みぃねこの備忘録

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Celest Pandamon レビュー

こんにちは。

今回はいつもの中華イヤホンレビュー編として、中価格A5000-U10000帯で発売された1PD、平面駆動モデルのCelest Pandamonについてレビューをまとめたいと思います。

国内amazonのHiFiGoで取扱があります。

 

 

HiFiGoのサイトはコチラ

Kinera Celest Pandamon 10mm Square Planar Driver In-Ear Earphonehifigo.com

 

 

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1. Celest Pandamonについて 

CelestはKineraのサブブランドです。Celestと云えば、1BA+1PDハイブリッドモデルのGumiho(九尾)が記憶に新しいですが、そのGumihoで採用された平面磁気駆動(PD)はSquare Planar Driver(SPD)という他社とは異なったドライバだったことと、BAとSPDのデュアルドライバだったこと話題になりました。一般的なドライバは円形となりますが、このSPDは名前の通り四角形のドライバとなります。加えて、PDドライバモデルが6,000円台という安価な販売価格インパクトがありました。そして今回同社はこのSPDを改良した第二世代SPDを一基搭載したモデル、Pandamonを今年最後に登場させています。

2022年の中華イヤホンのトレンドは平面磁気駆動ドライバだったと云えます。昨年までは平面磁気駆動ドライバ搭載モデルは中価格A10000-U20000帯で発売されており、今年同価格帯でTrnがKirinを発売。その販売価格は10,000円台後半でしたが、そこにKZ系ブランドもCCA PLA13を皮切りにKZ PR1を二つのEditionモデルを発売し販売価格10,000円前後と従来の価格帯を大きく下回って登場させ、手を出しやすくなりました。

そこにCelestが更に安価なGumihoを発売し、前述の通り今回のPandamonの発売と攻勢をかけています。

 

※Pandamonのf特(メーカーHP抜粋)

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以前レビューしたKZ PR1同様にメーカー発表のf特を引用します。グラフからはやや高音域寄りにピークがあり、2kを少し超えたところに最大ピークがあります。そこからは高音域に掛けてやや右下がりに振れ幅も大きめに上下しています。音域全体でみるとf特は凹傾向ではありますが、中音域の凹みの少ない高音域寄りのフラット傾向であることがわかります。

 

※CCA PLA13のf特(メーカーHP抜粋)

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次に比較としてKZ系ブランドのCCA PLA13では高音域はPandamonと同様に2kと3kの間に高音域のピークがあり、そこからやや右下がりのグラフです。傾向は同じと云えますが、異なるのは振れ幅が小さめで上下幅も大きめということ。それは高音域になるほど顕著です。そして低音域に最大ピークがあり、高音域の最大ピークよりも高くなっています。音域全体を見ると中音域が凹むよくあるドンシャリサウンドのf特性となっています。

実際にPLA13を聴いてみると低音がしっかりと鳴るドンシャリサウンドなので、見たままという印象です。

 

※Trn Kirinのf特(メーカーHP抜粋)
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Pandamonのf特をみて思いつくのはTrn Kirinです。価格帯は一クラス上となりますが、Kirinのf特とPandamonのf特は全体的に同傾向の印象です。

実際に聴き比べてみると全体の印象は似ていますが、高音域の繊細さと低音域の質感は流石の中価格A15000-U20000帯モデルと云え、PLA13の方が華やかな高音域ですが、低音域も抑えられており、高音やや強めのフラット寄りのドンシャリです。実際の出音は低音域は抑えられたタイトな鳴り方。解像感の高い高音域はPLA13と比べ、華やかでありながらしつこさの無い繊細な音は耳障りが無く、一クラス上の音質を感じられます。

 

以前のレビューでも考察した通り、f特は出音の参考にはなりますがそれで音質が分る訳ではなく聴いてみて音質を評価することが一番だと個人的に考えています。そういう意味ではCelest Pandamonがどのような音を聴かせてくれるのか?楽しみです。

 

さて、Celest Pandamonのスペックですが今年の中華イヤホンのトレンドの一つ。流行りの平面磁気駆動ドライバを片側一基搭載したシングルドライバ構成のモデルです。

先述の通り、PandamonのドライバはCCA PLA13等の平面磁気駆動モデルで採用された直径14mm前後の円形ドライバとは異なり、10mm x 10mmの四角形のドライバを採用しています。PDの円形と四角形の優劣は分りませんが、同社のGumihoに採用されたSPDから第二世代SPDに進化したドライバが採用されています。

イヤホン本体にはステムノズル一体型の樹脂製シェルが採用されています。その名を冠するキャラクターがSUSフェイスプレートにデザインされ、造形も半球体と特徴的となっています。

 

※宜しければ平面駆動ドライバの搭載モデルの過去記事もご参考ください

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Celest Pandamonの納期として今回HiFiGoでオーダー、1週間強で届きました。現在(2022/12/16)は国内amazonでも取扱がありますが、本国発送ですのでHiFiGoでのオーダーと同程度の納期となります。昨今、HiFiGoやAliExpressで購入した本国発送の場合でも以前の様な感染症の影響で遅延は少なくほぼ回復したと云えます。尤も、万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかるのが、海外通販のリスクです。

そんな訳で一般的に海外通販での購入は国内通販で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが偶に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットがありましたが、最近では円安でその恩恵も受け難く、国内では入手できない商品を早く手に入れる事がメリットと云えます。それらを天秤にかけた場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. Celest Pandamon実機レビュー 

それでは、実機レビューを以下、まとめていきます。


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パッケージングはイヤホンフェイスプレートが外から見える紺色を基調としたもの。箱の表には商品名キャラクターを印刷したスリーブタイプの化粧箱です。
箱の裏にはイヤホンスペック等が記載されています。

 

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スリーブを外すと内箱の白地の台座にイヤホンが収納されています。

ここにもイヤホン名キャラクターが居ます。


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内箱の内装を外すと箱の底に付属品が収納されています。

 

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付属品は2種のシリコンイヤーピースS、M、Lが2セット。ケーブル、ケーブルバンド、クリーニングブラシ、イヤホンポーチ、ブックチャーム(栞)です。中価格A5000-U10000帯として十分な付属品となります。

 

※クリーニングブラシ

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※イヤホンポーチ
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※ブックチャーム(栞)

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次にイヤホン本体を見ていきます。

 

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先述の通りシェルは半球体です。SUSフェイスプレートのキャラが注目されてしまいますが、イヤホンの造形の方が寧ろ特徴的です。シェル自体は樹脂製で比較的厚みはそれ程ありません。ビルドクオリティには問題を感じられず、中華イヤホンで心配されるような雑なところ感じさせません。低価格帯でよくあるシェルの合わせ面等のズレや隙間は無く綺麗に仕上がっています。

カラーバリエーションは黒色のみ。

 

次にケーブルをみていきます。

 

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付属ケーブルは4芯OFC線、撚線のグレーカラーです。プレイヤー側コネクタはI字タイプ。イヤホン側はフラット2ピン仕様。極性はKZと同じ極性の上側がプラスです。この付属ケーブルは被膜に多少引っ掛かりがありますが、タッチノイズは殆ど感じません。肝心の耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的に柔らかくしなやかなものとなり取り回しは悪くありません。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、私はこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

続いて他機種とのサイズ感や造形の比較です。

 

※画像左からKZ PR1 HiFi Edition、Celest Pandamon、KZ PR1 Balanced Editoin

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Pandamonは小ぶりの半球体シェルが特徴的。KZ PR1 Balanced EditionとHiFi Editionは基本的に同じシェルです。そのため、一般的なサイズ感のPR1が大きく見えてしまいます。Pandamonのシェルはやや薄め。PR1は一般的なイヤホンと比べるとシェルの厚みがあります。Pandamonはフェイスプレートが金属プレートを樹脂シェルに被せるタイプでPR1と同じ。そのコンパクトさからもPandamonは軽量となりまが、装着時にはその装着感の良さから殆ど気になりません。

ステムノズルの長さや太さと角度はPandamonは太くやや短め。角度はやや起きています。

また、ステムノズル部には三機種全てにフィルターがあり異物混入による故障を防げます。Pandamonの金属フィルタはオレンジの輪切り状というか車のスポークホイールといった感じの特徴的なものです。音質に影響があるタイプではなさそうです。

そして、シェル本体の形状と付属ケーブルからは三機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、装着感はステムノズルの長さや太さに影響がありますので、イヤーピースのフィッティングは重要となります。

 

最後に付属イヤーピースです。

 

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付属イヤーピースは音質の好みで使い分け可能な2種のタイプです。黒傘赤軸はバランスタイプ。黒傘黒軸は軸短め傘低めの開口部が大きいもの。こちらはボーカル等の中音域をしっかりとさせるにタイプです。

音質的には好みにもよると思いますが、赤軸タイプのバランスが個人的にはしっくりきました。この赤軸イヤーピースを私は耳の奥に栓をするように装着しフィットしています。

低価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じます。今回は付属のイヤピで上手くフィットした為、そのまま使用しました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感はもとより音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えない他社製へ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. Celest Pandamon音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音に脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

昨年はSony NW-ZX507を使用していましたが、やや演出感のあるドンシャリはメリハリがありグルーブ感のある音はSonyの音で音楽を楽しく聴く事が出来ました。しかし、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5の方がモニターライクながらも、決してつまらない音ではなくリスニングでも使えて万能と考えたからです。

Shanling UP5をUSB-DACとして使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

 

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属赤軸 Mサイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「低音がしっかりと鳴り、高音域は華やかで明るく派手に鳴らす。平面駆動らしい高音と中音域に解像感を感じられる音」でした。注意点としては音量がやや取りにくく普段よりもややボリュームを上げる必要があります。

箱だしでは高音域にやや荒さと膨らむ低音は緩さを感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音は締まった音になり高音域も荒さが落ち着きました。

 

音場

普通からやや広め。前後の奥行を感じられ、左右の空間に広さも感じられます。

 

高音域

煌びやかで明るい鳴り方は、必要十分な華やかさを感じるような鳴り方です。必要以上にキンキンと鳴ることもなく、適度な煌びやかさは響きも良く、キレの良い音。超高音域までの伸びはそれ程ありませんが、不快な高音域の刺さりや尖りを感じない整った音は存在感も十分です。悪く云えば音圧は乏しく、描写がやや甘く丸い大人しい音。良く云えば高音域に過不足のない解像感が高いシャープな音。ドライバ一基のモデルとしてはしっかりと鳴る高音域は刺さりや尖りは感じない、不愉快に感じない上手く整えた印象です。繊細に鳴る音はやや線が細く聴こえますが、細やかな音を描写はしっかりとしています。

 

中音域

空間はそれ程広さを感じられませんが、狭くはない普通の音場。その空間に華やかに響く音は繊細さも持ち合わせており、平面磁気駆動ドライバの特徴でもある片側一基のドライバで複数ドライバのような音数の多さを再現しています。それでも複数ドライバでよくあるような音が重なり中心に集まる団子感や音がゴチャつく印象は少なく、整理された分離の良さ感じます。高音同様に解像感の高さを感じ、音の大小を適切にびょうしゃする繊細さもあります。ボーカルはクリアで自然な位置から聴かせてくれ、ややドライ気味なものの息遣いを感じられます。

 

低音域

量感は適度に抑えられ、余韻を楽しむような広がりはそこまでありませんが、カチカチのタイトな面白みのない音ではありません。適度に強さのある芯を感じられる締まった音。全体的な印象として締りとキレは良好で音の強弱や音階を淡々と描写する。ベースラインは追えますが、前に出すぎる事はありません。重低音の沈み込みはそれほど深さを感じませんが、芯の強さを感じる音。

 

出音のバランス

一言で云えば華やかで明るい中高音寄りの弱ドンシャリ。出音はやや高音の主張が強く低音は適度に強さがあるので万人受けするバランスです。やや高音強調の弱ドンシャリバランスに感じられます。

 

高音の華やかさは嫌味の無い感じですが、低音もしっかりと鳴るバランスからはやや誇張された印象を受けますが、不自然さを感じない。例えば誇張された高音は煌びやかで響きも良く華やかに明るく鳴り解像感を高く感じてしまいますが、現実味の少ない金属の響きだけが耳に残る不自然さがあります。Pandamonの高音はそれに比べると地味な音に聞こえてしまうかもしれませんが、僅かに強調することで解像感と音楽性を両立させたちょっと賑やかな位の印象。小さな音を繊細に描写してくれますが輪郭はやや甘め。超高音までの伸びももう少しといったところ。強めの音でも尖りはなく、小さな音はかき消されずに耳に届きます。大袈裟に演出された音ではない、少しだけ解像感の高さを感じられる様に調整された音は、描写力よりも音楽性を重視した音です。

中音も高音域同様に華やかさがあります。凹みを感じ難く縦横の空間を感じられ、楽器の音はボーカルの周りやや後ろ辺りの離れた位置に感じられる立体感はありますが、曲によって平面的に感じられる事があります。中音域の音は統制されており、空間の見通しも良くクリアです。音の描写力は良好で解像感の高い分離の良い音を感じられます。

ボーカルは自然な位置から聴きやすく、高音や低音の音に埋もれません。中音に重なり、かき消されることはありません。声色はややドライ気味なものの息遣いを感じ、クリアに聴こえます。

低音は量感は適度に抑えられ、余韻を楽しむような広がりはあまり感じません。強さのある音は、芯がありダイナミックさもある締りの良い音はキレも良い鳴り方です。思ったよりも万能な低音域はアップテンポな曲から低音はバラードなどのしっとりとした雰囲気の良い曲との相性も悪くはありません。中高音寄りの弱ドンシャリの出音は決して低音を疎かにしていません。

重低音は沈み込みはそれほど深くありませんが、芯のある強さがあります。明るく華やかに鳴る高音中音域をキレの良い低音は音楽を聴く楽しさを感じられます。

 

PLA13との比較ではPandamonの音はPLA13に似ていて、高音域の華やかさをやや抑え、低音域もPLA13程の主張をしていない価格帯が上のクラスでよくあるバランスはPLA13とはf特が似ていても音質傾向が異なりました。Pandamonの方が高音域中心に低音域も適度に聴かせることでバランスの良い音づくりという印象です。そういう意味でPLA13はKZ系のドンシャリサウンドから抜け出せずにいる事が窺えます。一方、Pandamonは平面磁気駆動モデルのエントリーモデルとして、その販売価格からも最適と云えそうです。高音域の華やかさは適度に感じられ、平面駆動ドライバの特徴である複数ドライバの様な解像感の高いサウンドを感じられます。低音域は無暗に強く鳴らさずに高音中音域を邪魔せずに寧ろ質感は高い音。

とはいえ、ネガティブな面もあります。高音域では繊細な音を意識してやや線が細くなる部分もあり、上まで伸びはそこまで感じません。SPD第一世代の音は分りませんが、メーカーではこの第二世代SPD全音域を満遍なく鳴らせるようにしているらしいので、GumihoがBAとのハイブリッドだった理由がそこにあるのかもしれません。

 

次に販売価格帯が一クラス上となりますが、Trn Kirinとの比較です。あくまでも販売価格帯が違いますので参考程度となります。

先ず、同じ平面磁気駆動ドライバと云ってもKirinは直径14.5mmとPandamonの一辺10mm角のSPDとは異なります。先述の通りf特でもPLA13よりもKirinの方が似ていて、聴き比べても似た傾向の音と云えます。これはf特というよりもどのような出音にしたいかというメーカーの意図が似ていたと推察します。

Pandamonは高音域が明るめの華やかな音ですが、Kirinの高音域は華やかさもありますがそれよりも繊細な音を聴かせてくれます。一言で違いを云えばKirinは品のある高音です。Pandamonも同価格帯の複数ドライバモデルと比べると悪くない。寧ろ良さがありますが、音の描写、解像感はKirinに軍配が挙がります。これは価格差におけるドライバの質の影響と云えます。

低音はKirinはよりタイトな鳴り方。量感はそれほどありません。低音だけならばPandamonも遜色のない音の質感です。それでも低音の解像感はKirinの方に分がありますし、ドライバのコストは絶対性能と比例するという事が分かります。Pandamonも低音は同じ量感を抑えながら雰囲気を良く聴かせてくれますが、音の強弱が中心であり、Kirinの様な音階の表現力は今一歩。

そのためPandamonとKirinは近しいf特で出音が似ていても、違う音という印象を受けます。

とはいえ上位モデルとの聴き比べの話であって、Pandamonを聴いている限りやや高音域寄りの弱ドンシャリは高音中音域の繊細で高解像の音は、レベルの高い音と感じますし、KZ PR1 HiFi Editionの偏った音よりもバランスが良い音と云えますし、PLA13やPR1 Balanced Editionのドンシャリサウンドとは違い真面目な音質を目指した音と云えます。

 

※以前のTrn Kirinのレビューもご参考ください

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まとめるとPandamonは第二世代SPDを採用することで平面磁気駆動モデルのエントリー機として安価に平面磁気駆動ドライバを試してみたい方にお勧めできます。その音質傾向はやや高音域寄りの弱ドンシャリは高音中音域の繊細で高解像の音は、レベルの高い音と云えます。

Pandamonは今年のトレンドである平面磁気駆動ドライバを採用し、他社よりも安価な価格設定を独自のSPDにより実現してくれたモデルです。

なお、PLA13やPR1 Balanced Editionはリスニング用途としてのバランスの良さがあり、Pandamonはそれらよりも大人しい音質ですので評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   Kirin ≧ Pandamon ≧ PLA13 (質感の順)

中音   Kirin ≧ PLA13 ≧ Pandamon (質感の順)

低音   Kirin ≧ Pandamon ≧ PLA13 (質感の順)

ボーカル Kirin ≧ Pandamon ≧ PLA13 (質感の順)

 

 

4. Celest Pandamonの総評

Celest Pandamonはその奇抜なデザインとは裏腹に高音質を第二世代SPDにより低価格で実現しています。やや高音域寄りの弱ドンシャリは高音中音域の繊細で高解像の音は、レベルの高い音質であり、同価格帯の複数ドライバモデルを凌ぐ高音質を実現しています。今年のトレンドである平面磁気駆動ドライバを安価に試したい方にお勧めのモデルと云えます。

 

最後に、今回は今年12月に発売された中価格A5000-U10000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2022年12月16日)はHiFiGoで6,000円程度で販売し、国内amazonでは本国発送となっています。海外通販でもHiFiGoの発送は早く届くのも早い印象があります。これまでの中華イヤホンの中では手頃な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは十分満足できる内容となっておりますので、中価格帯中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、新製品を少しでも早く(安く)手に入れたい方はHiFiGoでの購入も検討してみてくださいね。

 

Pandamon

以下、付属ケーブル、付属赤軸イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★☆
分離★★★★★
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

 

PLA13

以下、付属ケーブル、付属白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★★
分離★★★★★
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

 

Kirin

以下、付属ケーブル4.4mm、付属白イヤピ M使用、Referenceノズル、DAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★★
分離★★★★★
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回はいつもの中華イヤホンの中価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後も低価格?を中心に、中華据え置き機器や複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ