みぃねこの備忘録

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BGVP P05 レビュー

こんにちは。

今回はいつもの低価格中華イヤホンレビュー編として、中価格A5000帯で発売された1DDモデルのBGVP P05についてレビューをまとめたいと思います。

 

国内amazonのHiFiGoで取り扱いがあります。

 

AliExpressでも取扱があります。 

Bgvp-ダイナミックドライバーインイヤーP05ヘッドセット,10mm puセラミックHDD,iems,Hi-Fi,Android用ヘッドフォン,タイプCマイクとmmcx - AliExpress

 

HiFiGoのサイトはコチラ

BGVP P05 PU+Ceramic Dynamic Driver IEMshifigo.com

 

 

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1. BGVP P05 について 

BGVPは中華のオーディオブランドです。BGVPと云えば、数年前の多ドラハイブリッドのスペック競争の渦中にA10000帯でBGVP DMGという4BA+2DDハイブリッドドライバモデルを発売しており、2DDの力強い低音域に4BAの華やかな中高音域が特徴の強ドンシャリモデルが人気を集めていました。その後、DMGの後継機として6BA+1DDハイブリッドモデル、DMSを発売。こちらは同傾向ながらドンシャリを抑えたモデルであり癖が弱まりバランスを改善していましたが、DMGの強ドンシャリインパクトを超えられなかったという印象でした。尤もそのころには多ドラブームは落ち着き、強ドンシャリよりも低音を抑えた解像感重視の音が日本のポータブルオーディオファンの中で主流となっていて少し登場が遅かったという時代に埋もれたモデルと云えました。その後もBGVPは中価格帯から高価格帯でハイブリッドドライバモデルを中心に商品展開していましたが、競争の激しい中華メーカーの中では新興メーカーの勢いに押されており、以前のように注目されてはいませんでした。それはBGVPの音質傾向はリスニングサウンドにまとめられており、良い意味でドンシャリの美味しいところを引き出すのが上手いメーカーです。この音質傾向は海外の中華イヤホンファンから支持されており、音質に定評のある古参メーカーとして認知されていますが、海外と日本の音質の主流が異なるため、評価が分かれています。またBGVPはハイブリッドドライバモデルの音造りが上手いメーカーと認識しています。個人的には従来の多ドラハイブリッドモデルを洗練していって欲しいと思います。

さて、そのBGVPから今回U10000のBGVP P05が登場しました。これまで中心だった中価格帯以上の多ドラハイブリッドモデルではなく、A5000-U10000帯のアンダー中価格帯のシングルダイナミックドライバモデルです。このP05は同ブランドの中では安価なモデルとなりますが、所謂エントリーグレードという位置づけではなく、良いものを安価に届けようとする同社の拘りを感じさせる仕上がりとなっています。

そのP05の特徴は以下の通りです。

  • 強力なダイナミックドライバーを備えたパワフルなサウンド
  • 特許取得済みのチューニングシステム
  • 繊細で絶妙なデザインで軽量且つ人間工学に優れたシェル
  • リケーブル可能な多層ワイヤシールドで包まれた6ストランド3N OFC無酸素銅銀メッキケーブル

それではスペックを詳しく見ていきます。

 

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P05に採用された高品質の10mmカスタマイズダイナミックドライバーは、スムーズな高周波拡張とクリーンな低周波帯域応答を約束するPU+セラミック構成を採用。この二つの素材により広い周波数応答範囲を得ると共に優れた明瞭さと解像度を備えた高品質のサウンドを提供します。

 

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次にシェル内部キャビティを調整するプレッシャーリリーフ設計により、サウンドリークとループサウンドチューニングによって、ボーカル密度とサウンドステージのプレゼンテーションを調整可能にしています。バランスドサウンディングフィルターと低音に焦点を当てたサウンディングフィルターの2種を付属しそれぞれに交換することで、2つの異なるサウンドシグネチャーを楽しめます。

上記2つがBGVP P05の最大の特徴と云え、P05が単にエントリーグレードではない魅力のあるモデルと云えます。

P05はシェルの材質にも拘り、高品質の6シリーズ航空グレードのアルミニウム合金素材を採用し、高精度のCNC機械加工機による切削加工により製造された円筒形のシェル形状としています。シェル表面にはサンドブラスト処理を行い、更に酸化防止処理を加えた外観は工業製品としても美麗に仕上がっています。

また、非常に軽量なシェルはわずか3.4グラム(ケーブル含まず)と、人間工学に基づいた形状との組み合わせで、軽妙な装着感は非常に快適です。そして、P05ではシュア掛けとストレートダウンの着用パターンで使用可能であり、ユーザーが自由に選択できます。

 

※Equalization Filter Set(バランスタイプの組合せ)

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※Bass Filter Set(低音を強化した組合せ)
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先述の2つのサウンドシグネチャーは円筒型シェルの先端にあるステムノズルと終端(フェースプレート部)のフィルターの2か所をそれぞれの組合せに交換することで2種の音質傾向を楽しめます。


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それぞれの音質傾向はハーマンターゲットカーブに対し、ほぼトレースしたBass Filter Setとやや低音域を抑え高音域をやや強めにしたEqualization Filter Setとなりますが、実際に聴いてみた印象は真にその通りです。Equalization Filter Setは中高音域の解像感の高さを感じられ、Bass Filter SetはBGVPのお家芸という印象。聴き易い適度なドンシャリです。

最後に付属ケーブルです。P05の付属ケーブルは多層ワイヤシールド線の6芯撚線です。その線材は3N無酸素銅を銀メッキ処理した線材を採用した並列フラットケーブルです。

 

※宜しければ以前のレビューもご参考ください

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BGVP P05の納期としては現在(2023/8/26)国内amazonのPrime扱いで取り扱いがあります。当日発送、翌日配達は非常に便利です。HiFiGoやAliExpressでオーダーした場合でも現在は安定していますので、AliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月です。尤も万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressや海外サイトでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かるのが気になるところでしたが、最近は円安の影響で国内amazonとの価格差が殆どなく、そのメリットは殆ど感じません。

まあ海外ネットショッピングで心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. BGVP P05 実機レビュー 

それでは、早速実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングは黒を基調としたスリーブタイプの箱です。表面にはイヤホンイラストが中央部に大きくプリントされており、左上には商品名が大きく印字されています。

 

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スリーブを外すと黒を基調とした内箱の中央にメーカー名が印字されています。

内箱の上蓋を開けると黒地の内装に内装にイヤホンと付属品が収納されています。

 

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付属品のイヤホンケースを開けるとケーブルとFilter Setが収納されています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースタイプのS、M、Lの3種が2セットとフォームタイプMサイズが1組。他にはケーブルとケーブルバンド、Filterが2セット(1セットはイヤホンに組み込み済み)、イヤホンケースです。中価格A5000帯として必要十分なものが揃った付属品となります。

 

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メーカー名の入ったイヤホンケースはハードケースタイプでイヤホンをしっかりと保護してくれます。

 

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Filterは2セット付属し、左からEqualization Filter SetとBass Filter Set。それらの違いはEqualization Filterの方がステムノズルが短め、終端側フィルタは内側フィルタが薄くなっています。

 

次に本体を見ていきます。

 

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シェルの造形は先述の通り円筒形のもの。シェルはコンパクトですが、円筒形の筒の長さがあります。金属製シェルでありながら非常に軽量であり重量はそれ程感じません。耳への装着感も良く重さを感じません。

肝心のビルドクオリティは、中華イヤホンの中価格A5000帯として非常に綺麗に仕上っています。

カラーバリエーションはシルバーのみ。

続いてケーブルです。

 

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付属ケーブルは先述の通り高品質6芯銀メッキOFC線の並列フラットケーブル。価格帯的にはややケーブルにコストカット感があります。プレイヤー側コネクタはI字タイプ。イヤホン側はmmcx仕様。この付属ケーブルは被覆にやや引っ掛かりがありますが、しなやかさがありますので肝心の耳への装着性や使用感は悪くありません。イヤホン側はシュア掛けにもストレートでも使えるようにチューブ等で癖付けされていません。全体的に取り回しは悪くありませんので、国産メーカーの同価格帯のリケーブルできないイヤホンで不便を感じない方やバランス接続をしたい方以外はそのまま使用しても良いと思います。

また、付属ケーブルはマイク無し3.5mmステレオミニ、マイク付き3.5mmステレオミニ、USB Cマイク付きの3種が選択できます。今回は3.5mmステレオミニを選択しています。

次に他機種との造形の比較です。

 

※画像左からTiNHiFi T2 EVO、BGVP P05

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BGVP P05とTiNHiFi T2 EVOの外観の比較として、サイズ感はほぼ同じ。どちらも円筒形のシェルでコンパクトと云えると思います。

ステムノズルの長さと太さ、角度ですが、長さはT2 EVOに対し、P05が交換可能な為、Equalization Filterはほぼ同じ。Bass Filterの場合は長めです。太さはほぼ同じ。角度はどちらも円筒形のため同軸であり同じです。

シェルの材質は、何方もオール金属仕様ですが重量感はあまり感じません。

一般的なIEMに対し、そのコンパクトさが目立ちますし、何よりもその造形から耳への収まりが良く装着感は良好です。寧ろ耳への装着時はイヤピが耳に嵌まる形であり、ステムノズルがやや太めのためイヤピ選びは通常のサイズよりもやや小さめで良いと思います。

ケーブルを接続するイヤホン側のコネクタ部はどちらもmmcxです。リケーブルの際はmmcxコネクタを選択しておけば問題ありません。

ステムノズル部には全てにフィルターがあります。全て金属フィルタですが、P05は金属フィルタの内側に更に音質調整フィルタがあります。

二機種共にシュア掛けとストレートで使用する事ができます。シュア掛けが苦手な方には朗報ですね。

なお、前述の通りP05はステムノズルがやや太めです。イヤーピースを最適なものを選び実際に装着した際に圧迫感が少ないものを選ぶ必要があります。

 

最後にイヤーピースを見てみます。


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付属のシリコンイヤーピースはVocal Ear TipsとBass Ear Tipsの二種に加え、フォームタイプとなります。Bassタイプは傘にコシが無くサイズ幅が極端です。実用的なのはVocalタイプです。こちらは某イヤピに似ていて、使い勝手は良好です。正直これ一択。

Vocalタイプは白イヤピは中高音をクリアにしてくれる印象です。耳への装着時はイヤピを耳奥へ挿入し栓をするように耳へ密着させることで私はフィットしました。付属イヤピで装着感に問題ない場合を除き、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。

幸い付属イヤーピースのVocalタイプで私はフィッティングが上手くいきました。また、Vocalタイプの方がP05の本領を発揮できると感じましたので、普段のサイズよりも小さめの付属VocalタイプSサイズを使用しています。

低、中価格帯に付属するイヤーピースは装着感が悪く、音質的にも実力を発揮できないと感じますが、今回は付属のシリコンイヤピで上手くフィットできました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. BGVP P05 音質レビュー

いよいよ音質についてまとめていきます。

 

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昨年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音に脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

昨年はSony NW-ZX507を使用していましたが、やや演出感のあるドンシャリはメリハリがありグルーブ感のある音はSonyの音で音楽を楽しく聴く事が出来ました。しかし、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5の方がモニターライクながらも、決してつまらない音ではなくリスニングでも使えて万能と考えたからです。

Shanling UP5をUSB-DACで使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

 

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属Vocalタイプ Sサイズ、付属ケーブル。先ずはEqualization Filter Setで聴いてみます。

箱出しで聴いてみた第一印象は「中高音がはっきりと鳴る華やかさのある音。低音は量感は抑え気味ですがしっかりと鳴る音。やや中高音寄りのフラット寄り弱ドンシャリバランス」です。

箱出しでは高音に荒々しさを感じましたが、鳴らし込み後は、高音が落ち着き低音とのバランスが取れた音という印象です。

 

音場

普通からやや広めの印象。前後はそれほど奥行を感じませんが、左右はやや広さを感じられます。奥行きをそれ程感じないこともあり立体感はそこそこですが、左右の空間を感じられますので窮屈さはありません。

 

高音域

全体的に華やかさのある印象を持ちます。強調感のある強さで鳴りますが、刺さりも無く嫌な感じはありません。過不足を感じる事はありませんが上までの伸びやかさはそれ程感じないものの、響きや余韻が適度にありますので存在感は十分。全体的な華やかに鳴りますが、無駄に騒がしいと感じるような出しゃばった感じではないあくまでもやや強調感のある鳴り方は分離も良く解像感は良好で鮮明さはこの価格帯として上々。

 

中音域

華やかさがありますが、音が集まる団子感や音が重なるゴチャつきは抑えられ整理されて鳴り方ます。音の立ち上がりが良く解像感も悪くありませんしクリアな中音域を明朗に鳴らします。ボーカルはクリアで自然な位置から僅かにドライな声色の印象です。

 

低音域

量感は抑えられ響きや広がりもそれ程感じませんが、芯のある音は強さを感じます。音階や強弱といった低音域の解像感はそこそこ程度ですが、ベースラインは追いやすくボーカルよりも前に出るような不自然さはありません。重低音は沈み込みはそれ程深さがありませんが、強さがありますので過不足を感じません。

 

出音のバランス

一言で云えばやや中高音寄りの弱ドンシャリからフラットに近いバランス。高音域は明るく鮮明にやや強調感のある印象ですが不自然な強さではありません。低音は量感は抑え気味ですが、締まりがあり過不足はありません。出音のバランスは中高音中心に解像感重視の現在の日本のポータブルオーディオファン好みの音と云えます。

 

Equalization Filter Setの音質傾向は、やや高音の華やかさを中心とした低音の主張を抑えた解像感重視のバランスです。中高音は響きや余韻も感じられ華やかに明るく鮮明になりますが、やや誇張された印象です。それでも不快な耳障りさはなくこのくらいで丁度良いと感じる方の方が多いかもしれません。そのため解像感が高いという印象を持ちます。低音域は抑えられており、響きや広がりは控えめ。それでもタイトに鳴る低音域は強さがありますので不足はありませんが、低音重視の方には少ないと感じる方が多いと思います。その分中高音域を邪魔することなくクリアで見通しの良さがあります。

 

次にBass Filter Setです。こちらはハーマンターゲットカーブをほぼトレースしており、バランスの良さは一聴して感じます。Equalization Filterのような中高音域の華やかさはありませんが、適度に必要な量を必要な時に自然な強さで鳴らします。自然な強さで鳴るため不自然さを感じることはありませんし演出感の少ない自然な鳴り方は耳触りが良いものの、やはり伸びやかさはそれほどありません。強調感がない分なめらかに鳴ります。解像感や描写は悪くありませんが、鮮明という程ではなく、僅かに暗い音の印象です。しかし、Equalization Filterの音を聴いた後なのでそれを感じ易くBass Filterだけ聴いていれば整えられた高音の印象です。

中音はEqualization Filterよりも僅かに凹みを感じますが、ボーカルは自然な位置にあり楽器の音はその周りに位置しています。華やかさは十分に感じられ分離も良く整った音。

ボーカルは自然な位置からクリアに聴く事ができます。周りの音や高音や低音にも埋もれることはありません。声色は自然で息遣いを感じられ艶も感じられます。そのため女性ボーカルのバラードなどでしっとりとした艶のある声を楽しめますし、アップテンポな曲でも伸びやかさを感じられます。

低音の量感は適度で響きや広がりも適度に感じられます。その一方、締まりのある音は、スピード感のある曲にも対応する懐の深さがあります。音階や強弱の描写も悪くありませんし雰囲気の良さも十分に感じられる整った音。

重低音は沈み込みはそれ程深くありませんが、より強さを感じられる音。低価格帯でよくあるただ強く大きく鳴らす音ではありませんので、物足りなさはあります。適度な低音域は中音域の下の方にも厚みを持たせてくれます。

Equalization Filterとの比較では解像感のEqualization Filterに対し、自然なBass Filterという印象です。どちらも高レベルの音と云えます。

 

他機種との比較としてTiNHiFi T2 EVOは見通しの良いクリアな中高音の中高音重視傾向ながらも低音も適度な強さで鳴らし音楽を小気味よく聴かせてくれるTiNHiFiの音を踏襲しており、高音中音は華やかでも見通し良く、低音は抑え気味ながらも芯があり強さのある音。中音域はこの価格帯でよくあるごちゃ付きを抑えクリアでドライ気味のボーカルは聴きやすい音質傾向でした。P05のEqualization Filterの音は近似しており、それの上位互換と云えそうです。

またP05のBass Filterの音は強いて云えばTiNHiFi C3の傾向に近い印象です。しかしC3では高音域が少し物足りない印象がありますが、それを上手く改善している上位互換機と言えるかもしれません。

次にCADENZAとの比較では、CADENZAがやや中高音寄りのドンシャリです。以外にも低音がしっかりとした音は、高音域は鮮明にしっかりと鳴らし、中音域を華やかに彩らせた高中音域を聴かせる硬質な音です。そのためP05のEqualization Filterの音に近くなりますが、解像感ではP05に分があります。

 

※過去レビューも参考ください

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まとめるとBGVP P05はEqualization FilterとBass Filterによって二つの音質を使い分け楽しむ事ができます。それぞれは中高音域の解像感重視だったり、流行りのハーマンの音だったりとその音質傾向は確実に変化を感じられます。そして何よりもそれら二つの音は高いレベルであり、P05がただのエントリーモデルではない事を証明していると云えます。

ハズレの無いハーマンターゲットの音作りは海外では人気の出やすい音造りですし、日本国内のポータブルオーディオファンは中高音寄りフラットが人気が高い市場です。それらをカバーするBGVP P05は個人的にお勧めできる商品です。

一方で従来の中華イヤホンの強ドンシャリの音が好きな方には評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   P05 ≧ CADENZA ≧ C3 

中音   P05 ≧ C3 ≧ CADENZA

低音   C3 ≧ CADENZA ≧ P05

ボーカル C3 ≧ P05 ≧ CADENZA

※Equalization Filterで評価

 

4. BGVP P05 の総評

BGVP P05は二つのFilter Setにより二種類の音質を楽しめますし、それぞれが高音質と云えます。価格帯で見ればA5000-U10000クラスとBGVPの中でもエントリーモデルに見えますが、決してそんなことはなく音質重視の選択でも普通に高音質のイヤホンとしてお勧めできます。Bass Filterをセットすれば各音域の聴かせ所を間違わない音は一般層には受けが良いと思いますし、海外では高評価となる音質傾向です。一方Equalization Filterでは日本国内のマニアにも納得の中高音重視の音。個人的にはEqualization FilterがP05の美味しいところを一番楽しめると思いますが、Bass Filterも捨てがたい。非常に楽しめるイヤホンと云えます。

 

最後に、今回は中価格A5000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2023年8月26日)は国内amazonやAliExpress等で発売されております。それ故に昨今の円安からは国内amazonでの購入が安心感があってお勧めです。AliExpressでは本国発送は勿論のこと、納期が掛かりますしその入手性には少々難があります。それでも、中華イヤホンの中でもその音質を含めクオリティの高さは十分満足できる内容となっておりますので、低価格中華イヤホンでちょっとよいものを検討中の方や間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実な国内正規品取り扱いを待って。少しでも新製品を早く安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

P05

以下、付属ケーブル、付属Vocalタイプイヤピ S、Equalization Filter、DAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

C3

以下、付属ケーブル、付属イヤピ MDAC UP5
高音★★★★☆ 
中音★★★★★  
低音★★★★★ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

CADENZA

以下、付属ケーブル、付属イヤピ MDAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★☆  
低音★★★★★ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★ (硬質な音)

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回は中華イヤホンの中価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後は低価格だけではなく、中価格の中華イヤホンも扱っていきます。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ