みぃねこの備忘録

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KiwiEars CADENZA レビュー

こんにちは。

今回もいつもの低価格中華イヤホンレビュー編ではなく、低価格U5000帯で発売された1DDモデルのKiwiEars CADENZAについてレビューをまとめたいと思います。

国内amazonのLinsoul Audio(@Luke32344614)で取り扱いがあります。

 

 

AliExpressでも取扱があります。

 

ja.aliexpress.com

 

Linsoul Audioの直販サイトはコチラ

Kiwi Ears Cadenzawww.linsoul.com

 

 

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1. KiwiEars CADENZAについて 

KiwiEarsというブランドをご存じでしょうか。

類を見ないオーディオ性能を求め、KiwiEarsでは技術革新と洗練されたチューニングにより最高の製品を目指しています。それはミュージシャンやスタジオエンジニアの使用を想定し、彼らの楽曲製作に伴う音質のあらゆるニュアンスを表現できる最高のインイヤーモニターを製造するために妥協せず常に探求しています。ありきたりで凡庸な製品造りに留まらず、専任のエンジニアによってチームが編成され各ユニットをハンドメイドにより造り上げています。そのイヤホンは装着していることを忘れてしまうほど、楽曲作りに集中できるようお手伝いします。私たちKiwiEarsは、これまでに聴いたことのないような音楽体験をお届けします(以上メーカーHP引用)。

自社の技術に自信と誇りを感じられる自己紹介は、興味を引く、今注目のブランドです。

KiwiEarsはまだラインナップが少ないですが、現在はラインナップトップにOrchestraがあり、エントリーに今回のCADENZAがあります。Orchestraは8BAモデルであり約500ドルで販売されており、CADENZAは約35ドルと販売価格の幅が大きくなっています。他メーカーでも旗艦モデルの音が良いのは当たり前ですが、実はエントリーモデルがそのメーカーの実力を知るのに丁度良かったりします。例えるならfinalのE3000とA8000です。トップモデルはメーカーの威信をかけた技術の結晶だったりプライドの塊で一切の妥協を許しませんが、その分価格も上昇しますし音楽を楽しく聴くためというよりは如何に原音に忠実に再生するか等の解像感が重視されています。一方、エントリーモデルは純粋に音楽を楽しむために良い音と感じさせる工夫が詰まっており、限られたコストの中でメーカーが腕を振るう所となります。それ故にエントリーモデルを安易に上位モデルのドライバを変更したり、付属品をチープなものに変更したりするメーカーにはあまり期待できません。

つまり、このCADENZAが注目されている理由の一つに某メーカーの旗艦モデルにも採用されている素材のダイナミックドライバが搭載(メーカー説明)されているという事もありますが、上位モデルとは全く別のアプローチで高音質を目指している姿が窺えますので、期待値が上がったのだと考えます。

さて、CADENZAで採用されたベリリウムですが、非常に加工が難しい素材としても有名ですが、何よりもその音の良さが思いつきます。特に応答性の高いエッジの効いたシャープな音は解像感が高く、ライバルメーカーが他の素材での代用で迎え撃つも唯一無二という評価となっています。

CADENZAが本当にベリリウムなのか?真偽はわかりませんが、一聴して堅さのある特徴的なサウンドは、その音の傾向を感じさせます。最早ベリリウムかどうかなんて些細なことに思えてしまうくらい普通に良い音がします。新進メーカーとなりますが、KiwiEarsには今後も注目していきたいメーカーと云えそうです。そして今回KiwiEars CADENZAを入手し、U5000帯のお勧めモデルとの比較を含めてまとめていきます。

 

それではKiwiEars CADENZAのスペックを詳しく見ていきます。と、その前にCADENZAは先述の通りシングルダイナミック(1DD)モデルです。低価格帯では1BA+1DDハイブリッドモデル等のデュアルドライバモデルが多く発売されています。最近では超高音~高音域をバランスドアーマチュアドライバ(BA)に代わり低電力EST(ESM)やピエゾを採用したモデルが増えています。低価格帯では徹底したコスト削減と高音質化という相反する課題を達成するために安価なダイナミックドライバ(DD)では広いレンジをカバーできず、DDは中低音域に特化させ不足する高音域をBA等で補うことで高音質化を狙っています。そのためCADENZAは1DDモデルのためにそれらとの違いに注目です。

CADENZAは10mm径ベリリウム振動膜(ダイヤフラム)ダイナミックドライバを採用しています。ベリリウムは硬度が高いため加工が難しく、それ故高価な素材となりますが、最近では硬度の高い素材にベリリウムコーティングのダイアフラム層も登場しており、ピュアベリリウムに近い特性を得られるそうです。前述の通り、CADENZAのベリリウムダイナミックドライバの真偽は不明ですが、ピュアかコートか?よりも、その出音に注目していきます。

ベリリウムダイヤフラムを使ったDDは音の輪郭がくっきりとした解像感の高い音ですが、代用でポピュラーなのはダイヤモンド・ライク・コート(DLC)ダイヤフラムです。DLCを使ったDDも解像感が高くキレの良い音を聴かせてくれますので、解像感の高いシャープな音を好まれる方には好評のドライバとなります。流石にどちらもピュアベリリウムダイヤフラム採用のfinal A8000には解像感でも敵わない印象ですが、それでも硬質でシャープな応答性の高い音は十分に良い音と云えます。

次にシェル本体はオール樹脂製です。医療グレードの樹脂素材を3Dプリント技術により人間工学を重視したフィット感の高い造形を達成しています。

音質を突き詰めればシェルの材質による音への影響は無視できません。樹脂製シェルは強すぎる不快な高音域の響きを吸収しやすくなります。一方、金属製シェルは高音域の響き、反響が樹脂に比べて大きくなります。ベリリウムという硬質な音がするダイヤフラムをコントロールする為に敢えて樹脂シェルを採用したのかもしれません。

一般的には響きの美しさは樹脂シェルよりも金属シェルが一枚上手ですが、良い事だけではなく、反響が強くなることで不自然な残響音となる場合があります。勿論シェル内部構造や空間も重要ですし音導管の有無なども含めたチューニングが難しいのは言うまでもありません。

そして最も大事なことですが、ドライバの特性を活かした出音のチューニングが重要です。低価格帯はもとより、中価格帯のモデルでもやや不自然さを感じる場合があります。一聴した限りCADENZAはベリリウムダイナミックドライバと樹脂シェルによって高音域は上手くコントロールされ不自然さは感じられずKiwiEarsのチューニング技術の高さを感じられます。

最後に付属ケーブルです。4芯高品質銅線の撚線を採用し中低域に厚みを持たせベリリウムダイナミックドライバの中高音とバランスを整えたサウンドを実現しています。中華イヤホンメーカーでは付属ケーブルはリケーブル前提で質を落としコストカットしているところもありますが、KiwiEarsでは出音のバランスを整え妥協しない音造りを目指しています。

 

※宜しければ以前のレビューもご参考ください

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KiwiEars CADENZAの納期としては現在(2022/12/10)国内amazonでも本国発送扱いですので当日発送、翌日配達とはいきません。AliExpressでオーダーした場合でも感染症の影響は回復傾向であり国内で佐川急便に委託される輸送の場合はかなり安定してきました。尤も平時であればAliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かるのが気になるところでしたが、最近は円安の影響で国内amazonとの価格差が殆どなく、そのメリットは殆ど感じません。

まあ海外ネットショッピングで心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. KiwiEars CADENZA実機レビュー 

それでは、早速実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングは濃紺を基調としたスリーブタイプ。スリーブ表面にはイヤホンカラーイラストとメーカー名が大きな文字で印字されています。

 

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スリーブを外すと内箱が。こちらは黒を基調とし、中央にメーカーロゴが表示されています。

 

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内箱の上蓋を開けると黒地の内装にイヤホンが収められています。


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内装の外すと下側には付属品が収納されています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースタイプのS、M、Lの3種が白色と黒色と黒色赤軸タイプの計3セット。他にはケーブルです。低価格U5,000帯として必要十分の付属品となります。

 

次に本体を見ていきます。

 

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幻想的なデザインのフェイスプレートに対し、シェルの造形はオーソドックスなものでシェルの角は丸みがあり装着感は良好です。

肝心のビルドクオリティは、中華イヤホンの低価格帯として心配されるような荒さもなく綺麗な仕上りでシェルの合わせ面を感じさせません。

カラーバリエーションはフェイスプレートが4色展開。緑、青、紫、赤色です。今回は紫を選択しました。

 

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付属ケーブルは先述の通り高品質銅線を使用した4芯撚線を採用しています。プレイヤー側コネクタはL字タイプ。プラグや分岐部、イヤホン側コネクタ部にはガンメタカラーがシックな色合で黒色被覆とマッチしています。イヤホン側コネクタは2ピン仕様の極性はKZ系と同様に上側がプラスです。この付属ケーブルは多少被覆に引っ掛かりを感じますが、タッチノイズは抑えられています。肝心の耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的にしなやかで取り回しも良く普段使いでも気になることはないと思います。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

※画像左からTiNHiFi C2、KiwiEars CADENZA

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CADENZAとC2との外観の比較として、サイズ感はCADENZAが幅が狭く厚みがありC2が幅が大きく厚みがない。造形はCADENZAがオーソドックスで丸みがありC2が角張ったもの。どちらも比較的コンパクトなシェルと云えます。

ステムノズルの長さと太さ、角度と長さはCADENZAとC2はほぼ同じ。太さはCADENZAが太めでC2は一般的なサイズです。

前述の通りどちらも比較的コンパクトですが、CADENZAはオーソドックスな造形ですので、耳への収まりが良く装着感は悪くありません。C2も角張っているもののそのコンパクトさから良好です。

イヤホンとケーブルを接続するコネクタにはCADENZAはフラット2ピンタイプを採用し、C2が埋め込み2ピンCIEMコネクタ仕様。リケーブルの選択肢はCADENZAの方が多くなります。

シェルの材質は、CAEDNZAのオール樹脂に対し、C2のオール金属と対象的。

重量はオール樹脂のCADENZAが軽量でオール金属のC2はそれよりも重め。と云っても数グラム程度の違いです。そのため、CADENZAは耳への装着時にはその装着感の良さからも重量を感じない程。C2でもはそれほど重さを感じないレベルです。寧ろ耳への装着感はステムノズルの太さに影響を受けやすくCADENZAは太めと云えますのでイヤピ選びは重要です。

ステムノズル部には全てに金属フィルターがありC2の穴が大きめの(中華イヤホンでは一般的)タイプです。CADENZAは穴が小さく音質へ多少影響のあるタイプと云えそうです。

最後に二機種共にシェル本体の形状と付属ケーブルからはシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、前述の通りCADENZAはステムノズルが太めなものの、実際の装着感は悪くなく、寧ろ付属イヤーピースの形状からは耳奥に密着させ装着する想定の様子。付属のシリコンイヤーピースで上手くフィットする事ができれば音質的にも必要十分だと思います。

 

最後にイヤーピースを見てみます。


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付属のシリコンイヤーピースは白色と黒色と黒赤軸の三種あり何れも一般的な形状の丸穴径、傘の裾野が弾丸タイプ。他社製含むサードパーティー商品との互換性の高い一般的な形状は選択肢が増えますので安心です。

付属黒は音質的にはダイレクトに音を届けてくれ、やや低音が厚めになるタイプに感じ、付属白の方が中高音がはっきりと聴こえる印象です。黒色赤軸はその中間のバランスタイプと云えそうです。軸はやや短めとなりますので耳への装着時はイヤピを耳奥へ挿入し耳へ密着させることを想定している様です。付属イヤピで装着感に問題ない場合を除き、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。

幸い付属イヤーピースでは私はフィッティングに問題なく、白色タイプが一番印象が良かったので、それを耳の奥に栓をするように装着しフィットしています。

低、中価格帯に付属するイヤーピースは装着感が悪く、音質的にも実力を発揮できないと感じますが、今回も付属のシリコンイヤピで上手くフィットできず他社製を使用しています。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. KiwiEars CADENZA音質レビュー

いよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音に脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

昨年はSony NW-ZX507を使用していましたが、やや演出感のあるドンシャリはメリハリがありグルーブ感のある音はSonyの音で音楽を楽しく聴く事が出来ました。しかし、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5の方がモニターライクながらも、決してつまらない音ではなくリスニングでも使えて万能と考えたからです。

Shanling UP5をUSB-DACで使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

 

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通り付属イヤーピース 白色Mサイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「全体的に硬質な音。シャープで鮮明な解像感の高い音は華やかに鳴りますが、ごちゃつかない分離の良い音。やや中高音寄りのドンシャリバランス」です。

箱出しではやや高音域に強調感と低音にボワつきを感じましたが、鳴らし込み後は高音は落ち着き低音は締まり、解像感の高い良い音という印象です。

 

音場

普通。曲によってやや広め。前後はやや奥行があり、左右もやや広さを感じられ、立体感を感じられますが、空間の広さはそれ程感じません。

 

高音域

煌びやかで響きが良く上までの伸びやかさも感じられます。存在感は十分で華やかに鳴りますが、常に前に出るような主張の強い目立つ感じの無い弁えた音。刺さったり尖りは感じません。

 

中音域

空間に響く華やかさがあります。音が真ん中に集まる団子感や音が重なるゴチャつきを感じ難く立体感のある音。音の立ち上がりは良く解像感は高いですが、輪郭はやや甘さがあります。ボーカルはクリアでやや近め。僅かにドライからニュートラルです。

 

低音域

量感は十分で響きや広がりもありますが、ボワっとするようなだらしなさはありません。音階や強弱といった低音域の解像感はそこそこ高いですが、やや硬さのある低音はアクセント寄りの鳴り方です。ベースラインは追いやすいですが、酔いしれる程ではありません。重低音は沈み込みは深く、強さもあります。

 

出音のバランス

一言で云えばやや中高音寄りのドンシャリ。低音が想像よりもしっかりとしているので中低音寄りという印象を持ちますが、実際には高音域は鮮明にしっかりと鳴らし、中音域を華やかに彩らせる高中音域を聴かせる音です。

 

高音の煌びやかで響きの良い華やかさは前に出るような主張ではありませんが、堅さのある金属音や響きが必要なだけ鳴る印象です。超高音までの伸びはそこまでなく天井はそこまで高さを感じませんが、なめらかに鳴ります。不快に感じる刺さりや尖りとは無縁で、小さな音でも耳に届けてくれます。他の音を邪魔せずに瑞々しく鳴り、低価格帯のデュアルドライバモデルで採用されているBAの様な強めの音で強調したシャリ付く演出感のある不自然な鳴り方ではありません。全体のバランスでみれば僅かに誇張された音にも感じますが、嫌味の無い自然な出音を意識している音を感じられます。

中音は僅かに凹みを感じますが、ボーカルが近く楽器の音はボーカルの周りから少し離れやや後ろ辺りに位置し奥行を感じやすく、硬質に響き華やかさがありますが、その音は分離が良く見通しの良い音です。

ボーカルは近めの位置からクリアで聴きやすく、周りの音や高音や低音にも埋もれません。声色は想像よりもと自然な印象で息遣いを感じられるなど不自然さを感じ難く、女性ボーカルのバラードなどでもしっとりとした艶のある声も楽しめます。

低音の量感は十分で響きや広がりがありますが、音階や強弱の描写はやや甘く、強弱がメイン。それでも低音が強調された強めの音というよりは適度な解像感を感じる低音が高音中音を支えています。恐らく中低音域がやや弱く雰囲気の良さを感じられるベースラインの質が今一つの印象がある為かもしれません。

重低音は沈み込みは深く強さを感じられますが、低価格帯のデュアルドライバモデルの様なただ強く鳴らす音ではなく、あくまでも自然に低音域が高音や中音域を邪魔せずに下支えする心地良く鳴らす低音は音楽を聴く楽しさを思い出させてくれます。

 

箱出し一聴した際には堅い音が解像感を演出している印象でしたが、鳴らし込みし聴き込んでいくと堅さの中にある音の鮮明さにやや甘さというか丸さがあることに気が付きます。それは決してウィークポイントではなくて、硬質な音のつまらなさをメーカーが認識していて、適度なニュアンスを加える事で音楽的な楽しさを再現しているのだと考えられます。勿論スタジオエンジニアが使うのであれば丸い音に聞こえるかもしれませんが、音楽を楽しむ私たちにとってCADENZAのバランスの方が好ましいと云えそうです。

次に比較対象は同じ低価格帯のTiNHiFi C2です。C2も1DDモデルですが、こちらはダイヤフラムにLCP+PUの複合素材を採用しています。LCPのキレの良い音とPUの豊かな特性を活かした音作りはハイレベルでデュアルドライバであることのデメリットの方が目立ってしまいます。その位完成度は高く、お勧めできるモデルとなりますが、今回のCADENZAもベリリウムダイナミックドライバの話題が先行していますが、従来のベリリウムダイナミックドライバの搭載モデルとは異なり音楽的な鳴り方で楽しめるモデルとなっています。C2もこれまでのTiNHiFiとは異なり音楽的なチューニングでしたが、CADENZAとの比較をすれば、解像感はCADENZAの方が上。音楽的な楽しさもCADENZAが上と云えます。しかし、C2はこれまでのTiNHiFiの音を踏襲した高中音重視のなめらかさがあり、硬質なCADENZAに対し一歩リード、C2に軍配が挙がります。

どちらも解像感の高い音楽的に楽しめるイヤホンと云えますので、硬質さかなめらかさかの好みの違いで選択することになります。

折角なので少々価格帯が上がりますがIKKO OH2との比較も。OH2はそれらの機種と比べると解像感は一歩譲ります。それでも空気感というか音楽的な楽しさはOH2も負けていませんね。

 

※以前のレビューも参考ください

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まとめるとKiwiEars CADENZAの出音はドンシャリと云えますが、堅さのある音は解像感の高さと音楽的な楽しさを感じられます。特にボーカル曲との相性も良く響きの良さは音楽を楽しめます。低音の出音が強めに聴こえるために低音重視と誤解されるかもしれませんが、実はCADENZAの高音域の鮮明なリスニングサウンドは全体の出音のバランスの良い、音楽を楽しく聴く事ができる音色のイヤホンと云えます。

一方でモニター用途としては硬質な音でありながら楽しいドンシャリバランスと云えるため高中音域以外は不向き。そして高音域のシャリつく刺激的な強さや低音のドンの量が多い強ドンシャリを求め、演奏メインで聴きたい方はもの足りなさを感じ評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   CADENZA ≧ C2  

中音   C2 ≧ CADENZA

低音   CADENZA ≧ C2

ボーカル CADENZA ≧ C2

 

 

4. KiwiEars CADENZAの総評

KiwiEars CADENZAは同社のエントリーモデルでありながら決して上位の廉価版ではなくベリリウムダイナミックドライバを採用する等、高音質を実現したモデルと云え、今後の同社のラインナップに期待できそうです。CADENZAのサウンドベリリウム由来の硬質でシャープさを持ちながら音楽的に楽しく聴く事ができます。付属品のイヤホンからの買い替えやちょっと良いイヤホンが欲しいというニーズに応えてくれるモデルと云えます。

 

最後に、今回は中価格帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2022年12月10日)は国内amazonやAliExpress等で発売されておりますが、国内amazonでは未だ本国発送ということはありますが昨今の円安のため、国内amazonでの購入が安心感があってお勧めです。またAliExpressでも本国発送のため、納期が掛かりますしその入手性とトラブル時には少々難があります。それでも、中華イヤホンの中でもその音質を含めクオリティの高さは十分満足できる内容となっておりますので、ちょっと良い低価格中華イヤホンに挑戦してみようと検討中の方や間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実な国内正規品取り扱いを待って。少しでも新製品を早く安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

CADENZA

以下、付属ケーブル、付属イヤピ MDAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★☆  
低音★★★★★ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★ (硬質な音)

※☆0.51.0

 

C2

以下、付属ケーブル、付属イヤピ MDAC UP5
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★ (なめらかな音)

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回はいつもの低価格中華1BA+1DDハイブリッドイヤホンではなく、低価格U5K帯中華1DDイヤホンの商品のレビューとなりました。低価格帯1DDでも同価格帯多ドラハイブリッドモデルに引けを取らないレベルの高さを感じさせられました。日々進化を見せる中華イヤホンはこれからも非常に楽しみですが、今後も低価格?を中心に、中華据え置き機器や複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ