みぃねこの備忘録

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TINHiFi T2 EVOレビュー ※TINHiFi T3、T4との比較含む

こんにちは。

今回はいつもの低価格中華イヤホンレビュー、1BA+1DDハイブリッドモデルではなく、中価格帯で発売されたシングルダイナミックモデルのTINHiFi T2 EVOについてレビューをまとめたいと思います。

AliExpressのNiceHCK Audio Store(@hckexin,@NiceHCK_Audio)等で取扱があります。

 

ja.aliexpress.com

 

国内amazonでも本国発送となりますが取扱があります。

 

 

 

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1. TINHiFi T2 EVOについて 

TINHiFiと云えば、古参の中華イヤホンファンには名の知れた存在で、以前はTIN AUDIOというブランド名でした。数年前にブランド名変更でTINHiFiとなりましたが、これまでも音質の良さと質感の高いイヤホンを世に送り出しています。

それらは中価格帯A5K-U20Kがメインとなりますが、一番らしさを味わえるのが「T2」シリーズです。T2シリーズはまだTIN AUDIO時代に最初期型のT2に始まり、T2 PRO、TINHiFiに変わってT2 PLUSと続き、今回T2 EVOと4代目となります。TINHiFiにはT2シリーズの他に、T3、T4、T5、P1、P2シリーズとラインナップがありますが、そのラインナップはシリーズ毎に個性があり、T3はKnowles製1BA+1DDハイブリッド、T4はCNT(カーボンナノチューブ)ドライバの1DD、T5はDOC(DLC overcoat)ドライバの1DD、P1は10mm径平面駆動型ドライバの1PD、P2シリーズは先ずP2が第二世代12mm径平面駆動型ドライバの1PD、P2 PLUSがP2を踏襲しながら改良した同社旗艦モデルとなり、それらとは販売価格が跳ね上がり高価格帯に。実売がP2がA35K、P2 PLUSがA69Kとなります。

その中でもT2シリーズはA5Kで販売され、TINHiFiの中でもエントリーモデルとなりますが、個人的に最もTINHiFiを楽しめるゾーンという印象です。その理由として、5,000円台という手を出しやすい価格と、同社の音質傾向を体感できる音づくり。更にT2とT2 PROが他のラインナップとは違い6mmと10mmの径の違うダイナミックドライバを直列に配置した2DD仕様という珍しい構成であるのに対し、T2 PLUSではナノ純ニッケル亜鉛合金ダイヤフラムの1DD。そして今回のT2 EVOではカーボン分子複合ダイヤフラムの1DDを採用するなど、試行錯誤を続けている謂わばTINHiFiの技術の見せ場と云えます。それらは闇雲に行っている訳ではなく、しっかりと時間を掛けてコストを抑えながらも上位モデルとなるT4やT5に匹敵する音を実現する為にドライバ構成や異なる素材をダイヤフラムに採用するなど、進化し続けるTINHiFiの姿勢を感じますし、同価格帯の多ドラハイブリッドモデルとは「音質」へのアプローチの仕方が異なり、その「音質」はやはり違うと云えます。

 

TINHiFiの音と云えば、中高音が透き通り天井の高い伸びやか。その分低音は控えめながらも芯のある音で、一言で云えば中高音重視の音となります。それを決定づけたのはやはりT2やT2 PROと云えますが、上位のT3もKnowles製BAにより低価格帯の中華イヤホン、1BA+1DDモデルとは異なりが高音域はがさつさの無いなめらかな音が特徴です。しかし、同じT2シリーズの中でもT2 PLUSは少々趣が異なり、それまでの中高音重視、特に高音域の天井の高さのある音ではなく、高音をやや抑え気味にし低音域をしっかりと鳴らす明確なドンシャリ傾向となりました。T2やT2 PROがややマニア向けの尖った音質傾向だったこともあり、T2 PLUSが万人受けする音質傾向だったことは以前レビューした際にも触れていますが、TINHiFiのT2 PLUSの実力を認められたのか国内大手イヤホン&ヘッドホンでも取扱が始まり、従来のAliExpressやamazonでのみ取り扱いというマニア向け商品から大きく舵を切った商品と云えます。そしてその後は、同社旗艦モデルP2及びP2 PLUSというP2シリーズも販売し、TINHiFiブランドを一般層へも広く知らしめることになったのは記憶に新しく、今後の同社の展開に目が離せません。

生憎、P1までは以前レビューしておりギリギリフォローできていますが、P2シリーズはちょっと手が出ないですね(悲)。だって30,000円以上出すなら他の国内外有名メーカーが手に入る価格帯です。そりゃあ躊躇します。

中華イヤホンに求めるものって「コストパフォーマンス」ですし、「この音が5,000円で!?」とか、「10,000円でこんなに良い音が聴けるの!?」が醍醐味ですから、ねぇ。

 

そういう意味ではT4は販売価格A10Kのモデルとなり同社のミドルローラインですが、音質傾向としては中高音寄りは変わらず、ややドンシャリ。T2シリーズやT3等のエントリーラインとの違いは高解像感の音を楽しめ、ちゃんとTINHiFiの音として成り立っている所。透き通る高音はT2やT2 PROやT3には敵いませんが、低音域の表現力はT4の方が上位モデルあることを感じさせてくれます。尤も、TINHiFiは比較的音量が取りにくく、アンプ部の出力がしっかりとしたDAPの方が本領を発揮してくれる「マニア向け」であり、スマホ直挿しで聴く場合と印象が変わってしまう危うさもあります。

 

T2 EVOのシェル本体はT2シリーズの中でT2 PLUSのみ丸みのある造形で、T2やT2 PRO同様の角のある造形です。素材にはシリーズ全てにアルミニウム合金を採用。EVOにはその素材がアップグレードをしているそうですが、詳細は不明。見た目では分かりません。また、シェルの造形と云えばTINHiFi、というよりTIN AUDIO時代のT2及び、T2 PLUSはケーブルのコネクタ位置がシュア掛けの際に違和感があり上下逆だったらよかったのにというもの。T3以降はシェル掛けの際に違和感のないコネクタ位置となりましたが、T2 EVOでも踏襲されているので装着時の違和感がありません。

 

TINHiFi T2 EVOは今年8月に中価格帯の中華イヤホンとしてシングルダイナミックドライバ(1DD)モデルとして発売されました。

中価格帯A5Kの中華イヤホンではポピュラーな多ドラハイブリッドモデルと異なり、高音域をバランスドアーマチュア(BA)ドライバが。ダイナミックドライバ(DD)が中音から低音域を担うように各音域を分担することなくフルレンジ対応となります。

もちろん音を繊細に高い解像感で表現するのにBAは最適ではありますが、中華イヤホンの低価格帯で採用されているBAの質は残念ながら高いとは言えず、音に粗さがあり解像感を重視した結果、シャープさはあるが故に尖りも兼ね備えてしまう痛し痒し。それをコストの制限のある中価格帯でも同様になりますが、先述のダイヤフラムの素材と同社の定評のあるチューニングよって高音質を実現しています。

尤も、A5Kという中価格帯ともなれば、国内メーカーの同価格帯も気になってきますし、やはりそれらよりもコストパフォーマンスが高いのが前提です。final E3000が買える価格ですから。

それはさておき。このT2 EVOが中価格帯中華イヤホン多ドラハイブリッドモデルや、同社T3及び、T4との比較、その違いを交えながらレビューを纏めていきたいと思います。

 

TINHiFi T2 EVOのスペックですが先述の通り高・中・低音域をフルレンジで鳴らすダイナミックドライバ(DD)を1基搭載した片側シングルドライバ構成です。

そのダイナミックドライバの素材にはカーボン分子複合ダイヤフラムを採用。

イヤホン本体にはアルミニウム合金を。一体型ステムノズルにも同じ金属を採用しています。

そして大切なのはこれまでレビューした中価格帯中華多ドラハイブリッドイヤホンの様な各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングは不要で、シングルドライバのシンプルなチューニングが可能なため、音質にも不安がありませんね。

 

TINHiFi T2 EVOの納期として今回AliExpressで購入し中国本土からの発送という事もあり、国内amazonのようにはいきません。今回はオーダーから2週間程度で届きました。昨今、感染症の影響で中国からの輸送は平時の様にはいきませんが、それも徐々に回復傾向であり最近はシンガポール経由ではなく台湾経由等で動き始めていますし国内は佐川急便が請け負っていますので、地域によっては従来の日本郵政よりも早く届くかもしれません。まあ、物流の安定化はまだ先というところですね。尤も平時であればAliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. TINHiFi T2 EVO実機レビュー 

それでは、早速実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングはいつものTINHiFiの化粧箱です。白を基調とした小箱は従来のT2シリーズと変わりません。横長タイプの化粧箱です。
箱の表にはTINHiFiロゴとモデル名があります。

 

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外箱を外すと白地の箱。その箱の上蓋を外すと白地の内装の台座にイヤホンが収納され、台座を取り外すと箱の底に付属品が収納されています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースが白色タイプのS、M、Lの3種が計2セットとフォームタイプのMサイズ?が1セット。その内、シリコンイヤピMサイズが本体取付け済。他にはケーブルとケーブルバンド、イヤホンポーチです。A5K、実売5,000円台の中価格帯として十分な付属品となります。

 

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次にビルドクオリティですが、中華イヤホンで心配されるような雑なところ感じさせません。流石のTINHiFiです。とはいえ中華イヤホンは近年レベルアップを感じられます。カラーバリエーションは銀色(金属色)のみ。

 

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付属ケーブルはTINHiFiで付属するいつもの白色(シルバー?)ケーブルに似た5n、8芯銀メッキ銅線の編込みタイプが採用されています。プレイヤー側コネクタはI字タイプで、イヤホン側はmmcx仕様です。この付属ケーブルは耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的に絡まり難く、しなやかなものとなり中価格帯に付属するケーブルの中でも過不足ない高品質の印象。この付属ケーブルをそのまま使用できますし白色ケーブルは派手さを抑えており、シェル本体の色が銀色(金属色)な為、それと相まって高級感があります。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

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※画像左からTiNHiFi T3、T2 EVO、T4 

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TINHiFi T2 EVOとT3、T4の外観の比較として、サイズ感はT4が一番小ぶり。次にT3。T2 EVOはT2シリーズでほぼ共通(コネクタ部の位置は違う)です。これらの造形は基本的に似ていますが、フェイスプレートに一番特徴があるのはT4の航空機エンジン風。T2 EVOには左右の見分け用の赤と青が刺し色されています。何れもmmcxタイプのコネクタとなっています。

TINHiFiのTシリーズ(2、3、4)は円筒シェルがデザインのベースになっていて、耳への収まり、装着感はシェルが金属製でありながらも実際には重さを感じずに良好です。

シェルの材質は、先述の通りオール金属製。

重量は三機種共にほぼ同じで、耳への装着時には殆ど差が分からないレベルです。三機種共に耳への装着感はイヤーピース次第となりますが、悪くありません。ステムノズルの太さもほぼ同じでやや太め。

また、ステムノズル部には全てにメッシュフィルターがあり異物混入による故障を防ぐと同時に、音への効果もあります。T3、T4は変化の大きい目が細かい真にフィルター。T2 EVOのフィルターはそれに比べると粗目ですが、低価格帯のフィルターに比べるとちゃんと?フィルターしています。

シェル本体の形状からは三機種共に耳から下にそのまま垂らすストレートでも使用は可能ですが、付属ケーブルがシュア掛け前提となりますので、その場合はリケーブルする等の対応が必要ですので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、先述の通りT2 EVOはステムノズルは比較的太めです。太いステムノズルは装着感に影響があり圧迫感を感じやすく、その影響が感じやすいため、イヤーピースのタイプで上手く調節する必要があります。

 

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付属イヤーピースは従来のT2シリーズにも付属する白色タイプです。個人的にこのシリコンイヤーピースは傘が少々コシが無く、耳から抜け気味で装着感がイマイチに感じました。

付属イヤーピースは音質的にはやや高音中音がしっかりとするタイプに感じますが、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。

生憎この付属イヤーピースでは私は上手く合わせられず、手持ちのAET07 M-サイズを耳の奥に栓をするように装着しフィットしています。

低・中価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じますが、今回は付属のイヤピ白色では満足出来なかったため早々に交換しています。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. TINHiFi T2 EVO音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今後は価格帯関係なくSony NW-ZX507を基準としてレビューを行います。ずっとスマホ同等かやや良いくらいという基準を持ってきましたが、ご容赦ください。

ZX507については他の方のサイトでも詳しく解説していますので、SONYのまあまあの価格帯のサブスク対応android機です。従来のShanling Q1は3.5アンバランス接続のみですが、ZX507は4.4バランス接続にも対応しています。DACには独自開発のS-Master、フルデジタルアンプが採用されています。

Shanling Q1とZX507の音質の違いは音場がやや平面的に感じられるQ1に対し、ZX507は奥行きのある立体的な印象。具体的にはボーカルの位置に対し、高音や中音の演奏音がその周りやや離れた後ろ側に位置し自然な位置関係に感じられます。

次に、音質傾向ですが、音楽を正確に淡々と鳴らそうとするQ1に対し、ZX507は高音域と低音域をしっかりと鳴らすやや派手な音ながらも、ボーカルを邪魔せずにそれを引き立てています。所謂ドンシャリ傾向と云えますが、過剰なほどではなくて若干の演出という感じ。そして中音はボーカルに対し相対的に控えめに感じられますが、その分ボーカルはクリアです。特徴としては低音に厚みがありますので音楽を雰囲気良く聴くことができるSONYの音といえます。

個人的には音楽を楽しく聴くという本来の目的を達成するために必要十分なDAPと考えており、今年6月からは音楽配信サービス、Apple Musicがロスレス対応しましたが、android搭載DAPとして勿論対応(※1※2)しています。そして、何よりもBluetooth接続は安定していますので、強いて云えば電池持ちが悪い位しか不満はないです。

※1:2021/07/19現在 android版Ver3.6.0ベータ版(1115)で動作確認

※2:2021/07/22現在 android版Ver3.6.0正式版(1118)が配信開始

 

 

 

低価格帯のイヤホンの場合でDAPの違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。

 
miineco106.hatenadiary.jp

 

※FiiO M5とShanling M0の比較もよろしければご参考ください。 

miineco106.hatenadiary.jp

 

それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピはAET07 M-サイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「高音が主張する中高音寄りのTINHiFiらしい音」です。

箱出しではやや高音にざらつきを感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は高音のシャリつきは落ち着きなめらかに。低音もしっかりと鳴るようになり、高音低音のバランスが良くなったように感じます。

音場は普通からやや広く感じ、曲によっては広く感じます。

高音は煌びやかで伸びやかさがあり天井は高く、十分な華やかさを感じられ存在感がありますが、不快な刺さりは抑えられています。

低音は抑え気味。量感は少ないものの芯がある音。その分締りとキレは良好。ベースラインは追いやすい。重低音は沈み込みはそこまで深くありませんが、強さが有り十分。

中音は適度な華やかさがありますが、過度な主張はなくゴチャつきも少なく感じます。ボーカルはドライ寄り。クリアで自然な位置から聴かせてくれ聴きやすい。

一言で云えば中高音寄りのフラットに近い僅かにドンシャリ

高音は煌びやかさがあり伸びも感じられ、華やかさは前に前にとしゃしゃり出るような主張ではないので嫌な感じは無く、演出感は抑えられ超高音までの伸びも感じられます。だからと云って不快に感じる尖りはなく、ボーカルを邪魔することはありません。

中音はやや凹みを感じますが、楽器の音はボーカルの周りやや後ろ辺りに位置し華やかに鳴ります。ボーカルはクリアで聴きやすく、高音や低音に埋もれずに聴くことができます。高音同様に小さな音や強めの音も団子になり難く、分離良く鳴らします。

全体的にみれば高音と中音域が目立ちますが、抑え気味に感じる低音も芯のある音が小気味よくなりますので、低音重視の方以外は不足感は感じずに音楽を楽しめる音は何よりもTINHiFiの音、世界観を楽しめます。

ボーカルはドライ気味なものの息遣いを感じられ不自然さを感じ難いですが、しっとりとした雰囲気を楽しみたい場合には相性というか部の悪さは感じられます。

低音は量感は抑えられています。そのため広がりや響きは感じ難く雰囲気よりも小気味良さがあります。繰り返しになりますが、これもTINHiFiの、いやT2の音であり真骨頂です。それでも初期のT2やT2 PRO程高音に振り切っていないので、丁度良いバランスの低音を感じられます。そのため、やはり響きというよりも芯のある音で締りとキレによる小気味良さと強さに振った中高音寄りのイヤホンとしては適度な低音のため、それに慣れた方ではそれでも多すぎると感じるかもしれませんが、このぐらいは無いと物足りないと個人的には感じます。

重低音は沈み込みはそれほど深さがありませんが、強さがあり不足を感じません。低音が高音中音を邪魔しない弁えたバランスと高音中音の煌びやかさ華やかさのあるバランスの良さはフラットに近い印象を受けますが、やはり僅かにドンシャリに分類されるのだろうと感じます。TINHiFiが〇イヤホンでも取り扱われる訳ですね(もちろん国内代理店の存在が一番大きい)。

 

このバランスは以前レビューした同社T3やT4と傾向は同じです。

それらと比較した場合、先ずT3はT2やT2 PROの中高音重視、低音は添えるだけの2DDの内、DDの一つをBAに変えた音。そのためDDの高音とBAの高音の差としてより超高音の伸びやかさを感じられます。T2 EVOも超高音は表現してくれますが、T3には及びません。しかしT3は低音がT2 EVOよりも抑えられており、出力の弱いスマホDAPなどでは低音を感じ難い偏った音に聴こえます。これは中高音を邪魔しないために低音を抑え気味にせざるを得なかった結果だと思いますが、T2やT2 PROの系譜はT3がしっかりと守っていると云えます。

次に、T4はT2 PLUSが下位互換と云えるような音質であり、T4の解像感を1、2枚落ちした印象でしたが、T2 EVOがその座を奪ったと云えます。そもそもT2 PLUSはTINHiFiには珍しい高音低音をはっきりと鳴らす明確なドンシャリでしたので、今回のT2 EVOがT4の正統な系譜と云えそうです。尤も、絶対的な解像感はT4が上ですが、音のバランスはほぼT4。T2 EVOが僅かに低音抑え気味の中高音寄りとも云えますが、これもDAP等の上流次第ですし、環境によって印象が異なるかもしれません。

 

余談ですが、TINHiFiの音はT2やT2 PROの音は本当のマニア向けなんだろうなという印象で、正直苦手な音でした。それでも個人的にはT4の音は好みで、T2 PLUSはなんか違うというもの。それを今回T2 EVOが個人的なTINHiFiの音の呪縛を払拭してくれた、そんな気持ちになりました。

 

※以前のTINHiFi T3のレビューもご参考ください miineco106.hatenadiary.jp

 

※以前のTINHiFi T4のレビューもご参考ください 

miineco106.hatenadiary.jp

 

まとめるとTINHiFi T2 EVOは従来のTINHiFiの音を踏襲した見通しの良いクリアな中高音の中高音重視傾向ながらも低音も適度な強さで鳴らし音楽を小気味よく聴かせてくれるイヤホンとなります。高音中音は華やかでも見通し良く、低音は抑え気味ながらも芯があり強さのある音。中音域はこの価格帯でよくあるごちゃ付きを抑えクリアでドライ気味のボーカルは聴きやすい音質傾向は真にTINHiFiの音と云え、同価格帯の多ドラハイブリッドが苦手な方にお勧めと云えそうです。

尤もリスニング用途としての聴いていて楽しいドンシャリバランスは中華イヤホンには高音域のシャリつく刺激的な強さや低音のドンの量が多い強ドンシャリを求め、演奏をノリ良く聴きたい方には、もの足りなさを感じ評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   T4 ≧ T3 ≧ T2 EVO

中音   T4 ≧ T3 ≧ T2 EVO

低音   T4 ≧ T2 EVO ≧ T3

ボーカル T3 ≧ T4 ≧ T2 EVO

 

 

4. TINHiFi T2 EVOの総評

TINHiFi T2 EVOはやはりTINHiFiの音を踏襲していましたが、これまで物足りなかった低音域を自社の音を崩さずにバランス良く仕上げたモデルとまとめました。

同社のT4との比較では価格の違いに起因する部の悪さはありましたが、A5Kという価格からは他の中華イヤホン、とりわけ多ドラハイブリッドとの比較では寧ろ高評価と云えそうです。

国内〇イヤホンでも一部機種の取扱があるTINHiFiの音を体験してみるのも一興かもしれません。

そういう意味では中華イヤホンは「コスパ重視」の方へお勧めできますが、中華イヤホンに特徴を求め検討されている方には注意が必要な商品ですね。

 

最後に、今回はAliExpressで先月発売された中価格帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2021年9月25日)はAliExpressや国内amazon(本国発送)でも発売されており、AliExpressでは5,000円台の価格で入手可能です。一方amazonでは本国発送の5,000円半ばの価格と、AliExpressの方が僅かに安価に入手できますが、その入手性には現在も難があります。とはいえこれまでの低価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっておりますので、低価格中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでprimeでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、少しでも安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

T2 EVO

以下、付属ケーブル、イヤピAET07 M-使用、DAP ZX507
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

T3

以下、付属ケーブル、イヤピAET07 M使用、DAP ZX507
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★☆ 
音場★★★☆
分離★★★☆
お勧め度★★★★☆ 

※☆0.5、★1.0

 

T4
以下、付属ケーブル、付属イヤピシリコン白 M使用、DAP ZX507
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★ 
※☆0.5、★1.0

 

 

あとがき

今回はいつもの低価格中華1BA+1DDハイブリッドイヤホンではなく、中価格帯の中華イヤホンの新商品のレビューとなりました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後も低価格?を中心に、中華据え置き機器や複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。現在、未レビュー品が少々溜まってきていてお蔵入りに戦々恐々です(困)。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ