みぃねこの備忘録

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NICEHCK DB2 レビュー

こんにちは。

今回はいつもの中華イヤホンレビュー編として、低価格U5000帯で発売された1BA+1DDハイブリッドドライバモデルのNICEHCK DB2についてレビューをまとめたいと思います。

 

国内amazonで取り扱いがあります。

 

AliExpressでも取扱があります。

https://aliexpress.com/item/1005006486403517.html

 

amazon USはコチラ↓

https://amazon.com/dp/B0CT5F6FHY/nicehck+db2/

HiFiGoはコチラ

http:// https://hifigo.com/products/nicehck-db2

 

 

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1. NICEHCK DB2 について 

NICEHCKはAliExpressやamazonでポータブルオーディオ製品を販売する中華オーディオセラーです。数多の中華ポータブルオーディオ製品を販売するだけでなく、セラーオリジナルの製品を販売しており、中華ポータブルオーディオファンには有名なセラーです。特にイヤホンの自社オリジナルモデルは他社のOEM供給ではなく、開発にも携わることでセラーオリジナルモデルの「音」を確立している希少なセラーはブランド価値を高めていると云え、かくいう私もその音に魅かれている一人です。なので個人的に近年はケーブル開発に注力していると推察される商品展開は少し残念な思いを抱えています。同様の業態として同じ中華セラーのY社が競い合いセラーオリジナルイヤホンを販売していたあの頃が熱くて一番楽しかったという想い出です。

そのNICEHCKが低価格帯王道の1BA+1DDハイブリッドドライバモデルを新発売すると発表があり、早々にオーダーしたのはやはり期待値の高さです。決して先行限定缶バッチが欲しかったわけではありません。勿論無事に入手できましたが(嬉)。

閑話休題

近年の低価格帯のトレンドは1DD、シングルダイナミックドライバモデルと云えました。各社は次々にダイナミックドライバの振動膜(ダイヤフラム)を新たに採用したり、ダイナミックドライバの空間であるキャビティ構造の設計に力を入れ採用した素材のスペックを売りにするのではなくドライバの性能を上げる事に注力し、従来のダイナミックドライバを凌駕する特性を得る事に成功しました。それは、低価格帯の制約条件の壁を打ち破ることに繋がりました。従来定番だった安価なDDの特性を補うためにBAを追加する手法は、二種類のドライバを組合せることのデメリット、クロスオーバー調整が音質評価の肝となっており、初期はそれぞれ無調整で二つのドライバが自己主張する頭の悪い音(当時は誉め言葉)を価格帯で実現し話題を呼び人気が出ましたが、イヤホン本来の「音質の良し悪し」というものによってそれぞれのドライバの出力を調整したり、クロスオーバー調整を念密にしたり。調整しすぎてBAが鳴っていない問題等も騒がれたりもしました。そんな過去を振り返りましたが、実際にはビジネス文化の違いは顕著で、端的に「苦労しても低価格では実入りが少ない」ため複数ドライバモデルは廃れ、代わりにダイナミックドライバが見直されその可能性が追求され性能が向上し、シングルダイナミックモデルで十分という結論になったためと云えます。

 

さて、NICEHCK DB2のスペックですが、先述の通りバランスドアーマチュア(BA)ドライバを一基とダイナミックドライバ(DD)を一基づつ。異なるドライバを二基搭載するハイブリッドドライバモデルです。BAはカスタマイズドライバを。ダイナミックドライバは10mm径チタンメッキグラフェンダイヤフラムのドライバユニットを採用。特に従来のダイナミックドライバと比べ、バランスの取れたサウンドが期待できます。また、BAとDDのクロスオーバーをPCBボードを採用し最適化。音質を妥協しない姿勢が窺えます。

 

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NICEHCK DB2は同社のカスタマイズBAとチタンメッキグラフェンダイヤフラムのDDにより優れたオーディオ性能を得ることに成功しています。メーカー発表のf特からは全体的にフラットに寄せたサウンドを示しており、ハイブリッドモデルの強みを活かした高音域チューニングに期待させられます。実際に聴いてみるとフラットというよりはドンシャリという印象を受けますが、ただ高音と低音が強調されたリスニングサウンドではない音像を感じやすい描写のしっかりとしたサウンドを届けてくれます。

 

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シェル本体はPC製樹脂シェル本体に、アルミニウム合金のフェイスプレートベースにレジン樹脂のフェイスプレートが組み合わされています。 この方法は高級感のある外観を備えるのに最も合理的な方法と云えます。

 

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シェル内には10mm径DDユニットを配置し、BAドライバはステムノズル内に配置することでシェル本体をコンパクトにまとめ快適な着用感を実現。シェル本体に樹脂材を用いる事で軽量化を図っています。軽量なシェルによる快適なフィット感を確保することに成功しています。

 

最後に付属ケーブルです。DB2には取り扱いのし易い0.78径2ピンを採用しリケーブル可能としています。しかし、シェル側コネクタ部にはTFZタイプ(四角の凸タイプ)が採用されており、リケーブルの場合は通常の2ピンタイプでも可能となりますが、二本のピンで固定する形となる為、耐久性の面からはTFZタイプのコネクタを採用したケーブルを選択する方が良いでしょう。

商品購入時に3.5mmステレオミニプラグとマイク付き3.5mmステレオミニプラグが選択できます。この付属ケーブルはどちらも4芯線の高純度OFC導線が採用されています。一芯が太めの1mm線材はしなやかで取り回しの良いケーブルとなっています。中華イヤホンメーカーでは付属ケーブルはリケーブル前提で質を落としコストカットしている場合がありますが、DB2では初期セットケーブルとしてTFZコネクタタイプの十分な品質のものが付属しています。そのため、バランス接続を試したい方はTFZコネクタの4.4mmバランスプラグモデルを選択してください。

 

※宜しければ以前のレビューもご参考ください

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NICEHCK DB2の納期としては現在(2024/2/3)国内amazonでは、本国発送扱いのため、AliExpressでやHiFiGoでオーダーした場合と同様の日数がかかります。それらの配送は現在はかなり安定しており、一週間前後で届くと思います。ほぼ平時に戻った印象です(※現在は中国春節休みとなっておりますので配送遅延の影響が予想されますので、ご注意ください)。尤も従来の平時であればAliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressや海外サイトでの購入は国内で購入した場合より安いというメリットがありますが、反面届くのに少し日数が掛かること。不具合時の対応に英語は必須となるのが気になるところでしたが、最近は円安の影響で国内amazonとの価格差が殆どなく、そのメリットは殆ど感じません。

まあ海外ネットショッピングで心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. NICEHCK DB2 実機レビュー 

それでは、早速実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングは白を基調としたスリーブタイプの中サイズの箱です。表面にはイメージキャラクターのイラストがほぼ全面にプリントされており、メーカー名とイヤホン名は上の方に小さく記載があります。

一見してイヤホンのパッケージには見えませんが、それがこの商品のキャッチーなポイントと云えます。

 

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スリーブを外すと先ほどのスリーブ表面に有ったメーカー名等の文字が消えたイラストのみの内箱が現れます。

 

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上蓋を外すと白を基調とした内装にイヤホン等が収納されています。

箱の下側にはイメージキャラクターイラストカードとその下に付属品が収納されたイヤホンポーチが収められています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースタイプ2種の2セットと他にはケーブル、ケーブルバンド、イヤホンポーチです。低価格U5000帯としては十分必要なものが揃った付属品となります。

 

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NICEHCKのロゴと文字が入ったイヤホンポーチはコインケースタイプです。鞄に放り込む使い方には不向きですので、持ち運びの際は別途ハードタイプのケースを用意した方が実用的です。

 

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イメージキャラクター、Tian Huiのイラストカードが付属します。イヤホンの商品性を分かり易くしてくれるアイテムです。

 

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こちらはAliExpressのNICEHCK公式STOREにて購入者先着800名に付属した缶バッチです。2024/2/3現在付属終了していますが、これだけでこの商品を買う価値はあったとかなかったとか。

 

次に本体を見ていきます。

 

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シェルの造形は上位モデルのNX7 mk4同様にオーソドックスなIEM風のもの。シェルは厚みが無く平らなデザインです。シェルが厚くないため耳へ収まる部分が薄くなっており耳から出っ張ることも無く収まるので装着感も良好です。フェイスプレート部はゴールドカラーのアルミニウム合金のベースプレートにレジン樹脂のフェイスプレートが組み込まれており綺麗な模様が特徴的です。シェル本体の透明PC樹脂が内部のドライバを視認できるメカニカルなデザインと相反する見た目は刺さる方も多いのではないでしょうか。樹脂と金属によるハイブリッド素材のシェル本体緒は重量感が少なく耳への装着時はその装着感の良さから重さを殆ど感じません。

フェイスプレートはカラーバリエーションがあり、紫の場合は鉱物の結晶を思い浮かべる模様が内部で光を反射して綺麗に輝きます。黒や青の場合はマーブル模様でありそれよりは落ち着いた雰囲気。この辺りは好みが分かれるところかもしれません。

肝心のビルドクオリティは、中華イヤホンの低価格帯と馬鹿にできないほど綺麗に仕上っており、シェルの合わせ面も上位モデル同様に綺麗です。

カラーバリエーションは紫、青、黒の三色展開。加えて3.5mmステレオミニプラグのマイク有り無しを選択できます。今回は紫のマイク無しを選びました。

続いてケーブルです。

 

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付属ケーブルは先述の通り高純度の4芯OFC線の編込みタイプです。ケーブルの被覆カラーは薄い茶色と落ち着いた色合いでありながら、被覆の外側がクリアの綺麗な線材が採用されています。プレイヤー側コネクタはL字タイプ。イヤホン側はTFZタイプ2ピン仕様。極性は上側がプラスです。

この付属ケーブルは一芯あたり約1mm径とやや太さがありますが、しなやかで取り回しに苦労することはありません。また、タッチノイズを感じにくく、肝心の耳への装着性や使用感は悪くありません。イヤホン側にはシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的に取り回しは良く使い勝手も悪くないため、バランス接続をしたい方以外はそのままでも十分楽しめると思います。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

次に他機種との造形の比較です。

 

※画像左からNICEHCK DB2、KZ ZES

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NICEHCK DB2とKZ ZESの外観の比較として、サイズ感はZESは厚みがある為かなり大きく見えます。DB2のシェルは薄く平らですが、ZESは厚く立体的です。DB2は同社上位モデル同様のシェル造形であり、コンパクトと云えます。

ステムノズルの長さと太さ、角度ですが、長さはDB2は短く、太さはほぼDB2が太いものの一般的な太さです。ZESがかなり細いと云えます。角度は両機共にほぼ同じ。

DB2はZESと比べかなりコンパクトであり、オーソドックスな造形の見た目通り耳への収まりが良く装着感は良好です。

ケーブルを接続するイヤホン側のコネクタ部はDB2がTFZタイプ2ピン。ZESはKZ-Cタイプです。DB2のリケーブルの際は先述の通り通常の2ピンコネクタでも可能ですが、接続強度を考えるとTFZタイプを選択したいところです。

シェルの材質は、どちらも樹脂と金属のハイブリッドタイプですが、DB2の方がやはり軽量。装着時の重量は感じにくくなります。尤も耳への装着感はステムノズルの太さに影響を受けやすくDB2は一般的なやや太めのためイヤピ選びは通常よりもやや小さいサイズ感で良いと思います。

ステムノズル部には全てにフィルターがあります。どちらもステムノズル部に金属製フィルタがあり、異物混入による故障を防ぐ事ができます。

二機種共にシェル本体の形状と付属ケーブルからはシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、前述の通りDB2はステムノズルがやや太めですので小さめのイヤーピースを選択し装着することで圧迫感は少なくなります。付属の小さめのイヤーピースで耳の奥に栓をするように耳に密着させ装着するとフィットしました。そのため付属のシリコンイヤーピースで上手くフィットする事ができれば音質的にも必要十分だと思います。

 

最後にイヤーピースを見てみます。


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※NICEHCK07イヤーピースサイズ表

付属のシリコンイヤーピースは黒色のS、M、Lの3サイズセットはやや背が高く口径小さめの弾丸形状と同社オリジナルのNICEHCK 07(以下07)がS、M-、M、M+、Lの5サイズセットです。07は傘がやや背が低い開口部が大きめのもの。某イヤピに似ていますが、それとはMサイズにバリエーションがあるオマージュモデルです。今回記事を書いていて初めて気が付いたのはMが2種有って、従来の白軸MがM+相当のサイズ。軸が青がMサイズ相当ということ。ずっと逆だと思っていて画像もその順番で並べていました。この場で訂正させていただき、今後はそれを元に説明していきます。

イヤホンに装着済みのイヤーピースは黒色タイプ Mサイズです。DB2は他社製含むサードパーティー商品との互換性の高い一般的なステムノズル形状は選択肢が増えますので安心です。

付属黒タイプは音質的にはダイレクトに音を届けてくれ、やや低音がしっかりとするタイプの印象です。07は中高音をクリアにして僅かに低音を弱めてタイトにさせ全体のバランスをやや腰高にしてくれる印象で、いつも通り07 M-サイズ(黒軸)を耳の奥に栓をする装着でフィットしました。付属イヤピで装着感に問題ない場合を除き、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。

幸いいつもの付属07タイプのイヤーピースで私はフィッティングが上手くいきましたが、音質的にもメーカーの意図するタイプは07の方という印象で、そのまま付属の07 M-サイズを使用しています。

低、中価格帯に付属するイヤーピースは装着感が悪く、音質的にも実力を発揮できないと感じますが、今回は付属のシリコンイヤピで上手くフィットできました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. NICEHCK DB2 音質レビュー

いよいよ音質についてまとめていきます。

 

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いつも通り再生環境はスマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音に脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

以前はSony NW-ZX507を使用していましたが、やや演出感のあるドンシャリはメリハリがありグルーブ感のある音はSonyの音で音楽を楽しく聴く事が出来ました。しかし、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5の方がモニターライクながらも、決してつまらない音ではなくリスニングでも使えて万能と考えています。

Shanling UP5をUSB-DACで使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

 

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属07イヤーピース M-サイズ(白傘黒軸)、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「僅かに中高音寄りだが中低音にも厚みがある音。高音は華やかで低音はしっかりと鳴る僅かに中高音寄りのドンシャリバランス」です。

箱出しでは低音が膨らみボワつきを感じましたが、鳴らし込み後は低音は落ち着き、高音とのバランスが取れた音という印象です。

 

音場

やや普通からやや広めの印象。前後はそれほど奥行を感じませんが、左右はやや広さを感じられます。奥行きはそれほどありませんのでやや平面的な印象です。空間はそれほど広さを感じませんが窮屈な印象はありません。

 

高音域

華やかさは十分感じられます。華やかに鳴りますが煌びやかさは余韻が少なく上までの伸びやかさはそこそこ感じます。響きや余韻がやや弱く明るい音がしますので存在感はある華やかな音。ただ単に明るく騒がしく感じるような鳴り方ではありませんが繊細よりも割と荒々しさのある鳴り方。一方で線が細い印象もあり刺さりや尖りは感じませんので比較的攻めた高音域という印象です。解像感は悪くありませんが、描写の正確さよりもスパイスの効いたパンチのある味を楽しめます。

 

中音域

ハイブリッドの弱点である中音域の薄く感じられるところを上手く厚みを持たせて華やかさと濃さを持たせた音は、やや真ん中に音が集まる団子感や音が重なるゴチャつきは感じられますが、このクラスでは出来が良いと云えます。音の分離は悪くなく線の細さも感じさせない鳴り方はDDの性能の高さを感じられます。音の立ち上がりは良好でキレの良い音を楽しめます。ボーカルはクリアでやや近い位置から寒色の声色を聴かせてくれます。

 

低音域

量感は十分で響きや広がりを感じられますが、大きく強く鳴らし音圧で誤魔化すような鳴らし方ではありません。それでも音階や強弱といった低音域の解像感を重視した音を目指していることを窺わてくれます。ベースラインは追いやすく感じられますが、ボーカルよりも前にでて邪魔するような不躾さはありません。重低音は沈み込みはそれほど深くありませんが、力強さがありますので力不足を感じません。

 

出音のバランス

一言で云えばやや中高音寄りの弱ドンシャリ。中高音域は明るく華やかにクリアで快活に鳴らしますが響きはもう少し。低音は十分な量感で力強さがあり不足は感じません。過度なバランスの音ではなく聴き易い出音のバランスは素直に良い音と云えます。

 

高音は明るく華やかになりますが、騒々しく感じるギリギリを攻めた印象は、解像感の演出を感じられます。とはいえ嫌な感じではなくハイブリッドモデルを良い意味で感じられます。上までの伸びやかさはそれ程感じられず、響きや余韻が感じられないことがその理由の一つと鳴りますが、過度な華やかさではなく聴き手が音楽を楽しく聴くために十分な鳴り方です。一方で高音域の誇張はあるため原音忠実とは違う強調感は嫌味の無い音に上手くまとめられているという印象を持ちます。無駄に強調した誇張の強い音は一聴して「おぉっ!」と好印象となりますが、暫くすると聴き辛い音になってしまうような脆さはありません。

中音は凹みを抑えられていて、ボーカルはやや近い位置にあり楽器の音はその周りにやや近い位置にあるためごちゃつきは否めません。分離悪くありませんが、厚みを持たせた結果のトレードオフという印象です。それでも薄く線の細いハイブリッドモデルの中音域とは異なり、充実感のある中音域に加え中音の域の下の方に厚みもある音は一体感を感じられます。

ボーカルはやや近い位置からクリアに聴く事ができます。演奏の音にも埋もれることはありませんが声色は寒色寄りで息遣いを感じられます。そのため女性ボーカルのバラードなどでしっとりとした艶のある声は分が悪いですが、アップテンポな曲では明快に聴かせてくれます。

低音の量感は十分。響きや広がりも感じられますが伸びやかとまではいかず。一発の力強さもありますが、音階や強弱の描写よりも音の濃さを重視した音は低音を疎かにしていません。

重低音は沈み込みはそれほど深くありませんが、力強さを感じられる音。従来の低価格帯でよくあるただ強く大きく鳴らす音ではなく、低音域の質感を重視した広がりを感じられる音です。

 

他機種との比較として同社のDB3では兎に角中低音域が濃厚な音。DB2の高音域を疎かにしない弱ドンシャリバランスとは異なります。DB3の2DDの内、小径1基を取り除いてもDB2の様なバランスの良い音にはならないと想定できますので、DB2のバランスの良いドンシャリが高レベルであることは確かです。

KZ ZESと比較した場合、BAの代わりにESMドライバを採用したモデルのZESはその音質傾向は高音はしっかりと上品に。低音はノリ良く鳴らし、中音は音に厚みがあります。音楽を聴く事を楽しませてくれる従来のKZサウンドは抑えられております。何よりも従来のBAを使った高音とは違いESMドライバは尖りがなく自然に解像感の高い音を聴かせてくれるところが最大の特徴です。そのため、DB2と最も近しい音でありますが、やはり高音域がBAというところに最も違いが出ます。なめらかさはESMには敵わないです。

Trn TA1 Maxと比較した場合、TA1 MaxはZES寄りの傾向。中高音寄りで、それらと比べるとTrnらしさのある音を聴かせてくれます。それでも低音はTA1 Maxの方がしっかりと鳴らします。とはいえ低価格帯で評価の高いKZ ZSN pro Xのドンシャリとも異なります。KZ ZSN pro Xでは中・高音が派手に鳴り、低音は強さがありますので、それとは出音の傾向が違います。やはりあの頃のKZは強ドンシャリなんだと思い返します。

 

一言で云えば同じ中高音寄りで評判の良い音の傾向という印象です。DB2の出音は中高音を重視したキレの良い音を鳴らし低音をやや抑えながら疎かにしない音。比較対象はKZ ZSN pro Xを除き明確なドンシャリ傾向とは一線を引きます。そのため、DB2は一聴すると明るく楽しい音を聴かせてくれますが、高音域の印象次第で評価が変わると云えます。尤も、Trn TA1 Maxは少し価格帯が上。KZ ZESはそもそも入手が難しい(色々あったので売ってない)ので、一択ですね。

 

※過去レビューも参考ください

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まとめるとNICEHCK DB2はセラーオリジナルモデルとしてレベルの高い音を聴かせてくれます。中高音域寄りの弱ドンシャリは低音もしっかりと鳴らし高音域はハイブリッドらしい明るい音を鳴らす。またハイブリッドモデルの中音域を仕上げるときの泣き所となる線の細さを改善した厚く鳴らす音造りは音楽的であり聴いていて楽しい音です。それは同価格帯で新しい形を魅せてくれた高音質モデルと云えます。

一方で従来のような中華イヤホンの強ドンシャリの音が好きな方や中高音重視、低音は邪魔という方には評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   ZES ≧ TA1 Max ≧ DB2 (質感の順。出音の強さはDB2

中音   ZES ≧ DB2 ≧ TA1 Max (質感の順)

低音   ZES ≧ DB2 ≧ TA1 Max (質感の順。出音の強さはTA1 Max)

ボーカル TA1 Max ≧ DB2 ≧ ZES (質感の順)

※終売、価格帯違いのため参考程度に

 

 

4. NICEHCK DB2 の総評

NICEHCK DB2は安定の高音質モデルと云えます。もちろん価格帯での評価となりますが、セラーオリジナルモデルでは評価の高い製品を世に送り出していると云えます。このDB2は音楽を楽しめる高音質イヤホンと同時にコレクションアイテムとしても評価できます。尤も同価格帯では間違いなく高音質と云えますし、ハイブリッドモデルを上手くまとめた製品と云えそうです。個人的に普通に高音質のイヤホンとしてお勧めできます。

 

最後に、今回は低価格U5000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2024年2月3日)は国内amazonでは4,000円台。HiFiGoやAliExpress等で約3,000円台で発売されており、現在は海外購入が安価です。それでもHiFiGoやAliExpressの本国発送は納期が掛かりますし、万が一の際には少々難があります。それでも、中華イヤホンの中でもその音質を含めクオリティの高さは十分満足できる内容となっておりますので、中華イヤホンでちょっとよいものを検討中の方や間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実な国内正規品取り扱いを待って。少しでも新製品を早く安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

DB2

以下、付属ケーブル、付属07イヤピ M-使用、DAC UP5
高音★★★★ 
中音★★★★  
低音★★★★ 
音場★★★★
分離★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.5、★1.0

 

TA1 Max

以下、付属ケーブル、付属白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★ 
中音★★★★  
低音★★★★ 
音場★★★☆
分離★★★★
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

 

ZES

以下、付属ケーブル、Trn付属白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★ 
中音★★★★  
低音★★★★ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★  

※☆0.5、★1.0

 

ZSN pro X

以下、付属ケーブル、付属溝無黒イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★ 
中音★★★☆  
低音★★★★ 
音場★★★☆
分離★★★
お勧め度★★★★★ (演奏重視の方に)

※☆0.5、★1.0

 

 

あとがき

今回は中華イヤホンの中価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後は低価格だけではなく、中価格の中華イヤホンも扱っていきます。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ