みぃねこの備忘録

いろいろなこと、主に趣味の備忘録として活用。アフィリエイトやってません。お気軽にリンクからどうぞ。

Dunu Kima Classic レビュー

こんにちは。

今回はいつもの中華イヤホンレビュー編として、中価格A10000帯で発売されたシングルダイナミックドライバ(1DD)モデルのDunu Kima Classicについてレビューをまとめたいと思います。

 

国内amazonのHiFiGoで取扱があります。

 

US amazonでも取扱があります。

www.amazon.com

 

AliExpressでも取扱があります。

ja.aliexpress.com

 

HiFiGoサイトはコチラ

DUNU Kima Classic DLC Diaphragm Dynamic Driver IEMshifigo.com

 

 

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1. Dunu Kima Classicについて 

Dunu Kima Classicは中価格A10000-U20000帯中華イヤホンのシングルダイナミックドライバモデルとして今年5月に新発売されました。

Dunuは中華オーディオ機器製造メーカー、TopSoundElectronics社のコンシューマー向けブランドです。同社はこれまで有名オーディオメーカーOEM/ODM事業をメインとしていましたが、近年は自社ブランドのグローバル展開をきっかけにそのブランドを確立させています。同社はそのブランドの使命を次のように語っています。「常にオーディオの最先端にあり、最も要求の厳しいオーディオファンに愛されるプレミアムなインイヤーを造ること。」です。

日本市場では2011年以降に代理店による販売展開がされDunuは音質の良いブランドとして定評があります。その商品ラインナップには旗艦モデルのZEN ProやミドルレンジモデルのSA6 mkIIやEST112等は同社の代表作と云え、中華イヤホンファン注目のブランドの一つと云えます。

Dunu Kima Classicは販売価格が約15,000円と前述の代表作と比べ、非常に競争の激しい100ドル前後のボリュームゾーンのモデルとなります。これまではDunuを高級イヤホンメーカーとして手が出し難かったユーザーにも手を出しやすい競争力の高い価格と云えそうです。

さて、Dunu Kima ClassicはベースとなったオリジナルのDunu Kimaに対して、Dunuの新たな解釈として生まれました。オリジナルのKimaに加えて登場したクラシックバージョンのサウンドは、よりポップミュージックに適したものとしています。それらの主な違いは、クラシックバージョンはオリジナルと同様にクリーンで透明な音域をそのままに、低域がより強調され、高域も強化されているのが特徴です。オリジナルとクラシックバージョンはドライバ構成等のハードウェア構成やその造形を変えずにサウンドチューニングと新たなバージョンを示すシェルカラー、アッシュグレーを採用したDunuの可能性を楽しませてくれる新しいモデルと云えます。

 

オリジナルKimaとKima Classicの違いは以下の通りです。

  • シェルカラーはKimaのシルバーグレーに対し、KIma Classicのアッシュグレー。また、KIma Classicの付属ケーブルはシェルカラーに合わせて濃い色に変更。
  • ドライバ等のハードウェア構成はKimaとKima Classicは同じですが、サウンドスタイルは異なります。オリジナルのKimaは「高音、中音、低音域の周波数がバランスよく配分された暖かく聴きやすい音」に対し、Kima Classicは「低域と高域の存在感を増しながらより鮮明で立体的なサウンドは、ポップスに最適」です。
  • オリジナルのKimaとKima Classicのシェルは高密度合金を使用。Kima Classicのシェルにはその表面をサンドブラスト加工を施し、繊細な手触りと優れた質感を実現しています。
  • シェル本体に連動し付属ケーブルの被膜をカラーチェンジ。更に被膜にマッチしたプラグとスプリッター等がKima Classicの商品性を高めています。

続いて、Dunu Kima Classicのスペックを見ていきます。先述の通りシングルダイナミックドライバ(1DD)のシンプルな構成のモデルです。そのダイナミックドライバにはDLC振動板を採用。N52NdFeBマグネットや共振抑制デュアルチャンバーのダイナミックドライバをマイクロコントロールエアフロー設計のシェル内部に収め音質の最適化を図っています。更に高純度単結晶銅銀メッキケーブルを採用しKima Classicはクリーンで透明感の高い音を実現しています。

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オリジナルKimaとKima ClassicはDLC(Diamond Like Carbon)ダイヤフラムの10mm径ダイナミックドライバを採用していますが、そのサウンドチューニングが異なります。メーカー発表のf特からもオリジナルKimaに対し、Kima Classicの方が低音域と高音域が持ち上がっていることが分かります。

次にシェルの内部キャビティにはマイクロコントロールエアフロー設計をフロント&リアチャンバーに採用。強力なダイナミックドライバの音をエアフローチャンバーによって最適化。Dunuの狙う意図通りの音響空間を確保しています。

更に付属イヤーピースにはDunuの新型シリコンイヤーピースにより、クリーンで透明感のある音質と装着感を得られます。

最後に付属ケーブルです。高純度の単結晶銅(OCC)の銀メッキ線材を編込み線とした4芯OCC銀メッキケーブルを採用しています。中華イヤホンメーカーでは付属ケーブルはリケーブル前提で質を落としコストカットしているところもありますが、高品質ケーブルを採用しDunuの音質への拘りを窺えます。

 

※宜しければ過去記事もご参考ください

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Dunu Kima Classicの納期として今回HiFiGoでオーダー、1週間強で届きました。現在(2023/5/19)国内amazonでも本国発送扱いとなっています。昨今、HiFiGoやAliExpressで購入した本国発送の場合でも以前の様な感染症の影響で遅延は少なくほぼ回復したと云えます。尤も、万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかるのが、海外通販のリスクです。

そんな訳で一般的に海外通販での購入は国内通販で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが偶に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットがありましたが、最近では円安でその恩恵も受け難く、国内では入手できない商品を早く手に入れる事がメリットと云えます。それらを天秤にかけた場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. Dunu Kima Classic実機レビュー 

それでは、実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングは白を基調としたイヤホンのイラストが目を引くスリーブタイプの化粧箱です。日本国内市場を意識したハイレゾロゴもあります。

 

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スリーブを外すと黒を基調とした内箱はメーカー名が表記されているのみのシンプルなもの。

 

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内箱の蓋を開けると黒地の内装にイヤホンが収められています。まあ、それよりも内箱の下側にある鮮やかなカラーのイヤホンケースの方が目につきますが。


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イヤホンの台座を取り出すと黒地の小箱が箱の底にあり、ケーブルが収納されています。


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イヤホンケースにはイヤーピース他、付属品が収納されています。このイヤホンケースはマチがあるため開口に制限があります。これは好みによると思いますが、不意に全開となり落下させることを防ぐ意味では有用となります。

 

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付属品はシリコンイヤーピースがS、M、Lの3種3セット。そのイヤーピースは1セットはDunuのCandy Eartips。もう1セットはDunuの新型円柱型シリコンイヤーピース、S&S(Stage & Studio) Eartipsです。他にはケーブル、ケーブルバンド、イヤホンケース、6.35mmステレオ変換プラグ、クリーニングブラシ、クリーニングクロスです。中価格A10,000-U20000帯として十分満足できる付属品となります。

 

※メーカー名入りのイヤホンケース。鮮やかなカラーは個人的に好みです。

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※クリーニングブラシ(汎用品?)
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※3.5mmステレオミニプラグから6.35mmステレオプラグへのメーカー名入り変換プラグ

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※メーカー名入りのクリーニングクロス

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次にイヤホン本体を見ていきます。

 

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ビルドクオリティは中華イヤホンで心配されるような雑なところ感じさせません。綺麗に仕上がっています。シェルはサンドブラスト処理とアッシュグレーカラーにより質感の高さを感じられます。ステムノズルには真鍮に金メッキしたものを採用しており、イヤホン本体へのワンポイント的アクセントがより高級感を演出しています。

カラーバリエーションはアッシュグレーのみ。こちらはオリジナルのKimaがシルバーカラーを採用しており、一目でわかる差別化を兼ねています。

 

次にケーブルをみていきます。

 

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付属ケーブルは先述の通り高純度の4芯単結晶銅線(OCC)を銀メッキ線とした編込み線としたものを採用。プレイヤー側プラグはI字、イヤホン側はフラット2ピン仕様、イヤホン側コネクタの極性は上がプラスです。スプリッタ部にはメーカー名が入り、ケーブルスライダーを備える等、Kima Classicのために造られたケーブルとなり、付属するケーブルバンドにもメーカー名入りです。

この付属ケーブルはケーブル被覆のゴム質がやや強めで引っ掛かりがあります。そのため少々絡まり易いものの、しなやかさがあり耳への装着性や使用感は悪くありません。イヤホン側にはシュア掛け用にチューブで癖付けされ、中価格帯に付属するケーブルの中でも悪い印象はありません。アッシュグレーカラー(やや茶色より?)被覆のケーブルはアッシュグレーカラーのシェル本体ともマッチしています。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、私はこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

続いて他機種とのサイズ感や造形の比較です。

 

※画像左からSeeAudio x Z Reviews Rinko、Dunu Kima Classic、7Hz LEGATO

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Dunu Kima Classicは比較的オーソドックスなシェルの造形です。そのシェルのサイズはコンパクトと云えます。Rinkoとの比較では同じ程度のコンパクトさですが、LEGATOとの比較ではそのコンパクトさが際立ちます。

Kima Classicはオール金属シェル本体ですが、耳への装着感の良さもありそれほど重量は感じません。Rinkoは樹脂と金属のハイブリッドマテリアルとなり3機種の中では一番軽量となりますし、LEGATOは同じオール金属シェルで大柄のためKima Classicよりも重量を感じます。

ステムノズルの長さや太さと角度はKima ClassicとRinkoはやや短く、一般的な太さ。角度は起きています。LEGATOはそれと比べ長く、太さがあり角度はそれよりもやや寝ています。ステムノズルには金属フィルタがあり、Kima ClassicとRinkoはダストフィルタ機能として。LEGATOは外側金属フィルタですが、内側に繊維フィルタがあるためそれとは異なり音質に影響があるタイプです。

そして、シェル本体の形状と付属ケーブルからは両機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、装着感はステムノズルの長さや太さに影響がありますので、イヤーピースのフィッティングは重要となります。

 

最後に付属イヤーピースです。

 

Kima Classicには3種類のシリコンイヤーピースが付属しています。注目は先述の通り、DunuのCandy Eartipsと、Dunuの新型円柱型シリコンイヤーピース、S&S(Stage & Studio) Eartipsです。

 

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DunuのKima Classicの音質への拘りを感じられます。それはCandy EartipsとS&S Eartipsの音質への影響を表すf特から分かります。

 

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Candy Eartipsは10k-15kの帯域のピークを持ち上げる効果があります。

 

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S&S EartipsもCandy Eartipsと同様ですが、Candy Eartipsが一部の帯域への限定的な効果に対し、S&S Eartipsは2k以上の帯域を全体的に持ち上げます。

Candy EartipsとS&S Eartipsは共に高音域を強調してくれるイヤーピースと云えそうです。これはオリジナルのKimaに対しKima Classicが低音域と高音域を強調したサウンドにマッチする傾向でありDunuの意図を感じられます。

付属タイプを色々と試してみましたが、Candy Eartipsが個人的にしっくりきました。全体の音域の中でも低音がそれ程目立たずに高音域を綺麗に繊細に聴かせてくれる印象です。S&S Eartipsはやや高音域が強調され過ぎに感じ、黒傘タイプは最も低音域を強調する印象です。音質的には好みにもよると思いますが、個人的にはCandy Eartipsが一番バランスが良く、耳の奥に栓をするように装着しフィットしています。

低、中価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じます。今回は付属のDunuオリジナルイヤピで上手くフィットしました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感はもとより音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えない他社製へ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. Dunu Kima Classic音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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昨年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音に脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

そのため、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5はモニターライクながらも決してつまらない音ではなく、リスニングでも使えて万能と考えています。

 

Shanling UP5をUSB-DACとして使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属Candy Eartips Mサイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「しっかりとした低音域と鮮やかな中高音域のドンシャリ」でした。

箱だしでは高音域に対し低音域がやや量感多めに感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音は適度な量感になり高音域とのバランスが良くなりました。

 

音場

空間の広さはそれ程を感じませんが、狭くはない普通の印象。前後は奥行を感じられますが、左右の広さはそこそこ。立体感は感じられます。

 

高音域

煌びやかさがあり響きも良好です。上までの伸びやかさを感じ、存在感のある華やかさのある高音域です。悪く云えばシャンシャン、シャリシャリと騒がしさを感じる様な主張の強さを感じられる音は下品な強く前にでる音ではなく、鮮やかな音。小さな音は爽やかに響き、ごちゃつきを感じない分離の良い音はやや演出感を感じるものの解像感も高い心地の良いもの。

 

中音域

華やかに鳴りますが、ごちゃつきを感じ難い整った音。音が真ん中に集まる団子感や音が重なるゴチャつきを感じない立体感を感じられる鳴り方。音に広がりのある響きの良い音です。ボーカルはクリアで近め。声音は自然でニュートラル。息遣いを感じられ声の揺らぎを感じ易い生々しさを感じられます。

 

低音域

量感は適度で響きや広がりを感じられ、音階や強弱といった低音域の解像感も良好。音の広がりや響きの良さがありますが、緩さの無い適度に締まった音はやや強めの出音に感じられるものの不自然に誇張した音ではないしっかりとした低音を感じる事ができます。ベースラインは追いやすく、ボーカルよりも前に出るような主張ではなく自然な量。重低音は沈み込みは深く、強さと広がりがあり、不足を感じません。

 

出音のバランス

一言で云えばやや中高音寄りのドンシャリ。高音域は明るく鮮やかにしっかりと感じられます。低音はやや強めに感じますが、高音域をマスクする様なドンが強い鳴り方ではないバランスの丁度良いドンシャリは心地良く、ハーマンターゲット近似のやや低音を持ち上げた音。低価格帯のそれは低音を犠牲にして整えている印象ですが、流石の中価格帯と云えます。

 

高音の煌びやかさはクリアで見通しの良い音場に響きが良く、音の大小を違和感なく感じ取ることができ、音の消え入る様も感じられる繊細さもあります。華やかで明るい音は鮮やかに明朗に耳に届きますが、これはクリアで透明感のある背景が寄与しています。出音は必要な時に必要な量を鳴らし、不快な音にならない程度の鳴り方は1DD機としてレベルの高い音だと思います。一方で複数BA機の高音域の様に音のシャワーを浴びたい方にはやや物足りなさを感じられるかもしれません。

中音は凹みを感じ難く、ボーカルは近い位置から聴かせてくれます。楽器の音がボーカルの周りから少し離れやや後ろ辺りに位置し奥行を感じられるものの、空間はその分広さを感じ難い。それでも音の距離感に違和感を感じられず、高音域同様に華やかさのある音は音の重なりやごちゃごちゃしている印象はありません。整った音は空間に鮮やかに聴こえ心地良さのある鳴り方です。

ボーカルはクリアで透明感のある空間に存在し聴きやすく、周りの音や高音や低音に埋もれません。近い位置から聴こえる声色も自然で息遣いを感じられ生々しく感じられます。平井堅の独特の声音も宇多田ヒカルもリアルに再現してくれます。

低音は量感よりも響きや広がりが重視されている印象です。それでも緩さを感じない曲調によって締まりも感じられ懐の深さを感じられます。その曲が表現したい低音域というか聴かせ所をちゃんと聴かせてくれる表現力の高さを感じます。そのため解像感は高く、曲の良さを感じ取りやすいです。

重低音は沈み込みは深く、強さのある音はただ強く大きな音で鳴らす下品な音ではない表現力の豊かな音。冗長さのない広がりと響き。適度な量感の重低音は低音域の質感の高さを感じられます。

Kima Classicは音楽を純粋に楽しめる出音であり、高音と中音域のクリアで透明感の高さが聴きやすく、低音域の質感の高い出音のバランスの良い音。何処かの音域を誇張しただ強調しているだけのドンシャリとはレベルの違う上質な音を聴かせてくれます。一方で中高音域の解像感を重視される方には低音域が強すぎると感じられると思います。

 

他機種との比較として、先ず7Hz LEGATOとの比較ではLEGATOは中低音に厚みのある重厚サウンドが特徴です。単純な低音ホンではなく、高音域もしっかりと鳴る中低音寄りのドンシャリサウンドバランスとなりますが、LEGATOの方が中低音域に厚みがあります。高音域はLEGATOの強めのスパイスは解像感よりも味付けを重視したものという印象でありKima Classicの方が一枚上手の印象です。

次にRinkoとの比較ではkima Classic同様にドンシャリの出音は音楽を純粋に楽しめる音。狙う方向性が同じなのだという印象です。単純な強さではRinkoの方に分がありますし、高音域の質感は僅かにRinkoが有利という印象です。そういう意味では1DDモデルのKima Classicが遜色の無い音を実現していることに脱帽です。愉しさはRinkoの方がやや有利という印象も、中高音域のクリアで透明感のある音場に映えるボーカルはKima  Classicが有利でしょうか。

 

※以前のレビューもご参考ください

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miineco106.hatenadiary.jp

 

まとめるとDunu Kima Classicのドンシャリは過度な低音域ではなく、明るく鮮やかな高音域が心地良い、ボーカルをクリアに聴く事ができる音造りは非常に聴きやすい、バランスの良い音を聴かせてくれます。日本国内では中高音域がクリアで高音が上の上まで伸びる音が人気ですが、海外では人気のある音造りとの中間に位置する音と云えそうです。Dunuの製品は日本国内でも普通に流通していますが、高級ラインだけでしょ?という思い込みを捨てて、中価格帯でもDunuの音を楽しめる商品であり、価格帯では文句なく高音質という評価と云えます。

一方で中華イヤホンに強ドンシャリバランスを求める方や中高音域のクリアさと解像感を重視し低音は要らない、邪魔という方には評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   Rinko ≧ Kima Classic ≧ LEGATO (出音はLEGATO) 

中音   Rinko ≧ Kima Classic ≧ LEGATO (出音はLEGATO)

低音   Rinko ≧ LEGATO ≧ Kima Classic (出音はLEGATO)

ボーカル Kima Classic ≧ Rinko ≧ LEGATO (質感の順)

 

 

4. Dunu Kima Classicの総評

Dunu Kima Classicは同社エントリーハイラインのラインナップとなりますが、その音質は真面目に造り込まれており、高音質モデルと云えます。中高音域のクリアで透明感のある空間にボーカルが映える。地に足の着いた低音域がそれを邪魔しないドンシャリの王道でありながら上質さを兼ね備えた音質は価格帯でもトップクラスと云えそうです。今回比較したモデルはどれも複数ドライバ機であり、1DDのKima Classicがそれに対し遜色の無い音を奏でる事がそれを証明していると云えます。

一方で低音域を充実させた音造りは一般層には受けが良く海外でも高評価となりそうな音質傾向ではありますが、日本国内のポータブルオーディオファンには高音域中心の解像感重視の音が好まれる傾向があり、評価は分かれそうです。

 

最後に、今回は今年5月に発売された中価格A10000-U20000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2023年5月19日)はHiFiGoで14,000円台で販売し、国内amazonでは本国発送扱いの14,000円台となっていますが今日現在(2023年5月19日)10%offクーポンがありますので気になる方はお早めに。海外通販で購入する場合、HiFiGoの発送は早く届くのも早い印象があります。これまでの中華イヤホンの中では手頃な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは十分満足できる内容となっておりますので、中価格帯中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、新製品を少しでも早く(安く)手に入れたい方はHiFiGoでの購入も検討してみてくださいね。

 

Kima Classic

以下、付属ケーブル、イヤピ 付属Candy Eartips MDAC UP5使用
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★★ 
音場★★★★
分離★★★★★
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

Rinko

以下、付属ケーブル、イヤピ Sedna EarFit Short MSDAC UP5使用
高音★★★★★ 
中音★★★★☆ (Vo★5)  
低音★★★★★ 
音場★★★★☆
分離★★★★★
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

LEGATO

以下、付属ケーブル、イヤピ 付属白傘 M-DAC UP5使用
高音★★★★★ 
中音★★★★☆  
低音★★★★★ 
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回はいつもの中華イヤホンの中価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後は低価格だけではなく、中価格の中華イヤホンも扱っていきます。

また、気になる商品が出ればチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

 

KZ ZAR レビュー

こんにちは。

今回はいつもの中華イヤホンレビューとして、中価格A10000帯で発売された7BA+1DDハイブリッドドライバモデルのKZ ZARについてレビューをまとめたいと思います。

AliExpressで取り扱いがあります。

 

ja.aliexpress.com

 

国内amazonでも取り扱いがあります。

 

 

 

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1. KZ ZARについて 

KZ ZARは中価格A10000-U20000帯中華イヤホンの多ドラハイブリッドモデルとして今年早々に発売されました。

そりゃあ買うよねと、発売と同時に直ぐに9Kでオーダーしたものの発送されずにキャンセル。KZ系プロモを名乗るセラーだったんですけどね。気を取り直し、今年の328セールで別のセラーで7Kでオーダーも同じく発送されずにキャンセル。これもKZ系国際の名前のセラーです。三度目の正直とするべく春のセールでも7Kでオーダーしましたが、発送されずにキャンセル。これは現在はファンリという名前に変わっています。Aliは無在庫販売が当たり前なのでしょうけど調達力の無いセラーは淘汰されて欲しいものです。二度あることは三度ある。…はぁ。

と、まあ、こんな感じで縁が無かったと諦めようと思っていました。ずっと追ってきたKZの多ドラ機を諦めきれずにずにいた或る日、AliExpress内を巡回してところ「15日配送」の商品を発見。少々高めの8Kというプライスでしたが、15日配送の表記を信じてオーダー。そしてやっと届きました。3Cクラブ、貴方の15日配送は信用するよ、と。

でも、オチがあって、この記事を書いている時点でKZ系国際にオーダーした商品がまた発送されない状況なんですよね。KZ系○○セラーはOfficialを含め信じてはいけないという事を覚えました。

閑話休題

近年KZが色々とやらかしたこともあり嘗てのライバルTrnの躍進が著しい昨今、そのKZが今年の初めにZAS以来の多ドラハイブリッド旗艦モデルとして片側8ドライバ、7BA+1DDハイブリッドモデル、ZARを発売しました。最近は数年前までのドライバを沢山積むのが正義というスペック競争時代は終焉し、搭載ドライバ数は頭打ち。セールス上も「片側○○ドライバ(従来より増やしました!)」では販売が伸びなくなっています。ユーザーの耳が肥えた事もあると思いますが、それよりもあまりにも短いスパンで新モデルが発売される割に音は大して変わらんじゃんという想いが、食傷気味となって飽きに繋がったのだろうと思います。

昨年は平面磁気駆動ドライバをシングルドライバ構成で搭載したPR1が従来のKZの多ドラ機と遜色の無い音を実現しており、そもそも音質を追求すればそれ程ドライバを積む必要がない事を自分たちで証明している皮肉な結果です。そして、昨今のトレンドはハーマンターゲット特性近似の普通に高音質のモデルが多数登場しています。一芸に秀でたモデルを低価格帯で発売するならば納得できなくもない商品も、今やA10000帯の販売価格となったKZの多ドラ機が見向きもされないのは仕方が無い事なのかもしれません。その癖に届かないんじゃあ誰が買うかよってなるのは最早自然の摂理と云えます。

とはいえ、厳しい話から始まった今回、個人的にKZの1年半振りの多ドラハイブリッドモデルには期待していますし楽しみです。

 

それではKZ ZARのスペックを詳しく見ていきます。先述の通り片側8ドライバの多ドラハイブリッドモデルは7つのバランスドアーマチュアドライバ(BA)と、一つのダイナミックドライバ(DD)という異なる二種のドライバで構成されています。これまでのU10000帯多ドラハイブリッドモデルの中では上位ですが、ZARはA10000帯に格上げされており、発売当時のTrn VX Proが片側9ドライバ、8BA+1DDハイブリッドドライバモデルでもU10000帯モデルだったこと。CCA HM20が片側8ドライバ、7BA+1DDハイブリッドドライバモデルでU10000帯でしたので、正直割高感がありますしスペックも見劣りします。同じKZ ZASやZAXが、片側8ドライバ、7BA+1DDハイブリッドドライバモデルでU10000帯でその後継機ということ。昨今の原材料高騰を考慮してもやはり割高感を拭えません。

ZARの搭載ドライバですが、高音域用BAドライバには30019sシングルを一基採用。中高音域用BAドライバには50024sデュアル(2BA) 三基を採用し、全てのBAはDDと並列にシェル内部に配置しています。次に低音域用のダイナミックドライバには新世代ダイナミックドライバを初採用。従来のKZ系定番の10mm径二重磁気ダイナミックドライバとは異なります。

比較対象のHM20の搭載ドライバですが、高音域用BAドライバには30019sシングルを一基採用。中高音域用BAドライバには50024sデュアル(2BA) 三基を採用し、全てのBAはDDと並列にシェル内部に配置。このBAの構成と配置はZARも同様です。しかし、低音域用のダイナミックドライバには第三世代「XUN-7」ドライバを採用し従来のKZ系定番の10mm径二重磁気ダイナミックドライバとは異なる7mm径二重磁気ダイナミックドライバはダブルキャビティ採用と5ミクロンの超薄膜ダイヤフラム(振動膜)という、新世代ダイナミックドライバとなります。

もう一つの比較対象のKZ ZASのスペックは、こちらも片側8ドライバ、7BA+1DDとドライバ構成数は同じ。搭載ドライバは中低音域用のダイナミックドライバに10mm径二重磁気ダイナミックドライバを。BAは30019シングルの一基が高音域を担当しダイナミックドライバに並列に配置。50024sデュアル(2BA)三基が中高音域を担当し、こちらもダイナミックドライバに並列に配置。ZARとZASの違いは高音域用BAと中低音域用DDが新型に変わっています。

ZARとZASではDD傍に配置したBAを内部の音響キャビティ構造により正確な製造を実現しています。一方、HM20では従来のKZ系と異なり各BAにつながる音導管を採用しています。ZARとZASではKZ ASシリーズの音導管の役割とドライバの位置決めを兼用する音導カバーをシェル内部に配置し音響キャビティ構造を採用という違いがあります。一般的な音導管を採用したHM20に対し、内部音響キャビティ構造のZARとZASですが、どれも高音域1BAと中音域デュアル3BA(6BA)と低音域1DDの3way方式となっています。

 

前述の解説では分かり易さを考慮し高音、中音、低音域の3Way方式と説明していますが、実際には高音域用BAは超高音~高音域を担当し、中音域用BAは高音域~中高音域を担当しており、純粋な中音域とは言い難く、中音域はほぼDDがカバーし、それが中音~低音域の広範囲を担っています。その為、DDの性能が音質の絶対性能を決めていると云っても過言ではありません。出音をどんな音色にするかはチューニング次第です。そのチューニングを中華多ドライヤホンではBA等のドライバの足し算により、解像感や分離といった音質の評価に拘る部分を補う意図がそこにあります。しかし、残念ながらメインのドライバを補う目的の補助ドライバがBAだとすれば、やはり多ドラハイブリッドドライバモデルの音の大枠を決めているのはDDです。このDDの質を上げるとコストが上がる。それを選択したくないから補助ドライバを入れて多ドラ化する。結果、出音が不自然になる。音に一体感を持たせ不自然な音にしないために必要最低限の補助ドライバだけにする。又はコストを一点集中しシングルダイナミックドライバにするという、現在の流れになっているのは本末転倒ではないかと個人的に思っています。音質の絶対評価は「ドライバの質=コスト」という現実には抗えない「価格なりの音」という評価が存在する理由と考察しています。

 

次にZARのシェル本体は樹脂と金属のマテリアルハイブリッド構造が採用されています。シェル本体は樹脂製で、樹脂製シェル本体に金属製ステムノズルとフェイスプレートを接合した金属と樹脂という異なる素材のハイブリッド構造となります。一般的にシェルやステムノズルの材質により音質への影響があり、金属製シェルでは高音域の響き、反響が樹脂に比べて大きくなり、響きの美しさは金属が良好です。一方樹脂製では金属音等の高周波の音が吸収されてしまい、やや強めに鳴らす事でバランスをとる場合もあります。そのため、樹脂製でも金属製でも良い事だけではなく、メリット/デメリットの関係があり、ZARでは音響キャビティ構造を採用することで意図した音を安定して耳に届ける事ができるようにしています。

最後に付属ケーブルです。高品質銀メッキ銅線の8芯編込みケーブルです。ZASに付属していたものと同一で中価格帯中華イヤホンとして過不足のないケーブルです。更に、8芯編込みケーブルはしなやかで取り回しの良いケーブルとなっています。中華イヤホンメーカーでは付属ケーブルはリケーブル前提で質を落としコストカットしている場合がありますが、ZARではバランス接続を試したい方以外はリケーブルする必要を感じません。

 

以上の通り、スペックからはZARはZASの正統な後継機であり、KZ系ブランド、CCA HM20がZASの系譜と云えるモデルであることを窺わせます。前作のZASは従来のKZの中でも音質の良いモデルでした。HM20もKZ系ブランドのモデルの中でも音質が良く、好評でしたが、その理由の一つとして、それまでKZでは頑なにステムノズル内に配置したBAを止め、全てシェル内部に配置し音響キャビティ構造化されたことを挙げます。もちろんステムノズル内に配置することがダメな訳ではなく、従来のKZの様に無調整で配置すると耳障りな高音になるということが問題だったと考察しています。そして、ドライバ構成を比較すればHM20は新型ダイナミックドライバと音導管の採用と着実に進化しています。今回のZARが、評判の良かったZASやHM20と出音にどのような違いを魅せてくれるのか、楽しみですね。

 

※宜しければ過去のレビューもご参考ください

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KZ ZARの納期としてAliExpressでオーダーした場合、中国本土からの発送という事もあり、国内amazonのprime扱いのようにはいきませんが、オーダーから約一週間で届きました。最近はAliExpressでの購入でも従来の様に回復した印象です。特に「○○日配送」マークのある商品の発送は信頼できますし、平時のAliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月以上。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かるのが気になるところでしたが、最近は円安の影響で国内amazonとの価格差が殆どなく、そのメリットは殆ど感じません。最近はHiFiGoの利用も多いのですが、こちらは何故かAliExpressよりも到着が早い事が多いのがその理由です。

どちらも海外ネットショッピングであり心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、私は活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での取扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. KZ ZAR実機レビュー 

それでは、早速実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングはKZの豪華版の化粧箱です。表にはKZのロゴのみというシンプルなもの。

 

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蓋を開けると黒地の内装にイヤホンが収められ、その下部に商品名の刻印された金属プレートが収められています。

その内装を開けると付属品が箱の底に収められています。

 

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付属品は最近のKZに付属する溝有白色シリコンイヤーピースタイプではなく、従来の溝有黒色シリコンタイプのS、M、Lの3種1セット。他にはケーブルです。中価格A10,000帯としては寂しいもの。イヤホンとして使うための最低限の付属品です。

このあたりはイヤピ交換とリケーブル前提としたKZの割り切りなのかもしれませんが、A10,000でこれは酷いという印象を持ちます。

次に本体を見ていきます。

 

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ビルドクオリティですが、中華イヤホンの中価格A10,000帯として綺麗な仕上りです。樹脂シェルと金属フェイスプレートの合わせ面等も綺麗に揃っています。

カラーバリエーションは黒色のみ。

 

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そして注目するのはKZ系ではASシリーズで音導管に代わる音響キャビティ構造を採用していましたが、このZARではZAS同様に音響キャビティ構造を採用しています。DDから各BAに繋がる流路が確認できます。

 

続いて付属ケーブルを見てみます。

 

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付属ケーブルはZASに付属するものと同一の8芯銀メッキ銅線を編込み線としたもの。プレイヤー側コネクタはI字タイプ。イヤホン側はKZ-C、2ピン仕様。極性はもちろんKZ極性の上側がプラスです。この付属ケーブルは被膜にやや引っ掛かりがありますが、タッチノイズは殆ど感じませんし、肝心の耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的に柔らかくしなやかなものとなり取り回しは悪くありません。

従来のKZ系の付属ケーブルよりもグレードの高いものが採用されています。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、私はこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

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続いて他機種とのサイズ感や造形の比較です。

 

※画像左からKZ ZAS、KZ ZAR、CCA HM20

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ZARとZAS、HM20との外観の比較として、サイズ感はHM20がコンパクトです。ZARはZASと同じシェルと採用しておりフェイスプレート(FP)のデザイン違いとステムノズルがZARの方が太くなっています。ZARもZASも比較的大柄のシェルとなっているため、HM20が一般的なものと比較しても小柄となります。

シェルの材質は先述の通り、HM20のみステムノズル一体型の樹脂シェル本体に対し、ZARとZASもシェル本体は樹脂製ですがステムノズルが金属製です。また、三機種共にFPは金属製となり、マテリアルハイブリッド仕様となります。

重量やはりZARとZASの方が比較的重量を感じますが、HM20もそれほど軽量とは云えません。三機種共に耳への装着時には良好な装着感によって極端に重さを感じる事はないと思います。

ステムノズルの太さと長さ及び角度はHM20がやや長めですが一般的な長さでZARとZASが短めです。太さはHM20が一般的な太さでやや太め。ZARとZASは細めでZASが一番細い。角度は三機種共に同じでやや起きています。ステムノズル部には全てにメッシュフィルターがありHM20が一番目が細かい繊維フィルター。ZARも目の細かいフィルターという感じ。ZASも細かく細目ですが、それには及びません。ZARとHM20は音質への影響のあるタイプと云えますが、ZASは多少音質に影響がありそうですが異物混入による故障を防ぐタイプと云えそうです。

装着方法は三機種共にシェル本体の形状と付属ケーブルからはシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、先述の通りZARはステムノズルが比較的細めのため、イヤーピースは装着感への影響を考慮し普段通りか、または傘の形状を考慮して社外品を選択する等、耳への装着感を重視し選択してください。

付属品のイヤーピースよりは普段使っているメーカーの物へ交換推奨です。

最後に付属イヤーピースを見てみます。


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イヤーピースは従来のKZ系に付属する溝有黒色シリコンイヤーピースタイプが付属します。個人的にこのKZの溝有黒色イヤーピースでは傘がカサつきを感じ、堅めなこともありフィット感がイマイチです。最近のKZ系に付属する溝有白色イヤーピースでは適度なコシと傘表面にしっとり感があり遮音性も十分に感じます。A10000帯なのでもう少し良いものを付属してくれても良いと思います。

音質的には従来の溝有黒色イヤピは低音を厚くしてくれるタイプ。やはり、それよりも白色タイプの方が中高音がクリアに聴こえるタイプなので、未だマシだと思います。

この付属溝有黒色イヤピで私は耳が痛くなるため、手持ちのKBEAR 07 M-を耳の奥に栓をするように装着しフィットしています。

中華イヤホンでは付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じる事が多くあります。今回は付属のイヤピで上手くフィットした為、そのまま使用しました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感はもとより音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えない他社製へ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. KZ ZAR音質レビュー

いよいよ音質についてまとめていきます。

 

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昨年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音に脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

昨年はSony NW-ZX507を使用していましたが、やや演出感のあるドンシャリはメリハリがありグルーブ感のある音はSonyの音で音楽を楽しく聴く事が出来ました。しかし、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5の方がモニターライクながらも、決してつまらない音ではなくリスニングでも使えて万能と考えたからです。

 

Shanling UP5をUSB-DACで使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピはKBEAR 07 M-サイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「明るく派手目に鳴り、高音と低音がしっかり鳴る。低音は量感のある鳴り方」です。また音量がいつもより大きく感じたので、普段より音量を2下げました。

箱出しではやや高音域に強調感と低音にボワつきを感じましたが、鳴らし込み後は高音は落ち着き低音はほど良く締まり整い全体のバランスが良くなりました。

 

音場

普通からやや広め。奥行は感じ難く、横方向に広さがあります。やや平面的に感じられ立体感は薄めの印象です。

 

高音域

華やかさのある鳴り方で煌びやかさもあり響きもありますが、伸びやかさはそこまで感じられません。やや強調感を感じるものの嫌な感じはなく、存在感がある鳴り方。尖りは感じず刺さりは抑えられています。解像感は高めですが、鮮明な描写とは云えず、強調されている感じを受けるため、自然な感じではありません。超高音域の伸びも強調された他の高音にかき消されそれほど程感じません。

 

中音域

横に広さを感じるものの縦の奥行も感じられます。空間が特に広いとまでは感じませんが、華やかさのある鳴り方も整理されており嫌な感じはありません。奥行を感じ難いものの音数が多くなっても音が重なり団子感を感じ難く、音のゴチャつきは抑えられています。そのため解像感はそこまで高くはありませんが、悪いとも言えない感じ。どちらかと云えばやや良好という印象です。ボーカルはクリアでやや近い位置から聴かせてくれ、僅かにドライ傾向ですが不自然さを感じるような声色ではありません。

 

低音域

量感は十分で響きや広がりも感じらる音。低く広がり響く様な低音ではありませんが、豊かな低音と云えます。悪く云えばやや緩い低音。ただ大きく量感のある鳴り方ではなく、やや強調感のある音は意外と音の強弱や輪郭を正確に再現してくれる解像感を持っています。ベースラインは追いやすく、それでも中音をマスクする様な前面に出るような強さではありません。重低音は沈み込みは深さがあり、十分な強さがあります。

 

出音のバランス

一言で云えば高音域にやや強調感のある僅かに中高音寄りのドンシャリ。従来のKZテイストを残しつつ出音はバランスが良く普通に良い音。

 

高音は明るく煌びやかで響きのある音は華やかさがありますが、ただ強く鋭く尖った音が前面に出てくる音ではなく、ちょっと強めに鳴る音。多少強調されたくらいが心地良い高音域を演出してくれます。超高音までの伸びはそれ程感じませんが、高音域全体で不自然な強さで鳴る訳ではないので不快に感じる刺さりはありません。他の音域を押しのけて鳴るような無粋はなく適度な強調感は「丁度良い」と感じます。過剰な演出感の無い高音は全体のバランスでみれば丁度良い、適度な高音です。

中音は凹みを感じ難く、空間は横の広さを感じる一方で奥行は感じ難くやや平面的な印象。音が中心に集まる重なりは抑えられていて分離感は良好ですが、奥行きを感じ難くボーカルの周りにやや近い位置に重なる楽器の音が音数が多い楽曲ではごちゃつきを感じます。一方で音数の少ない楽曲では整理され見通しの良さを感じられます。解像感や分離が悪くないのに何故かごちゃごちゃする音は相性が出やすいのかもしれません。

ボーカルはやや近い位置からクリアで聴きやすい。高音や低音に埋もれる事はありませんが、声色は僅かにドライ寄りです。それでも息遣いやコーラスが聴き取りやすく明るい声を聴かせてくれます。一方で女性ボーカルのバラードなどでしっとりとした艶のある声も感じられます。

低音は量感は十分で全体のバランスで見ればやや多めの量感。高音中音をマスクする様な印象はありません。広がりや響きを感じられますが、低く広がるような音ではありません。悪く云えば緩く広がる音。一方で強さがありますので雰囲気の良い印象。アップテンポのリズミカルな曲との相性はそこまで良くありませんが、音の強さ、強弱を感じながらノリの良い曲との相性は良いと思います。バラードなどでは低音のゆったりとした広がりは感じ易く、雰囲気良く聴く事ができます。HM20のXUN-7ダイナミックドライバとの違いが感じられます。

重低音は沈み込みは深さがあり、十分な強さで広がりはそこそこです。

 

ここで考察を一つ。

ZARのDDは同社のZS10 pro XのDDと同じかと思いましたが、違うようです。ZS10 Pro Xも10mm径のダイヤフラムを変更した二重磁気のタイプではありませんでした。それはどちらかと云えばタイトに鳴るタイプです。ZARではマグネットのギャップを改良しているようなので、それの改良型がZARに採用されていると推察します。ZARではZS10 pro XのDDよりも低音を聴かせてくれています。

 

さて、ここからは他機種との比較です。先ずZASとの比較します。

ZASは立体感のある鳴り方が特徴です。ZARでは立体感は感じ難くくどちらかと云えば平面的な印象です。低音の質感はZARの方が中低音域の厚みがあり雰囲気が良い印象です。ZASも重低音域の力強さはありますが、中低音というか低音域の上の方のベースラインは薄めですので、低音域が強い印象は持ちません。高音は強調感があるZARに対し自然な強さのZASという印象ですが、伸びはZASの方が良い印象です。その分ZASの方が尖りを感じる事があります。ZARはそういう意味でも角が丸く解像感はZASの方にやや分があります。中音域はZASの方が見通しが良くクリアさで上回るものの、ZARの厚みのある鳴り方の方が好みの方もいると思います。ZASもZARも同じドンシャリではありますが、出音の印象が異なります。正直嗜好による違いなので、何方が上という事ではありませんが、個人的にはZASの方が好きです。

次にHM20との比較です。一聴して同傾向の音がしますが、やはりZARの方に低音域の力強さと厚みに分があります。HM20の強さと厚みが丁度良い方にはZARは強すぎると感じてしまうでしょう。高音域と中音域はほぼ同じ印象です。ボーカルがZARの方がやや近く感じられますので、この辺りも好みの違いとなります。

最後に中音域の厚みは同社のAS16 Proの中音域が同傾向と云えそうです。その二つで云えばBAの低音とDDの低音の違いがあり、低音域の質感はDDを搭載するZARの方が個人的に好みですが、ZARとZASとAS16 Proの三本を抑えておいて、余裕があればZS10 Pro Xを揃えておけばKZ系の複数BA機と多ドラハイブリッドモデルを堪能できると思います。

ZARは音楽を楽しく聴く事ができますし、中価格帯のリスニングイヤホンの中で音の完成度は高いので、KZから選ぶなら音質を疎かにしていないものを選びたいところです。

 

※以前のレビューもご参考ください

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まとめるとKZ ZARは同社の多ドラハイブリッドドライバ旗艦モデルとして、1年半ぶりの新製品に新型DDを採用し高音域のBA変更をする等、前作ZASをベースにKZ系他モデルからフィードバックを得て確実に音質をグレードアップさせた商品と云えそうです。

KZ系ブランドの中でもトップクラスの音質は極端な強ドンシャリモデルではなく適度なドンシャリサウンドバランスは普通に良い音を聴かせてくれます。

一方で、好みによりZASのバランスやHM20のバランスの方が丁度良いと感じられる方もいらっしゃると思いますし、どれの方が高音質とは一概に言い切れません。嗜好によってZARのようなリスニング用途としての出音のバランスの良い、丁度良いドンシャリよりも、高音域の刺激的な強さや低音のドンの量が多いバランスが好きな方にはもの足りなさを感じ評価が分かれてしまうかもしれません。

なお、音は確実に進化したZARはその販売価格がネックです。中華価格A10000帯となったKZ ZARにその価値を見出せるのか?が、今後のKZの課題ではないでしょうか。

 

高音   HM20 ≧ ZAR ≧ ZAS 

中音   ZAS ≧ ZAR ≧ HM20

低音   ZAR ≧ ZAS ≧ HM20

ボーカル ZAS ≧ ZAR ≧ HM20

※出音や音色の参考程度に

 

 

4. KZ ZARの総評

KZ ZARは同社の多ドラハイブリッドドライバ旗艦モデルとして一年半振りに登場しました。前作ZASをベースにKZ系CCA HM20等の良いとこどりしたドライバ構成は、新型DDを採用する等、真面目に作った様子が窺えます。その音質は前作ZASをブラッシュアップしCCA HM20を凌ぐKZ史上の最高作と云えそうです。KZのお家芸ドンシャリ」を下品にならないように上手くまとめたバランスの良い出音は、普通に良い音です。リスニングイヤホンとしてA10K帯の中でも遜色の無いレベルの高い音という印象です。一方でKZ系に求める音は「強ドンシャリ」という方々には評価が分かれるかもしれません。

とはいえ現在はAliExpressで9,000円前後、発売当時は10,000円超のプライス。国内amazonでは13,000円と正直高い。A10Kの商品なのに付属品がショボかったりするパッケージングにその価値があるかどうかは疑問しかありません。KZにはTrnの様に実直にモノづくりに向き合ってほしいと個人的に思う次第です。

 

最後に、今回は中価格帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2023年5月6日)は国内amazonやAliExpress等で発売されておりますが、昨今の円安のため、国内amazonとの価格差がそれ程なく、国内amazonでの購入がお勧めです。AliExpressやHiFiGoでは本国発送のため、リスクが有り少々難があると云えます。それでも、中華イヤホンの中でもその音質を含めクオリティの高さは十分満足できる内容となっておりますので、中価格中華イヤホンに挑戦してみようと検討中の方や間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実な国内amazonの取り扱いを待って。少しでも新製品を早く安く手に入れたい方はAliExpressやHiFiGoでの購入も検討してみてくださいね。

そしてなによりも購入するセラーにはくれぐれもご注意くださいませ。

 

ZAR

以下、付属ケーブル、イヤピ KBEAR 07 M-DAC UP5
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

HM20

以下、付属ケーブル、イヤピKBEAR 07 M-DAC UP5
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

ZAS
以下、付属ケーブル、イヤピKBEAR 07 M-、DAC UP5
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★  
※☆0.5、★1.0

 

 

あとがき

今回は中華イヤホンの中価格帯の商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後は低価格だけではなく、中価格の中華イヤホンも扱っていきます。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

BLON x HBB Z300 レビュー

こんにちは。

今回はいつもの低価格中華イヤホンレビュー編として、低価格U5000帯で発売された1DDモデルのBLON x HBB Z300についてレビューをまとめたいと思います。

国内amazonのLinsoul Audio(@Luke32344614)で取り扱いがあります。

 

 

AliExpressでも取扱があります。

ja.aliexpress.com

 

Linsoul Audioの直販サイトはコチラ

BLON X HBB Z300www.linsoul.com

 

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1. BLON x HBB Z300について 

BLONは中国の数多あるオーディオブランドの一つです。BLONと云えば、以前BL-03やBL-01をレビューしています。どちらも音楽的にバランスの良い音質のイヤホンでありBLONは高音質の商品を多く世に送り出しています。その音質はリスニングサウンドに優れており、良い意味で普通でありながら、堅実な音質傾向が特に海外の中華イヤホンファンから支持され、音質に定評のあるメーカーとして注目されています。

そのBLONから新製品のBLON x HBB Z300が発売されました。BLON x HBB Z300はその名にある通り、海外有名レビュアー「HBB」とのコラボレーションモデルとして、HBB氏の音質監修に基づきチューニングされています。

またBLON x HBB Z300にはHBB氏のチューニングのみではなく、以下の特徴が挙げられます。

  • 優れたオーディオ性能を実現する最先端の10mmシリコンダイアフラムを採用
  • 耐久性の高い18K金メッキ亜鉛合金シェルを採用し、竜を模したFPデザイン
  • リケーブル可能な4芯高純度銅ケーブルを採用し、優れた透明度と透明性を実現

最近の中華イヤホンは海外有名レビュアーとのコラボレーションが盛んにおこなわれています。面白いのは各レビュアーの嗜好がやはりそこにはあるという事です。とはいえベースにあるのはハーマンターゲットカーブです。それをベースにベースとなった商品の特性を活かすこと。レビュアーの嗜好というスパイスを加えたコラボレーションモデルは多くの場合で成功しています。つまり、このBLON x HBB Z300も期待値が高くなるという訳ですね。

 

さて、BLON x HBB Z300のスペックですが、シンプルなシングルダイナミックドライバ(1DD)モデルです。DDのダイヤフラムには最先端の10mmシリコンダイアフラムを採用し、優れたオーディオ性能を得ることに成功しています。この珍しいダイヤフラムは臨場感があり音を正確に表現しクリアで自然なサウンドを提供できます。

そして、強さと柔らかさの両立し同時に実現するように設計されており、そのバランスが取れた音は解像感を備えたサウンドを生み出します。鮮明さと豊かさの兼ね備えたバランスにより、高音から低音までの細部のニュアンスを正確に描写するサウンドを提供できるとメーカーは謳っています。

次にシェル本体はオール金属製です。18K金メッキ亜鉛合金で造られたシェル本体は耐久性があり、洗練されたデザインを採用しています。竜を模したフェイスプレート(FP)にオーソドックスなシェルの造形はモダンであり優雅さと風情を感じられる外観としています。特に金メッキのシェルカラーは優雅さと高級感のあるデザインとなっています。

最後に付属ケーブルです。Z300のケーブルには高級線材を採用し耐久性にも拘っています。4芯高純度銅線の編込み線は、明瞭さと透明性が高く音の全てを高い精度で伝えます。また、リケーブル可能とし、お好みのケーブルに交換することで、より多くの音への可能性と変化を楽しむことができます。更に、1本あたりが太めの線材は程良い堅さがありながらもしなやかで取り回しの良いケーブルとなっています。中華イヤホンメーカーでは付属ケーブルはリケーブル前提で質を落としコストカットしている場合がありますが、Z300をプロデュースするにあたりHBBの拘りが垣間見えます。そのためBLON x HBB Z300ではバランス接続を試したい方以外はリケーブルする必要を感じません。

 

※宜しければ以前のレビューもご参考ください

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BLON x HBB Z300の納期としては現在(2023/5/4)国内amazonでも取扱がありますが、本国発送扱いですのでPrime扱いの様に当日発送、翌日配達とはいきません。私の場合も本国発送でしたが、AliExpressでオーダーした場合と同様にかなり安定しており、10日前後で届きました。ほぼ平時に戻った印象です。尤も従来の平時であればAliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressや海外サイトでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かるのが気になるところでしたが、最近は円安の影響で国内amazonとの価格差が殆どなく、そのメリットは殆ど感じません。

まあ海外ネットショッピングで心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. BLON x HBB Z300実機レビュー 

それでは、早速実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングは白を基調としたシンプルなスリーブタイプの小箱です。表面にはFP同様に竜を模したイラストが中央部に大きくプリントされており、左上にはHBBコラボレートを示すHBBのロゴがあります。

 

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スリーブを外すと白を基調とした内装にイヤホンが収納されています。

 

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内装を取り外すと箱の底に付属品が収納されています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースタイプのS、M、Lの3種が2セット。他にはケーブルとイヤホンポーチです。低価格U5000帯として必要十分なものが揃った付属品となります。

 

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BLONのロゴの入ったイヤホンポーチはBLONの他の製品にも付属するものと同じです。

 

次に本体を見ていきます。

 

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シェルの造形はオーソドックスなカスタムIEM風のもの。シェルは比較的コンパクトですが、厚みがあるためやや大きく感じますが、実際にはコンパクトな部類と云えます。金属製シェルは重量感がありますが、耳への装着時はその装着感の良さから重さをそれ程感じません。

フェイスプレートには先述の通り竜を模したデザインが施されており、シェルの金メッキにより煌びやかなデザインと云えます。特徴的なフェイスプレートデザインと金色の本体のイヤホンは他の人とは違うものを求める人には良さそうです。

肝心のビルドクオリティは、中華イヤホンの低価格U5000帯として綺麗に仕上っており、シェルの合わせ面も綺麗に揃っています。

カラーバリエーションはゴールドとダークブルーの二色です。今回は勿論ゴールドを選択しています。

続いてケーブルです。

 

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付属ケーブルは先述の通り高品質4芯高純度銅線を編込み線としたもの。価格帯的にかなりケーブルにコストを掛けたものと云えます。プレイヤー側コネクタはI字タイプ。イヤホン側は特殊2ピン仕様。QDCやTFZとも異なる四角形のコネクタ形状の2ピンです。極性はKZ系と同様に上側がプラスです。この付属ケーブルはやや堅さがありますが、意外としなやかさがあります。また、タッチノイズを感じにくく、肝心の耳への装着性や使用感は悪くありません。イヤホン側にはシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的に取り回しは悪くありませんので、バランス接続をしたい方以外は音質的にもそのまま使用することでBLON x HBB Z300らしさを感じられると思います。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

次に他機種との造形の比較です。

 

※画像左からKiwiEars CADENZA、BLON x HBB Z300、TiNHiFi C3

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BLON x HBB Z300とC3、CADENZAの外観の比較として、サイズ感はC3がやや大きく、CADENZAとZ300はほぼ同じ。CADENZAの方がコンパクトに見えますが、シェルに厚みがありますので体積はほぼ同じです。とはいえC3も一般的には十分コンパクトな部類になると思いますので、Z300はコンパクトと云えると思います。

ステムノズルの長さと太さ、角度ですが、長さはこの中ではZ300が僅かに長く、次いでCADENZA。C3が一番短くなります。太さはCADENZAが一番太く、次いでC3。Z300は一番細くなりますが、一般的な太さと云えます。角度はCADENZAが一番起きていて、次いでZ300、C3の順に寝ています。

Z300とCADENZAはほぼ同じサイズ感であり、この中ではそのコンパクトさが目立ちませんが、一般的なサイズ感のC3と比較してもやや小さい程度。その中でもZ300は特にオーソドックスな造形と云えます。何よりもその造形の見た目通り耳への収まりが良く装着感は良好です。

ケーブルを接続するイヤホン側のコネクタ部はC3とCADENZAはフラット2ピンですが、Z300は先述の通り特殊形状です。とはいえ、リケーブルの際は通常の2ピンコネクタを選択しておけばそれほど気にする必要はないと思います。

シェルの材質は、C3とCADENZAはオール樹脂製。Z300は先述の通りオール金属製のためやや重量感があります。

重量はZ300がやや重さを感じますが、造形がオーソドックスのため、耳への装着感が良く、重さをそれほど感じないレベルです。寧ろ耳への装着感はステムノズルの太さに影響を受けやすくZ300は一般的な太さのためイヤピ選びは通常のサイズ感で良いと思います。

ステムノズル部には全てにフィルターがあります。全て金属フィルタですが、Z300とC3はメッシュフィルタなので他の機種よりも音質への影響のあるタイプと云えます。それに対し、CADENZAは異物混入による故障を防ぐタイプの様です。

三機種共にシェル本体の形状と付属ケーブルからはシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、前述の通りZ300はステムノズルが一般的な太さですので実際に装着した際にも圧迫感は少なく、付属イヤーピースで耳の奥にやや浅めに栓をするように耳に密着させ装着するとフィットしました。そのため付属のシリコンイヤーピースで上手くフィットする事ができれば音質的にも必要十分だと思います。

 

最後にイヤーピースを見てみます。


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付属のシリコンイヤーピースはC3と同じ黒傘黒軸の一般的な形状の丸穴径、傘の裾野が弾丸タイプと白傘イヤピの同形状の2種です。他社製含むサードパーティー商品との互換性の高い一般的な形状は選択肢が増えますので安心です。

付属黒イヤピは音質的にはダイレクトに音を届けてくれ、やや低音がしっかりとするタイプの印象です。白イヤピは中高音をクリアにして僅かに低音を弱めてタイトにさせ全体のバランスをやや腰高にしてくれる印象です。どちらのイヤピも軸は傘の裾野よりやや短めとなりますので耳への装着時はイヤピを耳奥へ挿入しやや浅めに栓をするように耳へ密着させることで私はフィットしました。付属イヤピで装着感に問題ない場合を除き、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。

幸い付属イヤーピースで私はフィッティングが上手くいきました。また、白イヤピの方がバランスが良く感じましたので、そのまま付属白Mサイズを使用しています。

低、中価格帯に付属するイヤーピースは装着感が悪く、音質的にも実力を発揮できないと感じますが、今回は付属のシリコンイヤピで上手くフィットできました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. BLON x HBB Z300音質レビュー

いよいよ音質についてまとめていきます。

 

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昨年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音に脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

昨年はSony NW-ZX507を使用していましたが、やや演出感のあるドンシャリはメリハリがありグルーブ感のある音はSonyの音で音楽を楽しく聴く事が出来ました。しかし、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5の方がモニターライクながらも、決してつまらない音ではなくリスニングでも使えて万能と考えたからです。

Shanling UP5をUSB-DACで使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

 

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属白傘イヤーピース Mサイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「中低音に厚みがあり華やかさのある音。高音は華やかで低音はしっかりと鳴る音。やや中低音寄りのドンシャリバランス」です。

箱出しでは低音が膨らみボワつきを感じましたが、鳴らし込み後は低音は締まり、高音とのバランスが取れた音という印象です。

 

音場

普通の広さという印象。前後はそれほど奥行を感じませんが、左右はやや広さを感じられます。奥行きをそれ程感じないこともあり立体感はそこそこ。空間の広さもそれ程感じません。

 

高音域

適度な華やかさは抑えめな印象を持ちますが、必要な時に必要なだけ鳴り過不足はありません。上までの伸びやかさはそれ程感じらませんが、響きや余韻はありますので適度な存在感があります。華やかさはあるものの、無駄に騒がしいと感じるような常に前に出る様な感じはないあくまでも適度な鳴り方。低価格帯の中華BA搭載機でよくある高音が常に前に出るようなことはありません。そのため刺さりや尖りは感じません。解像感は良好ですが、特筆する程ではなく、鮮明さも程々。

 

中音域

華やかさがありますが、音が集まる団子感や音が重なるゴチャつきを感じ難く整理された鳴り方です。音の立ち上がりは良好で解像感も悪くありませんし明朗に鳴らします。ボーカルはクリアで僅かに近い位置から自然でニュートラルな声色の印象です。

 

低音域

量感は適度で響きや広がりも感じられますが、強さで誤魔化す鳴り方ではなく音階や強弱といった低音域の解像感は良好です。ベースラインは追いやすくボーカルよりも前に出るような不自然さはありません。重低音は沈み込みは深さがあり、強さがありますので過不足を感じません。

 

出音のバランス

一言で云えばやや中低音寄りの弱ドンシャリ。高音域はどちらかと云えば暗い印象となりますが自然な量で自然な強さで鳴らしてくれます。低音は適度な量感で過不足はありません。出音のバランスが良く最近の中華イヤホンの流行りのハーマンターゲット近似の音と云えます。

 

高音の華やかさは適度な強さで必要十分に感じられます。響きや余韻も感じられます。適度な華やかさはありますが何方かと云えば暗めの高音域のために低価格帯のBAに慣れた方には明るさが足りずもの足りなさを感じられるかもしれません。それでも、誇張の少ない高音域は自然な強さで鳴り不自然さを感じることはありません。演出感の少ない自然な鳴り方は耳触りが良いものの、超高音域までの伸びやかさはそれほどありませんが、なめらかに鳴り、小さな音も感じ取れます。解像感や描写は悪くありませんが、鮮明という程ではなく、やや丸みを帯びた音。全体の出音のバランスを調整し整えられている印象です。

中音は僅かに凹みを感じますが、ボーカルは自然な位置にあり楽器の音はその周りに位置しています。厚みのある中低音域は華やかさがあり分離も良く整った音は解像感も悪くありません。

ボーカルは僅かに近い位置からクリアに聴く事ができます。周りの音や高音や低音にも埋もれることはありません。声色は自然で息遣いを感じられ艶も感じられます。そのため女性ボーカルのバラードなどでしっとりとした艶のある声を楽しめますし、アップテンポな曲でも伸びやかさを感じられます。

低音の量感は適度で響きや広がりも適度に感じられます。その一方、締まりのある音は、スピード感のある曲にも対応する懐の深さがあります。音階や強弱の描写も掴みやすく、解像感と雰囲気の良さを感じられる整った音。

重低音は沈み込みは適度に深く、強さを感じられる音。低価格帯でよくあるただ強く大きく鳴らす音ではありません。適度な低音域は中音域の下の方にも厚みを持たせてくれます。

 

他機種との比較としてTiNHiFi C3と比較した場合、中低音寄りのほぼ同じ音質傾向という印象です。Z300の方がやや高中音域の主張を感じます。超高音域の伸びも同等です。低音域はC3の方がややしっかりと鳴らす印象ですが、イヤピの影響かもしれません。中音域の厚みは同様ですが、C3の方が僅かに厚みを感じますし、中高音の解像感はZ300の方がやや良好。全体のバランスはどちらも暖色傾向という印象ですが、Z300の方が僅かに重心が高い印象です。これもイヤピの影響かもしれません。

次にCADENZAとの比較では、CADENZAがやや中高音寄りのドンシャリです。以外にも低音がしっかりとした音は、高音域は鮮明にしっかりと鳴らし、中音域を華やかに彩らせた高中音域を聴かせる硬質な音です。そのためZ300の高音域をやや暗めに鳴らす中低音域を厚めに充実させた音とは真逆の音と云えます。

最後にもう一つ。HBB氏のコラボモデル、Khanとの比較です。狙う方向性は同じですが、KhanとZ300の違いは高音域です。分かり易く違うのは低音域の強さですが、高音域の描写力はZ300の方に分があります。低音域は圧倒的な強さのKhanに対し、適度なZ300というもの。Khanの音は好きな人にはハマる音ですし、Z300は万人に受け入れやすい音です。

 

※過去レビューも参考ください

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まとめるとBLON x HBB Z300はTiNHiFi C3と同傾向の音質傾向であり、高音域に若干のアクセント違いのある弱ドンシャリです。高音域は自然に鳴らし中低音域を厚めに鳴らす音造りが万人が受け入れやすい音でありながら、各音域の聴かせ所をちゃんと聴かせてくれるのが特徴と云えます。ハズレの無いハーマンターゲットの音作りは海外では人気の出やすい音造りなのですが日本国内のポータブルオーディオファンは中高音寄りフラットが人気が高い市場ではやや苦戦しそうな印象です。それでも同価格帯では間違いなく高音質と云え個人的には好きな音です。

一方で従来の低価格帯中華イヤホンの強ドンシャリの音が好きな方には評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   CADENZA ≧ Z300 ≧ C3 

中音   Z300 ≧ C3 ≧ CADENZA

低音   C3 ≧ Z300 ≧ CADENZA

ボーカル Z300 ≧ C3 ≧ CADENZA

 

 

4. BLON x HBB Z300の総評

BLON x HBB Z300はHBB氏が音質を監修したコラボレーションモデルとして間違いなく高音質と云えます。価格帯で見ればU5000クラスの中でも上位に入ると云え、普通に高音質のイヤホンとしてお勧めできます。中低音域を厚めに充実させた音作りながらも各音域の聴かせ所を間違わない音は一般層には受けが良いと思いますし、海外では高評価となりそうな音質傾向です。一方で日本国内のマニアには高音域中心の音が好まれる傾向があり、評価は分かれそうです。個人的にはそれでもBLON x HBB Z300は普通に高音質と云えますしバランスの良い音質は音楽を楽しく聴く事ができる良いイヤホンと評価しています。

 

最後に、今回は低価格U5000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2023年5月4日)は国内amazonやAliExpress等で発売されております。それ故に昨今の円安からは国内amazonでの購入が安心感があってお勧めです。AliExpressでは本国発送は勿論のこと、納期が掛かりますしその入手性には少々難があります。それでも、中華イヤホンの中でもその音質を含めクオリティの高さは十分満足できる内容となっておりますので、低価格中華イヤホンでちょっとよいものを検討中の方や間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実な国内正規品取り扱いを待って。少しでも新製品を早く安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

Z300

以下、付属ケーブル、付属白イヤピ MDAC UP5
高音★★★★☆ 
中音★★★★★  
低音★★★★★ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

C3

以下、付属ケーブル、付属イヤピ MDAC UP5
高音★★★★☆ 
中音★★★★★  
低音★★★★★ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

CADENZA

以下、付属ケーブル、付属イヤピ MDAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★☆  
低音★★★★★ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★ (硬質な音)

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回は中華イヤホンの低価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後は低価格だけではなく、中価格の中華イヤホンも扱っていきます。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

SIMGOT EW100P レビュー

こんにちは。

今回はいつもの低価格中華イヤホンレビュー編として、低価格U5000帯で発売された1DDモデルのSIMGOT EW100Pについてレビューをまとめたいと思います。

海外販売サイトのLinsoul Audio(@Luke32344614)で取り扱いがあります。

 

SIMGOT EW100P

 

AliExpressでも取扱があります。

ja.aliexpress.com

 

Linsoul Audioの直販サイトはコチラ

SIMGOT EW100Pwww.linsoul.com

 

 

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1. SIMGOT EW100Pについて 

SIMGOTは中国のオーディオメーカーです。SIMGOTと云えば、以前レビューしたEM2やその後継機EM2 Roltion、名機と評されるEN700Proがあります。そして最近はEA500が音質が良いと評判になており、A10000帯のモデルの中でポータブルオーディオファンに注目されています。そのSIMGOTが今度はU5000帯に新たな刺客を投入してきました。それが、EW100Pです。

EW100Pは販売価格が約3,000円とこれまでの同メーカーのエントリーグレード、MT3の実売約7,000円を大きく下回っていることに驚かされます。そして、価格が下がったからといってSIMGOTは手を抜くことはなく、ドライバには最近のトレンドのLCPダイヤフラムを採用しデュアルキャビティ構造とした新開発ダイナミックドライバを搭載するなど、妥協をしていません。

 

それではEW100Pのスペックを確認してみます。

シンプルなシングルダイナミックドライバ(1DD)モデルです。ダイナミックドライバには10mm径の薄膜液晶ポリマー(LCP)素材のダイヤフラム(振動膜)を採用し、デュアルキャビティ構造とすることで、正確な音場と音像を再現し臨場感のあるサウンドを実現しています。

 

次にEW100Pのシェル本体はドライバを内部に収める金属製のユニット構造とし、それを樹脂のシェルカバーによって包んだ金属と樹脂のハイブリッドマテリアルです。シェル本体はコンパクトであり、その造形により良好な装着感が得られます。

最後に付属ケーブルです。銅線を銀箔でシールドした銀箔銅線を採用しています。これにより不要なノイズを防止し、優れたリスニングを提供します。中華イヤホンメーカーでは付属ケーブルはリケーブル前提で質を落としコストカットしている場合がありますが、EW100Pでは必要十分であり、取り回しの改善やバランス接続を試したい方以外はリケーブルする必要を感じません。

 

※宜しければ以前のレビューもご参考ください

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SIMGOT EW100Pの納期としては現在(2023/5/2)国内amazonではまだ取扱がありません。AliExpressでオーダーした場合、最近の10日間配送であれば1週間も掛からずに届きます。最近の本国発送の場合でも、ほぼ平時に戻った印象です。尤も従来の平時であればAliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressや海外サイトでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かるのが気になるところでしたが、最近は円安の影響で国内amazonとの価格差が殆どなく、そのメリットは殆ど感じません。

まあ海外ネットショッピングで心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. SIMGOT EW100P実機レビュー 

それでは、早速実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングは銀を基調としたシンプルな小箱でスリーブタイプ。表面の鮫のイラストが目を引くメーカーロゴと商品名というシンプルなものになりますが、注目はハイレゾロゴです。

 

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スリーブを外すと黒を基調とした内箱は中央にメーカーロゴがプリントされています。

 

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内箱の上蓋を開けると黒地の内装にイヤホンが収納されています。

内装右側の黒い小箱と内装を取り外した下に付属品がそれぞれ収納されています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースタイプのS、M、Lの3種が1セット。他にはケーブルです。低価格U5000帯として必要最低限なものが揃った付属品となります。

 

次に本体を見ていきます。

 

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シェルの造形はシェルの角は丸みを帯びたもの。シェルは結構コンパクトです。コンパクトなシェルは軽量となっており装着感は良好です。

フェイスプレートにはドライバユニットの一部が埋め込まれる形となっており、合理的なデザインと云えます。

肝心のビルドクオリティは、中華イヤホンの低価格U5000帯として綺麗な仕上りでありシェルの合わせ面も綺麗に揃っています。

カラーバリエーションは黒のみです。

続いてケーブルです。

 

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付属ケーブルは先述の通り銀箔でシールドされた銅線を並列フラットケーブルとしたもの。価格帯的には十分にケーブルにコストを掛けたものと云えます。プレイヤー側コネクタはL字タイプ。イヤホン側はフラット2ピン仕様の極性はKZ系と同様に上側がプラスです。この付属ケーブルは被覆が僅かに硬さがありますが、適度なしなやかさがあります。また、タッチノイズを感じにくく、肝心の耳への装着性や使用感は悪くありません。イヤホン側にはシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的に取り回しは悪くありませんので、そのまま使用しても不都合を感じる事はないと思います。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

次に他機種との造形の比較です。

 

※画像左からKiwiEars CADENZA、SIMGOT EW100P

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EW100PとCADENZAの外観の比較として、サイズ感は圧倒的にEW100Pがコンパクト。CADENZAも比較的コンパクトなシェルでしたが、EW100Pのコンパクトさが際立ちます。どちらもオール樹脂製ですが、内部金属ユニットの影響なのか重量はほぼ同じ。

ステムノズルの長さと太さ、角度ですが、長さはEW100Pが僅かに短く、角度はEW100Pの方が寝ています。太さはほぼ同じですが、一般的にはやや太めの部類。

一般的なサイズ感のCADENZAと比較してコンパクトさは贅肉をそぎ落とした造形と云えます。そして何よりもその造形は耳への収まりが良く装着感は良好です。

イヤホン本体のコネクタはEW100Pが埋め込み2ピンです。CADENZAのフラット2ピンに比べ、リケーブルの際はCIEMコネクタ(2ピンのピンの根本からコネクタ先端の形状が長い)を用意する必要があります。

シェルの材質は、CADENZAはオール樹脂製。EW100P先述の通り金属と樹脂のハイブリッドマテリアルとなります。

重量はどちらも軽量です。EW100Pは軽量と造形が相まって耳への装着感が良く、重さを感じないレベルです。寧ろ耳への装着感はステムノズルの太さに影響を受けやすく、どちらも太めと云えますのでイヤピ選びは重要です。

ステムノズル部には全てにフィルターがあります。どちらも金属フィルタですが、EW100Pの方がメッシュフィルタなので他の機種よりも音質への影響のあるタイプと云えます。それに対し、CADENZAは異物混入による故障を防ぐタイプの様です。

三機種共にシェル本体の形状と付属ケーブルからはシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、先述の通りEW100Pはステムノズルがやや太めなものの、実際の装着感は悪くなく、付属イヤーピースで耳の奥にやや浅めに栓をするように耳に密着させ装着するとフィットしました。付属のシリコンイヤーピースで上手くフィットする事ができれば音質的にも必要十分だと思います。

 

最後にイヤーピースを見てみます。


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付属のシリコンイヤーピースは白傘の一般的な形状の丸穴径、傘の裾野が弾丸タイプです。他社製含むサードパーティー商品との互換性の高い一般的な形状は選択肢が増えますので安心です。

付属白イヤピは音質的には中高音をクリアに音を届けてくれ、やや低音が締まるタイプの印象です。軸は傘の裾野よりもやや短めとなります。耳への装着時はイヤピを耳奥へ挿入しやや浅めに栓をするように耳へ密着させることで私はフィットしました。付属イヤピで装着感に問題ない場合を除き、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。

幸い付属イヤーピースで私はフィッティングが上手くいきました。そのまま付属白イヤピを使用しています。

低、中価格帯に付属するイヤーピースは装着感が悪く、音質的にも実力を発揮できないと感じますが、今回は付属のシリコンイヤピで上手くフィットできました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. SIMGOT EW100P音質レビュー

いよいよ音質についてまとめていきます。

 

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昨年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音に脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

昨年はSony NW-ZX507を使用していましたが、やや演出感のあるドンシャリはメリハリがありグルーブ感のある音はSonyの音で音楽を楽しく聴く事が出来ました。しかし、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5の方がモニターライクながらも、決してつまらない音ではなくリスニングでも使えて万能と考えたからです。

Shanling UP5をUSB-DACで使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

 

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属グレー傘赤軸イヤーピース Mサイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「高音と中低音に過不足のないまとまりのある音。高音は適度に。低音はしっかりと鳴る音。僅かに中低音寄りのドンシャリバランス」です。

箱出しでは低音が膨らみボワつきを感じましたが、鳴らし込み後は低音は締まり、高音とのバランスが整いました。

 

音場

普通からやや広め。前後はそれほど奥行を感じませんが、左右はやや広さを感じられます。立体感はそこまで感じられませんが、平面的といことはありません。空間の広さはそれ程感じませんが窮屈な印象はありません。

 

高音域

適度な華やかさは煌びやかさや響きが抑えめなものの十分。上までの伸びやかさはそれ程感じらませんが、適度な存在感があります。華やかさはありますが、騒がしさのないあくまでも適度な鳴り方。中華イヤホンの低価格帯の1BA+1DDハイブリッドモデルの様な高音が常に前に出るようなことはありません。そのため刺さりや尖りは感じません。解像感は悪くありませんが、鮮明さはそれ程感じません。

 

中音域

高音同様に華やかさはあります。音が集まる団子感や音が重なるゴチャつきを感じ難く整った鳴り方です。音の立ち上がりは良好で解像感も悪くありません。何方かと云えばクリアで明朗に鳴らします。ボーカルはクリアで自然な位置から声音も自然でニュートラルな印象です。

 

低音域

量感はやや抑えられている印象。適度な響きや広がりも感じられますが、何方かと云えば締まったタイトな鳴り方。音の大きさで誤魔化す鳴り方ではありません。音階や強弱といった低音域の解像感も悪くはありませんが、それなりといった印象。ベースラインは追いやすく、ボーカルよりも前に出る事のない弁えたもの。重低音は沈み込みはそれほど深くありませんが、適度な強さがありますので不足を感じません。

 

出音のバランス

一言で云えばやや僅かに中低音寄りの弱ドンシャリ。高音域はやや暗い印象がありますが自然な量で鳴らしてくれます。低音はやや抑えられ締まった音は過不足はありません。出音のバランスが良く何処かを強調しない自然な音のバランス。

 

高音の華やかさ十分に感じられますが、響きは抑え気味。そのため華やかさはあるものの何方かと云えば暗めの高音域となりますが、その分耳障りなしつこさは感じません。必要な時に必要なだけ自然な量で鳴らしてくれますので不足を感じる事はありません。中華イヤホンの明るい高音域に慣れた方にはもの足りなさを感じられるかもしれませんが、演出感は少なく不快なシャリつきのない自然な鳴り方は耳触りの良い音。超高音までの伸びやかさはそれほどでもなく寸止まり感をやや感じられるものの、なめらかさはあります。小さな音でも感じ取れますが鮮明さはそれ程感じませんので解像感や描写はやや丸みを感じますが、寧ろ全体とのバランスでみると丁度良い印象です。

中音は凹みを感じ難く、ボーカルは自然な位置にあり楽器の音はその周りから少し離れやや後ろ辺りに位置していて奥行は感じられます。全体の中ではやや厚みのある中低音域は音の重なりを抑えられており分離は悪くありません。

ボーカルはクリアで自然な位置にあります。中音域の演奏の音や高音や低音にも埋もれることはありません。声色は自然で息遣いを感じられます。

低音の量感は抑えられており締まりのある音。響きや広がりは抑えられています。締まりのある音は、音階や強弱を描写してくれ、解像感も悪くありませんが、雰囲気の良い曲ではやや物足りなさを感じられます。締まりのある音は小気味良く誇張せずに描写してくれます。

重低音は沈み込みはそれほど深くありません。適度な強さを感じられる芯の感じる音。低価格帯でよくあるただ強く鳴らす音ではありませんが、多少の物足りなさを感じます。

 

同価格帯のTiNHiFi C2と比較した場合、ほぼ同じ音質傾向という印象です。しかし、C2の様な中高音域寄りのドライ傾向ではなく、暖かさのある印象です。EW100Pでは自然な音を聴かせてくれる印象ですが、C2の方がやや高音と低音が強く鳴っており、誇張された音に感じられるかもしれません。

CADENZAとの比較では、傾向の違いが明確でC2同様にドライ傾向です。解像感はCADENZAの方が上。音楽的な楽しさもCADENZAが上と云えますが、EW100Pは僅かに中低音寄りの中音域重視のなめらかさがあり、硬質なCADENZAに対し暖かみのある柔らかい音と云えます。

解像感を求めればCADENZA、次点でC2ですが、音楽的に普通に良い音で楽しめるイヤホンとしてはEW100Pのなめらかさはの好みの違いで選択することになります。

 

※過去レビューも参考ください

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まとめるとEW100Pは低価格帯の中華イヤホンにありがちなどこかの音域に特徴を持たせた一芸モデルとは異なり純粋に音楽を高音質で聴く事ができるイヤホンです。その音質傾向は僅かに中低音寄りの弱ドンシャリにまとめており、暖かみのある優しい音色です。一方で大人しめの鳴り方はつまらない音と云う印象を持たれる場合もありそうです。それでも同価格帯では間違いなく高音質とい云え、個人的には同価格帯の国産有名メーカーを買うならばこれをお勧めしたいです。

なお、低価格帯の中華イヤホンには特徴を求め、一芸に秀でたものを好まれる方には評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   CADENZA ≧ C2 ≧ EW100P  

中音   EW100P ≧ C2 ≧ CADENZA

低音   CADENZA ≧ C2 ≧ EW100P

ボーカル EW100P ≧ CADENZA ≧ C2

 

 

4. SIMGOT EW100Pの総評

SIMGOT EW100PはSIMGOTのエントリーモデルとして十分満足のいくモデルと云えます。その音質も低価格帯の中華イヤホンでよくある一芸モデルとは異なり真面目な音作りが好印象です。一方で普段は高価格帯の高音質モデルをお使いの方にとっては帯に短し襷に長しという印象を持たれる場合があり評価は分かれそうです。それでもEW100Pは普通に高音質と云えますしバランスの良い音質は音楽を楽しく聴く事ができる良いイヤホンとして、スマホ付属イヤホン等からの買い替え需要に安価な価格で入手可能ですので、その購入方法のハードルさえ超えられるのならば、お勧めと云えます。

 

最後に、今回は低価格U5000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2023年5月2日)は国内amazonでは取り扱いが無く、AliExpress等で販売となります。AliExpressでは本国発送は勿論のこと、納期が掛かりますしその入手性には少々難があります。それでも、中華イヤホンの中でもその音質を含めクオリティの高さは十分満足できる内容となっておりますので、中華イヤホンでちょっとよいものを検討中の方や間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実な国内正規品取り扱いを待って。少しでも新製品を早く安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

EW100P

以下、付属ケーブル、付属白イヤピ MDAC UP5
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

CADENZA

以下、付属ケーブル、付属イヤピ MDAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★☆  
低音★★★★★ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★ (硬質な音)

※☆0.51.0

 

C2

以下、付属ケーブル、付属イヤピ MDAC UP5
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★ (なめらかな音)

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回は中華イヤホンの低価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後は低価格だけではなく、中価格の中華イヤホンも扱っていきます。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

※2023/5/3 1項、スペックに画像追加と編集

※2023/5/4 3項、過去記事追加

 

Trn MT1 MAX レビュー

こんにちは。

今回はいつもの中華イヤホンレビュー編として、低価格U5000帯で発売されたシングルダイナミックドライバモデルのTrn MT1 MAXについてレビューをまとめたいと思います。

 

Trn MT1 MAX

 

AliExpressで取扱があります。

 

ja.aliexpress.com

 

HiFiGoサイトはコチラ

TRN MT1 MAX 10mm Dual Magnet Dynamic Driver In-Ear Monitorshifigo.com

 

 

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1. Trn MT1 MAXについて 

Trn MT1 MAXは低価格U5000帯中華イヤホンのシングルダイナミックドライバモデルとして今年4月に新発売されました。

TrnのMT1と云えば、以前レビューしており、A1000の低価格ながらも音質も侮れないモデルであり当時のトレンドだった低価格1DDモデルの一つでした。

そのMT1はMT1 Proを経て今回のMT1 MAXに進化しました。進化の過程を大雑把に振り返ると、初代のMT1は当時から現在のTrnへの変化の始まりを印象付ける「Trnの音」を体現する中高音寄りの音質です。それは何処かの音域を極端に強調せずに全音域をクリアに聴かせる音。やや高音域を強めにすることで解像感を得る音作りは、中華イヤホンの低価格帯にある「イロモノ」メーカー群からの脱却を感じさせました。後継機のMT1 ProはMT1のフラット寄りの中高音寄りの音に対し、明らかな音質変更をしており、中低音寄りのドンシャリ。一昨年A1000の1DDモデルがトレンドになった際にMT1の音作りは少数派で他メーカーは中低音寄りのドンシャリが多く、それらの方が一般受けが良かったという事と、MT1の音作りでは低価格帯で採用するダイナミックドライバでは限界があり、音が薄い印象があったのは否めませんでした。マニアに刺さる音から分かり易く一般的に受け入れられやすい音に変わったと云えます。その分当時Trnが展開していたTrnの音からは離れてしまい高音域の解像感やクリア感は今一つとなりました。これはMT1無印とProの何方が優れているという事ではなく、何方が好みかというユーザーの選択肢が増えたことは販売展開として間違ってはいないと考えます。そして今回TrnはMT1シリーズの最新作としてMT1 MAXを登場させました。MT1 MAXでは最近流行りの音質調整SWを搭載しており、SW設定がデフォルトの場合、初代MT1の音質傾向に近いものとなっています。

 

それでは、Trn MT1 MAXのスペックを確認していきます。片側に1基のダイナミックドライバ(1DD)を搭載したシングルドライバ構成のモデルです。このDDには新型10mm径の二重磁気ドライバを搭載。第四世代に進化したドライバにはナノコンポジット複合素材を採用。N52マグネットを二重に重ね合わせています。前世代よりも優れたパフォーマンスを発揮するように特別に開発された第四世代ダイナミックドライバは強力なN52マグネットとナノコンポジットダイヤフラムにより、優れた解像度、バランスの取れた周波数スペクトル、正確なHiFiサウンドを提供します。

 

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次に、先述の通りMT1 MAXには音質調整用のディップスイッチが3基搭載されています。3つのディップスイッチ(SW)をシェル側面に並列配置しています。

ディップスイッチ1(SW1)、ディップスイッチ2(SW2)、ディップスイッチ3(SW3)は以下のようにon/offすることで音質傾向を調整できます。

 

パターン SW1 SW2 SW3 音質傾向
1 on off off Bass Enhanced
2 off on off Treble Enhanced
3 on on off Balanced
4 off off on Xtra Bass

 

箱出し(デフォルト)は各SWはパターン3のBalancedに設定されていました。

後述しますが、上表の通り音質傾向調整SWにより4種の音質へ調整することができ、デフォルトのBalanced含む好みの音質傾向に調整することができます。

以下、HP引用です。

 

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ディップスイッチをBalancedにセットしたときのf特が黄色のグラフです。

各ディップスイッチによる変化をf特で示していますが、主に低音域が変化することが分かります。青のグラフ、Xtra-bass設定では高音域が全体的に下がりますが、低音域が盛られるというよりは高音域を減衰させているという印象です。音質レビュー項では実際に4種の音質を聴き比べてみたいと思います。

 

次にイヤホン本体にはステムノズルとシェル本体は一体型の樹脂製。フェイスプレートには金属プレートを嵌め込んだセミオープン仕様です。

最後に付属ケーブルです。詳細不明の4芯銅線のフラットケーブルを採用。元々中華ケーブルメーカーとしては少し寂しいものとなっております。Trnでは珍しく付属ケーブルをリケーブル前提で質を落としコストカットしている印象です。

 

※宜しければ過去記事もご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

Trn MT1 MAXの納期として今回HiFiGoでオーダー、1週間強で届きました。現在(2023/4/29)は国内amazonでもProme扱いとなっていますが、HiFiGoやAliExpressで購入し本国発送の場合でも以前の様な遅延はなく、10日配送補償等、ほぼ回復したと云えます。尤も、万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかるのが、海外通販のリスクです。

そんな訳で一般的に海外通販での購入は国内通販で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが偶に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットがありましたが、最近では円安でその恩恵も受け難く、国内では入手できない商品を早く手に入れる事がメリットと云えます。それらを天秤にかけた場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. Trn MT1 MAX実機レビュー 

それでは、実機レビューを以下、まとめていきます。


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パッケージングは白を基調とした商品名とイヤホンイラストがプリントされたスリーブタイプの化粧箱です。

 

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スリーブを外すと内箱の白地の台座にイヤホンが収納されています。

内装を取り外すと箱の底には付属品が収納されています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースS、M、Lの1セットの内、MサイズのみTrn新型イヤーピースT-earのMサイズ黒軸の組合せ。その他はケーブル、SW調整用のピンです。低価格U5000帯として必要最低限の付属品となります。

 

次にイヤホン本体を見ていきます。

 

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ビルドクオリティですが、全体的にシェルの合わせ面等のズレや隙間は無く綺麗に仕上がっています。一つ気になるのはステムノズル部に金型のゲートのバリが残っていました。ニッパーかカッターで除去すれば良いので問題はありませんが、気になる方は居ると思います。

カラーバリエーションはクリアと黒色のみ。

 

次にケーブルをみていきます。

 

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付属ケーブルは詳細不明。4芯銅線並列フラットケーブルです。被覆がゴムっぽい線材です。プレイヤー側コネクタはL字タイプ3.5mmステレオミニ。イヤホン側はKZ-Cタイプ2ピン仕様。極性はKZと同じ上側がプラスです。この付属ケーブルは被覆の見た目に反して取り回しは良好です。被覆表面のゴムっぽさにより引っ掛かりがありますが、肝心の耳への装着性や使用感は見た目から想像されるほど悪くありませんが、例えるなら3000円くらいで販売している国内メーカーの有線イヤホンのケーブルと同程度。まあ、リケーブルした方が使いやすいのは間違いないです。

そして、イヤホン側コネクタ付近にはシュア掛け用にチューブで癖付けされています。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、私はこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

続いて他機種とのサイズ感や造形の比較です。

 

※画像左からTrn MT4、Trn MT1 MAX、Trn TA

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MT1 MAXとTAが一番近しい造形で、MT4は少し異なる造形です。そのMAXとTAもシェルの耳甲介艇の突起のあるTAと異なりMAXにはそれがありません。何れも一般的な造形となりオーソドックス造形と云えます。サイズ感はほぼ同じで比較的軽量となり、装着時には殆ど重量を感じません。

MAXのステムノズルはシェル本体と一体型の樹脂で、MT4とTAはステムノズルが金属です。フェイスプレートはMAXには金属が嵌め込まれた樹脂製。MT4が金属。TAは樹脂です。

ステムノズルの長さや太さと角度はMAXとMT4が長さ、角度がほぼ同じ。MAXが僅かに太くなります。TAが一番長く僅かに寝ています。

また、ステムノズル部には三機種全てにフィルターがあり異物混入による故障を防げます。MAXは繊維フィルタを採用し音質に影響があるタイプ。その他は金属フィルタとなり、それほど音質に影響があるタイプではありません。

そして、シェル本体の形状と付属ケーブルからは三機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、装着感はステムノズルの長さや太さに影響がありますので、イヤーピースのフィッティングは重要となります。

 

最後に付属イヤーピースです。

 

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付属イヤーピースは最近のTrnに付属する白傘タイプS、Lサイズと、Mサイズのみ新型T-ear Tipsイヤピが付属しています。T-ear Tipsは某メーカーのイヤピによく似ていて傘はしっとりと柔らかい中にコシもありフィット感は良好です。音質的には高音域をやや減衰させるタイプです。

一方、白傘は開口部が大きく、中高音域をクリアにするタイプです。個人的に使い勝手はこちらが上なので、S、M、Lサイズ全部付属して欲しいくらいです。寧ろT-ear Tipsは要らないです。

音質的には好みにもよると思いますが、T-ear Tipsはやや小さめのため、個人的に耳に合わずスカスカになります。そのため、手持ちの別のTrnに付属していた白傘タイプ、Mサイズが個人的にはしっくりきました。このイヤーピースを私は耳の奥に栓をするように装着しフィットしています。

低価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じます。今回は付属のイヤピで上手くフィットした為、そのまま使用しました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感はもとより音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えない他社製へ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. Trn MT1 MAX音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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昨年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音に脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

そのため、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5はモニターライクながらも決してつまらない音ではなく、リスニングでも使えて万能と考えています。

Shanling UP5をUSB-DACとして使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

 

miineco106.hatenadiary.jp

 

より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

miineco106.hatenadiary.jp

 

Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。

miineco106.hatenadiary.jp

 

USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

miineco106.hatenadiary.jp

 

それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは他のTrn付属白 Mサイズ、付属ケーブルです。

SW設定はデフォルトのBalanced(SW1:on、SW2:on、SW3:off)です。

箱出しで聴いてみた第一印象は「しっかりと鳴る高音域。不足なく鳴る低音域のドンシャリ」でした。

箱だしでは高音域がやや粗い印象と低音に緩さを感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音は締り高音域は落ち着きました。

 

音場

普通の空間。狭くも広くもない普通。前後の奥行はそれほど感じませんが、左右も適度な広さを感じられます。

 

高音域

華やかに鳴りますが、必要以上に華やかさを感じるような鳴り方ではなく、適度な強さで鳴る音。音の立ち上がりはまずまず。刺さりを感じるような強さはありません。僅かに誇張された強さで、響きや余韻を楽しむというよりは、瞬発的なキレを楽しむタイプ。超高音域までの伸びはそれ程ありません。高音域はやや強めに鳴らす事で描写を重視していますが、解像感としては価格成り。音圧もそこまで強くありませんが、高音域が抑えられているような印象ではありません。どちらかと云えば大雑把に鳴らし、出音の強さで存在感を示します。

 

中音域

空間にそれほど広さは感じられませんが、窮屈な感じはありません。普通の広さの空間に華やかに鳴る音は、やや凹みを感じますが、必要十分。音が重なり中心に集まる団子感はそれほど感じず、音のごちゃつきは抑えられています。解像感は高音域同様に価格成り。それでもごちゃつきを抑えられておりクリアな音場が聴きやすい。ボーカルはクリアで自然な位置から聴かせてくれ、ややドライ気味で余韻は抑えられています。

 

低音域

量感は適度に抑えられていますが、強さがあります。余韻を楽しむような広がりは抑えられており、締まりのある音。不足を感じない適度な強さと芯のある締まった音はキレも良い。ベースラインは追いやすいですが、前に出すぎる事はありません。重低音の沈み込みは深さを感じ、芯の強さもあります。

 

出音のバランス

一言で云えばMT1の系譜の音。華やかな中高音寄りの弱ドンシャリ。出音のバランスは整っており極端に強調した音域はありません。

 

MT1でもクリアな空間に適度な強さの音のフラット寄りの出音でしたが、MT1で感じた音の薄さ、かさつきが改善されている。また、低音域もMT1では軽い印象でしたが、MAXではしっかりと鳴り、強さがあります。中音域の質感は価格成りではありますが、MT1の薄さを感じる音ではない適度な音の厚みは無印、Pro、MAXと三代目のMAXの進化を確実に感じられます。
デフォルトのSW設定、Balancedの音でも十分完成度は高く国産3Kの1DDモデルと比べても遜色ありません。MAXの方にSWがある分遊べますし、リケーブルもできるので断線も安心です。

次に、音質調整SWの設定変更を試してみます。

 

Bass-enhanced(SW1:on、SW2:off、SW3:off)
Balancedよりも音量が下がる。音量を2メモリあげて同じくらい。
高音が大人しく控えめになり、中低音寄りの音に。ベースラインが前に出る。とはいえ響きが良く鳴ったりするわけではなく抜けは良くない印象。
重低音はBalancedよりも膨らみを感じるが、ぼやけた印象もある。
Voに暖かさがでる。音にやや曇りを感じる。Proに近い音

 

Treble-enhanced(SW1:off、SW2:on、SW3:off)
MT1無印に一番近い。低音のアタック感が弱まりBalancedよりも薄味になるがMT1無印の様に音の線の細い軽い音ではなく適度に太く強さがある低音。
重低音も強さはあるが沈み込みはやや浅くなる。
全体としてやや高音が強調されている様に感じるが、その効果は僅か。

 

Xtra-bass(SW1:off、SW2:off、SW3:on)
中低音域が厚みがでてきて最もドンシャリバランスになります。高音と低音の強さのバランスが一番良く、音楽的には一番心地良く聴く事ができる。
僅かに曇りを感じるが、通常は気にならない。Balancedと比較して感じる程度です。Balancedよりも中音に凹みを感じます。
Voは一番艶やかに感じます。

 

SWによる音質調整の傾向として、割とはっきりと変化します。Balancedが一番最近のTrnらしさを感じられますが、Xtra-bassも個人的には好きな音でした。Treble-enhancedやBass-enhancedは確かにその通りに高音域重視と低音域重視に変化しますが、音のバランスに良い印象を持つ事ができませんでした。

MT1 MAXは第四世代ダイナミックドライバによりMT1無印の惜しかった部分とMT1 Proの受け入れやすい音をブラッシュアップし、SW設定により気分によって音質を変化させて楽しめます。上位のモデルとは異なり解像感の高さよりも音楽性を感じ、それを愉しむ音という印象です。

 

TAとの比較では音作りの意図は似ているのだと思いますますが、流石に高音域はBAのあるTAの方が一枚上手です。BAによる煌びやかな音を聴かせてくれます。それに対し、MT1 MAXでは全音域の音の厚みを持たせやや華やかさがあります。薄味のTAと普通の味のMT1 MAXは良い勝負。とはいえ、個人的には最新モデルのSW付のMT1 MAXの方を推したいです。

一方、数年前よりもドライバの質は確実に上がっているものの、やはり価格成りの部分も感じます。そういう意味で今はU5Kクラスではシングルドライバモデルの方が間違いがないのかもしれません。

 

※以前のレビューもご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

miineco106.hatenadiary.jp

 

まとめるとTrn MT1 MAXはMT1シリーズ最新作として初代MT1無印の音を踏襲したバランスの良い音ながらも音質調整SWにより無印とProの音をブラッシュアップした音質で楽しめるモデルです。その音質はリスニングに寄せており、解像感やモニターライクという音を聴くのではなく、音楽を愉しむ事ができる音質傾向です。

また、新しい第四世代ダイナミックドライバの進化にも今後も注目したいところです。なお、MT1 MAXはリスニング用途としてのバランスであり音楽を分析的に聴きたい方には評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   TA ≧ MT1 MAX ≧ MT1 

中音   MT1 MAX ≧ TA ≧ MT1 

低音   MT1 MAX ≧ TA ≧ MT1 

ボーカル TA ≧ MT1 MAX ≧ MT1 

 

 

4. Trn MT1 MAXの総評

Trn MT1 MAXは新しい第四世代ダイナミックドライバを搭載採用し、音質調整SWを搭載する等のイロモノモデルではなく、堅実な音質を感じられる高音質モデルです。流石に価格なりの部分を感じられることもありますが、同価格帯では高音質と云えそうです。リスニング寄りの音質傾向は聴きやすく心地良さがありお勧めできます。尤も、イヤピとケーブルは交換推奨ですので、実質A3Kモデルとなりそうなのが珠に瑕。

 

最後に、今回は今年4月に発売された低価格U5000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2023年4月29日)はHiFiGoで1,000円台で販売し、国内amazonでも取り扱いがあります。海外通販でもHiFiGoの発送は早く届くのも早い印象があります。これまでの中華イヤホンの中では安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは十分満足できる内容となっておりますので、低価格帯中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、新製品を少しでも早く(安く)手に入れたい方はHiFiGoでの購入も検討してみてくださいね。

 

MT1 MAX

以下、付属ケーブル、他のTrn付属白イヤピ M使用、DAC UP5、SW:デフォルト
高音★★★☆ 
中音★★★☆  
低音★★★★ 
音場★★★☆
分離★★★☆
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

 

MT1

以下、付属ケーブル、付属イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★☆ 
中音★★★☆  
低音★★★☆ 
音場★★★☆
分離★★★☆
お勧め度★★★★  

※☆0.51.0

 

TA

以下、付属ケーブル、付属白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★ 
中音★★★★  
低音★★★☆ 
音場★★★☆
分離★★★☆
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回は中華イヤホンの低価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後は低価格だけではなく、中価格の中華イヤホンも扱っていきます。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

SeeAudio x Z Reviews Rinko レビュー ※Rinko Touchを試す

こんにちは。

今回はいつもの中華イヤホンレビュー編として、中価格A10000帯で発売された1PD+1DDハイブリッドドライバモデルのSeeAudio x Z Reviews Rinkoについてレビューをまとめたいと思います。

 

国内amazonのHiFiGoで取扱があります。

 

US amazonでも取扱があります。

www.amazon.com

 

AliExpressでも取扱があります。

ja.aliexpress.com

 

HiFiGoサイトはコチラ

SeeAudio x Z Review Rinko 1DD+1Planar Dual-Driver Hybrid IEMshifigo.com

 

 

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1. SeeAudio x Z Reviews Rinkoについて 

SeeAudio x Z Reviews Rinkoは中価格A10000-U20000帯中華イヤホンのデュアルドライバモデルとして今年4月に新発売されました。

SeeAudioは中華イヤホンの新興メーカーです。SeeAudioは音質に定評のあるブランドとして注目されており、旗艦モデルのKaguyaやミドルレンジモデルのYUME IIやBraveryは同社の代表モデルです。そして、同社のブランドキャラクター「Rinko」は同社の商品と共に注目されています。2021年からは国内で正規販売が始まり、近年注目のメーカーと云えます。

そのSeeAudioが今回Z Reviewsとのコラボレートにより同社のブランドキャラクターの名を冠する「SeeAudio x Z Reviews Rinko」を発表しました。Z ReviewsはRinkoのチューニングを評して、「強力でタイトなローエンドを持たせると同時に、ミッドレンジのレスポンスを改善しボーカルの熱量を加えました。このIEMは、価格を上回る価値を目指しハイエンドに遜色の無い音色を耳に届けてくれることを目指しています。」と説明。加えて、「Rinkoは間違いなく同価格帯の中でも競争に勝ち抜き、他のIEMを凌駕すると思います。」とも。その言葉通り、SeeAudio x Z Reviews Rinkoは販売価格が13,000円とこれまでの同社のイヤホンとして非常に競争力の高い価格は、その音質次第では国内で正規販売されている国内や海外有名メーカーの中価格A10K-U20K帯の勢力分布にも大きく影響することは間違いありません。

 

さて、SeeAudio x Z Reviews Rinko(以下Rinko)のスペックですが、平面磁気駆動ドライバ(PD)とダイナミックドライバ(DD)の異なるドライバ2基を同軸配置するデュアルドライバ構成の1PD+1DDハイブリッドドライバモデルです。

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平面磁気駆動ドライバには新開発の6mm径ドライバを採用。この平面磁気駆動ドライバは従来の平面磁気駆動ドライバとは異なりかなり特殊な構造です。二つの円周マグネットを内外並列に配置。それを超薄膜ダイヤフラムを挟み込む独自のマイクロ平面ドライバを採用し高音から中高音域を担います。中低音から低音域用を担うダイナミックドライバにはカスタマイズされたダイナミックドライバを採用。それら二つのドライバを同軸配置し、PCBによって各ドライバのクロスオーバーを調整し音質を整えています。Rinkoはこの二つのドライバによって優れた応答性の高音域と深みのある低音域を実現し高音質化を図っています。

次にイヤホン本体には樹脂3Dプリント技術によるシェル内部を音響キャビティ構造とし、フェイスプレートにはアルミニウム合金の金属製を採用。特に現在主流の3Dプリンタによる高精度で自由度の高い造形が二つのドライバを確実に固定し設計通りの音響空間を確保できます。

更に付属イヤーピースにもZ ReviewsことZeosこだわりのシリコン素材とフォーム素材を組合せたハイブリッドイヤーピースを採用し、安定した音質と装着感を得られます。安価な中華汎用イヤーピースを交換前提で付属している訳ではありません。

最後に付属ケーブルです。高純度の4N無酸素銅(OFC)線の銀メッキ線を撚線としたものを採用しています。中華イヤホンメーカーでは付属ケーブルはリケーブル前提で質を落としコストカットしているところもありますが、高品質ケーブルを付属しています。

 

※宜しければ過去記事もご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

SeeAudio x Z Reviews Rinkoの納期として今回HiFiGoでオーダー、1週間強で届きました。現在(2023/4/14)は国内amazonでprime扱いとなっています。昨今、HiFiGoやAliExpressで購入した本国発送の場合でも以前の様な感染症の影響で遅延は少なくほぼ回復したと云えます。尤も、万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかるのが、海外通販のリスクです。

そんな訳で一般的に海外通販での購入は国内通販で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが偶に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットがありましたが、最近では円安でその恩恵も受け難く、国内では入手できない商品を早く手に入れる事がメリットと云えます。それらを天秤にかけた場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. SeeAudio x Z Reviews Rinko実機レビュー 

それでは、実機レビューを以下、まとめていきます。

 

2.1. SeeAudio x Z Reviews Rinkoのパッケージング 

先ずはRinkoから。


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パッケージングは白を基調としたRinkoのイラストが目を引くスリーブタイプの化粧箱です。※s/nの黒塗りご容赦ください

 

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スリーブを外すとスリーブのポップさからは打って変わり内箱は春っぽい桜模様の白箱に「SeeAudio」と表記されているシンプルなもの。

 

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内箱の蓋を開けるとRinkoのイラストが印刷されたスタンドが。


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スタンドを取り出すと白地のプラ製台座にイヤホン本体とケースが収納されています。


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イヤホンケースには付属品が収納されています。

 

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付属品はシリコンとフォームのハイブリッドイヤーピースがS、M、Lの3種1セット。他にはケーブル、イヤホンケース、Rinkoスタンドです。中価格A10,000-U20000帯としてやや寂しい付属品となります。また、今回別途添付のRinkoアクリルスタンドが付属しました。

 

※メーカー名入りのイヤホンケース(ジュエリーケース型)

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※Rinkoイラストのスタンド(色紙タイプ)
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※Rinkoアクリルスタンド(黒Rinko小悪魔風)

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そして更にSeeAudioとZeosが手掛けたアイテムにPC用キーボードのキーキャップがあります。今回はイヤホンとセットで入手しました。

 

2.2. Rinko Touchレビュー 

先ずはパッケージングから。

 

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Rinko Touchの化粧箱もポップな装いでRinkoがカラープリントされたスリーブケースタイプの化粧箱です。


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内箱はシンプルな白箱です。


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内箱を開けるとRinkoがプリントされたキーキャップが収納されています。

収納ケースは三段になっていて、お使いのUS配列のメカニカルキーボードに応じてメインの文字列類に加え、オプションとしてテンキーや方向キー等、61-104キーに対応しています。


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それでは早速手持ちのKeychron K10のキーキャップを交換してみます。


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K10オリジナルの生真面目さから一変。文字キーが白ベースのポップで明るいキー配列に所有感が満たされます。キー配列最上段のファンクションキーも付属していますが、Fn1-12の機能を全て覚えられないので、K10オリジナルのままにしています。


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Rinko Touchのキーの高さがK10オリジナルよりもやや低いので寧ろFn1-12キーとの高さのバランスは良いと感じます。このK10は青軸なのですが、キーキャップを交換しても当たり前ですが打鍵感に変化は無く、Rinkoキーキャップがやや背が低いもののストロークにも影響は無く、寧ろ低くなったことで指送りがスムースになった様に錯覚します。指触りも良いキーキャップはイラスト重視と侮ることはできません。そして相反しますが、何よりもENTERキー付近のRinkoがプリントされたキーが遊び心を刺激し自分だけのオリジナルキーボードへの満足感が高いです。

満足感の高いRinko Touchですが、個人的に惜しいと感じたのはK10オリジナルは自光式(実際にはバックライトが光る)キーキャップなのでキーにプリントされた文字が光りますが、Rinko Touchは光りませんのでK10のバックライトがキーの隙間から光るだけになります。日本で態々USキーボードを使うユーザーとしては自光式文字キーは採用して欲しかったです(まあ光らなくても困ることは全くありませんが)。

また注意点として、先述した通りFn1-12キーもRinko Touchには付属していますが、キーボードメーカーによってオリジナル機能を割り当てていることもあります。そのため何の機能が割り振られているのかが分からなくなる心配があります(覚えれば良いだけですが)。加えて、RinkoイラストがプリントされたENTERキー付近のキーには一部を除き文字が印字されていません。そのため何のキーなのか覚える必要があります。まあ、キーキャップを交換するくらいのユーザーが困るレベルの話ではありませんね。

  • Rinkoイラスト有/印字有キー BACK SPACE、\
  • Rinkoイラスト有/印字無キー ]、ENTER、/、shift、win、Fn、CTRL

 

HiFiGo Storeと国内amazonのHiFiGoでのみRinko Touchキーキャップを約9,000円で購入する事ができます。また、HiFiGo StoreではRinkoイヤホンとこのキーキャップをセットで購入も可能です。※1

アクリルスタンドだけでなく、PC用キーボードのキーキャップという新たなグッズの展開はファンには堪らないですね。

 

 

https://www.amazon.co.jp/dp/B0C1GCQW2V/mechkeys+rinko+touch/

 

次にイヤホン本体を見ていきます。

 

2.3. SeeAudio x Z Reviews Rinko実機レビュー 

お待たせしました。以下、イヤホン実機です。

 

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ビルドクオリティは中華イヤホンで心配されるような雑なところ感じさせません。中華イヤホンの低価格帯でよくあるようなシェルの合わせ面等のズレや隙間は無く綺麗に仕上がっています。

カラーバリエーションは黒色のみ。

 

次にケーブルをみていきます。

 

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付属ケーブルは先述の通り高純度の4N無酸素銅(OFC)線の銀メッキ線を撚線としたものを採用。プレイヤー側プラグはI字、イヤホン側は埋め込み2ピン仕様、イヤホン側コネクタの極性は上がプラスです。

この付属ケーブルはケーブル被覆のゴム質がやや強めで引っ掛かりがあります。そのため少々絡まり易いものの、しなやかさがあり耳への装着性や使用感は悪くありません。イヤホン側にはシュア掛け用にチューブで癖付けされ、中価格帯に付属するケーブルの中でも悪い印象はありません。ガンメタリックカラー被覆のケーブルは黒いシェル本体ともマッチしています。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、私はこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

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続いて他機種とのサイズ感や造形の比較です。

 

※画像左からSeeAudio x Z Reviews Rinko、7Hz LEGATO

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SeeAudio x Z Reviews Rinkoは比較的オーソドックスなシェルの造形です。そのシェルのサイズは比較的コンパクトです。LEGATOとの比較ではどちらも特徴のある造形ですので似ているものは思いつきません。

Rinkoは樹脂シェル本体と金属フェイスプレートのためそれほど重量を感じません。耳への装着感の良さもあり重量は感じません。LEGATOはオール金属シェルのためRinkoよりも重量を感じます。

ステムノズルの長さや太さと角度はRinkoはやや短く、一般的な太さ。角度は起きています。LEGATOはそれと比べ長く、太さがあり角度はそれよりもやや寝ています。ステムノズルには金属フィルタがあり、Rinkoはダストフィルタ機能として。LEGATOは外側金属フィルタですが、内側に繊維フィルタがありためそれとは異なり音質に影響があるタイプです。

そして、シェル本体の形状と付属ケーブルからは両機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、装着感はステムノズルの長さや太さに影響がありますので、イヤーピースのフィッティングは重要となります。

 

最後に付属イヤーピースです。

 

傘がシリコン素材、傘の内側にフォーム素材のインナーが入っているハイブリッドイヤーピースが付属しています。

 

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Zeos拘りの付属イヤーピースです。音質への影響を抑えながら耳への密着感を重視した結果、先述のハイブリッドイヤーピースが標準付属となっています。外側の傘は非常に薄く柔らかい材質です。軸と外側の傘の間にはフォーム素材が組み込まれており、反発力によって耳の中でしっかりと固定してくれますし、耳穴の密閉度も高くなります。

フォームタイプは一般的に高音域を減衰させる傾向があり、好みが分かれると思いますが、一般的なフォームタイプよりも比較的開口部は大きめで、ダイレクトに音を伝えてくれます。

付属タイプを試してみると低音がかなり主張させてくるタイプ。ただ膨らむというよりは全体の音域の中でも低音が目立つかなという印象です。音質的には好みにもよると思いますが、個人的には手持ちのSedna EarFit Shortが低音も損なわずに高音とのバランスがしっくりきました。このイヤーピースを私は耳の奥に栓をするように装着しフィットしています。

低、中価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じます。今回は中価格帯に付属するイヤピで上手くフィットしたものの、低音域の膨らみが気になり手持ちのイヤピを使用しました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感はもとより音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えない他社製へ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. SeeAudio x Z Reviews Rinko音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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昨年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音に脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

そのため、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5はモニターライクながらも決してつまらない音ではなく、リスニングでも使えて万能と考えています。

 

Shanling UP5をUSB-DACとして使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。

miineco106.hatenadiary.jp

 

USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

miineco106.hatenadiary.jp

 

それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピはSedna EarFit Short MSサイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「豊かな低音域としっかりとした中高音域のドンシャリ」でした。

箱だしでは高音域に対し低音域がやや量感多めに感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音は適度な量感になり高音域ののバランスが丁度良い塩梅になりました。

 

音場

空間の広さを感じ易い。前後は奥行があり、左右の空間を感じられ、立体感を感じられます。

 

高音域

煌びやかさがあり響きも良好です。上までの伸びやかさを感じ、十分な存在感がある華やかさのある高音域です。シャンシャン、シャリシャリと騒がしさを感じる様な主張の強さではない、強く前にでる音と小さく爽やかになる音が共存し、ごちゃつきを感じない分離の良い音は不自然さを感じ難く解像感も高い。複数BA機の高音の様な華やかさとシングルDD機の自然な音色の整った高音を両立しています。刺さりや尖りを感じない統制された出音は鮮明に耳に届きます。

 

中音域

華やかに鳴りますが、ごちゃつきを感じ難い整理された音。音が真ん中に集まる団子感や音が重なるゴチャつきを感じない立体感を感じられる鳴り方。音に広がりのある響きの良い音です。ボーカルはクリアでやや近い位置。声音は自然でニュートラル。息遣いを感じ易く声の揺らぎを感じられます。

 

低音域

量感は適度で響きや広がりを感じられ、音階や強弱といった低音域の解像感は良好です。音の広がりや響きの良さがありますが、適度に締まった芯のある音はやや強めの出音に感じられるものの不自然に誇張した音ではなく低音が効いていると十分感じられます。ベースラインは追いやすく、ボーカルよりも前に出るような主張ではなく曲調を支えます。重低音は沈み込みは深く、強さがあり、過不足を感じません。

 

出音のバランス

一言で云えばやや中低音寄りの弱ドンシャリ。高音域は明るく華やかにしっかりと鳴らす音。低音が音域の中ではやや強め。不足を感じない鳴り方は他の音域がかき消されるような下品な出音ではなく、バランスが良いドンシャリは心地良い音。所謂ハーマンターゲット近似の音ではありますが、低価格帯のそれとは異なり本来の音と云えるのかもしれません。

 

高音の煌びやかさは近くの強めの音と遠くの小さな音が感じられ、その距離感が掴みやすく、音の響き、その音の消え入る様を感じられます。華やかで明るい音は鮮やかに明朗に耳に届きます。必要な時に必要な量を鳴らし、不快な音にならずに不足を感じない鳴り方は複数BA機の華やかな高音域が好きな方にも不足感を感じ難いと思います。一方で複数BA機の高音域が得意ではない方にも十分な解像感と適度な華やかさが丁度良く感じられるのではないでしょうか。

中音は凹みを感じません。ボーカルがやや近い位置にあるのに対し楽器の音はその周りから少し離れやや後ろ辺りに位置し奥行を感じられます。音の距離感が良好で華やかさのある音なのに音が重なったりごちゃごちゃしていない。統制された音は空間に整理されて聴こえますので聴き難い、聴き辛い印象はありません。

ボーカルはクリアで周りの音や高音や低音にも埋もれません。やや近い位置から聴こえ、その声色も自然で息遣いを感じられ艶を感じられます。平井堅の声の揺らぎは彼の独特な声音をリアルに再現してくれます。女性ボーカルのバラードでしっとりとした艶のある声を楽しめますし、アップテンポな曲でも重さを感じさせずに伸びやかさ軽やかさも感じられます。

低音の量感自体は適度ですが、響きや広がりがありながら締まりもありタイトに感じられます。曲に依ってその曲が表現したかった低音域をちゃんと魅せてくれる。音の表現力が高い。そのため音階は勿論のこと、強弱、大小、遠近を感じ取れる解像感は曲の世界観を損なわずに没頭させてくれます。

重低音は沈み込みは深く、強さのある音はただ強く大きな音で鳴らす音ではない表現力の豊かな音。尾を引かない適度な伸び。適度な量感の重低音は低音域の質感の高さを感じられます。

Rinkoは音楽を聴く事に純粋に楽しめる出音は高音と中音域の聴きやすさと低音域の質感の高さを備えており、ただ出音のバランスを整えた何処かだけを強調していない解像感重視の音とは一線を画しています。

 

他機種との比較として、先ず7hZ LEGATOとの比較ではLEGATOは中低音に厚みのある重厚サウンドが特徴です。どちらも単純な低音ホンではなく、高音域もしっかりと鳴る中低音寄りのドンシャリサウンドバランスですが、LEGATOの方が中低音域に厚みがあります。高音域はLEGATOの強めのスパイスは解像感よりも味付けを重視したものという印象です。

次にTRIPOWIN Rhombusとの比較ではRhombusのドンシャリの出音が音楽を純粋に楽しめる音。狙う方向性が同じなのだという印象です。単純な強さではRhombusの方に分がありますが、質感はRinkoが一枚上手。そういう意味では愉しさはRhombusの方がやや有利でしょうか。Rhombusは厚い低音の上にある高音域の清々しさはが特徴であり出音の強さはRinkoの方があります。

最後にBQEYZ TOPAZとの比較ではTOPAZの中高音重視の音は中低音寄りのドンシャリサウンドのRinkoとは志向の異なる音。TOPAZの瑞々しいリスニングサウンドはRinkoの豊かな低音と明るい鮮やかな高音域のドンシャリとは相反する音です。

 

※以前のレビューもご参考ください

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まとめるとSeeAudio x Z Reviews Rinkoの弱ドンシャリは豊かな低音域に明るく鮮やかな高音域が心地良く、音楽を愉しく聴く事の出来る音造りは聴きやすい、バランスの良い音を聴かせてくれます。日本国内では中高音域がクリアで高音が上の上まで伸びる音が人気ですが、海外では人気のある音造りと云えそうです。日本国内でも普通に流通していますし、愛らしいキャラと共にコレクションアイテムとしてのイロモノではなく、価格帯では文句なく高音質という評価と云えます。

個人的に音楽を楽しめる出音は高音と中音域の聴きやすさと低音域の質感だと考えています。ただ単に出音のバランスを整えた何処かだけを強調していない音は音を聴いているのか曲を聴いているのかわからなくなりますが、音楽を聴く楽しさを純粋に楽しみたい方にお勧めできます。

一方で中華イヤホンに強ドンシャリバランスを求める方や中高音域のクリアさと解像感を重視し低音は要らない、邪魔という方には評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   Rinko ≧ Rhombus ≧ LEGATO (出音はLEGATO) 

中音   Rinko ≧ LEGATO ≧ Rhombus (出音はLEGATO)

低音   Rinko ≧ LEGATO ≧ Rhombus (出音はRhombus)

ボーカル Rinko ≧ LEGATO ≧ Rhombus (質感の順)

 

 

4. SeeAudio x Z Reviews Rinkoの総評

SeeAudio x Z Reviews Rinkoは同社のオリジナルキャラが目立つイロモノモデルと誤解されてしまうかもしれませんが、実に真面目に音づくりをした音楽を愉しめる高音質モデルと云えそうです。低音域を充実させた音造りは一般層には受けが良く海外では高評価となりそうな音質傾向ではありますが、日本国内のポータブルオーディオファンには高音域中心の音が好まれる傾向があり、評価は分かれそうです。

それでも、同社の云う「高価格帯Killerモデル」は中華イヤホン高価格A20K帯より上のモデルを追い詰める存在に成り得そうです。

なによりもRinkoファンはコレクションに加えても損はしないと思います。

 

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最後に、今回は今年4月に発売された中価格A10000-U20000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2023年4月14日)はHiFiGoで13,000円台で販売し、国内amazonではprime扱いの13,000円台となっていますので気になる方はお早めに。海外通販で購入するとしてもHiFiGoの発送は早く届くのも早い印象があります。これまでの中華イヤホンの中では手頃な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは十分満足できる内容となっておりますので、中価格帯中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、新製品を少しでも早く(安く)手に入れたい方はHiFiGoでの購入も検討してみてくださいね。

 

Rinko

以下、付属ケーブル、イヤピ Sedna EarFit Short MSDAC UP5使用
高音★★★★★ 
中音★★★★☆ (Vo★5)  
低音★★★★★ 
音場★★★★☆
分離★★★★★
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

LEGATO

以下、付属ケーブル、イヤピ 付属白傘 M-DAC UP5使用
高音★★★★★ 
中音★★★★☆  
低音★★★★★ 
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

Rhombus

以下、付属ケーブル、イヤピ Sedna EarFit MSDAC UP5使用
高音★★★★★ 
中音★★★★☆  
低音★★★★★ 
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

TOPAZ

以下、付属ケーブル、イヤピ Sedna EarFit MSDAC UP5使用
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回はいつもの中華イヤホンの中価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後は低価格だけではなく、中価格の中華イヤホンも扱っていきます。

また、気になる商品が出ればチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

※2023/04/15 誤記修正

※1:2023/04/17 国内amazonのRinko Touch購入リンク付記及び、その旨修正

 

7Hz LEGATO レビュー

 

こんにちは。

今回はいつもの低価格中華イヤホンレビュー編ではなく、中価格A10000帯で発売された2DDモデルの7Hz LEGATOについてレビューをまとめたいと思います。

国内amazonのLinsoul Audio(@Luke32344614)で取り扱いがあります。

 

 

AliExpressでも取扱があります。

 

ja.aliexpress.com

 

Linsoul Audioの直販サイトはコチラ

7HZ Legatowww.linsoul.com

 

 

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1. 7Hz LEGATOについて 

7Hzは中華イヤホンの中でも尖ったモデルを発売している異彩を放つメーカーという認識です。記憶に新しいところでは低価格帯U5KのSalnotes Zeroや中価格帯A10KのDiokoや中価格帯A20KのTimeless等音質が良いと評判のイヤホンを発売しています。では前述の「尖った」とは何故なのかと云えばそのデザインです。先の3機種では他社では中々類を見ないようなデザインを採用しておりインパクトがあります。正直デザインが良ければもっと売れるのでは?と思う次第です。

その7Hzが今回新発売したLEGATOはオーソドックスなデザインを採用しており非常に手を伸ばしやすくなりました。販売価格は14,000円と中価格帯A10Kの中華イヤホンの音質に間違いが無い所謂ボリュームゾーンの激戦区に投入してきました。

このあたりになるとユーザーもスペック買いは流石にしない価格帯となってきます。オーソドックスになったデザインに大小異なる径のダイナミックドライバ2基を搭載するデュアルダイナミックドライバ構成のモデルのLEGATOが食い込んでいけるのか?注目したいです。

さて、2DDモデルと云えば先日レビューしたQKZ x HBB Khanがありますが、こちらは中価格帯と云ってもA5K-U10Kレンジであり、競合することはないと思います。やはり同じ価格帯の1BA+1DDハイブリッドドライバモデルのTRIPOWIN Rhombusや1Piez+1DDハイブリッドドライバモデルのBQEYZ TOPAZ等がライバルになると思います。

 

それでは7Hz LEGATOのスペックを詳しく見ていきます。先述の通り、大小異なる直径のダイナミックドライバ(DD)を二基採用したデュアルダイナミックドライバです。6mm径の小径ダイナミックドライバは高音域~中高音域を担います。中低音~低音域は12mm径の大径ダイナミックドライバを採用。6mm径DDには金属製振動膜のデュアルキャビティドライバを採用し応答性の良い高音を実現。12mm径DDには複合素材積層振動膜にN52マグネットを採用し、強力な磁力による豊かな低音域を実現しています。この二基のダイナミックドライバはシェル内に並列で配置し、PCB(実装基板)により出力を調整されています。

次にシェル本体はオール金属製。CNC切削のアルミニウム合金製です。注目はシェル内部の構造です。二基のドライバをユニット構造とし組合わせており、製造上のばらつきを無くし、狙った音質を安定して供給することが可能としています。

そして複数ドライバ機で最も大事なことですが、異なる種類や複数のドライバを搭載するモデルでは各ドライバの担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングが重要です。低価格帯はもとより、中価格帯のモデルでも曲によってつながりにやや不自然さを感じる場合があります。前述の通りLEGATOでは6mm小径と12mm大径のダイナミックドライバ2基を搭載しておりますが、一聴した限りつながりの不自然さは抑えられており7Hzのチューニング技術の巧さを感じられます。

最後に付属ケーブルです。高品質単結晶銅(OCC)線と銀メッキOCC線の4芯編込み線を採用。中華イヤホンメーカーでは付属ケーブルはリケーブル前提で質を落としコストカットしているところもありますが、付属として十分満足できる高品質線材を採用しています。

 

※宜しければ以前のレビューもご参考ください

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7Hz LEGATOの納期としては現在(2023/4/1)国内amazonで本国発送扱いです。AliExpressでオーダーした場合でも感染症の影響は回復し国内で大手宅配業者に委託される輸送の場合はかなり安定してきました。尤も平時であればAliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かるのが気になるところでしたが、最近は円安の影響で国内amazonとの価格差が殆どなく、そのメリットは殆ど感じません。

まあ海外ネットショッピングで心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. 7Hz LEGATO実機レビュー 

それでは、早速実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングは黒を基調とし箱の表面にはメーカー名やイヤホンイラストなどが印字され、裏面にはスペックなどが記載されています。

 

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箱を開けると内箱の代わりにイヤホンケースが入っています。化粧箱の中にそのまま収納されている大柄のケースは臙脂色を基調とし、7hzロゴと商品名のLEGATOが金色で描かれています。

 

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ケースを開けると灰色の内装にイヤホンが収められています。サードパーティー製の高価なケースでよくあるイヤホンとケーブルを綺麗にそして傷がつかないように補完できる仕様のもの。


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付属品はケースの蓋側に収納されており無駄のないパッケージングは外箱の紙製化粧箱だけがゴミとなります。SDGsを突き詰めるとこうなるのかなと。最近の国内メーカーでも同様の趣向ですので、感心してしまいます。

 

※イヤホンケースの内側にはフェルト生地でイヤホンを保護

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※ファスナー部が金色なのでロゴとの一体感が質感を向上させています
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無駄のないパッケージングは非常にセンスが良いと感じます。

 

 

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付属品はシリコンイヤーピースのS、M、Lの紺色傘タイプ3種が1セットとS、M-、M、L、LLの白傘タイプ5種が1セットの計2セット。他にはケーブル、ケーブルバンド、ステムノズルフィルタが内/外、イヤホンケースです。中価格A10,000帯として必要十分の付属品となります。

 

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ステムノズルフィルタは内側用繊維フィルタと外側用金属フィルタが付属しますので、交換することで長く愛用できます。

 

次に本体を見ていきます。

 

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オール金属製シェルは銀色ベース。シェル本体とフェイスプレート端面にはCカットされており、その素材色の銀色がラインを形成しフェイスプレートの切削模様とのアクセントとなっています。比較的シェルの造形はオーソドックスでシェル本体側は丸みがあり装着感は悪くありません。

肝心のビルドクオリティは、中華イヤホンの中価格A10,000帯として綺麗な仕上りでシェルの合わせ面も綺麗に揃っています。

カラーバリエーションは銀色のみ。落ち着いた色調は普段使いでも気になりません。

 

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付属ケーブルは先述の通り高品質なOCC線と銀メッキOCC線の4芯編込み線を採用しています。プレイヤー側コネクタはI字タイプ。イヤホン側はフラット2ピン仕様の極性はKZ系と同様に上側がプラスです。この付属ケーブルは被膜にやや引っ掛かりがあるものの、タッチノイズは抑えられています。肝心の耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的にしなやかなさがありますので取り回しは悪くありません。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

※画像左からQKZ x HBB Khan、7Hz LEGATO、BQEYZ TOPAZ

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LEGATOとKhan、TOPAZとの外観の比較として、サイズ感はLEGATOとKhanはほぼ同じかややLEGATOが大きい。TOPAZはそれらよりも小さい印象。造形は何れもオーソドックスですが、TOPAZは耳甲介艇の突起があります。LEGATOはこの中ではシェル本体が丸みを帯びた造形です。

ステムノズルの長さと太さ、角度は何れもほぼ同じ。長さはLEGATOが長く僅かにKhanが短くTOPAZが一番短い。太さはKhanが一番太くかなり太め。LEGATOも太めでTOPAZは一般的な太さ。

三機種共に耳への収まりが良く装着感は悪くありません。

イヤホンとケーブルを接続するコネクタにはLEGATOがフラット2ピン、KhanがKZ-Cタイプ、TOPAZが埋め込み2ピン仕様を採用。LEGATOはフラット2ピンタイプのためリケーブルの際は比較的選択肢が多い方だと思います。

シェルの材質は、LEGATOがオール金属。KhanとTOPAZは樹脂と金属のハイブリッドマテリアルです。

重量はLEGATOが比較的重量感があります。KhanとTOPAZは比較的軽量。LEGATOは耳への装着感の良さからは殆ど重さを感じないレベルですが、寧ろ耳への装着感はイヤピ次第といったところ。太めのステムノズルの影響を受けやすいのでイヤピ選びは重要です。

ステムノズル部には全てにフィルターがあります。LEGATOは外側の金属フィルタの内側に繊維フィルタがあり音質への影響のあるタイプです。Khanも細目の金属フィルタですがTOPAZの金属フィルタ同様に異物混入による故障を防ぐタイプの様です。

三機種共にシェル本体の形状と付属ケーブルからはシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、先述の通り三機種全てステムノズルが比較的太めなものの、実際の装着感は悪くなく、寧ろ付属イヤーピースの形状からは耳に密着させ装着する想定の様子。付属のシリコンイヤーピースで上手くフィットする事ができれば音質的にも必要十分だと思います。

 

最後にイヤーピースを見てみます。


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付属のシリコンイヤーピースは白傘タイプが某メーカー互換の中華AET07。紺傘も中華AET06です。そのため他社製含むサードパーティー商品との互換性の高い一般的な形状となりますので選択肢が多く安心です。

付属白傘は中高音をクリアにしながらも低音をしっかりするタイプ。紺傘は中低音域を厚くするタイプです。某メーカーの本家イヤピと同じです。LEGATOは耳への装着をイヤピを耳奥へ挿入し栓をすることを想定している様です。付属イヤピで装着感に問題ない場合を除き、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択してください。

幸い私は付属白傘イヤーピースでフィッティングに問題なく、音質的にもバランスが良く十分と感じられた為、M-サイズで耳の奥に栓をするように装着しフィットしています。

低、中価格帯に付属するイヤーピースは装着感が悪く、音質的にも実力を発揮できないと感じますが、今回は付属のシリコンイヤピで上手くフィットできました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. 7Hz LEGATO音質レビュー

いよいよ音質についてまとめていきます。

 

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昨年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音に脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

そのため、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5はモニターライクながらも決してつまらない音ではなく、リスニングでも使えて万能と考えています。

 

Shanling UP5をUSB-DACで使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

 

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属Mサイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「高音はしっかり鳴り、中音から下の方に厚みがあります。低音は雰囲気が良くしっかりと鳴る、中低音寄りのドンシャリバランス」です。

箱出しではやや高音域に強調感と低音にボワつきを感じましたが、鳴らし込み後は低音は響きの良い雰囲気が良い音という印象です。

 

音場

空間は普通。前後は奥行を感じられ、左右はやや広さを感じられます。立体感のある空間は広さはそれ程感じませんが、狭くはなく普通からやや広い普通程度という印象です。

 

高音域

やや強調感のある煌めきはしつこさはなくほど良い印象で響きも適度。上までの伸びやかさはそれほど感じませんが十分という印象。強調感を感じる割には尖りや刺さりは感じませんので、適度な高音域にまとめている印象です。やや強調感のある高音ですが過度な存在感を示すことはなく、適度で華やかに鳴ります。

 

中音域

高音同様に適度な華やかさは騒がしい印象はなく、適度な中音域という印象です。中高音の華やかさよりも寧ろ中低音域の厚みがある印象を持ちますが、中低音域に中高音域がマスクされるようなことも無く空間の見通しの良さがあります。複数ドライバのよくある音が集まる団子感や音が重なるゴチャつきは抑えられており、中高音の音の立ち上がりの良さから分離や解像感は高い印象です。ベースラインの厚みを感じ、ボーカルがやや近く、自然な暖かさのある声色は息遣いを感じられ生々しさや艶っぽさも感じ易くなっています。

 

低音域

量感は多めですが、無駄に大きく鳴るというよりは高音と中音域を優しく包んでくれるような鳴り方。響きの良さや音の広がりを感じられる雰囲気の良い音。音階や強弱といった低音域の解像感も高く、ただ大きく強くズドーンと鳴らすような誤魔化した音ではない空間に広がる低音を楽しめます。ベースラインは追いやすくやや前に出る印象がありますが、ボーカルに被ることはなくやや後ろで鳴ります。重低音は沈み込みは深く、強さもあり心地良いです。

 

出音のバランス

一言で云えば中低音寄りのドンシャリ。高音域はやや誇張されしっかりと鳴りますが、主張の強い音ではなく、少し強めに存在感を示す程度の適度な鳴り方。中音域は中低音域に厚みがありその印象が強いですが、ボーカルはそれにマスクされずクリアです。低音は一番厚みがある音域であり雰囲気のある情感を得られます。

 

高音の煌めきや響きの良さは前に出るような主張ではなく、やや誇張され適度な存在感を示します。超高音までの伸びはそれ程得意ではない感じです。その分不快に感じる刺さりや尖りといった高音域のシャリつきはありませんので、やや誇張された音は清々しさを感じます。

中音は僅かに凹みを感じます。ボーカルと楽器の音はボーカルの周りから少し離れた横や後ろ辺りに位置し奥行を感じられます。低音が強めの出音では中音がマスクされたような音に感じる事が多いのですが、LEGATOの中音域は分離が良く音が整理されています。弦楽器の弾きがかき消されずに感じられ心が躍ります。

ボーカルはやや近めの位置から艶やかで聴きやすく、演奏の高音や低音にも埋もれません。声色は暖かく息遣いを感じられ生々しさを感じられます。女性ボーカルのバラードなどでしっとりとした艶のある声を楽しめます。

低音は量感は十分で響きや広がり、音階や強弱を情感豊かに描いてくれます。それでも低音が強調された強く大きく鳴る音ではなく解像感も高い雰囲気の良い音です。音階や音の強弱の掴みやすさを重視した解像感の高い鳴り方というよりも情感を重視している音。雰囲気の良い曲との相性は良好で、ベースラインが気持ちよく、重低音も沈み込みが深く強さを感じられます。

 

箱出し一聴した時点ではその印象的な低音域からKhanを騒動しましたが、それよりも高音域がしっかりと響くため、近しい音ではありますが、異なる音です。TiNHiFi C3がそれよりも少し近しい出音と感じましたが、それでもC3よりもLEGATOの方が高音域ははっきりしています。

C3の高音域よりも強めに感じ、その低音域よりも重厚感がある。低音域はKhanも重厚感がありますが、LEGATOの方がより質感の高い音。価格を考えればKhanの低音域もC3の高音域も善戦していると思いますが、中価格帯の一クラス上とは比較してはいけませんね。

次にTRIPOWIN Rhombusとの比較ではRhombusのドンシャリの出音が音楽を純粋に楽しめる音。低音の方が出音が多い印象を持ちやすく低音重視と誤解してしまいますが、実はRhombusの特徴は厚い低音の上にある高音域が清々しいリスニングサウンドです。全体の出音をやや低音にインパクトを与えながらも解像感の高い上質な音であり、音楽を楽しく聴く事ができる音色はLEGATOと狙う方向が同じかもしれません。

最後にBQEYZ TOPAZとの比較ではTOPAZの中高音重視の音は中低音寄りのドンシャリサウンドのLEGATOとは真逆の音。TOPAZの瑞々しいリスニングサウンドは全体の出音を僅かに高音を強めにしながらも解像感の高い音であり、高音寄りのフラットな音は、音楽をモニターライクにも、リスニングにも心地良く音です。そのため低音の情感は感じ難く、そこはLEGATOの圧勝です。

 

※宜しければ過去記事もご参考ください

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まとめると7Hz LEGATOは中低音寄りのドンシャリです。低音域の熱量と艶は情感を感じられます。しかし、単純な低音強めイヤホンで感じられる中高音域をマスクするようなことはなく、高音中音域の華やかな音色は低音にマスクされずにボーカルを聴き入ってしまう良さが特徴です。低音域の方にインパクトのある出音なのに、高音中音域の清々しいリスニングサウンドは音楽を雰囲気良く聴く事ができるイヤホンです。

一方でモニター用途としては分が悪く、聴いていて楽しいドンシャリバランスですので、モニターサウンドが好きな方には不向き。そして高音域のシャリつく刺激的な強さや低音のドンの量が多い強ドンシャリを求め、演奏メインで聴きたい方は高音域にもの足りなさを感じ評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   Rhombus ≧ TOPAZ ≧ LEGATO (出音はLEGATO) 

中音   TOPAZ ≧ LEGATO ≧ Rhombus (出音はLEGATO)

低音   LEGATO ≧ Rhombus ≧ TOPAZ (質感の順)

ボーカル LEGATO ≧ Rhombus ≧ TOPAZ (質感の順)

 

 

4. 7Hz LEGATOの総評

7Hz LEGATOは中低音に厚みのある重厚サウンドは単純な低音ホンではなく、高音域もしっかりと鳴る中低音寄りのドンシャリサウンドバランスです。そのサウンドは中低音域に厚みがあり低音域が雰囲気良く音楽を楽しく聴く事ができます。低価格帯の低音重視とは違う質感の高い低音域を探している方に聴いてみて欲しいモデルです。

 

最後に、今回は中価格帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2023年4月1日)は国内amazonやAliExpress等で発売されておりますが、国内amazonでも本国発送のためAliExpressのアカウントがある方以外は国内amazonの方が僅かに安価のためお勧めします。また、AliExpressではクーポンやセールなどで安価に購入できることがありますが、本国発送のため、納期が掛かりますしその入手性には少々難があります。それでも、中華イヤホンの中でもその音質を含めクオリティの高さは十分満足できる内容となっておりますので、中価格中華イヤホンに挑戦してみようと検討中の方や間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実な国内正規品取り扱いを待って。少しでも新製品を早く安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

LEGATO

以下、付属ケーブル、イヤピ 付属白傘 M-DAC UP5使用
高音★★★★★ 
中音★★★★☆  
低音★★★★★ 
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

Rhombus

以下、付属ケーブル、イヤピ Sedna EarFit MSDAC UP5使用
高音★★★★★ 
中音★★★★☆  
低音★★★★★ 
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

TOPAZ

以下、付属ケーブル、イヤピ Sedna EarFit MSDAC UP5使用
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回は中華イヤホンの中価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後は低価格だけではなく、中価格の中華イヤホンも扱っていきます。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ