みぃねこの備忘録

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FiiO KA17 レビュー

こんにちは。

今回は中華イヤホンレビュー編をお休みし、今年2月に国内で発売されたポータブルUSB-DACアンプのFiiO KA17についてまとめたいと思います。

FiiO KA17は国内amazonにて国内代理店によるマーケットプレイス扱いやイヤホン&ヘッドホン専門店のeイヤホン店頭及び同社WEB本店、有名家電量販店等で発売されています。

 

 

www.e-earphone.jp

 

製品情報詳細はコチラ

 

www.fiio.jp

 

 

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1. FiiO KA17とは 

1.1. FiiOとは

FiiO Electronicsは中国のポータブルオーディオ機器メーカーです。同社は2007年に設立された比較的新しい企業です。設立当初から他社を寄せ付けないコストパフォーマンスの高い製品がポータブルヘッドホンアンプのマーケットを席巻し、昨今有名ブランドとしての地位を確立しています。近年は市場のシェアを拡大し企業としての成長を遂げていくと共に、現在ではガジェット寄りのポータブルオーディオ機器に注力し発売しています。

 

※以前のFiiO BTR7レビューもご参考ください

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1.2. FiiO KA17って何?

FiiO KA17は簡単に説明するとスマホで音楽を聴く際にイヤホンをスマホ直挿しで聴くよりも高音質で聴く事ができるUSB-DACアンプ機器です。

以前レビューした同社BTR7がBluetoothレシーバー機能とUSB-DACアンプ機能を持つ複合機器であったのに対し、KA17ではBluetoothレシーバー機能が無くUSB-DACアンプ機能のみの単能機となります。

具体的にはイヤホンをスマホに有線接続で使う場合を例に説明すると普段スマホApple Music等の音楽を聴く際にスマホに付属している有線イヤホン等を使われていると思います。一般的なスマホと有線イヤホンで音楽を聴く際の接続方法はイヤホンのステレオミニプラグをスマホのイヤフォンジャックに直挿し接続します。これをスマホのUSB C端子にFiiO KA17を付属のUSB C to Cケーブルで接続し、KA17のイヤフォンジャックにイヤホンのステレオミニプラグを接続して音楽を聴くという使い方です。

 

  • 通常の直挿し

  スマホ → イヤホン

から、

  • USB-DAC接続

  スマホ → KA17 → イヤホン

 

と、上記の様にスマホとイヤホンの間にKA17を挟み込み「中継」し外部DACアンプとして使用することで、スマホにイヤホンを直挿しで聴くよりも音楽を高音質に。動画を迫力のあるサウンドで楽しむ事ができるようになります。

そのため、自宅等でゆっくり音楽に浸りたい時にDAPまでは手がだせないけれど、スマホで音楽や動画をもっと良い音で聴きたいというニーズにこのFiiO KA17は応えてくれます。

 

少し話は逸れますが最近のスマホはイヤフォンジャックの無い機種が増えており、Bluetooth接続の左右独立型完全ワイヤレス(TWS)イヤホンが主流になりつつあります。TWSイヤホンも最近は無線接続のコーデックにLDAC等の無線接続の高音質化技術を採用し良い音で音楽を聴く事ができる製品が増えてきました。そして何よりも「ケーブルレス」という身軽さが最大のメリットです。一方でイヤホンケーブルのある有線接続では同価格比でTWSイヤホンよりも高音質で音楽を聴く事ができます。これは「現状では」と前置きしますが、近い将来無線接続の高音質化技術が更に進化する可能性を秘めた市場と云えます。これはこれで楽しみです。

 

さて、最近はスマホで音楽を聴く方の多くが音楽配信サブスクリプションサービスを利用していると思います。私もスマホApple Musicをメインに。PCではamazon musicをメインにスマホでも利用しロスレスハイレゾ音質で楽しんでいます。一方、手持ちのCDをリッピングしたロスレス音楽ファイルやダウンロード購入したハイレゾ音楽ファイルを高音質で聴きたい場合はPCやandroidスマホDAPが使いやすく「使い分け」をしています。

私のスマートフォンiPhoneをメインに使用していますが、先述の手持ちの音楽ファイルを高音質で聴きたい場合には使い勝手がそれらに一歩譲ります。そのためandroidスマホをサブで所有し活用しています。androidスマホはPCやクラウドからファイルを取り込む又は、スマホのブラウザで直接配信サイトから直接ダウンロードする事ができますので、後はハイレゾ再生対応アプリで再生…という便利さがあります。とは云えApple Music等の音楽配信サービスをロスレスハイレゾ音質で利用する場合には実はiPhoneでFiiO KA17等の外部DACアンプを使用する方が有利だったりします。

 

※以前の同カテゴリ商品レビューもご参考ください

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1.3. FiiO KA17の仕様

FiiO KA17の機能詳細は後述するとして、先ずは仕様をチェックしてみます。

主な特徴は以下の通りです(メーカーHP抜粋)。

 

  • 低消費電力ながら高性能なESS製DACチップ「ES9069Q」を2基搭載
  • デスクトップモードを搭載、クラス最高峰650mWの高出力を実現
  • 独立した給電用USB Type-Cを搭載し、安定した高出力を実現
  • 緻密な電源回路設計によりハイパフォーマンス化を実現
  • アナログ、デジタル回路を完全に切り離した基板構成による高音質設計
  • FiiO ControlアプリによるPEQ調整でお好みの音質にチューニング可能
  • 高速処理型USBインターフェースチップ「XU316」により様々な音源に対応
  • マルチプロテクションシステムにより安心のリスニング環境
  • 0.91インチドットマトリックスディスプレイにより、多くのステータスを表示可能
  • 屋外での使用にも適したデザイン性の高い専用レザーケース付属
  • S/PDIFデジタル出力にも対応、DDコンバータとしての使用も可能
  • UAC1.0をサポートし、ゲーミング使用にも対応
  • デザイン性と使い勝手の良さを兼ね備えた筐体設計を採用

 

ドングルDACとして比較的コンパクトな媒体と云えますが、小型ながらも外部DACアンプとして高出力を得ています。

次に、KA17のスペックは以下の通り(メーカーHP抜粋)。

 

基本スペック

  • 電源    USBバスパワー駆動
  • DACチップ    2 x ES9069Q
  • オペアンプ    2 x OPA1662
  • ヘッドホンアンプ    THX AAA 78+
  • USBインターフェース    XMOS XU316
  • デジタル入力端子    USB Type C
  • アナログ出力端子    3.5mmシングルエンドヘッドホン出力(S/PDIFデジタル出力と排他)
  • 4.4mmバランスヘッドホン出力
  • デジタル出力端子    3.5mm4極S/PDIF出力(シングルエンドヘッドホン出力と排他)
  • 最大出力    バランス:650mW(32Ω,THD+N<1%)
  • アンバランス:270mW(32Ω,THD+N<1%)
  • S/N比    バランス:≥126dB(デスクトップモード A-weighted)
  • アンバランス:≥123dB(デスクトップモード A-weighted)
  • ノイズフロア    <2.2uV(バランス出力時、A-weighted)
  • <2uV(アンバランス出力時、A-weighted)
  • THD+N    <0.0004%(1kHz, 32kΩ)
  • 対応フォーマット    PCM768kHz/32bit,DSD512/1bit, MQAフルデコード
  • 本体カラー    ブラック/ブルー
  • 寸法    約64.0mm x 27.7mm x 12.7mm
  • 重量    約33.5g(ケーブルを除く)
  • 付属品    レザーケース/USB Type A to Cアダプター/USB Type C to Cケーブル/USB Type C キャップ ×2/クイックスタートガイド/保証書

 

音質に拘った仕様も目を見張るところですが、特に外部給電によるデスクトップモード機能搭載に注目です。

 

さて、ここからは技術的な話になります。KA17はUSBコントローラーに16コアを搭載する高速処理型USBインターフェースチップ「XU316」を採用。更にデュアルオーディオ水晶発振子を搭載することで、高い演算能力を引き出し、低遅延で安定した伝送を実現しました。XU316は互換性に優れており、さまざまな音源とサンプリングレートをサポートします。

※USB DAC機能はドライバー不要のUSB Audio Class 1.0モードと、フルスペックでの再生が可能な2.0モードの2つのモードに対応しています。後者の場合、FiiOオフィシャルウェブサイトからドライバーのダウンロードとインストールが必要となります。

 

つまり、手持ちのロッシー(圧縮)だけでなく、ロスレスハイレゾ音楽ファイル及び、DSDファイルに加えMQAファイルの再生が可能ですので、一般ユーザーでは困ることはないと思います。また、昨今のサブスクリプション音楽配信サービスのApple Musicやamazon musicハイレゾロスレス)音楽データ(24bit/48kHz以上)の再生にも対応しています。もちろん手持ちのCDから非圧縮でリッピングした場合、16bit/44.1kHzのロスレス音楽ファイルとして再生可能なため、CD音質のまま聴く事ができます。

分かり易く区別すれば殆ど全ての音楽ファイル形式の再生が可能であり、例えばiTunes等で購入したロッシーのAAC-LC(iPhoneで再生可能な圧縮された320kbpsの16bit/44.1kHz)ファイルや、mora等で購入したAAC-LCファイルやFLAC形式ファイル等のロスレス(16bit/44.1kHz)やハイレゾ音楽ファイル(24bit/48kHz以上)に対応していますので、手持ちの音楽ファイル財産をそれらが持つ本来の性能でそのまま再生することが可能となります。

尤も、iPhone等のiOSモバイル機器単体では標準再生アプリApple Musicで手持ちの音楽ファイルを再生できるのは現在(2024/03/23)もAAC-LCファイルの再生までとなっています。もしも手持ちのALAC形式のロスレスハイレゾロスレス)音楽ファイルを24bit/48kHzを超えた本来の性能で再生したい場合にはiPhoneに別途KA17を接続しNePLAYER等のハイレゾ音楽再生対応アプリを使うことで可能になります。

 

上記の意味が良く分からないという方のために、論より証拠。いつも通りiOS端末を使って検証します。iPhoneはSE3を。amazon musicはunlimited(従来のHD会員)有料会員です。

 

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KA17のファームウェアはVer.0.84で検証しています。

※2024/3/23現在は最新Ver.0.99

 

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外部給電のデスクトップモード(D MODE)は「OFF」設定です。

 

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iOSamazon musicアプリはVer.24.4.1で検証しています。

 

iPhone SE3にKA17をUSB-DACとして接続し、amazon musicで24bit/96kHzの曲を再生してみます。

 

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再生中の曲をアプリ上でチェックします。KA17をUSB-DACとして接続している場合の再生中の曲の表示です。

再生している「楽曲の品質」が「Ultra HDの24bit/96kHz」、端末の性能を示す「デバイス」が「24bit/96kHz」、再生している楽曲の「出力」が「24bit/96kHz」と表示されています。

ハイレゾ楽曲24bit/96kHzが端末の性能に制限されず24bit/96kHzで再生されています。これは端末の性能が24bit/96kHzに対応しているので、音源通り24bit/96kHzで再生できています。

しかし、気になるのはKA17のLCDは192kHzと表示しています。

詳しくは後述するとして、端末の性能が楽曲と再生中と同じ又はそれ以上の数値の場合、ロスレス又はハイレゾロスレス)音質で再生できていると云えます。

では、KA17を外してiPhone付属のApple Lightning - 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタに変更してみます。

 

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Apple Lightning - 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタを接続している場合の再生中の曲の表示です。KA17を接続した場合には端末の性能を示す「デバイス」が24bit/96kHzでしたが、Apple純正のApple Lightning - 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタではデバイスだけ24bit/48kHzに下がっています。楽曲の品質と出力が24bit/96kHzと表示されていますが、デバイスが24bit/48kHzに制限されていますので24bit/48kHzの音質に制限され再生されていることになります。

とはいえ厳密には24bit/48kHzでもハイレゾロスレス)と云えますので、ハイレゾロスレス)で聴く事ができていることになります。それでも楽曲の品質と出力の24bit/96kHzからダウンコンバートされて再生されているために、楽曲本来の音を聴く事ができていません。また、Apple純正のApple Lightning - 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタではアンプとしての増幅はありませんし、KA17のアンプを通すことでパワフルでノイズレスの音を楽しむことができません。

ここで注意いただきたいのは楽曲の品質が24bit/96kHzと表示されていますが、amazon musicアプリの仕様上、端末の性能に制限されるという事です。仕様上、iPhone SE3やiPad Air4は端末性能が24bit/48kHzまで対応しています。つまり、iPhoneではApple純正のLightning-3.5mmヘッドフォンジャックアダプタを接続することでamazon musicを24bit/48kHzまでのハイレゾ音楽データの再生が可能になります。iPad Air4の場合もApple純正のUSB-C-3.5mmヘッドフォンジャックアダプタを使用すれば同様に可能になりますが、24bit/48kHzを超える音源は端末の性能に依存していますので、例えば音源が24bit/96kHz以上のハイレゾ音楽データは24bit/48kHzにダウンサンプリングされて再生されてしまいます。折角の24bit/96kHz以上のハイレゾ音楽データは劣化させずに本来の音で聴きたいものです。

まとめると、Apple純正のApple Lightning - 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタでもamazon musicApple Music等の音楽配信サービスにおいて、ハイレゾロスレス)音質を一定の水準の音質で楽しめますが、KA17を使用することで配信されている楽曲本来の音をノイズレスの高音質で楽しめる事ができます。

ここまで読んでみて「言っている意味がよくわからない」、「いや、よくわからんが面倒そう…」という方へ簡単に説明をさせていただくと、「iOS端末に単純にKA17を接続し標準アプリ Apple Musicでロスレス配信サービスを利用すればiPhoneiPadでサブスクの(ハイレゾロスレス配信サービスを良い音で楽しむことができます。」と、なります(「三行でお願い」って凄い)。

 

Apple Musicアプリの設定は以下記事内、2.2.項をご参考ください。

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2. FiiO KA17の実機レビュー

それでは実際に実機をみていきます。

 

2.1. KA17の実機&パッケージ

 

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黒を基調としたパッケージは光の反射で青?緑?の模様が浮かび上がる近未来感のあるスリーブタイプの化粧箱です。

 

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内箱は黒を基調としたパッケージで一転シンプル。

 

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中蓋を開けると黒の内装に本体が収納されています。本体横には専用ケースが収納されています。

 

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内装上段を取り出すと付属品が収納されています。

 

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付属品はKA17本体、USB C to Cケーブル、USB C to A変換、専用ケース、取説類です。取説には中国語、英語、日本語の記載があります。

 

それではKA17本体を見てみます。

 

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※KA17とShanling UP5とのサイズ感

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KA17はUP5同様に入力側端子はUSB Cを採用。ケーブル交換が可能です。

 

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KA17の方がやや縦横短く、厚さも薄くなっています。

※KA17の左から4.4mmバランス、3.5mmフォンアウト

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KA17はShanling UP5に対し、縦横が短く、厚みも薄くコンパクトです。尤もUP5はバッテリー内臓のため致し方が無いサイズです。

KA17本体の質感は同社最新のKAシリーズのデザインが踏襲されています。同シリーズ旗艦モデルとしてディスプレイが搭載されています。また専用ケースが付属するのもポイントが高いです。

サイズ感としてはUSB-DACの各社旗艦モデル製品と比べ同程度。同社BTR7と比較するとかなりコンパクトです。

 

付属のUSB C-USB Cケーブルはコネクタ部含め全長約100mmと丁度良い長さのケーブルです。短すぎず、長すぎず、使い勝手は悪くありません。

 

2.1.1. Lightning-USB Cケーブル

付属品では主にandroid端末やiPad等のUSB C端子との接続を想定してUSB C to Cケーブルのみです。そのためiPhoneでも使えるサードパーティー製ケーブルを紹介します。

 

サードパーティ製のiPhoneとの接続用Lightning-USB Cケーブル

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iPhoneとの接続用Lightning-USB Cケーブルに「ddHiFi MFi06 Lightning to USB Type C データケーブル」が使用できます。型番が二種ありますが、その違いはMFi06Sはストレートコネクタ、MFi06はL字コネクタです。

 

ja.aliexpress.com

 

私はamazonから購入しましたが、残念ながら現在は販売していないようです。AliExpressではまだ販売していますのでどうしてもこれが必要な方はご検討ください。販売価格3,000円程度と少々値が張りますが、コネクタがL字タイプなので使いやすいです。

また、それ以外ではAliExpressでUSB C-USB Cケーブルを購入しドングルDACアンプに使用しています。私が購入したのは8芯銀メッキ銅線の被覆が銀(白?)色タイプ。単品購入では1,000円ですが、Lightning-USB CケーブルとUSB C-USB Aショートケーブルの3本セットで約3,000円で購入できますのでお得です。

 

2.2. KA17とSony Xperia 5 IIの接続

次に、androidスマホXperia 5 IIで試してみます。android 12、SnapDragon 865、メモリ 8GのSonyの三世代前のモデルです(最新は5 V)。

接続手順は以下の通り。

Xperia 5 IIはUSB C端子です。付属のUSB Cケーブルがそのまま使用できます。

始めに付属のUSB C to Cケーブルの一端をKA17本体のUSB C端子に接続し、もう一端をXperia 5 IIのUSB C端子に接続します。

次にイヤホンを接続します。今回はHidizs MP145の4.4mmバランスプラグ仕様を使用します。そのためKA17の4.4mmバランスジャックに接続します。手持ちのイヤホンが3.5mmステレオミニプラグの場合はKA17の3.5mmヘッドフォン(ステレオミニ)ジャックの方に接続します。

最後にXperia 5 IIのApple Musicアプリ (Ver.4.7.0-bata(1356)で検証)を起動します。ちなみにApple Musicの有料会員の場合を想定しております。

アプリの(ハイレゾロスレス設定済みを想定し検証をしていますので、ご容赦ください。※本記事1.3.項最後の過去記事を参照

KA17とXperia 5 IIを接続してApple Musicを聴く注意点としてはアプリの設定で「ドルビーアトモス」はオフにして下さい。ドルビーアトモス対応の楽曲の場合、「ロスレス」が正しく表示されない事があります。

次に、音量はスマホ側を最大値に固定。音量はKA17側で調整することで音質を損なわずに聴く事ができます(2.2.4.項参照)。ただし、必ずこの音量設定はKA17と接続した状態で行ってください。KA17を未接続の状態で設定した場合、スマホ単体で聴いた際に爆音で耳を傷めてしまいます。最大音量の固定は心配になると思いますが、KA17を外すと普段の音量に自動的に戻ります。それでも心配な方は音量は何をするときでも最小値から徐々に上げる事を徹底してください。

Xperia 5 IIとKA17の接続自体は難しいことは無く、順番を守っていれば問題なく認識されます。こういうところでストレスフリーというのは良いことです。amazon等で数多ある同様の商品ではそもそも認識しない。認識するけどコツが有る。そのコツを見つけるのに試行錯誤が必要等があったりします。中華製品では割とよくあることですので、その過程も楽しめる方は自己責任となりますが国内代理店取扱いの正規品に拘る必要はないかもしれません。程度はどうあれ国内代理店のサポートを受けたいのであれば国内代理店扱いの正規品を購入して下さい。

 

2.2.1. Apple Musicアプリで試す

KA17の接続後にandroid用のApple Musicアプリ(Ver.4.7.0-bata(1356))を起動します。

2.2.項の通り接続自体に難しいことはありません。KA17をXperia 5 IIに接続するだけで認識してくれます。

 

※音源は192kHz、KA17のLCDに192kと表示

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※音源は176.4kHz、KA17のLCDに192kと表示

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※音源は96kHz、KA17のLCDに192kと表示

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※音源は48kHz、KA17のLCDに48kと表示

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※音源は44.1kHz、KA17のLCDに48kと表示

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android用のApple Musicアプリの画面、UIはiOS版と大きく変わったところはありません。

そしてiOS版同様に「再生」キーの上の「(ハイレゾロスレス」表示がありますので、そこをタップし音質のチェックをします。

気になるところはアプリでは176.4kHz表示がKA17では192k表示です。また、アプリが44.1kHzなのにKA17では48k表示となっています。音源48kのみ一致していますが、96k以上も192k表示となっています。

これはandroidApple Musicアプリの仕様又はandroidスマホの仕様と考えますが、(ハイレゾロスレスがロッシーにダウンサンプリングされているわけでもなく、ロッシーがロスレスロスレスハイレゾロスレスにアップサンプリングされているわけではありませんので、(ハイレゾロスレス音質で聴く事は出来ていると云えます。

 

2.2.2. amazon musicアプリで試す

次にandroid版、amazon musicアプリ(Ver17.15.6で検証)も試してみます。

私はamazon musicアプリはバージョンアップの度に何かしら不具合が出るので古いバージョンを使っています。iOS版は機種交換時に勝手にアプデされたので最新にしていますが、android版は古いバージョンのまま使っています。

 

※音源は192kHz、KA17のLCDに192kと表示

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※音源は96kHz、KA17のLCDに192kと表示

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※音源は48kHz、KA17のLCDに192kと表示

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※音源は44.1kHz、KA17のLCDに192kと表示

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amazon musicで聴きたい音楽を選択した際に曲名の上に黄色い文字で「ULTRA HD」または「HD」と表示がありますので、そこをタップすると現在の音質が分かります。

 

 音質・・・ここが24bit/48kHz以上であればハイレゾ音質

 端末の性能・・・ここが当該端末の再生可能なファイルの音質の最大値

 現在・・・ここが実際に再生できている音質

 Codec・・・ここが再生中のデータ形式

 ※上記はVer.17の時。最新はiOS版Ver.24と同様に表記等異なります。

 

通常は端末の性能が配信されている音源の音質よりも高くなります(あくまでも端末の性能に依存)。例えば音源(音質の値)がハイレゾ音楽データ24bit/96kHzで端末の性能の値と現在の音質の値が同じであれば、「ちゃんと」ハイレゾ音質で聴くことができています。

また、そもそも先述の「ULTRA HD」表示ではない、「HD」表示される配信楽曲はCD音質(16bit/44.1kHz 1000kbps前後)となります。 

実際にアプリで表示されている(音源の)音質と(再生している)現在(の音質)は一致しており、これはiOSamazon musicアプリとは挙動が異なりandroid用アプリの方が正しい動きをしている様に見えます。しかし、KA17の表示は全ての曲でアプリの端末の性能と一致した値192kを表示となっていますので、実際に再生している値が現在の値の筈なのに、端末の性能に依存する「再生できる最大値」を表示しているようです。

amazon musicアプリのこの仕様だけは本当に理解に苦しみます。そういう意味ではアプリからの出力が正しく機能しているのはiPhone等のiOS端末のApple Musicアプリのみ。androidApple Musicアプリも48kHzを除き、44.1kHzが48kHzや96kHz以上が192kHzと異なりますので、androidスマホはKA17の表示が微妙に異なっていることになります。

 

実際のところ、amazon musicが端末の性能最大値にアップサンプリングして出力しているのかどうか確かめるすべもありません。それでも音源がハイレゾ音質ならばそれはハイレゾで聴く事が出来ています。問題となるのはロッシー配信とCD品質のHD音源が意図せずにハイレゾ相当にアップサンプリングされていなければ良いので、従来の全てロッシーで配信されていたころに比べれば高音質で色々な音楽を定額で楽しめるのは(ハイレゾロスレス音楽配信サービスの良いところです。

 

個人的にはamazon musicはPCオーディオ用として作業中BGMとして活用しています。スマホApple Musicをメインで利用しています。今後WindowsでもApple Musicのロスレス配信に対応する噂もありますので、それまでは併用で我慢です。

 

2.2.3. サードパーティー製の再生アプリで試す

更にandroid用の他の再生アプリとしてUAPP(USB Audio Player PRO)アプリ(Ver.7.0.2.0)で手持ちのハイレゾ音源をSDカードに入れて再生した場合はどうなるのか?を試してみました。

 

※音源はFLAC、44.1kHz、KA17のLCDに44.1kと表示

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※音源はFLAC、48kHz、KA17のLCDに48kと表示

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※音源はFLAC、96kHz、KA17のLCDに96kと表示

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※音源はFLAC、192kHz、KA17のLCDに192kと表示

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結果は音源通りにKA17は表示しました。44.1kは44.1k、48kは48k、96kは96k、192kは192kと期待通りの結果になります。

Xperia 5 IIとKA17ではサンプリングレート表示は問題なく手持ちのハイレゾ音源をそのままの音質で再生できることが分かりました。

なお、ダウンロード購入した音源ファイル形式がAAC-LCの場合、ロッシー音源です。その場合KA17の表示も44.1kHzとなりますので、UAPPの画面で320kbps以下がロッシーです。CD音質は同じ44.1kHzでも1000kbps前後となりますので誤解の無いようにお願いします。 

 

2.2.4. KA17接続時の注意点

最後にandroidスマホXperia 5 IIでKA17をUSB-DACとして使用する場合の注意点を以下記載します。記事は5 IIで検証していますが、android 12のスマホならば独自のandroidカスタムOSを除き同じ考え方です。

 

通常の音量調整とは異なる

5 IIにKA17を接続した場合、5 IIの音量出力「メディアの音量」を最大値に固定してください。

音量調整はその代わり、KA17本体のボリュームで調整できます。

 設定メニュー > 音設定 > メディアの音量

で音量を最大値に固定します。

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実際には最大値でなくても構いませんが、KA17のボリュームを上げる必要がありますので、5 IIの方である程度上げておくと、KA17で微調整しやすいです。

またこの設定は、必ず5 IIとKA17を接続した状態で行ってください。5 IIがKA17を接続した場合の初期値として記憶してくれます。5 II単独で行うと爆音で耳を傷める可能性があります。

 

KA17接続時の挙動

インストールしているアプリによってKA17を5 IIに接続した直後に表示されますが、その時は基本的にキャンセルで構いません。実際にアプリを使うために起動した際、再度確認されますので、その時には許可(OK)を選択します。

 

※KA17を5IIに接続した画面。アプリ選択が出ますがここではキャンセルします

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※UAPPアプリを起動した画面

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例としてKA17を接続した状態でUAPPアプリを起動するとKA17へのアクセス許可をするかどうかを確認するメッセージが表示されます。KA17をUSB-DACとして接続したままUAPPアプリで再生する場合は、基本的に「OK」を選択してください。誤ってキャンセルを選択した場合は一度Xperia 5 IIからKA17を外し、改めてKA17を接続してください。改めて確認メッセージが表示されます。

 

2.3. KA17とiPhone SE3(第三世代)の接続

最後にiPhoneとの接続です。

私のiPhoneはSE3ですのでLightning端子です。USB-DACのレビューで毎度のことですが、そろそろ独自規格のLightning端子を廃止して欲しいと切に願います。

というのもLightning端子が厄介でMFI認証という壁に加え、他にも供給電力制限が存在している為にサードパーティー製品は対応を謳っていても実際に使ってみないと分からないというのが現状です。今回はddHiFiのLightning-USB Cケーブルで問題なく使える事を確認済みですが、今回はAliExpressで購入したLightning-USB Cケーブルで検証していますのでご容赦ください(※本記事2.1.1.項参照)。

 

接続の手順を以下説明します。基本的にiPadも同様となりますが、接続に使うケーブルが付属のC to Cケーブルに変わります。

 

始めにLightning-USB CケーブルのUSB C側をKA17本体のUSB C端子に接続し、Lightning側をiPhoneのLightning端子に接続します。

次にKA17にイヤホンを接続します。

最後にiPhoneApple Musicアプリ(iOS17.2.1 ※OS依存)を起動します。

 

接続に難しいところはありませんし、サードパーティ製Lightning-USB Cケーブルで問題なくKA17を認識しています。

 

※音源は192kHz、KA17のLCDに192kと表示

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※音源は176.4kHz、KA17のLCDに176.4kと表示

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※音源は96kHz、KA17のLCDに96kと表示

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※音源は48kHz、KA17のLCDに48kと表示

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※音源は44.1kHz、KA17のLCDに44.1kと表示

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動作確認の結果はアプリで音源が44.1k表示のものはKA17でも44.1k表示となり、確認した限り音源通りに出力され再生できています。また、iPadも同様に音源のサンプリングレート通り正しくLCDに表示されます。

 

なお、iPhoneiPadiOS端末の注意点があります。

音量が小さすぎる又は大きすぎる等の音量調整がうまくいかない場合、以下の設定をお試しください。

 設定 > ミュージック > オーディオ項【音量を自動調整】

の「オン」「オフ」を試してください。

 

※画像は「音量を自動調整」がオン。「ドルビーアトモス」はオフ。

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私はiPhoneでもiPadでも「オン」の方が音量が調整しやすかったです。「オフ」にすると音量が大きくなります。

個々の設定により変わるかもしれませんが、音量に困ったときにお試しください。

 

2.4. FiiO Controlアプリとの連携

ここではandroidスマホを例に紹介します。FiiO製品の設定を管理できる「FiiO Control」アプリと連携することができます。

先ず、androidスマホとKA17を付属USB C to Cケーブルで接続し、アプリを起動します。このアプリではKA17のイコライザ機能ON/OFFとイコライジングが可能です。というか、それしかできません。イコライザ設定は一度設定してしまえばKA17に記憶されます。

それでは以下、アプリの導入編です。

 

先ず、google play storeから「FiiO Control」アプリ(Ver.3.19で検証)をインストールします。

インストール後、前述の通りKA17とスマホを付属USB C to Cケーブルで接続します。

 

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スマホにKA17が認識されるとアプリへの権限付与が求められますがここでは一旦無視してください。

次にFiiO Controlアプリを起動します。

 

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アプリ起動後、デバイス選択でKA17を選択します。

 

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アプリの権限を求められますので「OK」を選択。


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注意メッセージが表示されますので「OK」を選択。


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アプリ画面が使えるようになりました。

購入初期(本体で設定を変更していない場合)状態でイコライザ設定のデフォルトは「オフ」です。

イコライザ機能を有効にするには画面右上のスライドバーをタップしてください。

アプリを終了する際は画面左上の「<」をタップしてください。


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画面左上の「<」をタップすると、FiiO Controlアプリの接続デバイス選択画面に戻ります。

現在接続されているデバイスが赤文字で「接続」と表示されています。

 

アプリにはこれだけの機能しかありません。

率直にアプリを使わなくてもKA17を使う上で困ることはありません。KA17本体で各種機能の設定が可能ですし、イコライザ機能のON/OFFもできます。アプリは積極的にイコライジングしたい方には有用だと思います。

 

2.5. 本体設定

2.4.項の通りアプリはイコライザ機能を使わない方には無用です。ですが、KA17ではほぼ本体で設定が可能となりますので、困ることはありません。

設定項目は以下の通り

  • LANGU(表示言語)
  • VERSION(本体ファームウェア番号)
  • RECOVER(工場出荷状態へのリセット)
  • GAIN(ゲイン)
  • FLT(デジタルフィルタ)
  • VOL・STEP(音量調整ステップ数)
  • S/PDIF(デジタル出力)
  • ADV・L/R(音量の左右バランス)
  • DIMMER(画面輝度)
  • MQA(MQAファイル再生)
  • EQ(イコライザ機能有効)
  • MAX・VOL(最大音量)
  • ROT・DISP(画面上下回転)
  • OFF・DISP(画面消灯時間)
  • U・AUDIO(出力モード)

本体のファンクションボタン(∞)を長押しすると設定メニューが表示されます。

上記の設定項目の何れか表示されていますので、必要に応じボリュームの「+/-」ボタンを押して変更してください。

別項目を設定したい場合はファンクションボタンを短押しして切り替えます。押す毎に項目が変わっていきます。

再度ファンクションボタンを長押しで確定し再生画面に戻ります(キー操作しないと自動的に戻ります)。

 

ちなみに個人的なお勧めの設定は以下の通りです。

  • GAIN(ゲイン):LOW
  • FLT(デジタルフィルタ):MINI(Minimum Phase fast roll-off)
  • VOL・STEP(音量調整ステップ数):120
  • ROT・DISP(画面上下回転):OFF
  • D MODE(外部給電):OFF(注:本体物理スイッチ)

ノイズの少ないクリアで情熱的な音を楽しめます。

 

それでは次項ではいよいよKA17の音質を確認してみます。

 

 

3. FiiO KA17の音質レビュー

3.1. 試聴機材

前項までにKA17とiPhone及びXperia 5 IIとの接続テストと、アプリを含めたKA17の設定を行いました。

ここからは実際にKA17の音質を試してみたいと思います。

今回はandroidスマホSony Xperia 5 IIで試してみます。

イヤホンは先述の通り、HIDIZS MP145を4.4mmバランス接続、再生アプリはUAPPを用います。

KA17は2.5.項の個人的お勧め設定にしています。

 

※HIDIZS MP145の音質について過去記事もご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

3.2. KA17を使用した音質

それではXperia 5 IIにKA17をUSB-DACとして接続し実際に聴いてみます。

 

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ソースはいつもの宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先ず一聴して驚きから入ります。これまでのFiiOとは異なる印象です。FiiOと云えばTHXアンプを採用してからはクリアで高解像度。だけど無味寒色というクールさの塊は悪く云えばデジタル音。アナログさというか暖かみの無いドライな音という認識でしたが、やられました。これは良い。何が良いって、確かにクリアで高解像度の音は良い音なんですけど、やっぱり長く付き合うには面白くない音。飽きが来てしまうし最新製品の方がもっと良くなっているかもしれないという探求の旅が終わらないこと。電子デバイスは日進月歩なので当たり前ですが、終わりが見えないのです。しかもショートスパンで、です。これって結構重要で、何事も程々って大事なんです。特に趣味の世界では。

話を戻せばKA17はTHX 78+という従来品のアップデート版を採用しています。これが功を奏したのか、それともチューニングを変えてきたのかわかりませんが、兎に角従来のデジタル臭を抑えたウォームさを感じる音。クリアで高解像度を最優先した攻撃的で隙の無い音とは違う、暖かさを感じながら情熱的な音の唸りが音楽は余韻を楽しむものという事を思い出させてくれます。そう。つまりここをゴールとしても良いと思う程に。

華やかさを感じられる中高音と締まった低音は分かり易く高音質という印象。高音は華やかで伸びやか。中音は音場が広く音の分離も良く聴きやすい。くっきりはっきりと音を鳴らしますがエッジが立つ研ぎ澄まされた感覚ではない。音の輪郭を捉えながら、自然な音の響きを感じられる様な鳴り方です。その分、解像感は重視のくっきりはっきりとまでは届きません。音の輪郭十分に感じられますので、この鳴り方が好きな方にはドングルDACの中では欠かせないものになりそうです。

低音は大別すれば締まっている鳴り方ですがタイトというよりは、強調されていない自然な響きを残した適度に締まった印象です。深みや濃厚な音の低音とまではいきませんが中低音の暖かさを感じる響きが心地良さがあります。

KA17は全体を弱ドンシャリとした僅かに中高音域寄りの暖かみのあるリスニングサウンドという印象です。

 

次に同クラスの商品のShanling UP5との比較です。

先ずUP5の音質傾向ですが、音場は広めです。高音もUP5では煌びやかで響きの良さを感じます。低音はUP5でも量感が控えめですが、芯が感じられ締りとキレは良好。ベースラインは追いやすく、重低音は沈み込みも深く、芯の強さもあります。中音はUP5が高音同様に響きが良く華やかさがありますが、団子感やゴチャつきを感じません。ボーカルはクリアで自然な位置からクリアで聴きやすい。UP5は一言で云えば中高音寄りのフラット寄りのリスニングサウンドという印象です。

KA17との比較では一言で云うとUP5の方が大人しく暗い音。KA17の方が中高音がくっきりはっきり煌びやかさがあり伸びも良い。明るく華やかに鳴らします。UP5の中高音は適度な主張と響きはKA17よりも自然な印象。低音は量感はKA17とほぼ同じ。UP5の広がる低音はKA17よりも緩い印象です。KA17の方が締まった鳴り方ですが、UP5よりも適度な締まりと雰囲気のある鳴り方を両立させています。

まとめるとUP5に比べKA17は明るくくっきりと鳴らし情緒を感じられるリスニングサウンド。一方のUP5はそれと比べるとモニター寄りに感じられます。その分、やや暗めに誇張なく音を自然に鳴らす印象です。

どちらも良い音ですが用途に応じて使い分けが可能と云うのが素直な感想です。

 

次に同社BTR7との比較です。

BTR7は華やかさな中高音と締まった低音の一聴して分かり易い高音質という印象です。高音は華やかで伸びやか。中音は音場が広く音の分離も良く聴きやすい。特にくっきりはっきりと音を鳴らす傾向があります。一方でそのくっきりはっきりはやや癖がある印象を受けます。適切な表現はし辛いですが、ナチュラルな感じではなくデジタルっぽい創られた鳴り方です。その分、くっきりはっきりと聴こえますし、音像の輪郭が感じやすく、クリアな音場に高解像度です。低音は締まりのあるタイトな鳴り方。不自然に強調されていない分、あっさりとした印象です。そのため深みというか濃厚な音の低音ではないので注意が必要です。BTR7は全体をフラット寄りの弱ドンシャリ。やや中高音域寄りに鳴らす明るいリスニングサウンドという印象です。

KA17との比較ではBTR7の中高音域がデジタルっぽい音に対し、それを抑えて自然な響きを聴かせてくれます。どちらもくっきりはっきりと音の輪郭を掴みやすいですが、BTR7の方がエッジが立ち輪郭がはっきりしています。一方のKA17は波打ち際のような残像を感じられます。低音では割とあっさりとしたBTR7に対しKA17は情緒を感じられる暖かさや深みを感じられます。音場はどちらも広めで窮屈な印象はありません。

まとめるとBTR7に比べKA17はデジタルっぽさを抑え自然で明るくくっきりと鳴らし情緒を感じられるリスニングサウンド。一方のBTR7はそれと比べるととにかく明るく華やかなリスニングサウンドです。

どちらも音楽を楽しく聴く事ができるリスニングサウンドですが、従来のFiiOサウンドのBTR7に対し、より音楽的なサウンドのKA17という新たな選択肢と云えそうです。

 

最後にデスクトップモードを試してみます。

 

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KA17本体のD MODEスイッチをONにし外部電源を接続します。私はANKERのPD充電器を使用しています。

一聴して全体的に躍動感がでてきます。音が暴れるのではなく音の強弱の波がうねり音が強く欲しいところを強く、弱く繊細に聴かせたいところはより詳細に聴かせてくれます。KA17の音質傾向をそのままに躍動感の音はレベルが高く、高音質と云えます。

そしてKA17のデスクトップモードは外部給電によりミドルクラスのDAPと遜色の無い音を楽しむ事ができます。これはスマホで音楽を楽しんでいるユーザーに手軽に有線イヤホンを楽しむ事ができますので面白い機能と云えます。

 

4. FiiO KA17のまとめ

さて、FiiO KA17はドングルタイプのUSB-DACアンプとして動画や音楽を高音質で楽しむ事ができる商品です。本体サイズも他社の同価格製品と比較してほぼ同じサイズ感はコンパクトな商品と云えます。特にスマホ音楽配信サービスや動画を利用している方に良い音を手軽に楽しめことができるようになります。

KA17は販売価格が2万円半ばとドングルDACアンプ商品群の中では他社よりも手が出しやすい価格帯となります。機能面でもディスプレイ搭載により直感的に操作可能。アプリは役に立ちませんが、本体だけで設定可能なので使い勝手は良く、その音質について満足できる商品と云えます。

現在(2024年3月29日)はamazonECサイト、国内家電量販店店頭等でも発売されており、入手しやすいのも利点の一つです。KA17は機能に対し満足感の高い価格と云えますが、AliExpressでは約2万円とより安価に購入できます。しかし万が一の保証の際のリスクが有ります。勿論保証の面からは安心確実な国内正規代理店取扱品の購入が安心ですが、あまり評判が良くないのが玉に瑕。それならば、自己責任の安い方が良いと個人的には考えています。

 

 

あとがき  

あとがきとして、今回は久しぶりに中華製USB-DACアンプの取り上げてみました。中華F社は純粋なオーディオ製品というよりもガジェットに寄せた機能を取り込んだオーディオ製品という製品を得意としており、何故この仕様?という製品を販売することもありますが、偶に当ててきますので、無視できないですね。とはいえ、売れれば限定商品を追加生産したり、売れなければ即終売と既存ユーザーの意向は無視する企業ファーストは折角良い商品でもちょっと個人的にはお勧めし難いです。加えて本国との価格差が大きい代理店構造も個人的にはお勧めし難いです。とはいえ、この商品を気になっている方に少しでも参考になれば幸いです。

今後も低価格?を中心に、複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンや、中華DAC及びヘッドホンアンプにも挑戦していきたいと考えています。気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

※2024/4/5 3.1.項にMP145レビュー記事リンク追加