みぃねこの備忘録

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CVJ Freedom レビュー

こんにちは。

今回はいつもの中華イヤホンレビュー編として、中価格A10000帯で発売された4BA+1DDハイブリッドドライバモデルのCVJ Freedomについてレビューをまとめたいと思います。

 

国内amazonのHiFiGoで取扱があります。

 

AliExpressでも取扱があります。

https://ja.aliexpress.com/item/1005005884619055.html?spm=a2g0o.cart.0.0.6a1e2e1aKe6qB9&mp=1&gatewayAdapt=glo2jpn

 

HiFiGoサイトはコチラ

CVJ Freedom 1DD + 4 BA In-Ear Monitors IEMshifigo.com

 

 

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1. CVJ Freedomについて 

CVJ Freedomは中価格A10000-U20000帯中華イヤホンの4BA+1DDハイブリッドドライバモデルとして今年7月に新発売されました。

CVJは先日のCVJ Meiのレビューでも触れましたが中華イヤホンの新興ブランドです。中華イヤホン業界ではOEMやODMが活発であり、良いものを直ぐに取り入れる柔軟さがあるのは中華イヤホンだけでなく、世界の製造大国としての文化の違いを窺えます。戦後の日本が嘗てそうだったように何れコピーやオマージュから本物を生み出す日もそう遠くない未来ではないかと考えさせられます。

さて、先日同ブランドのMeiをレビューしており、数年前のブランド立ち上げ初期にレビューしたCSNとは見違える様な進歩を遂げており驚きました。後発の利点を活かした商品性は音質にも妥協していないモデルを発売し、最近のKZよりも期待できるくらい着実に力をつけていることを窺えます。まあ最近のKZはビッグ〇ーターのように顧客無視の自社繁栄路線で失敗している訳ですが、企業は事業活動に真摯に取り組む必要があり、ビッ〇モーターを対岸の火事のように見過ごすことの無いように身を引き締めていかねばなりません。

話はそれましたが、今回のCVJ Freedomでも二連ディップスイッチによる音質調整ギミックは健在。Meiと同様にスイッチで他社の様な周波数特性を調整するタイプではなく、搭載しているドライバそのものを休止(鳴らさない)させるという手法です。これまでのスイッチ付モデルの多くは音質の味付けの変更させる仕様が多かったのですが、CVJ Freedomでも稼働ドライバ数を変えるギミックにより、ドライバ構成の異なる別のイヤホンとして楽しむ事ができます。

 

そのCVJ Freedom(自由)のスペックですが、新型の超薄膜セラミックダイヤフラムを採用した10mm径ダイナミックドライバ(DD)とカスタマイズされたバランスドアーマチュアドライバ(BA)4基を搭載。低音域用のDD1基に加え、BAには高音域用の3基と中高音域用の1基の3種のドライバ構成の4BA+1DDハイブリッドドライバモデルです。

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CVJ Freedomは、二連ディップスイッチを搭載した多ドラハイブリッドモデルです。新しい超薄膜セラミックダイヤフラムのダイナミックドライバ1基と4基の高品質カスタマイズドBAドライバのクロスオーバーを調整しています。

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そして、ディップスイッチを切り替えて稼働するドライバを選択することでドライバ構成が変わり、デフォルトの4BA+1DDハイブリッドドライバの音質から変化させることで複数の音質を楽しめます。

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2つのディップスイッチにより、搭載されたドライバの出力を好みに合わせて簡単に調整できます。ディップスイッチにより音質を変化させられますが、実際には搭載するBAドライバを有効または無効にすることで調整しています。それにより、1BA+1DDハイブリッド、2BA+1DDハイブリッド、3BA+1DDハイブリッド、4BA+1DDハイブリッドドライバモデルに変化します。

スイッチの設定によるドライバ構成は以下の通りです。

 

パターン SW1 SW2 ドライバ構成
1 on on 4BA+1DDハイブリッド 
2 off on 3BA+1DDハイブリッド 
3 on off 2BA+1DDハイブリッド 
4 off off 1BA+1DDハイブリッド 

 

以下、BAの稼働/休止の組合せです。

  • SWパターン1では全てのBA4基が稼働。
  • SWパターン2ではステムノズル内に配置された高音域用BA2基が休止。シェル内高音域用BA1基と中高音域用BA1基が稼働。
  • SWパターン3ではシェル内の中高音域BA1基が休止。ステムノズル内の高音域用BA2基とシェル内高音域用BA1基が稼働。
  • SWパターン4ではステムノズル内に配置された高音域用BA2基とシェル内の中高音域用BA1基が休止。シェル内の高音域用BA1基のみ稼働。

 

次にイヤホン本体は高品質の金属フェースプレートを採用しています。シェルは人間工学に基づいた形状の樹脂素材を採用し快適な装着感を得られるようにしています。

最後に付属ケーブルです。高純度400コア5N素材の無酸素銅(OFC)線を4芯編込みケーブルとし、高いオーディオパフォーマンスを実現します。加えて、プレーヤー側端子は3.5mmステレオプラグ、2.5mmバランス、4.4mmバランスプラグに換装可能としたプラグ交換システム(PCS)を採用し、ほぼすべてのプレーヤーでの再生を可能としています。中華イヤホンメーカーでは付属ケーブルはリケーブル前提で質を落としコストカットしているところもありますが、実用性の高い高品質ケーブルが付属しています。

 

※宜しければ過去記事もご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

CVJ Freedomの納期として今回HiFiGoでオーダー、1週間強で届きました。現在(2023/8/15)は国内amazonでPrime扱いとなっています。昨今、HiFiGoやAliExpressで購入した本国発送の場合でも以前の様な感染症の影響で遅延は少なくほぼ回復したと云えます。尤も、万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかるのが、海外通販のリスクです。

そんな訳で一般的に海外通販での購入は国内通販で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが偶に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットがありましたが、最近では円安でその恩恵も受け難く、国内では入手できない商品を早く手に入れる事がメリットと云えます。それらを天秤にかけた場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. CVJ Freedom実機レビュー 

それでは、実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングは濃紺に白帯のスリーブタイプの化粧箱です。スリーブにはイヤホンイラストが。裏面にはSW設定について説明文が記載されています。

 

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スリーブを外すと濃紺地のシンプルな内箱。上部中央にはメーカー名が。

 

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内箱の蓋を開けると白地の内装にイヤホンが収納されています。

箱下側は引き出しになっていて、引き出しを開けると付属品が収納されています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースがS、M、Lの3種1セット。他にはPCSケーブル、交換用プラグ3種、ケーブルバンド、イヤホンポーチ、SWピンです。中価格10,000-U20000帯として過不足ない付属品となります。

 

※付属のイヤホンポーチ

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※ディップスイッチ用ピンも付属
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次にイヤホン本体を見ていきます。

 

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ビルドクオリティは中華イヤホンで心配されるような雑なところ感じさせません。中華イヤホンの低価格帯でよくあるようなシェルの合わせ面等のズレや隙間は無く綺麗に仕上がっています。

カラーバリエーションは黒、緑の二色。今回は緑を選択しました。

 

次にケーブルをみていきます。

 

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付属ケーブルは先述の通り4芯OFC線を編込み線とした高純度線材を採用。プレイヤー側プラグはI字で3.5mmステレオミニ、2.5mmバランス、4.4mmバランスの三種のプラグに交換可能。イヤホン側はKZ-Cタイプ2ピン仕様、イヤホン側コネクタの極性は上がプラスです。

この付属ケーブルはケーブル被覆にやや引っ掛かりがあり、線材もしっかりとしたもの。そのため少々取り回しに堅さを感じ易いものの、適度なしなやかさがあります。耳への装着性や使用感は比較的悪くありません。イヤホン側にはシュア掛け用にチューブで癖付けされ、中価格帯に付属するケーブルの中としてはそれほど悪い印象はありませんし寧ろPCSケーブル仕様なので、使い勝手は良いもの。茶色の被覆のケーブルは落ち着いた色合いであり普段使いでも気になりません。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、私はこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

続いて他機種とのサイズ感や造形の比較です。

 

※画像左からTrn VX Pro、CVJ Freedom、KZ ZAR

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CVJ Freedomは比較的CIEMに寄ったシェルの造形です。耳甲介艇に収まる突起や外耳孔へのステムノズル根元の造形は装着感を考慮したシェルの造形と云え、実際の装着感も良好です。比較対象として用意したTrn VX ProやKZ ZARはVX Proがオーソドックスなユニバーサル形状です。ZARはCIEM風のシェル形状ですが、何方かと云えばイヤーピースでのフィット感が決まるタイプ。また、Freedomに対しZARはシェルの厚みがありやや大きく見えますが、Freedomは見た目に反して耳への収まりが良好です。三機種共に比較的コンパクトとは言い難いですが、前述の通り装着感の良いFreedomはそれらの中で苦になりません。

Freedom金属製フェースプレートと樹脂シェルのため、それほど重量を感じません。耳への装着感も良好で装着時に重さ感じる事はありません。VX Proのオール金属やZARも樹脂シェルと金属フェイスプレートの方が重量を感じます。これはオール金属は言うに及ばず、ZARも片側8ドライバという中身が詰まっていることが影響していると云えます。

ステムノズルの長さや太さと角度は長さがFreedomとZARがほぼ同じ。ややVX Proが長い。太さはFreedomとVX Proがほぼ同じで一般的な太さ。ZARはやや細め。角度は三機種共にほぼ同じでやや寝ていると云えます。ステムノズルにはフィルタがあり、ZAR以外は金属フィルタでダストフィルタ機能としてのもの。ZARは音質に影響があるタイプと云えます。

そして、シェル本体の形状と付属ケーブルからは両機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、装着感はステムノズルの長さや太さに影響がありますので、イヤーピースのフィッティングは重要となります。

 

最後に付属イヤーピースです。

 

シリコン素材の一般的なイヤーピースは、白傘白軸タイプは中華の汎用タイプです。

Trn TA3等に付属する白イヤピと同じものです。

 

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付属イヤーピースは開口部が大きめの音をダイレクトに届けてくれるタイプ。音質傾向は中高音をクリアに聴かせてくれるタイプ。低音はタイト寄りになり量感も抑えられる印象です。

幸い付属のイヤーピースで私の耳とのフィッティングは良好。音質的には好みにもよると思いますが、個人的には付属品で十分でした。あとは手持ちのSedna EarFit Shortが低音がやや強めになりますが高音も損なわずに高音低音のバランスが良く感じました。今回は付属の白傘白軸イヤーピースを私は耳の奥に栓をするように装着しフィットしています。

低、中価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じます。今回は中価格帯に付属するイヤピで上手くフィットしたものの、低音域の膨らみが気になり手持ちのイヤピを使用しました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感はもとより音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えない他社製へ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. CVJ Freedom音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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昨年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音に脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

そのため、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5はモニターライクながらも決してつまらない音ではなく、リスニングでも使えて万能と考えています。

 

Shanling UP5をUSB-DACとして使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属白傘白軸イヤピ Mサイズ、付属ケーブル4.4mmバランスプラグです。

箱出しのディップスイッチをデフォルト(1.項、SWパターン表:パターン1)で聴いてみた第一印象は「しっかりとした低音域に爽快な中高音域のドンシャリ」でした。

箱だしでは高音域も低音域もやや量感多めに感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は高音域と低音域は適度な量感になりバランスが良い印象になりました。

 

先ずはデフォルト(パターン1)の音を聴いていきます。

 

音場

空間の広さは普通からやや広い印象。前後は奥行があり、左右に空間を感じられ、立体感を感じます。

 

高音域

煌びやかさがあり響きの良い残響感を感じます。上までの伸びやかさもあり、存在感がある華やかな高音域です。耳障りに感じる様な騒がしさのない適度に主張のある音は前に出たがる音ではなく、小さい音もかき消されずに拾えます。ごちゃつかずに分離の良い音は不自然さを抑えており解像感も良好。複数BA機の華やかさの感じる音色は統制されています。刺さりや尖りを抑えた整った出音は好印象です。

 

中音域

華やかに鳴るのにごちゃつきを感じ難くく整理された音。音の広がりや響きは良好です。低、中価格帯の複数BA搭載モデルで感じる真ん中に集まる団子感や音が重なるごちゃつきはなく、整理された音は立体感を感じます。ボーカルはクリアでやや近い位置に感じます。声音はややドライ気味ですが、息遣いは感じ易く不自然な印象はありません。

 

低音域

量感はそれ程感じませんが、響きや広がりは適度の印象。音階や強弱といった低音域の解像感は程々の印象。その分締まった芯のある音は締まりのない緩んだ不自然に誇張させる低価格帯とは一線を画す音。雰囲気の良さを演出する低音ではありません。ベースラインは追いやすいもののやや抑え気味。重低音は沈み込みはそれほど深さを感じませんが力強さのある音。

 

出音のバランス

一言で云えばやや中低音寄りの弱ドンシャリ。高音域は明るい華やかさのある音。低音は抑え気味ですが軽い音ではなく締まった芯のある音。華やかに高音域を強調する様な極端なバランスではなく全ての音域で過不足の無い音は出音のバランスが良いドンシャリは心地良く、ハーマンターゲット近似の音。

 

高音は煌びやかで華やかさのある音は音の大小や強弱を感じ易く、その距離感も掴みやすい。上までの伸びやかさや音の響きが良い残響感のある音は、音の消え入る様を感じられ小さな音も埋もれません。華やかに明るい音は爽快に耳に届き、やや誇張を感じられますが、演出感は抑えられています。統制され整理された鳴り方は不足を感じませんし複数BA機の特徴を良い意味で表現できている中高音域と云えます。

中音は凹みを感じ難く、ボーカルがやや近い位置からクリアに届きます。楽器の音はその周りから少し離れやや後ろ辺りに位置し奥行を感じられます。音数が多い楽曲でもごちゃつきを感じ難い印象です。高音中音共にボーカルを引き立たせる距離感は立体的で整理された音が聴き易い印象です。

ボーカルはクリアで周りの音や高音や低音にも埋もれません。やや近い位置から聴こえ、その声色はドライ気味ですが、息遣いを感じ易く不自然な印象はそれ程受けません。

低音の控えめですが、響きや広がりは適度にあります。解像感はそこそこ感じますが、低音域の雰囲気を重視した曲では少々物足りなさを感じるかもしれません。重低音は沈み込みはそれほど深くありませんが、力強さのある締まった音。脳に響く重低音を求める方には不足を感じるかもしれません。一方で物足りないという事ではなく、中高音域を邪魔しない適度な存在感は十分な広がりを感じられます。重低音は強く、沈み込みはそれ程ではありませんが十分という印象です。

Freedomは音楽を楽しく聴く事ができる出音であり、高音と中音域は爽快で嫌味の無い音。そして過不足のない低音域は出音のバランスが良いと云えます。

 

続いて、ディップスイッチを変更して聴いていきます。

先ず、パターン2。

ステムノズル部に配置された高音域用BA2基とシェル内の高音域用BA1基が稼働し、シェル内の中高音域用BA1基が休止する3BA+1DDハイブリッドドライバ構成となり、高音域は爽快に鳴ります。デフォルトと比べ中高音域の響きの良さは薄れますが、3基のBAが奏でる高音域は尖ることも無く、しっかりと主張する高音域にDDの軽やかで力強さのある中低音域は好印象です。全体的にベースのDDによる中低音域は変わらず、明るく華やかな高音域という音質傾向は似ていますが、中高音域の響きや鮮やかさが欠けます。

次にパターン3。

ステムノズル部の高音域用BA2基が休止しシェル内の高音域用BA1基と中高音域用BA1基が稼働する2BA+1DDハイブリッドドライバ構成です。稼働するBAがシェル内に配置されているためステムノズル内に配置されている場合よりもマイルドな印象です。また高音域用BAと中高音域用BAの組合せが高音域の爽快感と中高音域の響きの良さを持ち合わせておりパターン2よりも高音域をマイルドに抑えながら響きの良さを持つ質の高い高音域という印象です。抑え気味の高音は響きや小さな音の聴き易さが清涼感を感じます。DDの中低音は同様ですが、BAの組合せでは一番バランスが良い印象です。

最後にパターン4。

ステムノズル内の高音域用BA2基とシェル内中高音域用BAが休止し、シェル内高音域用BA1基が稼働する1BA+1DDハイブリッドドライバ構成です。Meiでも触れましたが、想像していたよりもBAが高音域を担っていたことが分かります。高音域の主張が抑えられ大人しい印象です。他のパターンに比べやや落ち着いた印象を受けますが、マイルドな高音域とDDの中低音域は想像していたような破綻のない音。所謂低価格帯のように特徴を持たせるための高音域を強く鳴らし強ドンシャリとするわけではなく、1BA+1DDハイブリッドモデルとして弱ドンシャリバランスの良い音にまとめています。一方で中音域の凹みは他のパターンよりも感じ易く、中高音域の響きもあまり感じません。

ディップスイッチによる音質変化のまとめとして、ディップスイッチによるドライバ構成を切り替えるギミックはMei同様にその効果を確実に体験できます。そしてその変化はデフォルトの音質が完成度が高いのは勿論ですが、全てのパターンでそのドライバ構成として完成度が高く使い分けが可能で実用的と云えそうです。

 

最後に、他機種との比較として、CVJ Meiとの比較では上までの伸びや小さな音を埋もれさせずに煌びやかに華やかに表現してくれますが、華やかさや響きの良さはFreedomに軍配が挙がります。そういう意味ではどちらも誇張された音であり自然な音ではないのかもしれませんが、Freedomの方がクリアな空間に響きの良さが相まって質感が高い印象です。低音はFreedomが中高音域をマスクしない見通しの良さを確保した締まりのあるタイトに鳴るバランスに対し、Meiの量感の豊かな鳴り方は真逆の味付けという印象です。

またCVJは過去にCSNという4BA+1DDハイブリッドドライバモデルを発売していますが、それをはるかに上回る音質の向上を感じられます。

 

※以前のレビューもご参考ください

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miineco106.hatenadiary.jp

 

miineco106.hatenadiary.jp

 

まとめるとCVJ Freedomの弱ドンシャリはタイトで力強い低音域に明るく爽快な高音域が音楽を楽しく聴く事の出来るリスニングサウンドの音造りは聴きやすく、バランスの良い音を聴かせてくれます。低音の味付けはポータブルオーディオファンにも受け入れやすい傾向であり華やかな中高音域と合わせそれが高評価になると云えそうです。価格帯ではかなり高音質と云えます。

個人的に音楽を心地よく楽しめる出音は中高音域の聴きやすさと低音域の質感だと考えています。ただ単に出音のバランスを整えた何処かだけを強調していない音は音を聴いているのか曲を聴いているのかわからなくなります。モニターライクサウンドが持て囃されますが、Freedomは音楽を楽しみたい方にお勧めしたいモデルです。

一方で中華イヤホンに強ドンシャリバランスを求める方には評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   Freedom ≧ Mei ≧ TA3 

中音   Freedom ≧ TA3 ≧ Mei

低音   Mei ≧ TA3 ≧ Freedom

ボーカル TA3 ≧ Freedom ≧ Mei

 

 

4. CVJ Freedomの総評

CVJ Freedomは同ブランドの最新商品として数年前の4BA+1DDハイブリッドドライバモデルCSNから大きく進化しています。ディップスイッチのギミックや昨今の円安で販売価格は相応に上がっていますが、同価格帯でも選択肢に入れて欲しい機種と云えます。それにしてもCVJの進化は目を見張るものがあります。数年前のモデルでは粗さを感じましたが、最新モデルでは洗練されてきている印象です。4BA+1DDハイブリッドドライバ構成でバランス良の音で音楽を愉しめ、ディップスイッチによるギミックも有効的であり、商品性を高める意味でも中華の貧欲なチャレンジに今後も期待したいです。

 

最後に、今回は今年7月に発売された中価格A10000-U20000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2023年8月15日)はHiFiGoで11,000円前後で販売し、国内amazonでもprime扱いの11,000円台となっています。海外通販で購入するとしてもHiFiGoの発送は早く届くのも早い印象があります。これまでの中華イヤホンの中では比較的安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは十分満足できる内容となっておりますので、中価格帯中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、新製品を少しでも早く(安く)手に入れたい方はHiFiGoでの購入も検討してみてくださいね。

 

Freedom

以下、付属ケーブル4.4mmプラグ、付属イヤピ MDAC UP5使用
高音★★★★★ 
中音★★★★★   
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

Mei

以下、付属ケーブル、Trn付属白傘白軸イヤピ MDAC UP5使用
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆   
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

TA3

以下、付属ケーブル4.4mmプラグ、付属白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★ 

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回は中華イヤホンの中価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後は低価格だけではなく、中価格の中華イヤホンも扱っていきます。

また、気になる商品が出ればチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ