さで鳴りますが、刺さりも無く嫌な感じはありません。過不足を感じる事はありませんが上までの伸びやかさはそれ程感じないものの、響きや余韻が適度にありますので存在感は十分。全体的な華やかに鳴りますが、無駄に騒がしいと感じるような出しゃばった感じではないあくまでもやや強調感のある鳴り方は分離も良く解像感は良好で鮮明さはこの価格帯として上々。

 

中音域

華やかさがありますが、音が集まる団子感や音が重なるゴチャつきは抑えられ整理されて鳴り方ます。音の立ち上がりが良く解像感も悪くありませんしクリアな中音域を明朗に鳴らします。ボーカルはクリアで自然な位置から僅かにドライな声色の印象です。

 

低音域

量感は抑えられ響きや広がりもそれ程感じませんが、芯のある音は強さを感じます。音階や強弱といった低音域の解像感はそこそこ程度ですが、ベースラインは追いやすくボーカルよりも前に出るような不自然さはありません。重低音は沈み込みはそれ程深さがありませんが、強さがありますので過不足を感じません。

 

出音のバランス

一言で云えばやや中高音寄りの弱ドンシャリからフラットに近いバランス。高音域は明るく鮮明にやや強調感のある印象ですが不自然な強さではありません。低音は量感は抑え気味ですが、締まりがあり過不足はありません。出音のバランスは中高音中心に解像感重視の現在の日本のポータブルオーディオファン好みの音と云えます。

 

Equalization Filter Setの音質傾向は、やや高音の華やかさを中心とした低音の主張を抑えた解像感重視のバランスです。中高音は響きや余韻も感じられ華やかに明るく鮮明になりますが、やや誇張された印象です。それでも不快な耳障りさはなくこのくらいで丁度良いと感じる方の方が多いかもしれません。そのため解像感が高いという印象を持ちます。低音域は抑えられており、響きや広がりは控えめ。それでもタイトに鳴る低音域は強さがありますので不足はありませんが、低音重視の方には少ないと感じる方が多いと思います。その分中高音域を邪魔することなくクリアで見通しの良さがあります。

 

次にBass Filter Setです。こちらはハーマンターゲットカーブをほぼトレースしており、バランスの良さは一聴して感じます。Equalization Filterのような中高音域の華やかさはありませんが、適度に必要な量を必要な時に自然な強さで鳴らします。自然な強さで鳴るため不自然さを感じることはありませんし演出感の少ない自然な鳴り方は耳触りが良いものの、やはり伸びやかさはそれほどありません。強調感がない分なめらかに鳴ります。解像感や描写は悪くありませんが、鮮明という程ではなく、僅かに暗い音の印象です。しかし、Equalization Filterの音を聴いた後なのでそれを感じ易くBass Filterだけ聴いていれば整えられた高音の印象です。

中音はEqualization Filterよりも僅かに凹みを感じますが、ボーカルは自然な位置にあり楽器の音はその周りに位置しています。華やかさは十分に感じられ分離も良く整った音。

ボーカルは自然な位置からクリアに聴く事ができます。周りの音や高音や低音にも埋もれることはありません。声色は自然で息遣いを感じられ艶も感じられます。そのため女性ボーカルのバラードなどでしっとりとした艶のある声を楽しめますし、アップテンポな曲でも伸びやかさを感じられます。

低音の量感は適度で響きや広がりも適度に感じられます。その一方、締まりのある音は、スピード感のある曲にも対応する懐の深さがあります。音階や強弱の描写も悪くありませんし雰囲気の良さも十分に感じられる整った音。

重低音は沈み込みはそれ程深くありませんが、より強さを感じられる音。低価格帯でよくあるただ強く大きく鳴らす音ではありませんので、物足りなさはあります。適度な低音域は中音域の下の方にも厚みを持たせてくれます。

Equalization Filterとの比較では解像感のEqualization Filterに対し、自然なBass Filterという印象です。どちらも高レベルの音と云えます。

 

他機種との比較としてTiNHiFi T2 EVOは見通しの良いクリアな中高音の中高音重視傾向ながらも低音も適度な強さで鳴らし音楽を小気味よく聴かせてくれるTiNHiFiの音を踏襲しており、高音中音は華やかでも見通し良く、低音は抑え気味ながらも芯があり強さのある音。中音域はこの価格帯でよくあるごちゃ付きを抑えクリアでドライ気味のボーカルは聴きやすい音質傾向でした。P05のEqualization Filterの音は近似しており、それの上位互換と云えそうです。

またP05のBass Filterの音は強いて云えばTiNHiFi C3の傾向に近い印象です。しかしC3では高音域が少し物足りない印象がありますが、それを上手く改善している上位互換機と言えるかもしれません。

次にCADENZAとの比較では、CADENZAがやや中高音寄りのドンシャリです。以外にも低音がしっかりとした音は、高音域は鮮明にしっかりと鳴らし、中音域を華やかに彩らせた高中音域を聴かせる硬質な音です。そのためP05のEqualization Filterの音に近くなりますが、解像感ではP05に分があります。

 

※過去レビューも参考ください

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まとめるとBGVP P05はEqualization FilterとBass Filterによって二つの音質を使い分け楽しむ事ができます。それぞれは中高音域の解像感重視だったり、流行りのハーマンの音だったりとその音質傾向は確実に変化を感じられます。そして何よりもそれら二つの音は高いレベルであり、P05がただのエントリーモデルではない事を証明していると云えます。

ハズレの無いハーマンターゲットの音作りは海外では人気の出やすい音造りですし、日本国内のポータブルオーディオファンは中高音寄りフラットが人気が高い市場です。それらをカバーするBGVP P05は個人的にお勧めできる商品です。

一方で従来の中華イヤホンの強ドンシャリの音が好きな方には評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   P05 ≧ CADENZA ≧ C3 

中音   P05 ≧ C3 ≧ CADENZA

低音   C3 ≧ CADENZA ≧ P05

ボーカル C3 ≧ P05 ≧ CADENZA

※Equalization Filterで評価

 

4. BGVP P05 の総評

BGVP P05は二つのFilter Setにより二種類の音質を楽しめますし、それぞれが高音質と云えます。価格帯で見ればA5000-U10000クラスとBGVPの中でもエントリーモデルに見えますが、決してそんなことはなく音質重視の選択でも普通に高音質のイヤホンとしてお勧めできます。Bass Filterをセットすれば各音域の聴かせ所を間違わない音は一般層には受けが良いと思いますし、海外では高評価となる音質傾向です。一方Equalization Filterでは日本国内のマニアにも納得の中高音重視の音。個人的にはEqualization FilterがP05の美味しいところを一番楽しめると思いますが、Bass Filterも捨てがたい。非常に楽しめるイヤホンと云えます。

 

最後に、今回は中価格A5000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2023年8月26日)は国内amazonやAliExpress等で発売されております。それ故に昨今の円安からは国内amazonでの購入が安心感があってお勧めです。AliExpressでは本国発送は勿論のこと、納期が掛かりますしその入手性には少々難があります。それでも、中華イヤホンの中でもその音質を含めクオリティの高さは十分満足できる内容となっておりますので、低価格中華イヤホンでちょっとよいものを検討中の方や間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実な国内正規品取り扱いを待って。少しでも新製品を早く安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

P05

以下、付属ケーブル、付属Vocalタイプイヤピ S、Equalization Filter、DAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

C3

以下、付属ケーブル、付属イヤピ MDAC UP5
高音★★★★☆ 
中音★★★★★  
低音★★★★★ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

CADENZA

以下、付属ケーブル、付属イヤピ MDAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★☆  
低音★★★★★ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★ (硬質な音)

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回は中華イヤホンの中価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後は低価格だけではなく、中価格の中華イヤホンも扱っていきます。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

CVJ Freedom レビュー

こんにちは。

今回はいつもの中華イヤホンレビュー編として、中価格A10000帯で発売された4BA+1DDハイブリッドドライバモデルのCVJ Freedomについてレビューをまとめたいと思います。

 

国内amazonのHiFiGoで取扱があります。

 

AliExpressでも取扱があります。

https://ja.aliexpress.com/item/1005005884619055.html?spm=a2g0o.cart.0.0.6a1e2e1aKe6qB9&mp=1&gatewayAdapt=glo2jpn

 

HiFiGoサイトはコチラ

CVJ Freedom 1DD + 4 BA In-Ear Monitors IEMshifigo.com

 

 

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1. CVJ Freedomについて 

CVJ Freedomは中価格A10000-U20000帯中華イヤホンの4BA+1DDハイブリッドドライバモデルとして今年7月に新発売されました。

CVJは先日のCVJ Meiのレビューでも触れましたが中華イヤホンの新興ブランドです。中華イヤホン業界ではOEMやODMが活発であり、良いものを直ぐに取り入れる柔軟さがあるのは中華イヤホンだけでなく、世界の製造大国としての文化の違いを窺えます。戦後の日本が嘗てそうだったように何れコピーやオマージュから本物を生み出す日もそう遠くない未来ではないかと考えさせられます。

さて、先日同ブランドのMeiをレビューしており、数年前のブランド立ち上げ初期にレビューしたCSNとは見違える様な進歩を遂げており驚きました。後発の利点を活かした商品性は音質にも妥協していないモデルを発売し、最近のKZよりも期待できるくらい着実に力をつけていることを窺えます。まあ最近のKZはビッグ〇ーターのように顧客無視の自社繁栄路線で失敗している訳ですが、企業は事業活動に真摯に取り組む必要があり、ビッ〇モーターを対岸の火事のように見過ごすことの無いように身を引き締めていかねばなりません。

話はそれましたが、今回のCVJ Freedomでも二連ディップスイッチによる音質調整ギミックは健在。Meiと同様にスイッチで他社の様な周波数特性を調整するタイプではなく、搭載しているドライバそのものを休止(鳴らさない)させるという手法です。これまでのスイッチ付モデルの多くは音質の味付けの変更させる仕様が多かったのですが、CVJ Freedomでも稼働ドライバ数を変えるギミックにより、ドライバ構成の異なる別のイヤホンとして楽しむ事ができます。

 

そのCVJ Freedom(自由)のスペックですが、新型の超薄膜セラミックダイヤフラムを採用した10mm径ダイナミックドライバ(DD)とカスタマイズされたバランスドアーマチュアドライバ(BA)4基を搭載。低音域用のDD1基に加え、BAには高音域用の3基と中高音域用の1基の3種のドライバ構成の4BA+1DDハイブリッドドライバモデルです。

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CVJ Freedomは、二連ディップスイッチを搭載した多ドラハイブリッドモデルです。新しい超薄膜セラミックダイヤフラムのダイナミックドライバ1基と4基の高品質カスタマイズドBAドライバのクロスオーバーを調整しています。

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そして、ディップスイッチを切り替えて稼働するドライバを選択することでドライバ構成が変わり、デフォルトの4BA+1DDハイブリッドドライバの音質から変化させることで複数の音質を楽しめます。

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2つのディップスイッチにより、搭載されたドライバの出力を好みに合わせて簡単に調整できます。ディップスイッチにより音質を変化させられますが、実際には搭載するBAドライバを有効または無効にすることで調整しています。それにより、1BA+1DDハイブリッド、2BA+1DDハイブリッド、3BA+1DDハイブリッド、4BA+1DDハイブリッドドライバモデルに変化します。

スイッチの設定によるドライバ構成は以下の通りです。

 

パターン SW1 SW2 ドライバ構成
1 on on 4BA+1DDハイブリッド 
2 off on 3BA+1DDハイブリッド 
3 on off 2BA+1DDハイブリッド 
4 off off 1BA+1DDハイブリッド 

 

以下、BAの稼働/休止の組合せです。

  • SWパターン1では全てのBA4基が稼働。
  • SWパターン2ではステムノズル内に配置された高音域用BA2基が休止。シェル内高音域用BA1基と中高音域用BA1基が稼働。
  • SWパターン3ではシェル内の中高音域BA1基が休止。ステムノズル内の高音域用BA2基とシェル内高音域用BA1基が稼働。
  • SWパターン4ではステムノズル内に配置された高音域用BA2基とシェル内の中高音域用BA1基が休止。シェル内の高音域用BA1基のみ稼働。

 

次にイヤホン本体は高品質の金属フェースプレートを採用しています。シェルは人間工学に基づいた形状の樹脂素材を採用し快適な装着感を得られるようにしています。

最後に付属ケーブルです。高純度400コア5N素材の無酸素銅(OFC)線を4芯編込みケーブルとし、高いオーディオパフォーマンスを実現します。加えて、プレーヤー側端子は3.5mmステレオプラグ、2.5mmバランス、4.4mmバランスプラグに換装可能としたプラグ交換システム(PCS)を採用し、ほぼすべてのプレーヤーでの再生を可能としています。中華イヤホンメーカーでは付属ケーブルはリケーブル前提で質を落としコストカットしているところもありますが、実用性の高い高品質ケーブルが付属しています。

 

※宜しければ過去記事もご参考ください

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CVJ Freedomの納期として今回HiFiGoでオーダー、1週間強で届きました。現在(2023/8/15)は国内amazonでPrime扱いとなっています。昨今、HiFiGoやAliExpressで購入した本国発送の場合でも以前の様な感染症の影響で遅延は少なくほぼ回復したと云えます。尤も、万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかるのが、海外通販のリスクです。

そんな訳で一般的に海外通販での購入は国内通販で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが偶に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットがありましたが、最近では円安でその恩恵も受け難く、国内では入手できない商品を早く手に入れる事がメリットと云えます。それらを天秤にかけた場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. CVJ Freedom実機レビュー 

それでは、実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングは濃紺に白帯のスリーブタイプの化粧箱です。スリーブにはイヤホンイラストが。裏面にはSW設定について説明文が記載されています。

 

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スリーブを外すと濃紺地のシンプルな内箱。上部中央にはメーカー名が。

 

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内箱の蓋を開けると白地の内装にイヤホンが収納されています。

箱下側は引き出しになっていて、引き出しを開けると付属品が収納されています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースがS、M、Lの3種1セット。他にはPCSケーブル、交換用プラグ3種、ケーブルバンド、イヤホンポーチ、SWピンです。中価格10,000-U20000帯として過不足ない付属品となります。

 

※付属のイヤホンポーチ

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※ディップスイッチ用ピンも付属
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次にイヤホン本体を見ていきます。

 

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ビルドクオリティは中華イヤホンで心配されるような雑なところ感じさせません。中華イヤホンの低価格帯でよくあるようなシェルの合わせ面等のズレや隙間は無く綺麗に仕上がっています。

カラーバリエーションは黒、緑の二色。今回は緑を選択しました。

 

次にケーブルをみていきます。

 

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付属ケーブルは先述の通り4芯OFC線を編込み線とした高純度線材を採用。プレイヤー側プラグはI字で3.5mmステレオミニ、2.5mmバランス、4.4mmバランスの三種のプラグに交換可能。イヤホン側はKZ-Cタイプ2ピン仕様、イヤホン側コネクタの極性は上がプラスです。

この付属ケーブルはケーブル被覆にやや引っ掛かりがあり、線材もしっかりとしたもの。そのため少々取り回しに堅さを感じ易いものの、適度なしなやかさがあります。耳への装着性や使用感は比較的悪くありません。イヤホン側にはシュア掛け用にチューブで癖付けされ、中価格帯に付属するケーブルの中としてはそれほど悪い印象はありませんし寧ろPCSケーブル仕様なので、使い勝手は良いもの。茶色の被覆のケーブルは落ち着いた色合いであり普段使いでも気になりません。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、私はこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

続いて他機種とのサイズ感や造形の比較です。

 

※画像左からTrn VX Pro、CVJ Freedom、KZ ZAR

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CVJ Freedomは比較的CIEMに寄ったシェルの造形です。耳甲介艇に収まる突起や外耳孔へのステムノズル根元の造形は装着感を考慮したシェルの造形と云え、実際の装着感も良好です。比較対象として用意したTrn VX ProやKZ ZARはVX Proがオーソドックスなユニバーサル形状です。ZARはCIEM風のシェル形状ですが、何方かと云えばイヤーピースでのフィット感が決まるタイプ。また、Freedomに対しZARはシェルの厚みがありやや大きく見えますが、Freedomは見た目に反して耳への収まりが良好です。三機種共に比較的コンパクトとは言い難いですが、前述の通り装着感の良いFreedomはそれらの中で苦になりません。

Freedom金属製フェースプレートと樹脂シェルのため、それほど重量を感じません。耳への装着感も良好で装着時に重さ感じる事はありません。VX Proのオール金属やZARも樹脂シェルと金属フェイスプレートの方が重量を感じます。これはオール金属は言うに及ばず、ZARも片側8ドライバという中身が詰まっていることが影響していると云えます。

ステムノズルの長さや太さと角度は長さがFreedomとZARがほぼ同じ。ややVX Proが長い。太さはFreedomとVX Proがほぼ同じで一般的な太さ。ZARはやや細め。角度は三機種共にほぼ同じでやや寝ていると云えます。ステムノズルにはフィルタがあり、ZAR以外は金属フィルタでダストフィルタ機能としてのもの。ZARは音質に影響があるタイプと云えます。

そして、シェル本体の形状と付属ケーブルからは両機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、装着感はステムノズルの長さや太さに影響がありますので、イヤーピースのフィッティングは重要となります。

 

最後に付属イヤーピースです。

 

シリコン素材の一般的なイヤーピースは、白傘白軸タイプは中華の汎用タイプです。

Trn TA3等に付属する白イヤピと同じものです。

 

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付属イヤーピースは開口部が大きめの音をダイレクトに届けてくれるタイプ。音質傾向は中高音をクリアに聴かせてくれるタイプ。低音はタイト寄りになり量感も抑えられる印象です。

幸い付属のイヤーピースで私の耳とのフィッティングは良好。音質的には好みにもよると思いますが、個人的には付属品で十分でした。あとは手持ちのSedna EarFit Shortが低音がやや強めになりますが高音も損なわずに高音低音のバランスが良く感じました。今回は付属の白傘白軸イヤーピースを私は耳の奥に栓をするように装着しフィットしています。

低、中価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じます。今回は中価格帯に付属するイヤピで上手くフィットしたものの、低音域の膨らみが気になり手持ちのイヤピを使用しました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感はもとより音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えない他社製へ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. CVJ Freedom音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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昨年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音に脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

そのため、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5はモニターライクながらも決してつまらない音ではなく、リスニングでも使えて万能と考えています。

 

Shanling UP5をUSB-DACとして使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属白傘白軸イヤピ Mサイズ、付属ケーブル4.4mmバランスプラグです。

箱出しのディップスイッチをデフォルト(1.項、SWパターン表:パターン1)で聴いてみた第一印象は「しっかりとした低音域に爽快な中高音域のドンシャリ」でした。

箱だしでは高音域も低音域もやや量感多めに感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は高音域と低音域は適度な量感になりバランスが良い印象になりました。

 

先ずはデフォルト(パターン1)の音を聴いていきます。

 

音場

空間の広さは普通からやや広い印象。前後は奥行があり、左右に空間を感じられ、立体感を感じます。

 

高音域

煌びやかさがあり響きの良い残響感を感じます。上までの伸びやかさもあり、存在感がある華やかな高音域です。耳障りに感じる様な騒がしさのない適度に主張のある音は前に出たがる音ではなく、小さい音もかき消されずに拾えます。ごちゃつかずに分離の良い音は不自然さを抑えており解像感も良好。複数BA機の華やかさの感じる音色は統制されています。刺さりや尖りを抑えた整った出音は好印象です。

 

中音域

華やかに鳴るのにごちゃつきを感じ難くく整理された音。音の広がりや響きは良好です。低、中価格帯の複数BA搭載モデルで感じる真ん中に集まる団子感や音が重なるごちゃつきはなく、整理された音は立体感を感じます。ボーカルはクリアでやや近い位置に感じます。声音はややドライ気味ですが、息遣いは感じ易く不自然な印象はありません。

 

低音域

量感はそれ程感じませんが、響きや広がりは適度の印象。音階や強弱といった低音域の解像感は程々の印象。その分締まった芯のある音は締まりのない緩んだ不自然に誇張させる低価格帯とは一線を画す音。雰囲気の良さを演出する低音ではありません。ベースラインは追いやすいもののやや抑え気味。重低音は沈み込みはそれほど深さを感じませんが力強さのある音。

 

出音のバランス

一言で云えばやや中低音寄りの弱ドンシャリ。高音域は明るい華やかさのある音。低音は抑え気味ですが軽い音ではなく締まった芯のある音。華やかに高音域を強調する様な極端なバランスではなく全ての音域で過不足の無い音は出音のバランスが良いドンシャリは心地良く、ハーマンターゲット近似の音。

 

高音は煌びやかで華やかさのある音は音の大小や強弱を感じ易く、その距離感も掴みやすい。上までの伸びやかさや音の響きが良い残響感のある音は、音の消え入る様を感じられ小さな音も埋もれません。華やかに明るい音は爽快に耳に届き、やや誇張を感じられますが、演出感は抑えられています。統制され整理された鳴り方は不足を感じませんし複数BA機の特徴を良い意味で表現できている中高音域と云えます。

中音は凹みを感じ難く、ボーカルがやや近い位置からクリアに届きます。楽器の音はその周りから少し離れやや後ろ辺りに位置し奥行を感じられます。音数が多い楽曲でもごちゃつきを感じ難い印象です。高音中音共にボーカルを引き立たせる距離感は立体的で整理された音が聴き易い印象です。

ボーカルはクリアで周りの音や高音や低音にも埋もれません。やや近い位置から聴こえ、その声色はドライ気味ですが、息遣いを感じ易く不自然な印象はそれ程受けません。

低音の控えめですが、響きや広がりは適度にあります。解像感はそこそこ感じますが、低音域の雰囲気を重視した曲では少々物足りなさを感じるかもしれません。重低音は沈み込みはそれほど深くありませんが、力強さのある締まった音。脳に響く重低音を求める方には不足を感じるかもしれません。一方で物足りないという事ではなく、中高音域を邪魔しない適度な存在感は十分な広がりを感じられます。重低音は強く、沈み込みはそれ程ではありませんが十分という印象です。

Freedomは音楽を楽しく聴く事ができる出音であり、高音と中音域は爽快で嫌味の無い音。そして過不足のない低音域は出音のバランスが良いと云えます。

 

続いて、ディップスイッチを変更して聴いていきます。

先ず、パターン2。

ステムノズル部に配置された高音域用BA2基とシェル内の高音域用BA1基が稼働し、シェル内の中高音域用BA1基が休止する3BA+1DDハイブリッドドライバ構成となり、高音域は爽快に鳴ります。デフォルトと比べ中高音域の響きの良さは薄れますが、3基のBAが奏でる高音域は尖ることも無く、しっかりと主張する高音域にDDの軽やかで力強さのある中低音域は好印象です。全体的にベースのDDによる中低音域は変わらず、明るく華やかな高音域という音質傾向は似ていますが、中高音域の響きや鮮やかさが欠けます。

次にパターン3。

ステムノズル部の高音域用BA2基が休止しシェル内の高音域用BA1基と中高音域用BA1基が稼働する2BA+1DDハイブリッドドライバ構成です。稼働するBAがシェル内に配置されているためステムノズル内に配置されている場合よりもマイルドな印象です。また高音域用BAと中高音域用BAの組合せが高音域の爽快感と中高音域の響きの良さを持ち合わせておりパターン2よりも高音域をマイルドに抑えながら響きの良さを持つ質の高い高音域という印象です。抑え気味の高音は響きや小さな音の聴き易さが清涼感を感じます。DDの中低音は同様ですが、BAの組合せでは一番バランスが良い印象です。

最後にパターン4。

ステムノズル内の高音域用BA2基とシェル内中高音域用BAが休止し、シェル内高音域用BA1基が稼働する1BA+1DDハイブリッドドライバ構成です。Meiでも触れましたが、想像していたよりもBAが高音域を担っていたことが分かります。高音域の主張が抑えられ大人しい印象です。他のパターンに比べやや落ち着いた印象を受けますが、マイルドな高音域とDDの中低音域は想像していたような破綻のない音。所謂低価格帯のように特徴を持たせるための高音域を強く鳴らし強ドンシャリとするわけではなく、1BA+1DDハイブリッドモデルとして弱ドンシャリバランスの良い音にまとめています。一方で中音域の凹みは他のパターンよりも感じ易く、中高音域の響きもあまり感じません。

ディップスイッチによる音質変化のまとめとして、ディップスイッチによるドライバ構成を切り替えるギミックはMei同様にその効果を確実に体験できます。そしてその変化はデフォルトの音質が完成度が高いのは勿論ですが、全てのパターンでそのドライバ構成として完成度が高く使い分けが可能で実用的と云えそうです。

 

最後に、他機種との比較として、CVJ Meiとの比較では上までの伸びや小さな音を埋もれさせずに煌びやかに華やかに表現してくれますが、華やかさや響きの良さはFreedomに軍配が挙がります。そういう意味ではどちらも誇張された音であり自然な音ではないのかもしれませんが、Freedomの方がクリアな空間に響きの良さが相まって質感が高い印象です。低音はFreedomが中高音域をマスクしない見通しの良さを確保した締まりのあるタイトに鳴るバランスに対し、Meiの量感の豊かな鳴り方は真逆の味付けという印象です。

またCVJは過去にCSNという4BA+1DDハイブリッドドライバモデルを発売していますが、それをはるかに上回る音質の向上を感じられます。

 

※以前のレビューもご参考ください

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まとめるとCVJ Freedomの弱ドンシャリはタイトで力強い低音域に明るく爽快な高音域が音楽を楽しく聴く事の出来るリスニングサウンドの音造りは聴きやすく、バランスの良い音を聴かせてくれます。低音の味付けはポータブルオーディオファンにも受け入れやすい傾向であり華やかな中高音域と合わせそれが高評価になると云えそうです。価格帯ではかなり高音質と云えます。

個人的に音楽を心地よく楽しめる出音は中高音域の聴きやすさと低音域の質感だと考えています。ただ単に出音のバランスを整えた何処かだけを強調していない音は音を聴いているのか曲を聴いているのかわからなくなります。モニターライクサウンドが持て囃されますが、Freedomは音楽を楽しみたい方にお勧めしたいモデルです。

一方で中華イヤホンに強ドンシャリバランスを求める方には評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   Freedom ≧ Mei ≧ TA3 

中音   Freedom ≧ TA3 ≧ Mei

低音   Mei ≧ TA3 ≧ Freedom

ボーカル TA3 ≧ Freedom ≧ Mei

 

 

4. CVJ Freedomの総評

CVJ Freedomは同ブランドの最新商品として数年前の4BA+1DDハイブリッドドライバモデルCSNから大きく進化しています。ディップスイッチのギミックや昨今の円安で販売価格は相応に上がっていますが、同価格帯でも選択肢に入れて欲しい機種と云えます。それにしてもCVJの進化は目を見張るものがあります。数年前のモデルでは粗さを感じましたが、最新モデルでは洗練されてきている印象です。4BA+1DDハイブリッドドライバ構成でバランス良の音で音楽を愉しめ、ディップスイッチによるギミックも有効的であり、商品性を高める意味でも中華の貧欲なチャレンジに今後も期待したいです。

 

最後に、今回は今年7月に発売された中価格A10000-U20000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2023年8月15日)はHiFiGoで11,000円前後で販売し、国内amazonでもprime扱いの11,000円台となっています。海外通販で購入するとしてもHiFiGoの発送は早く届くのも早い印象があります。これまでの中華イヤホンの中では比較的安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは十分満足できる内容となっておりますので、中価格帯中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、新製品を少しでも早く(安く)手に入れたい方はHiFiGoでの購入も検討してみてくださいね。

 

Freedom

以下、付属ケーブル4.4mmプラグ、付属イヤピ MDAC UP5使用
高音★★★★★ 
中音★★★★★   
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

Mei

以下、付属ケーブル、Trn付属白傘白軸イヤピ MDAC UP5使用
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆   
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

TA3

以下、付属ケーブル4.4mmプラグ、付属白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★ 

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回は中華イヤホンの中価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後は低価格だけではなく、中価格の中華イヤホンも扱っていきます。

また、気になる商品が出ればチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

Technics EAH-AZ80レビュー

こんにちは。

今回はいつもの中華イヤホンではなく、日本の老舗ブランドTechnicsの左右独立型完全ワイヤレス(Ture Wireless Stereo。以下TWS)イヤホン、EAH-AZ80のレビューをまとめたいと思います。

国内有名メーカーの商品なので国内大手イヤホン専門店や家電量販店の各店頭及び、WEBサイト並びにamazon等のECサイトでも購入可能です。

 

 

www.e-earphone.jp

 

以下、メーカーHP

jp.technics.com

 

 

 

 

1. Technics EAH-AZ80について 

1.1. Technicsとは

Technicsはパナソニック(旧・松下電器産業)の高級音響機器向けブランドです。パナソニックは業務用電気産業機器や白物家電のテレビ、冷蔵庫、洗濯機などの生活家電を製造販売している日本の老舗電気メーカーです。

そのTechnicsから今年6月に左右独立型完全ワイヤレス(以下TWS)イヤホンの新型として発売されたのが、EAH-AZ80です。TechnicsブランドではこれまでEAH-AZ70に続き、EAH-AZ60が同社のTWSイヤホン旗艦モデルでした。そしてEAH-AZ60発売から約2年後の今年6月に新たな旗艦モデルEAH-AZ80が登場しました。今回EAH-AZ80の発売と同時にラインナップが変更され、旗艦モデルEAH-AZ80に加え、EAH-AZ60M2が発売されています。モデルナンバーからはEAH-AZ60の後継機はこのEAH-AZ60M2となり、更にトップエンドモデルとしてEAH-AZ80が登場した事になります。

EAH-AZ80ではEAH-AZ60M2とは異なるセールスポイントがあり、装着感を改善したコンチャフィット形状の採用と、新素材のアルミ振動板を採用。注目はこのアルミ振動板です。これにはTechnicsの有線イヤホンハイエンドモデル EAH-TZ700に採用したアルミ振動板が採用されており、そのドライバの技術がフィードバックされ新開発されたものです。従来のEAH-AZ60でも完成度の高い高音質を得られていましたが、それを上回ることを期待させます。

参考にEAH-AZ60M2は従来のEAH-AZ60のマーケットからの不満点をフィードバックし改良型と云えます。それは価格は据え置き新たにワイヤレス充電の採用と3台マルチポイント対応しました。前作EAH-AZ60が20,000円台後半で購入できるTWSとして音質に加えガジェットとしても完成度が高く他社をリードしていましたが、M2へ機能をアップグレードさせ同価格帯では敵無しと云えそうです。

さて、EAH-AZ80は発売から約1ヵ月経過し、メーカー初出荷分が一度完売した為にメーカー在庫なし、流通在庫のみとなったようです。従来のEAH-AZ60ユーザーの買い替え需要と新しもの好きのユーザー需要が一段落すれば在庫状況も落ち着くとは思いますが、近年の世界的な電子部品不足の状況では再生産時期は未定。実際に電子機器のモノづくりを生業にするメーカーは苦境が続いています。特に趣味の世界で使用する様な電子機器は初期生産分の後、次ロット生産の数か月先、または目途が立たない事も多く、以前と違い今は欲しいものは新発売と同時に購入することが大切です。

余談ですが、台湾の電子部品製造メーカーTS〇Cが米国のスマートフォン製造販売メーカーやPCのCPUメーカーのチップ製造をしている訳ですが、そのT〇やイン〇ルのチップを供給できていないために世界的に製造が遅れています。このチップは国内の正規ルートでは在庫が少ないかそもそも入手できない状況なのに、中国では容易に見つかります。勿論偽物も相変わらず流通しているようですが、それでも容易に購入できる事実は何を意味しているのか?台湾を日本の友好国と考えるのは早計なのかもしれません。特にビジネスにおいては、です。

閑話休題

Technicsの新しいTWSイヤホンのラインナップですが、先述の通り旗艦モデルのEAH-AZ80と同時にミドルモデルのEAH-AZ60M2を新発売しました。これらは従来のEAH-AZ60の価格帯が旗艦モデルからミドルモデルとなり約27,000円と据え置き。新たな旗艦モデルEAH-AZ80が約36,000円と価格帯が上がりました。そのためスタンダードモデルとしてEAH-AZ40はラインナップ残されています。こちらはEAH-AZ60M2に対し無線接続コーデックがSBCとAACのみ。加えてアクティブノイズキャンセリング(以下ANC)機能は無く、アンビエント機能(外音取込機能。他メーカーで云う「ヒアスルー」)のみと機能は抑えられています。その分、販売価格がEAH-AZ60M2の約27,000円に対し、約15,000円と半額と手が出しやすく、白物家電メーカーのブランドらしい一般ユーザーのボリュームゾーンを抑えたモデル棲み分けによりラインナップが完成したと云えそうです。

それでは、次にEAH-AZ80の特徴をみていきます。

 

1.2. Technics EAH-AZ80の特徴

Technics EAH-AZ80は2年の時を経て同社AZ60の次世代ハイクラスモデルとして登場しました。「コードには縛られたくない。でも、音質にもこだわりたい。その相反する想いに応える、テクニクスの完全ワイヤレスAZ80。デジタル処理を最小限に抑え、解像度の高いクリアな音を実現。ワイヤレスとは思えない高純度のサウンドを、あなたの耳へ。」と謳っています。

それではその特徴を以下まとめてみます。

 

ワイヤレスで、ここまでクリアな音

テクニクスが60年近く培った音響技術と、先進テクノロジーが高次元で結晶。
低域から高域まで、澄み切ったサウンドをあらゆるシーンで自由に楽しめる。独自の音響構造により臨場感溢れるリアルな高音質を実現。

  • 新素材のアルミ振動板&10mm径大口径ドライバーによる圧倒的な臨場感があなたを包み込む。
  • 音響構造として「アコースティックコントロールチャンバー」、「ハーモナイザー」を採用。空気の流れまで緻密にコントロール。音の広がり・奥行きまでリアルに再現する。
  • EQブロックの処理をシンプル化。音質の劣化を防ぎ、本来の音に近づける

 

業界最高クラスのノイズキャンセリング性能

  • デジタルとアナログのデュアル制御で、ノイズを最適に処理。
    自然で違和感のない音を、長時間楽しめる。
  • デュアルハイブリッドノイズキャンセリング(※ANC)
  • 2つのアンビエント機能(※ヒアスルー)に対応

  - トランスペアレントモード

  - アテンションモード

 

装着感にもこだわった高品位なデザイン

  • 人間工学が導き出した独自の形状。耳への負担を減らしながら、より安定した装着が可能なコンチャフィット形状を採用。ずっと装着したままでも心地よく、快適な装着感を実現。
  • イヤーピースによる保持に加え、耳穴の周囲のくぼみであるコンチャ(耳甲介)にフィットするコンチャフィット形状による優れたフィット感を追求
  • 7つのサイズから選べるイヤーピースを付属
  • コンパクトで質の高いデザインは質感の高いデザイン
  • 環境に配慮したデザインのパッケージング

 

切替操作不要で3台までの機器を使い分けられる3台マルチポイントに対応

  • マルチポイント(アカウントやID登録等不要で3つの機器との接続を自動切換え)
  • マルチペアリング(登録機器最大10台)

 

よりクリアな声を相手に届ける。進化した独自の通話音声処理技術
「JustMyVoice™」テクノロジー

  • 「JustMyVoice」テクノロジー搭載
  • ノイズ低減と複数のマイクで声をクリアにするビームフォーミング技術
  • 左右合計8つのマイクを内蔵
  • 不快な風切り音を抑えるラビリンス構造

 

バッテリーの確認、モードの状態の確認、各種設定が行えるアプリ「Technics Audio Connect」に対応

  • 電源オフボタンの新設などさらに使いやすさを充実
  • お好みに合わせて音質やタッチセンサーのカスタマイズが可能
  • 「ヘッドホンを探す」機能
  • 「JustMyVoice」テクノロジーの通話音声をアプリで事前に確認

 

その他の特長

  • ワイヤレス充電「Qi」に対応
  • 音声アシスタント、Amazon Alexaに対応
  • Google Fast Pair 対応
  • Swift Pair対応
  • イヤホンを外すと、音楽も一時停止になる装着センサー
  • 突然の雨でも使用できる防滴仕様IPX4相当
  • イヤホン本体のタッチ操作でマイクのミュートが可能
  • さらに、便利な使い方「片耳使い」

 

(以上、メーカーHP抜粋)

 

Technics EAH-AZ80は同社のTWSイヤホン旗艦モデルらしく高機能、高音質となっています。同価格帯の他社製品と比較した場合にも見劣りする様なところもありません。それでもEAH-AZ80は先述の通り、先代のEAH-AZ60から機能に大きな変化はありません。ワイヤレス充電と3台マルチポイントは追加されたものの一般的には大幅なアップグレードとは云えず、マーケットインのブラッシュアップに留まっています。しかし、EAH-AZ80は旗艦モデルです。価格帯も上がったのにそれでは困ります。EAH-AZ80はやはりTWSイヤホンとしての本領を発揮させるべく高音質化を図ったモデルという認識です。具体的には新素材アルミ振動板を採用した10mm径ダイナミックドライバの採用により、解像感と躍動感がEAH-AZ60よりも大きく向上しています。

また、個人的にEAH-AZ80には無線コーデック「LDAC」を継続採用しており、ハイレゾ音源をTWSイヤホンでもハイレゾ相当で手軽に聴く事ができます。現在はTWSイヤホンの音質を左右する機能として無視できない「無線コーデック」をSonyが開発したLDACを採用してでも音に拘ったメーカーの強い意志を感じます。簡単に云えば「LDAC」は「SBC」などの一般的な無線コーデックの約3倍もの情報量を持ち、最大24bit/96kHzのハイレゾ音質の楽曲データをほぼハイレゾ相当で伝送が可能となります。Sonyの開発した無線コーデック「LDAC」はこれまで主流だった「aptX」や「AAC」「SBC」よりもデータ伝送量が多く、その結果、従来よりも高音質で音楽を聴く事ができます。

少し技術的な話をすれば、「LDAC」は最大24bit/96kHz、最大990kbpsに対応しています。それに対し、SBCでは最大16bit/48kHz、最大328kbpsと伝送量が劣ります。そのため、AAC-LC(320kbps)のような圧縮された楽曲データを聴く場合には折角のLDACの優位性は感じられませんが、ロスレス楽曲(16bit/44.1kHz、1,000kbps)やハイレゾ楽曲(24bit/96kHz、4,000kbps)ではほぼ有線イヤホンで聴いているような音質を感じられます。

つまり、EAH-AZ80は、TWSイヤホンでもTechnicsの名に恥じないTWS旗艦モデルとして、無線接続でも高音質で音楽を聴く事ができるように有線イヤホンで培った音響技術を惜しみなく投入し、現在の無線コーデックの最高峰のLDACに対応させることで無線接続でもハイレゾ音源をハイレゾ相当で楽しむことができます。更にTWSに求められるガジェット機能は従来機からアップグレードされ他社に遜色が無く弱点の無い商品と云えます。

 

1.3. Technics EAH-AZ80のスペック

次にEAH-AZ80のスペックを詳しく見ていきます。

 

■主要スペック(Technics商品ページ抜粋)

  EAH-AZ80 EAH-AZ60 国内S社
ドライバ

10mm径ダイナミックドライバ
アルミダイヤフラム

8mm径ダイナミックドライバ
バイオセルロースダイヤフラム
6mm径ダイナミックドライバ
高音質化技術 - - DSEE Extreme

Bluetooth

バージョン

5.3 Class 1 5.2 Class 1 5.2 Class 1
コーデック SBC、AAC、LDAC SBC、AAC、LDAC SBC、AAC、LDAC

ノイズ

キャンセル

〇ANC / 〇ヒアスルー 〇ANC / 〇ヒアスルー 〇ANC / 〇ヒアスルー

マルチ

ポイント

〇3台 〇2台 〇2台
360 Reality Audio - -
アプリ対応

連続再生

時間

イヤホン:
最大7時間(NCオン) / 最大7.5時間(NCオフ)
充電ケース:
最大24時間(NCオン) / 最大25時間(NCオフ)
イヤホン:
最大7時間(NCオン) / 最大7.5時間(NCオフ)
充電ケース:
最大24時間(NCオン) / 最大25時間(NCオフ)
イヤホン:
最大8時間(NCオン) / 最大12時間(NCオフ)
充電ケース:
最大24時間(NCオン) / 最大36時間(NCオフ)
防水 イヤホン本体:IPX4 イヤホン本体:IPX4 イヤホン本体:IPX4
満充電時間 イヤホン:約2.0時間
ケース:約2.5時間
イヤホン&ケース:約3.0時間
イヤホン:約2.0時間
ケース:約2.5時間
イヤホン&ケース:約3.5時間
イヤホン:1.5時間
ケース:約3時間
充電時間 15分充電で70分使用可能 15分充電で70分使用可能 5分充電で60分使用可能

ワイヤレス

充電

-

イヤホン

重量

イヤホン:7.0g
ケース:50g
イヤホン:7.0g
ケース:45g
イヤホン:7.3g
ケース:41g

 

参考にこれまでの同社旗艦モデルEAH-AZ60と国内メーカーS社のLDAC対応TWSイヤホンのスペックを併記してみました。

三つの機種はスペック上、ほぼ同じ。音質に拘るところでは無線コーデックはLDACと同じです。異なるのは搭載するドライバサイズや振動板の素材が違います。

音質以外の機能性、所謂ガジェット性能はEAH-AZ60が今となってはやや見劣りする程度で有線イヤホンとは違うTWSイヤホン市場のニーズに対応していると云えます。

販売価格ではEAH-AZ80の約36,000円(公式ストア)に対し、国内S社は約36,000円(公式ストア)とほぼ同じ。とはいえ国内S社は発売から2年が経過し公式ストアクーポンで約27,000円と安価で購入できます。これはEAH-AZ60M2とほぼ同じ価格帯です。実売価格でも新発売のEAH-AZ80やEAH-AZ60M2は値下がりはほぼありませんが、国内S社は25,000円前後となります。機能面では大きな差が無いため、価格面では国内S社が優位ですが、そろそろ新型が発売されるという噂がありますので悩ましいです。

さて、この価格帯は各社がTWSイヤホンのハイクラスモデルを投入しており、競争が激しい市場です。そしてTWSイヤホンとしての「高音質」に加え、ガジェット機能も高い商品に人気が集まっています。

EAH-AZ80は先代のEAH-AZ60から音質を強化したモデルという位置づけであり、「商品性」も高く、肝心の「音質」をさらに強化した商品として、正統進化したと云えます。アプリ連携を含めガジェット性能は国内S社と互角。違いは国内S社が360 Reality Audioや同社のDSEE Extreme(圧縮音源のアップスケーリング技術)による高音質化技術はやはり他社との差別化ができていると云えます。それをTechnicsは国内S社のソフト面からのアプローチではなく同社の有線イヤホンで培った高音質化技術をハード面からアプローチすることで差別化を図っています。

そして、TWSイヤホンは無線接続の安定性が重要です。EAH-AZ80は最新のTWSとしてBluetoothバージョン5.3 Class1を採用し省電力と接続安定性が高くなります。androidスマホのLDAC音質優先で接続した場合、リビングにスマホを置きその部屋(LDK)の中でイヤホンを装着したまま動き回っても接続は安定していましたが、壁を隔てた部屋間の移動では途切れることがありました。その為、マルチポイント接続を無効にしたところ、ほぼ途切れなくなりました。屋外での使用では流石に接続優先に設定。大きなハブ駅構内等では偶に途切れることがありましたが、安定しており実用十分の通信品質と云えます。しかし、同じ条件で国内S社のLDAC接続可能のTWSでは音質優先部屋間の移動でも問題は無かったのでスマホとの相性があるのかもしれません。

次に使用可能時間です。連続再生時間はANCオン/オフや接続コーデックにより変化します。そのため公称よりはやや短めとなりますが、出かける前にフル充電しておけば平日の通勤のお供に問題はありませんし、最新のTWSとして十分な使用時間となります。尤もこれは使用環境、条件により変わりますので参考程度にお願いします。

最後に待機時間や充電時間です。実際に約一ヵ月使ってみた印象として充電時間はほぼスペック通りと感じましたが、私の環境では音楽再生が僅かに短く感じるものの、ほぼスペック通りという印象です。とはいえ、家で動画を観たり通勤往復でも十分ですし、会社についたら充電してしまえば不都合を感じる事はないと思います。これは他のメーカーでも云えることですが、実際のメーカー公称時間とユーザーの実行時間として問題なく、十分満足できると云えます。

 

Sony Xperia 5 IIの設定>音設定メニュー画面

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EAH-AZ80に限った話ではありませんが、初めて接続したTWSの音量が大きすぎる場合があります。その場合ですが、androidの設定>音設定メニュー、メディアの音量を調整し本体の音量調節ボリューム調整で予め下げておくことをお勧めします。また、通常Bluetooth接続機器とスマホ本体の音量調整は連動しており機種によっては1メモリの調整幅で大きくなり過ぎたり、小さくなり過ぎたりと音量調整で困ることがあります。これに対応できるのが前述の「メディアの音量」調整です。ポイントはスマホ本体のボタンではなく「メディアの音量」バーを「スワイプ」で調整し好みの音量に微調整し、それ以降はイヤホン本体で音量調整をします。

 

EAH-AZ80の充電は付属のケーブルをケースのUSB タイプC端子を接続し市販のUSB-A充電器で行います。

イヤホン本体の充電残量の確認はケース本体のLEDの点灯により確認できますが、より分かり易いのはスマホ本体での確認です。

以下、androidスマホの場合です。

 

Sony Xperia 5 IIの設定>機器接続メニュー画面

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androidスマホではBluetoothメニューの接続デバイス一覧に現在接続している機器が表示されますが、その中でバッテリー残量の確認ができます。

 

ケースの充電残量はケース正面のLEDにより充電ステータスで分かります。

ケースの蓋を開けた時、LEDが残量に応じて点灯します。

  • 残量なし・・・LEDが消灯(無点灯)
  • 残量少ない・・・LEDが赤色点灯(約3秒)
  • 残量中程度・・・LEDが黄色点灯(約3秒)
  • 残量十分・・・LEDが緑色点灯(約3秒)

 

次にケースの充電中はケース正面のLEDにより充電ステータスが分かります。

充電中はLEDが残量に応じて点灯します。

  • 残量少ない・・・LEDが赤色点滅
  • 残量中程度・・・LEDが黄色点滅
  • 残量十分・・・LEDが緑色点滅
  • 満充電・・・LED消灯

 

イヤホンの充電中はイヤホン状態を示すLEDにより充電ステータスが分かります。

充電中はケースの蓋を開けた時、LEDが充電ステータスに応じて点灯します。

  • 充電中・・・LEDが赤色点灯
  • 満充電・・・LED消灯

 

購入後、最初に満充電にします。充電が完了したらいよいよandroidスマホとのペアリングです。基本的に取説通りで問題なくペアリングを行えます。

次項ではandroidスマホを例にペアリング方法を説明します。

 

1.4. androidスマホとLDACでのペアリング方法

Xperia 5 II、android 12で検証済

基本的に難しいことはありません。以下の手順でペアリングを行います。

  • 最初にandroid OSの開発者向けオプションを有効にする。
  • androidスマホBluetoothを有効にする。
  • 充電ケースからEAH-AZ80、イヤホン左右をケースから取り出す。
  • androidスマホの設定>機器接続>新しい機器とペア設定するメニューを選択すると接続機器のリストに「EAH-AZ80」が表示されますのでそれを選択するとペア設定完了です。
  • 2回目以降は自動的に接続します。自動的に接続しない場合は以前接続した機器リストに「EAH-AZ80」が表示されていますのでそれを選択する。
  • メディアデバイスが「EAH-AZ80」を表示していれば接続完了です。

androidスマホの画面右上のBluetoothマークが表示されれば完了。

※後述(1.5.項)しますが、LDAC接続するには最初にアプリ側でLDAC接続を「ON」にする必要があります(初期設定は「off」)。また、必要に応じ最初に開発者向けオプションでBluetoothオーディオコーデック、LDACを選択後、接続品質を選択してください。

 

※LDACでペアリング成功した確認

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※開発者向けオプションのBluetoothオーディオコーデックがLDACになっていることを確認

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基本的に一度ペアリングすると接続機器リストに表示されますので次回以降はEAH-AZ80をケースから取り出す(電源を入れる)と自動的に接続します。

自動的に接続できない場合は前述の以前接続した機器リストから選択してください。

上手くいかない場合、一度androidスマホからEAH-AZ80の接続の登録を削除して最初から実施しなおしてみてください。

 

次にアプリとの連携です。

ここでもandroidスマホを例に操作方法を説明します。

 

1.5. Technics Audio Connectアプリとの連携

Google play Storeから「Technics Audio Connect」アプリをスマホにダウンロードしインストールします。

次にEAH-AZ80をスマホと接続後、アプリを起動しアプリのメッセージに従い設定すれば完了です。

以下、アプリVer3.0.2で検証しています。

 

※イヤホンに装着しているイヤーピースは同社EAH-AZ60と共用の別売品。本体色が白(銀)の付属品です。

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※アプリのホームタブ画面

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※外音タブ画面。ANCやアンビエントの切り替えや効き具合を調整できます。

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サウンドタブ画面。プリセットされたイコライジングで音の変化を楽しめます。デフォルトは「ダイレクト(イコライジングoff)」です。

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※設定タブ画面。色々な設定が可能です

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下にスクロールすると操作系のカスタマイズメニューがあります。LDAC対応のTWSをLDACで接続するための設定やマルチポイント接続を有効にする設定を必要に応じ行います。

 

※設定タブ画面を下スクロールした画面。「接続」メニューがあります。

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メニューから「接続モード」を選択します。


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音質優先をチェックし、LDACをONにします。

また、マルチポイントの設定も同様に行います。接続メニューの「マルチポイント」を選択します。

 

※「マルチポイント」メニューを選択した画面

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LDAC接続の音質優先の場合はマルチポイント接続を「無効」とし1台のみの接続にします。AZ80の売りとして3台のマルチポイント接続がありますが、LDACでの接続はできません。LDACのベストエフォート接続であれば2台のマルチポイント接続が可能です。用途に応じて選択してください。私は音質と接続安定性を重視しマルチポイント無効で使っています。

 

全体的にアプリの出来は良く、直感的に選択できます。音楽再生や機能のON/OFFはイヤホン本体で操作できますので不便はありませんが、現在の設定内容の確認や接続コーデックを確認できますし、何よりも操作系のカスタマイズが可能となっているのは便利です。

 

1.6. イヤホン本体の操作方法

Xperia 5 IIとペアリング済で検証

  • androidスマホBluetoothを有効にする。
  • EAH-AZ80をケースから取り出し自動的にペアリングモードに移行し接続開始。
  • androidスマホの画面右上にBluetoothマークが表示されれば接続完了。
  • androidスマホでミュージックアプリを起動し聴きたい曲を選択し再生する。
  • イヤホン右側/左側の何方かを1回タッチで再生停止。もう一度1回タッチすれば再生します。基本的に1回タッチ毎に再生/停止を繰り返します。
  • 再生停止中にイヤホン右側を素早く2回タッチすると次の曲へ進みます。
  • 再生停止中にイヤホン右側を素早く3回タッチすると前の曲に戻ります。
  • 再生中にイヤホン右側を素早く2回タッチすると次の曲へ進みます。
  • 再生中にイヤホン右側を素早く3回タッチすると曲の頭に戻ります。
  • 再生中/停止中にイヤホン左側を素早く3回タッチで音量アップ。
  • 再生中/停止中にイヤホン左側を素早く2回タッチで音量ダウン。
  • 着信中にイヤホン左右の何れかを1回タッチで通話開始。
  • 通話中にイヤホン左右の何方かを2秒長タッチすると通話終了。
  • 着信中にイヤホン左右の何方かを2秒長タッチすると着信拒否。
  • 通話中にイヤホン右側を素早く2回タッチすると通話ミュート。ミュート中に素早く2回タッチで解除。
  • 通話中にイヤホン右側を素早く3回タッチすると通話ノイズレベル切替。
  • 再生中/停止中にイヤホン右側を2秒長タッチするとノイズキャンセリングアンビエント(ヒアスルー)切替。
  • 再生中/停止中にイヤホン左側を2秒長タッチするとスマホのアシスタント機能オン。(あらかじめスマホ側でアシスタント機能を有効にしておく必要があります)
  • 使い終わったらケースに戻すとイヤホンの電源がオフになります。
  • androidスマホとの接続が解除される(androidスマホの画面の接続ステータスが消える)。
  • androidスマホBluetoothをオフにする。
 

プレイヤーをandroidスマホとした場合の音楽再生にかかわる主な操作方法を抜粋し検証した方法をまとめてみました。基本的に他のandroid搭載DAPでも操作方法は同じです。(接続する機種によって一部機能が対応していない場合があります)

最近のTWSは音楽再生等の機能操作を全てコントロールできますし、ハイクラTWSでは当たり前の機能です。数年前までのTWSでは音量調整ができない、曲送り、曲戻しができない等の操作機能制限があったり、タッチ操作の感度(反応)が悪いなんて機種もありましたが、EAH-AZ80はその点に不満はありません。

タッチ感度は良く反応も良好なので初めてTWSを使う方にも安心です。注意点としては各社のTWSの操作方法が異なり統一されていないので、他にも所有している場合にEAH-AZ80はイヤホン左右に割り当てられた機能、タッチ回数が比較的分かり易くなっていますが、スマホに取説の操作方法を画像で持っておくか、Web取説をブックマークにしておくことをお勧めします。

なお、国内S社のTWS同様にEAH-AZ80もアプリで操作方法を確認できますし、左右の操作方法をカスタマイズできます。加えてANCの効きも調整できる等、ガジェット性能は優秀です。

 

まとめると先代EAH-AZ60同様にEAH-AZ80の接続は簡単でスムース。イヤホン本体ですべての音楽再生機能操作も行え、本体タッチ操作は先代と同じですので、EAH-AZ60ユーザーは操作に迷うことはありません。アプリも直感的に操作ができ実用的。そして、何よりもEAH-AZ80は先代EAH-AZ60よりも音質に磨きがかかっています。正直ハイクラスの中でもトップクラスです。尤も外音をシャットダウンするANCでは国内S社TWSに一歩譲りますが、外音を取り込めるヒアスルー機能は自然でかなり優秀。個人的には音は好みなので手持ちのTWSの中でも一番のお気に入りです。他社のハイクラスモデルにはガジェット性能を売りにしたり、音質特化したりと「そうじゃない感」の商品も多く、TWSイヤホンとして「本物」と云えるかもしれません。

 

最後にイヤホンのリセット方法も説明しておきます。

何故にリセット?と思われるかもしれませんが、実はよく検索されている「ワード」だったりします。

 

1.7. イヤホンのリセット方法

  1. 両方のイヤホン(LとR)を充電ケースに入れて、15分程度充電する
  2. イヤホン(R)を充電ケースから取り出して右耳に装着する
  3. イヤホン(R)の起動音が聞こえたらすぐにタッチセンサー(R)をタッチしたままにする(アナウンスが聞こえても指を離さない)
  4. イヤホン(R)からペアリング音(メロディー)が聞こえたらタッチセンサー(R)から指を離す。約10秒間タッチしていてもペアリング音が聞こえない場合は、手順1からやり直してください。
  5. 再度、タッチセンサー(R)を完了のアナウンスが聞こえるまでタッチしたままにする。イヤホン(R)から「完了しました」のアナウンスが聞こえたらイヤホン(R)の初期化は完了です
  6. イヤホン(R)を充電ケースに戻す
  7. イヤホン(L)も同様に上記の手順2~6を行う
  8. リセットが完了し出荷時の状態に戻ったイヤホンは記憶されているペアリング情報も削除されています。そのため、スマホ等に残っている登録を削除し、再度ペアリング登録を行います。

 

動作がおかしいなと思ったらスマホから登録を削除してイヤホン本体をリセットを先ずお試しください。

因みに、これは技術者目線の余談です。EAH-AZ80に限りませんが、初期化と同様に大切なのはTWSのバッテリー残量をあらかじめandroidスマホ画面で確認しておくことです。

  • TWSの充電が少なくなった際に直ぐに充電をする。
  • 充電が20%以下にならないように管理する。
  • 過放電は絶対にダメ!

これは過放電はバッテリー劣化を早め寿命を短くしてしまうからです。特にTWSに搭載されるバッテリーは容量が小さく、愛機は長く大切に使いたいものです。

 

 

2. Technics EAH-AZ80の実機について 

それでは、EAH-AZ80の実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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化粧箱の表面にはイヤホンイラストのあるTechnicsブランドを前面に出したスリーブタイプのパッケージです。

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スリーブを外すと黒地の小箱にTechnicsの文字がワンポイントであるシックなもの。

 

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上蓋を開けると黒地の内装にイヤホンとイヤーピースが収納されたケースがあります。


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イヤホンと付属品を取り出すと箱の底に取説や充電ケーブルが収納されています。

 

※イヤーピースの収納されたケース

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イヤーピースの収納されたケースはサイズの確認もし易いのに無駄のないパッケージングです。国内メーカーのSDGsを意識したパッケージングに無駄は無く商品保護と機能性を両立しています。こういうところは日本が海外に誇れる優れた技術の一つです。

次にパッケージの中身です。

 

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付属品はイヤーピースがXS1、XS2、S1、S2、M、L、XLの7種1セットでMサイズが本体取付け済み。他にはUSBタイプC-タイプA充電ケーブルです。必要十分の付属品です。

注目はXSとSサイズは二種類ありANCの効果に違いがあるようです。

取扱説明書は安心の日本語。多くの家電がWEB取説がスタンダードになっている昨今、勿論WEB取説にも対応。商品に付属する紙は最低限です。

それでは実際にイヤホンを見てみましょう。

先ずはケースから。

 

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ビルドクオリティは安心の国内企業です。カラーバリエーションは黒色と白(銀)色の二種類です。

付属品のイヤーピースは本体色に合わせて黒には黒イヤピ。白には白イヤピが付属します。黒または白イヤピが欲しい方はPanasonic Storeで購入可能です。

次にイヤホン本体です。

 

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イヤホン本体はTWSとして比較的小柄となります。他社のTWS同様に耳へはイヤーピースで保持するタイプとなりますので、イヤーピース合わせは重要になります。

シェル本体は樹脂製で軽量に仕上げています。ステムノズルにはフィルターがあり異物の混入による故障を防げます。

先代のEAH-AZ80からシェルの造形が変わりコンチャフィット形状を採用したシェル本体は装着感は良好です。従来のEAH-AZ60ではイヤーピース頼りだった耳への固定はコンチャフィットによりイヤホン本体でもしっかりと耳へ装着し固定できるようになっています。尤もイヤーピースのフィット感も重要です。付属の7サイズで上手く合わない事はないと思いますが、もしも合わない場合は普段使用しているメーカーのもので軸が長いものでなければ問題なくケースに仕舞えると思います。

 

※左からXS2、XS1、S2、S、M、L、XL

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※付属Mサイズ。傘と軸が素材が異なる。イヤピース内部にフィルタがあるタイプ。

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付属イヤーピースは先代のEAH-AZ60に付属するタイプと同じです。EAH-AZ80付属イヤピはそれと共用となります。

付属のイヤピで音質的には問題を感じませんし、寧ろバランスが良いのですが、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。

幸いなことに私はこの付属イヤーピースで耳の奥に浅めに栓をするように装着し、上手くフィットできましたが、個人的にイヤホンの見た目にも拘りたいので私はPanasonic StoreでEAH-AZ60用白イヤピMサイズを購入し使用しています。

TWSイヤホンではイヤピが最も重要です。上手くフィットできないと装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

それではEAH-AZ80と他社製品との比較をしてみます。

先ずはケースから。

 

※上からSony WF-1000XM4、Technics EAH-AZ80、Technics EAH-AZ60

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EAH-AZ80のケース蓋表面はヘアライン処理が施されておりケースの高級感を演出し、使用感を感じる微細な傷を目立たなくする効果が期待できます。

 

※左からTechnics EAH-AZ60、Technics EAH-AZ80、Sony WF-1000XM4

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EAH-AZ60の方が大きく見えるかもしれませんが、三機種の体積はほぼ一緒といった方が正解だと思います。

 

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次にイヤホン本体です。

 

※左からTechnics EAH-AZ60、Technics EAH-AZ80、Sony WF-1000XM4

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EAH-AZ80の方がコンパクトに見えますが、シェルに厚みがあります。EAH-AZ60はしずく型の造形のため大きく見えます。WF-1000XM4も最近のTWSとしてはやや大きめですが十分コンパクトの部類です。

三機種の重量はほぼ変わらないですが、EAH-AZ80とEAH-AZ60が僅かに軽量です。ただし耳への装着時にはその重さの差を殆ど感じません。

次にステムノズルはEAH-AZ80とEAH-AZ60は短く太め。その為、ステムノズルの長さには軸の長いタイプとの相性が良いです。そのため付属のイヤーピースとの相性は良いと云えますが、傘の裾野よりも長いタイプはケースに入らなくなります。これは他社のTWSも同様ですが、イヤーピース選択をしっかりできれば問題なく使えると云えます。尤も耳の小さな女性や子供でも付属のXS、Sサイズは各2種類、計4種ありますので、殆どの方で不満を感じることはないのではと思います。

また、この三機種共にステムノズル先端端面にメッシュフィルターが装備されていますし、EAH-AZ80付属イヤピ内にもフィルタがあります。これによりシェル内部への異物混入が防げますので、長期の使用にも耐えることができます。

 

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3. Technics EAH-AZ80の音質について 

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

今回の再生環境はandroidスマホSony Xperia 5 II、Bluetooth コーデック LDAC接続(音質優先)、マルチポイント無効(音質優先)です。

 

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実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love平井堅/瞳をとじて倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。
先述の通りイヤピはEAH-AZ80 本体白色に付属する白色イヤーピース Mサイズを使用しています。

箱出しで聴いてみた第一印象は「低音はしっかりと鳴る。高音は爽やかに響き、解像感を感じられる整った音。ボーカルは自然で聴きやすい」でした。

一先ず鳴らし込みを兼ねて数週間聴きこみました。鳴らし込み後は、高音域が落ち着き低音域の解像感が増した印象です。特に低音域は解像感が高く中高音域を邪魔しない。全体的にクリアな音で高音低音の出音のバランスが良い音になりました。

 

音場

広くも狭くもない普通の広さ。左右に広さを感じますが奥行きはそれ程感じません。安価なTWSに良くある音圧を感じるドンシャリとは異なり、整ったバランスの良い音が空間に響く音。

 

高音域

煌びやかさがあり華やかさがありますが、主張の強い鳴り方ではなく解像感の高い音。中低音に埋もれる事は無く爽やかに広がる音はシャリつきが抑えられた丁寧な音。尖りや刺さりは感じません。

 

中音域

凹みを感じ難く、左右の広さを感じられ見通しの良いクリアな空間を感じられます。奥行きはそれ程感じませんが、近い音と遠い音が共存しても違和感を感じません。華やかに鳴る空間は音がごちゃつかず整理されており解像感が高くクリアです。

ボーカルは暖かさを感じられ艶やかさもあり自然な位置からクリアに聴こえます。

 

低音域

低音はしっかりとした強さのある音。量感はそれ程多くありませんし響きも抑えられていますが、音の輪郭と強弱を感じられる解像感の高い音。音圧で誤魔化した良くあるTWSの低音とは違う質の高い音。ベースラインは追いやすい。重低音の沈み込みはそれ程深さがあませんが、TWSとしては芯の強のある音。

 

出音のバランス

一言で云えばやや中高音寄りの弱ドンシャリからフラットに近い出音のバランス。

 

先代のEAH-AZ60同様に高中音域がクリアです。高音域はEAH-AZ60よりもくっきりと鳴りますが、シャリつくような音とは異なり粒立ちの良く解像感の高い音は爽やかに響きも良く、見通しの良い音。音の立ち上がりや音の消え入る様を感じやすくなっています。

中音域は左右に広さを感じられ鮮やかで華やかさのある音。音の輪郭や強弱を掴みやすく解像感が高い音は演奏とボーカルとの分離も良い。音重なり団子になるようなことはなく、ボーカルがはっきりと聴こえます。

低音は量感はそれ程多く感じませんが、適度に広がり解像感の高い音。音の強弱や輪郭が掴みやすいく質の高い低音は緩さを感じません。安価なTWSモデルによくある圧倒的な音圧の強さのある低音ではありませんが、物足りなさを感じる事はありません。

EAH-AZ80ではTechnicsの云う「ワイヤレスでここまでクリアな音」が実現されており、先代EAH-AZ60の音を正統進化されているという印象です。EAH-AZ60のクリアな音は今でも通用するレベルの高い音という認識ですが、EAH-AZ80を聴いた後では大人しい音というか、少し物足りない音に感じてしまいます。それはEAH-AZ80の中高音域の鮮明な音と低音域の臨場感の高い音と比べてしまうと致し方が無いのかもしれません。その位EAH-AZ80の音は先代EAH-AZ60の音を正統進化させた印象を受けます。

TWSイヤホンでこの音質で音楽を聴く事ができるのは凄いことだと思います。

 

※宜しければ過去の記事もご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

miineco106.hatenadiary.jp

 

miineco106.hatenadiary.jp

 

EAH-AZ80を聴いてみるとやはり音楽は低音域が重要なのだと考えさせられます。質の高い低音域が中高音域をしっかりと支えることで音全体を見渡すことができ、その空間を想像し掴みやすくしてくれます。ただ強く量感たっぷりに鳴らすのが質が悪いとは云いませんが、その様な低音域は高音域に曇りを感じたり中音域に籠りを感じたりする原因になりやすいため、結果として高音域も強めに鳴らすドンシャリの出音となります。EAH-AZ80では低音域は解像感を重視した適度な強さは高音域を見通し良く中音域もすっきりと聴かせてくれますので、音の重なりや塊に感じ難く解像感の高い音を楽しめます。

尤もこれはLDAC接続でのお話です。iPhoneではやはりコーデックによる差は明らかです。AAC接続では上までの伸びはなく中音は真ん中に集まり音はやや平面的に聴こえ中高音の繊細さや低音の表現力は下がりEAH-AZ80の魅力が薄れる印象です。例えば、有線イヤホンとワイヤレスイヤホンで同じ曲を聴いたときにワイヤレスイヤホンの音が薄く線の細さを感じられますが、androidスマホのLDAC接続であればそれを感じ難く、有線イヤホンで聴いているような音の濃さを感じられます。あくまでもお勧めはLDACで接続できる機器との組合せとなります。

 

次に、SonyのLDAC接続に対応したTWSイヤホン、WF-1000XM4をLDACの音質優先で接続し比較した場合、全体的な音に遜色ありませんが、そもそもWF-1000XM4はSonyの音。基本ドンシャリでグルーブ感のある音。音楽を楽しく聴くという目的に沿った音は音質の良し悪しではなく、メーカーの音づくりと前置きし理解した上で、強いて云えばEAH-AZ60の方が分析的に聴かせてくれる音。EAH-ZA80はその中間ややEAH-AZ60寄りだと思います。

WF-1000XM4はEAH-AZ80よりも強い低音としっかりと鳴る高音は安価なTWSイヤホンの様に決して雑に鳴らす訳ではなく、音楽をノリ良く聴くことができ、心地良く楽しませてくれる音であり、分かりやすく高音質と云えますので、TWSイヤホンとしてどちらが高音質なのかは個人の嗜好に委ねる部分です。どちらも高音質と断言できます。

 

まとめると、EAH-AZ80は中音≧高音≧低音のフラットに近いバランスですが結構くっきりとクリアに鳴らしてくれます。先代EAH-AZ60は中音≧高音≧低音のフラットに近いバランスはハーマンターゲットに近く、クリアで低音抑えめの印象。WF-1000XM4は低音≧高音≧中音のドンシャリバランスとそれらの音質傾向には特徴があり、それぞれ違うと云えます。

この違いは従来のAACやaptXよりもLDACによるデータ転送量の多さにより、それらよりも高音質で音楽を楽しめ、レンジの広さと音の濃さをはっきりと感じられます。LDACが24bitに対応しているアドバンテージは大きく、LDAC非対応の安価なTWSイヤホンよりも明らかに高音質で聴く事ができると云えます。

 

 

4. Technics EAH-AZ80の総評 

Technics EAH-AZ80は先代EAH-AZ60をより音楽的に正統進化させながら先代のクリアな音質を踏襲した音質傾向は高音質と云えます。そして、スマホで音楽を楽しむならばガジェット性能が高く商品性が高いものというニーズに応えられる同価格帯の中でもお勧めの商品とまとめました。音にも拘り、ガジェット性能も満足できるのは現時点でこれが一番と云えるかもしれません。

 

最後に、今回は高価格帯30,000円台後半の高音質&高機能の実用的TWSイヤホンの紹介となりました。現在(2023年7月15日)は約36,000円でイヤホン専門店等、有名家電量販店通販サイトなどでも販売していますが品薄状態ということもあり、迷っているなら予約した方が良いかもしれません。TWSイヤホンの本物を購入したい方やTWSでも音質に妥協したくないし、ガジェット性能も妥協したくない方は安心確実なイヤホン専門店での視聴を是非よろしくお願いします。きっと聴いたら気に入って購入(予約)してしまいますよ。

 

EAH-AZ80

以下、イヤピ付属 Mサイズ(別売り白)androidスマホ、LDAC音質優先
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★★ 
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★ (LDAC環境の無い方★4)

※☆0.51.0

 

EAH-AZ60

以下、イヤピ付属 Mサイズ(別売り白)androidスマホ、LDAC音質優先
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★☆
分離★★★★
お勧め度★★★★★ (LDAC環境の無い方★4)

※☆0.51.0

 

国内S社

以下、イヤピSedna Earfit short MSサイズandroidスマホ、LDAC音質優先
高音★★★★★ 
中音★★★★☆  
低音★★★★★ 
音場★★★☆
分離★★★☆
お勧め度★★★★☆ (ANC性能重視の方★5)

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回はTWSイヤホンのハイクラスモデルのレビューをしてみました。TWSイヤホンで手軽に良い音が聴く事ができる商品が増えてきました。しかし今回の商品は音質も良くガジェット性能も高く品質に間違いのない国内メーカーですのでやはり高価となります。折角購入するのだから良いものを買いたいですし、各メーカーのハイクラスモデルが実は一番売れるというのも分かります。でも前提はandroidスマホを持っている方なのですよねぇ。リンゴのマークのPro2よりは1万円以上安価なのですが、iPhoneユーザーならそれの方が間違いないと思いますけど。

今後も気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。

みぃねこ

 

HZsound Heart mirror zero (心鏡 zero)レビュー

こんにちは。

今回はいつもの低価格中華イヤホンレビュー編として、低価格U5000帯で発売されている1DDモデルのHZsound Heart mirror zero(心鏡 zero)についてレビューをまとめたいと思います。

 

AliExpressで取り扱いがあります。

ja.aliexpress.com

 

国内amazonでも取り扱いがあります。

 

HiFiGoサイトはコチラ

HZSound Heart Mirror Zero 10mm Driver Unit CCAW Voice Coil In-Ear Earphonehifigo.com

 

 

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1. HZsound Heart mirror zeroについて 

HZsound Heart mirror zeroは昨年発売された初代Heart mirrorの後継機です。昨年発売開始後に入手していましたが、初代と比べて普通のイヤホンという印象となっており、棚上げしておりました。

一応誤解の無いように説明しますが、普通に音は良いしシェルも軽量コンパクトで装着感が良いイヤホンです。

では良いイヤホンなのに何故に放置かと云えば、初代に比べインパクトが無かったから筆が進まなかったというのが正直な理由です。それなのに今更記事を仕上げているのは「折角購入したし。そもそもこれ(ブログ)は備忘録だし。」というもの。新商品でも何でもない、今更感のある記事なので需要が無いのを承知でまとめています。

それはさておき、HZsoundは中華オーディオブランドです。ブランドの代表作となった初代Heart mirrorは日本名「心鏡」として、中高音重視の音質傾向が日本のポータブルオーディオファンに人気が高いモデルとなりました。一方、中高音のクリアで透明感のある音は評価が高いものの低音が疎かになっているという評価と表裏一体のもの。一般ユーザーからは尖った音質傾向のイヤホンと云えます。

それを後継機Heart mirror zero、日本名「心鏡zero」では冒頭触れた通り「普通に良い音」のイヤホンとして登場し、初めての中華イヤホンとしてお勧めできる商品と云えると思います。

 

HZsound Heart mirror zeroのスペックですが、シンプルなシングルダイナミックドライバ(1DD)モデルです。全音域を10mm径の1DDが担います。このダイナミックドライバにはカーボンナノチューブ(CNT)ダイヤフラム(振動膜)を採用し、強力な磁気コイルを組合わせクリアで音楽性の高さを重視したチューニングとしています。

次にシェル本体はオール金属製を採用。初代の鏡面とは異なりシボ仕上げにより落ち着いた印象を持たせています。

一般論として、音質チューニングを突き詰めればシェルの材質による音への影響は無視できません。金属製シェルは高音域の響き、反響が樹脂に比べて大きくなります。響きの美しさは金属が一枚上手ですが、良い事だけではなく、反響が強くなることで不自然な残響音となる場合があります。一方樹脂製シェルでは高音域の響きが吸収されてしまう傾向があり、金属シェルと同じ音圧をにするために高音域の減衰を考慮しやや強めに鳴らす必要があります。加えて、音導管の有無も重要でこのバランスを含めたチューニングはメーカーの技術力となります。

最後に付属ケーブルです。高純度の無酸素銅(OFC)線を銀メッキした線材を採用し、多少引っ掛かりある被膜はやや気になりますが、比較的細めのケーブルは取り回しの良いケーブルとなっています。中華イヤホンメーカーでは付属ケーブルはリケーブル前提で質を落としコストカットしている場合があります。Heart mirror zeroは埋め込み2ピン仕様となりますので、CIEMコネクタ仕様のケーブルをお持ちの方はリケーブルされても良いかもしれません。

 

※宜しければ以前のレビューもご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

miineco106.hatenadiary.jp

 

HZsound Heart mirror zeroの納期としては現在(2023/6/17)国内amazonでPrime扱いです。当日発送、翌日配達で直ぐに届きます。AliExpressでオーダーした場合でも感染症の影響はほぼ回復し、かなり安定してきました。私が昨年AliExpressで購入した際も10日ほどで届きました。ほぼ平時に戻った印象です。尤も従来の平時であればAliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かるのが気になるところでしたが、最近は円安の影響で国内amazonとの価格差が殆どなく、そのメリットは殆ど感じません。

まあ海外ネットショッピングで心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. HZsound Heart mirror zero実機レビュー 

それでは、早速実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングは白を基調としたスリーブタイプ。表面にはキャラ絵が大きく描かれて商品名が小さく端の方に記載されています。

 

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スリーブを外すと黒地にメーカー名が記載されたシンプルな箱。

 

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上蓋を開けると黒の内装にイヤホンが収められています。

 

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下側のカバーを外すと付属品が収納されています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースタイプのS、M、Lの3種が2セット。他にはケーブルとケーブルバンド、イヤホンポーチ、ノズルフィルターです。低価格U5000帯として必要なものが十分に揃った付属品となります。

 

※イヤホンポーチはデニム地。赤ステッチがワンポイントでお洒落。

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※ステムノズルのフィルター。予備?
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次に本体を見ていきます。

 

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シェルの造形は初代Heart mirrorと共通。

肝心のビルドクオリティは、中華イヤホンの低価格U5000帯としては比較的綺麗に仕上がっていますが、シェルの合わせ面がやや怪しい。個体差はあるかもしれません。

カラーバリエーションは銀色と黒色の二種。銀色も落ち着いたな色調で初代と違って表面にシボ加工がありますので外使いでも悪目立ちはしません。

 

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付属ケーブルは先述の通り高純度OFC線を銀メッキしたものを採用しています。やや癖のある被覆ではありますが、最近の低価格帯に付属するケーブルの品質の高さと比べるたらやや分が悪く感じます。プレイヤー側コネクタはL字タイプ。イヤホン側はCIEM2ピン仕様の極性はKZ系と同様に上側がプラスです。この付属ケーブルは前述の通り被覆に引っ掛かりが少々あり、タッチノイズもやや感じますが、肝心の耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的にやや堅さを感じるものの比較的しなやかなさもありますので取り回しはそれほど悪くありません。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

※画像左からKiwiEars Cadenza、HZsound Heart mirror zero、TiNHiFi C3

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Heart mirror zeroとCADENZA、C3の外観の比較として、サイズ感はC3が一番大きく幅があります。一番小さいのは勿論Heart mirror zero。その中間がCADENZAです。Heart mirror zeroがコンパクト過ぎるためにC3が大きいと誤解されそうですが、一般的なものと比較しても大きいというよりも普通です。Heart mirror zeroが非常にコンパクトが故の錯覚となります。

ステムノズルの長さと太さ、角度はHeart mirror zeroとCADENZAがほぼ同じ。僅かにCADENZAが太い。C3は角度はほぼ同じですが、短く太さはCADENZAとほぼ同じで僅かに太め。三機種共に太めです。

イヤホンとケーブルを接続するイヤホン側コネクタ部にはHeart mirror zeroは埋め込み式2ピンでリケーブルの際はコネクタ部の長さに注意が必要です。CADENZAとC3はフラット2ピンコネクタ仕様です。

シェルの材質は、Heart mirror zeroはオール金属製。CADENZAとC3は樹脂製です。

重量はオール金属製のHeart mirror zeroにやや重量を感じます。CADENZAとC3は大きさに反して比較的軽量です。とはいえ、Heart mirror zeroは耳への装着感が良く、それほど重さを感じないレベルです。寧ろ耳への装着感はステムノズルの太さに影響を受けやすくCADENZAとC3が僅かに太め。Heart mirror zeroも太めと云えますのでイヤピ選びは重要です。

ステムノズル部には全てにフィルターがあります。Heart mirror zeroとC3は繊維フィルタタイプ。CADENZAは金属フィルタの細目タイプです。Heart mirror zeroとC3は音質への影響のあるタイプと云えます。CADENZAは異物混入による故障を防ぐタイプの様です。

三機種共にシェル本体の形状と付属ケーブルからはシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、先述の通りHeart mirror zeroはステムノズルが太めですが、実際の装着感は悪くなく、付属イヤーピースで耳の奥に栓をするように耳に密着させ装着する想定の様子。付属のシリコンイヤーピースで上手くフィットする事ができれば音質的にも必要十分だと思います。

 

最後にイヤーピースを見てみます。


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付属のシリコンイヤーピースは白色と黒色の一般的な形状の丸穴径、傘の裾野が弾丸タイプが二種。他社製含むサードパーティー商品との互換性の高い一般的な形状は選択肢が増えますので安心です。

付属イヤピの黒色は音質的にはダイレクトに音を届けてくれ、やや低音がしっかりとするタイプの印象です。

白色は中高音をクリアにし低音をタイトにしてくれる印象です。

どちらも軸は傘よりやや短めとなりますので耳への装着時はイヤピを耳奥へ挿入し耳へ密着させることを想定している様です。付属イヤピで装着感に問題ない場合を除き、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。

幸い付属イヤーピースで私はフィッティングが上手くいきましたしし、低音が逃げる事もありませんでしたので、白色イヤピが音質的に好みでしたので、そのまま付属を使用しています。

低、中価格帯に付属するイヤーピースは装着感が悪く、音質的にも実力を発揮できないと感じますが、今回は付属のシリコンイヤピで上手くフィットできました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. HZsound Heart mirror zero音質レビュー

いよいよ音質についてまとめていきます。

 

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昨年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音に脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

昨年はSony NW-ZX507を使用していましたが、やや演出感のあるドンシャリはメリハリがありグルーブ感のある音はSonyの音で音楽を楽しく聴く事が出来ました。しかし、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5の方がモニターライクながらも、決してつまらない音ではなくリスニングでも使えて万能と考えたからです。

Shanling UP5をUSB-DACで使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

 

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属イヤーピース白 Mサイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「適度な中高音の華やかさと、低音もしっかりと鳴る音。やや中高音寄りのドンシャリバランス」です。

箱出しではやや高音域に強調感と低音にボワつきを感じましたが、鳴らし込み後は高音は落ち着き低音は締まりました。

 

音場

普通の広さの印象。特に広さも狭さも感じない。前後はそれほど奥行を感じませんが、左右にやや広さを感じられ、立体感はそれほど感じられません。そのため空間の広さはそれ程感じません。

 

高音域

華やかで存在感がありますが、騒がしさを感じるような常に前に出る、出しゃばった感じはありません。最近の中華イヤホンの傾向と同じ様に刺さりや尖りは感じません。やや丸い音に感じます。

 

中音域

華やかさはありますが、やや音が集まる団子感と音が重なるゴチャつきを抑えています。爽快な音は解像感も悪くありません。ボーカルはクリアで自然な位置。ドライ気味ですが息遣いを感じられます。

 

低音域

量感は適度で音階や強弱といった低音域の解像感はそれほど。ベースラインは追いやすい。重低音は沈み込みはそれ程深さを感じません。それでも強さは十分ありますので過不足ありません。

 

出音のバランス

一言で云えばやや中高音寄りの弱ドンシャリ。高音域をはっきりと鳴らし比較的明るめの音。低音も適度で過不足のない鳴り方は出音のバランスが良い音。

 

高音は華やかに聴かせてくれ過不足はありませんが、上までの伸びはそれ程感じません。少し演出感を感じられますが、不快な鳴り方ではなく心地よい音。不快に感じる刺さりや尖りは感じません。爽快で明るめに感じられる音は描写は甘さを感じられる部分もありますが、低価格帯として質の高い音を聴かせてくれます。

中音は僅かに凹みを感じますが、ボーカルの自然な位置に対し楽器の音はその周りに位置しますが、それ程奥行きを感じません。高音同様に華やかさがありますが、爽快に響く音は整っていて見通しも良い。

ボーカルは自然な位置からクリアで聴きやすく、周りの音や高音や低音にも埋もれません。声色はドライ気味なものの息遣いを感じられます。そのため女性ボーカルのバラードなどでしっとりとした艶のある声を楽しみたい場合には分の悪さを感じるかもしれません。

低音の量感は適度ですが、ボワつく事のない締まった音。音階や強弱は割と大雑把ですが、不足は感じません。それは低音が強調された音というよりは中高音を邪魔しない程度の強さで鳴らすバランスを整えた音。そのため雰囲気の良い曲との相性をやや感じられます。

重低音は沈み込みはそれ程深さを感じませんが、強さは感じられる音。低価格帯でよくある大きく強く鳴る音ではありませんが、適度な強さで鳴る低音域は高音や中音域をマスクせずにクリアな高中音域聴かせてくれます。

 

CADENZAと比較した場合、CADENZAの方が高中音域により爽快感を感じます。低音域はHeart mirror zeroの方が僅かに量感を感じます。同じ中高音域重視として比べればHeart mirror zeroの方が低音域の強さのバランスが良いという印象。またCADENZAに比べ若干曇りを感じる部分もある為、総合力ではCADENZAの方が上という印象です。

次にC3と比較した場合はC3の弱ドンシャリは中低音寄りのため異なる音質傾向となりますが、中高音域の爽快感はHeart mirror zeroの方があります。高中音域のクリア感、見通しの良さはHeart mirror zeroの方に分があります。それでもC3は雰囲気の良い曲との相性が良く、Heart mirror zeroは爽快感のある曲との相性は良好です。

 

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まとめるとHeart mirror zeroのドンシャリは明るく爽快感のある高音域を鳴らしながらも初代の中高音域の見通しの良い一芸傾向からは異なるバランスの良い弱ドンシャリをベースとし高中音域の爽快感をのある出音が音楽を楽しく聴く事ができます。記事冒頭も「普通に良い音」はバランスの良い出音であり、高音質と云えると思います。

一方で初代の音が好きな方には聴いていて楽しいドンシャリバランスと云えるため評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   CADENZA ≧ Heart mirror zero ≧ C3 

中音   C3 ≧ Heart mirror zero ≧ CADENZA

低音   C3 ≧ Heart mirror zero ≧ CADENZA

ボーカル C3 ≧ CADENZA ≧ Heart mirror zero

 

 

4. HZsound Heart mirror zeroの総評

HZsound Heart mirror zeroは初代Heart mirrorとは異なり、普通のイヤホンです。初代の一芸特化型からの方向性の変更は初代のファンからは「なんか違う」という評価となりましたが、Heart mirror zeroのバランス型はこれはこれで普通に高音質と云えます。個人的には初代の音質傾向よりもHeart mirror zeroの方がバランス良く高音質だと思います。初代はマニア向けと云えますし、一般ユーザが一聴して高音質と感じるのはこのHeart mirror zeroC2の方が普通に良い印象を持たれると思います。そのサウンドは爽快感のある高中音域にしっかりとした低音域がバランスの良いドンシャリサウンドは音楽を楽しく聴く事ができます。普通にちょっと高音質のイヤホンを予算5,000円以内で欲しい方にお勧めしたいモデルと云えます。

 

最後に、今回は低価格帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2023年6月17日)は国内amazonやAliExpress等で発売されておりますが、国内amazonでの購入が安心感があってお勧めです。AliExpressでは本国発送の納期が短くなりつつありますが、基本的に納期が掛かりますし、不具合時には少々難があります。それでも、中華イヤホンの中でもその音質を含めクオリティの高さは十分満足できる内容となっておりますので、低価格中華イヤホンでちょっとよいものを検討中の方や間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実な国内正規品取り扱いを待って。少しでも新製品を早く安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

Heart mirror zero

以下、付属ケーブル、付属白イヤピ MDAC UP5
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

C3

以下、付属ケーブル、付属イヤピ MDAC UP5
高音★★★★☆ 
中音★★★★★  
低音★★★★★ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

CADENZA

以下、付属ケーブル、付属イヤピ MDAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★☆  
低音★★★★★ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★ (硬質な音)

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回は中華イヤホンの低価格帯商品の棚卸レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後は低価格だけではなく、中価格の中華イヤホンも扱っていきます。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

CVJ Mei レビュー

こんにちは。

今回はいつもの中華イヤホンレビュー編として、中価格U10000帯で発売された2BA+1DDハイブリッドドライバモデルのCVJ Meiについてレビューをまとめたいと思います。

 

国内amazonのHiFiGoで取扱があります。

 

AliExpressでも取扱があります。

ja.aliexpress.com

 

HiFiGoサイトはコチラ

CVJ Mei 1DD + 2BA Knowles Balanced Armature Hybrid In-Ear Earphonehifigo.com

 

 

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1. CVJ Meiについて 

CVJ Meiは中価格A5000-U10000帯中華イヤホンの2BA+1DDハイブリッドドライバモデルとして今年4月に新発売されました。

CVJは中華イヤホンの新興ブランドです。Trnと同じ工場で生産されていると推察されますが、真偽のほどは不明です。以前同ブランドのCSNをレビューしていますが、当時はKZやTrnの方がブランドとしても知名度があり、その商品性もリードしていました。しかし、同ブランドは後発の利点を活かし着実に力をつけてきており、今回のMeiでは二連ディップスイッチによる音質調整ギミックを搭載しています。しかも、そのスイッチは他社の様に周波数特性を調整するタイプではなく、搭載しているドライバそのものを休止(鳴らさない)させるという手法です。これまでのスイッチ付モデルの多くは音質の味付けの変更という変化が多かったのですが、CVJ Meiではドライバ数が変わる為、ドライバ構成の異なる別のイヤホンとして楽しむ事ができます。

 

そのCVJ Mei(魅)のスペックですが、新型10mm径デュアルマグネットダイナミックドライバ(DD)とKnowles製バランスドアーマチュアクドライバ(BA)1基に加え、CVJのカスタマイズドBAドライバ1基を搭載するトリプルドライバ構成の2BA+1DDハイブリッドドライバモデルです。

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CVJ Meiは、二連ディップスイッチを搭載したトリプルドライバの多ドラハイブリッドモデルです。デュアルマグネット(二重磁気)ダイナミックドライバ1基と2基の高品質BAドライバーのクロスオーバーを慎重に調整し音質を確立しています。

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そして、ディップスイッチを切り替えて稼働するドライバを選択することでドライバ構成が変わり、デフォルトの2BA+1DDハイブリッドドライバの音質から変化させることで複数の音質を楽しめます。

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2つのディップスイッチにより、搭載されたドライバの出力を好みに合わせて簡単に調整できます。ディップスイッチにより音質を変化させられますが、実際には搭載するBAドライバを有効または無効にすることで調整しています。それにより、1DD、1BA+1DDハイブリッド(Knowles BAとCVJカスタマイズBAをそれぞれBA違いのセットとして)、2BA+1DDハイブリッドドライバモデルに変化します。

スイッチの設定によるドライバ構成は以下の通りです。

 

パターン SW1 SW2 ドライバ構成
1 on on 2BA+1DDハイブリッド
2 off on 1BA(カスタマイズ)+1DDハイブリッド
3 on off 1BA(Knowles)+1DDハイブリッド
4 off off 1DD

 

次にイヤホン本体には高品質の航空グレードアルミニウムおよびマグネシウム合金素材を採用しています。シェルは美しく、人間工学に基づいた形状は快適な装着感としています。

最後に付属ケーブルです。高品質の4芯銀メッキ銅線ケーブルは高純度線材により高いオーディオパフォーマンスを実現します。中華イヤホンメーカーでは付属ケーブルはリケーブル前提で質を落としコストカットしているところもありますが、実用性の高い高品質ケーブルを付属しています。

 

※宜しければ過去記事もご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

CVJ Meiの納期として今回HiFiGoでオーダー、1週間強で届きました。現在(2023/5/26)は国内amazonでは本国発送扱いとなっています。昨今、HiFiGoやAliExpressで購入した本国発送の場合でも以前の様な感染症の影響で遅延は少なくほぼ回復したと云えます。尤も、万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかるのが、海外通販のリスクです。

そんな訳で一般的に海外通販での購入は国内通販で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが偶に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットがありましたが、最近では円安でその恩恵も受け難く、国内では入手できない商品を早く手に入れる事がメリットと云えます。それらを天秤にかけた場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. CVJ Mei実機レビュー 

それでは、実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングはシルバー(ライトグレー)を基調としたイヤホンのイラストが目を引くスリーブタイプの化粧箱です。

 

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スリーブを外すと白地のシンプルな内箱の中央にはメーカー名が。

 

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内箱の蓋を開けると白地の内装にイヤホンが収納され、右側の小箱には「魅」の文字が大きく印刷されています。

小箱には付属品が収納されています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースがS、M、Lの3種1セット。他にはケーブル、ケーブルバンド、クリーニングブラシ兼SWピンです。中価格A5,000-U10000帯として必要最低限の付属品となります。

 

※クリーニングブラシ兼ディップスイッチ調整ピン

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次にイヤホン本体を見ていきます。

 

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ビルドクオリティは中華イヤホンで心配されるような雑なところ感じさせません。中華イヤホンの低価格帯でよくあるようなシェルの合わせ面等のズレや隙間は無く綺麗に仕上がっています。

カラーバリエーションは黒、青、銀の三色。今回は黒を選択しました。

 

次にケーブルをみていきます。

 

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付属ケーブルは先述の通り4芯銀メッキ銅線を編込み線とした高純度線材を採用。プレイヤー側プラグはL字、イヤホン側はKZ-Cタイプ2ピン仕様、イヤホン側コネクタの極性は上がプラスです。

この付属ケーブルはケーブル被覆にやや引っ掛かりがあります。そのため少々絡まり易いものの、しなやかさがあり耳への装着性や使用感は悪くありません。イヤホン側にはシュア掛け用にチューブで癖付けされ、中価格帯に付属するケーブルの中としては少々質素なものの悪い印象はありません。シルバー(白?)カラー被覆のケーブルはシェル本体ともマッチしています。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、私はこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

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続いて他機種とのサイズ感や造形の比較です。

 

※画像左からTrn TA3、CVJ Mei

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CVJ Meiは比較的オーソドックスなシェルの造形です。そのシェルの造形は比較対象として用意したTrn TA3はほぼ同じです。TA3の方がシェルの厚みがありますのでやや大きく見えますが、どちらも比較的コンパクトと云えます。

Meiはオール金属製シェルですが、それほど重量を感じません。耳への装着感も良好で装着時に重く感じる事はありません。寧ろTA3の樹脂シェルと金属フェイスプレートの方が重量を感じます。

ステムノズルの長さや太さと角度はほぼ同じ。僅かにMeiが短い程度の違い、一般的な太さ、角度と云えます。ステムノズルには金属フィルタがあり、どちらもダストフィルタ機能としてのもの。音質にそれほど影響があるタイプではないです。

そして、シェル本体の形状と付属ケーブルからは両機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、装着感はステムノズルの長さや太さに影響がありますので、イヤーピースのフィッティングは重要となります。

 

最後に付属イヤーピースです。

 

シリコン素材の一般的なイヤーピースは、以前Trnに付属していた黒傘赤軸タイプは

中華の汎用タイプです。

 

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付属イヤーピースは開口部が大きめの音をダイレクトに届けてくれるタイプ。音質傾向は低音をしっかりと主張させてくるタイプ。ただ膨らむというよりは全体の音域の中でも低音がやや目立つかなという印象です。

しかし付属のイヤーピースは私の耳には相性が悪くスカスカで低音が抜け気味に。音質的には好みにもよると思いますが、個人的には付属品ではなく、Trn TA3に付属している白傘白軸タイプがバランスが良くしっくりきました。あとは手持ちのSedna EarFit Shortが低音も損なわずに高音とのバランスが良く感じました。今回はTrn TA3等に付属する白傘白軸イヤーピースを私は耳の奥に栓をするように装着しフィットしています。

低、中価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じます。今回は中価格帯に付属するイヤピで上手くフィットしたものの、低音域の膨らみが気になり手持ちのイヤピを使用しました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感はもとより音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えない他社製へ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. CVJ Mei音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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昨年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音に脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

そのため、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5はモニターライクながらも決してつまらない音ではなく、リスニングでも使えて万能と考えています。

 

Shanling UP5をUSB-DACとして使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピはTrn TA3付属白傘白軸イヤピ Mサイズ、付属ケーブルです。

箱出しのディップスイッチをデフォルト(1.項、SWパターン表:パターン1)で聴いてみた第一印象は「しっかりと鳴る低音域とはっきりとした中高音域のドンシャリ」でした。

箱だしでは高音域に対し低音域がやや量感多めに感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音は適度な量感になり高音域とのバランスが丁度良い印象になりました。

 

先ずはデフォルト(パターン1)の音を聴いていきます。

 

音場

空間の広さをそれ程感じませんが狭くはない普通からやや広い印象。前後は奥行があり、左右に空間を感じられ、立体感も感じます。

 

高音域

煌びやかさがあり響きも良好です。上までの伸びやかさもあり、存在感がある華やかな高音域です。耳障りに感じる様な騒がしさはなく適度な主張はどちらかと云えばやや前に出たがる音。それでも小さい音もちゃんと拾え、ごちゃつきを感じない分離の良い音は不自然さを抑えており解像感も悪くありません。複数BA機の高音の華やかさの感じる音色が心地良い音。刺さりや尖りを感じない整った出音は好感を持ちます。

 

中音域

華やかに鳴りますが、ごちゃつきを感じ難くく整理されています。低、中価格帯の複数BA搭載モデルの中高音は真ん中に集まる団子感や音が重なるゴチャつきを感じる事が多いのですが、これは整理されて適度な距離感が維持されています。立体感を感じ易い印象です。音の広がりや響きは良好です。ボーカルはクリアで僅かに近い位置。声音はややドライ気味ですが、息遣いは感じ易く不自然な印象はありません。

 

低音域

量感は十分に感じられ響きや広がりも感じます。音階や強弱といった低音域の解像感も感じられますが、締まった芯のある音というよりはやや強めに鳴らし膨らんでいる音。それでも締まりのない緩んだ不自然に誇張した音ではなく雰囲気の良さを演出する低音という印象です。ベースラインは追いやすく、ボーカルよりも前に出るような主張ではありません。重低音は沈み込みは深く、力強さを感じます。

 

出音のバランス

一言で云えば僅かに中低音寄りの弱ドンシャリ。高音域は明るく華やかにしっかりと鳴らす音。低音が音域の中ではやや強め。次に高音。全ての音域で不足を感じない鳴り方は華やか。出音のバランスが良いドンシャリは心地良く、ハーマンターゲット近似のやや低音強めの音。

 

高音の煌びやかさは音の大小や強弱が感じ易く、その距離感も掴みやすい。上までの伸びやかさや音の響きが良く、音の消え入る様を感じられます。華やかで明るい音は鮮やかに耳に届き、僅かに誇張を感じられるものの必要な時に必要な量を鳴らします。不快な強さで鳴り続ける音ではなく、整理され不足を感じない鳴り方は複数BA機の華やかな中高音域と云えます。

中音は凹みを感じ難く、ボーカルが僅かに近い位置からクリアに届きます。楽器の音はその周りから少し離れやや後ろ辺りに位置し奥行を感じられますが、音数が多い楽曲ではやや平面的な印象を受けます。高音に比べ音の距離感に不自然さを感じられる場合がありますが、高音同様に華やかさのある音は整理されており聴き易く、聴き難いという印象はありません。

ボーカルはクリアで周りの音や高音や低音にも埋もれません。僅かに近い位置から聴こえ、その声色はドライ気味ですが、息遣いを感じ易く不自然な印象はそれ程受けません。

低音の量感は十分ですが、響きや広がりがあります。解像感よりも曲の雰囲気を重視した表現を重視した低音域。重低音は沈み込みは深く、力強さのある豊かな音。それでも脳に響く重低音という事ではなく、十分な広がりと量感を感じられる音。重低音の力強さもあり低音域に不足を感じる事はないと思います。

Meiは音楽を楽しく聴く事ができる出音であり、高音と中音域の華やかさは十分で低音域の雰囲気の良さは、出音のバランスを整え何処かだけを強調していない解像感重視の音とは異なります。

 

続いて、ディップスイッチを変更して聴いていきます。

先ず、パターン2。

CVJのカスタマイズBAとDDのハイブリッドドライバ構成となり、案の定高音域はしっかりと鳴ります。デフォルトと比べ高音域の響きの良さは薄れ、悪く云えば粗く鳴りますが、1BA+1DDハイブリッドモデルと思えばそれ程悪い印象はありません。ベースとなる中低音域はDDが共通のため明るく華やかな高音域という音質傾向は似ていますが、鮮やかさに欠けます。

次にパターン3。

こちらはパターン2と同じ1BA+1DDハイブリッドドライバ構成ですが、BAがKnowles BAとなります。型番が不明ですが、パターン2の様な高音域の荒さはありませんが、抑え気味の高音は響きや小さな音の聴き易さが清涼感を感じられます。しかし、DDの鳴る高音域の補助というレベルであり、高音域が全体的に大人しく、やや暗めの音になる印象です。

最後にパターン3。

全てのBAがoffになりDDのみのシングルドライバ構成です。想像していたよりもBAが高音域を担っていたことが分かります。高音域が大人しく控えめというか少ない。また、音がこもる印象です。ボーカルが曇りますし、空間に膜が貼っているような音は正直実用レベルとは云えません。BAをoffにすることで何か別の影響を受けているような気がします。

ディップスイッチによる音質変化のまとめとして、ディップスイッチによるドライバ構成を切り替えるギミックはその効果を確実に体験できます。そしてその変化はデフォルトの音質が完成度が高いこともあり、デチューンと云える結果になる印象です。

 

最後に、他機種との比較として、Trn TA3との比較ではTA3も上までの伸びや小さな音を埋もれさせずに煌びやかに表現してくれますが、華やかさではMeiの軍配が挙がりますが、その差は僅かの印象です。そういう意味ではどちらも僅かに誇張された音であり自然な音ではないのかもしれませんが、TA3の方がクリアな空間も相まって自然に近い強さで鳴る音は質感が高い印象です。低音はTA3が中高音域をマスクしない見通しの良さを確保した締まりのあるタイトに鳴るバランスに対し、Meiの量感の豊かな鳴り方は真逆の味付けという印象です。そのためMeiの低音域が気に入るかどうかによって評価が分かれると思います。また、どちらも過度な刺激のない音に物足りなさを感じられるかもしれません。

 

※以前のレビューもご参考ください

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まとめるとCVJ Meiの弱ドンシャリは豊かな低音域に明るく鮮やかな高音域が音楽を楽しく聴く事の出来るリスニングサウンドの音造りは聴きやすく、バランスの良い音を聴かせてくれます。低音の味付けがMeiの評価のポイントであり音楽を雰囲気良く聴きたい方には人気のある音造りは、価格帯では文句なく高音質という評価と云えます。

個人的に音楽を楽しめる出音は高音と中音域の聴きやすさと低音域の質感だと考えています。ただ単に出音のバランスを整えた何処かだけを強調していない音は音を聴いているのか曲を聴いているのかわからなくなります。そのため、Meiは音楽を雰囲気良きたい方にお勧めできます。

一方で中華イヤホンに強ドンシャリバランスを求める方や中高音域のクリアさと解像感を重視し低音は要らない、邪魔という方には評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   Mei ≧ TA3 (出音の強さ)

中音   Mei ≧ TA3 (出音の強さ)

低音   Mei ≧ TA3 (出音の強さ)

ボーカル TA3 ≧ Mei (質感)

 

 

4. CVJ Meiの総評

CVJ Meiは同ブランドの最新商品として数年前のCSNから進化しており、同価格帯でも良い勝負をする印象です。CVJの当時のモデルでは粗さを感じましたがMeiでは洗練されてきたという印象を受けます。最近の低、中価格帯の中華イヤホンは平面磁気駆動モデルが流行りですが、2BA+1DDハイブリッドドライバ構成位がやはり丁度良く、良い音で音楽を愉しめる高音質モデルになるという実例と云えそうです。一方で、ディップスイッチによるギミックは正直必要性を認められませんでしたが、中華の面白いチャレンジに意義があるのではないでしょうか。挑戦することを止めたらそこで終わりですから、ね。

 

最後に、今回は今年4月に発売された中価格A5000-U10000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2023年5月26日)はHiFiGoで8,000円前後で販売し、国内amazonでは本国発送扱いの9,000円台となっています。海外通販で購入するとしてもHiFiGoの発送は早く届くのも早い印象があります。これまでの中華イヤホンの中では比較的安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは十分満足できる内容となっておりますので、中価格帯中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、新製品を少しでも早く(安く)手に入れたい方はHiFiGoでの購入も検討してみてくださいね。

 

Mei

以下、付属ケーブル、Trn付属白傘白軸イヤピ MDAC UP5使用
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆   
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

TA3

以下、付属ケーブル4.4mmプラグ、付属白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★ 

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回は中華イヤホンの中価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後は低価格だけではなく、中価格の中華イヤホンも扱っていきます。

また、気になる商品が出ればチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ