こんにちは。
今回も中華イヤホンレビュー編をお休みし、先日発売されたUSB-DACアンプケーブルアダプターを前回の【導入編】に続き、【運用編】としてレビューをまとめたいと思います。※2021/5/28に発売されたShanling UA2の紹介です。
さて、Shanling UA2は国内代理店(株)MUSINの直販サイトを始め、国内amazonではイヤホン&ヘッドホン専門店のeイヤホンや同社WEB本店、有名家電量販店等で取扱があります。国内の有名どころの販売サイト及び店頭で普通に購入できるのは国内代理店の販売力の高さと云えますよね。
USB-C to Lightningミニケーブルが代理店在庫が無くなったようです。MUSINの中の人twiterで明らかになりました。おまけのiPhoneとの接続ケーブルは現在の流通在庫のみ付属することになりますのでご検討中の方はお早めに。※3
- 1. Shanling UA2のおさらい
- 1.1. Shanling UA2とは?
- 1.2. UA2とPCの接続
- 1.3. UA2とandroidスマホの接続
- 1.4. UA2と任天堂switchの接続
- 2. Shanling UA2の運用レビュー
- 2.1. UA2とandroidスマホの運用について
- 2.1.1. OPPO A73の端末性能
- 2.2. Apple Musicのロスレス対応
- 2.3. UA2をiPhoneのApple Musicで使ってみた
- 2.4. UA2を使ったApple MusicとAmazon Music HDの音質
- 2.5. UA2を使ったOPPO A73の音質
- 2.5.1. 直挿しとUA2の音質
- 2.6. UA2を使ったPCのAmazon Musicの音質
- 3. Shanling UA2の音質まとめ
- 4. Shanling UA2【運用編】のまとめ
- あとがき
1. Shanling UA2のおさらい
1.1. Shanling UA2とは?
導入編でも触れましたが、おさらいを。Shanling UA2は簡単に云えば、スマホやタブレットにイヤホンを直挿しして音楽を聴くときにその間に差し込むアダプターとなります。
それが何の役に立つのかと云えば、スマホやタブレットで音楽をより高音質で聴くことができます。
近年はスマホで使うイヤホンとしてBluetooth接続の左右独立型完全ワイヤレスイヤホン(TWS)が多くの方に認知され親しみがあると思います。そのため「今更有線接続?」と思われるかもしれませんが、ちょっと待ってください。というのは音を聴くためのイヤホンも有線から無線接続に変化している昨今、音楽を聴くスタイルも変化しています。それはお気に入りのアーティストのCDを購入しPCに音楽データを取り込む(リッピング)ことから、moraやe-onkyo等の音楽データの販売サイトでダウンロード(DL)購入することが主流となり、更には色々な音楽をApple MusicやAmazon Music等の音楽配信サービス(サブスクリプションサービス)で楽しむ方法が広く浸透しています。
特にAmazon Musicでは同社のハイレゾ配信サービス、Amazon Music HDによって、高音質で音楽を楽しむことができます。そしてこの度(6/8から順次開始)Apple Musicでも従来のロッシー(圧縮256kbps相当※)音楽データだけでなくロスレス(無圧縮CD相当16bit/44.1~48kHz※)及び、ハイレゾロスレス(24bit/48kHz~192kHz※)に対応しました。※主な対応抜粋。スマホ本体や外部接続機器等、環境により異なります。詳細は各サービスのHPを参照ください。
これらはTWSの無線接続コーデックの仕様上、ハイレゾ配信サービスの恩恵を受けられない方(※)も多く、敢えて有線接続で楽しんでいる方もいます。※無線コーデックにLDAC等が使用できる場合を除く
そのため折角のハイレゾ配信サービスを最大限の音質で楽しむために、TWSやスマホ本体の性能に依存せずに良い音を手軽に聴きたいというニーズをこのShanling UA2が満たしてくれます。
※前回のShanling UA2【導入編】も併せてご参考ください
1.2. UA2とPCの接続
前回の導入編でお伝えできなかったPCとの接続を試してみました。
今回使用するのはVAIO S13です。OSはWIN10 Professionalです。HOMEとは少し違うので、ご容赦ください。
始めにPCにドライバをインストールします。
MUSINのHPからドライバをDLします。
DLしたファイルを解凍するとインストール手順のPDFファイルがありますので、その手順に従ってPCへインストールしてください。
次はUA2に付属のUSB C-USB Cケーブルの一端を接続し、もう一端に付属のUSB A変換コネクタを接続します。
USB A端子をPCのUSB A端子に接続します。※最新のPCにはUSB C端子が搭載されているものがあります。その場合は今回のUSB A変換コネクタは不要です。
そしてイヤホンを接続します。今回は以前入手したfinal E3000PROTOを使用します。ただし、こちらは通常の3.5mmステレオミニプラグを2.5バランスプラグに換装済みですので、UA2の2.5バランスジャックに接続します。手持ちのイヤホンが3.5mmステレオミニプラグの場合はUA2の3.5mmステレオミニジャックの方に接続してください。
PCとUA2を接続後、今度はPCの設定を行います。
PCの設定画面を開き、デバイスメニューを選択。
画面中央「オーディオ」に「Shanling UA2」が認識されていることを確認します。
設定画面に戻り、サウンドメニューを選択します。画面上部「サウンド」を「スピーカーShanling UA2」を選択します。
サウンドメニュー画面を下にスクロールし「関連設定」の「サウンドコントロールパネル」を選択します。
サウンドダイヤログが開きますので、「再生」タブを選択し、「スピーカーShanling UA2」を選択し画面右下「プロパティ」をクリックします。
スピーカーのプロパティダイヤログが開きますので、「詳細」タブを選択します。
「既定の形式」をUA2の最大ビットレート及び、サンプリングレートの「32ビット、384000Hz(スタジオの音質)」を選択し「OK」をクリックします。
これでPC設定は終了です。
PCの設定終了後、WIN10用のamazon musicアプリ(Ver8.5.0.2261)を起動します。
Amazon MusicのPCアプリの設定を必要に応じ行います。
Amazon Musicアプリが起動している画面(参考)です。
PCアプリで重要なのは画面右下の「スピーカー」アイコンで行う設定です。
設定の仕方は曲を再生中にそのアイコンをクリックします。
利用可能なデバイスメニューが開きますので、「排他モード」をON(画像がONの状態)にしてください。PCの余計な通知音をOFFにできます。
通知音が必要な方もいると思いますので、その場合はアプリ起動のたびにデフォルトOFFになりますし、この設定はそもそも不要です。
amazon music HDで聴きたい音楽を選択した際に曲名の傍に黄色い文字で「ULTRA HD」と表示がありますので、そこをタップすると現在の音質が分かります。
音質・・・ここが24bit/48kHz以上であればハイレゾ音質
端末の性能・・・ここが当該端末の再生可能なファイルの音質の最大値
現在・・・ここが実際に再生できている音質
Codec・・・ここが再生中のデータ形式
通常は端末の性能が配信されている楽曲の最大音質よりも高くなります(あくまでも端末の性能に依存)。例えばハイレゾ音楽データ24bit/96kHzであれば端末の性能の数値と再生中の音質の数値が同じであれば、「ちゃんと」ハイレゾ音質で聴くことができています。
なお、そもそも先述の「ULTRA HD」表示ではない、「HD」表示される配信楽曲はCD音質(16bit/44.1kHz)となりますので、誤解の無いようにお願いします。
ちなみに現在(2021/06/11)Apple Musicが2021/06/08以降、順次ロスレス配信に対応した対抗策としてAmazon Musicでも従来の会員種別「Unlimited」の月額で「HD」まで楽しめる事になりました。ただし、私は6/1更新のため翌月の7/1以降の利用料金が780円/月(prime会員)として楽しめることになります。
最後に上記はamazon musicの会員種別が「HD」を楽しめる場合を想定しており「prime」ではハイレゾ対応ではありませんので、ご容赦ください。
1.3. UA2とandroidスマホの接続
導入編ではandroidスマホの代わりにSony NW-ZX507で接続確認をを行いました。
が、悪い癖が発動し、結局androidスマホを購入し接続確認をしてみました。
楽〇モバイルで有名なOPPO A73です。私は楽〇モバイルではなく、SIMフリーモデルを購入しています。※通信契約をしていません
始めにUA2に付属のUSB C-USB Cケーブルの一端をUA2本体のUSB C端子に接続し、もう一端をA73のUSB C端子に接続します。
次にイヤホンを接続します。これまでの接続確認同様にfinal E3000PROTO 2.5改を使用し、UA2の2.5バランスジャックに接続します。
私の購入したOPPO A73はandroid OS 10であるものの独自OSのColor OS 7.2が搭載されており、少々癖があります。※気になる方は検索してみてください。
そのため通常はスマホに接続するだけなのですが、以下A73の場合の手順です。
設定>その他の設定 を選択し開きます。
その他の設定>OTG接続 がデフォルトは「OFF」になっています。
OTG接続を「ON」にします。
これでUA2がA73に認識できるようになります。
最後にA73のamazon musicアプリ(Ver17.10.1→Ver17.8.6)を起動します。
※Ver17.10.1及び、Ver17.9.0において一部の楽曲(宇多田ヒカル/First Love)が配信されている楽曲は24/96なのに現在再生できている音質が24/48となるバグを見つけました。そのためA73でも最新は不具合があります。Ver17.8.6は問題なさそうです。(2021/6/14更新)
ZX507同様に接続自体に難しいことはありませんが、OPPO A73の場合、同じandroid OSでもOTG接続の儀式があると覚えておいてください(大袈裟)。
起動したamazon music HDアプリの画面はZX507と大きく変わったところはありません。
アプリ画面の中央左、曲名の上に「ULTRA HD」と黄色文字で表示がありますので、そこをタップし音質のチェックをします。
音質の確認画面が表示されます。
※画像拡大
android OSアプリと表記は同じです。具体的には以下の通り。
音質・・・ここが24bit/48kHz以上であればハイレゾ音質が配信
端末の性能・・・ここが当該端末の再生可能なファイルの音質の最大値
現在・・・ここが実際に再生できている音質
Codec・・・ここが再生中のデータ形式
表記等アプリの仕様はアプリのバージョンによって異なりますが、A73では最新のアプリVer17.10.1Ver17.8.6※で問題なく使用できました。
というのもamazon musicアプリはバージョンにより不具合があり、「最新が最良と限らない」という問題があります。実際私はZX507ではVer17.3.6のまま使用しています。Ver17.4.1は「端末の性能」が本来「24bit/96kHz」に対し「24bit/48kHz」と表示され、正しくありませんでした。
そしてandroidスマホ、A73で使用する場合の注意点を以下記載します。
UA2接続時の挙動
※インストールしているアプリによってUA2をA73に接続した直後に表示されます
インストールしているアプリによってUA2を接続時に起動するかどうか(連動させる)確認するメッセージが表示されます。表示されているアプリでお使いになるかどうかで判断されると良いと思いますが、基本的には「キャンセル」を選択しておけば問題ないと思います。
1.4. UA2と任天堂switchの接続
CSゲーム機との接続として、携帯機としても利用できる任天堂switchでも試してみました。
結果から云うと、接続できませんでした。一瞬画面左上に音量バーが表示され認識したような挙動を見せますが、結局認識できていないです。というのは理由があって我が家のswitchは2台とも大別して「初期型」です。初期型にも二種あって、最初期型とゲームカード挿入部、蓋の改良された初期型があり、それぞれ一台ずつ持っています。UA2に対応しているのは最新型のバッテリ容量が増えたタイプの様です。お持ちの方は試してみてくださいね(羨ましい)。
2. Shanling UA2の運用レビュー
前回の導入編と今回の前項ではShanling UA2を色々な機器との接続を確認しました。この項ではShanling UA2の運用についてレビューをまとめていきます。
2.1. UA2とandroidスマホの運用について
UA2の標準パッケージではUSB C-USB Cケーブルが付属しておりますので、メーカーとしてはandroidスマホ等との使用を想定した商品と云えます。とはいえ、導入編でも紹介した通り先着購入者にはiPhoneとの接続用Lightning-USB Cケーブルがおまけで付属していますので、実質スマホならどれでも対応していると云えます。
そのため本項では先ずandroidスマホでのUA2の運用を色々と試してみたいと思います。
2.1.1. OPPO A73の端末性能
OPPO A73は3.5mmヘッドフォンジャックが搭載されていますのでイヤホンを直挿しし、SDカードに保存した手持ちのハイレゾ音楽ファイルをA73の標準音楽アプリで最大24bit/48kHzまでの再生が可能となっています。ただし最大24bit/48kHzを超えるものは標準音楽アプリの最大値にダウンコンバートされます。
それでも3.5mmヘッドフォンジャックを捨て去ったiPhone 7以降と違い、有線イヤホンを直挿しして音楽を聴くことができること。また端末自体の音楽再生性能がハイレゾ(24bit/48kHzまで)対応し、これはiPhone 7以降の3.5mmヘッドフォンジャック非搭載モデルやiPhone SE(第二世代)等が付属のLightning-3.5mmヘッドフォンジャックアダプターを使うことで同様に対応するので同等ではありますが、スマホ本体の3.5mmヘッドフォンジャックに直挿しするだけでハイレゾ対応できるA73に分があると云えます。
とはいえカタログスペックのお話なのでその確認をAmazon Musicアプリで検証してみました。イヤホンにはこれまで同様にfinal E3000PROTO 2.5改を2.5mmバランスジャック-3.5mmステレオミニプラグ変換をを使用し、A73に直挿ししました。
結果はカタログスペック通りと云えます。
Amazon Musicアプリの音質確認画面では「端末の性能」が24bit/48kHzとなり、配信されている音楽の「音質」が24bit/96kHzに対し、再生できている「現在」の音質が端末の性能と同じ24bit/48kHzにダウンコンバートされています。
つまり、A73ではイヤホンを3.5mmヘッドフォンジャックに直挿ししただけでもハイレゾ(24bit/48kHzまで)を楽しめることになります。
2.2. Apple Musicのロスレス対応
導入編と今回の運用編ではここまでAmazon Music HDを使ってUA2の確認してきました。
そしてそもそも今回のUA2のレビューが二つに分かれた最大の理由として、Apple Musicのロスレス対応が当初の予想であった6/1開始から遅れ6/8から順次対応となり、やっと環境が整ったことになります。まあ、私が勝手に「6月から=6/1から」と解釈していただけというオチなんですが。
肝心のApple Musicですが、6/8から順次対応というものの先ずはiOS搭載のiPhoneやiPadが対応しています(2021/06/11現在)。Macでも対応が確認されています(未所有のため未確認)。しかし、WIN10 PCのiTunesやandroid OS搭載スマホ、同タブレットではアプリ対応が未だのため、非対応です(2021/06/11)。Apple公式のリリースノートでは「対応中」が確認されています。
ということで先ずはApple Musicをロスレスで聴くためのiOSの設定をiPhoneを使って説明します。
以下、WiFi接続を前提とした説明となります。
「設定」から「ミュージック」アプリを選択し開きます。
「オーディオ」項目の「オーディオの品質」を選択し開きます。
「ロスレスオーディオ」を「ON」にすると「WiFiストリーミング」と「ダウンロード」項目が追加表示されます。
追加された「WiFiストリーミング」を選択し開きます。
「高音質」、「ロスレス」、「ハイレゾロスレス」の内、もちろん「ハイレゾロスレス」を選択しチェック(レ)を入れます。その後、前の画面に戻ります。
「WiFiストリーミング」項目が「ハイレゾロスレス」に変わりました。
以上で完了です。
それではiPhoneでApple MusicをiPhone付属のLightning-3.5mmヘッドフォンジャックアダプターを使って試してみます。
宇多田ヒカルのFirst Loveを聴いてみます。
画面中央やや下に「ハイレゾロスレス」表記がありますので、それをタップします。
画面中央にポップアップが表示され、再生中の音質が確認できます。
※画面拡大
「ハイレゾロスレス 24ビット/96kHz ALAC」と表示されます。
…あれ?付属Lightning-3.5mmヘッドフォンジャックアダプタでは24bit/48kHzまでじゃないの?もしかして配信している音楽の音質を表示している?よくわかりません…。
念のためAmazon Music HDアプリ(Ver10.10.2)でも確認します。
ハイレゾ配信データの証「ULTRA HD」をタップします。
「端末の性能」が24bit/48kHz、「楽曲の最大音質」は24bit/96kHzに対し、「再生中の音質」は24bit/48kHzは端末の性能と同じ24bit/48kHzにダウンコンバートされています。
このことから恐らくApple Musicの「ハイレゾロスレス」をタップして表示される「音質」はあくまでも「配信されている楽曲の音質」であり、「再生している音質」ではないと考えられます。
これはAmazon Music※2の特徴として念頭に置いておきます。
それでは次項ではいよいよUA2を使ってApple Musicを確認していきます。
2.3. UA2をiPhoneのApple Musicで使ってみた
iPhoneにUA2を接続します。接続方法は割愛しますので前回の【導入編】を参考ください。
アプリの「配信楽曲の音質」はハイレゾ、24bit/96kHzを表示しており、UA2の動作中に再生するファイルのサンプリングレート示すLEDランプの点灯色は緑色で点灯しています。
【導入編】から抜粋
青色・・・44.1/48kHz
緑色・・・88.2/96kHz
黄色・・・176.4/192kHz
青緑・・・352/384/705/768kHz
白色・・・DSD64/128/256/512
赤色・・・44.1/48kHz(USB1.0接続時)
2.4. UA2を使ったApple MusicとAmazon Music HDの音質
前項ではiPhoneでApple Musicのハイレゾロスレスを聴いてみました。折角なので、同じiPhoneでAmazon Music HDとの音質を比べてみます。
※画面拡大
曲は同じく宇多田ヒカル/First Love、ULTRA HD(ハイレゾ)です。
前述の通り曲名上にある「ULTRA HD」をタップすれば「音質」を確認できます。
※画面拡大
アプリの「楽曲の音質」と「再生中の音質」はハイレゾ、24bit/96kHzを表示し、UA2の動作中に再生するファイルのサンプリングレート示すLEDランプの点灯色は緑色(※)で点灯しています。※2.3.項参照
実はApple Musicには2.3.項で使用した「ハイレゾロスレス」、24bit/96kHz以外に「ロスレス」、16bit/44.1kHzでも配信があります。
Amazon Music HDのULTRA HDで配信されている音楽データとApple Musicのロスレスで配信されてる音楽データを比較すればその違いは分かりますが、正直Apple Musicのハイレゾロスレスとの比較となると甲乙つけがたい印象です。強いて云えばApple Musicの方が空間が広く、Amazon Music HDは少し真ん中に寄って狭く感じる印象で、その分ボーカルは僅かに近く感じます。
2.5. UA2を使ったOPPO A73の音質
2.1.1.項ではA73にイヤホンを直挿した音を聴いていますが、UA2を通した場合にどのように音質に違いあるのか気になります。
2.5.1. 直挿しとUA2の音質
A73のmicro SDに入れたハイレゾ音楽ファイルをイヤホン直挿しとUA2を通して聴き比べてみました。
曲は勿論、宇多田ヒカル/First Love、24bit/96kHzです。
2.1.1.項でも検証しましたが、カタログスペックの24bit/48kHzで再生している筈。
UA2のLEDは緑色に点灯していますので24bit/96kHzで再生できています。
直挿しでも決して悪いとは感じませんでしたが、中音重視の低音寄り。聴きやすさが重視された音づくりに感じます。
ところが、UA2を通した場合にはその印象は一変します。
無音の静寂と背景の黒さを感じ、同じ音源(正確にはサンプリングレートが違いますが)とは思えない程、一聴して直ぐに感じます。特に高音と中音の解像感は顕著で、音の輪郭を感じられ、ボーカルでは彼女の特徴的なビブラートやブレスに生々しさを感じられます。
比較する前の直挿しの音は単独では悪く感じませんでしたが、実はノイズが混ざり音が霞んでいた音だったと云えます。
次にAmazon Music HDでも直挿しとUA2を通して聴き比べてみました。
前述の通り、こちらも再生している楽曲の音質は24bit/96kHzですが、端末の性能の最大24bit/48kHzとなり、再生できている音質は24bit/48kHzとなっています。
UA2を通した場合にはちゃんと再生している楽曲の音質は24bit/96kHzと再生できている現在の音質は同じです。
こちらも直挿しとUA2を通した音質の違いは同じ印象でしたが、直接microSDから直接再生した音よりもその差は少なく感じました。
結論としては、UA2を通した音の方が、一聴して分かるほどの高音質と云えます。
2.6. UA2を使ったPCのAmazon Musicの音質
この章の最後にPCにUA2を接続してAmazon Music HDを聴いてみます。
PCは前述の通りVAIO S13です。
私は普段からメインのデスクトップPCに据え置き型USB DAC、Gustard DAC-A18と据え置き型ヘッドホンアンプ、SMSL SP400を通してAmazon Music HDを利用しています。今回UA2のレビューをするにあたり、現在の一般的となっているノートパソコンを例にどれだけ高音質で音楽を楽しめるのか確認してみました。
結論から云うと十分良い音で音楽を楽しめます。
音の傾向は前項までの通りとなりPCに直挿しした時よりも空間が広く、直挿しでは中低域重視ですが、フラットに近い特定の音域に強調感もなく、音の輪郭の掴みやすい解像感の高い音が楽しめます。
使い勝手としては、ノートパソコンのバッテリー運用という利便性からデスクトップの様に特定の場所に固定されることもなく、部屋の好きな場所で楽しめるのは寧ろDAPとも云えるのかもしれません。まあ、現実的ではありませんが、戸建てにお住まいの方ならば、WiFiに接続さえできればその自由度は高いと云えます。
勿論流石に手持ちの据え置きDACとヘッドホンアンプの組み合わせには音質面で敵いませんが、何せ大きく可搬性は無しというものです。先述の自由度がノートパソコンとUA2で手軽に良い音が楽しめる便利さは特筆できます。
気になる点としては、私の環境だけかもしれませんが、電源アダプター接続時の挙動は安定していました。しかしバッテリー駆動のみに切り替えた場合に、時折プチノイズというか接続切れの様な挙動がありました。気になる方は電源アダプター接続して使用をお勧めします。
3. Shanling UA2の音質まとめ
【導入編】とここまでの【運用編】でUA2の音質について触れてきましたが、まとめていきます。
前提として音の比較、評価は全てUA2の設定を「デフォルト」で行っています。特に影響がありそうな項目を挙げると、アンプ出力は「ハイゲイン」、Digital Filterは「Linear phase fast roll-off」のままです。イヤホンは前述の通りfinal E3000PROTO 2.5改を使用し、2.5mmバランス接続で評価しています。
先ず、一聴して感じるのは空間の広さ。
これは比較対象によると思いますが、一般的なスマホ直挿しとの比較では間違いなく感じられる変化だと思います。例えば、今回導入したandroidスマホもハイレゾ楽曲を端末性能からはハイレゾ相当で音楽を聴くことができます。しかしながら、それとは一段以上レベルの違う空間表現を感じられます。スマホでは動画等に対応した音づくりがされていて、中音というかボーカル、声の帯域の聴きやすさや、ゲームなどの効果音及び、低音の強さという臨場感を重視した「分かりやすい良い音」を狙っているといえます。
これを同じandroid搭載のDAP(デジタルオーディオプレイヤー)、ZX507と比較すれば元々が音楽再生用であり、メーカーの音を確立している老舗が生み出す音の表現力は高く、実際にUA2を通して音楽を聴くと「異なる味付け」の印象を持つ程度というのが正直な感想です。それでもやはり、UA2の持つ空間の広さやZX507とは違うフラットな音域が、低音の締まりや高音と中音の音の輪郭が掴みやすい解像感の高さを感じさせてくれます。これについてはどちらが良い音という評価ではなく、先述した「味付け」として、個人の嗜好によってご判断いただくしかありません。
次に、各音域のどこかが強調されていないフラットな音域。
これはフラットだから音が良くて、高音と低音が強調された所謂ドンシャリが音が悪いという事ではなく、ドンシャリには音楽的な楽しさがあり、フラットには分析的なモニターサウンドと求めるものが異なる為、UA2の解像感の高さはそういった音域の調整も一役買っていると考えられます。
例えばスマホでは一般的にドンシャリ傾向が主流で、DAPでもドンシャリはありますが、多くのオーディオファンにはモニターライクな見通しの良い音が好まれ選ばれています。
三つ目に、解像感の高い音。
特に高音域と中音域はスマホ直挿しとは比べるまでもなく、音の輪郭が掴みやすく分かりやすく感じます。スマホでは中音は声の帯域が聴きやすい反面、その他の楽器が重なりごちゃ混ぜに感じてしまします。これをUA2を通すことで音を整理し、一音一音の消えゆく様を想像できるような感じです。
これは搭載するESSチップの恩恵と考えますが、例えばちょっと良いシャワーヘッドが細かな水の粒を生み出している様に、音の粒を一音一音届けてくれることで音の全体像の中で輪郭がつぶれずになめらかさを保ちながら、波打ち際の水の引き際のように自然な掴みやすさがある印象です。
最後に、静寂感の高さ。
音楽再生前の無音時の静寂がスマホ直挿しでは得られない背景の黒さを感じられます。これは高級DAPでよく使われる表現で、無音時が一番音の良し悪しを感じられるのではないかと考えています。正直再生してしまえばそれは関係なさそうな気がすると思います。全然違います。無音時の静寂感は例えば、既に一定のノイズがあってそれが薄い膜の様に全体を覆っている感覚から、これが取り払われたことを思い浮かべてください。スッと目の前がクリアに感じられると思います。
あなたは人がいるライトアップされた夜のビーチと誰もいない夜の月明りだけが照らすビーチ。どちらに静寂を感じられますか。
尤も、UA2はコンパクトサイズのUSB-DACヘッドホンアンプアダプターです。物量を投入したハイエンドDAPや据え置き型に比べれば雲泥の差は感じられると思います。そしてUA2の唯一の難点として、本体が結構熱を持ちます。触れない程ではありませんが、ずっと手で握っているのは難しいと思います。
それでも普段スマホでTWSを使っている方が、手ごろな値段でもっと良い音を聴いてみたいとなったときに、「価格x性能=得られる感動」という計算式で最もお勧めできる商品の一つと云えるのではないでしょうか。
4. Shanling UA2【運用編】のまとめ
さて、Shanling UA2はコンパクトなUSB-DACとしてスマホと一緒に活用することにより、ミドルクラスDAPをオーバーラップする可能性のある商品と云えます。それはスマホと比較した操作性やandroid搭載DAPの音楽配信サービス(サブスク)アプリとの親和性に難があり、価格帯の限界を感じられる現状です。
その一点だけで云えば間違いなくスマホとUSB-DACです。そしてミドルクラスDAPと遜色のない音をサブスクリプション、音楽配信サービスだけでなく、手持ちのハイレゾ楽曲を良い音で手軽に楽しめことができると【運用編】のまとめにしたいと思います。
最後に、今回はいつもとは違い二部構成で商品レビューをまとめてみました。実際に手に取り試してみるまでは正直中華USB-DACアンプというDAP要らずのスマホで音楽を楽しむ製品にそこまでの期待はありませんでした。ところが今は逆ですね。少なくても今後エントリーレベルのDAPのニーズをこのShanling UA2のようなUSB-DACアダプターは脅かしていくのではないでしょうか。
現在(2021年6月12日)は代理店直販サイトやamazon等ECサイト、国内家電量販店店頭等でも発売されており、12,000円台で購入可能です。安価な実売価格でありながら、その機能を含めクオリティは十分満足できる内容となっておりますので、この商品を検討している方は保証の面からも安心確実な国内正規代理店取扱品の購入を検討してみてくださいね。
あとがき
あとがきとして、今回は中華製のUSB-DACアンプをiPadやiPhone及び、androidスマホ、ノートPCで使った時の実感と、サブスクに活用するための準備を運用編レビューとしてまとめてみました。そして気になる音質のまとめをしています。
個人としてはブログの新たな挑戦として二部構成でまとめてみました。今までのレビューとは勝手が違いましたが、これを読んでくださる方が何故このサイトにたどり着いたのか?を重視してまとめたつもりです。まあ、自己満足の域を出るものではありませんが。皆さんに少しでも参考になれば幸いです。
そしてなによりも、このような機会を与えてくださった株式会社MUSIN並びにご担当者様へこの場を借りてお礼を申し上げます。
一方、いつものレビューもこれまで通り、進めていきます。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですし、今後も低価格?を中心に、複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンや、中華DAC及びヘッドホンアンプにも挑戦していきたいと考えていて、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ
※:2021/06/14更新 1.3.項、AMHDアプリの不具合がありVer修正
※2:2021/08/01更新 2.2.項、誤記訂正
※3:2021/08/01更新 iPhone接続用ケーブルの付属について更新