こんにちは。
今回はいつもの低価格中華イヤホンレビュー編ではなく、中価格U10000帯で発売された1DDモデルのikko Opal OH2についてレビューをまとめたいと思います。
AliExpressのikko Official Store(@ikko_Audio)等で取扱があります。
国内amazonでは未だ取扱がありませんが、ikko Official Storeとikko Audioの国内代理店IC-CONNECT(@icconnect_news)及び、eイヤホンの扱いで12月24日以降の販売開始(2021/12/24現在)しました。の取り扱いに期待ですね。※2021/12/24修正
国内のイヤホン&ヘッドホン専門店であるeイヤホンでも取扱を開始しています。※2021/12/22追記
1. ikko Opal OH2について
ikko Opal OH2は10,000円以下の中価格帯中華イヤホンの1DDモデルとして海外で今年夏頃に発売開始しています。国内では未発売ですが、手に取りやすい価格はikko Audioの音の良さを広めるためにも国内代理店様には何れ取扱いして欲しい商品だと個人的に願っています。国内でもeイヤホンや国内amazonでもいよいよ取扱が開始しました。※2021/12/22修正
ikko Audoといえば以前同社のGems OH1Sをレビューしましたが、今一番気に入っているイヤホンで、同社純正オプションのARC CTU-01にリケーブルし4.4mmバランス接続で愛用しています。
以前のレビューでも紹介しましたが、ikko Audioは中華ポータブルオーディオメーカーのなかでも「新しいコンセプト」、「革新的な構成」を実現するという製品コンセプトの下、魅力的な製品を発信している比較的新しいブランドです。
同社の代表作としてイヤホンではGems OH1S(以降OH1S)やOH10 Obsidian(以降OH10)等を。ポータブルDACアンプでは以前レビューしたドングルタイプのZerda ITM01等を手掛け、手に取りやすい価格ながらも良い音を楽しめる商品展開は音質が価格に相関するものの高価になればなるほど正比例とは言えない曲線を描くオーディオ系商品に一石を投じており、本当の意味でコストパフォーマンスの高い商品をユーザーに届けてくれるブランドと云えそうです。
ikko Opal OH2(以降OH2)は1DD、シングルダイナミックドライバモデルで販売価格がU10000帯、約9,000円です。上位のOH1SやOH10は1BA+1DDハイブリッドモデルとなりますが、価格が2倍弱のA20000帯です。中華イヤホンでは音質も妥協の無いボリュームゾーンと云え、中華イヤホンの低価格とは一味違ってきます。個人的に低価格帯U5000の1BA+1DDハイブリッドモデルを好んで購入し本ブログでレビューしておりますが、音の創り込みという意味では低価格帯とはやはり格の違いを感じます。
以前、レビューした同社OH1Sが伸びやかで澄んだ高音域は音数の多い楽曲でも破綻することなく、広さを感じる中音域は響きが良くなめらか。締まりの良いタイトな低音域はリズミカルに高音中音域を支え、解像感の高い音を耳に届けてくれる清々しいサウンド。同社OH10はOH1Sとは異なり中低音寄りにフォーカスしたモデルという印象で、個人的に好きな音で深く味わいのある低音に加え、ボーカルの艶やかさは本気で購入を検討したモデルでしたが、低価格帯との比較用にOH1Sが最適と考えた結果です。
そして今回OH2を入手しましたが低価格帯1DDモデルとの比較用というのは言うまでもありません。OH2は海外で発売から半年近く経ちましたが、その評判がOH1S同様に中高音フォーカス、弱ドンシャリからフラットというもの。個人的な好みの音がするという期待は一聴して確信に変わりました。勿論ドンシャリはそれはそれで良さがありますので、優劣ではなく嗜好の話であり、低価格帯1DDモデルが熱かった今年のトレンドモデルは来年も続くことを予想し、本命を入手するに相成りました。だって1,000円との比較に20,000円は流石に…ねぇ。
ikko Opal OH2のスペックですが先述の通り個人的に収集している低価格帯の中華イヤホン1BA+1DDハイブリッドモデルの他に、同1DDシングルダイナミックモデルがあります。1DDモデルでは1BA+1DDハイブリッドモデルの様に高音域用のバランスドアーマチュアドライバ(BA)を搭載していません。1基のダイナミックドライバ(DD)が高音、中音、低音の全ての音域を担いますのでドライバの性能が肝となります。勿論OH2に採用されたドライバは低価格帯とは違いドライバの質が高く、カーボンナノダイヤフラムドライバを採用。価格帯に見合う高品質ドライバーを採用しています。
イヤホン本体にはシェル本体に透過度の高いポリカーボネート樹脂とアルミニウム合金の金属を採用。ステムノズルはシェル一体型のため同じ金属製です。中価格帯に多くあるオール金属製ではなく金属と樹脂という二つの素材を組み合わせたハイブリッドシェル構造を採用しています。これはikkoの特許技術SVAS( Separating Vector Acoustics System )に準拠しており、上位機種のOH1Sでは正式にSVASとして採用しています。
余談ですがマツダのプレマシー最終型はSKYACTIVシャーシと同等のシャーシ性能がありながらも公式にSKYACTIVシャーシ採用と謳われなかった事と同じでその技術の試金石だったのではと推察しますが、或いは単純に差別化、またはコストとの兼ね合いなのかもしれません。
実際マツダでは鼓動デザイン採用モデル以降をSKYACTIV技術と呼んでおり、従来製品との差別化を計っています。マーケティングとしては重要なことなのは理解していますが、このあたりの経営と販売部門の思惑と、開発と技術部門の拘りはどんな業界でもありますし、中々一枚岩にはならないですねぇ。技術者目線で言わせてもらえば折角生み出した技術を使っているのだからアピールするのは必然だと思いますので。だって苦労して生み出した技術を世に知らしめたいのは人間の性というものです。
閑話休題。
SVASとは何か?
以前のOH1Sレビュー時にも触れましたが、簡単に説明すると、シェル本体の金属の間に樹脂を挟み込み、金属と樹脂の異なる素材によって音響を調整する技術です。これの何が凄いのかと云えば、例えばよくあるオール金属シェルでは高音域の響きは良いもののやや整理、統制されずに勝手に鳴り響き不自然に感じる場合があります。それらを含めてチューニングしている訳ですが、中価格帯ではコストの制約もありますので、簡単なことではありません。OH1Sでは高音域の響きに不自然さを感じない音にしっかり統制されていましたし、OH2でもそれを感じられます。
そして大事なことですが、これまでレビューした低価格中華1BA+1DDイヤホンでは各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングに不自然さを感じたり、高音域BAを強く鳴らし、低音域DDの強さでドンシャリ傾向として誤魔化しているものも多いのですが、OH2はシングルダイナミックドライバによりフルレンジで鳴らし小細工が利かないが故にikko Audioのチューニング技術の高さを感じさせます。
次に付属ケーブルです。中華イヤホンメーカーでは付属ケーブルはリケーブル前提で質を落としているところもありますが、ikko Audioはそんな妥協を許しません。
OH1Sでも採用された付属ケーブルは同社CTU-01をベースに開発した、1芯あたり0.127mmの細線を7本使用し4芯線化。その線材には銀メッキ単結晶銅を採用し同社のOH1やOH10付属のケーブルよりも解像感を向上させ見通しの良いサウンドに仕上げています。
加えて、実機レビューで後述しますが、付属イヤーピースもOH1Sと同様にステムノズルの楕円形に対応した同社オリジナル形状のシリコンイヤーピースとすることで、装着感と音質を両立させています。
さて、OH2の評判は良く、否応なしに期待感は高くなりますが、このOH2やOH1Sは同社の中でも所謂第二世代と云えそうです。その第二世代に投入されたikko Audioのコンセプトに違わぬ独自の技術や部品選定はその音質にもしっかりと拘りを魅せてくれる、ユーザー満足度の高い製品なのかもしれませんね。
※宜しければGems OH1Sのレビューもご参考ください
※スマホで使うドングルタイプUSB-DACアンプ、ITM01もご参考ください
ikko Opal OH2の納期として今回AliExpressで購入し中国本土からの発送という事もあり、国内amazonのようにはいきません。今回もオーダーから2週間強で届きました。昨今、感染症の影響で中国からの輸送は平時の様にはいきませんが、それも徐々に回復傾向であり最近はシンガポール経由ではなく台湾経由等で動き始めていますので、物流の安定化までもう少しというところですね。尤も平時であればAliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。
そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。
2. ikko Opal OH2実機レビュー
それでは、早速実機レビューを以下、まとめていきます。
パッケージングはikkoオリジナルの化粧箱です。白を基調とした大き目の箱はスリーブタイプの化粧箱となっており表にポップなガールのイラストがプリントされています。裏にはスペックが記載され、OH1Sとは対照的なパッケージの装いです。
そしてOH2のパッケージには更なる遊び心があります。
化粧箱表面のガールがマグネットシートになっていて取り外すことができ、ペーパーホルダとして活用できますね。
外側のスリーブを外すとポップさが前面に出てきます。
上箱を開けると、いよいよイヤホンの登場です。
収納箱はシンプルな白箱です。白地の内装の台座にイヤホンが収納され、台座を取り外すと箱の底に付属品が収納されています。
付属品はシリコンイヤーピースタイプのS、M、Lの3種が計2セット。フォームタイプのS、M、Lが1セット。他にはケーブルとケーブルとイヤホン本体分離器(mmcxコネクタリムーバー)、予備ノズルフィルタ、イヤホンケース、ピンです。U10,000のAliExpressでは9,000円前後で販売している中価格帯として必要十分の豪華な付属品となります。
イヤホンケース内に某社のMMCX ASSISTと同様のケーブルとイヤホン本体を分離する器具(リムーバー)とノズルフィルタの予備が収納されています。
※先端のU字ピンはフィルタ清掃用でしょうか?
※予備?フィルタも紛失時に役立ちます
※同社のロゴをあしらったピンも付属。
それでは本体を見ていきます。
ビルドクオリティですが、中華イヤホンの中価格帯U10000でもikkoには妥協の文字はありません。非常に綺麗に仕上がっていて金属と樹脂の合わせ面も綺麗に揃っています。そしてOH1S同様にステムノズル先端が楕円形となっています。
カラーバリエーションは白色と緑色と紫色と灰色と茶色の全五色があり、その色彩は明るめのポップな色合いとなっています。そのため今回はポップと云えばパープルという事で紫色を選択しています。
※ケーブルは小箱に収納されています
※上位のOH1Sと同じ付属ケーブル
付属ケーブルは先述の通りOH1Sと同じ茶色と黒色の撚線、4芯銀メッキ単結晶銅線タイプが採用されています。プレイヤー側コネクタはI字タイプでikkoロゴ付、イヤホン側はmmcx仕様です。この付属ケーブルは被膜に引っ掛かりが無く、タッチノイズも殆ど感じません。肝心の耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的にややコシが有りますが、十分にしなやかなものとなり品質の高さ、ikko Audioのこだわりを感じられます。そのため最適化されたケーブルはそのまま使用できますしバランス接続を試したい方以外、無理にリケーブルはする必要がないと思います。
参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。
※画像左からikko Gems OH1S、ikko Opal OH2
OH2とOH1Sの外観の比較として、サイズ感はほぼ同じで小ぶり。厚みはOH1Sの方があります。造形もほぼ同じですが、樹脂の形とステムノズルまでのラインが異なります。とはいえオーソドックス造形は耳への収まりが良く装着感が良好です。
OH2とOH1Sはmmcxタイプのコネクタが採用されています。
シェルの材質は、先述の通り樹脂と金属の複合。金属と金属の間に樹脂を挟み込んでいますが、一見すると金属製に見えます。その位違和感なく組み合わされています。
重量はほぼ同じです。同価格帯他社製と比較しても軽量で、耳への装着時にはその装着感の良さから殆ど重さを感じないレベルです。耳への装着感はステムノズルの太さに影響を受けやすくOH2もOH1Sもやや細目と云えますが、先述の通り楕円形。角度もほぼ同じでやや寝ています。
また、ステムノズル部には全てにメッシュフィルターがあり異物混入による故障を防ぐことができますし、清掃には付属のピンが最適ですね。
シェル本体の形状からはシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。
なお、先述の通りOH2はOH1S同様にステムノズルが比較的細めですが、楕円形となります。実際の装着感にはほとんど影響が無く、寧ろikkoオリジナルシリコンイヤーピースの形状が装着感に影響があり、通常の丸型で弾丸形状の傘とは異なる故に最初こそ違和感がありますが、慣れると装着感も軽く耳穴への圧迫感も少ないです。一方社外品のイヤーピースは使用し難いですが、できない訳ではありません。とはいえ付属のシリコンタイプでフィットする事ができればこれほど装着感が良く感じられますし音質的にも必要十分だと思います。そのため付属シリコンイヤピで上手くフィットできなければ苦戦するかもしれません。
※楕円且つ、傘が裾広がりのシリコンタイプ
※フォームタイプ。同社i-Planetイヤーピースです。
※サイズによって軸の色が変わります
付属のシリコンイヤーピースはikko Audioオリジナルの楕円径タイプ。傘の裾野が広がるタイプで、通常の丸径、傘の裾野が弾丸のようなものとは異なります。OH1Sのレビュー時にも触れましたが、個人的に通常のタイプとの互換性がある一般的なものの方が選択肢が増えますし良いと思うのです。しかし、実際にはよく考えられた形状であることを使ってみて感じました。兎に角装着感が楽なんです。
音質的にはダイレクトに音を届けてくれ、やや低音がしっかりとするタイプに感じますが、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。
一方フォームタイプも付属。同社のi-Planetイヤーピースです。傘の高さが低めでシリコンタイプで上手くいかないときにフィット感を改善してくれます。
幸いシリコンイヤーピース Mサイズで私は上手く合わせられ、耳の奥やや浅めに蓋をするように装着しフィットしています。
低、中価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じますが、今回は同じ付属のシリコンイヤピで十分と感じられそれを使用しています。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。
このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)
3. ikko Opal OH2音質レビュー
それではいよいよ音質についてまとめていきます。
いつも通り、Sony NW-ZX507を基準としてレビューを行います。
ZX507については他の方のサイトでも詳しく解説していますので、SONYのまあまあの価格帯のサブスク対応android機です。従来のShanling Q1は3.5アンバランス接続のみですが、ZX507は4.4バランス接続にも対応しています。DACには独自開発のS-Master、フルデジタルアンプが採用されています。
Shanling Q1とZX507の音質の違いは音場がやや平面的に感じられるQ1に対し、ZX507は奥行きのある立体的な印象。具体的にはボーカルの位置に対し、高音や中音の演奏音がその周りやや離れた後ろ側に位置し自然な位置関係に感じられます。
次に、音質傾向ですが、音楽を正確に淡々と鳴らそうとするQ1に対し、ZX507は高音域と低音域をしっかりと鳴らすやや派手な音ながらも、ボーカルを邪魔せずにそれを引き立てています。所謂ドンシャリ傾向と云えますが、過剰なほどではなくて若干の演出という感じ。そして中音はボーカルに対し相対的に控えめに感じられますが、その分ボーカルはクリアです。特徴としては低音に厚みがありますので音楽を雰囲気良く聴くことができるSONYの音といえます。
個人的には音楽を楽しく聴くという本来の目的を達成するために必要十分なDAPと考えており、今年6月からは音楽配信サービス、Apple Musicがロスレス対応しましたが、android搭載DAPとして勿論対応(※1※2)しています。そして、何よりもBluetooth接続は安定していますので、強いて云えば電池持ちが悪い位しか不満はないです。
※1:2021/07/19現在 android版Ver3.6.0ベータ版(1115)で動作確認
※2:2021/07/22現在 android版Ver3.6.0正式版(1118)が配信開始
低価格帯のイヤホンの場合でDAPの違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。
※FiiO M5とShanling M0の比較もよろしければご参考ください。
それでは実際に聴いてみます。
ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。
先述の通りイヤピは付属Mサイズ、付属ケーブルです。
箱出しで聴いてみた第一印象は「高音も低音も不自然に強調されていない、フラット寄りのリスニングサウンド。」です。
箱出しではやや低音に膨らみを感じましたが、鳴らし込み後は締まり解像感の高さを感じます。
音場はやや広め。前後左右の空間の広さを適度に感じられます。
高音は煌びやかで響きの良さを感じます。上の上までの伸びやかさはそこまで感じませが、適度な華やかさを感じられ存在感は十分。なめらかさがあり尖りは感じません。
低音は量感こそ控えめですが、芯が感じられ締りとキレは良好。ベースラインは追いやすい。重低音は沈み込みは深さをそれ程感じませんが、芯の強さがあります。
中音は高音同様に響きが良く華やかさがありますが、団子感やゴチャつきを感じません。ボーカルはクリアで自然な位置から聴かせてくれクリアで聴きやすく、ドライ気味ですが瑞々しさを感じます。
一言で云えば中高音寄りのフラット寄り弱ドンシャリ。
高音は煌びやかさは適度で響きのある華やかさは前に出るような主張もなく、自然な感じ。超高音まで鳴らすレンジの広さはありませんが、伸びも自然でなめらかな印象です。不快に感じる尖りとは無縁で、小さな音でも「ス~っ」と耳に届き埋もれることは無くボーカルを邪魔しない爽やかな音。これは低価格帯1DDモデルでよくある最初だけ聴こえて「スッ」と鳴る高音域とは違います。低価格帯では挙句、前に出るようにシャンシャン鳴らす傾向とは違い演出感はありません。全体のバランスを崩さない適度な音は1DDとして質の高い高音を届けてくれます。
中音は凹みを殆ど感じず、楽器の音はボーカルの周りやや後ろ辺りに位置し華やかに鳴りますが、その音は統制され見通し良く鳴ります。ボーカルは自然な位置からクリアで聴きやすく、高音や低音に埋もれません。
ボーカルは僅かにドライ気味なものの息遣いを感じられ不自然さは無く、瑞々しさを感じられます。その分しっとりとした艶のある声を楽しみたい場合には相性というか分の悪さを感じるかもしれません。
低音は量感は控えめに抑えられています。そのため広がりや響きはそれ程感じません。響きというよりも芯のある締りの良い音はキレの良さと相まって小気味良さを感じます。音の強さ、音の強弱や音階の掴みやすさを重視し、解像感の高い音を感じられ、雰囲気の良さとは対極かもしれません。尤も中高音寄りのフラット寄りのイヤホンとしては適度な低音と云えるのかもしれません。そのため、普段低価格帯のイヤホンのドンシャリに慣れた方は高音も含め物足りないと感じると思います。
重低音は沈み込みはそれほど深さを感じませんが、芯のある強さを感じ小気味良さがあります。低音域は高音中音をリズミカルに下支えし高音中音の煌びやかで響きの良い音をマスクすることなく感じられると思います。
これは同社のOH1Sの音色に近くOH10とは傾向が異なると感じています。
OH1Sをフラットとすれば、OH2もフラットと云えます。OH1やOH10ではドンシャリ傾向が強く、特にOH10ではその低音域の豊かさ、OH1では高音域の煌めきが評価されていましたが、OH10のボーカルも中低音寄りの傾向から艶を感じられ、ボーカルホンとしてもファンの心を掴んでいます。そういう意味ではOH2はOH1Sと同様にフラット寄りなもののBAのないフルレンジ対応という事もありそれよりも高音域は控えめ、音場もやや狭めな印象です。とは云えやはりOH1Sの流れを汲む音色と云えます。OH2とOH1Sはikko Audioの第二世代ということを明確にし、第一世代との差別化を計ったモデルと云えます。
まとめるとikko Opal OH2は中高音重視の爽やかなリスニングサウンドは高音と低音は控えめとしながらもその解像感は高く、全音域をフラットな音とすることで音楽を分析的に聴くことも可能で誠実な音を鳴らしてくれるイヤホンとなります。尤も、高音中音は華やかで見通しが良く、低音の芯のある音はモニターライクでありながらも、リスニングで心地良く音楽を楽しめると云えそうです。
一方でリスニング用途としての聴いていて楽しいドンシャリバランスとは言い難く高音域のシャリつく刺激的な強さや低音のドンの量が多い強ドンシャリを求め、演奏メインで聴きたい方には、もの足りなさを感じ評価が分かれてしまうかもしれません。
高音 OH1S ≧ OH10 ≧ OH2
中音 OH1S ≧ OH2 ≧ OH10
低音 OH10 ≧ OH1S ≧ OH2
ボーカル OH10 ≧ OH1S ≧ OH2
※価格帯が異なりますので音圧バランスの参考程度に
4. ikko Opal OH2の総評
ikko Opal OH2はikko Audioの第二世代のサウンドに仕上げられた質の高い音を聴かせてくれるモデルと云えます。
響きの良い澄んだ高音域は音数の多い楽曲でも破綻することなく、中音域は響きが良くなめらか。締まりの良いタイトな低音域はリズミカルに高音中音域を支え、解像感の高い音を耳に届けてくれる爽やかなサウンドはモニターライクな音を好まれる方にも納得いただける音質にまとめられていると思います。
このOH2の音はOH1Sとの音の傾向を同じとしikko Audioの音づくりの拘りを感じさせ、ブランドコンセプトを徹底したモノづくりに好感を持ちます。もちろんOH1SとOH2では価格帯に違いもあり、上位がOH1Sであることに間違いは無くその差もはっきりと感じられます。しかしOH2では何と言ってもその価格でその音を聴くことができることが魅力となります。
そして最早比べる事が失礼かもしれませんが、低価格帯1DDモデルとはそのサウンドの質が異なり、上質で爽やかな音はikko Audioの音の魅力の一つと云えます。
そういう意味では中華イヤホンは中々試聴をする機会がありません。国内代理店がある商品はeイヤホン等で視聴できる場合がありますので機会があれば是非試聴をしていただきこの驚きを共有していただければ幸いです。
最後に、今回は国内では未だ取り扱いの無い中価格帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2021年12月4日)はAliExpressで発売されておりますが、その入手性には現在も難があります。そして、国内でも12月24日からいよいよ販売開始となり真にクリスマスプレゼントにぴったり!?(2021/12/22)。実際、中華イヤホンの中でもその音質を含めクオリティの高さは十分満足できる内容となっておりますので、中価格中華イヤホンに挑戦してみようと検討中の方や間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実な国内正規品取り扱いを待って。少しでも早く安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。※2021/12/22修正
OH2
以下、付属ケーブル、付属シリコンイヤピ M使用、DAP ZX507
高音★★★★
中音★★★★☆
低音★★★★
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★
※☆0.5、★1.0
OH1S
以下、付属ケーブル、付属シリコンイヤピ M使用、DAP ZX507
高音★★★★★
中音★★★★★
低音★★★★☆
音場★★★★★
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★
※☆0.5、★1.0
あとがき
今回はいつもの低価格中華1BA+1DDハイブリッドイヤホンではなく、中価格U10K中華1DDイヤホンの商品のレビューとなります。低価格1DDとは格の違いを見せつけられましたし日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後も低価格?を中心に、中華据え置き機器や複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。
また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ
※2021/12/22追加&修正・・・国内での取り扱い開始
※2021/12/24修正・・・リンク修正