こんにちは。
今回はいつもの中華イヤホンではなく、日本の老舗ブランドVictorの左右独立型完全ワイヤレス(Ture Wireless Stereo。以下TWS)イヤホン、HA-FW1000Tのレビューをまとめたいと思います。
国内メーカーの商品なので国内大手イヤホン専門店や家電量販店の各店頭及び、WEBサイト並びにamazon等のECサイトでも購入可能です。
www.e-earphone.jp
以下、メーカーHP
www.victor.jp
1. Victor HA-FX550T について
1.1. Victor とは
以前Victorの旗艦モデルHA-FW10000(以下FW10000)と同様に「木」の振動板を採用した「Woodシリーズ」初の左右独立型完全ワイヤレスイヤホン(以下、TWS)のHA-FW1000Tをレビューしました。Victorブランドと云えば「ニッパー君」の愛称で親しまれている犬が旗艦モデルFW10000と同様にHA-FW1000Tにも描かれており、他社にはないアイキャッチとして定着しています。また、音質もVictorブランドの名に相応しくTWSモデルでも高音質のモデルでした。
そのVictorブランドから久しぶりに同社ハイクラスモデルとして今年HA-FX550Tが発売されました。HA-FX550Tでは同社ハイクラスモデルに採用されているWoodシリーズとは異なり「シルクレイヤーカーボン」を採用した新型ダイナミックドライバを搭載し同社TWS史上最高音質を謳っています。
シルクレイヤーカーボンを採用した新型ダイナミックドライバの是非はさておき、同社のWoodシリーズは「HP-FX500」(2008年)から始まりに16年の歴史があります。2018年以シリーズ10周年モデルとして発売した「HA-FW10000」(2018年)は未だ旗艦モデルとして君臨しています。そのブランドイメージのままでも十分戦えたはずなのに新しいブランドに挑戦することを選択したメーカーには日本も未だ捨てたものじゃないなと敬意を示します。HA-FW1000Tの美麗な中高音と豊かな低音というWoodシリーズの良さを詰め込んだ音にHA-FX550Tはシルクレイヤーカーボンでどのように立ち向かうのか。発売日に入手し1か月使ってみた感想を加えてまとめたいと思います。
次はHA-FX550Tの特徴をみていきます。
1.2. Victor HA-FX550T の特徴
それではその特徴を以下まとめてみます。
超小型サイズに高音質を凝縮
大口径11mmのドライバーを搭載しながらもイヤホン片耳約5.4g。
充電ケースは約23.6gとビクター完全ワイヤレスイヤホンにおいて最小・最軽量を実現しました。
【瑞々しく、豊かに響く音】
新開発 大口径11mmシルクレイヤーカーボン振動板
- シルクによる滑らかで繊細な瑞々しい音
日本古来から楽器の弦などにも用いられている天然素材のシルク(絹)に着目し、その成分をカーボンコーティングされたベースに付加した大口径11mmのシルクレイヤーカーボン振動板を新開発。
シルク(絹)の特性である滑らかさにより、繊細な描写でありながら瑞々しい音を実現しました。
- ステンレス音響チャンバー
大口径ドライバーを搭載しつつ小型設計を実現し、さらにドライバーユニットの背面には音響のための空間をしっかりと確保し、ゆとりのある豊かな低音とワイドレンジな音を実現しています。イヤーピースによる保持に加え、耳穴の周囲のくぼみであるコンチャ(耳甲介)にフィットするコンチャフィット形状による優れたフィット感を追求。また、磁気回路やボイスコイルなどには有線ハイクラスイヤホン同等のパーツを採用し、音響用チャンバーを構成するパーツには、当社完全ワイヤレスイヤホンでステンレスを初めて採用しました。
余分な振動を徹底排除し、ディテールの正確な再現力、伸びのあるクリアな表現力、広く見通しの良い音場をお楽しみいただけます。
ビクター史上最高のノイズキャンセリング性能
ノイズキャンセリング音を作り出すドライバー性能や独自設計のパラメーターの改良などにより高いノイズキャンセリング性能を実現。
さらに、音質とノイズキャンセリングの効果を高度な技術で調和させ、自然で高い効果を実現しています。
専用アプリにより、風切り音を低減する「ウインドカットモード」を使用すれば、風の強い屋外でもクリアなサウンドが楽しめます。
【音のプロが認めた音】
音楽制作現場「ビクタースタジオ」のプロのエンジニアが音質チューニングに参加。
当社独自の音響設計技術に加えて、プロの音に対する知見を注入することにより、細部の表現にこだわったビクターの「心地よい音」を実現しました。
音のプロが認めた音には「Tuned by VICTOR STUDIO」のロゴを付与しています。
音のプロが創った5つのサウンドモード
好みや楽曲、シチュエーションで選べる、8つのプリセットサウンドモードを搭載。
お馴染みの3つの「FLAT/BASS/CLEAR」モードに加え、ビクタースタジオのプロのエンジニアが創った5つの「PROFESSIONAL」モードで、様々な音楽の楽しみ方を提案します。
- PROFESSIONAL①:声の魅力がより伝わるチューニング
- PROFESSIONAL②:立体的な音響をテーマに自然で豊かな音像にチューニング
- PROFESSIONAL③:視界が晴れキラっとヌケの良さを感じるチューニング
- PROFESSIONAL④:楽器のアンサンブル、表情をより感じられるチューニング
- PROFESSIONAL⑤:音数の多い楽曲もしっかり聴きやすいチューニング
ハイレゾサウンドLDAC™コーデック対応
最大96kHz/24bitまでのハイレゾ高音質コーデックLDACに対応。対応端末と接続することにより、ハイレゾコンテンツの持つ広帯域・高ダイナミックレンジをワイヤレスでも楽しめます。
音質と装着感が向上するスパイラルドットProイヤーピース
クリアなサウンドを作り出す高音質化イヤーピース
イヤーピース内壁にスパイラル状にドットを配列した独自の音質向上技術「スパイラルドット」により、音質劣化の原因となるイヤーピース内の反射音を拡散させ、音の濁りを抑制し、クリアなサウンドを実現します。
さらにそれを進化させた「スパイラルドットPro」はスパイラル状の凸形状を追加し、より繊細な音までの再現性を高めています。
また、やわらかいグレードのシリコン素材により、装着感と密閉度を向上させ、より音質と装着感を高めます。
5つのサイズ(S、MS、M、ML、L)を付属し、耳に最適にフィットするサイズを選べます。
アプリで自分好みにカスタマイズ
専用アプリで、フルカスタマイズ可能な自由度の高いキー割り当ての変更、サウンドモードの切り替え、パラメトリックイコライザーによる本格的な音質調整のカスタムサウンドモード、各種機能の設定・切り替え、アップデート対応など、高いカスタマイズ性で自分好みの音質/操作のイヤホンが作れます。
テレワークに便利な3つの機能
- 2台接続し直す手間がない、マルチポイント
- 左右片耳のみの使用が可能
- ワンタッチでマイクミュート可能
AIによる通話用ノイズリダクション機能で、高い通話品質
さまざまな騒音データを学習したAIアルゴリズムによる通話用ノイズリダクション機能とビームフォーミング技術、高性能MEMSマイクが騒音下でも話者の声を識別して騒音だけを低減し、通話相手にクリアな声を届けます。
スタジオモチーフの選べる2カラー
スタジオ機材をモチーフにしたシックなブラックと、スタジオのライティングをモチーフにした品位のあるブロンズの2色展開。
AndroidTMデバイスと簡単にペアリングできる、Fast Pairに対応
その他の特長・機能
- 92段階のボリュームステップ
細やかな音量調整が可能です。
- 雨や水しぶきに強い防滴仕様
- 外音取り込み機能
イヤホンを付けたままでも会話が可能。
ワンタッチで音量を下げるとともにマイクで外音を取り込み、会話をしやすくします。
- ゲームや動画視聴に最適な低遅延モード
Bluetooth®伝送時に発生する音声の遅延を抑制し、映像と音声のずれを抑えます。
- 最大21時間の長時間再生
- クイック充電対応
15分の充電で最大70分の再生が可能
- オートオン/オフ&オートコネクト機能
一度ペアリング設定すれば、あとは充電ケースからの出し入れで自動ワイヤレス接続と電源ON/OFFが可能。
- タッチコントロール機能
ビープ音によるフィードバックにより、軽いタッチで確実な操作をアシスト。
- スマートフォンの音声アシスタント機能の起動に対応
- 安定したワイヤレス接続Ver.5.3
左右独立伝送、Bluetooth®標準規格Ver.5.3、Power Class 1に対応
(以上、メーカーHP抜粋)
Victor HA-FX550Tは同社の新しいTWSイヤホン旗艦モデルとして従来のHA-FW1000Tで不満があったところをアップデートしています。音質は後でふれるとして、間違いなく高機能となっています。機能性は同価格帯の他社製品と比較した場合にも遜色なく、ワイヤレス充電はありませんが、2台のマルチポイントやアプリによる設定等の機能が搭載されました。これらはHA-FW1000Tが当時アプリによる設定ができなかったことがやはりマイナスだったことが窺えます。そしてノイズキャンセリングの効きが弱かったこともあり、今回は大幅なアップデートが行われました。一方で社社との差別化では小型化に成功。イヤホンケースとイヤホン本体は群を抜いてコンパクトになりました。コンパクト化はやはり装着感に好影響がありましたが、その分使用時間が短めとなっています。連続4時間の使用時間は他社と比較しても短い方と云えます。
そういう意味では従来のHA-FW1000Tに変わる新しい旗艦モデルがHA-FX550Tという認識で間違いはないと思いますが、やはりHA-FX550TはTWSに求められるガジェット性能を重視したTWSイヤホンとしての立ち位置であり、普段有線イヤホンを好んで使用するユーザーへ向けた製品ではないのかもしれません。
また、個人的な驚きとして、HA-FX550Tでは無線コーデック「LDAC」を採用しており、HA-FW1000Tの「AptX Adaptive(24bit/96kHz対応)」ではありませんでした。
LDACやAptX Adaptive(24bit/96kHz対応)の無線コーデックはハイレゾ音源をTWSイヤホンでもハイレゾ相当で手軽に聴く事ができます。現在はTWSイヤホンの音質を左右する機能として無視できない「無線コーデック」をSonyが開発したLDACを採用に舵を切ったことは興味深いです。
無線コーデックの音質に影響する説明を簡単に云えば「LDAC」は「SBC」などの一般的な無線コーデックの約3倍もの情報量を持ち、最大24bit/96kHzのハイレゾ音質の楽曲データをほぼハイレゾ相当で伝送が可能となります。Sonyの開発した無線コーデック「LDAC」はこれまで主流だった「aptX」や「AAC」「SBC」よりもデータ伝送量が多く、その結果、従来よりも高音質で音楽を聴く事ができます。
少し技術的な話をすれば、「LDAC」は最大24bit/96kHz、最大990kbpsに対応しています。それに対し、SBCでは最大16bit/48kHz、最大328kbpsと伝送量が劣ります。そのため、AAC-LC(320kbps)のような圧縮された楽曲データを聴く場合には折角のLDACの優位性は感じられませんが、ロスレス楽曲(16bit/44.1kHz、1,000kbps)やハイレゾ楽曲(24bit/96kHz、4,000kbps)ではほぼ有線イヤホンで聴いているような音質を感じる事ができます。
1.3. Victor HA-FX550T のスペック
次にHA-FX550Tのスペックを詳しく見ていきます。
■主要スペック(Victor商品ページ抜粋)
|
HA-FX550T |
EAH-AZ80 |
WF-1000XM5 |
ドライバ |
11mm径ダイナミックドライバ シルクレイヤーカーボンダイヤフラム
|
10mm径ダイナミックドライバ アルミダイヤフラム |
8.4mm径ダイナミックドライバ |
高音質化技術 |
- |
- |
DSEE Extreme |
Bluetooth
バージョン
|
5.3 Class 1 |
5.3 Class 1 |
5.3 Class 1 |
コーデック |
SBC、AAC、LDAC |
SBC、AAC、LDAC |
SBC、AAC、LDAC、LC3 |
ノイズ
キャンセル
|
〇ANC / 〇ヒアスルー |
〇ANC / 〇ヒアスルー |
〇ANC / 〇ヒアスルー |
マルチ
ポイント
|
〇2台 |
〇3台
※3台接続時はLDAC不可
|
〇2台 |
360 Reality Audio |
- |
- |
〇 |
アプリ対応 |
〇 |
〇 |
〇 |
連続再生
時間
|
イヤホン: 最大4時間(NCオン) / 最大6時間(NCオフ) 充電ケース: 最大14時間(NCオン) / 最大21時間(NCオフ) |
イヤホン: 最大7時間(NCオン) / 最大7.5時間(NCオフ) 充電ケース: 最大24時間(NCオン) / 最大25時間(NCオフ) |
イヤホン: 最大8時間(NCオン) / 最大12時間(NCオフ) 充電ケース: 最大24時間(NCオン) / 最大36時間(NCオフ) |
防水 |
イヤホン本体:IPX4 |
イヤホン本体:IPX4 |
イヤホン本体:IPX4 |
満充電時間 |
イヤホン:約2.0時間 ケース:約2.5時間
ケースとイヤホン同時:約3.5時間
|
イヤホン:約2.0時間 ケース:約2.5時間
ケースとイヤホン同時:約3.0時間
|
イヤホン:約1.5時間 ケース:約2.0時間 |
充電時間 |
15分充電で70分使用可能 |
15分充電で70分使用可能 |
3分充電で60分使用可能 |
ワイヤレス
充電
|
- |
〇 |
〇 |
イヤホン
重量
|
イヤホン:5.4g ケース:23.6g |
イヤホン:7.0g ケース:50g |
イヤホン:5.9g ケース:39g |
参考に他社TWSイヤホン旗艦モデルEAH-AZ80とWF-1000XM5のスペックを併記してみました。
三つの機種はスペック上、ほぼ同じ。音質に拘るところでは無線コーデックはLDACと同じです。異なるのは搭載するドライバサイズや振動板の素材が違います。
音質以外の機能性、所謂ガジェット性能はEAH-AZ80やWF-1000XM5に比べワイヤレス充電が無いところがやや見劣りする程度で有線イヤホンとは違うTWSイヤホン市場のニーズに対応していると云えます。
販売価格ではEAH-AZ80の約36,000円(公式ストア)に対し、WF-1000XM5は約41,800円(公式ストア)に対し、HA-FX550Tが29,700円(公式ストア)と一番安価で同社HA-FW1000Tの36,000円よりも安価な価格設定になっています。とはいえEAH-AZ80とWF-1000XM5は発売から約1年が経過し公式ストアクーポンを使えばもっと安価で購入できますので悩ましいところです。
さて、この価格帯は各社がTWSイヤホンのハイクラスモデルを投入しており、競争が激しい市場です。そしてTWSイヤホンとしての「高音質」に加え、ガジェット機能も高い高機能商品に人気が集まっています。
メーカーはHA-FX550Tは同社のTWS史上最も高音質と謳っており、同社のHA-FW1000Tを凌ぐ音質という説明となります。また、従来のHA-FW1000Tから機能を強化したモデルという位置づけであり、「商品性」が高くなり、肝心の「音質」をさらに強化した商品という事になります。一方で、アプリ連携を含めガジェット性能は総合面で他社からやや遅れている印象。違いはWF-1000XM5が360 Reality Audioや同社のDSEE Extreme(圧縮音源のアップスケーリング技術)による高音質化技術を採用し一歩リード。EAH-AZ80はマルチポイント接続が3台(ただし3台接続時はLDAC接続不可)とこちらも他社を一歩リードと各社特徴を持たせて勝負しています。そういう意味ではHA-FX550Tはやはり他社との差別化でユーザーへ訴求できているかはやや疑問。冒頭のWoodシリーズがここで活かせたのではないか。Woodで攻めるべきではなかったのか。シルクレイヤーカーボンが悪いわけではないが、多少価格が上がってもWoodだったのでは?というのが個人的な考えです。
そして、もう一つの懸念点があります。TWSイヤホンは無線接続の安定性が重要です。HA-FX550Tは最新のTWSとしてBluetoothバージョン5.3 Class1を採用し省電力と接続安定性が高くなっています。しかし、androidスマホのLDAC音質優先で接続した場合、リビングにスマホを置きその部屋(LDK)の中でイヤホンを装着したまま動き回っても接続は安定していましたが、壁を隔てた部屋間の移動では結構途切れます。他社のTWSではマルチポイント接続を無効にしたところ、ほぼ途切れなくなったので試したかったのですが、残念ながらその設定項目は無く、結果として屋内でも接続品質に不安があります。屋外での使用では流石に接続優先に設定。大きなハブ駅構内等では途切れることがありましたが、そこそこ安定しており実用性は確保した通信品質と云えます。しかし、同じ条件でWF-1000XM5のLDAC接続では音質優先部屋間の移動でも問題は無かったのでスマホとの相性、或いは私の個体が悪いのかもしれません。
次に使用可能時間です。連続再生時間はANCオン/オフや接続コーデックにより変化します。そのため公称よりはやや短めとなりますが、出かける前にフル充電しておけば平日の通勤のお供に問題はありませんが、最新のTWSとしてやはり少々心もとない使用時間となります。尤もこれは使用環境、条件により変わりますので参考程度にお願いします。
最後に待機時間や充電時間です。実際に約一ヵ月使ってみた印象として充電時間はほぼスペック通りと感じましたが、私の環境では音楽再生が僅かに短く感じるものの、ほぼスペック通りという印象です。とはいえ、家で動画を観たり通勤往復でも十分ですし、会社についたら充電してしまえば不都合を感じる事はないと思います。これは他のメーカーでも云えることですが、実際のメーカー公称時間とユーザーの実行時間としてそれほど大きな問題とはならないと思います。
※Sony Xperia 5 IIの設定>音設定メニュー画面
HA-FX550Xに限った話ではありませんが、初めて接続したTWSの音量が大きすぎる場合があります。その場合は、androidの設定>音設定メニュー、メディアの音量を調整し本体の音量調節ボリューム調整で予め下げておくことをお勧めします。また、通常Bluetooth接続機器とスマホ本体の音量調整は連動しており機種によっては1メモリの調整幅で大きくなり過ぎたり、小さくなり過ぎたりと音量調整で困ることがあります。これに対応できるのが前述の「メディアの音量」調整です。ポイントはスマホ本体のボタンではなく「メディアの音量」バーを「スワイプ」で調整し好みの音量に微調整し、それ以降はイヤホン本体で音量調整をすると良いでしょう。
HA-FX550Tの充電は付属のケーブルをケースのUSB タイプC端子を接続し市販のUSB-A充電器で行います。
イヤホン本体の充電残量の確認はケース本体のLEDの点灯により確認できますが、より分かり易いのはスマホ本体での確認です。
以下、androidスマホの場合です。
※Sony Xperia 5 IIの設定>機器接続メニュー画面
androidスマホではBluetoothメニューの接続デバイス一覧に現在接続している機器が表示されますが、その中でバッテリー残量の確認ができます。
また、アプリ内でも充電残量が確認できます。
ケースの充電残量はケース正面のLEDにより充電ステータスで分かります。
ケースの蓋を開けたイヤホンを戻した時、LEDが残量に応じて点灯(数秒間)します。
- 残量なし・・・LEDが消灯(無点灯)
- 残量少ない・・・LEDが1つ目点灯
- 残量中程度・・・LEDが2つ目点灯
- 残量十分・・・LEDが3つ目点灯
- 満充電・・・LEDが4つ点灯
次にケースの充電中はケース正面のLEDにより充電ステータスが分かります。
充電中はLEDが残量に応じて点灯します。
- 残量無し・・・LEDが1つ目点滅
- 残量少ない・・・LEDが2つ目点滅
- 残量中程度・・・LEDが3つ目点滅
- 残量十分・・・LEDが4つ目点滅
- ほぼ満充電・・・LEDが4つ点灯
- 満充電・・・LED消灯
イヤホンの充電中はイヤホンの状態を示すLEDにより充電ステータスが分かります。
充電中はケースの蓋を開けた時、LEDが充電ステータスに応じて点灯します。
購入後、最初に満充電にします。充電が完了したらいよいよandroidスマホとのペアリングです。基本的に取説通りで問題なくペアリングを行えます。
次項ではandroidスマホを例にペアリング方法を説明します。
※Xperia 5 II、android 12で検証済
基本的に難しいことはありません。以下の手順でペアリングを行います。
- 最初にandroid OSの開発者向けオプションを有効にする(既に有効の場合は飛この手順を飛ばしてください)。
- androidスマホのBluetoothを有効にする。
- 充電ケースからHA-FX550T、イヤホン左右をケースから取り出す。
- androidスマホの設定>機器接続>新しい機器とペア設定するメニューを選択すると接続機器のリストに「HA-FX550T」が表示されますのでそれを選択するとペア設定完了です。
- 2回目以降は自動的に接続します。自動的に接続しない場合は以前接続した機器リストに「HA-FX550T」が表示されていますのでそれを選択する。
- メディアデバイスが「HA-FX550T」を表示していれば接続完了です。
androidスマホの画面右上のBluetoothマークが表示されれば完了。
後述(1.5.項)しますが、LDAC接続するには最初にアプリ側でLDAC接続を「ON」にする必要があります(初期設定は「off」)。また、必要に応じ最初に開発者向けオプションでBluetoothオーディオコーデック、LDACを選択後、接続品質を選択してください。
※接続成功した画面
また、androidの場合Fast Pairに対応していますので、スマホのBluetoothをONにした状態で電源が入っているHA-FX550Tイヤホンをケースから最初に取り出した際に以下の画面の様に勝手に検索して接続してくれます(実際に機能してびっくりしました)。
※Fast Pairが機能している画面
※アプリで設定後にLDACでペアリング成功している画面
※最初の接続時はワイヤレス再生品質が「自動」になっているので「音質優先」に変更する(上の画面のポップアップをタップ)
※開発者向けオプションのBluetoothオーディオコーデックがLDACになっていることを確認
基本的に一度ペアリングすると接続機器リストに表示されますので次回以降はHA-FX550Tイヤホンをケースから取り出す(電源を入れる)と自動的に接続します。
自動的に接続できない場合は前述の以前接続した機器リストから選択してください。
上手くいかない場合、一度androidスマホからHA-FX550Tの接続の登録を削除して最初から実施しなおしてみてください。
次にアプリとの連携です。
ここでもandroidスマホを例に操作方法を説明します。
1.5. Victor Headphonesアプリとの連携
Google play Storeから「Victor Headphones」アプリをスマホにダウンロードしインストールします。
次にHA-FX550Tを1.4.項の通りスマホと接続後、アプリを起動しアプリのメッセージに従い設定すれば完了です。
以下、アプリVer.2.0.0で検証しています。
※アプリ起動時のモデルの選択画面
※アプリのホーム画面。イヤホンの電池残量と接続コーデックが確認でき、ボリューム設定メニューがある
ホーム画面を下にスクロールすると他のメニューが確認できます。
※NC/外音取り込みの設定メニュー(上側)と設定メニュー(下側)がある
※設定メニュー(上側)と音質メニュー(下側)がある
設定メニューの一番下の項でLDAC接続を有効にします。有効にする場合は「音質優先」を選択してください。接続優先の場合、AAC(スマホによってSBC)で接続されます。
※音質メニュー(上側)とタッチキー設定メニュー(下側)がある
音質メニューではHA-FX550Tの特徴であるサウンドモード「FLAT」「BASS」「CLEAR」3種とプロエンジニアによる5種の音質設定プリセットを選択できます。
※タッチキー設定メニュー(中段)とその他設定メニュー(下側)がある
なお、設定メニューで音質優先を選択した場合、以下の画面の様にイヤホンが再起動します。
※上記画面で「はい」を選択すると接続が切れます
※再度イヤホンの接続を確立し、アプリホーム画面に入ります
先ほどの「AAC」から「LDAC」が選択されています。
※設定メニューを確認します
設定メニューの「有線モード」項が「音質優先」に変わっています。
全体的にアプリは使い易く、直感的に操作できるUIです。現在の設定内容の確認や接続コーデックを確認できますし、何よりも操作系のカスタマイズが可能となっているのは便利です。唯一気になったのはマルチポイント機能をオン/オフできない事。他社製品でそうであったようにこれで接続品質に影響が出ているような気がします。これはイヤホン本体のファームアップデートで対応して欲しいです。
1.6. イヤホン本体の操作方法
※Xperia 5 IIとペアリング済で検証
【再生に係わる操作】
- androidスマホでミュージックアプリを起動し聴きたい曲を選択し再生する。
- イヤホン左側の何方かを1回タッチで再生停止。もう一度1回タッチすれば再生します。基本的に1回タッチ毎に再生/停止を繰り返します。
- 再生停止中にイヤホン右側を素早く2回タッチすると次の曲へ進みます。
- 再生停止中にイヤホン右側を素早く3回タッチすると前の曲に戻ります。
- 再生中にイヤホン右側を素早く2回タッチすると次の曲へ進みます。
- 再生中にイヤホン右側を素早く3回タッチすると曲の頭に戻ります。
- 再生中/停止中にイヤホン左側を素早く3回タッチで音量アップ。
- 再生中/停止中にイヤホン左側を素早く2回タッチで音量ダウン。
- 再生中/停止中にイヤホン左側を2回タッチし3回目タッチを長押しで連続音量アップ。
- 再生中/停止中にイヤホン左側を1回タッチし2回目タッチを長押しで連続音量ダウン。
- 再生中/停止中にイヤホン右側を1回タッチでヒアスルー機能のオン/オフ(音楽再生中にオンにした時は再生している曲の音量が自動的に下がります)
- 再生中/停止中にイヤホン右側を1回1秒程度タッチでノイズキャンセリング機能のオン/オフ(1秒押すとビープ音「ピピ」が鳴りそこで離す。するとオンオフのメッセージが流れます)
- 再生中/停止中にイヤホン右側を素早く4回タッチで優先モード(接続優先/音質優先)を切換え
- 再生中/停止中にイヤホン左側を1回1秒程度タッチでサウンドモードを切換え変更(1秒押すとビープ音「ピピ」が鳴りそこで離す。すると切換えるモード名のメッセージが流れます)
- 再生中/停止中にイヤホン左側を素早く5回タッチで低遅延モードオンオフを切換え
【通話に係わる操作】
- 着信中にイヤホン左側を1回タッチで通話開始。
- 通話中にイヤホン左側の1秒長タッチするとビープ音が鳴るのでそこで離すと通話終了。
- 着信中にイヤホン左側を1秒長タッチするとビープ音が鳴るのでそこで離すと着信拒否。
- 通話中にイヤホン左側を素早く1回タッチすると通話ミュート(こちら側の声が相手に聞こえません)。ミュート中に素早く1回タッチで解除。
プレイヤーをandroidスマホとした場合の音楽再生や通話にかかわる主な操作方法を抜粋し検証した方法をまとめてみました。基本的に他のandroid搭載DAPでも音楽再生操作方法は同じです(接続する機種によって一部機能が対応していない場合があります)。
最近のTWSは音楽再生等の機能操作を全てコントロールできますし、ハイクラスTWSでは当たり前の機能です。数年前までの安価なTWSでは音量調整ができない、曲送り、曲戻しができない等の操作機能制限があったり、タッチ操作の感度(反応)が悪いなんて機種もありましたが、HA-FX550Tはその点に不満はありません。
タッチ感度は良く反応も良好なので初めてTWSを使う方にも安心です。注意点としては各社のTWSの操作方法が異なり統一されていないので、他にも所有している場合にHA-FX550Tはイヤホン左右に割り当てられた機能、タッチ回数が比較的分かり易くなっていますが、スマホに取説の操作方法を画像で持っておくか、Web取説をブックマークにしておくことをお勧めします。
まとめるとHA-FX550Tは同社HA-FW1000Tよりも機能が向上しており、他社のハイクラスモデルに肩を並べたと云えます。
そしてあたりまえかもしれませんが、HA-FX550Tの接続は簡単でスムース。イヤホン本体ですべての音楽再生機能操作も行え、本体タッチ操作はシンプルです。アプリも直感的に操作ができるUIは実用的。そして、何よりもHA-FX550Tはコンパクト。ポケットに入れて持ち運ぶのに便利。音質も十分高音質で外音をシャットダウンするANCも実用的。気になるのはLDACの接続品質くらいです。
最後にイヤホンのリセット方法も説明しておきます。
何故にリセット?と思われるかもしれませんが、実はよく検索されている「ワード」だったりします。
1.7. イヤホンのリセット方法
音が出ない、接続できないときは、初期化することで改善する場合があります。
ペアリングした機器情報はすべて削除(初期化)されます。最初からペアリングをやり直してください。
- 最初に、相手機器側のBLUETOOTH設定から、本機の登録情報をいったん削除してください。
- あらかじめ充電ケースを充電しておいてください。
- イヤホンが充電ケースに入っている場合は、いったん取り出してください。
以下の手順にしたがって、LとR両方のイヤホンを初期化してください。
【左側イヤホン】
- Lのイヤホンを充電ケースに入れます。
- 数秒経つと、イヤホンと充電ケースのインジケーターが点灯します。
- Lのイヤホンのインジケータ―が点灯しているときに、Lのタッチセンサー部に約10秒間触れ続けてください。
- Lのインジケーターが速い点滅になったら、指を離します。
- 点滅しない場合は、手順1からやり直してください。
- 点滅中に、タッチセンサー部を2回タップすると、初期化されます。
- 点滅は5秒間で止まるので、点滅中に2回タップしてください。
- 初期化されると、Lのインジケーターが2回点滅します。
- 初期化されない場合は、手順1からやり直してください。
【右側イヤホン】
-
Rのイヤホンを充電ケースに入れます。
-
数秒経つと、イヤホンと充電ケースのインジケーターが点灯します。
-
Rのイヤホンのインジケータ―が点灯しているときに、Rのタッチセンサー部に約10秒間触れ続けてください。
-
Rのインジケーターが速い点滅になったら、指を離します。
- 点滅しない場合は、左側イヤホンの手順1からやり直してください。
- 点滅中に、タッチセンサー部を2回タップすると、初期化されます。
- 点滅は5秒間で止まるので、点滅中に2回タップしてください。
- 初期化されると、Rのインジケーターが2回点滅します。
- 初期化されない場合は、左側イヤホンの手順1からやり直してください。
【左側と右側イヤホンの接続】
-
L(左側)とR(右側)両方のイヤホンを取り出し、隣りあうように並べてください。
-
取り出すときに、タッチセンサー部に触れないよう注意してください。
-
イヤホンを取り出すと、LとRのインジケーターが点滅し、電源が入ります。
-
LとRが接続されると、片方のインジケーターが2回点滅をゆっくり繰り返します。
-
しばらくすると、もう片方のインジケーターが速く点滅を繰り返し、「ペアリングモードです」と聞こえます。
-
以上で初期化が終了します。
-
ペアリングした機器情報はすべて削除されているので、相手機器とペアリング(機器登録)してください。
動作がおかしいなと思ったらスマホから登録を削除してイヤホン本体をリセットを先ずお試しください。
因みに、これは技術者目線の余談です。HA-FX550Tに限りませんが、初期化と同様に大切なのはTWSのバッテリー残量をあらかじめandroidスマホ画面で確認しておくことです。
- TWSの充電が少なくなった際に直ぐに充電をする。
- 充電が20%以下にならないように管理する。
- 過放電は絶対にダメ!
これは過放電はバッテリー劣化を早め寿命を短くしてしまうからです。特にTWSに搭載されるバッテリーは容量が小さく、愛機は長く大切に使いたいものです。
2. Victor HA-FX550T の実機について
それでは、HA-FX550Tの実機レビューを以下、まとめていきます。
化粧箱の表面にはイヤホンイラストがあり、VictorブランドとVictor Studioによるチューニングを前面に出した白地ベースの小箱タイプのパッケージです。
外蓋を外すと黒地の内装にイヤホンケースとイヤーピースが収納されたケースが収められています。
イヤホンケースとイヤーピースケースを取り出すと箱の底に取説や充電ケーブルが収納されています。
イヤーピースが収納されたケースはサイズの確認もし易いのに無駄のないパッケージングです。当たり前すぎて注目されませんが国内メーカーのパッケージングは本当に無駄が無く優れた技術の一つです。
次に商品パッケージの中身です。
付属品はイヤーピースがS、MS、M、ML、Lの5種1セットでMサイズが本体取付け済み。他にはUSBタイプC-タイプA充電ケーブルです。必要十分の付属品ですね。
注目はJVC、Victorブランドのイヤーピース、スパイラルドットシリーズの新型が付属します。最近のTWSの付属品同様に軸が短く傘の方が長いタイプが付属。所謂TWSタイプですね。
取扱説明書は安心の日本語。個人的に家電さえもWEB取説がスタンダードになっている昨今では漏れなくWEB取説に対応。商品に付属する紙は最低限というところです。
Victorのステッカーも付属します。
それでは実際にイヤホンを見てみましょう。
先ずはケースから。
ビルドクオリティは安心の国内企業です。カラーバリエーションは黒色と白(銀)色の二種類です。
付属品のイヤーピースは本体色に合わせて黒には黒イヤピ。白には白イヤピが付属します。黒または白イヤピが欲しい方はPanasonic Storeで購入可能です。
次にイヤホン本体です。
イヤホン本体はTWSとして比較的小柄となります。他社のTWS同様に耳へはイヤーピースで保持するタイプとなりますので、イヤーピース合わせは重要になります。
シェル本体は樹脂製で軽量に仕上げています。ステムノズルにはフィルターがあり異物の混入による故障を防げます。
先代のEAH-AZ80からシェルの造形が変わりコンチャフィット形状を採用したシェル本体は装着感は良好です。従来のEAH-AZ60ではイヤーピース頼りだった耳への固定はコンチャフィットによりイヤホン本体でもしっかりと耳へ装着し固定できるようになっています。尤もイヤーピースのフィット感も重要です。付属の7サイズで上手く合わない事はないと思いますが、もしも合わない場合は普段使用しているメーカーのもので軸が長いものでなければ問題なくケースに仕舞えると思います。
次にイヤーピースです。
※左からS、MS、M、ML、L
付属イヤーピースはスパイラルドットPro(Spiral Dot Pro:EP-FX12)です。同社HA-FW1000Tにも付属するTWS用イヤーピースです。
※左スパイラルドット++ Mサイズ、右付属スパイラルドットPro Mサイズ
従来のスパイラルドットとは異なり傘が柔らかく、装着時の圧迫感が抑えられており、長時間の使用時にも耳が痛くなりにくくなっています。もちろん付属のイヤーピースなので音質的には問題を感じませんし、寧ろバランスが良いのですが、あくまでも耳への装着感、フィッティングを重視して選択しても良いと思います。
幸いなことに私はこの付属イヤーピースで耳の奥に栓をするように装着し、上手くフィットできました。個人的に付属品はサイズ感を確かめるだけで使わずに別途イヤホンの付属品Mサイズを購入し使用しています(妙なこだわりです)。
TWSイヤホンではイヤピが最も重要です。上手くフィットできないと装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)
それではHA-FX550Tと同社HA-FW1000Tとの比較をしてみます。
先ずはケースから。
※左からVictor HA-FX550T、同社HA-FW1000T
ご覧の通りHA-FX550Tのケースは同社HA-FW1000Tの半分の大きさです。HA-FW1000Tのケースが比較的大きめだったとは云え、昨今ではかなりコンパクトな部類です。
※左からVictor HA-FX550T、同社HA-FW1000T
横から見てもHA-FX550Tのケースが小さい事が際立ちます。
次にイヤホン本体です。
※左からVictor HA-FX550T、同社HA-FW1000T
イヤホン体もHA-FX550Tがコンパクトであることを一瞬で理解してしまいます。尤も、HA-FW1000Tは当時から大きめという評価でしたので、HA-FX550Tは最新のTWSモデル群ではそれ程小さい部類とは云えません。遜色ないレベルにコンパクトになったと言えるでしょう。
もちろんTWSにとって小さいことは正義です。それは何よりも重量に相関がありますので軽量は装着感にとって圧倒的有利となります。
次に造形の比較ですが、注目すべきはステムノズルです。HA-FW1000Tではやや長く根元が太めでしたが、HA-FX550Tでは先端こそ同形状でやや太めとなりますが、やや短く根元がHA-FW1000Tよりも細め。その為、ステムノズルの太さに影響するイヤーピースの圧迫感はやや感じられる傾向となるものの、付属のイヤーピースの柔らかい傘と相性は良いと云えます。ステムノズルの長さもコンパクトになったHA-FX550Tは軸の長いタイプとも相性が悪くないですが、傘の裾野よりも長いタイプはケースに入らなくなりますので注意が必要です。
また、ステムノズル先端端面にフィルターが装備されていますので、シェル内部への異物混入が防げますので安心です。
3. Victor HA-FX550T の音質について
それではいよいよ音質についてまとめていきます。
今回の再生環境はandroidスマホのSony Xperia 5 II、Bluetooth コーデック LDAC接続(音質優先)、サウンドモードはFLATです。
実際に聴いてみます。
ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳をとじて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。
先述の通りイヤピは付属Mサイズを別途購入し使用しています。
箱出しで聴いてみた第一印象は「低音はしっかりと鳴る。高音は繊細に響き、解像感を感じられる整った音。ボーカルは自然で聴きやすい」でした。
一先ず鳴らし込みを兼ねて数週間聴きこみました。鳴らし込み後は、高音域が落ち着き低音域の解像感が増した印象です。低音域の解像感が高い中高音域が繊細な音。全体的にクリアな音で高音低音の出音のバランスが良い音になりました。
音場
広くも狭くもない普通の広さ。左右に広さは普通程度ですが奥行きが感じられる。安価なTWSの音圧のある元気なドンシャリとは異なり、バランスの整った音が丸い空間の中に音が響きます。
高音域
煌びやかさや華やかさは自然な強さで鳴ります。強く鳴る音だけでなく線の細い音もしっかりと感じられる鳴り方は繊細に響く解像感の高い音。中低音に埋もれる事はありませんが、シャリシャリするような強さではありませんので控えめに感じるかもしれません。もちろん尖りや刺さりは感じません。
中音域
凹みをやや感じますが、前後左右に偏りがない空間は見通しが良くクリアです。前後奥行きの感じられる空間に近い音と遠い音が共存し違和感を感じません。高音よりも華やかさを感じられますが、音がごちゃつかず整理されており分離が良い印象です。
ボーカルは暖かさを感じられ艶やかさもあり自然な位置からクリアに聴こえます。
低音域
低音はしっかりと鳴ります。ただ大きな音が鳴るのではなく芯の強さのある音は量感は適度で広がりと響きが感じられます。音の輪郭と強弱を感じられる解像感の高い音。音圧で誤魔化した安価なTWSの低音とは違う質の高い音。ベースラインも追いやすく見失うことはありません。重低音の沈み込みは深さがあり、芯の強さのある音。
出音のバランス
一言で云えばやや中低音寄りの弱ドンシャリの出音のバランス。高音寄りや低音寄りという様な極端なチューニングではありません。
HA-FX550Tの高音域は自然な強さで鳴るため誇張された高音とは違いそれと比較すると大人しめの印象を受けると思います。線は細く小さく鳴っている音でもかき消されずに繊細に鳴らしてくれる高音域はしつこさも嫌な音でもなく、心地良さのある高音域と云えます。
中音域はボーカルを邪魔しない音。高音域よりも華やかさはありますが、弁えて鳴る中音域はその空間の中で違和感の無い自然な位置から聴かせてくれます。ボーカルはクリアではっきりと聴こえますし、しっとりとした声色もかすれずに聴かせてくれます。
低音域はHA-FX550Tの特徴の一つだと思います。解像感の高さと質感の高さを感じる音はTWSではなかなかの聴き応えだと思います。もちろんHA-FX550Tは低音だけでなくしっかりとした低音が中高音域を支えていて音楽を楽しく聴く事ができるのだと思います。
次に他機種と比較です。先ず同社のHA-FW1000Tも中低音寄りでしたが、高音域はHA-FX550Tの方が少し大人しい印象です。HA-FW1000Tはもう少し瑞々しさのある鳴り方。どちらもシャリつきは抑えられていますが、HA-FX550Tの方は線が細い印象です。EAH-AZ80と比べるとこちらは爽やかな音であり爽快感のあるしっかりとした音。誇張した高音ではなく適度な煌びやかさがそれらよりも華やかさを感じさせてくれます。
中音域はTWSとしては空間に違和感を感じ難く、華やかさのある音。音の輪郭や強弱を感じられる分離の良い音は演奏とボーカルが重なり音がごちゃつく事が無く整理されています。ボーカルはクリアにはっきりと明朗に聴こえます。
低音は量感は適度で広がりもありますが、芯のある強さのある音。音の強弱や輪郭が掴みやすく解像感の高さを感じる質の高い低音。
HA-FX550Tの傾向としてはEAH-AZ80よりもWF-1000XM5の方に近い印象です。そのためEAH-AZ80の音はHA-FW1000Tの方が近くなりますが、同じ傾向とも言い難く、難しいですね。中高音重視ならばEAH-AZ80。高音の瑞々しさと低音の柔らかい音のHA-FW1000T。HA-FX550Tの優等生的な音は繰り返しになりますがWF-1000XM5とベクトルが同じなのかなと個人的な印象です。
※宜しければ過去の記事もご参考ください
miineco106.hatenadiary.jp
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TWSに限ったことではありませんがHA-FX550Tを聴いてみるとやはり音楽は低音域は疎かにしてはいけないなと考えさせられます。質の高い低音域が中高音域をしっかりと支えることで音全体を見渡すことができ、その空間を想像し音を掴みやすくしてくれます。ただ強く量感たっぷりに鳴らすのが質が悪いとは云いませんが、その様な低音域は高音域に曇りを感じたり中音域に籠りを感じたりする原因になりやすいため、結果として高音域も強めに鳴らすドンシャリの出音となります。低価格帯の中華有線イヤホンでよくあるやつです。HA-FX550Tでは低音域は解像感が高く適度な出音は高音域や中音域を必要以上に強く鳴らす必要はなく、解像感や質感に振ることができるので音楽を楽しめます。
尤もこれはLDAC接続の場合です。iPhoneではやはりコーデックによる差は明らかです。AAC接続では上がカットされ線も細く上までの伸びはなく中音は真ん中に集まり低音強めの味付け。音も平面的に聴こえます。HA-FX550Tの魅力を十分楽しむには現状androidスマホでLDAC接続が必要と云えます。
4. Victor HA-FX550T の総評
Victor HA-FX550Tはメーカーの同社史上最高音質という煽りの通り、HA-FW1000Tよりも万能感のある音質傾向と機能面を向上させた新しい旗艦モデルと云えそうです。ノイズキャンセリングもHA-FW1000Tよりも効きが強くなり実用性能が上がりました。一方で音質はWoodシリーズとしてのHA-FW1000Tの方が一定のファンが付く感じ。万能感のあるモデルとなったHA-FX550Tは一つも持っていない方には選択肢に入りますが、既にいろいろ持っていて楽しんでいる方には買替の対象になるかは難しいのではという印象です。とはいえ音楽を楽しく聴く、スマホで音楽や動画を楽しむならばガジェット性能が高く商品性が高いHA-FX550Tはニーズに応えられる商品と云えます。
最後に、今回は高価格帯30,000円を僅かに切る29,700円の高音質&高機能TWSイヤホンの紹介となりました。現在(2024年7月28日)は約27,000円でamazonやイヤホン専門店等、有名家電量販店通販サイトなどでも販売しています。TWSイヤホンの音質に妥協したくないし、ガジェット性能も妥協したくない方は安心確実なイヤホン専門店での視聴をしてみてから検討ください。
HA-FX550T
以下、イヤピ付属 Mサイズ、androidスマホ、LDAC音質優先
高音★★★★☆
中音★★★★☆
低音★★★★★
音場★★★★
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★ (LDAC環境の無い方★4)
※☆0.5、★1.0
EAH-AZ80
以下、イヤピ付属 Mサイズ(別売り白)、androidスマホ、LDAC音質優先
高音★★★★★
中音★★★★★
低音★★★★★
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★ (LDAC環境の無い方★4)
※☆0.5、★1.0
FW1000T
以下、イヤピ付属 Mサイズ、androidスマホ、aptX Adaptive24/96音質優先
高音★★★★☆
中音★★★★★
低音★★★★★
音場★★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★ (aptX Adaptive24/96環境の無い方★4)
※☆0.5、★1.0
あとがき
今回はTWSイヤホンのハイクラスモデルのレビューをしてみました。TWSイヤホンは手軽に良い音が聴く事ができるので最近はこれで良いよねってなることが増えました。今回の商品は音質も良くガジェット性能も高い品質に間違いのない国内メーカーの中では比較的安価なものの高価です。折角購入するのだから良いものを買いたいですし、各メーカーのハイクラスモデルが一番間違いないし売れるというのも分かります。でも前提はandroidスマホを持っている方。リンゴのマークのPro2よりは1万円以上安価なのですが、やはりiPhoneユーザーならそっちの方が間違いないと思います。
今後も気になる商品があればチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ