みぃねこの備忘録

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Kefine Klean レビュー

こんにちは。

今回はいつもの中華イヤホンレビュー編として、中価格U10000帯で登場した1DD、シングルダイナミックドライバモデルのKefine Kleanについてレビューをまとめたいと思います。

 

国内amazonのHiFiGoで取扱があります。

 

AliExpressでも取扱があります。 

https://00m.in/gABqf

 

HiFiGoのサイトはコチラ

KEFINE Klean 10mm DLC Diaphragm Dynamic Driver IEMhifigo.com

 

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1. Kefine Klean について 

Kefineは2023年に設立された新しい中華オーディオメーカーです。Kefineは最初のモデルに中価格A10000-U20000帯で平面磁気駆動ドライバ(Planar Driver)を1基搭載した1PDモデル、Klanarを発売。A10000帯にDLC とPUの複合材のダイヤフラムを採用した1DDモデルのDelciを発売後、セラーコラボモデルのDelci AEを発売しています。Delci AEはノズルフィルタ交換による音質調整を可能とし、付属ケーブルもKlanarに付属している線材を使用したアップグレードモデルです。

KlanarやDelciは以前レビューしていますが、Kefineは音づくりの巧いメーカという印象を持っています。尖った音作りでユーザーにインパクトを持たせるような商品展開ではなく、愚直に良い音を届けてくれるオーディオメーカーとして評価を得ている注目のブランドです。

そのKefineから末っ子といえるラインナップが追加されました。それがKleanです。Kleanは1DD、シングルダイナミックドライバ搭載のシンプルなモデルとなりますが、Delci AEのノズルフィルタ交換ギミックとKlanarやDelci AEからフィードバックされた高品質ケーブルを備えるなど、ただのエントリーモデルとは異なる力の入れ様からは、期待値の高い製品と云えます。

 

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さて、Kefine Kleanのスペックですが先述の通りシンプルな1DD、シングルダイナミックドライバモデルです。

そのドライバユニットには10mm径のDLC(Diamond-Like Carbon)振動板を採用したダイナミックドライバを搭載しています。DLCは硬度の高い材料で軽量化に優れ堅牢な耐久性も備えています。ドライバユニットにはデュアルキャビティ構造設計とし、周波数応答範囲での響きと広がりを備えた音響特性を得られています。この10mm径DLCダイナミックドライバユニットを搭載したKEFINE Kleanは「さまざまなジャンルの音楽に適した特別な体験を約束します。」というメーカーの説明は実際に聴いてみた印象も同じであり、出音のバランスの良さを感じられます。

 

※Kefine Klean のf特(メーカーHP抜粋)

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これまで同様にメーカー発表のf特を引用します。

低域と高域のピークがほぼ同じM曲線を描くチューニングがされています。中域の凹みは8dB以内と比較的全域をフラットに音作りされていることが窺えます。

 

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また、Kleanはノズル部のフィルタ交換が可能となっており、音質傾向の変化を楽しめます。シルバーフィルタは高域を開放的に。ブラックフィルタは高域を抑え相対的に中低域を厚くするチューニングとなります。

 

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射出成形の金属シェルはコンパクトで人間工学に基づき装着感を損ねることなく快適な使用感を得られます。シェルのフェイスプレートは、機械的な模様をシンプルでありながらも全体の印象を高められるような絶妙なデザインとなっています。

Kleanのカラーは、ブラックのみとなりKefineの他のラインナップを踏襲しています。

※Delci AEはセラーコラボのためカラーはプラチナゴールドです

 

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最後に付属ケーブルです。

標準的な0.78mm径2ピンコネクタを備え、線材には高純度の銀メッキ銅ツイストケーブルが付属します。高純度の0.06mmの銀メッキ銅線材18本を3本づつ束ね2芯化した計108本のワイヤコア構成により、内部抵抗を低く抑えスムーズな信号伝送を可能にしています。これによりクリーンな音声信号伝送を実現しています。

 

※以前のレビューもご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

Kefine Kleanの納期として今回国内amazonのHiFiGoでオーダー。現在(2024/11/3)は国内amazonのprime扱いで販売されています。AliExpress、HiFiGoサイト等でも販売されています。昨今、HiFiGoやAliExpressで購入した本国発送の場合でも物流スピードは安定しており以前の様な遅延は少なくなっておりますが、万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかるのが、海外通販のリスクです。

そんな訳で一般的に海外通販での購入は国内通販で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが偶に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットがありましたが、最近では円安でその恩恵も受け難く、国内では入手できない商品を早く手に入れる事がメリットと云えます。それらを天秤にかけた場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. Kefine Klean 実機レビュー 

それでは、実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングは白色を基調としたシンプルな中箱。箱の表にはイヤホンイラストとメーカー名と商品名を印刷したブックケースタイプの化粧箱です。

 

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ケースを外すと黒色のシックな趣に。

 

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黒色の内装にイヤホンが収納されています。

下側の小箱にはイヤホンケースが収納されています。


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イヤホンケースの中にケーブル等の付属品が収納されています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースS、M、Lが1セットとケーブル、ケーブルバンド、ノズルフィルタ、イヤホンケースです。中価格U10000帯として必要最低限の付属品となります。

 

次にイヤホン本体を見ていきます。

 

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Kefine Kleanのシェルはオール金属製です。イヤホンの厚みは抑えられておりコンパクトなシェルとなっています。同社Delciよりも一回り小さいです。オール金属製でありながらコンパクトで造形収まりやすいシェルは装着感は良好です。

ビルドクオリティには問題を感じられず、中華イヤホンで心配されるような雑なところ感じさせません。もちろんシェルの合わせ面等のズレや隙間は無く綺麗な仕上りです。

また、ステムノズル部には交換式の金属フィルタ部となっており、内側には繊維フィルタがあります。この金属フィルタは異物の混入等による故障を防いでくれます。

 

※ブラックとシルバーの金属フィルタ2種が付属

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※左ブラックフィルタ、右シルバーフィルタの繊維フィルタ
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金属フィルタの内側に繊維フィルタによって音質傾向を調整しています。

シルバーとブラックではブラックの方がやや光を通し難くなっていますが、フィルタ素材の違いを窺えます。シルバーフィルタの方が高域が開放的になる理由と云えます。

 

Kleanはシェル本体の形状と付属ケーブルからはシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、装着感はステムノズルの長さや太さに影響がありますので、イヤーピースのフィッティングは重要となります。

カラーバリエーションはブラックのみです。

 

次にケーブルをみていきます。

 

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付属ケーブルは2芯銀メッキ銅線の撚線ケーブルです。先述の通り0.06mm線を18本ごと3本にまとめた2芯ケーブルで被覆は白銀カラーです。プレイヤー側コネクタは3.5mmステレオミニプラグ、I字タイプ。イヤホン側はフラット2ピン仕様。極性はKZと同じ上側がプラスです。この付属ケーブルは被覆にやや引っ掛かりがありますが、タッチノイズはあまり感じませんし、肝心の耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。線材は細めでしなやかなものとなり取り回しは良好です。

このケーブルは同社のKlanarで付属したケーブルをKleanに合わせてセットアップされており、Delci付属よりもグレードは高い印象です。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、私はこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

最後に付属イヤーピースです。

 

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付属イヤーピースはシリコンイヤーピースが1種。同社KlanarやDelciに付属している背が低いタイプと異なります。比較的傘末が幅広で口径が大きいこのイヤーピースは中高音をクリアにして低音をタイトにする印象です。全体のバランスを整えてくれます。

今回はMサイズを耳に浅めに蓋をするように装着しフィットさせています。

低、中価格帯等では付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じる事がありますが、今回は付属のイヤピで上手くフィットし、音質的にも十分でした。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感はもとより音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えない他社製へ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. Kefine Klean 音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今年4月から再生環境を更新しました。スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行うことは変わりませんが、USB-DACにはFiiO KA17を用います。これまではUSB-DACにShanling UP5を組み合わせていましたが、それを刷新します。スマホは変わらずSony Xperia 5 IIを用います。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。FiiO  KA17は同社のドングルタイプ最新USB-DACです。

KA17の音質傾向ですが、THXアンプを採用し中高音はくっきりはっきりと音像を描く解像感は高く、中低音は暖かみがある。これまでの同社のTHXアンプを搭載した機種とは異なる印象の個人的に好きな鳴り方です。

KiiO KA17のUSB-DACとして使用した音質が気になる方は以前の「FiiO KA17 レビュー」をご覧ください。

 

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以前使用していたUSB-DACとしてShanling UP5もご参考ください。

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属 Mサイズ、シルバーフィルタ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「低音にボリューム感があり、高音域はやや控えめながらもくっきりと鳴らす。やや中低音域寄りに感じる全音域でバランスの良い音」でした。音量は取りやすく好みに応じて普段と同じ位か僅かにボリュームを上げれば問題ありません。

箱だしでは低音域の膨らみを感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音は締まり落ち着き、高音もしっかりと鳴るようになりました。DLCは鳴らし込みが大事ですね。

 

音場

狭くも広くもない普通の広さ。前後の奥行と左右の空間に広さを感じられ立体的な印象です。

 

高音域

比較的くっきりと聴こえますが、全体で見ると量はそれ程多くはない鳴らし方。華やかさは適度に感じられますが、必要な時に必要なだけ自然な強さで鳴らします。その分耳障りな騒々しさはなく自然な印象ですが、一方で華やかで煌びやかな高音域を求める方にはもの足りない印象となるかもしれません。超高音域までの伸びはそれほど感じませんが、その分不快な高音域の刺さりや尖りを感じない整った音が心地良い響きと存在感のある自然な高音域。音像の描写はエッジが立ち際立つ様な感じではなく淡くシャープに浮かび上がる印象。音の消え際は掴みやすく解像感も悪くありませんが、良くも悪くも強く印象付けるような音ではなく適度な印象です。くっきりはっきりした音像の描写というよりも全体の音の形をシャープに鮮やかに描く印象。繊細な表現力はやや線の細さを感じますが、音の煌めきやそれが消えゆく様を感じる心地よい音という印象です。

 

中音域

空間の広さは普通程度。立体感のある音場は音が鳴る位置を掴みやすく好印象です。その空間に響く音は華やかさを十分感じます。音数の多い曲でも空間が渋滞せずに、音の重なりが抑えられ整理されており、自然な音を整理して届けてくれる安心感があります。音が重なったり中心に集まる団子感や音がゴチャつきを感じない1DDの自然なつながりの良い音を楽しめます。ボーカルはクリアで普通の位置から聴かせてくれ、自然な声色で息遣いや熱っぽさを感じられます。

 

低音域

量感は適度にありますが過度に強調せずに自然な強さで鳴らしている印象。広がりや余韻は適度ですが雰囲気の良い音でも聴いていて不足を感じません。芯の感じられる強さのある音は適度に広がり余韻を残しますが他の音域を邪魔していません。音の強弱や音階の表現と描写は好印象で解像感は良好。ベースラインは追いやすく、前に出すぎる事はありませんのでボーカルの邪魔になりません。重低音の沈み込みは深さに不足はなく音の強さもありますので十分な音。

 

出音のバランス

一言で云えば自然な音色の弱ドンシャリ。強いて云えば中低音寄り。出音は中低音の印象を持ちますが高音域もはっきりとした音を鳴らします。全体的に見ると中低音域の方に厚みを感じるので高音域はやや控えめの印象となりますが、突出した音域の無い全音域の出音のバランスが良いです。

 

高音は全体で見るとやや控えめの印象を受けますが、寧ろ不快な高音域の尖りのない必要な時に必要なだけ自然な強さで鳴りますので、誇張のある不自然さはありません。

中音は凹みを感じさせない華やかで見通しの良い音。縦横の空間に立体的を感じ楽器の音はボーカルの周りで横と後ろに離れた位置にあり位置が掴みやすい。音は整っていて音の描写よりも聴き心地を重視した音は好印象です。

ボーカルの位置は遠くも近くもない普通の位置から聴きやすく、高音や低音の音に埋もれませんので聴き難くなることはありません。声色は自然で息遣いや熱のこもった歌声などを聴かせてくれる印象。

低音は適度な量感で芯があり強さを感じます。広がりと余韻も楽しめますが、解像感も良好です。芯のある音は強く大きな音でも弱く小さな音でも感じ易く、音楽しっかりと下支えしてくれますので、雰囲気の良い情熱的な曲やアップテンポな曲でも相性が良く、音を心地よく感じられます。

重低音は沈み込みはそれほど深さは感じませんが、強さがありますので十分です。

 

次にブラックフィルタに交換して試してみます。

シルバーの特出する音域の無い全音域バランスの良い音から、中低音に厚みのある豊かなサウンドに変化します。その分高音域は控えめとなるものの、強く鳴るところはしっかりと鳴りますので、雰囲気の良い曲には相性の良さが感じられます。

個人的にはシルバーフィルタの方が好みです。

 

まとめるとKefine Kleanはシングルダイナミックドライバの利点である自然でなめらかな音を活かし自然な音を重視した何処かの音域を強調しない全音域の出音のバランスの良い適度なドンシャリはユーザーに音楽を心地よく届けてくれます。安定感のある音質傾向はKefineの音作りの巧さと拘りを感じられます。フィルタ交換によりより中低音域の厚みを重視した音質傾向とすることで高音域をそれほど必要としていないユーザにも音楽を楽しめます。

Kefine Kleanは音を分析するためのモニターサウンドとは異なりますが、一般的な目的である「音楽を楽しめる」リスニングサウンドです。

 

他機種との比較として同社のKlanarと比較した場合、一言で云えば同じ傾向の音。Klanarは中低音が厚い濃い音。Delciでも同じ。Kleanはシルバーフィルタで聴く限りはそれらよりもドンシャリ感を抑えている印象です。Kefineのこの三機種は音楽を楽しく聴かせてくれる音であり、モニターサウンドの様に音を分析的に聴くよりもリスニングサウンドを楽しむ音と云えそうです。

とはいえ、三機種共に傾向は同じとはいえKleanと比べ流石にKlanarの方が中高音域の解像感は高く、Delciの方が低音域にやや力強さがあります。KleanはDelciよりも音がはっきりくっきりとした印象があり一音の一発の強さがありますが、Delciの弟分という感は否めないのは仕方がありません。そういう意味ではDelciとKleanは好んで聴く曲により相性の良い曲があると思います。

 

※Kefine旗艦モデルKlanarのレビューも参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

高音   Klanar ≧ Klean ≧ Delci (出音の強さ)

中音   Klanar ≧ Delci ≧ Klean (出音の強さ)

低音   Delci ≧ Klanar ≧ Klean (出音の強さ)

ボーカル Klanar ≧ Delci ≧ Klean (質感の順)

※Klanarは価格帯が異なりますので参考として

 

 

4. Kefine Klean の総評

Kefine Kleanはシングルダイナミックドライバの利点を活かし自然でなめらかな音色を聴かせてくれます。突出した音域を持たず全音域の出音のバランスが良いリスニングサウンドが特徴と云えます。そのサウンドは弱ドンシャリとし誇張の無い自然な強さで鳴る音は高音質と云えます。一方同社Delciの方がやや価格が高いものの良く聴く曲のジャンルによってはKleanの方がマッチする場合もありますので、Klanarと比較するには分が悪くとも、Delciとはその特徴を活かして使い分けも楽しめます。

また、Kleanではフィルタ交換により音質傾向を変化させて楽しめますので、お買い得と云えそうです。

 

最後に、今回は低価格U10000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2024年11月3日)は国内amazonで発売開始しています。そのため国内amazonが直ぐ届くのでおススメ。海外通販でもHiFiGoの発送は届くのも早い印象がありますが、AliExpressでも最近は改善していますのでどちらでもアカウントのある方で購入いただければと思います。これまでの中華イヤホンの中では手を出しやすい実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは十分満足できる内容となっておりますので、低価格帯中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて気になる方は安心確実なamazonを。国内発売前に少しでも早く入手したい、新製品を少しでも早く(安く)手に入れたい方はHiFiGoでの購入も検討してみてくださいね。

 

Klean

以下、付属ケーブル、付属砲弾タイプイヤピ M、シルバーフィルタ、DAC KA17
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★☆
分離★★★★
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

Delci

以下、付属ケーブル、付属砲弾タイプイヤピ MDAC KA17
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★★ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

Klanar

以下、付属ケーブル、付属砲弾タイプイヤピ MDAC KA17
高音★★★★☆ 
中音★★★★★  
低音★★★★★ 
音場★★★★★
分離★★★★★
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回はいつもの中華イヤホンの中価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後も低価格?を中心に、中華据え置き機器や複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

 

 

TRN ST7 レビュー

こんにちは。

今回はいつもの中華イヤホンレビュー編として、低価格U5000帯で発売された5BA+2DD多ドラハイブリッドモデルのTRN ST7についてレビューをまとめたいと思います。

 

国内amazonで取り扱いがあります。

 

AliExpressでも取扱があります。

https://ja.aliexpress.com/item/1005006859430739.html?spm=a2g0o.order_list.order_list_main.11.6b25585aJS2uZt&gatewayAdapt=glo2jpn

HiFiGoはコチラ

TRN ST7 2DD+5BA Hybrid In-Ear Earphoneshifigo.com

 

 

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1. TRN ST7 について 

Trn ST7は低価格U5000帯中華イヤホンの多ドラモデルとして今年5月に登場しました。

Trnの多ドラモデルでは、以前レビューしたVX Proが片側8BA+1DD多ドラハイブリッドモデルの発売当時10000円を超える価格でしたが、今回のST7は片側5BA+2DD多ドラハイブリッドモデルながら5000円以下の販売価格という価格破壊モデル。中華イヤホンの真骨頂と云える製品が登場しました。

というのもVX Pro発売当時の2021年頃、多ドラハイブリッドモデルや複数BAドライバモデルが軒並み10000円前後と価格が上昇しており、中華イヤホンの楽しさがの一つ「この価格でこのドライバ構成のモデルが購入できる」が失われ、インターバルの短いスパンで搭載ドライバの数を増やした似たようなドライバ構成のモデルを投入し価格もドライバの数に比例して上がっていく市場となっていました。敏感なユーザーはそれに辟易し、市場離れが静かに進み衰退していくことを一人のユーザーとして危惧しておりました。従来の中華イヤホンA5000帯やU5000帯の低価格ながらも音質も光るものがある侮れないモデルが多数あった市場とは確実に変わりつつあると感じていました。

もちろんメーカーも市場の活性化をはかるために多ドラハイブリッドモデルや複数BAドライバモデル開発から新しいドライバの採用と新素材ダイヤフラムの探求に舵を切り、平面磁気駆動ドライバや新素材のダイヤフラムを採用したダイナミックドライバを搭載したシングルドライバモデルが多く登場しました。その一方で今度は多ドラハイブリッドモデルや複数BAドライバモデルが殆ど発売されないという何とも極端な対応は「売れたものが正義」という中華の市場原理に正直な対応と云えました。

そして現在。価格帯が当時に比べ上昇したまま安定し低価格帯はほぼシングルダイナミックドライバモデルが中心です。5年ほど前は低価格帯は2000円で1BA+1DDハイブリッドモデルが選び放題の市場がここまで変わる。尤も今でも1BA+1DDハイブリッドモデルは数は少ないけどありますが、価格は3000円を超えています…。もうあの頃には戻らない。円安を恨みます。

閑話休題。市場動向という前置きはさておき。その市場に現れたのがTrn ST7です。先述の通り5BA+2DD多ドラハイブリッドモデルでありながら本国では3000円。国内では4000円という販売価格です。もちろん価格に見合った製品外観のチープさはどうしても感じますが、価格を考慮すると妥当と思いますし、何よりも音が良い。U5000帯の1DDモデルとは格の違いを肌で感じます。最初に結論を書きます。こんな事滅多にありません。過去の100件のレビューの中でも3つもないはず(多分)。

では、改めて。Trn ST7はお勧めです。ですが、リケーブルすると本領発揮しますので、同社のRedchainがお勧めです。二つ合わせて買って5000円以下(AliExpress価格)です。※2024/10/19現在、AliExpressのchoiceで二つ合わせて3300円です!

 

さて、Trn ST7のスペックですが、先述の通りバランスドアーマチュア(BA)ドライバ5基とダイナミックドライバ(DD)を2基、異なる径のドライバを搭載する多ドラハイブリッドモデルです。BAは三種類を搭載。超高域用30019が一基。高域用30095が二基。中高音域用50060が二基と音域毎に担うBAを変えています。ダイナミックドライバは10mm径LCPダイヤフラムのダイナミックドライバを一基と6mm径ダイナミックドライバを一基の計二基を同軸配置し搭載。6mm径DDが中低域用。10mm径DDが低域用です。

ドライバ構成の近いところでは同社ST5が4BA+1DD構成で高域用BAドライバには30095シングル二基を採用。中域用BAドライバは50060シングル二基を採用し、中高音~中音域を担当。低域用のダイナミックドライバに10mm径ベリリウムコート振動膜を採用し、中低音~低音域を担当。高音域用BAはステムノズル内に配置し、中音域用BAと低音域DDを全てシェル内部に配置していました。

ST7では高域用30095シングル二基をステムノズル内に同じく配置。超高域用30019シングル一基と中高域用50060シングル二基をシェル内のDD横に配置しています。DDはST5では当時流行していたベリリウムコートダイヤフラムの1DDに対し、異径DDの二基を搭載。特に10mm径DDのダイヤフラムには現在流行のLCPが採用されています。このあたりからもDDの新素材ダイヤフラムが探求されていることが窺えます。

最新ST7のLCPダイヤフラムのダイナミックドライバは、質感の高い低域とキレの良い音を備えます。加えて超高域BA一基をシェル内に配置することで耳障りな音を抑制しつつ、高域の上までの伸びを感じられ、全域でバランスの取れたサウンドとなっています。

 

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前述の通りST7は全域でバランスの取れたサウンドとなっています。

メーカー発表のf特からは全体的に高域寄りのU字サウンドを示しており、多ドラハイブリッドモデルの強みであるBAドライバを活かした高音域寄りチューニングと窺えます。実際に聴いてみてもやはりドンシャリという印象を受けますが、単に高域と低域が強調されたリスニングサウンドではない音像を感じやすい描写のしっかりとしたサウンドを届けてくれます。

ただし、付属のケーブルではやや音が薄く感じられ特に高域があっさりとした音。良く云えば繊細に聴かせてくれますが、低域もLCPダイヤフラムの10mmDDの質感の高い音はそれほど期待できません。今回のST7ではRedchainにリケーブル済みの音としてご承知ください。

 

シェル本体は樹脂製、フェイスプレートも樹脂。ステムノズルに金属製が組み合わされています。

 

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シェル内にはDDユニットとその側にBAを配置。高域用BAドライバ二基はステムノズル内に配置しコンパクトなシェル本体を実現。またシェル本体には樹脂材を採用し軽量化することで軽量なシェルによる快適なフィット感を確保することに成功しています。

 

最後に付属ケーブルです。比較的細めの4芯銀メッキ銅線は取り扱いがし易く、イヤホン側はKZ-Cタイプ2ピンを採用しリケーブル可能としています。リケーブルの場合は通常の2ピンタイプでも可能となりますが、二本のピンで固定する形となる為、耐久性の面からはQDC又はKZ-Cタイプのコネクタを採用したケーブルを選択する方が良いでしょう。

なお、商品購入時に3.5mmステレオミニプラグとマイク付き3.5mmステレオミニプラグ及び、タイプCコネクタが選択できます。

中華イヤホンメーカーでは付属ケーブルはリケーブル前提で質を落としコストカットしている場合がありますが、ST7もそれに該当すると言えるでしょう。そのため、バランス接続を試したい方は前述のRedchainがプラグ交換可能となりますし、1000円台と安価なため、本体価格とのバランスを考慮しお勧めです。

 

※宜しければ以前のレビューもご参考ください

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TRN ST7の納期としては現在(2024/10/19)国内amazonに在庫有。AliExpressやHiFiGoでオーダーした場合は一週間前後で届くと思います。最近では中国からの発送は進化しており、早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月です。

しかし、万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressや海外サイトでの購入は国内で購入した場合より安いというメリットがありますが、反面届くのに少し日数が掛かること。不具合時の対応に英語は必須となるのが気になるところでしたが、最近は円安の影響で国内amazonとの価格差が殆どなく、そのメリットは殆ど感じません。

まあ海外ネットショッピングで心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. TRN ST7 実機レビュー 

それでは、早速実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングは薄い青と白を基調としたスリーブタイプの小箱です。表面にはイヤホンイラストがプリントされており、メーカー名とイヤホン名の記載があります。

低価格中華イヤホンでよくあるパッケージにはコストは掛けません。

 

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スリーブを白地の内装にイヤホンが収納されています。

 

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内装を外すと箱の底には付属品が収められています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースタイプSML3種の1セットとTRNオリジナルイヤピMサイズ、他にはケーブルです。低価格U5000帯として必要最低限のものが揃った付属品となります。

 

次に本体を見ていきます。

 

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シェルの造形は同社ST2等でも使用されているもの。シェルは厚みが抑えられておりカスタムIEM風のデザインです。シェルの厚み抑えられているため耳へ収まる部分が薄く耳甲介艇の突起がありますが耳に上手く収まるので装着感も良好です。フェイスプレートは本体カバー同様に樹脂のフェイスプレートが組み合わされておりシンプルです。シェル本体の透明樹脂が内部のドライバを視認できる構造は趣味性が高くメカニカルを求める気持ちを刺激します。ステムノズルは金属製ですがオール樹脂素材のシェルは軽量で耳への装着時はその装着感の良さからも重さを感じません。

ステムノズルは一般的にやや太め。ノズル部にはフィルターがあり異物混入による故障を防ぐ事ができます。

肝心のビルドクオリティは、中華イヤホンの低価格帯と馬鹿にできないほど綺麗に仕上っており、シェルの合わせ面も上位モデル同様に綺麗です。

カラーバリエーションは白、黒の二色展開。加えて3.5mmステレオミニプラグのマイク有り無しとUSBタイプCを選択できます。今回は黒のマイク無しを選びました。

続いてケーブルです。

 

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付属ケーブルは先述の通り4芯銀メッキ銅線の編込みタイプです。ケーブルの被覆カラーは白(銀)色と綺麗な色合いで、被覆の外側がクリア線材が採用されています。プレイヤー側コネクタはL字タイプ。イヤホン側はKZ-Cタイプ2ピン仕様。極性は上側がプラスです。

この付属ケーブルは比較的細め。しなやかで取り回しに苦労することはありません。また、タッチノイズは多少感じるものの肝心の装着性や使用感は悪くありません。イヤホン側にはシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的に取り回しは良く使い勝手も悪くないため、バランス接続をしたい方以外はそのままでも十分楽しめると思いますが、リケーブルすることで本来の姿を魅せてくれるため、個人的にはリケーブル推奨です。

参考までにこの付属ケーブルのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

最後にイヤーピースを見てみます。


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付属のシリコンイヤーピースはTRN Tips Mサイズ1セットと白色のS、M、Lの3サイズ1セット。白色イヤピは弾丸形状と同社オリジナルTRN Tipsはやや背が低いもの。

ST7は他社製含むサードパーティー商品との互換性の高い一般的なステムノズル形状は選択肢が増えますので安心です。

付属白タイプは音質的には中高音をクリアにして僅かに低音を弱めてタイトにさせ全体のバランスをやや腰高にしてくれる印象です。このMサイズを耳の奥に栓をする装着でフィットしました。付属イヤピで装着感に問題ない場合を除き、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。肝心のTRN TipsはMサイズが私にはやや小さいため使えないのが残念です。

幸い付属白色タイプのイヤーピースで私はフィッティングが上手くいきましたが、音質的にもメーカーの意図する印象ですので、そのまま付属の白色 Mサイズを使用しています。

ST7のステムノズルは一般的にやや太めのためイヤピ選びは通常よりもやや小さいサイズ感で良いと思います。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. TRN ST7 音質レビュー

いよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今年4月から再生環境を更新しました。スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行うことは変わりませんが、USB-DACにはFiiO KA17を用います。これまではUSB-DACにShanling UP5を組み合わせていましたが、それを刷新します。スマホは変わらずSony Xperia 5 IIを用います。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。FiiO  KA17は同社のドングルタイプ最新USB-DACです。

KA17の音質傾向ですが、THXアンプを採用し中高音はくっきりはっきりと音像を描く解像感は高く、中低音は暖かみがある。これまでの同社のTHXアンプを搭載した機種とは異なる印象の個人的に好きな鳴り方です。

KiiO KA17のUSB-DACとして使用した音質が気になる方は以前の「FiiO KA17 レビュー」をご覧ください。

 

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以前使用していたUSB-DACとしてShanling UP5もご参考ください。

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属白色イヤーピース Mサイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「中高音寄りだが中低音も疎かにしない音。高音は華やかで低音はしっかりと鳴る中高音寄りのドンシャリバランス」です。

箱出しでは低音が膨らみボワつきを感じましたが、鳴らし込み後は低音は落ち着き、高音とのバランスが取れた音という印象です。

 

音場

普通の印象。前後に奥行と左右の広さを感じられます。奥行きは左右程ほどありませんが立体的な印象です。空間は広さを感じられ窮屈な印象はありません。

 

高音域

華やかさを感じられます。華やかに鳴り煌びやかさ余韻もありますが、上までの伸びやかさはそこそこに感じます。響きや余韻がある明るい音がしますので存在感のある華やかな音。ただ単に明るく騒がしく感じるような鳴り方ではありませんが、繊細に細やかな音を丁寧に鳴らす。一方で線が細い印象があり刺さりや尖りは感じませんがやや薄い音に感じられます。解像感は良く描写は正確に感じられます。

 

中音域

凹みのある中音域は高音と低音域より薄く、厚みのあるそれらとは華やかさはあるものの濃さが不足気味。やや真ん中に音が集まる団子感や音が重なるゴチャつきは感じられませんので、多ドラハイブリッドの中でも良好と云えます。音の分離は悪くなく線の細さを感じられますが、中低音域を6mmDDが上手くカバーしていると感じます。音の立ち上がりは良好でキレの良い音を楽しめます。ボーカルはクリアでやや近い位置から寒色の声色を聴かせてくれます。

 

低音域

量感は適度で響きや広がりはそれほどありません。大きく強く鳴らし音圧で誤魔化すように鳴らす事はなく適度に鳴らします。音階や強弱といった低音域の解像感は感じられます。ベースラインは追いやすく、ボーカルよりも前にでて邪魔するような不躾さはありません。重低音は沈み込みはそれほど深くありませんが、力強さがありますので力不足を感じません。

 

出音のバランス

一言で云えばやや中高音寄りの弱ドンシャリ。中高音域は明るく華やかにクリアで繊細に鳴らしますが響きはもう少し。低音は適度な量感で力強さがあり不足は感じません。派手なバランスの音ではなく聴き易い出音のバランスは素直に良い音と云えます。

 

高音は明るく華やかになりますが、やや線の細さを感じます。線の細さは解像感や描写を繊細に感じられるものの物足りなさもあります。とはいえ残念な感じではなく多ドラのを良いところを感じられます。上までの伸びやかさはそれ程感じられず、響きや余韻が少し物足りない印象もありますが、キンキンシャンシャンと鳴らしていた数年前のBAの使い方よりも好印象です。これは近年のTRN全般に云えることであり、好みが分かれるかもしれません。過度な華やかさではなく聴き手が音楽を楽しく聴くために十分な鳴り方は高音域の誇張による強調感を感じさせない音に上手くまとめられているという印象です。過度に強調した誇張の強い音は一聴して「愉しさ」を感じますが、直ぐに聴き辛い音になってしまいます。

中音は凹みを感じます。ハイブリッドの弱点ではあります。それでもボーカルはやや近い位置にあり楽器の音はその周りに適度な位置にあり分離は良好。その分薄く線の細いハイブリッドモデルの中音域という印象。中音域の下の方に厚みがある音はその薄さをフォローしてくれており、一体感は感じられます。

ボーカルはやや近い位置からクリアに聴く事ができます。演奏の音にも埋もれることはありませんが声色は寒色寄りで息遣いを感じられます。そのため女性ボーカルのバラードなどでしっとりとした艶のある声は分が悪いですが、アップテンポな曲では明快に聴かせてくれます。

低音の量感は適度に抑えられています。響きや広がりも感じられますが、ほどほど。深く広がる伸びはありません。一発の力強さはありますが、音階や強弱の描写を重視した音なのかもしれません。

重低音は沈み込みはそれほど深くありませんが、力強さを感じられる音。従来の低価格帯でよくあるただ強く大きく鳴らす音ではなく、低音域の質感を重視した音です。

一言で云えば繊細な音を鳴らすTRNの最近の音であり評判の良い音という印象です。

 

そのためST7の線の細さをリケーブルで補うことにします。

同社のRedchainケーブルにリケーブルしてST7は化けます。

先ず4.4mmバランスプラグで聴いてみます。

全体の音のバランスは大きく変わりませんが、高音域の線の細さは改善し、より描写をクリアにはっきりとしてくれます。響きは消え入る様を感じられるようになり伸びやかに感じます。流石に上までの伸びは変わりませんが。

低音域は締まりタイトでリズミカルな音の解像感が上がりますので、音楽の質感の向上を感じます。また、低音域の上の方と中低音域の下の方が持ち上がり音に厚みがでてきます。

中音域は凹みをやや持ち上げて音に厚みがでてきますので、全体的に良い音なんだけど物足りない気がした印象は一変します。

 

※過去レビューも参考ください

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まとめるとTRN ST7はオリジナルのままでも同社の良い音は感じられます。しかし何か物足りないという違和感をRedchainにリケーブルすることで完全体としてST7の良い音を楽しませてくれるようになります。

リケーブルしたST7は中高音域寄りの弱ドンシャリは低音もしっかりと鳴らし高音域はハイブリッドらしい明るい音を鳴らす、音楽的であり聴いていて楽しい音です。それなら最初からRedchainは付属してくれとなりますが、ラインナップ上は致し方が無いのかもしれません。結論は同価格帯で最も推せる高音質モデルと云えます。

一方で従来のような中華イヤホンの強ドンシャリの音が好きな方や中高音重視、低音は邪魔という方には評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   VX Pro ≧ ST7 ≧ ST5 (質感の順)

中音   VX Pro ≧ ST7 ≧ ST5 (質感の順)

低音   VX Pro ≧ ST7 ≧ ST5 (質感の順)

ボーカル VX Pro ≧ ST7 ≧ ST5 (質感の順)

※終売、価格帯違いのため参考程度に。ST7リケーブル無の評価

 

 

4. TRN ST7 の総評

TRN ST7は同社の安定の高音質モデルと云えます。もちろん価格帯での評価となりますし、実際にはリケーブルすることで同社上位モデルと遜色の無い評価と云えます。このST7は音楽を楽しむための高音質イヤホンと云えます。もちろん同価格帯では間違いなく高音質。同社Redchainにリケーブルすれば同社旗艦多ドラハイブリッドモデルと遜色の無い、高音質を体験できます。相変わらずTRNは製品を上手くまとめてきますね。個人的に高音質のイヤホンとしてお勧めです。

 

最後に、今回は低価格U5000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2024年10月19日)は国内amazonでは4,000円台。HiFiGoやAliExpress等で3,000円以下で発売されており、現在は海外購入が安価です。それでもHiFiGoやAliExpressの本国発送は納期が掛かりますし、万が一の際には少々難があります。それでも、中華イヤホンの中でもその音質を含めクオリティの高さは十分満足できる内容となっておりますので、中華イヤホンでちょっとよいものを検討中の方や間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実な国内正規品取り扱いを待って。少しでも新製品を早く安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

ST7

以下、付属ケーブル、付属白イヤピ M使用、DAC KA17
高音★★★★ 
中音★★★★  
低音★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★  

※☆0.5、★1.0

 

ST7 + Redchain

以下、Redchainケーブル4.4、付属白イヤピ M使用、DAC KA17
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★ 
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

 

ST5

以下、付属ケーブル、付属白イヤピ MDAC UP5
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

VX Pro
以下、付属ケーブル、付属赤軸黒傘イヤピ M使用、DAP ZX507アンバランス接続
高音★★★★★ 
中音★★★★☆  
低音★★★★ 
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★ (高音好きの方)
※☆0.5、★1.0

 

 

あとがき

今回は中華イヤホンの低価格帯の商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後は低価格だけではなく、中価格の中華イヤホンも扱っていきます。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

Celest Wyvern Qing レビュー

こんにちは。

今回はいつもの中華イヤホンレビュー編として、低価格U5000帯で登場した1DD、シングルダイナミックドライバモデルのCelest Wyvern Qingについてレビューをまとめたいと思います。

 

国内amazonのHiFiGoで取扱があります。

 

AliExpressでも取扱があります。

 https://00m.in/nMXTg

 

HiFiGoのサイトはコチラ

Kinera Celest Wyvern Qing 10mm Dynamic Driver In-Ear Earphonehifigo.com

 

 

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1. Celest Wyvern Qing について 

CelestはKineraのサブブランドとして、中華イヤホン界注目のブランドです。Celestは自社の製品を物語に見立て商品展開をしており、中国神話から製品のデザインとチューニングのテーマにするという「商品性」を大事にしているブランドです。

そして、今回Celestの製品説明として以下の通り。

 

Celest Wyvern Qing(清)は、中国神話に登場する雄大な4つの天霊の1つであり、滄龍や孟章としても知られる龍をモチーフにしています。それは古代中国の神話のキャラクターとして力と威厳の象徴となります。

製品は高精度のDLP 3Dプリント技術によるWyvern Qingのシェルは高品質の肌にやさしい樹脂素材を使用。シェルの造形は人間工学に基づいた普遍的な形状とし、ユーザーへ装着感が優れた快適な使用感としています。フェイスプレートには、PVCで多層コーティングを施し、シンプル且つ絶妙な美しさを持たせています。そして煌めきや鮮やかさのあるシェルは光と影のコントラストにより一層の美麗さを持ち合わせています。

音質では10mmダイナミックドライバーユニットを採用。LCP(Liquid Crystal Polymer)振動板(ダイヤフラム)を採用しています。これはダイヤフラムとして非常に薄膜且つ軽量の素材です。このLCPダイヤフラムのドライバーユニットにより、低歪みの広い周波数応答範囲をカバーします。

また、2019年の「Harman Target Response」に則りチューニングを行うことで、バランスの取れた高音・中音・低音域の三つの周波数特性はレスポンスの良い、リアルで自然な音質を提供します。

 

上記のCelestの製品説明からは製品としてのブランドを確立させ、デザイン性の高さと、機能性、音質にも妥協の無い1DD、シングルダイナミックドライバモデル、Wyvern Qingへの自信が表れています。

 

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さて、Celest Wyvern Qingのスペックですが先述の通りシンプルな1DD、シングルダイナミックドライバモデルです。

そのドライバユニットには10mm径のLCP(Liquid Crystal Polymer:液晶ポリマー)振動板を採用したダイナミックドライバを搭載しています。薄型・超軽量設計の新型ポリマーダイアフラム素材は伸びが良く、歪みの少ないクリアなサウンドを生み出します。このカスタマイズされた高性能ダイナミックドライバにより、Wyvern Qingはレスポンスが良く、優れた低音、豊かな中音域、クリアな高域を実現しています。

これは実際に聴いてみた感想もその出音のバランスの良さを感じます。

 

※Wyvern Qing のf特(メーカーHP抜粋)

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以前レビュー同様にメーカー発表のf特を引用します。

2019年のハーマンの目標応答曲線に沿ってチューニングされています。

グラフからは高域3-4kHzに最大ピークがあり、高域4k超から9k手前に大きな谷があるものの9kからターゲットカーブを小さく上下しながらトレースしています。音域全体でみるとf特は凹傾向ではありますが、高音と低音域のダイナミックさと中音域の凹みの少ないターゲットカーブに沿っていることがわかります。

 

※Wyvern Abyss(Black) のf特(メーカーHP抜粋)

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参考に以前レビューした同社Wyvern Abtss(Black)のf特を見る限りは同じ特性と云えAbyss(Black)のバリエーションモデルの様な印象です。

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3Dプリント成形のシェルには医療グレード樹脂を採用しています。シェルのフェイスプレートは、シンプルでありながらもPVCの多層コーティングにより絶妙な美しさがあります。また、光により煌めきや鮮やかさをのあるシェルは光と影のコントラストが装飾品の様な美麗さを感じさせます。Wyvern Qingのカラーは、ブルーとグリーンが選べサファイヤとエメラルドの宝飾のような外観デザインに仕上げています。

 

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最後に付属ケーブルです。

高品質の線材を採用した純正ケーブルが付属します。通常のスタンダードケーブル(白銀色)とマイク付きケーブル(黒色)の2種から選択できます。スタンダードケーブルは高純度の無酸素銅(OFC:Oxygen Free Copper)線の4芯撚線ケーブルです。

 

※以前のレビューもご参考ください

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Celest Wyvern Qingの納期として今回国内amazonのHiFiGoでオーダー。現在(2024/8/14)は国内amazonのprime扱いで販売されています。AliExpress、HiFiGoサイト等でも順次販売されると思います。昨今、HiFiGoやAliExpressで購入した本国発送の場合でも以前の様な感染症の影響で遅延は少なく回復しておりますが、万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかるのが、海外通販のリスクです。

そんな訳で一般的に海外通販での購入は国内通販で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが偶に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットがありましたが、最近では円安でその恩恵も受け難く、国内では入手できない商品を早く手に入れる事がメリットと云えます。それらを天秤にかけた場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. Celest Wyvern Qing 実機レビュー 

それでは、実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングは濃緑色を基調とした緑色の濃淡の揺らぎのある趣のある小箱。箱の表にはイヤホンイラストと商品名を印刷したスリーブタイプの化粧箱です。

 

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スリーブを外すと龍のイラストの描かれた内蓋があります。


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内蓋を外すと内箱の中にイヤホンと付属品が小袋に収納されています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースS、M、Lが1セットとケーブルです。低価格U5000帯として必要最低限の付属品となります。

 

次にイヤホン本体を見ていきます。

 

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Wyvern Qingのシェルはオール樹脂製です。フェイスプレートは先述のPVCの多層コーティングが施された光沢のある美しいもの。イヤホンの造形はカスタムIEM風のデザインで厚みがありながらもそれを感じさせないコンパクトなシェルとなっています。オール樹脂製のステムノズル部の造形と軽量なシェルも相まって装着感は良好です。

ビルドクオリティには問題を感じられず、中華イヤホンで心配されるような雑なところ感じさせません。低価格帯ながらもシェルの合わせ面等のズレや隙間は無く綺麗な仕上りです。

また、ステムノズル部には金属フィルタがあります。音質に影響があるタイプではなさそうですが、異物の混入等による故障を防いでくれます。

そして、シェル本体の形状と付属ケーブルからはシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、装着感はステムノズルの長さや太さに影響がありますので、イヤーピースのフィッティングは重要となります。

カラーバリエーションはブルーとグリーンの二色です。

 

次にケーブルをみていきます。

 

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付属ケーブルは4芯銀メッキ無酸素銅の撚線ケーブルです。被覆は今回はスタンダートケーブルを選択しているので白銀カラーです。プレイヤー側コネクタはL字タイプ。イヤホン側はフラット2ピン仕様。極性はKZと同じ上側がプラスです。この付属ケーブルは被覆にやや引っ掛かりがあります。タッチノイズはあまり感じませんし、肝心の耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。4芯というものの線材は細くしなやかなものとなり取り回しは良好です。

とはいえ、このケーブルは同社のAbyss(Black)で付属したケーブルよりもグレードは低い印象です。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、私はこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

最後に付属イヤーピースです。

 

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付属イヤーピースはシリコンイヤーピースが1種。Celestで付属しているタイプとは異なる中華低価格帯で付属する傘のコシの無い柔らかすぎてフニャっとする傘の軸短タイプ。残念ながら音質的云々の前に私は耳にフィットしないので手持ちのイヤーピースと交換しています。これまでCelestには付属品にも拘りがあって好感を持っていましたが、この付属イヤーピースはWyvern Qingとのバランスとマッチしていたのかは疑問。私は今回はKBEAR07のM-サイズに交換して耳の奥に栓をするように装着しフィットさせています。

低価格帯等ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じます。今回は付属のイヤピでは上手くフィットしませんでしたが、音質的にはあまり変化の無いタイプへの交換を推奨します。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感はもとより音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えない他社製へ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. Celest Wyvern Qing 音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今年4月から再生環境を更新しました。スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行うことは変わりませんが、USB-DACにはFiiO KA17を用います。これまではUSB-DACにShanling UP5を組み合わせていましたが、それを刷新します。スマホは変わらずSony Xperia 5 IIを用います。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。FiiO  KA17は同社のドングルタイプ最新USB-DACです。

KA17の音質傾向ですが、THXアンプを採用し中高音はくっきりはっきりと音像を描く解像感は高く、中低音は暖かみがある。これまでの同社のTHXアンプを搭載した機種とは異なる印象の個人的に好きな鳴り方です。

KiiO KA17のUSB-DACとして使用した音質が気になる方は以前の「FiiO KA17 レビュー」をご覧ください。

 

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以前使用していたUSB-DACとしてShanling UP5もご参考ください。

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

miineco106.hatenadiary.jp

 

それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピはKBEAR07 M-サイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「低音にボリューム感があり、高音域もはっきりと鳴らす。やや中低音域に厚みの感じる全音域でバランスの良い音」でした。音量は取りやすく好みに応じて普段と同じ位か僅かにボリュームを上げれば問題ありません。

箱だしでは低音域の膨らみを感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音は落ち着いた印象です。

 

音場

狭くも広くもない普通の広さ。前後の奥行と左右の空間に広さを感じられ立体的な印象です。

 

高音域

比較的はっきりと鳴りますが、全体で見ると量はそれ程多くはありません。華やかさは適度に感じられますが、必要な時に必要なだけ自然な強さで鳴らします。その分耳障りな騒々しさはなく自然な印象です。一方で華やかで煌びやかな高音域を求める方にはもの足りない印象となるかもしれません。超高音域までの伸びはそれほど感じませんが、不快な高音域の刺さりや尖りを感じない整った音は適度な存在感がありあくまでも自然な強さの高音域。音像の描写はエッジが立つ様な感じではなくシャープな印象。音の消え際は掴みやすく解像感は悪くありませんが、取り立てて良いという印象もない普通に適度な印象です。くっきりはっきりした音像の描写ではなく、どちらかと云えばエッジの効いた切れ味鋭い縁取りをクッキリとした音と云うよりはシャープに綺麗に鮮明に描く印象。繊細な表現力は線がやや細く感じられますが、音の消えゆく様は聴き易く爽やかな音という印象です。

 

中音域

空間の広さは普通程度。立体感のある音場は好印象です。その空間には高音域よりも腰を据えた華やかさがあります。音数の多い曲でも空間が渋滞せずに、音の重なりが抑えられ整理された響きは好印象です。尤も、音数では低価格帯の複数ドライバを詰め込んだモデルの方が音の暴力を楽しめますので、こちらは如何に自然な音を整理して届けられるかがポイントですので、音が重なり中心に集まる団子感や音がゴチャつきを上手く抑えた1DDの自然な音を楽しめます。ボーカルはクリアでやや近い位置から聴かせてくれ、自然な声色で息遣いや熱っぽさを感じられます。

 

低音域

量感は十分で過度に強調していない音。広がりは程々で余韻もそこそこですが、雰囲気の良い音は聴いていて不足を感じません。芯の強さのある音は適度に広がり余韻を残しますが他の音域を邪魔していません。音の強弱や音階の表現と描写は好印象で解像感は良好。ベースラインは追いやすく、前に出すぎる事はありませんので邪魔になりません。重低音の沈み込みは深さに不足はなく音の強さもありますので必要十分な音。

 

出音のバランス

一言で云えば自然な音色の中低音寄りの弱ドンシャリ。出音はやや中低音の印象が強いものの高音域もアタック感のあるはっきりとした音が聴こえます。それでもやはり全体的に見るとやや控えめの印象となりますが、寧ろ全音域の出音のバランスは良いです。

 

高音は全体で見るとやや控えめの印象を受けますが、寧ろ不快な高音域の尖りはありませんし、必要な時に必要なだけ誇張せずに自然な強さで鳴りますので、創られた不自然さはありません。

中音は華やかで凹みを感じない。縦横の空間が立体的に感じられます。楽器の音はボーカルの周りで横と後ろに離れた位置にあり位置が掴みやすい。中音域の音は整っていて音の描写力は適度にあり厚みのある音は好印象です。

ボーカルはやや近い位置から聴きやすく、高音や低音の音に埋もれず聴き難くなることはありません。声色は自然で息遣いや熱のこもった歌声などを聴かせてくれる印象です。

低音は十分な量感で芯の強さを感じます。広がりと余韻も楽しめ解像感は良好です。芯の強い音は音楽を心地よく下支えしてくれますので、雰囲気の良い情熱的な曲との相性の良さを感じられます。

重低音は沈み込みはそれほど深さは感じませんが、強さがありますので必要十分。

 

まとめるとWyvern Qingはシングルダイナミックドライバの自然でなめらかな音を活かした音作りと不自然に何処かの音域を強調しない全音域の出音のバランスの良い適度なドンシャリはH2019、ハーマンターゲットに沿った音を目指しており間違いのない音質と云えます。安心感のある音質傾向は中低音を厚めに聴かせてくれる印象です。自然な音色で丁寧に聴かせてくれる丁度良い出音は、低音の下支えが音楽を聴く事を楽しませてくれると思います。Wyvern Qingは音を分析するためのモニターサウンドとは異なりますが、本来の目的である「音楽を楽しめる」リスニングサウンドです。

 

※兄弟機Wyvern Abyss(新名Black)のレビューも参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

高音   Plutus Beats ≧ Wyvern Qing ≧ Wyvern Abyss (音の強さ)

中音   Plutus Beats ≧ Wyvern Abyss ≧ Wyvern Qing (音の強さ)

低音   Plutus Beats ≧ Wyvern Abyss ≧ Wyvern Qing (音の強さ)

ボーカル Plutus Beats ≧ Wyvern Qing ≧ Wyvern Abyss (質感の順)

※Plutus Beatsは価格帯が異なりますので参考として

 

 

4. Celest Wyvern Qing の総評

Celest Wyvern Qingはシングルダイナミックドライバの利点を活かし自然でなめらかな音色を丁寧に聴かせてくれる出音のバランスと解像感の「丁度良い」を備えたリスニングサウンドが特徴と云えます。そのサウンド全音域の出音をハーマンターゲットバランスとすることで安心安定のドンシャリサウンドは高音質と云えます。一方同社Wyvern Abyss(Black)との違いは僅かにあるものの殆ど感じないため実質的な兄弟機と云えるのかもしれません。また、Qingのシェルデザインは宝飾品の様な美麗さに加え装着感の良いシェルに商品性の高さを感じさせます。中華イヤホンというカテゴリの中では低価格U5Kで実現しており、お求めやすい価格で見栄えと音楽性を重視したい方にはお勧めのモデルと云えますし、Wyvern Abyss(Black)とはその見た目の好みで選んで良いと思います。

 

最後に、今回は低価格U5000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2024年8月14日)は国内amazonで発売開始しています。そのため国内amazonが直ぐ届くのでおススメ。海外通販でもHiFiGoの発送は届くのも早い印象がありますが、AliExpressでも最近は改善していますのでどちらでもアカウントのある方で購入いただければと思います。これまでの中華イヤホンの中では手を出しやすい実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは十分満足できる内容となっておりますので、低価格帯中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて気になる方は安心確実なamazonを。国内発売前に少しでも早く入手したい、新製品を少しでも早く(安く)手に入れたい方はHiFiGoでの購入も検討してみてくださいね。

 

Wyvern Qing

以下、付属ケーブル、イヤピKBEAR M-DAC KA17
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★  (U5Kとして)

※☆0.51.0 

 

Wyvern Abyss(Black)

以下、付属ケーブル、付属イヤピ MDAC KA17
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★  (U5Kとして)

※☆0.51.0 

 

Plutus Beats

以下、付属ケーブル、付属赤軸イヤピ M使用、DAC KA17
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★★ 
音場★★★★☆
分離★★★★★
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回はいつもの中華イヤホンの低価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後も低価格?を中心に、中華据え置き機器や複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

 

 

Victor HA-FX550T レビュー

こんにちは。

今回はいつもの中華イヤホンではなく、日本の老舗ブランドVictorの左右独立型完全ワイヤレス(Ture Wireless Stereo。以下TWS)イヤホン、HA-FW1000Tのレビューをまとめたいと思います。

国内メーカーの商品なので国内大手イヤホン専門店や家電量販店の各店頭及び、WEBサイト並びにamazon等のECサイトでも購入可能です。

 

 

www.e-earphone.jp

 

以下、メーカーHP

www.victor.jp

 

 

 

 

1. Victor HA-FX550T について 

1.1. Victor とは

以前Victorの旗艦モデルHA-FW10000(以下FW10000)と同様に「木」の振動板を採用した「Woodシリーズ」初の左右独立型完全ワイヤレスイヤホン(以下、TWS)のHA-FW1000Tをレビューしました。Victorブランドと云えば「ニッパー君」の愛称で親しまれている犬が旗艦モデルFW10000と同様にHA-FW1000Tにも描かれており、他社にはないアイキャッチとして定着しています。また、音質もVictorブランドの名に相応しくTWSモデルでも高音質のモデルでした。

そのVictorブランドから久しぶりに同社ハイクラスモデルとして今年HA-FX550Tが発売されました。HA-FX550Tでは同社ハイクラスモデルに採用されているWoodシリーズとは異なり「シルクレイヤーカーボン」を採用した新型ダイナミックドライバを搭載し同社TWS史上最高音質を謳っています。

 

シルクレイヤーカーボンを採用した新型ダイナミックドライバの是非はさておき、同社のWoodシリーズは「HP-FX500」(2008年)から始まりに16年の歴史があります。2018年以シリーズ10周年モデルとして発売した「HA-FW10000」(2018年)は未だ旗艦モデルとして君臨しています。そのブランドイメージのままでも十分戦えたはずなのに新しいブランドに挑戦することを選択したメーカーには日本も未だ捨てたものじゃないなと敬意を示します。HA-FW1000Tの美麗な中高音と豊かな低音というWoodシリーズの良さを詰め込んだ音にHA-FX550Tはシルクレイヤーカーボンでどのように立ち向かうのか。発売日に入手し1か月使ってみた感想を加えてまとめたいと思います。

 

次はHA-FX550Tの特徴をみていきます。

 

1.2. Victor HA-FX550T の特徴

それではその特徴を以下まとめてみます。

 

超小型サイズに高音質を凝縮

大口径11mmのドライバーを搭載しながらもイヤホン片耳約5.4g。
充電ケースは約23.6gとビクター完全ワイヤレスイヤホンにおいて最小・最軽量を実現しました。

 

【瑞々しく、豊かに響く音】

新開発 大口径11mmシルクレイヤーカーボン振動板

  • シルクによる滑らかで繊細な瑞々しい音
    日本古来から楽器の弦などにも用いられている天然素材のシルク(絹)に着目し、その成分をカーボンコーティングされたベースに付加した大口径11mmのシルクレイヤーカーボン振動板を新開発。
    シルク(絹)の特性である滑らかさにより、繊細な描写でありながら瑞々しい音を実現しました。
  • ステンレス音響チャンバー
    大口径ドライバーを搭載しつつ小型設計を実現し、さらにドライバーユニットの背面には音響のための空間をしっかりと確保し、ゆとりのある豊かな低音とワイドレンジな音を実現しています。イヤーピースによる保持に加え、耳穴の周囲のくぼみであるコンチャ(耳甲介)にフィットするコンチャフィット形状による優れたフィット感を追求。また、磁気回路やボイスコイルなどには有線ハイクラスイヤホン同等のパーツを採用し、音響用チャンバーを構成するパーツには、当社完全ワイヤレスイヤホンでステンレスを初めて採用しました。
    余分な振動を徹底排除し、ディテールの正確な再現力、伸びのあるクリアな表現力、広く見通しの良い音場をお楽しみいただけます。 

 

ビクター史上最高のノイズキャンセリング性能

ノイズキャンセリング音を作り出すドライバー性能や独自設計のパラメーターの改良などにより高いノイズキャンセリング性能を実現。

さらに、音質とノイズキャンセリングの効果を高度な技術で調和させ、自然で高い効果を実現しています。 

専用アプリにより、風切り音を低減する「ウインドカットモード」を使用すれば、風の強い屋外でもクリアなサウンドが楽しめます。 

 

【音のプロが認めた音】

音楽制作現場「ビクタースタジオ」のプロのエンジニアが音質チューニングに参加。

当社独自の音響設計技術に加えて、プロの音に対する知見を注入することにより、細部の表現にこだわったビクターの「心地よい音」を実現しました。

音のプロが認めた音には「Tuned by VICTOR STUDIO」のロゴを付与しています。

音のプロが創った5つのサウンドモード

好みや楽曲、シチュエーションで選べる、8つのプリセットサウンドモードを搭載。

お馴染みの3つの「FLAT/BASS/CLEAR」モードに加え、ビクタースタジオのプロのエンジニアが創った5つの「PROFESSIONAL」モードで、様々な音楽の楽しみ方を提案します。

  • PROFESSIONAL①:声の魅力がより伝わるチューニング
  • PROFESSIONAL②:立体的な音響をテーマに自然で豊かな音像にチューニング
  • PROFESSIONAL③:視界が晴れキラっとヌケの良さを感じるチューニング
  • PROFESSIONAL④:楽器のアンサンブル、表情をより感じられるチューニング
  • PROFESSIONAL⑤:音数の多い楽曲もしっかり聴きやすいチューニング

 

ハイレゾサウンドLDAC™コーデック対応

最大96kHz/24bitまでのハイレゾ高音質コーデックLDACに対応。対応端末と接続することにより、ハイレゾコンテンツの持つ広帯域・高ダイナミックレンジをワイヤレスでも楽しめます。

 

音質と装着感が向上するスパイラルドットProイヤーピース

クリアなサウンドを作り出す高音質化イヤーピース

イヤーピース内壁にスパイラル状にドットを配列した独自の音質向上技術「スパイラルドット」により、音質劣化の原因となるイヤーピース内の反射音を拡散させ、音の濁りを抑制し、クリアなサウンドを実現します。

さらにそれを進化させた「スパイラルドットPro」はスパイラル状の凸形状を追加し、より繊細な音までの再現性を高めています。

また、やわらかいグレードのシリコン素材により、装着感と密閉度を向上させ、より音質と装着感を高めます。

5つのサイズ(S、MS、M、ML、L)を付属し、耳に最適にフィットするサイズを選べます。

 

アプリで自分好みにカスタマイズ

専用アプリで、フルカスタマイズ可能な自由度の高いキー割り当ての変更、サウンドモードの切り替え、パラメトリックイコライザーによる本格的な音質調整のカスタムサウンドモード、各種機能の設定・切り替え、アップデート対応など、高いカスタマイズ性で自分好みの音質/操作のイヤホンが作れます。

 

テレワークに便利な3つの機能

  • 2台接続し直す手間がない、マルチポイント
  • 左右片耳のみの使用が可能
  • ワンタッチでマイクミュート可能

 

AIによる通話用ノイズリダクション機能で、高い通話品質

さまざまな騒音データを学習したAIアルゴリズムによる通話用ノイズリダクション機能とビームフォーミング技術、高性能MEMSマイクが騒音下でも話者の声を識別して騒音だけを低減し、通話相手にクリアな声を届けます。

 

スタジオモチーフの選べる2カラー

スタジオ機材をモチーフにしたシックなブラックと、スタジオのライティングをモチーフにした品位のあるブロンズの2色展開。

 

AndroidTMデバイスと簡単にペアリングできる、Fast Pairに対応

 

その他の特長・機能

  • 92段階のボリュームステップ
    細やかな音量調整が可能です。
  • 雨や水しぶきに強い防滴仕様
  • 外音取り込み機能
    イヤホンを付けたままでも会話が可能。
    ワンタッチで音量を下げるとともにマイクで外音を取り込み、会話をしやすくします。
  • ゲームや動画視聴に最適な低遅延モード
    Bluetooth®伝送時に発生する音声の遅延を抑制し、映像と音声のずれを抑えます。
  • 最大21時間の長時間再生
  • クイック充電対応
    15分の充電で最大70分の再生が可能
  • オートオン/オフ&オートコネクト機能
    一度ペアリング設定すれば、あとは充電ケースからの出し入れで自動ワイヤレス接続と電源ON/OFFが可能。
  • タッチコントロール機能
    ビープ音によるフィードバックにより、軽いタッチで確実な操作をアシスト。
  • スマートフォンの音声アシスタント機能の起動に対応
  • 安定したワイヤレス接続Ver.5.3
    左右独立伝送、Bluetooth®標準規格Ver.5.3、Power Class 1に対応 

 

(以上、メーカーHP抜粋)

 

Victor HA-FX550Tは同社の新しいTWSイヤホン旗艦モデルとして従来のHA-FW1000Tで不満があったところをアップデートしています。音質は後でふれるとして、間違いなく高機能となっています。機能性は同価格帯の他社製品と比較した場合にも遜色なく、ワイヤレス充電はありませんが、2台のマルチポイントやアプリによる設定等の機能が搭載されました。これらはHA-FW1000Tが当時アプリによる設定ができなかったことがやはりマイナスだったことが窺えます。そしてノイズキャンセリングの効きが弱かったこともあり、今回は大幅なアップデートが行われました。一方で社社との差別化では小型化に成功。イヤホンケースとイヤホン本体は群を抜いてコンパクトになりました。コンパクト化はやはり装着感に好影響がありましたが、その分使用時間が短めとなっています。連続4時間の使用時間は他社と比較しても短い方と云えます。

そういう意味では従来のHA-FW1000Tに変わる新しい旗艦モデルがHA-FX550Tという認識で間違いはないと思いますが、やはりHA-FX550TはTWSに求められるガジェット性能を重視したTWSイヤホンとしての立ち位置であり、普段有線イヤホンを好んで使用するユーザーへ向けた製品ではないのかもしれません。

また、個人的な驚きとして、HA-FX550Tでは無線コーデック「LDAC」を採用しており、HA-FW1000Tの「AptX Adaptive(24bit/96kHz対応)」ではありませんでした。

LDACやAptX Adaptive(24bit/96kHz対応)の無線コーデックはハイレゾ音源をTWSイヤホンでもハイレゾ相当で手軽に聴く事ができます。現在はTWSイヤホンの音質を左右する機能として無視できない「無線コーデック」をSonyが開発したLDACを採用に舵を切ったことは興味深いです。

無線コーデックの音質に影響する説明を簡単に云えば「LDAC」は「SBC」などの一般的な無線コーデックの約3倍もの情報量を持ち、最大24bit/96kHzのハイレゾ音質の楽曲データをほぼハイレゾ相当で伝送が可能となります。Sonyの開発した無線コーデック「LDAC」はこれまで主流だった「aptX」や「AAC」「SBC」よりもデータ伝送量が多く、その結果、従来よりも高音質で音楽を聴く事ができます。

少し技術的な話をすれば、「LDAC」は最大24bit/96kHz、最大990kbpsに対応しています。それに対し、SBCでは最大16bit/48kHz、最大328kbpsと伝送量が劣ります。そのため、AAC-LC(320kbps)のような圧縮された楽曲データを聴く場合には折角のLDACの優位性は感じられませんが、ロスレス楽曲(16bit/44.1kHz、1,000kbps)やハイレゾ楽曲(24bit/96kHz、4,000kbps)ではほぼ有線イヤホンで聴いているような音質を感じる事ができます。

 

1.3. Victor HA-FX550T のスペック

次にHA-FX550Tのスペックを詳しく見ていきます。

 

■主要スペック(Victor商品ページ抜粋)

  HA-FX550T EAH-AZ80 WF-1000XM5
ドライバ

11mm径ダイナミックドライバ
シルクレイヤーカーボンダイヤフラム

10mm径ダイナミックドライバ
アルミダイヤフラム
8.4mm径ダイナミックドライバ
高音質化技術 - - DSEE Extreme

Bluetooth

バージョン

5.3 Class 1 5.3 Class 1 5.3 Class 1
コーデック SBC、AAC、LDAC SBC、AAC、LDAC SBC、AAC、LDAC、LC3

ノイズ

キャンセル

〇ANC / 〇ヒアスルー 〇ANC / 〇ヒアスルー 〇ANC / 〇ヒアスルー

マルチ

ポイント

〇2台

〇3台

※3台接続時はLDAC不可

〇2台
360 Reality Audio - -
アプリ対応

連続再生

時間

イヤホン:
最大4時間(NCオン) / 最大6時間(NCオフ)
充電ケース:
最大14時間(NCオン) / 最大21時間(NCオフ)
イヤホン:
最大7時間(NCオン) / 最大7.5時間(NCオフ)
充電ケース:
最大24時間(NCオン) / 最大25時間(NCオフ)
イヤホン:
最大8時間(NCオン) / 最大12時間(NCオフ)
充電ケース:
最大24時間(NCオン) / 最大36時間(NCオフ)
防水 イヤホン本体:IPX4 イヤホン本体:IPX4 イヤホン本体:IPX4
満充電時間

イヤホン:約2.0時間
ケース:約2.5時間

ケースとイヤホン同時:約3.5時間

イヤホン:約2.0時間
ケース:約2.5時間

ケースとイヤホン同時:約3.0時間

イヤホン:約1.5時間
ケース:約2.0時間
充電時間 15分充電で70分使用可能 15分充電で70分使用可能 3分充電で60分使用可能

ワイヤレス

充電

イヤホン

重量

イヤホン:5.4g
ケース:23.6g
イヤホン:7.0g
ケース:50g
イヤホン:5.9g
ケース:39g

 

参考に他社TWSイヤホン旗艦モデルEAH-AZ80とWF-1000XM5のスペックを併記してみました。

三つの機種はスペック上、ほぼ同じ。音質に拘るところでは無線コーデックはLDACと同じです。異なるのは搭載するドライバサイズや振動板の素材が違います。

音質以外の機能性、所謂ガジェット性能はEAH-AZ80やWF-1000XM5に比べワイヤレス充電が無いところがやや見劣りする程度で有線イヤホンとは違うTWSイヤホン市場のニーズに対応していると云えます。

販売価格ではEAH-AZ80の約36,000円(公式ストア)に対し、WF-1000XM5は約41,800円(公式ストア)に対し、HA-FX550Tが29,700円(公式ストア)と一番安価で同社HA-FW1000Tの36,000円よりも安価な価格設定になっています。とはいえEAH-AZ80とWF-1000XM5は発売から約1年が経過し公式ストアクーポンを使えばもっと安価で購入できますので悩ましいところです。

さて、この価格帯は各社がTWSイヤホンのハイクラスモデルを投入しており、競争が激しい市場です。そしてTWSイヤホンとしての「高音質」に加え、ガジェット機能も高い高機能商品に人気が集まっています。

メーカーはHA-FX550Tは同社のTWS史上最も高音質と謳っており、同社のHA-FW1000Tを凌ぐ音質という説明となります。また、従来のHA-FW1000Tから機能を強化したモデルという位置づけであり、「商品性」が高くなり、肝心の「音質」をさらに強化した商品という事になります。一方で、アプリ連携を含めガジェット性能は総合面で他社からやや遅れている印象。違いはWF-1000XM5が360 Reality Audioや同社のDSEE Extreme(圧縮音源のアップスケーリング技術)による高音質化技術を採用し一歩リード。EAH-AZ80はマルチポイント接続が3台(ただし3台接続時はLDAC接続不可)とこちらも他社を一歩リードと各社特徴を持たせて勝負しています。そういう意味ではHA-FX550Tはやはり他社との差別化でユーザーへ訴求できているかはやや疑問。冒頭のWoodシリーズがここで活かせたのではないか。Woodで攻めるべきではなかったのか。シルクレイヤーカーボンが悪いわけではないが、多少価格が上がってもWoodだったのでは?というのが個人的な考えです。

そして、もう一つの懸念点があります。TWSイヤホンは無線接続の安定性が重要です。HA-FX550Tは最新のTWSとしてBluetoothバージョン5.3 Class1を採用し省電力と接続安定性が高くなっています。しかし、androidスマホのLDAC音質優先で接続した場合、リビングにスマホを置きその部屋(LDK)の中でイヤホンを装着したまま動き回っても接続は安定していましたが、壁を隔てた部屋間の移動では結構途切れます。他社のTWSではマルチポイント接続を無効にしたところ、ほぼ途切れなくなったので試したかったのですが、残念ながらその設定項目は無く、結果として屋内でも接続品質に不安があります。屋外での使用では流石に接続優先に設定。大きなハブ駅構内等では途切れることがありましたが、そこそこ安定しており実用性は確保した通信品質と云えます。しかし、同じ条件でWF-1000XM5のLDAC接続では音質優先部屋間の移動でも問題は無かったのでスマホとの相性、或いは私の個体が悪いのかもしれません。

次に使用可能時間です。連続再生時間はANCオン/オフや接続コーデックにより変化します。そのため公称よりはやや短めとなりますが、出かける前にフル充電しておけば平日の通勤のお供に問題はありませんが、最新のTWSとしてやはり少々心もとない使用時間となります。尤もこれは使用環境、条件により変わりますので参考程度にお願いします。

最後に待機時間や充電時間です。実際に約一ヵ月使ってみた印象として充電時間はほぼスペック通りと感じましたが、私の環境では音楽再生が僅かに短く感じるものの、ほぼスペック通りという印象です。とはいえ、家で動画を観たり通勤往復でも十分ですし、会社についたら充電してしまえば不都合を感じる事はないと思います。これは他のメーカーでも云えることですが、実際のメーカー公称時間とユーザーの実行時間としてそれほど大きな問題とはならないと思います。

 

Sony Xperia 5 IIの設定>音設定メニュー画面

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HA-FX550Xに限った話ではありませんが、初めて接続したTWSの音量が大きすぎる場合があります。その場合は、androidの設定>音設定メニュー、メディアの音量を調整し本体の音量調節ボリューム調整で予め下げておくことをお勧めします。また、通常Bluetooth接続機器とスマホ本体の音量調整は連動しており機種によっては1メモリの調整幅で大きくなり過ぎたり、小さくなり過ぎたりと音量調整で困ることがあります。これに対応できるのが前述の「メディアの音量」調整です。ポイントはスマホ本体のボタンではなく「メディアの音量」バーを「スワイプ」で調整し好みの音量に微調整し、それ以降はイヤホン本体で音量調整をすると良いでしょう。

 

HA-FX550Tの充電は付属のケーブルをケースのUSB タイプC端子を接続し市販のUSB-A充電器で行います。

イヤホン本体の充電残量の確認はケース本体のLEDの点灯により確認できますが、より分かり易いのはスマホ本体での確認です。

以下、androidスマホの場合です。

 

Sony Xperia 5 IIの設定>機器接続メニュー画面

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androidスマホではBluetoothメニューの接続デバイス一覧に現在接続している機器が表示されますが、その中でバッテリー残量の確認ができます。

また、アプリ内でも充電残量が確認できます。

 

ケースの充電残量はケース正面のLEDにより充電ステータスで分かります。

ケースの蓋を開けたイヤホンを戻した時、LEDが残量に応じて点灯(数秒間)します。

  • 残量なし・・・LEDが消灯(無点灯)
  • 残量少ない・・・LEDが1つ目点灯
  • 残量中程度・・・LEDが2つ目点灯
  • 残量十分・・・LEDが3つ目点灯
  • 満充電・・・LEDが4つ点灯

 

次にケースの充電中はケース正面のLEDにより充電ステータスが分かります。

充電中はLEDが残量に応じて点灯します。

  • 残量無し・・・LEDが1つ目点滅
  • 残量少ない・・・LEDが2つ目点滅
  • 残量中程度・・・LEDが3つ目点滅
  • 残量十分・・・LEDが4つ目点滅
  • ほぼ満充電・・・LEDが4つ点灯
  • 満充電・・・LED消灯

 

イヤホンの充電中はイヤホンの状態を示すLEDにより充電ステータスが分かります。

充電中はケースの蓋を開けた時、LEDが充電ステータスに応じて点灯します。

  • 充電中・・・LEDが点灯
  • 満充電・・・LED消灯

 

購入後、最初に満充電にします。充電が完了したらいよいよandroidスマホとのペアリングです。基本的に取説通りで問題なくペアリングを行えます。

次項ではandroidスマホを例にペアリング方法を説明します。

 

1.4. androidスマホとLDACでのペアリング方法

Xperia 5 II、android 12で検証済

基本的に難しいことはありません。以下の手順でペアリングを行います。

  • 最初にandroid OSの開発者向けオプションを有効にする(既に有効の場合は飛この手順を飛ばしてください)。
  • androidスマホBluetoothを有効にする。
  • 充電ケースからHA-FX550T、イヤホン左右をケースから取り出す。
  • androidスマホの設定>機器接続>新しい機器とペア設定するメニューを選択すると接続機器のリストに「HA-FX550T」が表示されますのでそれを選択するとペア設定完了です。
  • 2回目以降は自動的に接続します。自動的に接続しない場合は以前接続した機器リストに「HA-FX550T」が表示されていますのでそれを選択する。
  • メディアデバイスが「HA-FX550T」を表示していれば接続完了です。

androidスマホの画面右上のBluetoothマークが表示されれば完了。

後述(1.5.項)しますが、LDAC接続するには最初にアプリ側でLDAC接続を「ON」にする必要があります(初期設定は「off」)。また、必要に応じ最初に開発者向けオプションでBluetoothオーディオコーデック、LDACを選択後、接続品質を選択してください。

 

※接続成功した画面

f:id:miineco106:20240727154135p:image

 

また、androidの場合Fast Pairに対応していますので、スマホBluetoothをONにした状態で電源が入っているHA-FX550Tイヤホンをケースから最初に取り出した際に以下の画面の様に勝手に検索して接続してくれます(実際に機能してびっくりしました)。

 

※Fast Pairが機能している画面

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※アプリで設定後にLDACでペアリング成功している画面

f:id:miineco106:20240727154002p:image

 

※最初の接続時はワイヤレス再生品質が「自動」になっているので「音質優先」に変更する(上の画面のポップアップをタップ)
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※開発者向けオプションのBluetoothオーディオコーデックがLDACになっていることを確認

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基本的に一度ペアリングすると接続機器リストに表示されますので次回以降はHA-FX550Tイヤホンをケースから取り出す(電源を入れる)と自動的に接続します。

自動的に接続できない場合は前述の以前接続した機器リストから選択してください。

上手くいかない場合、一度androidスマホからHA-FX550Tの接続の登録を削除して最初から実施しなおしてみてください。

 

次にアプリとの連携です。

ここでもandroidスマホを例に操作方法を説明します。

 

1.5. Victor Headphonesアプリとの連携

Google play Storeから「Victor Headphones」アプリをスマホにダウンロードしインストールします。

次にHA-FX550Tを1.4.項の通りスマホと接続後、アプリを起動しアプリのメッセージに従い設定すれば完了です。

以下、アプリVer.2.0.0で検証しています。

 

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※アプリ起動時のモデルの選択画面

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※アプリのホーム画面。イヤホンの電池残量と接続コーデックが確認でき、ボリューム設定メニューがある
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ホーム画面を下にスクロールすると他のメニューが確認できます。

 

※NC/外音取り込みの設定メニュー(上側)と設定メニュー(下側)がある

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※設定メニュー(上側)と音質メニュー(下側)がある
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設定メニューの一番下の項でLDAC接続を有効にします。有効にする場合は「音質優先」を選択してください。接続優先の場合、AACスマホによってSBC)で接続されます。

 

※音質メニュー(上側)とタッチキー設定メニュー(下側)がある
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音質メニューではHA-FX550Tの特徴であるサウンドモード「FLAT」「BASS」「CLEAR」3種とプロエンジニアによる5種の音質設定プリセットを選択できます。

 

※タッチキー設定メニュー(中段)とその他設定メニュー(下側)がある
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なお、設定メニューで音質優先を選択した場合、以下の画面の様にイヤホンが再起動します。

 

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※上記画面で「はい」を選択すると接続が切れます

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※再度イヤホンの接続を確立し、アプリホーム画面に入ります
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先ほどの「AAC」から「LDAC」が選択されています。


※設定メニューを確認します
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設定メニューの「有線モード」項が「音質優先」に変わっています。

 

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全体的にアプリは使い易く、直感的に操作できるUIです。現在の設定内容の確認や接続コーデックを確認できますし、何よりも操作系のカスタマイズが可能となっているのは便利です。唯一気になったのはマルチポイント機能をオン/オフできない事。他社製品でそうであったようにこれで接続品質に影響が出ているような気がします。これはイヤホン本体のファームアップデートで対応して欲しいです。

 

1.6. イヤホン本体の操作方法

Xperia 5 IIとペアリング済で検証

 

【再生に係わる操作】

  • androidスマホでミュージックアプリを起動し聴きたい曲を選択し再生する。
  • イヤホン左側の何方かを1回タッチで再生停止。もう一度1回タッチすれば再生します。基本的に1回タッチ毎に再生/停止を繰り返します。
  • 再生停止中にイヤホン右側を素早く2回タッチすると次の曲へ進みます。
  • 再生停止中にイヤホン右側を素早く3回タッチすると前の曲に戻ります。
  • 再生中にイヤホン右側を素早く2回タッチすると次の曲へ進みます。
  • 再生中にイヤホン右側を素早く3回タッチすると曲の頭に戻ります。
  • 再生中/停止中にイヤホン左側を素早く3回タッチで音量アップ。
  • 再生中/停止中にイヤホン左側を素早く2回タッチで音量ダウン。
  • 再生中/停止中にイヤホン左側を2回タッチし3回目タッチを長押しで連続音量アップ。
  • 再生中/停止中にイヤホン左側を1回タッチし2回目タッチを長押しで連続音量ダウン。
  • 再生中/停止中にイヤホン右側を1回タッチでヒアスルー機能のオン/オフ(音楽再生中にオンにした時は再生している曲の音量が自動的に下がります)
  • 再生中/停止中にイヤホン右側を1回1秒程度タッチでノイズキャンセリング機能のオン/オフ(1秒押すとビープ音「ピピ」が鳴りそこで離す。するとオンオフのメッセージが流れます)
  • 再生中/停止中にイヤホン右側を素早く4回タッチで優先モード(接続優先/音質優先)を切換え
  • 再生中/停止中にイヤホン左側を1回1秒程度タッチでサウンドモードを切換え変更(1秒押すとビープ音「ピピ」が鳴りそこで離す。すると切換えるモード名のメッセージが流れます)
  • 再生中/停止中にイヤホン左側を素早く5回タッチで低遅延モードオンオフを切換え

【通話に係わる操作】

  • 着信中にイヤホン左側を1回タッチで通話開始。
  • 通話中にイヤホン左側の1秒長タッチするとビープ音が鳴るのでそこで離すと通話終了。
  • 着信中にイヤホン左側を1秒長タッチするとビープ音が鳴るのでそこで離すと着信拒否。
  • 通話中にイヤホン左側を素早く1回タッチすると通話ミュート(こちら側の声が相手に聞こえません)。ミュート中に素早く1回タッチで解除。
 

プレイヤーをandroidスマホとした場合の音楽再生や通話にかかわる主な操作方法を抜粋し検証した方法をまとめてみました。基本的に他のandroid搭載DAPでも音楽再生操作方法は同じです(接続する機種によって一部機能が対応していない場合があります)。

最近のTWSは音楽再生等の機能操作を全てコントロールできますし、ハイクラTWSでは当たり前の機能です。数年前までの安価なTWSでは音量調整ができない、曲送り、曲戻しができない等の操作機能制限があったり、タッチ操作の感度(反応)が悪いなんて機種もありましたが、HA-FX550Tはその点に不満はありません。

タッチ感度は良く反応も良好なので初めてTWSを使う方にも安心です。注意点としては各社のTWSの操作方法が異なり統一されていないので、他にも所有している場合にHA-FX550Tはイヤホン左右に割り当てられた機能、タッチ回数が比較的分かり易くなっていますが、スマホに取説の操作方法を画像で持っておくか、Web取説をブックマークにしておくことをお勧めします。

 

まとめるとHA-FX550Tは同社HA-FW1000Tよりも機能が向上しており、他社のハイクラスモデルに肩を並べたと云えます。

そしてあたりまえかもしれませんが、HA-FX550Tの接続は簡単でスムース。イヤホン本体ですべての音楽再生機能操作も行え、本体タッチ操作はシンプルです。アプリも直感的に操作ができるUIは実用的。そして、何よりもHA-FX550Tはコンパクト。ポケットに入れて持ち運ぶのに便利。音質も十分高音質で外音をシャットダウンするANCも実用的。気になるのはLDACの接続品質くらいです。

 

最後にイヤホンのリセット方法も説明しておきます。

何故にリセット?と思われるかもしれませんが、実はよく検索されている「ワード」だったりします。

 

1.7. イヤホンのリセット方法

音が出ない、接続できないときは、初期化することで改善する場合があります。

ペアリングした機器情報はすべて削除(初期化)されます。最初からペアリングをやり直してください。

  • 最初に、相手機器側のBLUETOOTH設定から、本機の登録情報をいったん削除してください。
  • あらかじめ充電ケースを充電しておいてください。
  • イヤホンが充電ケースに入っている場合は、いったん取り出してください。

以下の手順にしたがって、LとR両方のイヤホンを初期化してください。

【左側イヤホン】

  1. Lのイヤホンを充電ケースに入れます。
  2. 数秒経つと、イヤホンと充電ケースのインジケーターが点灯します。
  3. Lのイヤホンのインジケータ―が点灯しているときに、Lのタッチセンサー部に約10秒間触れ続けてください。
  4. Lのインジケーターが速い点滅になったら、指を離します。
  5. 点滅しない場合は、手順1からやり直してください。
  6. 点滅中に、タッチセンサー部を2回タップすると、初期化されます。
  7. 点滅は5秒間で止まるので、点滅中に2回タップしてください。
  8. 初期化されると、Lのインジケーターが2回点滅します。
  9. 初期化されない場合は、手順1からやり直してください。

【右側イヤホン】

  1. Rのイヤホンを充電ケースに入れます。

  2. 数秒経つと、イヤホンと充電ケースのインジケーターが点灯します。

  3.  

    Rのイヤホンのインジケータ―が点灯しているときに、Rのタッチセンサー部に約10秒間触れ続けてください。

  4. Rのインジケーターが速い点滅になったら、指を離します。

  5. 点滅しない場合は、左側イヤホンの手順1からやり直してください。
  6. 点滅中に、タッチセンサー部を2回タップすると、初期化されます。
  7. 点滅は5秒間で止まるので、点滅中に2回タップしてください。
  8. 初期化されると、Rのインジケーターが2回点滅します。
  9. 初期化されない場合は、左側イヤホンの手順1からやり直してください。

【左側と右側イヤホンの接続】

  1. L(左側)とR(右側)両方のイヤホンを取り出し、隣りあうように並べてください。

  2. 取り出すときに、タッチセンサー部に触れないよう注意してください。

  3. イヤホンを取り出すと、LとRのインジケーターが点滅し、電源が入ります。

  4. LとRが接続されると、片方のインジケーターが2回点滅をゆっくり繰り返します。

  5. しばらくすると、もう片方のインジケーターが速く点滅を繰り返し、「ペアリングモードです」と聞こえます。

  6. 以上で初期化が終了します。

  7. ペアリングした機器情報はすべて削除されているので、相手機器とペアリング(機器登録)してください。

 

動作がおかしいなと思ったらスマホから登録を削除してイヤホン本体をリセットを先ずお試しください。

因みに、これは技術者目線の余談です。HA-FX550Tに限りませんが、初期化と同様に大切なのはTWSのバッテリー残量をあらかじめandroidスマホ画面で確認しておくことです。

  • TWSの充電が少なくなった際に直ぐに充電をする。
  • 充電が20%以下にならないように管理する。
  • 過放電は絶対にダメ!

これは過放電はバッテリー劣化を早め寿命を短くしてしまうからです。特にTWSに搭載されるバッテリーは容量が小さく、愛機は長く大切に使いたいものです。

 

 

2. Victor HA-FX550T の実機について 

それでは、HA-FX550Tの実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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化粧箱の表面にはイヤホンイラストがあり、VictorブランドとVictor Studioによるチューニングを前面に出した白地ベースの小箱タイプのパッケージです。

 

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外蓋を外すと黒地の内装にイヤホンケースとイヤーピースが収納されたケースが収められています。

イヤホンケースとイヤーピースケースを取り出すと箱の底に取説や充電ケーブルが収納されています。

 

イヤーピースが収納されたケースはサイズの確認もし易いのに無駄のないパッケージングです。当たり前すぎて注目されませんが国内メーカーのパッケージングは本当に無駄が無く優れた技術の一つです。

次に商品パッケージの中身です。

 

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付属品はイヤーピースがS、MS、M、ML、Lの5種1セットでMサイズが本体取付け済み。他にはUSBタイプC-タイプA充電ケーブルです。必要十分の付属品ですね。

注目はJVC、Victorブランドのイヤーピース、スパイラルドットシリーズの新型が付属します。最近のTWSの付属品同様に軸が短く傘の方が長いタイプが付属。所謂TWSタイプですね。

取扱説明書は安心の日本語。個人的に家電さえもWEB取説がスタンダードになっている昨今では漏れなくWEB取説に対応。商品に付属する紙は最低限というところです。

Victorのステッカーも付属します。

 

それでは実際にイヤホンを見てみましょう。

先ずはケースから。


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ビルドクオリティは安心の国内企業です。カラーバリエーションは黒色と白(銀)色の二種類です。

付属品のイヤーピースは本体色に合わせて黒には黒イヤピ。白には白イヤピが付属します。黒または白イヤピが欲しい方はPanasonic Storeで購入可能です。

次にイヤホン本体です。


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イヤホン本体はTWSとして比較的小柄となります。他社のTWS同様に耳へはイヤーピースで保持するタイプとなりますので、イヤーピース合わせは重要になります。

シェル本体は樹脂製で軽量に仕上げています。ステムノズルにはフィルターがあり異物の混入による故障を防げます。

先代のEAH-AZ80からシェルの造形が変わりコンチャフィット形状を採用したシェル本体は装着感は良好です。従来のEAH-AZ60ではイヤーピース頼りだった耳への固定はコンチャフィットによりイヤホン本体でもしっかりと耳へ装着し固定できるようになっています。尤もイヤーピースのフィット感も重要です。付属の7サイズで上手く合わない事はないと思いますが、もしも合わない場合は普段使用しているメーカーのもので軸が長いものでなければ問題なくケースに仕舞えると思います。

 

次にイヤーピースです。

 

※左からS、MS、M、ML、L

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付属イヤーピースはスパイラルドットPro(Spiral Dot Pro:EP-FX12)です。同社HA-FW1000Tにも付属するTWSイヤーピースです。

 

※左スパイラルドット++ Mサイズ、右付属スパイラルドットPro Mサイズ
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従来のスパイラルドットとは異なり傘が柔らかく、装着時の圧迫感が抑えられており、長時間の使用時にも耳が痛くなりにくくなっています。もちろん付属のイヤーピースなので音質的には問題を感じませんし、寧ろバランスが良いのですが、あくまでも耳への装着感、フィッティングを重視して選択しても良いと思います。

幸いなことに私はこの付属イヤーピースで耳の奥に栓をするように装着し、上手くフィットできました。個人的に付属品はサイズ感を確かめるだけで使わずに別途イヤホンの付属品Mサイズを購入し使用しています(妙なこだわりです)。

TWSイヤホンではイヤピが最も重要です。上手くフィットできないと装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

それではHA-FX550Tと同社HA-FW1000Tとの比較をしてみます。

先ずはケースから。

 

※左からVictor HA-FX550T、同社HA-FW1000T

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ご覧の通りHA-FX550Tのケースは同社HA-FW1000Tの半分の大きさです。HA-FW1000Tのケースが比較的大きめだったとは云え、昨今ではかなりコンパクトな部類です。

 

※左からVictor HA-FX550T、同社HA-FW1000T

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横から見てもHA-FX550Tのケースが小さい事が際立ちます。

 

次にイヤホン本体です。

 

※左からVictor HA-FX550T、同社HA-FW1000T

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イヤホン体もHA-FX550Tがコンパクトであることを一瞬で理解してしまいます。尤も、HA-FW1000Tは当時から大きめという評価でしたので、HA-FX550Tは最新のTWSモデル群ではそれ程小さい部類とは云えません。遜色ないレベルにコンパクトになったと言えるでしょう。

もちろんTWSにとって小さいことは正義です。それは何よりも重量に相関がありますので軽量は装着感にとって圧倒的有利となります。

次に造形の比較ですが、注目すべきはステムノズルです。HA-FW1000Tではやや長く根元が太めでしたが、HA-FX550Tでは先端こそ同形状でやや太めとなりますが、やや短く根元がHA-FW1000Tよりも細め。その為、ステムノズルの太さに影響するイヤーピースの圧迫感はやや感じられる傾向となるものの、付属のイヤーピースの柔らかい傘と相性は良いと云えます。ステムノズルの長さもコンパクトになったHA-FX550Tは軸の長いタイプとも相性が悪くないですが、傘の裾野よりも長いタイプはケースに入らなくなりますので注意が必要です。

また、ステムノズル先端端面にフィルターが装備されていますので、シェル内部への異物混入が防げますので安心です。

 

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3. Victor HA-FX550T の音質について 

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

今回の再生環境はandroidスマホSony Xperia 5 II、Bluetooth コーデック LDAC接続(音質優先)、サウンドモードはFLATです。

 

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実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love平井堅/瞳をとじて倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。
先述の通りイヤピは付属Mサイズを別途購入し使用しています。

箱出しで聴いてみた第一印象は「低音はしっかりと鳴る。高音は繊細に響き、解像感を感じられる整った音。ボーカルは自然で聴きやすい」でした。

一先ず鳴らし込みを兼ねて数週間聴きこみました。鳴らし込み後は、高音域が落ち着き低音域の解像感が増した印象です。低音域の解像感が高い中高音域が繊細な音。全体的にクリアな音で高音低音の出音のバランスが良い音になりました。

 

音場

広くも狭くもない普通の広さ。左右に広さは普通程度ですが奥行きが感じられる。安価なTWSの音圧のある元気なドンシャリとは異なり、バランスの整った音が丸い空間の中に音が響きます。

 

高音域

煌びやかさや華やかさは自然な強さで鳴ります。強く鳴る音だけでなく線の細い音もしっかりと感じられる鳴り方は繊細に響く解像感の高い音。中低音に埋もれる事はありませんが、シャリシャリするような強さではありませんので控えめに感じるかもしれません。もちろん尖りや刺さりは感じません。

 

中音域

凹みをやや感じますが、前後左右に偏りがない空間は見通しが良くクリアです。前後奥行きの感じられる空間に近い音と遠い音が共存し違和感を感じません。高音よりも華やかさを感じられますが、音がごちゃつかず整理されており分離が良い印象です。

ボーカルは暖かさを感じられ艶やかさもあり自然な位置からクリアに聴こえます。

 

低音域

低音はしっかりと鳴ります。ただ大きな音が鳴るのではなく芯の強さのある音は量感は適度で広がりと響きが感じられます。音の輪郭と強弱を感じられる解像感の高い音。音圧で誤魔化した安価なTWSの低音とは違う質の高い音。ベースラインも追いやすく見失うことはありません。重低音の沈み込みは深さがあり、芯の強さのある音。

 

出音のバランス

一言で云えばやや中低音寄りの弱ドンシャリの出音のバランス。高音寄りや低音寄りという様な極端なチューニングではありません。

 

HA-FX550Tの高音域は自然な強さで鳴るため誇張された高音とは違いそれと比較すると大人しめの印象を受けると思います。線は細く小さく鳴っている音でもかき消されずに繊細に鳴らしてくれる高音域はしつこさも嫌な音でもなく、心地良さのある高音域と云えます。

中音域はボーカルを邪魔しない音。高音域よりも華やかさはありますが、弁えて鳴る中音域はその空間の中で違和感の無い自然な位置から聴かせてくれます。ボーカルはクリアではっきりと聴こえますし、しっとりとした声色もかすれずに聴かせてくれます。

低音域はHA-FX550Tの特徴の一つだと思います。解像感の高さと質感の高さを感じる音はTWSではなかなかの聴き応えだと思います。もちろんHA-FX550Tは低音だけでなくしっかりとした低音が中高音域を支えていて音楽を楽しく聴く事ができるのだと思います。

次に他機種と比較です。先ず同社のHA-FW1000Tも中低音寄りでしたが、高音域はHA-FX550Tの方が少し大人しい印象です。HA-FW1000Tはもう少し瑞々しさのある鳴り方。どちらもシャリつきは抑えられていますが、HA-FX550Tの方は線が細い印象です。EAH-AZ80と比べるとこちらは爽やかな音であり爽快感のあるしっかりとした音。誇張した高音ではなく適度な煌びやかさがそれらよりも華やかさを感じさせてくれます。

中音域はTWSとしては空間に違和感を感じ難く、華やかさのある音。音の輪郭や強弱を感じられる分離の良い音は演奏とボーカルが重なり音がごちゃつく事が無く整理されています。ボーカルはクリアにはっきりと明朗に聴こえます。

低音は量感は適度で広がりもありますが、芯のある強さのある音。音の強弱や輪郭が掴みやすく解像感の高さを感じる質の高い低音。

HA-FX550Tの傾向としてはEAH-AZ80よりもWF-1000XM5の方に近い印象です。そのためEAH-AZ80の音はHA-FW1000Tの方が近くなりますが、同じ傾向とも言い難く、難しいですね。中高音重視ならばEAH-AZ80。高音の瑞々しさと低音の柔らかい音のHA-FW1000T。HA-FX550Tの優等生的な音は繰り返しになりますがWF-1000XM5とベクトルが同じなのかなと個人的な印象です。

 

※宜しければ過去の記事もご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

miineco106.hatenadiary.jp

 

miineco106.hatenadiary.jp

 

TWSに限ったことではありませんがHA-FX550Tを聴いてみるとやはり音楽は低音域は疎かにしてはいけないなと考えさせられます。質の高い低音域が中高音域をしっかりと支えることで音全体を見渡すことができ、その空間を想像し音を掴みやすくしてくれます。ただ強く量感たっぷりに鳴らすのが質が悪いとは云いませんが、その様な低音域は高音域に曇りを感じたり中音域に籠りを感じたりする原因になりやすいため、結果として高音域も強めに鳴らすドンシャリの出音となります。低価格帯の中華有線イヤホンでよくあるやつです。HA-FX550Tでは低音域は解像感が高く適度な出音は高音域や中音域を必要以上に強く鳴らす必要はなく、解像感や質感に振ることができるので音楽を楽しめます。

尤もこれはLDAC接続の場合です。iPhoneではやはりコーデックによる差は明らかです。AAC接続では上がカットされ線も細く上までの伸びはなく中音は真ん中に集まり低音強めの味付け。音も平面的に聴こえます。HA-FX550Tの魅力を十分楽しむには現状androidスマホでLDAC接続が必要と云えます。

 

 

4. Victor HA-FX550T の総評 

Victor HA-FX550Tはメーカーの同社史上最高音質という煽りの通り、HA-FW1000Tよりも万能感のある音質傾向と機能面を向上させた新しい旗艦モデルと云えそうです。ノイズキャンセリングもHA-FW1000Tよりも効きが強くなり実用性能が上がりました。一方で音質はWoodシリーズとしてのHA-FW1000Tの方が一定のファンが付く感じ。万能感のあるモデルとなったHA-FX550Tは一つも持っていない方には選択肢に入りますが、既にいろいろ持っていて楽しんでいる方には買替の対象になるかは難しいのではという印象です。とはいえ音楽を楽しく聴く、スマホで音楽や動画を楽しむならばガジェット性能が高く商品性が高いHA-FX550Tはニーズに応えられる商品と云えます。

 

最後に、今回は高価格帯30,000円を僅かに切る29,700円の高音質&高機能TWSイヤホンの紹介となりました。現在(2024年7月28日)は約27,000円でamazonやイヤホン専門店等、有名家電量販店通販サイトなどでも販売しています。TWSイヤホンの音質に妥協したくないし、ガジェット性能も妥協したくない方は安心確実なイヤホン専門店での視聴をしてみてから検討ください。

 

HA-FX550T

以下、イヤピ付属 Mサイズandroidスマホ、LDAC音質優先
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★★ 
音場★★★★
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★ (LDAC環境の無い方★4)

※☆0.51.0

 

EAH-AZ80

以下、イヤピ付属 Mサイズ(別売り白)androidスマホ、LDAC音質優先
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★★ 
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★ (LDAC環境の無い方★4)

※☆0.51.0

 

FW1000T

以下、イヤピ付属 Mサイズandroidスマホ、aptX Adaptive24/96音質優先
高音★★★★☆ 
中音★★★★★  
低音★★★★★ 
音場★★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★ (aptX Adaptive24/96環境の無い方★4)

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回はTWSイヤホンのハイクラスモデルのレビューをしてみました。TWSイヤホンは手軽に良い音が聴く事ができるので最近はこれで良いよねってなることが増えました。今回の商品は音質も良くガジェット性能も高い品質に間違いのない国内メーカーの中では比較的安価なものの高価です。折角購入するのだから良いものを買いたいですし、各メーカーのハイクラスモデルが一番間違いないし売れるというのも分かります。でも前提はandroidスマホを持っている方。リンゴのマークのPro2よりは1万円以上安価なのですが、やはりiPhoneユーザーならそっちの方が間違いないと思います。

今後も気になる商品があればチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。

みぃねこ

 

Kefine Delci レビュー

こんにちは。

今回はいつもの中華イヤホンレビュー編として、中価格A10000-U20000帯で発売された1DD、シングルダイナミックドライバモデルKefine Delciについてレビューをまとめたいと思います。

 

国内amazonで取り扱いがあります。Linsoulが国内代理店となります。

 

AliExpressのKefine公式ストアでも取扱があります。

https://ja.aliexpress.com/item/1005006681430613.html?spm=a2g0o.tm1000009871.0.0.10d06f3dFGlsbA&mp=1&gatewayAdapt=glo2jpn

 

HiFiGoサイトはコチラ

KEFINE Delci 10mm DLC+PU Diaphragm Dynamic Driver IEMshifigo.com

 

 

 

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1. Kefine Delci について 

Kefineは2023年に設立された新しい中華オーディオメーカーです。Kefineは昨年Klanarを発売し平面磁気駆動ドライバ(Planar Driver)を1基搭載した1PDモデルとして、中華価格A10000-U20000帯の中でも正統派の音質という評価でした。

そのKefineから弟分としてのラインナップが追加されました。それがDelciです。Delciは1DD、シングルダイナミックドライバ搭載のシンプルなモデルとなりますが、Kefineの音作りはKlanarで実証されており、期待値の高い製品と云えます。

 

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さて、Kefine Delciのスペックですが、先述の通り1DD、シングルダイナミックドライバモデルです。

 

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新開発の高性能10mm径ダイナミックドライバーユニットを搭載し、DLC とPUの複合材のダイヤフラムを採用。DLC+PU複合材ダイヤフラムはDLCの外周にPU素材を用いる事でサスペンション構造とし、ドライバにはデュアルキャビティ構造を採用しています。この新型ドライバユニットはダイヤフラムのDLCにより歪みが少なく、ディテールがクリアな高解像度と、ダイヤフラム外周のPUサスペンションという複合素材のメリットにより、力強い低音とバランスの取れたサウンドを実現しています。

 

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Delciのシェル本体は高精度のCNC機械加工機を使用して製作しています。シェルの素材には高品質の航空グレードのアルミニウム合金素材を採用。表面には薄く梨地処理を施したメタリックカラー仕上げのハウジングはガンメタルカラーで高級精密機器の様な趣を醸し出しています。

 

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最後に付属ケーブルです。高品質の純正ケーブルは被覆を黒色と茶色の2色の線材を採用し、その線材は2芯が各54本、2芯が各28本の異なる銅線を計164本で構成しています。これはDLC+PUダイナミックドライバーユニットの組み合わせを最適なサウンドバランスが得られるように複数のケーブルを試し選定したものです。

一芯が太めの1mm径線材は程良い堅さがありながらもしなやかで取り回しの良いケーブルとなっています。中華イヤホンメーカーでは付属ケーブルはリケーブル前提で質を落としコストカットしている場合がありますが、Delciではそんな心配はありません。もしも、バランス接続を試したい方はKlanar用の4.4mmプラグバランスケーブル を別途用意するのも良い選択かもしれません。

 

※宜しければ以前のレビューもご参考ください

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Kefine Delciの納期としては現在(2024/6/15)国内amazonで取扱があり、Prime扱いのため当日発送、翌日配達と安心です。AliExpressでオーダーした場合でも現在はかなり安定しており、10日も掛からずに届くと思います。以前よりも早くなった印象です(※現在はサマーセールの配送混雑の影響がありますので、ご注意ください)。尤も万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressや海外サイトでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かるのが気になるところでしたが、最近は円安の影響で国内amazonとの価格差が殆どなく、そのメリットは殆ど感じません。

まあ海外ネットショッピングで心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. Kefine Delci 実機レビュー 

それでは、早速実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングは黒を基調としたスリーブタイプの中サイズの箱です。表面にはイヤホンイラストがプリントされメーカー名とイヤホン名の記載があります。

 

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スリーブを外すと黒を基調とした内箱がありメーカー名のみというシンプルさ。

内箱の蓋を開けると黒地の内装にイヤホン等が収納されています。

 

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箱の下側に付属品が収納されたイヤホンケースが収められています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースタイプのS、M、Lの2種が2セットとイヤホンに取り付けられていたMサイズのイヤピが1組。これは2種の内、1種と同一のもの。他にはイヤホンケースです。中価格A10000-U20000帯としてはやや物足りないものの必要なものが揃った付属品となります。

 

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Kefineの文字が入ったイヤホンケースはハードタイプでイヤホンをしっかりと保護してくれます。

 

次に本体を見ていきます。

 

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Klanar同様にシェルの造形は角に丸みを帯びたオーソドックスなIEM風のもの。シェルは一般的な大きさですが、厚みが無く平らなデザインです。シェルが厚くないため耳へ収まる部分が薄くなっており耳から出っ張ることも無く収まるので装着感も良好です。アルミニウム合金にガンメタリックカラーのアルマイト処理は、面粗度の低い梨地処理の金属製シェルは機能美を感じさせる質実剛健の見た目です。またKlanarも同じですが金属製でありながら重量感が少なく耳への装着時はその装着感の良さから重さをそれ程感じません。

フェイスプレートはシンプルで中央部にメーカー名がワンポイントにあるだけの質実剛健といった出で立ち。派手な見た目よりもシンプルなデザインを好まれる方には好印象となりそうです。

肝心のビルドクオリティは、中華イヤホンの中価格帯として綺麗に仕上っており、シェルの合わせ面も綺麗です。また、ステムノズル部には金属フィルタがあります。音質に影響があるタイプではなさそうですが、異物の混入等による故障を防いでくれます。そして、シェル本体の形状と付属ケーブルからはシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、装着感はステムノズルの長さや太さに影響がありますので、イヤーピースのフィッティングは重要となります。

カラーバリエーションはガンメタリックカラーのみ。

 

続いてケーブルです。

 

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付属ケーブルは先述の通り高品質4芯編込み線。Klanarの付属ケーブルとは違う仕様のタイプで1芯の線材が異なる2種のOFC線を組み合わせたミックスタイプです。シェルのカラーのガンメタリックに付属ケーブルの被覆カラーが黒と茶色のミックスと落ち着いた色合いがマッチしています。プレイヤー側コネクタはI字タイプ。イヤホン側はフラット2ピン仕様。極性は上側がプラスです。スプリッター部とプラグ部にメーカー名があります。イヤホン側コネクタがKlanar付属ケーブルと種類が違いますので見分けがつきやすいです。

この付属ケーブルは一芯あたり1mmと太くやや堅さを感じますが、思ったよりもしなやかで取り回しに苦労することはありません。また、タッチノイズを感じにくく、肝心の耳への装着性や使用感は悪くありません。イヤホン側にはシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的に取り回しは良く使い勝手も悪くありません。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

最後にイヤーピースを見てみます。


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付属のシリコンイヤーピースは黒色のやや背が低く傘が幅広の口径大き目の形状と一般的な黒色の裾野が弾丸タイプの二種です。イヤホンに装着済みのイヤーピースは黒色弾丸形状タイプ Mサイズです。Klanarに付属するものと同一です。このタイプのイヤーピースは他社製含むサードパーティー商品との互換性の高い一般的なステムノズル形状の際に選択肢が増えますので安心です。

付属弾丸タイプは音質的にはダイレクトに音を届けてくれ、やや低音がしっかりとするタイプの印象です。傘幅広口径大タイプは中高音をクリアにして僅かに低音を弱めてタイトにさせ全体のバランスをやや腰高にしてくれる印象ですが、傘にコシが無くペラペラのため私はフィット感がイマイチ。傘幅広口径大タイプはいつもよりワンサイズ大き目で耳に浅めに蓋をする装着に。弾丸タイプは耳奥やや浅めに栓をするように耳へ密着させることで私はフィットしました。付属イヤピで装着感に問題ない場合を除き、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。

幸い付属弾丸タイプのイヤーピースで私はフィッティングが上手くいきました。音質的にもメーカーの意図するタイプという印象で、そのまま初期装着の付属弾丸タイプMサイズを使用しています。

低、中価格帯に付属するイヤーピースは装着感が悪く、音質的にも実力を発揮できないと感じますが、今回は付属のシリコンイヤピで上手くフィットできました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. Kefine Delci 音質レビュー

いよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今年4月から再生環境を更新しました。スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行うことは変わりませんが、USB-DACにはFiiO KA17を用います。これまではUSB-DACにShanling UP5を組み合わせていましたが、それを刷新します。スマホは変わらずSony Xperia 5 IIを用います。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。FiiO  KA17は同社のドングルタイプ最新USB-DACです。

KA17の音質傾向ですが、THXアンプを採用し中高音はくっきりはっきりと音像を描く解像感は高く、中低音は暖かみがある。これまでの同社のTHXアンプを搭載した機種とは異なる印象の個人的に好きな鳴り方です。

KiiO KA17のUSB-DACとして使用した音質が気になる方は以前の「FiiO KA17 レビュー」をご覧ください。

 

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以前使用していたUSB-DACとしてShanling UP5もご参考ください。

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属黒傘弾丸タイプイヤーピース Mサイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「中低音に厚みがある音。高音は華やかさがあり低音はしっかりと鳴るやや中低音寄りのドンシャリバランス」です。

箱出しでは低音が膨らみボワつきを感じましたが、鳴らし込み後は低音は落ち着き、高音とのバランスが取れた音という印象です。

 

音場

普通からやや広め印象。前後は奥行を感じ、左右の広さを感じられます。奥行きを感じられる立体的な空間を感じます。

 

高音域

華やかさは適度の印象。煌びやかさも適度で上までの伸びやかさはそれ程感じられませんが、響きや余韻は感じられます。やや暗めの印象ですが存在感のある華やかさ。明るい騒がしさを感じるような感じではありませんが必要な量を必要なだけ鳴らします。そのため不快な刺さりや尖りは感じません。解像感は適度ですが音像を捉えやすいシャープな印象。

 

中音域

厚みのある華やかな音は、真ん中に音が集まる団子感や音が重なるゴチャつきは感じません。音の分離も好印象で整理された鳴り方は音の薄さ、線の細さはありません。解像感の良さを感じられ明朗に鳴らします。ボーカルはクリアでやや近い位置から自然で暖かみのある声色の印象です。

 

低音域

量感は十分で響きや広がりも感じられますが、大きく強く鳴らし音圧で誤魔化すような鳴らし方ではありません。音階や強弱といった低音域の解像感の良さを感じさせベースラインは追いやすく感じられますが、ボーカルよりも前に出るような不自然さはありません。重低音は沈み込みの深さはそれ程感じませんが、力強さがありますので不足を感じません。

 

出音のバランス

一言で云えばやや中低音寄りの弱ドンシャリ。中高音域はやや暗く感じますが適度な余韻があり不足はありません。低音は十分な量感があり、力強さがあり不足は感じません。中低音に厚みのある聴き易い出音のバランスです。

 

高音はやや暗めの印象ですが華やかさは感じられます。上までの伸びやかさはそれ程感じませんが、響きや余韻が感じられ適度な華やかさは不足を感じません。一方で高音域は誇張の抑えた適度な響きであり、暗めの音という印象を持ちます。無駄な強調感のない高音域は不自然さを感じない自然で耳馴染みの良い音。

中音はやや凹みを感じます。中音域の下の方に厚みのある鳴り方は音の重なりを抑えられていて分離も良く解像感の良さを感じます。

ボーカルは近い位置にあります。演奏はボーカルよりも後ろに位置しボーカルが音にも埋もれることはありません。声色は暖かく自然で息遣いを感じられ艶も感じられます。そのため女性ボーカルのバラードなどでしっとりとした艶のある声を楽しめます。

低音の量感は十分で響きや広がりも感じられます。余韻のある力強さのある音は音階や強弱の描写も感じ易く、解像感の良い厚みのある音は雰囲気の良さを感じられます。

重低音は沈み込みはそれほど深くありませんが、強さを感じられる音。低価格帯でよくある強く大きく鳴らす音とは違い、下からの広がりを感じられる音です。

 

他機種との比較として同社のKlanarと比較した場合、一言で云えば中低高音寄りの同じ傾向の音。Klanarも中低音が厚い濃い音でしたが、Delciでも同じ。KlanarとDelciは音楽を楽しく聴かせてくれる音です。少なくてもモニターサウンドの様に音を分析的に聴くのではなくリスニングサウンドです。

傾向は同じとはいえ流石にKlanarの方が中高音域の解像感は高くなります。一方でDelciの方が低音域にやや力強さがありますが、解像感ではKlanarの方に分があるのは仕方がありません。流石に価格が異なりますので。

 

※過去レビューも参考ください

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まとめるとKefine Delciは音楽性の高い心地良いサウンドを聴かせてくれます。中低音域寄りの弱ドンシャリは高音域は比較的やや暗めとなりますが、中低音域の厚い音は音楽的であり万人が受け入れやすい音です。それは同価格帯でも高音質と云えると思いますし個人的に好きな音です。

一方で従来のような中華イヤホンの強ドンシャリの音が好きな方や中高音重視、低音は邪魔という方には評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   Plutus Beats ≧ 4U ≧ Delci (質感の順)

中音   Plutus Beats ≧ 4U ≧ Delci (質感の順)

低音   Plutus Beats ≧ Delci ≧ 4U (質感の順)

ボーカル 4U ≧ Delci ≧ Plutus Beats (質感の順)

 

 

4. Kefine Delci の総評

Kefine DelciはKefineのエントリーモデルとなりますが、メーカーの狙う音質を踏襲しており、Klanarで受けたインパクトをDelciでも感じられました。DelciはKlanarの弟分として満足のいく音楽を楽しめる高音質イヤホンと評価できます。同価格帯でもこの音質傾向が好きな方に聴いてほしい、数多ある中華イヤホンA10000帯に埋もれるには勿体ない製品と云えます。

 

最後に、今回は中価格A10000-U20000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2024年6月15日)は国内amazonやAliExpress等で約11,000円で発売されており、価格差が殆どありません。それ故に昨今の円安からは国内amazon(※1)での購入が安心感があってお勧めです。AliExpressでは本国発送は勿論のこと、納期が掛かりますし、万が一の際には少々難があります。それでも、中華イヤホンの中でもその音質を含めクオリティの高さは十分満足できる内容となっておりますので、中華イヤホンでちょっとよいものを検討中の方や間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実な国内正規品取り扱いを待って。少しでも新製品を早く安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

※1:2024/6/15時点で国内amazonで20%オフクーポン有

 

Delci

以下、付属ケーブル、付属砲弾タイプイヤピ MDAC KA17
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★★ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

4U

以下、付属ケーブル、付属標準傘イヤピ MDAC KA17
高音★★★★☆ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★ (4種の音質変化)  

※☆0.51.0 

 

Plutus Beats

以下、付属ケーブル、付属赤軸イヤピ M使用、DAC KA17
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★★ 
音場★★★★☆
分離★★★★★
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回は中華イヤホンの中価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後は低価格だけではなく、中価格の中華イヤホンも扱っていきます。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

 

Celest Wyvern Abyss(新名Black) レビュー

こんにちは。

今回はいつもの中華イヤホンレビュー編として、低価格U5000帯で登場した1DD、シングルダイナミックドライバモデルのCelest Wyvern Abyssについてレビューをまとめたいと思います。

 

国内amazonのHiFiGoで取扱があります。

 

AliExpressでも取扱があります。

https://ja.aliexpress.com/item/1005007052245710.html?spm=a2g0o.home.0.0.14025c720mTUVz&mp=1&gatewayAdapt=glo2jpn

 

HiFiGoのサイトはコチラ

Kinera Celest Wyvern Abyss 10mm LCP Dynamic Driver In-Ear Earphoneshifigo.com

 

 

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1. Celest Wyvern Abyss について 

CelestはKineraのサブブランドとして、中華イヤホン界に新風を吹き込んでいる注目のブランドです。そのCelestは各製品を物語に見立てたコンセプトを持ち、中国神話から製品のデザインとチューニングのテーマにするという「商品性」を大事にしているブランドです。

そして、今回Celestの製品説明として以下の通り。

 

Celest Wyvern Abyssは、中国神話の創造神であるワイバーンからインスピレーションを得て設計された、まったく新しいシングルダイナミックドライバーIEMです。商品デザインバックボーンとして、地球の創造主ワイバーンは不死鳥と麒麟を生み出したことを礎にしています。3Dプリントされた樹脂キャビティは、ワイバーン アビスの竜の翼を模した情熱的な外観はCelest史上類を見ない美的外観を備えています。音質では10mm LCP振動板ダイナミックドライバを搭載し、低歪みと高明瞭さで高品質のサウンドを提供します。

 

上記のCelestの製品説明からはブランド史上のデザイン性の高さと、機能性、音質にも拘った1DD、シングルダイナミックドライバモデル、Wyvern Abyssへの自信を窺えます。

 

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さて、Celest Wyvern Abyssのスペックですが先述の通りシンプルな1DD、シングルダイナミックドライバモデルです。

そのドライバユニットには10mm径のLCP(液晶ポリマー)振動板を採用したダイナミックドライバを搭載しています。薄型・超軽量設計の新型ポリマーダイアフラム素材は伸びが良く、歪みの少ないクリアなサウンドを生み出します。このカスタマイズされた高性能ダイナミックドライバにより、Wyvern Abyssはジャンルを選ばずに明瞭で高解像度のサウンドを実現しています。

実際に聴いてみた感想もその出音のバランスの良さを感じます。

 

※Wyvern Abyss のf特(メーカーHP抜粋)

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以前レビュー同様にメーカー発表のf特を引用します。

2019年のハーマンの目標応答曲線に従ってチューニングされています。バランスの取れた周波数特性を備えたリアルで自然なサウンドは伸びが良く、クリーンで優しいサウンドを聴かせてくれます。

グラフからは高域3-4kHzに最大ピークがあり、高域4k超から9k手前に大きな谷があるものの9kからターゲットカーブを小さく上下しながらトレースしています。音域全体でみるとf特は凹傾向ではありますが、高音と低音域のダイナミックさと中音域の凹みの少ないターゲットカーブに沿っていることがわかります。

 

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3Dプリント成形のシェルには医療グレード樹脂を採用しています。シェルのフェイスプレートは、竜の翼をデザインした美しくも繊細で力強さを感じさせます。Wyvern Abyssのカラーデザイナーは、エレガントでミステリアスなパープルとブルーグリーンのグラデーションカラーを持たせることで特徴的な外観とし、Wyvern Abyssの荘厳な外観デザインとしています。

 

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最後に付属ケーブルです。

高純度の純正ケーブルが付属しています。グレーカラーのPVC被覆を持つ無酸素銅線を4芯撚線としたケーブルは、その線材に1芯あたり0.05mmの高品質OFCワイヤを24本撚り合せたものを採用しています。

 

※以前のレビューもご参考ください

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Celest Wyvern Abyssの納期として今回国内amazonのHiFiGoでオーダー。現在(2024/6/8)は国内amazonやAliExpress、HiFiGoサイト等で販売されています。昨今、HiFiGoやAliExpressで購入した本国発送の場合でも以前の様な感染症の影響で遅延は少なく回復したと云えます。尤も、万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかるのが、海外通販のリスクです。

そんな訳で一般的に海外通販での購入は国内通販で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが偶に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットがありましたが、最近では円安でその恩恵も受け難く、国内では入手できない商品を早く手に入れる事がメリットと云えます。それらを天秤にかけた場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. Celest Wyvern Abyss 実機レビュー 

それでは、実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングは黒色を基調とした小箱。箱の表にはイヤホンイラストと商品名を印刷したスリーブタイプの化粧箱です。

 

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スリーブを外すと内箱の中にイヤホンと付属品が小袋に収納されています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースS、M、Lが1セットとケーブルです。低価格U5000帯として必要最低限の付属品となります。

 

次にイヤホン本体を見ていきます。

 

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Wyvern Abyssのシェルはオール樹脂製です。フェイスプレートは先述の通り竜の翼をイメージした綺麗なもの。イヤホンの造形はカスタムIEM風のデザインで厚みがありながらもそれを感じさせないコンパクトなシェルとなっています。オール樹脂製のステムノズル部の造形と軽量なシェルも相まって装着感は良好です。

ビルドクオリティには問題を感じられず、中華イヤホンで心配されるような雑なところ感じさせません。低価格帯ながらもシェルの合わせ面等のズレや隙間は無く綺麗な仕上りです。

また、ステムノズル部には金属フィルタがあります。音質に影響があるタイプではなさそうですが、異物の混入等による故障を防いでくれます。

そして、シェル本体の形状と付属ケーブルからはシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、装着感はステムノズルの長さや太さに影響がありますので、イヤーピースのフィッティングは重要となります。

カラーバリエーションは黒のみです。

 

次にケーブルをみていきます。

 

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付属ケーブルは4芯無酸素銅の撚線のPVC素材グレーカラー被覆です。プレイヤー側コネクタはI字タイプ。イヤホン側はフラット2ピン仕様。極性はKZと同じ上側がプラスです。この付属ケーブルは被覆にPVC素材のためやや引っ掛かりがあります。タッチノイズはあまり感じませんし、肝心の耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。4芯のためや線材は細めでしなやかなものとなり取り回しは良好です。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、私はこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

最後に付属イヤーピースです。

 

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付属イヤーピースはシリコンイヤーピースが1種。Celestでお馴染みの黒傘黒軸の軸短め傘低めの開口部が大きいものが付属。こちらはボーカル等の中音域をくっきりとさせるタイプです。

音質的には好みにもよると思いますが、付属イヤーピースはWyvern Abyssのバランスとマッチするタイプだと個人的に感じます。このイヤーピースを私は耳の奥に浅めに蓋をするように装着しフィットしました。

低価格帯等ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じます。今回は付属のイヤピで上手くフィットし音質的にもバランスが良く感じた為、そのまま使用しました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感はもとより音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えない他社製へ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. Celest Wyvern Abyss 音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今年4月から再生環境を更新しました。スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行うことは変わりませんが、USB-DACにはFiiO KA17を用います。これまではUSB-DACにShanling UP5を組み合わせていましたが、それを刷新します。スマホは変わらずSony Xperia 5 IIを用います。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。FiiO  KA17は同社のドングルタイプ最新USB-DACです。

KA17の音質傾向ですが、THXアンプを採用し中高音はくっきりはっきりと音像を描く解像感は高く、中低音は暖かみがある。これまでの同社のTHXアンプを搭載した機種とは異なる印象の個人的に好きな鳴り方です。

KiiO KA17のUSB-DACとして使用した音質が気になる方は以前の「FiiO KA17 レビュー」をご覧ください。

 

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以前使用していたUSB-DACとしてShanling UP5もご参考ください。

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属 Mサイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「低音にボリューム感があり、高音域はやや控えめに鳴らすものの十分。やや中低音域に厚みの感じる全音域でバランスの良い音」でした。音量は取りやすく好みに応じて普段よりも僅かにボリュームを上げれば問題ありません。

箱だしでは低音域の膨らみを感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音は落ち着いた印象です。

 

音場

狭くも広くもない普通の広さ。前後の奥行と左右の空間に広さを感じられ立体的な印象です。

 

高音域

どちらかと云えば控えめに鳴ります。華やかさは抑え気味です。他の音域よりも抑え気味の印象を受けますが、必要な時に必要なだけ自然に強さで鳴らします。その分耳障りな騒々しさはなく自然で適度な印象です。一方で華やかで煌びやかな高音域を求める方にはもの足りない印象となるかもしれません。超高音域までの伸びはそれほど感じませんが、不快な高音域の刺さりや尖りを感じない整った音は必要十分な存在感があり自然な高音域。音像の描写は明瞭で音の消え際は掴みやすい。解像感は良好ですが、くっきりはっきりした音像を描写とまでではなく、どちらかと云えばエッジを切れ味鋭く縁取りをクッキリとした音と云うよりはシャープに綺麗に鮮明に描く印象。繊細な表現力は線がやや細く感じられますが、音の消えゆく様は鮮明に聴こえますので、爽やかな音という印象です。

 

中音域

空間の広さは普通程度に感じられますが、立体感のある音場は好印象。その空間には高音域とは異なり華やかさがあります。音数の多い曲でも空間に渋滞を感じずに、音の重なりが整理されており分離感は良い印象です。低価格帯の複数ドライバを詰め込んだモデルでは音が重なり中心に集まる団子感や音がゴチャつく事が多いですが、Wyvern Abyssでは1DDの自然な音を楽しめます。ボーカルはクリアでやや近い位置から聴かせてくれ、自然な声色で息遣いや熱っぽさを感じられます。

 

低音域

量感は十分で過度に強調していない音。広がりは程々で余韻もそこそこですが、雰囲気の良い音は聴いていて不足を感じません。芯の強さのある音は適度に広がり余韻を残しますが他の音域を邪魔していません。音の強弱や音階の表現と描写は好印象で解像感の高さを感じます。ベースラインは追いやすく、前に出すぎる事はありませんので邪魔になりません。重低音の沈み込みは深さに不足はなく音の強さもありますので必要十分な音。

 

出音のバランス

一言で云えば自然な音色の中低音寄りの弱ドンシャリ。出音はやや中高音が控えめの印象ですが全音域の出音のバランスは良い。

 

高音はやや控えめの印象を受けますが、寧ろ不快な高音域の尖りを消してくれていますので爽やかに鳴らしてくれます。

中音は華やかで凹みを感じない。縦横の空間を立体的に感じられます。楽器の音はボーカルの周りで横と後ろに離れた位置にあり好印象。中音域の音は整っていて音の描写力は適度にあり分離は良好です。

ボーカルはやや近い位置から聴きやすく、高音や低音の音に埋もれず聴き難くなることはありません。声色は自然で息遣いや熱のこもった歌声などを聴かせてくれる印象です。

低音は十分な量感で芯の強さを感じます。広がりと余韻も楽しめ解像感は良好です。芯の強い音は音楽を心地よく下支えしてくれますので、雰囲気の良い情熱的な曲との相性の良さを感じられます。

重低音は沈み込みはそれほど深さは感じませんが、強さがありますので必要十分。

 

まとめるとWyvern Abyssはシングルダイナミックドライバの自然でなめらかな音を活かした音作りと何処かの音域だけを強調しない全音域の出音のバランスの良い適度なドンシャリはH2019、ハーマンターゲットを目指した音であり間違いのない音質です。安心感のある音質傾向はやや中低音寄りの印象ですが、自然な音色はあくまでも丁度良い出音。低音が音楽を下支えしておりアップテンポな曲でもバラードでも極端な相性の悪さを感じません。結論としてWyvern Abyssは音を分析するためのモニターサウンドとは異なり、音楽を楽しめるリスニングサウンドです。

 

高音   Relentless ≧ PhoenixCall ≧ Wyvern Abyss (質感の順)

中音   Relentless ≧ PhoenixCall ≧ Wyvern Abyss (質感の順)

低音   PhoenixCall ≧ Relentless ≧ Wyvern Abyss (質感の順)

ボーカル Relentless ≧ Wyvern Abyss ≧ PhoenixCall (質感の順)

※価格帯が異なりますので参考として

 

 

4. Celest Wyvern Abyss の総評

Celest Wyvern Abyssはシングルダイナミックドライバの利点を活かし自然でなめらかな音色に分離感と解像感の「丁度良い」を備えたリスニングサウンドが特徴と云えます。そのサウンド全音域の出音をハーマンターゲットバランスとすることで安心安定のドンシャリサウンドは高音質と云えメーカーの謳い文句を裏付ける結果となりました。また、竜の翼をイメージしたFPデザインに加え装着感の良いシェルはWyvern Abyssの商品性が高いと認めざるを得ません。中華イヤホンというカテゴリの中では低価格U5Kで実現しており、お求めやすい価格で見栄えと音楽性を重視したい方にはお勧めのモデルと云えます。

 

最後に、今回は低価格U5000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2024年6月8日)はHiFiGoやAliExpress、国内amazonでも発売開始していますが国内amazonが直ぐ届くのでおススメ。海外通販でもHiFiGoの発送は届くのも早い印象があります。これまでの中華イヤホンの中では手頃な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは十分満足できる内容となっておりますので、低価格帯中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて気になる方は安心確実なamazonを。国内発売前に少しでも早く入手したい、新製品を少しでも早く(安く)手に入れたい方はHiFiGoでの購入も検討してみてくださいね。

 

Wyvern Abyss

以下、付属ケーブル、付属イヤピ MDAC KA17
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★  (U5Kとして)

※☆0.51.0 

 

Relentless

以下、付属ケーブル4.4プラグ、付属赤軸イヤピ MDAC KA17
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★★
分離★★★★★
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

Plutus Beats

以下、付属ケーブル、付属赤軸イヤピ M使用、DAC KA17
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★★ 
音場★★★★☆
分離★★★★★
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回はいつもの中華イヤホンの低価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後も低価格?を中心に、中華据え置き機器や複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

※2024/06/30 商品名変更に伴うタイトル修正

 

 

TANCHJIM 4U レビュー

こんにちは。

今回はいつもの中華イヤホンレビュー編として、中価格A10000-U20000帯で登場した1DD、シングルダイナミックドライバモデルのTANCHJIM 4Uについてレビューをまとめたいと思います。

 

国内amazonのHiFiGoで取扱があります。

 

AliExpressでも取扱があります。

https://ja.aliexpress.com/item/1005006996979397.html?spm=a2g0o.home.0.0.14025c720mTUVz&mp=1&gatewayAdapt=glo2jpn

 

HiFiGoのサイトはコチラ

TANCHJIM 4U DMT-4 Ultra Double-chamber Dynamic Driver In-Ear Monitorshifigo.com

 

 

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1. TANCHJIM 4U について 

TANCHJIMは2015年に設立された中華イヤホンの新興ブランドとして国内イヤホン専門店や家電量販店でも販売されており、AliExpressやamazonでのみ購入できる中華イヤホンとは異なり、日本での正規販売(輸入代理店及び販売店が確立)されており、信頼できるブランドと云えます。そのTANCHJIMはこれまでにPRISM、ORIGIN、Hana、Oxygen等のハイクラスモデルのみならず、エントリーモデルとしてTanya、OLAを発売しています。その間を埋めるミドルモデルとして今回4Uが登場しました。

4UはこれまでのTANCHJIMの製品同様に洗練されたデザインを持ち、TANCHJIMというブランド性を損なうことなく音質にも妥協していない製品と云えます。

そのTANCHJIM 4Uの製品説明として以下の通り。

 

TANCHJIMが独自に開発したDMT4ドライバを搭載。デュアルチャンバーダイナミックドライバーユニットにはダイヤフラムにLCP複合振動板を採用。TANCHJIM 4Uはクリアで鮮明な音色のサウンドを高音質で提供します。また、調整可能な4種のフィルターシステムを搭載しています。ロータリースイッチを任意の位置に設定することで、低音のレスポンスを好みに合わせてカスタマイズできるシンプルなメカニズムを備えています。

  • 新世代DMT4ダイナミックドライバー
    TANCHJIMは、最新のDMT4アーキテクチャのダイナミックドライバーを4Uに搭載しました。DMT4ダイナミックドライバはキャビティ構造を最適化したデュアルキャビティ設計により、サウンドを強化しています。また高品質のLCP複合材ダイヤフラムを採用し、低歪みと高い明瞭さを備え透き通ったサウンドを再現します。
  • キャビティ構造および高性能の合成のダイヤフラム
    4U用に複合材ダイアフラムとキャビティの形状をFEAシミュレーション技術で設計しました。ダイヤフラムは剛性と柔軟性のある構造で、レスポンスに優れ力強い低域を生み出します。
  • 調整可能な4種のフィルターシステム
    TANCHJIMはロータリースイッチによる4種(4方向)の調整可能なフィルターシステムを搭載しました。これはシェルの内側組み込まれたロータリースイッチを4方向に設定するシンプルな機構により、低音レスポンスを調整することで、4種の異なる音質を選択できます。この設定は商品パッケージに含まれている専用工具を用います。
  • 高出力磁気設計
    TANCHJIM 4Uは、強力な磁力を得られるように磁気構造を設計しています。その結果、ドライバの応答性が高く、ダイナミックレンジの広がりによる音の歪みを抑えています。4Uには、コンパクトなシェルにブランドイメージを損なうことなく洗練されたデザインに加え素晴らしいサウンドを詰め込みました。
  • 快適なリスニング体験をこの手に
    TANCHJIMは、最適化されたフロントキャビティ構造で4Uを設計しました。外耳道に圧力がかかることなく快適な装着感が得られるようにシェルの造形を造りました。その結果、ノズル部のフィット感は良く、装着時の快適性が高くなっています。
  • 美しいシェルデザイン
    4UのシェルデザインはGray Rabbitにインスパイアされており、うさぎの柔らかい体を表すような滑らかなシェルの造形とウサギの耳を模したFPデザインは鏡面仕上げになっています。オール金属製のシェルは、亜鉛合金に表面ブラスト処理を施し、表面瑕が目立ち難く快適な手触りとしています。

 

上記からはTANCHJIM 4Uの商品コンセプトはミドルモデルであってもブランドイメージを大切にし、イヤホン本来の音質にもこだわりを感じさせられ、期待値が高まります。

 

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さて、TANCHJIM 4Uのスペックですが先述の通り1DD、シングルダイナミックドライバモデルです。

 

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ステムノズル部には複合素材を採用したフィルタを採用し、音質調整に妥協はありません。

 

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DMT4ダイナミックドライバには複合材LCPを採用。そのダイヤフラムをダブルキャビティ構造で組み合わせた最新のドライバユニットを搭載しました。

 

また、PCBをセットしDMT4ダイナミックドライバのサウンドを調整しています。

 

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そして4Uの最大の特徴として、ロータリースイッチによる4種の音質調整を可能としています。POP、ATMOSPHERE、MONITORING、NATURALの4種の設定が可能となり、主に低音域の出力を調整します。

 

※4U のf特(メーカーHP抜粋)

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以前レビュー同様にメーカー発表のf特を引用します。

グラフからは所謂ハーマン準拠をベースとした低域のピーク調整によって、中高域を見通し良くする意図が窺えます。デフォルトのATMOSPHEREは低音が一番強く、MONITORINGが低音を一番抑えていることになります。

 

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ロータリースイッチは付属の専用工具を用いスイッチを回転させることで設定変更が可能です。

 

最後に付属ケーブルです。4芯銀メッキ銅線を採用し、2芯を透明チューブで被覆した美麗な線材は4Uの洗練されたシェルとのセットにマッチしています。

 

※以前のレビューもご参考ください

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TANCHJIM 4Uの納期として今回国内amazonのHiFiGoでオーダー。prime扱いのため当日発送翌日配達で届きました。現在(2024/6/1)国内amazonやAliExpress、HiFiGoサイト等で販売ページが準備されていますが、今購入するなら断然国内amazonがお得です。AliExpressでもセール開始していますが11K円スタート。国内amazonではprime 10K円台にクーポンが使用可能で9.2k円です。まあ昨今、HiFiGoやAliExpressで購入し本国発送の場合でも以前の様な感染症の影響で遅延は少なく回復したと云えますので待てるのならAliExpressでクーポン駆使して購入でも良いかもしれません。尤も、万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかるのが、海外通販のリスクを忘れてはいけません。

そんな訳で一般的に海外通販での購入は国内通販で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが偶に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットがありましたが、最近では円安でその恩恵も受け難く、国内では入手できない商品を早く手に入れる事がメリットと云えます。それらを天秤にかけた場合に止められない魅力があり、活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. TANCHJIM 4U 実機レビュー 

それでは、実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングは白色を基調としたシンプルなもの。箱の表には商品イラストと商品名を印刷したスリーブタイプの化粧箱です。
箱の裏にはイヤホンスペック等が記載されています。

 

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スリーブを外すと灰色の内箱の上蓋にTAMCHJIMのロゴがあります。

 

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内箱の上蓋を開けると白地の付属品箱があり、それを取り出すと灰色地の台座にイヤホンが収納されています。イヤホン台座を取り外すと箱の底にケーブルが収納されています。

 

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付属品箱には付属品が収納されています。

 

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付属品は2種のシリコンイヤーピースS、M、Lが2セット。ケーブル、イヤホンポーチ、スイッチ工具です。中価格A10000帯として十分な付属品となります。

 

※イヤホンポーチ
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※専用スイッチ工具

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次にイヤホン本体を見ていきます。

 

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4Uのシェルはオール金属製です。フェイスプレートはウサギの耳をモチーフにした鏡面仕上げ。シェルは表面にブラスト処理によって質感が高く、TANCHJIMの洗練されたブランドイメージを踏襲しています。イヤホンの造形はシンプルですが、厚みも抑えられておりコンパクトなシェルとなっています。オール金属製のシェルは多少重量感がありますが良好な装着感によって重さを感じません。

ビルドクオリティには問題を感じられず、中華イヤホンで心配されるような雑なところ感じさせません。低価格帯でよくあるシェルの合わせ面等のズレや隙間は無く中価格帯は流石に綺麗な仕上りです。

また、ステムノズル部には繊維フィルタがあります。音質に影響があるタイプとなりますし、異物の混入等による故障を防いでくれます。

そして、シェル本体の形状と付属ケーブルからはシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、装着感はステムノズルの長さや太さに影響がありますので、イヤーピースのフィッティングは重要となります。

カラーバリエーションは銀色のみです。

 

次にケーブルをみていきます。

 

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付属ケーブルは4芯銀メッキ銅線を2芯づつ透明チューブで被覆し編込まれたクリアカラーケーブルです。プレイヤー側コネクタはI字タイプ。イヤホン側はCIEM2ピン仕様。極性はKZと同じ上側がプラスです。この付属ケーブルは透明被膜内に銀色線材を通しており綺麗なケーブルとなっています。タッチノイズは抑えられており、肝心の耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブに癖付けされています。4芯のため堅さを感じないしなやかなものとなりますが、やや被覆に引っ掛かりがあるものの取り回しは悪くありません。

 

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、私はこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

最後に付属イヤーピースです。

 

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付属イヤーピースは2種。シリコン製のイヤーピースタイプは音質の好みで使い分け可能な2種のタイプが付属しています。低傘タイプは開口部が大きくダイレクトに音を届けてくれる中高音寄りの音。通常弾丸傘タイプは軸も長めで傘も長めの一般的なもの。こちらは低音もしっかりとするバランスタイプです。2種の付属イヤーピースで一つ気になったのは低傘タイプのサイズが通常よりも一回り小さいこと。これは耳奥に装着することを想定している様子です。

音質的には好みにもよると思いますが、通常傘のバランスタイプが個人的にはしっくりきました。このバランスタイプイヤーピースを私は耳の奥に浅めに蓋をするように装着しフィットしました。

低価格帯等ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じます。今回は付属の赤軸イヤピで上手くフィットした為、そのまま使用しました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感はもとより音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えない他社製へ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. TANCHJIM 4U 音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今年4月から再生環境を更新しました。スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行うことは変わりませんが、USB-DACにはFiiO KA17を用います。これまではUSB-DACにShanling UP5を組み合わせていましたが、それを刷新します。スマホは変わらずSony Xperia 5 IIを用います。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。FiiO  KA17は同社のドングルタイプ最新USB-DACです。

KA17の音質傾向ですが、THXアンプを採用し中高音はくっきりはっきりと音像を描く解像感は高く、中低音は暖かみがある。これまでの同社のTHXアンプを搭載した機種とは異なる印象の個人的に好きな鳴り方です。

KiiO KA17のUSB-DACとして使用した音質が気になる方は以前の「FiiO KA17 レビュー」をご覧ください。

 

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以前使用していたUSB-DACとしてShanling UP5もご参考ください。

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。

miineco106.hatenadiary.jp

 

USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

miineco106.hatenadiary.jp

 

それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属通常傘 Mサイズ、付属ケーブルです。音質調整スイッチはデフォルト、ATMOSPHEREから聴いていきます。

箱出しで聴いてみた第一印象は「低音域は広がるように鳴り、高音域は華やかさがある。やや高音域の出音が強めの全音域に過不足の無い音」でした。音量はやや取りにくく普段よりもややボリュームを上げる必要があります。

箱だしでは高音域にやや鋭さがあり低音に緩さを感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音と高音共に落ち着いた印象です。

 

音場

普通の広さ。狭くも広くくもない普通。前後の奥行はそれ程感じませんが左右の空間に広さを感じられる印象です。

 

高音域

やや鋭さのある鳴り方です。他の音域よりもやや強めに鳴る印象を受けますが、耳障りな刺々しさではなく適度な強調感。過度な華やかさや煌びやかさはないため騒がしさとはは無縁です。超高音域までの伸びはそれ程感じませんが、不足を感じる様な物足りなさはありません。クリアな空間に鋭く音が響く様子は爽快さはあります。悪く云えばやや誇張した高音域。解像感や描写は普通。どちらかと云えば縁取りはやわらかさがありクッキリとした音と云うよりはシャープに描く印象。繊細な表現力はやや苦手で線はやや細く感じられます。

 

中音域

空間は狭くありませんが、前後の奥行きは感じ難くそれほど立体感のある音場ではありません。高音域同様に過度な華やかさはありませんが音が空間で渋滞することはありません。分離感は悪くない印象です。音が整理されていて比較的小さな音は聞き分け難い印象がありますが、その分クリアな空間に一音一音が存在するため音が重なり中心に集まる団子感や音がゴチャつく事はありません。ボーカルはクリアで自然な位置から聴かせてくれ、ややドライ気味なものの息遣いを感じられます。

 

低音域

量感は適度で不足はありません。過度に強調していない適度な音。広がりを感じられ余韻のある鳴り方は雰囲気の良い曲に合います。一方で低音の強さ、一発の大きさはそれ程感じませんので曲によって聴いていて物足りなさを感じる場合があります。やや中音域に被り曇る印象を受けるかもしれません。音の強弱や音階の表現は良好で解像感の高さを感じます。ベースラインは追いやすく、前に出すぎる事はありませんので邪魔になりません。重低音の沈み込みはそれほど深さは感じません。やや物足りない印象です。

 

出音のバランス

一言で云えば中高音寄りの弱ドンシャリ。出音はやや高音に鋭さがある印象ですが全音域の出音のバランスは良い音。

 

高音域は適度に鳴り鋭く立ち上がる。華やかさはそれ程感じませんが、やや強めに鳴るため、明快に鳴らしてくれます。

中音は凹みを感じない。横の空間を感じられます。楽器の音はボーカルの周りで横やや後ろに位置します。中音域の音は統制され空間の見通しも良くクリアです。曲によってやや薄い膜を通したような印象を受ける事があります。

ボーカルは自然な位置から聴きやすく、中音に重なり聴き難くなることはありません。声色はややドライ気味ですがブレスを感じられます。

低音は適度な量感で広がりと余韻も楽しめますがレスポンスの良さもあり解像感も良好です。雰囲気の良さを感じられます。一方で強く深い音はそれ程感じません。バラードの相性の良さを感じられますが、もう少し低音に強さが欲しい。

ATMOSPHEREでは低音の雰囲気の良さがありバラードなどでは気持ち良く聴く事ができます。高音も一音一音しっかりとなるため華やかというよりは必要な量をやや強めにならしていて不足は感じません。

 

次にPOPで聴いてみます。

高音の傾向は変わらず。低音強めの曲で中音域にややマスクされるような印象は無くなります。ATMOSPHEREよりもクリアな中高音は、すっきりとした空間に音の描写力が良くなった印象です。低音域はすっきりとしタイトでレスポンスの良い音になります。ATMOSPHEREでは余計なものを被せていたような印象があります。

 

次にNATURALで聴いてみます。

NATURALではPOPよりも更に中高音が瑞々しく鳴ります。低音域はよりタイトにレスポンスの良い小気味良いリズムを奏でます。一方で低音の強さや重さは感じ難くなります。

 

最後にMONITORINGで聴いてみます。

一聴して低音はどこに行った?というATMOSPHEREとは結構違う音質傾向を感じます。

その分中高音域はクリアですし、低音のリズムのズレにシビアに感じられますが、最早音楽を楽しむというよりは音を聴いている感覚です。

 

まとめとして、個人的にはPOPまたはNATURALの二択。音楽を楽しく聴くという目的からはPOPを重用しそうです。でも、MONITORINGやATMOSPHEREもその用途で十分活用できます。例えばamazonプライムNetflix等で映画を観る際に雰囲気がありますし、MONITORINGはその通りです。これ一本で音楽から動画まで使えるというのは便利ですよね。

なお、POP設定でリスニング用途とする場合、もう少し低音が欲しいかなという個人的な感想を付け加えておきます。

 

高音   Plutus Beats ≧ 4U (質感の順)

中音   Plutus Beats ≧ 4U (質感の順)

低音   Plutus Beats ≧ 4U (質感の順)

ボーカル 4U ≧ Plutus Beats (質感の順)

※価格帯や発売時期が異なりますので参考として

 

 

4. TANCHJIM 4U の総評

TANCHJIM 4Uは4種の音質調整によりシーンに合わせて使う事ができる便利なイヤホンと云えます。結構はっきりと音の印象が変わるので、面白いと思います。肝心の音質傾向は全音域の出音のバランスが良く、やや低音に不足を感じますが、PO設定が音楽的にサウンドを楽しめますのでお勧めです。中華イヤホンというカテゴリの中では安価な価格帯であり、手ごろな価格で遊べるイヤホンとしてお勧めできます。

 

最後に、今回は中価格A10000の中華イヤホンの紹介となりました。今月(2024年6月1日)からHiFiGoで販売開始となり、10,000円を少し超える販売価格は国内amazonではクーポンによって10,000円を切る価格で購入できますのでおススメ。海外通販でもHiFiGoの発送は早く届くのも早い印象があります。これまでの中華イヤホンの中では手頃な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは十分満足できる内容となっておりますので、中価格帯中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、新製品を少しでも早く(安く)手に入れたい方はHiFiGoでの購入も検討してみてくださいね。

 

4U

以下、付属ケーブル、付属標準傘イヤピ MDAC KA17
高音★★★★☆ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★ (4種の音質変化)  

※☆0.51.0 

 

Plutus Beats

以下、付属ケーブル、付属赤軸イヤピ M使用、DAC KA17
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★★ 
音場★★★★☆
分離★★★★★
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回はいつもの中華イヤホンの中価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後も低価格?を中心に、中華据え置き機器や複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ