みぃねこの備忘録

いろいろなこと、主に趣味の備忘録として活用。アフィリエイトやってません。お気軽にリンクからどうぞ。

7Hz LEGATO レビュー

 

こんにちは。

今回はいつもの低価格中華イヤホンレビュー編ではなく、中価格A10000帯で発売された2DDモデルの7Hz LEGATOについてレビューをまとめたいと思います。

国内amazonのLinsoul Audio(@Luke32344614)で取り扱いがあります。

 

 

AliExpressでも取扱があります。

 

ja.aliexpress.com

 

Linsoul Audioの直販サイトはコチラ

7HZ Legatowww.linsoul.com

 

 

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1. 7Hz LEGATOについて 

7Hzは中華イヤホンの中でも尖ったモデルを発売している異彩を放つメーカーという認識です。記憶に新しいところでは低価格帯U5KのSalnotes Zeroや中価格帯A10KのDiokoや中価格帯A20KのTimeless等音質が良いと評判のイヤホンを発売しています。では前述の「尖った」とは何故なのかと云えばそのデザインです。先の3機種では他社では中々類を見ないようなデザインを採用しておりインパクトがあります。正直デザインが良ければもっと売れるのでは?と思う次第です。

その7Hzが今回新発売したLEGATOはオーソドックスなデザインを採用しており非常に手を伸ばしやすくなりました。販売価格は14,000円と中価格帯A10Kの中華イヤホンの音質に間違いが無い所謂ボリュームゾーンの激戦区に投入してきました。

このあたりになるとユーザーもスペック買いは流石にしない価格帯となってきます。オーソドックスになったデザインに大小異なる径のダイナミックドライバ2基を搭載するデュアルダイナミックドライバ構成のモデルのLEGATOが食い込んでいけるのか?注目したいです。

さて、2DDモデルと云えば先日レビューしたQKZ x HBB Khanがありますが、こちらは中価格帯と云ってもA5K-U10Kレンジであり、競合することはないと思います。やはり同じ価格帯の1BA+1DDハイブリッドドライバモデルのTRIPOWIN Rhombusや1Piez+1DDハイブリッドドライバモデルのBQEYZ TOPAZ等がライバルになると思います。

 

それでは7Hz LEGATOのスペックを詳しく見ていきます。先述の通り、大小異なる直径のダイナミックドライバ(DD)を二基採用したデュアルダイナミックドライバです。6mm径の小径ダイナミックドライバは高音域~中高音域を担います。中低音~低音域は12mm径の大径ダイナミックドライバを採用。6mm径DDには金属製振動膜のデュアルキャビティドライバを採用し応答性の良い高音を実現。12mm径DDには複合素材積層振動膜にN52マグネットを採用し、強力な磁力による豊かな低音域を実現しています。この二基のダイナミックドライバはシェル内に並列で配置し、PCB(実装基板)により出力を調整されています。

次にシェル本体はオール金属製。CNC切削のアルミニウム合金製です。注目はシェル内部の構造です。二基のドライバをユニット構造とし組合わせており、製造上のばらつきを無くし、狙った音質を安定して供給することが可能としています。

そして複数ドライバ機で最も大事なことですが、異なる種類や複数のドライバを搭載するモデルでは各ドライバの担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングが重要です。低価格帯はもとより、中価格帯のモデルでも曲によってつながりにやや不自然さを感じる場合があります。前述の通りLEGATOでは6mm小径と12mm大径のダイナミックドライバ2基を搭載しておりますが、一聴した限りつながりの不自然さは抑えられており7Hzのチューニング技術の巧さを感じられます。

最後に付属ケーブルです。高品質単結晶銅(OCC)線と銀メッキOCC線の4芯編込み線を採用。中華イヤホンメーカーでは付属ケーブルはリケーブル前提で質を落としコストカットしているところもありますが、付属として十分満足できる高品質線材を採用しています。

 

※宜しければ以前のレビューもご参考ください

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7Hz LEGATOの納期としては現在(2023/4/1)国内amazonで本国発送扱いです。AliExpressでオーダーした場合でも感染症の影響は回復し国内で大手宅配業者に委託される輸送の場合はかなり安定してきました。尤も平時であればAliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かるのが気になるところでしたが、最近は円安の影響で国内amazonとの価格差が殆どなく、そのメリットは殆ど感じません。

まあ海外ネットショッピングで心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. 7Hz LEGATO実機レビュー 

それでは、早速実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングは黒を基調とし箱の表面にはメーカー名やイヤホンイラストなどが印字され、裏面にはスペックなどが記載されています。

 

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箱を開けると内箱の代わりにイヤホンケースが入っています。化粧箱の中にそのまま収納されている大柄のケースは臙脂色を基調とし、7hzロゴと商品名のLEGATOが金色で描かれています。

 

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ケースを開けると灰色の内装にイヤホンが収められています。サードパーティー製の高価なケースでよくあるイヤホンとケーブルを綺麗にそして傷がつかないように補完できる仕様のもの。


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付属品はケースの蓋側に収納されており無駄のないパッケージングは外箱の紙製化粧箱だけがゴミとなります。SDGsを突き詰めるとこうなるのかなと。最近の国内メーカーでも同様の趣向ですので、感心してしまいます。

 

※イヤホンケースの内側にはフェルト生地でイヤホンを保護

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※ファスナー部が金色なのでロゴとの一体感が質感を向上させています
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無駄のないパッケージングは非常にセンスが良いと感じます。

 

 

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付属品はシリコンイヤーピースのS、M、Lの紺色傘タイプ3種が1セットとS、M-、M、L、LLの白傘タイプ5種が1セットの計2セット。他にはケーブル、ケーブルバンド、ステムノズルフィルタが内/外、イヤホンケースです。中価格A10,000帯として必要十分の付属品となります。

 

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ステムノズルフィルタは内側用繊維フィルタと外側用金属フィルタが付属しますので、交換することで長く愛用できます。

 

次に本体を見ていきます。

 

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オール金属製シェルは銀色ベース。シェル本体とフェイスプレート端面にはCカットされており、その素材色の銀色がラインを形成しフェイスプレートの切削模様とのアクセントとなっています。比較的シェルの造形はオーソドックスでシェル本体側は丸みがあり装着感は悪くありません。

肝心のビルドクオリティは、中華イヤホンの中価格A10,000帯として綺麗な仕上りでシェルの合わせ面も綺麗に揃っています。

カラーバリエーションは銀色のみ。落ち着いた色調は普段使いでも気になりません。

 

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付属ケーブルは先述の通り高品質なOCC線と銀メッキOCC線の4芯編込み線を採用しています。プレイヤー側コネクタはI字タイプ。イヤホン側はフラット2ピン仕様の極性はKZ系と同様に上側がプラスです。この付属ケーブルは被膜にやや引っ掛かりがあるものの、タッチノイズは抑えられています。肝心の耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的にしなやかなさがありますので取り回しは悪くありません。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

※画像左からQKZ x HBB Khan、7Hz LEGATO、BQEYZ TOPAZ

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LEGATOとKhan、TOPAZとの外観の比較として、サイズ感はLEGATOとKhanはほぼ同じかややLEGATOが大きい。TOPAZはそれらよりも小さい印象。造形は何れもオーソドックスですが、TOPAZは耳甲介艇の突起があります。LEGATOはこの中ではシェル本体が丸みを帯びた造形です。

ステムノズルの長さと太さ、角度は何れもほぼ同じ。長さはLEGATOが長く僅かにKhanが短くTOPAZが一番短い。太さはKhanが一番太くかなり太め。LEGATOも太めでTOPAZは一般的な太さ。

三機種共に耳への収まりが良く装着感は悪くありません。

イヤホンとケーブルを接続するコネクタにはLEGATOがフラット2ピン、KhanがKZ-Cタイプ、TOPAZが埋め込み2ピン仕様を採用。LEGATOはフラット2ピンタイプのためリケーブルの際は比較的選択肢が多い方だと思います。

シェルの材質は、LEGATOがオール金属。KhanとTOPAZは樹脂と金属のハイブリッドマテリアルです。

重量はLEGATOが比較的重量感があります。KhanとTOPAZは比較的軽量。LEGATOは耳への装着感の良さからは殆ど重さを感じないレベルですが、寧ろ耳への装着感はイヤピ次第といったところ。太めのステムノズルの影響を受けやすいのでイヤピ選びは重要です。

ステムノズル部には全てにフィルターがあります。LEGATOは外側の金属フィルタの内側に繊維フィルタがあり音質への影響のあるタイプです。Khanも細目の金属フィルタですがTOPAZの金属フィルタ同様に異物混入による故障を防ぐタイプの様です。

三機種共にシェル本体の形状と付属ケーブルからはシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、先述の通り三機種全てステムノズルが比較的太めなものの、実際の装着感は悪くなく、寧ろ付属イヤーピースの形状からは耳に密着させ装着する想定の様子。付属のシリコンイヤーピースで上手くフィットする事ができれば音質的にも必要十分だと思います。

 

最後にイヤーピースを見てみます。


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付属のシリコンイヤーピースは白傘タイプが某メーカー互換の中華AET07。紺傘も中華AET06です。そのため他社製含むサードパーティー商品との互換性の高い一般的な形状となりますので選択肢が多く安心です。

付属白傘は中高音をクリアにしながらも低音をしっかりするタイプ。紺傘は中低音域を厚くするタイプです。某メーカーの本家イヤピと同じです。LEGATOは耳への装着をイヤピを耳奥へ挿入し栓をすることを想定している様です。付属イヤピで装着感に問題ない場合を除き、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択してください。

幸い私は付属白傘イヤーピースでフィッティングに問題なく、音質的にもバランスが良く十分と感じられた為、M-サイズで耳の奥に栓をするように装着しフィットしています。

低、中価格帯に付属するイヤーピースは装着感が悪く、音質的にも実力を発揮できないと感じますが、今回は付属のシリコンイヤピで上手くフィットできました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. 7Hz LEGATO音質レビュー

いよいよ音質についてまとめていきます。

 

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昨年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音に脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

そのため、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5はモニターライクながらも決してつまらない音ではなく、リスニングでも使えて万能と考えています。

 

Shanling UP5をUSB-DACで使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

 

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属Mサイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「高音はしっかり鳴り、中音から下の方に厚みがあります。低音は雰囲気が良くしっかりと鳴る、中低音寄りのドンシャリバランス」です。

箱出しではやや高音域に強調感と低音にボワつきを感じましたが、鳴らし込み後は低音は響きの良い雰囲気が良い音という印象です。

 

音場

空間は普通。前後は奥行を感じられ、左右はやや広さを感じられます。立体感のある空間は広さはそれ程感じませんが、狭くはなく普通からやや広い普通程度という印象です。

 

高音域

やや強調感のある煌めきはしつこさはなくほど良い印象で響きも適度。上までの伸びやかさはそれほど感じませんが十分という印象。強調感を感じる割には尖りや刺さりは感じませんので、適度な高音域にまとめている印象です。やや強調感のある高音ですが過度な存在感を示すことはなく、適度で華やかに鳴ります。

 

中音域

高音同様に適度な華やかさは騒がしい印象はなく、適度な中音域という印象です。中高音の華やかさよりも寧ろ中低音域の厚みがある印象を持ちますが、中低音域に中高音域がマスクされるようなことも無く空間の見通しの良さがあります。複数ドライバのよくある音が集まる団子感や音が重なるゴチャつきは抑えられており、中高音の音の立ち上がりの良さから分離や解像感は高い印象です。ベースラインの厚みを感じ、ボーカルがやや近く、自然な暖かさのある声色は息遣いを感じられ生々しさや艶っぽさも感じ易くなっています。

 

低音域

量感は多めですが、無駄に大きく鳴るというよりは高音と中音域を優しく包んでくれるような鳴り方。響きの良さや音の広がりを感じられる雰囲気の良い音。音階や強弱といった低音域の解像感も高く、ただ大きく強くズドーンと鳴らすような誤魔化した音ではない空間に広がる低音を楽しめます。ベースラインは追いやすくやや前に出る印象がありますが、ボーカルに被ることはなくやや後ろで鳴ります。重低音は沈み込みは深く、強さもあり心地良いです。

 

出音のバランス

一言で云えば中低音寄りのドンシャリ。高音域はやや誇張されしっかりと鳴りますが、主張の強い音ではなく、少し強めに存在感を示す程度の適度な鳴り方。中音域は中低音域に厚みがありその印象が強いですが、ボーカルはそれにマスクされずクリアです。低音は一番厚みがある音域であり雰囲気のある情感を得られます。

 

高音の煌めきや響きの良さは前に出るような主張ではなく、やや誇張され適度な存在感を示します。超高音までの伸びはそれ程得意ではない感じです。その分不快に感じる刺さりや尖りといった高音域のシャリつきはありませんので、やや誇張された音は清々しさを感じます。

中音は僅かに凹みを感じます。ボーカルと楽器の音はボーカルの周りから少し離れた横や後ろ辺りに位置し奥行を感じられます。低音が強めの出音では中音がマスクされたような音に感じる事が多いのですが、LEGATOの中音域は分離が良く音が整理されています。弦楽器の弾きがかき消されずに感じられ心が躍ります。

ボーカルはやや近めの位置から艶やかで聴きやすく、演奏の高音や低音にも埋もれません。声色は暖かく息遣いを感じられ生々しさを感じられます。女性ボーカルのバラードなどでしっとりとした艶のある声を楽しめます。

低音は量感は十分で響きや広がり、音階や強弱を情感豊かに描いてくれます。それでも低音が強調された強く大きく鳴る音ではなく解像感も高い雰囲気の良い音です。音階や音の強弱の掴みやすさを重視した解像感の高い鳴り方というよりも情感を重視している音。雰囲気の良い曲との相性は良好で、ベースラインが気持ちよく、重低音も沈み込みが深く強さを感じられます。

 

箱出し一聴した時点ではその印象的な低音域からKhanを騒動しましたが、それよりも高音域がしっかりと響くため、近しい音ではありますが、異なる音です。TiNHiFi C3がそれよりも少し近しい出音と感じましたが、それでもC3よりもLEGATOの方が高音域ははっきりしています。

C3の高音域よりも強めに感じ、その低音域よりも重厚感がある。低音域はKhanも重厚感がありますが、LEGATOの方がより質感の高い音。価格を考えればKhanの低音域もC3の高音域も善戦していると思いますが、中価格帯の一クラス上とは比較してはいけませんね。

次にTRIPOWIN Rhombusとの比較ではRhombusのドンシャリの出音が音楽を純粋に楽しめる音。低音の方が出音が多い印象を持ちやすく低音重視と誤解してしまいますが、実はRhombusの特徴は厚い低音の上にある高音域が清々しいリスニングサウンドです。全体の出音をやや低音にインパクトを与えながらも解像感の高い上質な音であり、音楽を楽しく聴く事ができる音色はLEGATOと狙う方向が同じかもしれません。

最後にBQEYZ TOPAZとの比較ではTOPAZの中高音重視の音は中低音寄りのドンシャリサウンドのLEGATOとは真逆の音。TOPAZの瑞々しいリスニングサウンドは全体の出音を僅かに高音を強めにしながらも解像感の高い音であり、高音寄りのフラットな音は、音楽をモニターライクにも、リスニングにも心地良く音です。そのため低音の情感は感じ難く、そこはLEGATOの圧勝です。

 

※宜しければ過去記事もご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

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まとめると7Hz LEGATOは中低音寄りのドンシャリです。低音域の熱量と艶は情感を感じられます。しかし、単純な低音強めイヤホンで感じられる中高音域をマスクするようなことはなく、高音中音域の華やかな音色は低音にマスクされずにボーカルを聴き入ってしまう良さが特徴です。低音域の方にインパクトのある出音なのに、高音中音域の清々しいリスニングサウンドは音楽を雰囲気良く聴く事ができるイヤホンです。

一方でモニター用途としては分が悪く、聴いていて楽しいドンシャリバランスですので、モニターサウンドが好きな方には不向き。そして高音域のシャリつく刺激的な強さや低音のドンの量が多い強ドンシャリを求め、演奏メインで聴きたい方は高音域にもの足りなさを感じ評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   Rhombus ≧ TOPAZ ≧ LEGATO (出音はLEGATO) 

中音   TOPAZ ≧ LEGATO ≧ Rhombus (出音はLEGATO)

低音   LEGATO ≧ Rhombus ≧ TOPAZ (質感の順)

ボーカル LEGATO ≧ Rhombus ≧ TOPAZ (質感の順)

 

 

4. 7Hz LEGATOの総評

7Hz LEGATOは中低音に厚みのある重厚サウンドは単純な低音ホンではなく、高音域もしっかりと鳴る中低音寄りのドンシャリサウンドバランスです。そのサウンドは中低音域に厚みがあり低音域が雰囲気良く音楽を楽しく聴く事ができます。低価格帯の低音重視とは違う質感の高い低音域を探している方に聴いてみて欲しいモデルです。

 

最後に、今回は中価格帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2023年4月1日)は国内amazonやAliExpress等で発売されておりますが、国内amazonでも本国発送のためAliExpressのアカウントがある方以外は国内amazonの方が僅かに安価のためお勧めします。また、AliExpressではクーポンやセールなどで安価に購入できることがありますが、本国発送のため、納期が掛かりますしその入手性には少々難があります。それでも、中華イヤホンの中でもその音質を含めクオリティの高さは十分満足できる内容となっておりますので、中価格中華イヤホンに挑戦してみようと検討中の方や間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実な国内正規品取り扱いを待って。少しでも新製品を早く安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

LEGATO

以下、付属ケーブル、イヤピ 付属白傘 M-DAC UP5使用
高音★★★★★ 
中音★★★★☆  
低音★★★★★ 
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

Rhombus

以下、付属ケーブル、イヤピ Sedna EarFit MSDAC UP5使用
高音★★★★★ 
中音★★★★☆  
低音★★★★★ 
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

TOPAZ

以下、付属ケーブル、イヤピ Sedna EarFit MSDAC UP5使用
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回は中華イヤホンの中価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後は低価格だけではなく、中価格の中華イヤホンも扱っていきます。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

Trn Rosefinch レビュー

こんにちは。

今回はいつもの中華イヤホンレビュー編として、中価格A5000-U10000帯で発売された平面磁気駆動ドライバモデルのTrn Rosefinchについてレビューをまとめたいと思います。

国内amazonのHiFiGoで取扱があります。

 

 

US amazonはコチラ↓

www.amazon.com

 

AliExpressでも取扱があります。

 

ja.aliexpress.com

 

HiFiGoサイトはコチラ

TRN Rosefinch 12 mm Planar Magnetic Driver In-Ear Monitorshifigo.com

 

 

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1. Trn Rosefinchについて 

Trn Rosefinchは中価格A5000帯中華イヤホンの平面磁気駆動ドライバモデルとして今年3月に新発売されました。

Trnの平面磁気駆動ドライバを採用したモデルと云えば以前レビューしたKirin(麒麟)やXuanWu(玄武)があります。Kirinは14.5mm径の平面磁気駆動シングルドライバ(1PD)モデルで販売価格が約15,000円とA10K-U20Kの中価格帯。もう一つのXuanWuはバランスドアーマチュアドライバ(BA)1基と1辺が10mm四角形の平面磁気駆動ドライバ(SPD)1基の1BA+1SPDハイブリッドドライバモデルで販売価格は約4,000円とU5Kの低価格帯のラインナップです。今回新発売されたRosefinchは12mm径の平面磁気駆動ドライバを1基搭載するシングルドライバモデルです。販売価格が約6,000円とA5K-U10K中価格帯となり、今回のRosefinchの登場に依って同社の平面磁気駆動モデルの低価格から中価格帯のラインナップが揃ったことになります。

Trn以外にも低価格帯やU15Kまでの中価格帯で平面磁気駆動ドライバモデルを発売しているメーカーはありますが、Trnの様に低価格から中価格までに一通りラインナップしているところは多くありません。これは以前のレビューでも触れた通り同社が低価格U5Kから高価格A30K帯迄の幅広いラインナップを持っており、従来のビジネスモデルから脱却しポータブルオーディオメーカーとして今後も成長していく意思を感じます。そして何よりも、それらは普通に音質の良いモデルが多く中華イヤホンファンから一目置かれるメーカーと云えます。

 

そのTrnがA5K-U10K中価格帯に発売したRosefinchには他社で主に採用されている14.3mm径でも自社Kirinの14.5mm径や自社XuanWuのSPDでもなく、12mm径の新型平面磁気駆動ドライバを採用しています。このRosefinchでも「普通に音が良い」という評価を得られるのか?これは気になります。

 

※Rosefinchのf特(メーカーHP抜粋)

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メーカー発表のf特を引用し音質を想定してみます。グラフからは高音域にピークがあり、7k付近に最大ピークがあります。そこから10kまで下降し15k付近に掛けて上昇し第二ピークとなります。音域全体を見ると中音域が凹みがありますが、フラットなf特性となっています。

 

※CCA PLA13のf特(メーカーHP抜粋)

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次に同じKZ系ブランドのCCA PLA13では高音域は2kと3kの間にピークがあり、そこからやや右下がりのグラフです。10k付近はそれ程抑えられておらず、2K-3Kのピークからの右肩下がりの群の中に収まっています。これだけ見ればPLA13の高音域が派手に鳴ることを想像してしまいますが、実際には華やかではあるが過度な鳴らし方ではなく適度に抑えられた大人の鳴り方。そして低音域には最大ピークがあります。音域全体を見ると中音域が凹むよくあるドンシャリサウンドのf特性となっています。

f特だけで出音は語れませんが、実際に聴いてみると低音域はしっかりと鳴り高音域には強いピークのないドンシャリ傾向のサウンドです。

 

※Trn Kirinのf特(メーカーHP抜粋)
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最後にTrn Kirinのf特です。価格帯が一クラス上のモデルとなります。Kirinのf特とRosefinchのf特はピークの位置など全体的に同傾向の印象を受けるものの、厳密に云えば高音域の最大ピークの発生する周波数が7k付近のRosefinchに対し、Kirinの2Kと異なります。Kirinはステムノズルフィルタ交換が可能でありフィルタにも依りますので一概には云えませんが。Rosefinchの方が高音域を強調している様な印象を受けますが、実際に聴き比べてみるとやはり違います。全体の印象は似ていますが、Kirinの高音域の繊細さと低音域の質感は流石の中価格A15000-U20000帯モデルと云えます。全体では高音やや強めのフラット寄りのドンシャリですが、解像感の高い高音域は華やかでありながらしつこさの無い繊細な音は耳障りの無い一クラス上の音質を感じられます。

 

まとめとして、これまでにも触れた通りf特は出音の参考にはなりますがそれで音質が分る訳ではなく聴いてみて音質を評価するべきだと個人的に考えています。それは実際に聴いてみたKirinとRosefinchに対し、PLA13は似て非なるものと云えるからです。また、Rosefinchの高音域はkirinとは価格帯による差異を感じられます。これはそもそもメーカーが狙う音が違うというのは想像に難しくありません。

 

では、Trn Rosefinchのスペックを確認します。平面磁気駆動ドライバ(PD)1基を片側に搭載したシングルドライバ構成のモデルです。このPDには新型12mm径の超薄型ダイヤフラム平面磁気ドライバを搭載、高音から低音域の全ての音域を担います。RosefinchのPDは従来のPDとは異なり、円錐形のダイアフラムではなく、平面の超薄膜2μmダイヤフラムを採用し、より高速な応答速度と広いサウンドステージを備え、鮮明なサウンドを達成しています。また、12mm径PDに両面ネオジムN52-basedハイパワー磁気アレイ構造を採用し、 高出力の磁力によってダイアフラムコイルの応答性を高め、歪みの少ないクリーンでリッチな高密度サウンドを実現しています。

次にイヤホン本体にはステムノズルが金属製。シェル本体に樹脂製、フェイスプレートにはアルミニウム合金を採用しセミオープン仕様です。全体的に高級感のある外観となっています。

最後に付属ケーブルです。高品質銀メッキ銅線と無酸素銅(OFC)線の4芯混合編込線を採用し、プレイヤー側のプラグを交換可能としたPCSケーブル3.5mmステレオミニ仕様としています。これは同社の上位モデルで採用しております。もっと云えば先日レビューしたTA3と同じケーブルですが、Rosefinchでは3.5mmプラグのみ付属しています。元々中華ケーブルメーカーの利点を活かしたものとなっております。中華イヤホンメーカーでは付属ケーブルはリケーブル前提で質を落としコストカットしているところもありますが、同社では付属として必要十分な高品質線材を採用しています。

 

※宜しければ過去記事もご参考ください

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Trn Rosefinchの納期として今回HiFiGoでオーダー、1週間強で届きました。現在(2023/3/29)は国内amazonはProme扱いとなっています。昨今、HiFiGoやAliExpressで購入し本国発送の場合でも以前の様な遅延は少なく、ほぼ回復したと云えます。尤も、万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかるのが、海外通販のリスクです。

そんな訳で一般的に海外通販での購入は国内通販で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが偶に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットがありましたが、最近では円安でその恩恵も受け難く、国内では入手できない商品を早く手に入れる事がメリットと云えます。それらを天秤にかけた場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. Trn Rosefinch実機レビュー 

それでは、実機レビューを以下、まとめていきます。


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パッケージングは白を基調とした商品名とイヤホンイラストがプリントされたスリーブタイプの化粧箱です。

 

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スリーブを外すと内箱の黒地の台座にイヤホンが収納されています。

下側には付属品が収納されています。

 

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付属品は2種のシリコンイヤーピースS、M、Lの2セットに加えTrn新型イヤーピースT-earのMサイズ黒軸1ペアの計3種。その他はケーブルです。中価格A5000帯として十分な付属品となります。

 

次にイヤホン本体を見ていきます。

 

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ビルドクオリティですが、中華イヤホンで心配されるような雑なところ感じさせません。低価格帯でよくあるシェルの合わせ面等のズレや隙間は無く綺麗に仕上がっています。

カラーバリエーションは黒色のみ。

 

次にケーブルをみていきます。

 

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付属ケーブルは銀メッキ銅線と無酸素銅(OFC)線の4芯編込み混合線。被覆が茶色と銀色のミックスカラー線です。プレイヤー側コネクタはプラグ交換システムのI字プラグタイプ3.5mmステレオミニのみ。イヤホン側はKZ-Cタイプ2ピン仕様。極性はKZと同じ上側がプラスです。この付属ケーブルは被覆の見た目に反して取り回しは良好です。多少引っ掛かりがありますが、タッチノイズは殆ど感じません。肝心の耳への装着性や使用感は悪くありません。イヤホン側コネクタ付近にはシュア掛け用にチューブで癖付けされています。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、私はこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

続いて他機種とのサイズ感や造形の比較です。

 

※画像左からTrn Kirin、Trn Rosefinch、CCA PLA13

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RosefinchとKirinは同じ造形で、PLA13は比較的オーソドックスな造形です。RosefinchとKirinが丸みを帯びた造形のため、PLA13の一般的な造形と少し異なりますがサイズ感は丸みのあるRosefinchとKirinの方が大きく見えてしまいます。Rosefinchは比較的軽量となり、装着時にはその装着感の良さもあり殆ど重量を感じません。

また、RosefinchとKirinはステムノズルが金属で、PLA13はステムノズル一体型樹脂シェルです。フェイスプレートもRosefinchとKirinとPLA13の全て金属製となり、シェル本体がKirinのみ金属となり、オール金属。RosefinchとPLA13は樹脂と金属のハイブリッドです。

ステムノズルの長さや太さと角度はRosefinchとKirin(ステムの種類によります)が同じ。PLA13が僅かに寝ています。PLA13とKirinが太く、Rosefinchはそれよりも細くなります。

また、ステムノズル部には三機種全てにフィルターがあり異物混入による故障を防げます。Rosefinchは繊維フィルタを採用しPLA13同様のタイプ。Kirinは金属フィルタとなりますが、交換式ノズルであり長さが選択可能。こちらも音質に影響があるタイプです。

そして、シェル本体の形状と付属ケーブルからは三機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、装着感はステムノズルの長さや太さに影響がありますので、イヤーピースのフィッティングは重要となります。

 

最後に付属イヤーピースです。

 

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付属イヤーピースは音質の好みで使い分け可能な3種のタイプです。注目は新型T-ear Tipsイヤピです。某メーカーのイヤピを彷彿させるもの。傘はしっとりと柔らかい中にコシもありフィット感は良好です。音質的には高音域をやや減衰させるタイプです。

黒傘はく高音と低音をしっかりさせるバランスタイプ。白傘は開口部が大きく、中高音域をクリアにするタイプです。

音質的には好みにもよると思いますが、白傘タイプが個人的にはしっくりきました。このイヤーピースを私は耳の奥に栓をするように装着しフィットしています。

低価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じます。今回は付属のイヤピで上手くフィットした為、そのまま使用しました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感はもとより音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えない他社製へ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. Trn Rosefinch音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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昨年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音に脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

そのため、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5はモニターライクながらも決してつまらない音ではなく、リスニングでも使えて万能と考えています。

Shanling UP5をUSB-DACとして使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

 

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属白 Mサイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「しっかりと鳴る高音域は華やか。平面駆動らしい中音域と不足なく鳴る低音域のドンシャリ」でした。気になったのはいつもより少し音量を上げる必要がありました。

箱だしでは高音域がやや粗い印象と低音に緩さを感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音は締り高音域も整いました。

 

音場

普通からやや広めの空間。前後の奥行を感じられ左右も広さを感じられ立体感があります。

 

高音域

煌びやかで明るく華やかに鳴りますが、必要以上に華やかさを感じるような鳴り方ではなく、整った音。瞬発的な鋭さはありますが、刺さりを感じることはなく、煌びやかで清々しさを感じます。僅かに誇張された煌びやかさを感じ、響きや余韻を楽しむというよりは、瞬発的なキレの良い音を楽しむタイプ。超高音域までの伸びはそれ程ありませんが、存在感はあります。高音域は描写を重視した音。そのため音圧は抑えられており、低価格帯のBAの高音域のように解像感を演出する為に刺さるギリギリを攻めたシャープな音とは異なります。小さな音も逃さずに繊細に鳴らし、細やかな音を描写するのが得意な印象です。

 

中音域

空間は広さを感じられますが広大というほどではありません。普通からやや広い空間に華やかに鳴る音は、平面磁気駆動ドライバらしく複数ドライバ機のような音数を多く描写してくれます。また、複数ドライバ機でよくある音が重なり中心に集まる団子感はなく、音がガチャガチャせずに分離が良い音を楽しめます。高音域同様に分離の良さと解像感の高い音を聴かせてくれますし音の輪郭を適切に描写してくれます。ボーカルはクリアで自然な位置から聴かせてくれ、ややドライ気味なものの息遣いを身近に感じられます。

 

低音域

量感は適度に抑えられ、余韻を楽しむような広がりのある音ではありませんが、決してタイトなだけの面白みのない音ではありません。適度な強さと芯を感じられる締まった音はキレが良好で音の強弱や音階を描写します。ベースラインは追えますが、やや控えめ。前に出すぎる事はありません。重低音の沈み込みはそれほど深さを感じませんが、芯の強さはあります。

 

出音のバランス

一言で云えば明るく華やかな中高音寄りの弱ドンシャリ。出音のバランスは整っており極端に強調した音域はありません。

 

明るい華やかさのある高音は低価格帯の中華BAが強すぎて痛々しい高音域ではなく、整った音が心地良くやや誇張された印象はあるものの決して嫌な感じはなく、丁度良い印象。PLA13やPR1が少々やり過ぎに感じられる程の統制されたRosefinchの高音はKirin寄りの高音の鳴らし方の印象です。

中音は高音域よりも華やかさがありはっきりとした音。凹みを感じ難くボーカルと楽器の音はやや後ろ辺りの離れた位置に感じられ立体感を感じます。中音域の音は高音域同様に統制されており、音の描写力は良好で解像感の高い分離の良い音です。

ボーカルは自然な位置からクリアで聴きやすく、高音や低音の音に埋もれません。中音に重なり、かき消されることはありません。声色はややドライ気味なものの息遣いを感じますので、ボーカルを中心に聴きやすい反面、しっとりとした曲との相性は感じます。

低音はTrnの得意な中高音域をマスクしない見通しの良さを確保した締まったタイトな音。やや高音域を誇張し低音を抑え気味にしている印象を受けますが、このバランスが丁度良いと感じます。

重低音は沈み込みはそれほど深くありませんが、芯のある強さがあります。明るく華やかに鳴る高音中音域をキレの良い低音は音楽を楽しく聴く事ができます。

 

同社のこのバランスが嘗てのライバルを抜き去り周回遅れにした音なんだと実感できます。

音の傾向としては前述の通りKirinを踏襲しややリスニングに振った音。近しい音としてはTA3のバランスですが、高音域だけで云えばKirinとTA3は同じ鳴り方。Rosefinchの方が派手です。それでも嘗てのライバルのPR1やPLA13の方が強く鳴るので、ドンシャリ具合はそれらの方が上です。そのためRosefinchは同社の平面磁気駆動ドライバ上位モデルの下位モデルとして上位の大人の音に対し、少し元気な音という棲み分け。上位の解像感の高さよりも音楽性の感じられる音という印象です。

 

Kirinとの比較では中音低音の音は似ていますが、Kirinの方が一枚上手です。上品で美麗な音を聴かせてくれるKirinに対し、やや元気に鳴らすRosefinchです。低音域はKirinと良い勝負。とはいえやはりkirinが上位モデルなんだと感じさせられます。

一方嘗てのライバルのPR1とPLA13との比較ではRosefinchよりも元気で派手なドンシャリ。正直Rosefinchを聴くまではPLA13は良いよねと思っていました。あのメーカーはやはりドンシャリだけなんだなぁという感想です。そりゃ周回遅れになるわ、と。

 

※以前のCCA PLA13のレビューもご参考ください

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まとめるとTrn Rosefinchは上位モデルのKirinの音を踏襲したバランスの良い音ながらも下位モデルらしくリスニングに寄せた音は、新しい12mm径平面磁気駆動ドライバ搭載モデルとして、ライバルよりも安価に高音質を実現したモデルです。

なお、Rosefinchはリスニング用途としてのバランスであり音楽を分析的に聴きたい方には評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   PR1 HiFi ≧ PLA13 ≧ Rosefinch (出音の強さ)

中音   PR1 HiFi ≧ Rosefinch ≧ PLA13 (出音の強さ)

低音   PLA13 ≧ Rosefinch ≧ PR1 HiFi (出音の強さ)

ボーカル Rosefinch ≧ PLA13 ≧ PR1 HiFi (質感の順)

 

 

4. Trn Rosefinchの総評

Trn Rosefinchは新しい平面磁気駆動ドライバを搭載しライバルとの差を感じさせる高音質モデルです。同社上位モデルのKirinの系譜であり、それよりもリスニング寄りとした音質傾向は同価格帯の多ドラ機の様に音質に不自然さを感じない素直な音は好感を持ちますし、Trnの商品から選んでおけば間違いないのではないでしょうか。

Rosefinchの中高音寄り弱ドンシャリはこの価格帯の多ドラ機が苦手な方にも、価格帯が上の多ドラ機と遜色の無い音を聴かせてくれますので、機会があれば試して欲しいと思います。恐らく気に入ってくれるのではないでしょうか。

 

最後に、今回は今年3月に発売された中価格A5000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2023年3月29日)はHiFiGoで6,000円台で販売し、国内amazonでもPrime扱いの6,000円台半ばとなっています。海外通販でもHiFiGoの発送は早く届くのも早い印象があります。これまでの中華イヤホンの中では手頃な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは十分満足できる内容となっておりますので、中価格帯中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、新製品を少しでも早く(安く)手に入れたい方はHiFiGoでの購入も検討してみてくださいね。

 

Rosefinch

以下、付属ケーブル、付属白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★★
分離★★★★★
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

 

PLA13

以下、付属ケーブル、付属白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★★
分離★★★★★
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

 

Kirin

以下、付属ケーブル4.4mm、付属白イヤピ M使用、Referenceノズル、DAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★★
分離★★★★★
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回は中華イヤホンの中価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後は低価格だけではなく、中価格の中華イヤホンも扱っていきます。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

TANGZU x SeeAudio Shimin Li Encounter Edition レビュー

こんにちは。

今回はいつもの中華イヤホンレビュー編として、中価格A5000帯で発売された1DDモデルのTANGZU x SeeAudio Shimin Li Encounter Editionについてレビューをまとめたいと思います。

国内amazonのHiFiGoで取扱があります。

 

 

US amazonでも取扱があります。

https://a.co/d/5Fg2GfC

 

AliExpressでも取扱があります。

 

ja.aliexpress.com

 

HiFiGoサイトはコチラ

SeeAudio X TANGZU Shimin Li Encounter Edition Single Dynamic Driver In-Ear Monitorshifigo.com

 

 

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1. TANGZU x SeeAudio Shimin Li Encounter Editionについて 

TANGZU x SeeAudio Shimin Li Encounter Editionは中価格A5000-U10000帯中華イヤホンのシングルダイナミックドライバモデルとして今年3月に新発売されました。TANGZUは中華イヤホンの新進メーカーであり、IEMやTWSOEM生産など生業にするHuayi Electronic Technologyの自社ブランドです。

Shimin Li(季世民)と云えば、同社のオリジナルモデルとして発売中であり、国内大手イヤホン販売店でも取扱があるなど既に国内でも流通があるため、ポータブルオーディオファンの中では今注目のモデルです。販売価格もA5K帯と手ごろな価格設定とゴールドカラーの金属製シェルの流美なデザインが目を引きますが、実は堅実な音質が評価されているモデルです。

そのShimin LiをTANGZUと同じく中華オーディオメーカーのSeeAudioがコラボレートした商品がこのShimin Li Encounter Editonです。SeeAudioは同社のオリジナルキャラクター「Rinko」がファンの心を掴んでおり、私もアクスタを所有していますが、キャラだけが目立つブランドではなくこちらも中華イヤホンでは音質に定評のあるブランドとして認知されています。

ノーマルのTANGZU Shimin Liはゴールドとシルバーのカラー展開でしたが、それをレッドカラーに変更、チューニングを変更しています。赤色はRinkoのキャッチカラーであり、音質に定評のあるSeeAudioがチューニングしたShimin Li Encounter Editonがどのような音を奏でてくれるのか?これは注目せざるを得ません。

 

さて、TANGZU x SeeAudio Shimin Li Encounter Edition(以下Shimin Li EE)のスペックですが、中華イヤホンの中価格帯ではオーソドックスなシングルダイナミックドライバ(1DD)モデルです。数年前はこの価格帯は多ドラハイブリッドドライバモデルが隆盛し多く発売されていました。しかし近年は中華ダイナミックドライバの性能向上が目覚ましく、元々多ドラにする理由が中華製ドライバの性能が今一つであり、複数のドライバを組合わせて音質を向上させる手法がポピュラーでしたが、現在はシングルダイナミックドライバで十分な音質を確保できるようになり、多ドラにするメリットよりも多ドラのチューニングの難しさ、デメリットを嫌った事。加えて、ユーザーの音質に対するトレンドも変わり「この価格で片側Xドライバ搭載!」ではユーザーの触手が伸びず見向きもされない市場に変化しています。

Shimin Li EEのドライバにはカーボンナノダイヤフラム(振動膜)のダイナミックドライバ(DD)に強力な磁力N52を採用し、デュアルキャビティの10mm径ダイナミックドライバを搭載しています。これはノーマルのShimin LiのPETダイヤフラムとは異なります。

次にイヤホン本体には航空グレードのアルミニウムを採用したオール金属製。シェル本体の塗装にも拘った仕上げは流美な造形と相まって高級感のある外観としています。

最後に付属ケーブルです。高品質な5N無酸素銅(OFC)線を撚線としたものを採用しています。中華イヤホンメーカーでは付属ケーブルはリケーブル前提で質を落としコストカットしているところもありますが、付属として十分なケーブルとなります。

 

※宜しければ過去記事もご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

miineco106.hatenadiary.jp

 

TANGZU x SeeAudio Shimin Li Encounter Editionの納期として今回HiFiGoでオーダー、1週間強で届きました。現在(2023/3/24)は国内amazonでprime扱いとなっています。昨今、HiFiGoやAliExpressで購入した本国発送の場合でも以前の様な感染症の影響で遅延は少なくほぼ回復したと云えます。尤も、万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかるのが、海外通販のリスクです。

そんな訳で一般的に海外通販での購入は国内通販で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが偶に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットがありましたが、最近では円安でその恩恵も受け難く、国内では入手できない商品を早く手に入れる事がメリットと云えます。それらを天秤にかけた場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. TANGZU x SeeAudio Shimin Li Encounter Edition実機レビュー 

それでは、実機レビューを以下、まとめていきます。


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パッケージングはカラフルな配色が目を引くRinkoのイラストが前面に出たスリーブタイプの化粧箱です。

 

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スリーブを外すとスリーブのカラフルさからは打って変わり内箱はシックな黒箱に「Shimin Li Encounter Edition」と表記されています。

 

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内箱の蓋を開けるとこれまたRinkoのイラストが印刷されたクロスが。


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クロスを取り出すと黒地の台座にイヤホン本体が収納されています。


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イヤホンの台座を外すと内箱上側の箱の底には黒地の台座にイヤーピースが収納されています。

内箱の下側には付属品が収納された小箱があります。

 

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イヤホンが収納された台座には金属プレートがあり、そのプレートには商品名とRinkoが刻印されています。


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付属品の小箱にもRinkoが印刷されています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースがS、M、Lの一種とS、M-、M、Lのもう一種の2セットの計2種。他にはケーブル、イヤホンケース、イヤホンクロスです。中価格A5,000-U10000帯として十分な付属品となります。

 

※メーカー名入りのイヤホンケース(小銭入れ型)

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※Rinkoイラスト入りのイヤホンクロス
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個人的に手持ちのRinkoアクスタに加え、新たなグッズを入手できました。

 

次にイヤホン本体を見ていきます。

 

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ビルドクオリティですが、中華イヤホンで心配されるような雑なところ感じさせません。特にシェルの赤い塗装が広島の自動車メーカーの現在の赤、ソウルレッドの前の赤、ジールレッドマイカの色に近いカラーに既視感を覚えます。中華イヤホンの低価格帯でよくあるシェルの合わせ面等のズレや隙間は無く綺麗に仕上がっています。

勿論カラーバリエーションは赤色のみ。

 

次にケーブルをみていきます。

 

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付属ケーブルは高品質の5N無酸素銅(OFC)線を撚線としたものを採用。プレイヤー側プラグはI字、イヤホン側はフラット2ピン仕様、イヤホン側コネクタの極性は上がプラスです。

この付属ケーブルはケーブル被覆のゴム質が強めで引っ掛かりがあります。そのため少々絡まり易いものの、しなやかさがあり耳への装着性や使用感は悪くありません。イヤホン側にはシュア掛け用にチューブで癖付けされ、中価格帯に付属するケーブルの中でも悪い印象はありません。艶消し黒色被覆のケーブルはシェル本体にマッチしています。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、私はこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

続いて他機種とのサイズ感や造形の比較です。

 

※画像左からTiNHiFi C3、Shimin Li EE、KiwiEars CADENZA

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Shimin Li EEは比較的オーソドックスなシェルの造形です。そのシェルは厚みがありますが比較的コンパクトなタイプです。C3やCADENZAとの比較ではCADENZAの造形に似ていますが一番似ているのはBQEYZ Spring1ですね。

Shimin Li EEはオール金属製のため比較的重量を感じますが、装着時にはその装着感の良さもありそれほど重量を感じません。C3とCADENZAはオール樹脂シェルのためShimin Li EEよりも軽量です。

ステムノズルの長さや太さと角度はShimin Liが一般的な太さで長め。角度は起きています。C3はそれと比べほぼ同じ太さで角度は寝ていて長さはやや短め。CADENZAは太く角度は寝ていて短めとなります。

また、ステムノズル部には三機種全てにフィルターがあり異物混入による故障を防げます。Shimin Li EEとCADENZAは金属フィルタですが、C3は繊維フィルタを採用しそれらの金属フィルタと異なり音質に影響があるタイプです。

そして、シェル本体の形状と付属ケーブルからは三機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、装着感はステムノズルの長さや太さに影響がありますので、イヤーピースのフィッティングは重要となります。

 

最後に付属イヤーピースです。

 

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二種のイヤーピースはそれぞれBALANCEDが3サイズとBASSタイプが4サイズ付属しています。画像ではBASSも3サイズですが、本体にMサイズが装着済みです。

 

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付属イヤーピースは音質の好みで使い分け可能な二種のタイプです。注目は某メーカーのイヤピを彷彿させるBASSタイプ。中華AET07ですね。中華イヤピの中でもこれは傘はしっとりと柔らかい中にコシもありフィット感は良好で本家AET07が廃盤の今、個人的に愛用しています。音質的にはほぼAET07と同じ。中高音域をクリアにしながらも低音域しっかりとさせるタイプです。これがBASSタイプならばもう一方のBALANCEタイプは一体どうなるのかという疑問が湧きます。

BALANCEタイプを試してみると高音と低音をかなりはっきりとさせるタイプ。BASSタイプよりも低音はしっかりと感じられます。私の耳の形との相性なのかもしれませんが、BALANCEタイプは強ドンシャリになり、BASSタイプは弱ドンシャリになる印象です。

音質的には好みにもよると思いますが、愛用しているBASSタイプが個人的にはしっくりきました。このイヤーピースを私は耳の奥に栓をするように装着しフィットしています。

低価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じます。今回は中華価格に付属するイヤピで上手くフィットした為、そのまま使用しました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感はもとより音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えない他社製へ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. TANGZU x SeeAudio Shimin Li Encounter Edition音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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昨年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音に脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

昨年はSony NW-ZX507を使用していましたが、やや演出感のあるドンシャリはメリハリがありグルーブ感のある音はSonyの音で音楽を楽しく聴く事が出来ました。しかし、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5の方がモニターライクながらも、決してつまらない音ではなくリスニングでも使えて万能と考えたからです。

Shanling UP5をUSB-DACとして使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

 

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属BASSタイプ M-サイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「クリアで自然な中高音域と適度な低音域のドンシャリ」でした。

箱だしでは高音域と低音域がやや控えめに感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音は適度な量感になり高音域も自然な強さになりました。

 

音場

狭くはありませんが広くもない普通の広さ。前後はやや奥行があり、左右にやや空間を感じられ、立体感も感じられますが、空間の広さはそれ程感じません。

 

高音域

煌びやかさはあり響きも適度に感じます。上までの伸びやかさはそれ程感じらませんが、十分な存在感があります。華やかさはありますが、騒がしいと感じる様な主張の強さはなく、自然な強さで適度なもの。多ドラの高音域の様な目立ちたがり屋ではありません。最近の中華イヤホンの傾向と同じ刺さりや尖りは感じないもの。解像感は悪くありませんが、鮮明さはそれ程感じません。

 

中音域

適度に華やかさがある鳴り方ですが、音が真ん中に集まる団子感や音が重なるゴチャつきを感じ難く立体感を感じられる鳴り方。音が広がり響きの良い音です。ボーカルはクリアでやや近い位置。声音は自然でニュートラルな印象です。

 

低音域

量感は適度で響きや広がりを感じられ、音階や強弱といった低音域の解像感も悪くありませんが音の広がりや響きを重視した音。ベースラインは追いやすく、ボーカルよりも前に出るような不自然さはありません。重低音は沈み込みは深く、強さがありますので過不足はありません。

 

出音のバランス

一言で云えばやや中低音寄りの弱ドンシャリ。高音域はやや暗めながらも自然な強さで必要な量をしっかりと鳴らす音。低音は適度で過不足のない鳴り方は出音のバランスが良いドンシャリは上品な音。所謂ハーマンターゲット近似の音。

 

高音の煌びやかさは十分に感じられ、音の響きも良好です。諄さの無い割とあっさりとした鳴り方は華やかさはありますが、諄さの無い自然な強さ量を鳴らします。どちらかと云えばやや暗めの印象ですが、地味というよりは大人の余裕を感じられる音は実はいっぱいいっぱいなのかもしれません。必要な時に必要な量を鳴らし不足を感じない鳴り方は多ドラの高音に食傷気味の方にはマイルドさが丁度良いかもしれません。一方で、中華イヤホンの明るい高音域に慣れた方にはもの足りない、不満を感じられるかもしれません。それでも演出感を抑え不快なシャリつきのない鳴り方はシェル同様に美麗で心地の良さがあります。超高音までの伸びやかさはそれ程ありませんが、なめらかさはあります。小さな音でも感じ取れるものの鮮明さはそれ程感じませんので解像感や描写はやや丸みを感じられます。

中音は僅かに凹みを感じます。ボーカルがやや近い位置に対し楽器の音はその周りから少し離れやや後ろ辺りに位置し奥行を感じられます。厚みのある音なのに整って聴こえますのでごちゃごちゃしている印象はありません。

ボーカルはクリアで周りの音や高音や低音にも埋もれません。やや近い位置から聴こえ、その声色も自然で息遣いを感じられ艶を感じられます。そのため女性ボーカルのバラードなどでしっとりとした艶のある声を楽しめますし、アップテンポな曲でも伸びやかさ軽やかさを感じられます。

低音の量感は適度で響きや広がりを感じられます。音階や強弱を感じ取れる解像感よりも曲の雰囲気を損なわずに音楽を楽しめる音は高音と中音域とのバランスを整えた何処かだけを強調していない音。そのため雰囲気の良い曲でもアップテンポな曲でも対応可能な懐の深さを感じます。

重低音は沈み込みは深く、強さを感じられる音は低価格帯でよくあるただ強く鳴らす音ではない表現力のある音。ドンドン鳴れば良いんでしょ?的な雑な音ではありません。適度な量感の低音域は中音域に厚みを持たせてくれます。

 

TiNHiFi C3と比較した場合、C3と同傾向の音と云えます。高中音域はでしゃばらない大人の鳴り方。一方、低音域もしっかりと鳴らし、中音域に厚みがあります。そのため本当によく似た音質と云えそうです。全体のバランスが良い優等生と云える音質は暖色傾向でC3も弱ドンシャリと云えます。特に中低音域の厚みはC3の聴きどころであり、最も「らしさ」を感じられるポイントですが、Shimin Li EEも同じです。強いて云えば高音域の響きの良さがShimin Li EEにはあります。実は似た音としてもう一つ。TKZK OURANOSがあります。これらは何れも普通に良い音と云えますので、見た目で決めても良いかもしれません。

 

次にCADENZAとの比較では、CADENZAがやや中高音寄りのドンシャリです。低音がしっかりと鳴るのに高音域は鮮明にしっかりと聴こえ、中音域を華やかに彩らせ高中音域を聴かせる硬質な音です。そのためShimin Li EEの高音域をやや暗めに鳴らし中低音域を厚めに充実感のある音とは異なる音と云えます。

 

※以前のレビューもご参考ください

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まとめるとTANGZU x SeeAudio Shimin Li Encounter Editionの弱ドンシャリは高音域の響きの良さを持ち、中低音域が充実させた音造りが万人受けしやすい音であり、バランスの良い音を聴かせてくれます。日本国内では中高音域がクリアで高音が上の上まで伸びる音が人気ですが、海外では人気のある音造りと云えそうです。日本国内でも普通に流通している個性的な外観を持つイヤホンはコレクションアイテムとしてだけでなく、価格帯では文句なく高音質という評価となります。

一方で中華イヤホンに強ドンシャリバランスを求める方には評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   CADENZA ≧ Shimin Li EE ≧ C3 

中音   C3 ≧ Shimin Li EE ≧ CADENZA

低音   C3 ≧ Shimin Li EE ≧ CADENZA

ボーカル C3 ≧ Shimin Li EE ≧ CADENZA

 

 

4. TANGZU x SeeAudio Shimin Li Encounter Editionの総評

TANGZU x SeeAudio Shimin Li Encounter Editionは同社のオリジナルモデルShimin LiをSeeAudioとのコラボモデルとしてブラッシュアップしA5000帯モデルとして新発売しました。結論から云えばSeeAudioとのコラボに間違いはなく、オリジナルモデルの癖を抜いた普通に高音質モデルと云えそうです。中低音域を充実させた音造りは一般層には受けが良く海外では高評価となりそうな音質傾向が日本国内のポータブルオーディオファンには高音域中心の音が好まれる傾向があり、評価は分かれそうです。とはいえこのShimin Li EEは普通に高音質と云えバランスの良い音を聴かせてくれます。なによりも音楽を楽しく聴く事ができますのでデザインが気に入れば購入しコレクションに加えても良いのではないでしょうか。

 

最後に、今回は今年3月に発売された低価格A5000-U10000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2023年3月24日)はHiFiGoで6,000円台で販売し、国内amazonではprime扱いの6,000円台後半となっています。しかも今(2023年3月24日24:00)は10%オフクーポン有。まあ海外通販で購入するとしてもHiFiGoの発送は早く届くのも早い印象があります。これまでの中華イヤホンの中では安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは十分満足できる内容となっておりますので、低~中価格帯中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、新製品を少しでも早く(安く)手に入れたい方はHiFiGoでの購入も検討してみてくださいね。

 

Shimin Li EE

以下、付属ケーブル、付属BASSタイプイヤピ M-使用、DAC UP5
高音★★★★☆ 
中音★★★★★  
低音★★★★★ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★ 

※☆0.51.0

 

C3

以下、付属ケーブル、付属イヤピ MDAC UP5
高音★★★★☆ 
中音★★★★★  
低音★★★★★ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

CADENZA

以下、付属ケーブル、付属イヤピ MDAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★☆  
低音★★★★★ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★ (硬質な音)

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回はいつもの中華イヤホンの低価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後は低価格だけではなく、中価格の中華イヤホンも扱っていきます。

また、気になる商品が出ればチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

※2023/03/26 今日現在、ドライバの混在が確認されているようです。私のShimin Li EEが対象かどうかは現時点で確認できていません。確認できるまでは公開をしたままにします。

 

Trn TA3 レビュー

こんにちは。

今回はいつもの中華イヤホンレビュー編として、中価格U10000帯で発売された1BA+2DDハイブリッドドライバモデルのTrn TA3についてレビューをまとめたいと思います。

国内amazonのHiFiGoで取扱があります。

 

 

AliExpressでも取扱があります。

 

ja.aliexpress.com

 

HiFiGoサイトはコチラ

TRN TA3 2DD+1BA Hybrid Knowles Balanced Armature In-Ear Monitors With 2.5/3.5/4.4 Swappable Connectorshifigo.com

 

 

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1. Trn TA3について 

Trn TA3は中価格A5000-U10000帯中華イヤホンの1BA+2DDハイブリッドドライバモデルとして今年3月に新発売されました。このTA3は前回レビューしたMT4の2DDにBAを1基追加したモデルとなります。MT4が今年2月の発売開始であり、TA3が3月発売とMT4のローンチから既に販売計画に合ったモデルと云えそうです。

近年のTrnは普通に音質の良いモデルを多く発売し中華イヤホンの認知度に貢献していると云えます。これで日本の代理店が取り扱うようになれば、国内メーカーの低価格ラインナップはかなり厳しいことになりそうです。

それもその筈。「普通に音が良い」というのはイヤホンという商品群の中では最も重視されるべき品質です。勿論、音質傾向には好みがあり、一定の音質水準を超えるとそこからは個人の嗜好に依って評価されます。その一定の水準を超えるというのが現在家電量販店等で購入できる国内メーカーの低価格帯U3K商品群では選択肢が少ないという事実です。それはやたら低音を盛り重低音と謳ったメーカーの多い事。これには理由があって、ワイヤレスイヤホンが主流のマーケットの中では有線イヤホンというマイナー商品群では致し方がないのかもしれません。そのマイナーな商品群のコアなファンが国内メーカーを見限り、中華イヤホンに目を向けるのも仕方が無い事なのだと思います。

さて、Trn TA3は今年先行して発売されたMT4のBA追加モデルと云え、MT4のデュアルダイナミックドライバにバランスドアーマチュア1基を加えた進化系、1BA+2DDハイブリッドドライバモデルです。MT4はデュアルダイナミックドライバモデルとして完成度が高く、バランスの良い高音質モデルでした。しかし、MT4はバランスを重視した結果、高音域が従来のTrnの高音域重視の音作りよりは大人しめでした。それをBAを1基追加することでそれを補う狙いが窺えます。MT4の大小異なるサイズ径と異なる二種のダイヤフラムのデュアルダイナミックドライバ構成に高音域を補完するBAを搭載した1BA+2DDハイブリッドドライバ構成のTA3はMT4の進化版として、否が応でも注目せざるを得ません。

 

※TA3のf特(メーカーHP抜粋)

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メーカー発表のf特を引用し音質を想定してみます。グラフからは高音域にピークがあり、8k付近に最大ピークがあります。そこから10k以降に掛けて緩やかに右下がりとなり振れ幅も広めに上下しています。音域全体を見ると中音域が凹みがありますが、フラットなf特性となっています。

 

※MT4のf特(メーカーHP抜粋)

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次に比較として同社の2DDデュアルドライバ構成のMT4のメーカー発表のf特を引用します。グラフからはやや高音域寄りにピークがあり、2k付近に最大ピークがあります。そこからは高音域に掛けて緩やかに右下がりとなり振れ幅も広めに上下しています。音域全体を見ると中音域が凹むよくあるドンシャリサウンドのf特性となっています。

実際にMT4を聴いてみると高音域に強いピークのないドンシャリ傾向のサウンドです。

 

※Trn Kirinのf特(メーカーHP抜粋)
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最後にTrn Kirinのf特です。以前のレビューでも触れた通り価格帯が一クラス上となりますが、それらと比べた時にKirinのf特は全体的に同傾向のf特の印象を受けます。しかしそれらとは高音域の最大ピークの発生する周波数が異なります。Kirinはステムノズルフィルタ交換が可能であり厳密には異なりますが、TA3やMT4の高音域のピークは10k手前にあり、Kirinは5k付近にあります。加えて、それを超えた10k-20kの間にピークを持ちます。より高音域を強調している様な印象を持ちますが、実際に聴き比べてみるとそれは一変します。全体の印象は似ていますが、高音域の繊細さと低音域の質感は流石の中価格A15000-U20000帯モデルと云えます。全体では高音やや強めのフラット寄りのドンシャリですが、解像感の高い高音域は華やかでありながらしつこさの無い繊細な音は耳障りの無い一クラス上の音質を感じられます。

 

これまでのレビューでも考察した通り、f特は出音の参考にはなりますがそれで音質が分る訳ではなく聴いてみて音質を評価することが一番だと個人的に考えています。そのため実際に聴いてみたKirinとMT4は勿論のこと、TA3の高音域が全然違うというのは想像に難しくありません。

 

さて、Trn TA3のスペックですが、中華イヤホンの中価格帯では最近はみかけない1BA+2DD多ドラハイブリッドドライバモデルです。数年前は多ドラハイブリッドドライバモデルが多く発売されていましたが、近年では中価格帯では少なくなりました。その理由として元々U10K帯で採用されるダイナミックドライバでは求める音質を達成できず、BA等によって補完するのがトレンドでした。しかし、近年のダイナミックドライバの性能が向上し下手に多ドラ化するよりも質の高いダイナミックドライバを採用しシングルダイナミックモデルとした方が結果として音質が良いという状況に変わってきました。それを後押ししたのがユーザーの目が肥えた為らぬ「耳が肥えた」こと。「この価格で片側Xドライバ搭載!」ではユーザーが見向きもしないという市場に変化しています。

さて、TA3のドライバには異なるサイズとダイヤフラム(振動膜)のダイナミックドライバ(DD)を片側に二基搭載。これはMT4と同様です。そして高音域の補完としてバランスドアーマチュア(BA)を一基搭載したトリプルドライバ構成のモデルです。前述の通り最近では珍しい組合せと云えます。超高音域から高音域用のBAにはKnowles製33518を採用。これはMT4と異なり追加されています。高音域から中高音域用のDDには直径6mmのチタンコーティング振動膜を採用したダイナミックドライバを。これもMT4とは異なるドライバ変更しています。中低音~低音域用には直径10mmのベリリウムコーティング振動膜に加え、二重磁気のダイナミックドライバを採用しています。これはMT4と同じです。お気づきの通り、MT4にBAを追加しただけではなく、高音~中高音域用6mm径DDが変更し、追加したBAにはKnowles製33518を搭載するという結構力を入れたアップグレードと云えます。

複数ドライバ機で最も大事なことですが、異なる種類や複数のドライバを搭載するモデルでは各ドライバの担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングが重要です。低価格帯はもとより、中価格帯のモデルでも曲によってつながりにやや不自然さを感じる場合があります。前述の通りTA3はBAと6mm小径DDと10mm大径DDのトリプルドライバ構成ですが、実質的には10mm径DDがフルレンジを担い、6mm径DDが中高音域を。BAが高音域より上の音域を補完する構成です。そのため鳴らし始めは曲にも依りますが高音域と低音域が独立して鳴っているようなつながりの不自然さを感じられる事があるのが気になります。特に低音が広がる強めの曲で感じやすいです。これは各ドライバがちゃんと仕事をしているという裏返しでもありますし、多くの場合鳴らし込むと不自然さが薄くなり解消します。

次にイヤホン本体にはステムノズルが金属製。シェル本体に樹脂製、フェイスプレートには亜鉛合金を採用し高級感のある外観としています。

最後に付属ケーブルです。高品質銀メッキ無酸素銅(OFC)線とOFC線の混合4芯編込み線を採用。加えてプレイヤー側はプラグ交換システム(PCS)のモデルです。

元々中華ケーブルメーカーの利点を活かしたものとなっています。中華イヤホンメーカーでは付属ケーブルはリケーブル前提で質を落としコストカットしているところもありますが、付属として高品質線材に加えPCSを採用している豪華仕様となります。

 

※宜しければ過去記事もご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

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Trn TA3の納期として今回HiFiGoでオーダー、1週間強で届きました。現在(2023/3/18)は国内amazonでprime扱いとなっています。昨今、HiFiGoやAliExpressで購入した本国発送の場合でも以前の様な感染症の影響で遅延は少なくほぼ回復したと云えます。尤も、万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかるのが、海外通販のリスクです。

そんな訳で一般的に海外通販での購入は国内通販で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが偶に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットがありましたが、最近では円安でその恩恵も受け難く、国内では入手できない商品を早く手に入れる事がメリットと云えます。それらを天秤にかけた場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. Trn TA3実機レビュー 

それでは、実機レビューを以下、まとめていきます。


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パッケージングは黒を基調とした商品名とイヤホンイラストがプリントされたスリーブタイプの化粧箱です。

 

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スリーブを外すと内箱にはイヤホンイラスト付きの黒地の内蓋があります。

 

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内蓋を外すと内箱上側の黒地の台座にイヤホンが収納されています。

下側には付属品が収納された小箱があります。

 

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付属品は2種のシリコンイヤーピースS、M、Lの2セットに加えTrn新型イヤーピースT-earのMサイズ黒軸1ペアの計3種。他にはPCSケーブルとその交換用プラグ3.5mm、4.4mm、2.5mmの3種です。中価格A5,000-U10000帯として十分な付属品となります。

強いて云えば上位のVX ProやKirinではTrnの金属ケースも付属しますが、中価格A10000との差別化がされています。

 

次にイヤホン本体を見ていきます。

 

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ビルドクオリティですが、中華イヤホンで心配されるような雑なところ感じさせません。低価格帯でよくあるシェルの合わせ面等のズレや隙間は無く綺麗に仕上がっています。

カラーバリエーションは黒色のみ。

 

次にケーブルをみていきます。

 

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付属ケーブルは高品質銀メッキ無酸素銅(OFC)線とOFC線の混合4芯編込み線を採用。加えてプレイヤー側はプラグ交換システム(PCS)対応。イヤホン側は丸型ハウジングのKZ-Cタイプです。


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プレイヤー側コネクタはI字タイプでプラグ交換システム(PCS)対応。交換用プラグが三種付属します。

この付属ケーブルは耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。絡まり難くしなやかなものとなり中価格帯に付属するケーブルの中でも悪い印象はありません。殆ど全てのDAP等のプレーヤーにプラグ交換によって対応しますので、そのまま使用できますし茶色と銀色の混合色ケーブルは被膜の色味もシェル本体にマッチしています。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、私はこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

続いて他機種とのサイズ感や造形の比較です。

 

※画像左からTruthear x Crinacle ZERO、Trn TA3、Trn MT4

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Trn TA3は前回レビューしたMT4で触れた通りMT4やXuanWuと同じシェルです。フェイスプレートのデザイン違いだけで比較的オーソドックスな造形です。比較用のTruthear x Crinacle ZEROが割と大柄な造形のため、TA3の一般的な造形からはサイズ感は大きく感じますが、大きくて耳に持て余すようなことはありません。TA3もMT4もZEROもXuanWu同様に比較的軽量となり、装着時にはその装着感の良さもあり殆ど重量を感じません。

また、ZEROはステムノズル一体型オール樹脂シェルですが、TA3やMT4はXuanWu同様にステムノズルとフェイスプレートが金属の本体は樹脂シェルです。

ステムノズルの長さや太さと角度はTA3とMT4とXuanWuが同じ。ZEROが太く長め。角度はやや起きています。

また、ステムノズル部には三機種全てにフィルターがあり異物混入による故障を防げます。ZEROとTA3とMT4は金属フィルタですが、XuanWuでは繊維フィルタを採用しそれらの金属フィルタと異なり音質に影響があるタイプです。

そして、シェル本体の形状と付属ケーブルからは三機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、装着感はステムノズルの長さや太さに影響がありますので、イヤーピースのフィッティングは重要となります。

 

最後に付属イヤーピースです。

 

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付属イヤーピースは音質の好みで使い分け可能な3種のタイプです。注目は新型T-ear Tipsイヤピです。某メーカーのイヤピを彷彿させるもの。傘はしっとりと柔らかい中にコシもありフィット感は良好です。音質的には高音域をやや減衰させるタイプです。

黒傘はく高音と低音をしっかりさせるバランスタイプ。白傘は開口部が大きく、中高音域をクリアにするタイプです。

音質的には好みにもよると思いますが、白傘タイプが個人的にはしっくりきました。このイヤーピースを私は耳の奥に栓をするように装着しフィットしています。

低価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じます。今回は付属のイヤピで上手くフィットした為、そのまま使用しました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感はもとより音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えない他社製へ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. Trn TA3音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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昨年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音に脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

昨年はSony NW-ZX507を使用していましたが、やや演出感のあるドンシャリはメリハリがありグルーブ感のある音はSonyの音で音楽を楽しく聴く事が出来ました。しかし、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5の方がモニターライクながらも、決してつまらない音ではなくリスニングでも使えて万能と考えたからです。

Shanling UP5をUSB-DACとして使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

 

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属白 Mサイズ、付属ケーブル4.4mmプラグです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「クリアで自然な中高音域としっかりと鳴る低音域のドンシャリ」でした。

箱だしでは高音域と低音域がやや不自然に分離した音で遠い高音域と近くて膨らむ低音は緩さを感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音は締まった音になり高音域も自然で定位に不自然さがなくなりました。

 

音場

普通からやや広め。前後の奥行も感じられ、左右の広さもあり、立体的な空間を感じられます。

 

高音域

僅かに誇張された強さ量で鳴りますが、よくある低価格のBAの様な一音一音が強く鳴る印象はなく、煌びやかで明るい華やかな鳴り方は、誇張された華やかさに感じる事のない鳴り方です。特に小さな音が埋もれずに耳に届きます。クリアな見通しの良い空間に上まで伸びる感じは、高音の描写や表現力にこだわりのある方も納得できるのでは。一方で刺激的な高音域を求める方にはやはり物足りないかもしれません。誇張を感じない自然に近い煌びやかさは響きや余韻も感じられますが、瞬発的なキレは程々。超高音域までの伸びも良好です。全体的に音圧は大きくありませんが、小さな音を見逃さずに統制された整った音の高音域は、立体感を感じられます。

 

中音域

空間は普通からやや広めと特筆すべきものはありませんが、空間の見通しの良さがあります。空間に響く華やかに鳴る音は、凹みを感じ難く音数の多い曲でもごちゃつきを感じません。また、多ドラの音が重なり中心に集まる団子感は感じられず分離の良さが整理された空間をに響く音を楽しめます。全体的に音の立ち上がりが良いキレのある音は音の強弱と大小を美麗に描写してくれます。

ボーカルはクリアで自然な位置から聴かせてくれ、僅かにドライ気味なものの息遣いを感じられ熱っぽさを感じられます。

 

低音域

量感は適度に抑えられ、余韻も感じられますが低く広がるような感じではありません。それでもモニター的なタイトな面白みのない音ではなく適度に広がり芯のある強さのある音。全体的な印象として締ったキレのある音は強弱や音階を描写します。ベースラインは追いやすいが、前に出すぎる事はありませんのでボーカルを邪魔しません。重低音の沈み込みはそれほど深さを感じませんが、芯の強さを感じます。

 

出音のバランス

一言で云えばしつこさの無い華やさのある中高音寄りの弱ドンシャリ。出音は中高音を中心に低音は適度な強さのある万人受けするバランスです。中高音をクリアに聴かせてくれるフラット寄りの弱ドンシャリバランスという印象です。

 

高音の華やかさはMT4に比べ上までの伸びや小さな音を埋もれさせずに煌びやかに表現してくれる印象です。そういう意味では僅かに誇張された音であり自然な音ではないのかもしれませんが、クリアな空間も相まって自然に近い強さで鳴る音は質感が高く好感を持ちます。低音は最近のTrnの中高音域をマスクしない見通しの良さを確保した締まりのあるタイトに鳴るバランス。そのため比較的刺激の少ない音に物足りなさを感じられるかもしれません。MT4と比較すれば僅かに誇張することで高音域は煌びやかで響きも良く華やかに鳴り解像感を高く感じますが、XuanWuの様に不自然な金属の響きだけが耳に残ったり、MT4の様に限界を感じる音ではありません。寧ろKirinに近い完成度という印象です。尤も、Kirinとの違いはその音場と中高音域の解像感です。Kirinの立体感のある音場と音の輪郭の掴みやすさは一歩譲ります。一方でMT4との比較では僅かに誇張された高音域は自然な音ではないかもしれないけど、MT4では地味な音に聞こえてしまった高音域はTA3では美麗さのある響きをクリアな空間に広がります。TA3くらいの誇張が全音域でバランスの良い音に感じられ解像感と音楽性を両立できていると感じます。

またMT4では、自然な高音域が存在感は大きくはないものの、ゆったりとした曲を聴く際には騒がしさの無い心地の良い高音域を楽しめますが、TA3ではゆったりとした曲でもアップテンポな曲でも心地の良い高音域を楽しめます。これはケーブルの違いも無視できません。TA3では高純度の太い線材を採用しており低価格帯付属ケーブルとは一線を画します。MT4で感じた空間のざらつきがTA3では感じられず、澄んだ空間を感じられますので、前述の高音域の小さな音がかき消されずに耳に届くのも合点がいきます。

 

同価格帯の同社ST5との比較では、ST5は高音に強調感がある中低音寄りの弱ドンシャリの出音は音楽を楽しく聴く事ができるリスニングイヤホンでした。ベリリウムコーティングの振動膜DDが、中高音のごちゃつきを改善し従来のDDよりも低音の強さは抑えられ、全体の出音が最新世代のTrnの音は各音域のバランスが良く、特に統制された高音は刺激的な音とは一線を画す現在主流の音でした。これはTA3の高音と低音よりもやや強めに鳴るためにTA3よりはドンシャリ寄り。TA3が高級機にあるようなフラット寄り傾向ということを感じられます。どちらも良い音ですので個人の嗜好で選択するレベルと云えます。

XuanWuとの比較ではXuanWuが少々やり過ぎ感のある高音域のために、TA3の高音域は自然な音に感じられると思います。XuanWuの高音はST5よりも強めですのでそれぞれの嗜好によって好き嫌いが分かれそうです。

TA3では、MT4のネガティブだった地味で線の細い高音域をBAによって上手く補完し物足りなさを感じない質感の高い高音域に進化しただけでなく、実は中高音域の6mm径DDがチタンコーティングダイヤフラムに進化したことが、高音域全体の質感向上に寄与していることを窺えました。

 

※以前の同社ST5のレビューもご参考ください

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まとめるとTrn TA3はTrnの普通に良い音を重視した良バランスの音。高音域をこれまでのやや誇張し強めに鳴らし解像感を得ていたところからレベルアップを感じられました。また、小径DDをMT4からグレードアップすることで小径DDがこれまでこのクラスの多ドラで主流だった中高音域を中華BAが担った時の荒さを改善し、数年前からの進化著しいDDとのハイブリッドドライバ構成が自然な音を鳴らす事ができる中価格U10000帯でもトップクラスの高音質と云えそうです。

一方、XuanWuで採用されたBAとSPDのハイブリッドドライバはSPDの進化に期待し、これからも楽しみなドライバと云えそうです。尤も、XuanWuの場合、BAの活用の仕方に調整の余地がありそうだというのは以前お話しした通りです。

なお、TA3はリスニング用途としてのナチュラルなバランスであり音楽を分析的に聴きたい方には評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   TA3 ≧ ST5 ≧ XuanWu (質感)

中音   TA3 ≧ XuanWu ≧ ST5 (質感)

低音   ST5 ≧ TA3 ≧ XuanWu (質感)

ボーカル TA3 ≧ ST5 ≧ XuanWu (質感)

 

 

4. Trn TA3の総評

Trn TA3はTrnらしい良バランスの高音質は同価格帯でもトップクラスと云えます。中価格U10000帯中華イヤホンでは最近は数の少ない多ドラハイブリッドドライバモデルとなりますが、下手にドライバを多く使用せずに少数精鋭としながら仕上げの付属ケーブルは完成度の高さを感じられます。尤もその高音質は相対評価であり、上には上がいる訳ですので、絶対値ではありません。それでもTrnの極端な音質傾向ではない「普通に良い音」は安心してお勧めできるメーカーと云えると思います。

TA3はMT4はTrnらしいアプローチで音質をブラッシュアップした高音質モデルと云えます。

 

最後に、今回は今年3月に発売された低価格A5000-U10000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2023年3月18日)はHiFiGoで7,000円台で販売し、国内amazonではprime扱いの7,000円台後半となっています。海外通販でもHiFiGoの発送は早く届くのも早い印象があります。これまでの中華イヤホンの中では安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは十分満足できる内容となっておりますので、低価格帯中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、新製品を少しでも早く(安く)手に入れたい方はHiFiGoでの購入も検討してみてくださいね。

 

TA3

以下、付属ケーブル4.4mmプラグ、付属白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★ 

※☆0.51.0

 

MT4

以下、付属ケーブル、付属白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★ (高音好きの方★4)

※☆0.51.0

 

ST5

以下、付属ケーブル、付属白イヤピ MDAC UP5
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

XuanWu

以下、付属ケーブル、付属白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★ (高音強調が苦手の方★4)

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回はいつもの中華イヤホンの低価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後は低価格だけではなく、中価格の中華イヤホンも扱っていきます。

また、気になる商品が出ればチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

Trn MT4 レビュー

こんにちは。

今回はいつもの中華イヤホンレビュー編として、低価格U5000帯で発売された2DDモデルのTrn MT4についてレビューをまとめたいと思います。

国内amazonのHiFiGoで取扱があります。

 

 

AliExpressでも取扱があります。

 

ja.aliexpress.com

 

HiFiGoサイトはコチラ

TRN MT4 High-Performance Dual Dynamic HiFi In-Ear Monitorshifigo.com

 

 

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1. Trn MT4について 

Trn MT4は低価格U5000帯中華イヤホンのデュアルダイナミックドライバモデルとして今年1月に新発売されました。

近年のTrnは従来の低価格U5Kから高価格A30K帯迄の幅広いラインナップを持ち、それらは普通に音質の良いモデルが多く発売し中華イヤホンファンから注目されています。

「普通に音質が良い」というのはとても重要です。それは中華イヤホンのA10K帯やそれ以下の価格帯の新商品の発売スパンは短く、長くても数か月一度ニューモデルを投入してきます。我々中華イヤホンファンはこのスパンで発売される新商品を追いかけて楽しんでいますが、その中にはどうしても「微妙」な評価になる商品も残念ながら存在しています。それも含めて「今回は外れだった」とネタにして楽しむ訳ですが、初めて中華イヤホンに興味を持ち、あれこれ悩みながら手に入れた中華イヤホンが微妙だったらもう目も当てられません。音質傾向が好みではなかったというのなら救いがありますが、高音だけが目立って五月蠅いとか、低音が支配的で中高音域が籠っているイヤホンを引いた日には「中華イヤホンは二度と買わない」となって終うかもしれません。趣味に対する向き合い方は人それぞれですが、それでもやはり間口は広くありたいと願う次第です。

さて、Trn MT4は昨年発売されたシングルダイナミックドライバモデルのMT3の進化系と云えるデュアルダイナミックドライバモデルです。販売価格もU3Kという低価格帯の中でも安価なゾーンとなりますが、数年前までのこの価格帯は1BA+1DDハイブリッドドライバモデルが席巻していました。勿論Trnも例外なく発売しており、直近では一年前にTAを発売していましたし、最近では昨年からのトレンドの一つ、平面磁気駆動ドライバ(PD)の異種として、四角形の平面磁気駆動ドライバ(SPD)を採用することで低価格U5K帯に収め、且つBAとのハイブリッドドライバ構成としたXuanWuを発売する等、目新しくて良さそうなものはどんどん取り入れていく姿勢は流石と云えます。

そのTrnが今年最初に発売したMT4は従来の低価格帯の1BA+1DDハイブリッドドライバ構成のモデルが常識だった市場に一石を投じました。MT4は大小異なるサイズ径と異なる二種のダイヤフラムのデュアルダイナミックドライバ構成です。近年発売したモデルは「普通に音が良い」という評判のTrnから発売されたこともあり、これは注目せざるを得ませんよね。

 

※MT4のf特(メーカーHP抜粋)

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メーカー発表のf特を引用し音質を想定してみます。グラフからはやや高音域寄りにピークがあり、2k付近に最大ピークがあります。そこからは高音域に掛けて緩やかに右下がりとなり振れ幅も広めに上下しています。音域全体を見ると中音域が凹むよくあるドンシャリサウンドのf特性となっています。

 

※Xuanwuのf特(メーカーHP抜粋)

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次に比較として同社の1BA+1SPDデュアルドライバ構成Xuanwuのメーカー発表のf特を引用します。グラフからは高音域寄りにピークがあり、2k付近が最大ピークとなりますが、そこからは10k手前の高音域迄横ばいにピークを維持し、それを超えた後は右下に急激に下降しています。音域全体を見ると高音域が強調されたドンシャリサウンドのf特性となっています。

実際にXuanwuを聴いてみると高音域に強いピークを感じるドンシャリ傾向のサウンドです。

 

※Trn Kirinのf特(メーカーHP抜粋)
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最後にTrn Kirinのf特です。価格帯もクラスも上となりますが、Kirinのf特とは全体的に同傾向の印象を持ちますが、高音域が異なります。ステムノズルフィルタにより厳密には異なるもののKirinの高音域のピークは10k手前ではなく5k付近にあります。加えて、それを超えた10k-20kの間にピークを持っています。より高音域を強調されている様な印象を持ちますが、実際に聴き比べてみるとそれは一変します。全体の印象は似ていますが、高音域の繊細さと低音域の質感は流石の中価格A15000-U20000帯モデルと云えます。全体では高音やや強めのフラット寄りのドンシャリですが、解像感の高い高音域は華やかでありながらしつこさの無い繊細な音は耳障りが無く、一クラス上の音質を感じられます。

 

これまでのレビューでも考察した通り、f特は出音の参考にはなりますがそれで音質が分る訳ではなく聴いてみて音質を評価することが一番だと個人的に考えています。そのためKirinとXuanwuの高音域が全然違うのは納得できます。そういう意味ではMT4がどのような音を聴かせてくれるのか楽しみです。

 

さて、Trn MT4のスペックですが、中華イヤホンの低価格帯ではあまり例のない異なるサイズとダイヤフラム(振動膜)のダイナミックドライバ(DD)を片側に二基搭載したデュアルドライバ構成のモデルです。この商品群では珍しい組合せと云えます。高音域から中高音域用のDDには直径6mmの軽量振動膜を採用したダイナミックドライバを。中低音~低音域用には直径10mmのベリリウムコーティング振動膜に加え、二重磁気のダイナミックドライバを採用しています。

複数ドライバ機で最も大事なことですが、異なる種類や複数のドライバを搭載するモデルでは各ドライバの担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングが重要です。低価格帯はもとより、中価格帯のモデルでも曲によってつながりにやや不自然さを感じる場合があります。前述の通りMT4は6mm小径DDと10mm大径DDをデュアル構成としておりますが、実質的には10mm径DDがフルレンジを担い、6mm径DDが中高音域より上の音域を補完する構成です。そのため鳴らし始めは曲に依って高音域と低音域が独立して鳴っているようなつながりの不自然さを感じられる事があるのが気になります。特に低音が広がる強めの曲で感じやすいです。これは6mm径DDがちゃんと仕事をしているという裏返しでもありますが、鳴らし込むことで多くの場合次第に落ち着きます。余談ですが某3DD機は6mm径DD二基が鳴っていない疑惑がありました。

次にイヤホン本体にはステムノズルが金属製。シェル本体に樹脂製、フェイスプレートには亜鉛合金を採用し高級感のある外観としています。

最後に付属ケーブルです。高品質銀メッキ無酸素銅(OFC)線の4芯編込み線を採用。元々中華ケーブルメーカーの利点を活かしたものとなっています。中華イヤホンメーカーでは付属ケーブルはリケーブル前提で質を落としコストカットしているところもありますが、付属として必要十分な高品質線材を採用しています。

 

※宜しければ過去記事もご参考ください

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Trn MT4の納期として今回HiFiGoでオーダー、1週間強で届きました。現在(2023/3/17)は国内amazonでも本国発送となっています。昨今、HiFiGoやAliExpressで購入した本国発送の場合でも以前の様な感染症の影響で遅延は少なくほぼ回復したと云えます。尤も、万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかるのが、海外通販のリスクです。

そんな訳で一般的に海外通販での購入は国内通販で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが偶に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットがありましたが、最近では円安でその恩恵も受け難く、国内では入手できない商品を早く手に入れる事がメリットと云えます。それらを天秤にかけた場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. Trn MT4実機レビュー 

それでは、実機レビューを以下、まとめていきます。


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パッケージングは白を基調とした商品名とイヤホンイラストがプリントされたスリーブタイプの化粧箱です。

 

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スリーブを外すと内箱の白地の台座にイヤホンが収納されています。

 

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内装を取り外すと箱の底には付属品が収納されています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースS、M、Lの1セットに加えTrn新型イヤーピースT-Ear TipsのMサイズ黒軸1ペアの計3種。ケーブル、ケーブルバンドです。低価格U5000帯として十分な付属品となります。

 

次にイヤホン本体を見ていきます。

 

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ビルドクオリティですが、中華イヤホンで心配されるような雑なところ感じさせません。低価格帯でよくあるシェルの合わせ面等のズレや隙間は無く綺麗に仕上がっています。

カラーバリエーションは黒色とクリア(銀フェイスプレート)の二種。今回は黒色を選択しました。

 

次にケーブルをみていきます。

 

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付属ケーブルは4芯銀メッキ無酸素銅(OFC)線材の編込み線のシルバー(白?)カラーです。プレイヤー側コネクタはL字タイプ。イヤホン側はQDCタイプの丸型ハウジングKZ-C 2ピン仕様。極性はKZと同じ極性の上側がプラスです。いつものTrn低価格帯に付属するケーブルです。この付属ケーブルは被膜に多少引っ掛かりがありますが、タッチノイズは殆ど感じません。肝心の耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的に柔らかくしなやかなものとなり取り回しは悪くありません。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、私はこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

続いて他機種とのサイズ感や造形の比較です。

 

※画像左からTruthear x Crinacle ZERO、Trn MT4、Trn TA3

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Trn MT4はTA3やXuanWuと同じシェルです。フェイスプレートのデザイン違いだけで比較的オーソドックスな造形です。Truthear x Crinacle ZEROが比較的大柄な造形のため、MT4の一般的な造形からはサイズ感は大きく感じますが、大きくて耳に持て余すようなことはありません。MT4もTA3もZEROもXuanWu同様に比較的軽量となり、装着時にはその装着感の良さもあり殆ど重量を感じません。

また、ZEROはステムノズル一体型オール樹脂シェルですが、MT4やTA3はXuanWu同様にステムノズルとフェイスプレートが金属の本体は樹脂シェルです。

ステムノズルの長さや太さと角度はMT4とTA3とXuanWuが同じ。ZEROが太く長め。角度はやや起きています。

また、ステムノズル部には三機種全てにフィルターがあり異物混入による故障を防げます。ZEROとMT4とTA3は金属フィルタですが、XuanWuでは繊維フィルタを採用しそれらの金属フィルタと異なり音質に影響があるタイプです。

そして、シェル本体の形状と付属ケーブルからは三機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、装着感はステムノズルの長さや太さに影響がありますので、イヤーピースのフィッティングは重要となります。

 

最後に付属イヤーピースです。

 

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付属イヤーピースは最近のTrnに付属する白色イヤーピースと新型T-ear Tipsイヤピです。某メーカーのイヤピを彷彿させるもの。傘はしっとりと柔らかい中にコシもありフィット感は良好です。音質的には高音域をやや減衰させるタイプです。

いつもの白色イヤピは開口部が大きく、中高音域をクリアにするタイプです。

音質的には好みにもよると思いますが、白傘タイプが個人的にはしっくりきました。このイヤーピースを私は耳の奥に栓をするように装着しフィットしています。

低価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じます。今回は付属のイヤピで上手くフィットした為、そのまま使用しました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感はもとより音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えない他社製へ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. Trn MT4音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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昨年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音に脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

昨年はSony NW-ZX507を使用していましたが、やや演出感のあるドンシャリはメリハリがありグルーブ感のある音はSonyの音で音楽を楽しく聴く事が出来ました。しかし、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5の方がモニターライクながらも、決してつまらない音ではなくリスニングでも使えて万能と考えたからです。

Shanling UP5をUSB-DACとして使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

 

miineco106.hatenadiary.jp

 

より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。

miineco106.hatenadiary.jp

 

USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

miineco106.hatenadiary.jp

 

それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属白 Mサイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「自然な高音域としっかりと鳴る低音域のドンシャリ」でした。

箱だしでは高音域と低音域が不自然に分離した音で遠い高音域と近くて膨らむ低音は緩さを感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音は締まった音になり高音域も自然で定位に不自然さがなくなりました。

 

音場

普通の広さですが、前後の奥行も感じられ、左右の広さもあり、立体的な空間を感じられます。

 

高音域

自然な強さ量で鳴るために控えめな印象を持ちそうですが、誇張された煌びやかで明るい華やかな鳴り方よりも素直で自然な音は、必要以上に華やかさを感じる事のない爽やかな鳴り方です。想像よりずっと大人の落ち着いた感じは、高音好きには刺激が少なく物足りないかもしれません。自然な誇張のない煌びやかさは響きや余韻も控えめな為、瞬発的なキレも程々。超高音域までの伸びはそれ程感じません、寧ろ音圧は少なくても整った音の高音域であり、立体感を感じ易くなっています。その為、存在感は大きくはないものの、十分描写を感じられます。ゆったりとした曲を聴く際には騒がしさの無い心地の良い高音域を楽しめます。

 

中音域

空間は広くも狭くもない普通。それほど広さを感じない空間に適度に華やかに鳴る音は、若干凹みを感じられますが、音数の多い曲でもごちゃつかずに表現してくれます。また、音が重なり中心に集まる団子感の感じ難い分離の良さを感じます。高音域よりも音の立ち上がりの良さがありキレの良い音は音の強弱を綺麗に描写してくれます。ボーカルはクリアで自然な位置から聴かせてくれ、ややドライ気味なものの息遣いを感じられます。

 

低音域

量感は適度に抑えられ、余韻を楽しむような広がりはありませんが、タイトな面白みのない音ではありません。適度に強さのある芯を感じられる締まった音。全体的な印象として締りとキレは良好で音の強弱や音階を描写します。ベースラインは追えますが、前に出すぎる事はありません。重低音の沈み込みはそれほど深さを感じませんが、芯の強さを感じる音。

 

出音のバランス

一言で云えば適度な華やさのある中高音寄りの弱ドンシャリ。出音は中高音を中心に低音は適度な強さのある万人受するバランスです。やや中高音寄りの弱ドンシャリバランスという印象です。

 

高音の華やかさは控えめな印象ですが、誇張の無い自然な音の強さは好感を持ちます。低音は最近のTrnの得意な中高音域をマスクしない見通しの良さを確保した締まりのあるタイトに鳴るバランス。そのため刺激の少ない音に物足りなさを感じられるかもしれません。確かに多少誇張することで高音域は煌びやかで響きも良く華やかに鳴り解像感を高く感じてしまいますが、XuanWuの様に不自然な金属の響きだけが耳に残るのはやり過ぎ感があります。一方でMT4では自然な音かもしれないけど地味な音に聞こえてしまうかもしれません。もう少し、いや僅かに誇張したバランスの方が解像感と音楽性を両立させやすいのも事実です。

ではMT4のバランスがどこで活きるのかと云えば、「ゆったりとした音数の少ない曲」という印象です。小さな音をかき消さずに描写してくれるものの音圧は弱めですが、それが功を奏して前後の奥行を感じられ立体感を生み出します。尤も高級機であれば何方かに寄るでもなく、何方の場合でも綺麗に表現してくれますので、この価格帯ならではの無いものねだりとなります。

中音は落ち着いた華やかさが心地良い。やや凹みを感じますがボーカルと楽器の音はやや後ろ辺りの離れた位置に感じられ奥行を感じられます。そして中音域の音は統制されており、空間の見通しも良くクリアです。音の描写力は良好で解像感は相応ながらも分離の良い音を感じられます。

一方、ボーカルは自然な位置からクリアで聴きやすく、高音や低音の音に埋もれませんし中音に重なりかき消されることはありません。声色はややドライ気味なものの息遣いを感じられますが、ボーカルを中心に聴きたい場合には自然な位置が仇となります。

低音は量感は適度に抑えられ、締まりのあるタイトな鳴り方のため余韻を楽しむような広がりはあまり感じませんので雰囲気の良いバラードを聴きたい場合には相性を感じるかもしれません。何方かと云えば締りとキレの良い鳴り方で低音域はアップテンポな曲との相性は悪くはありません。中高音寄りの弱ドンシャリの出音は決して低音を犠牲にしていませんが、それなりの相性はありそうです。

重低音は沈み込みはそれほど深くありませんが、芯のある強さがあります。誇張の無い自然に華やかに鳴る高音中音域をキレの良い低音が支え、音楽を楽しく聴く事ができます。

 

XuanWuとの比較ではXuanWuは少々やり過ぎ感のある高音域でしたが、MT4の高音域は自然な音でありそれぞれの嗜好によって好き嫌いが分かれそうです。それでも中音低音の音は近しいバランスであり、解像感はXuanWuの方に分がありますが、全体のバランスではMT4の方が自然で素直に高音質と云えそうです。

とはいえ、ネガティブな面として地味な高音域に物足りなさを感じるのも事実です。中音域ではベリリウムコートの程良い堅さとキレのある音を奏でてくれますが、高音域ではやや線が細い印象となるのがその理由と云えそうです。

同じ異形サイズ2DDとして先日レビューしたQKZ x HBB KHANがありますが、こちらと比較すると低音域のしっかりとした中低音寄りの音質傾向とは真逆というか異なります。QKZ x HBB KHANは低音域を豊かにしたHBBの低音を疎かにしない音楽性を重視した音。尤もMT4と価格が倍違うので単純に比較できるものでもありませんが。

そして以前レビューした同社MT1との違いも気になります。MT1はU1Kのシングルダイナミックドライバモデルですが、発売当時トレンドになった1DDモデルの一つです。MT1もTrnらしい中高音寄り良バランスモデルでしたが、MT4のバランスに近似しており、その音を高音と低音を厚くしたのがMT4と云えそうです。

 

※以前のQKZ x HBB KHANのレビューもご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

※以前のTrn MT1のレビューもご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

まとめるとTrn MT4は従来のTrnの普通に良い音を重視した良バランスの音。高音域をこれまでの中華BAから小径DDにすることでBAとDDのハイブリッドドライバ構成よりも自然な音を得られた低価格帯でもトップクラスの高音質と云えそうです。そして以前レビューした同社MT1はシングルダイナミックドライバモデルでしたが、MT4はデュアルダイナミックドライバによる進化を十分に感じられました。

XuanWuで採用されたBAとSPDのハイブリッドドライバは特にSPDがまだまだ進化の途中であり、これからに期待するドライバと云えそうです。尤も、XuanWuの場合、BAの活用の仕方に調整の余地がありそうですが。

なお、MT4はリスニング用途としてのバランスであり音楽を分析的に聴きたい方には評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   XuanWu ≧ MT4 ≧ MT1 (出音の強さ)

中音   XuanWu ≧ MT4 ≧ MT1 (出音の強さ)

低音   MT4 ≧ XuanWu ≧ MT1 (出音の強さ)

ボーカル MT4 ≧ XuanWu ≧ MT1 (質感)

 

 

4. Trn MT4の総評

Trn MT4はTrnらしい良バランスの普通に良い音と云えます。低価格帯中華イヤホンの中でもトップクラスに高音質と云えます。尤もその高音質は価格なりであり解像感は相応です。それでも極端な音質傾向ではない「普通」に良い音はTrnを安心してお勧めできるメーカーと云えるのかもしれません。

MT4はTrnらしい音でまとめ、MT1の1DDからMT4の2DDへブラッシュアップすることで高音質化を図ったモデルと云えそうです。

 

最後に、今回は今年2月に発売された低価格U5000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2023年3月17日)はHiFiGoで2,000円台前半で販売し、国内amazonでは本国発送扱いの2,000円台後半となっています。海外通販でもHiFiGoの発送は早く届くのも早い印象があります。これまでの中華イヤホンの中では安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは十分満足できる内容となっておりますので、低価格帯中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、新製品を少しでも早く(安く)手に入れたい方はHiFiGoでの購入も検討してみてくださいね。

 

MT4

以下、付属ケーブル、付属白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★ (高音好きの方★4)

※☆0.51.0

 

XuanWu

以下、付属ケーブル、付属白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★ (高音強調が苦手の方★4)

※☆0.51.0

 

MT1

以下、付属ケーブル、付属イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★☆ 
中音★★★☆  
低音★★★☆ 
音場★★★☆
分離★★★☆
お勧め度★★★★  

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回はいつもの中華イヤホンの低価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後は低価格だけではなく、中価格の中華イヤホンも扱っていきます。

また、気になる商品が出ればチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

※2023/5/7 誤記修正

 

FiiO FW5レビュー

こんにちは。

今回はいつもの中華イヤホン商品群から有線イヤホンではなく、左右独立型完全ワイヤレス(Ture Wireless Stereo。以下TWS)イヤホン、FiiO FW5のレビューをまとめたいと思います。

日本代理店で取り扱いのある中華メーカーの商品なので国内大手イヤホン専門店や家電量販店の各店頭及び、WEBサイト並びにamazon等のECサイトでも正規品として購入可能です。

 

 

www.e-earphone.jp

 

以下、メーカーHP

www.fiio.jp

 

本体の専用ケースもラインナップされています。

 

 

 

 

1. FiiO FW5について 

1.1. FiiOとは

前回のBTR7のレビューでも記載した通り、FiiO Electronicsは中国のポータブルオーディオ機器メーカーです。同社はポータブルヘッドホンアンプから始まり、現在はデジタルオーディオプレーヤー(DAP)やインイヤーモニター(イヤホン)を主力商品としたラインナップを中心に品質、性能、そして高い価格競争力の製品を発売しています。

初期は自社開発のアンプ回路設計でしたが、近年は音質の肝と云われるアンプ部にTHA技術を採用し、安定した高音質をユーザーに提供しています。その音質は硬質で明るい音色であり、FiiOの音としてポータブルオーディオファンの間で定着しています。

そのFiiOから昨年12月に左右独立型完全ワイヤレス(以下TWS)イヤホンの新型として発売されました。これまで同社のTWSイヤホンにはFW1というモデルがありましたが、FW5が同社の上位モデルとして登場したことになります。これにより同社のラインナップとしては上位モデルのFW5、普及モデルのFW1という展開となりました。

 

1.2. FiiO FW5の特徴

FiiO FW5は、FiiOのIEM開発のノウハウを注ぎ込み開発された、音質特化型完全ワイヤレスイヤホンです。FD7で好評を得た流線型の意匠を踏襲したキャビネットに、2BA+1DDハイブリッドドライバ構成とし、DACアンプ回路を搭載した高性能チップ、AK4332を各chに完全モノラル構成で搭載しています。そして、ドライバの特徴を最大限発揮させ、忠実な音楽再生を実現するためのアコースティックチューニングと、最先端のBluetoothレシーバーチップによる高品位ワイヤレス伝送技術により、TWSイヤホンでありながら従来のTWSの限界を超える音楽体験を得られます。

それではその特徴を以下まとめてみます。

 

  • DACアンプ一体型チップ「AK4332」を左右独立搭載し、TWSの音質向上を実現
  • Qualcomm製フラッグシップBluetoothチップ「QCC5141」による高品位ワイヤレス伝送
  • 緻密に設計された2BA+1DDのハイブリッド構成を採用
  • イヤホン内のアンプ回路に32段階の独立したボリューム調整機能を搭載
  • 確実な操作を実現する4つの物理ボタンを搭載
  • 安定した送受信性能を実現するFPCアンテナ
  • IPX4の防水性能により様々なシーンで利用可能
  • 本体+ケース合計21時間の再生時間を獲得
  • デュアルマイク+cVcノイズキャンセリング機能で快適な通話環境を構築可能
  • FIiO Control Appによりワイヤレスで本体設定が可能
  • 超薄型ソフトイヤーチップHS18をはじめとする豊富な付属品

(以上、メーカーHP抜粋)

 

FiiOのTWSイヤホンでも音質を妥協しないという拘りを感じられます。

個人的に従来のFW1のドライバ構成が1BAのみという2020年発売当時では珍しい商品性がFiiOらしい攻めたモデルでしたし、このFW5でもFiiOらしい商品性の高さが詰まったモデルという印象です。

特に注目するのは無線チップにQualcomm製QC5141を採用し、コーデックに「aptX Adaptive」採用を挙げます。昨今のTWSの音質を左右する機能として無視できない「無線コーデック」はSonyが開発したLDACが有名ですが、Qualcommが開発したSnapDragon Sound(aptX Adaptive 24bit/96kHz対応)という現在の二強コーデックの一つにより高音質を実現しています。

これの何が凄いのか?簡単に説明すると「LDAC」は「SBC」などの一般的な無線コーデックの約3倍もの情報量を持ち、最大24bit/96kHzのハイレゾ音質の楽曲データをほぼハイレゾ相当で伝送が可能となります。Sonyの開発した無線コーデック「LDAC」はこれまで主流だった「aptX」や「AAC」「SBC」よりも伝送量が多く、その結果、従来よりも高音質で音楽を聴く事ができます。

少し技術的な話をすれば、「LDAC」は最大24bit/96kHz、最大伝送量990kbpsに対応しています。それに対し、SBCでは最大16bit/48kHz、最大328kbpsと伝送量が劣り、ビット深度が16bitとそもそもハイレゾ楽曲に対応していません。そのため、AAC-LC(320kbps)のような圧縮されたロッシー楽曲データを聴く場合には折角のLDACの優位性は感じられませんが、ロスレス楽曲(16bit/44.1kHz、1,000kbps前後)やハイレゾ楽曲(24bit/96kHz、4,000kbps前後)ではほぼ有線イヤホンで聴いているような音質を感じることができます。

このLDACと対を成す無線コーデック規格が前述したSnapDragon Sound(aptX Adaptive 24bit/96kHz対応)です。LDAC同様に最大24bit/96kHzに対応しています。

SnapDragon Soundは包括的な規格のため現在も進化しており、現在はGen2が発表されていますが今回は割愛して、ベース技術である無線コーデックaptX Adaptive 24bit/96kHz対応について補足します。前述の通り、LDACは24bit/96kHz、最大伝送量990kbpsです。これに対し、aptX Adaptiveは24bit/96kHz、最大伝送量620kbpsに対応しています。LDACに比べ最大伝送量が低く抑えられています。これはLDACが接続品質と音質のバランスを考慮した時に実用性能660kbpsとなっている実情からは、それと同等の性能をaptX Adaptiveで対応していることになります。

尤も注意点としてはLDACもそうですが、無線コーデックは受信側のイヤホンだけが対応していても意味はなく、送信側、スマホDAPの両方で対応している必要があります。androidスマホを例に云えば、現状は所謂SoCが「Snapdragon 888」、「Snapdragon 865G」以上を搭載し、スマホメーカーがソフトウェアで対応したスマホ端末という一部のハイグレードで高価な機種のみとなります。SoCが対応していてもソフトウェアが対応していないと従来のaptX Adaptive 24bit/48kHzまでの対応や、そもそも対応していないという場合もあります。

 

1.3. FiiO FW5のスペック

次にスペックを詳しく見ていきます。

 

■主要スペック(FiiO商品ページ抜粋)

  FW5 国内S社
ドライバ

高域:Knowles製BAドライバ ×2基

中・低域:DLC/PU複合素材10mm径ダイナミックドライバ ×1基

6mm

ダイナミックドライバ ×1

高音質化技術 AK4332チップ(DACアンプ一体型)×2 DSEE Extreme
Bluetoothバージョン 5.2 Class 1 5.2 Class 1
コーデック

SBC/AAC/aptX/aptX Adaptive/LHDC

SBC/AAC/LDAC
ノイズキャンセル - 〇ANC / 〇ヒアスルー
マルチポイント 〇 ※ファームv2.0.0
360 Reality Audio -
アプリ対応
連続再生時間 イヤホン:最大7時間
充電ケース:最大14時間
イヤホン:
最大8時間(NCオン) / 最大12時間(NCオフ)
充電ケース:
最大24時間(NCオン) / 最大36時間(NCオフ)
防水 イヤホン本体:IPX4 イヤホン本体:IPX4
満充電時間

イヤホン:約1.67時間
ケース:約1.67時間

イヤホン&ケース:約2.0時間

イヤホン:1.5時間
ケース:約3時間

 

充電時間 - 5分充電で60分使用可能
イヤホン重量 イヤホン:6.4g
ケース:57.2g
イヤホン:7.3g
ケース:41g

 

参考に国内メーカーS社の2021年に発売されたLDAC対応TWSイヤホンのスペックを併記します。

二つの機種はスペック上、無線コーデックがLDACとaptX Adaptiveと異なります。搭載するドライバ構成が異なりシングルダイナミックと複数ドライバです。ダイナミックドライバの種類やサイズも異なります。音質ではシングルダイナミックドライバに対し、2BA+1DDハイブリッドドライバ構成により高音質化を図り、更にイヤホン左右に各2chDACチップによる高音質化が特徴です。国内S社はDSEE Extreme(圧縮音源のアップスケーリング技術)により独自の高音質化技術が投入されていますが、それとはベクトルが異なります。そして最も異なるのは「ノイズキャンセリング」の有無と操作が物理ボタンとタッチセンサの違いです。これはTWSに求められる「音質」と「機能性」について、FW5が「音質」に振り切っていることを示しています。一方国内S社の製品は、所謂ガジェット性能という有線イヤホンとは違う市場のニーズを意識して対応していると云えます。

販売価格を比較するとFiiO FW5の33,000円(公式ストア)に対し、国内S社は33,000円(公式ストア)と同価になります。実売価格ではFW5の33,000円に対し、国内S社は26,000円前後となり、発売開始から約2年が経とうとしているためにFW5よりも安価となっています。

この価格帯は各社のTWSイクラスモデルの競合が激しく、それらは「高音質」に加え、ガジェット機能を有する商品性の高い機種に人気が集まっています。

FW5はその価格帯に「音質」に振り切ったモデルとして投入された商品であり、最早当たり前のようにアプリ連携が可能となっているものの、ノイズキャンセリングを含めたガジェット性能は国内S社よりも見劣りします。

最後に、TWSイヤホンは快適性が重要です。単純な高音質を求めるのであれば有線イヤホンが優位です。それでも無線接続で左右独立型完全ワイヤレスイヤホンを選ぶ理由はやはりそれしかありません。となれば、無線接続の安定性が重要となります。FW5はBluetoothバージョン5.2 Class1を採用し省電力と接続安定性が高くなります。androidスマホのaptX Adaptiveの音質優先(96kHz)で接続した場合、リビングにスマホを置きその部屋(LDK)の中でイヤホンを装着したまま動き回っても接続は安定しており、壁を隔てた部屋間の移動では途切れることがありました。また、屋外での使用でも音質優先設定のままで使用してみましたが、大きなハブ駅構内等では偶に途切れることがありましたが、安定しており実用十分の通信品質と云えます。この辺りはスマホとの相性があるかもしれません。

次に使用可能時間です。連続再生時間は接続コーデックにより変化します。そのため公称よりはやや短めとなりますが、出かける前にフル充電しておけば平日の通勤のお供に問題はありませんし、最新のTWSとして十分な使用時間となります。尤もこれは使用環境、条件により変わりますので参考程度にお願いします。

最後に待機時間や充電時間です。実際に約二ヵ月使ってみた印象として充電時間はほぼスペック通りと感じました。私の環境では音楽再生もほぼスペック通りでした。とは云え、こちらも使用環境等によって変化すると思いますので参考程度にお願いいたします。

 

Sony Xperia 5 IIの設定>音設定メニュー画面

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FW5に限った話ではありませんが、初めて接続したTWSの音量が大きすぎたり、小さすぎたりする場合があります。その場合は、androidの設定>音設定メニュー、メディアの音量を最大値に調整し本体の音量調節ボリューム調整で実際の聴きやすい音量に合わせることをお勧めします。また、Bluetooth接続機器とスマホ本体の音量調整は連動していることがありますが、FW5ではそれぞれが独立しているため、前述の設定をお勧めします。

これは一般論ですが、機種によってはイヤホン側の音量調整が1操作分の調整幅で大きくなり過ぎたり、小さくなり過ぎたりと音量調整で困ることがあります。これを前述の「(Bluetoothマーク)メディアの音量」で調整します。ポイントはスマホ本体のボタンではなく「メディアの音量」バーを「スワイプ」で調整し好みの音量に微調整し、それ以降はイヤホン本体で音量調整をします。TWSに限ったお話ではなく、ドングル型USB-DACを接続する場合などでも同様になります。個人的にはTWSもUSB-DACスマホのメディアの音量は最大値に設定し、TWSやUSB-DACで音量調整した方が音質を損なわないという認識です。

 

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FW5の音量調整については公式のアナウンスも同様となります。

 

FW5の充電は付属のケーブルをケースのUSB タイプC端子を接続し市販のUSB-A充電器で行います。

イヤホン本体の充電残量の確認はケース本体のLEDの点灯により確認できますが、より分かり易いのはスマホ本体での確認です。

以下、androidスマホの場合です。

 

Sony Xperia 5 IIの設定>機器接続メニュー画面

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androidスマホではBluetoothメニューの接続デバイス一覧に現在接続している機器が表示されますが、その中でバッテリー残量の確認ができます。

 

ケースの充電残量はケース正面の4つのLEDにより充電ステータスで分かります。

ケースの蓋を開けた時、または閉じた時にLEDが残量に応じて点灯します。4つのLEDが全て点灯すれば十分な残量がある。残量が減るごとにLEDの点灯が減ります。

  • 残量少ない・・・LEDが1つ点灯
  • 残量中程度・・・LEDが2-3点灯
  • 残量十分・・・LEDが4つ点灯

 

次にケースとイヤホンの充電中はケース正面の4つのLEDにより充電ステータスが分かります。

充電中はLEDが残量に応じて点灯数が変わります。

  • 残量少ない・・・LEDが1つ点滅
  • 残量中程度・・・LEDが2-3目が点滅
  • 残量十分・・・LEDが4つ目が点滅
  • 満充電・・・LEDが4つ点灯

 

イヤホンの充電残量はスマホで確認する方が分かり易いくなっています。逆に云えばイヤホン個別の残量は判りにくい。ケースはイヤホンを収納していない時のケースの蓋の開閉時のLEDの点灯状態によって分かりますが、イヤホンは判らないのでケースのLEDにより充電残量が十分ならばそのまま使ってスマホで確認する。無ければ充電するという事になります。まあ絶対に不便とは云いませんが、この割り切った仕様は「微妙」という気持ちになります。

 

次はペアリング方法を説明します。

 

1.4. androidスマホとLDACでのペアリング方法

まず初めに、購入後は最初に満充電にします。直ぐに使ってみたい気持ちは分かりますが、先ずフル充電しましょう。

充電が完了したらいよいよandroidスマホとのペアリングです。

ここではandroidスマホXperia 5 II、android 12を例にペアリング方法を説明します。

基本的に取説通りで問題なくペアリングを行えます。難しいことはありません。以下の手順でペアリングを行います。

  • (初回だけ)最初にandroid OSの開発者向けオプションを有効にしておきます。後で色々と確認に使います。
  • (通常はここから)androidスマホBluetoothを有効にする。
  • 充電ケースからFW5、イヤホン左右をケースから取り出す。
  • androidスマホの設定>機器接続>新しい機器とペア設定するメニューを選択すると接続機器のリストに「FW5」が表示されますのでそれを選択するとペア設定完了です。
  • 2回目以降は自動的に接続します。自動的に接続しない場合は以前接続した機器リストに「FW5」が表示されていますのでそれを選択する。
  • メディアデバイスが「FW5」を表示していれば接続完了です。

androidスマホの画面右上のBluetoothマークの両サイドに小さな点が付けば完了。

※接続完了後、必要に応じ開発者向けオプションでBluetoothオーディオサンプルレート、96kHzを選択後、接続品質の96kHzを選択してください。一度設定すればXperia 5 IIの場合、記憶されており以降自動で選択されます。

 

※aptX Adaptiveでペアリング成功した画面

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Bluetooth接続状態を確認

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※ワイヤレス再生品質画面では96kHzサンプルレート再生を選択

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※開発者向けオプションのBluetoothオーディオサンプルレートが96kHzになっていることを確認

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基本的に一度ペアリングすると接続機器リストに表示されますので次回以降はFW5をケースから取り出す(電源を入れる)と自動的に接続します。

自動的に接続できない場合は前述の通り、以前接続した機器リストから選択してください。

上手くいかない場合、一度androidスマホからFW5の接続の登録を削除して最初から実施しなおしてみてください。

 

次にアプリとの連携です。

ここでもandroidスマホを例に操作方法を説明します。

 

1.5. FiiO Controlアプリとの連携

Google play Storeから「FiiO Control」アプリをスマホにダウンロードしインストールします。

次にFW5をスマホと接続後、アプリを起動しアプリのメッセージに従い設定すれば完了です。

 

※アプリ起動画面

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※デバイス選択後の画面

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アプリと接続することで、本体のアップデートが可能になります。

私のFW5本体はVer1.2でしたので、最新(2023年1月時点)のVer1.26に更新します。

アプリ画面右上の歯車アイコン>設定メニューのファームウェア更新と進みアプリの指示に従って操作すれば無事に完了します。

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※アップデート中

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※アプデ完了後のアプリ、ステータス画面

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アプデ後は画像の通りステータスタブ、画面右上部にVer1.26(v1.26)と表示されています。そして、Ver1.2では表示されていなかった接続コーデックが表示されるようになりました。

 

それではアプリの説明です。

FW5とスマホ等のBluetooth接続が確立した後にFiiO Controlアプリを開きます。

 

※アプリとの接続後の画面

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起動したアプリはデバイスの選択画面になります。ここでFW5をタップします。

 

※ステータスタブ
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ステータス画面では、接続中のコーデックの種類やイヤホンのバッテリ残量、イヤホン本体のVer等が確認できます。

 

※イコライザタブ
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イコライザ画面では各音域をマニュアルで調整可能。イコライジングで音の変化を楽しめます。

 

※Audioタブのメニュー
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Audio画面では音に拘る調整ができます。左右のバランス、デジタルフィルターの選択、イヤホンの音量等に加え、ガイド音声の言語設定が可能です。

 

※デジタルフィルターメニュー
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Audio画面のデジタルフィルターメニューを選択するとフィルター選択メニューに入ります。3種類のフィルターを選択可能です。

 

※アプリ画面右上の「歯車」アイコンのメニュー

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歯車アイコンをタップするとFW5の本体設定カスタマイズメニューが開きます。このメニューの一番下、ファームウェア更新メニューでFW5のファームウェアアップデートを行います。

全体的にアプリとの連携は良くできていますし、アプリも直感的に選択できます。音楽再生に拘る部分はイヤホン本体で操作します。音質に拘る部分はアプリで設定するという使い方になります。アプリでは現在の設定内容の確認や接続コーデックを確認するといった使い方です。正直特別便利という事もない、普通という印象です。

 

1.6. イヤホン本体の操作方法

手持ちのandroidスマホXperia 5 IIとペアリングし検証しました。

ここでは左右イヤホンのそれぞれの2つボタンを使った操作となります。

イヤホンを装着し前側のボタン(以降SSW)がサブボタン。後側がメインボタン(MSW)です。

  • androidスマホBluetoothを有効にする。
  • FW5をケースから取り出し自動的にペアリングモードに移行し接続開始。
  • androidスマホの画面右上にBluetoothマークの左右に点が付けば接続完了。
  • androidスマホでミュージックアプリを起動し聴きたい曲を選択し再生する。
  • イヤホン右側/左側の何方かのMSWを1回押して再生停止。もう一度1回押すと再生します。基本的に左右何方かのMSWを1回押す毎に再生/停止を繰り返します。
  • 再生停止中にイヤホン右側SSWを1秒長押しすると次の曲へ進みます。
  • 再生停止中にイヤホン左側SSWを1秒長押しすると前の曲に戻ります。
  • 再生中にイヤホン右側SSWを1秒長押しすると次の曲へ進みます。
  • 再生中にイヤホン左側SSW1秒長押しすると曲の頭に戻ります。
  • 再生中/停止中にイヤホン右側SSWを1回押すと音量アップ。
  • 再生中/停止中にイヤホン左側SSWを1回押すと音量ダウン。
  • 着信中にイヤホン左右の何れかのMSW、SSWを1回押すと通話開始。
  • 通話中にイヤホン左右の何方かのMSW、SSWを1秒長押しすると通話終了。
  • 再生中/停止中にイヤホン左右のMSWを2回押すとスマホのアシスタント機能オン。(あらかじめスマホ側でアシスタント機能を有効にしておく必要があります)
  • 使い終わったらケースに戻すとイヤホンの電源がオフになります。
  • androidスマホとの接続が解除される(androidスマホの画面の接続ステータスが消える)。
  • androidスマホBluetoothをオフにする。

 

ケースを介さずにイヤホン本体のみで電源オン/オフも可能です。

  • 再生停止中にイヤホン左右のMSWを2秒長押しすると電源オン。
  • 再生停止中にイヤホン左右のMSWを8秒長押しすると電源オフ。
 

プレイヤーをandroidスマホとした場合の音楽再生にかかわる主な操作方法を抜粋し検証した方法をまとめてみました。基本的に他のandroid搭載DAPでも操作方法は同じです。(接続する機種によって一部機能が対応していない場合があります)

 

※左イヤホンのボタンに割り当てられた機能説明

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※右イヤホンのボタンに割り当てられた機能説明

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最近のTWSは音楽再生等の機能操作を全てコントロールできるのが当たり前になっていますので、FW5の様な価格帯のハイクラTWSではできないと評価が落ちます。数年前までのTWSでは音量調整ができない、曲送り、曲戻しができない等の操作機能制限があったり、タッチ操作の感度(反応)が悪いなんて機種もありましたが、FW5ではその点に不満はありません。

ボタン操作はイヤホン側面、フェイスプレート付近に配置され、クリック感(押した感じ)やクリック時の反応も良好なので初めてTWSを使う方にも安心ですし、ボタンがフェイスプレート部にある機種では操作のたびに耳の奥に押し込むような不快感がありますので、側面の配置は理にかなっています。

注意点としては各社のTWSの操作方法が各社で異なり統一されていません。他にも所有している場合にFW5はイヤホン左右に割り当てられた機能、クリック回数が比較的分かり易くなっていますが、スマホに取説の操作方法を画像で持っておく等をお勧めします。

なお、国内S社のTWSではアプリ内で操作方法を確認できますし、左右の操作方法をカスタマイズできますが、FW5ではそういうことはありませんので、ここでも「う~ん…」な印象です。

 

まとめるとFW5の接続は簡単でスムース。イヤホン本体ですべての音楽再生機能操作も行えますが、アプリはイマイチ。最初に設定すればあとは使わないという感じで実用的とは言えません。それでも、何よりも音が良いという「音が良ければそれで良いんでしょ?」という、非常に振り切ったモデルです。正直販売価格的にはハイクラスに分類されます。その中でも頭一つ抜き出ているレベルといういう印象を持ちますし、音に不満はありません。それでも、販売価格からはノイズキャンセルが無い。アプリも弱いとなると、ガジェットとして評価されてしまいがちなハイクラTWS市場では国内S社TWSに分があると云えそうです。

 

最後にイヤホンのリセット方法も説明しておきます。

何故にリセット?と思われるかもしれませんが、実はよく検索されている「ワード」だったりします。

 

1.7. イヤホンのリセット方法

  1. イヤホンをケースから取り出しに左と右のイヤホンのSSWを8秒長押しするとリセットできます。
  2. リセットが完了し出荷時の状態に戻ったイヤホンは記憶されているペアリング情報も削除されています。そのため、スマホ等に残っている登録を削除し、再度ペアリング登録を行います。

 

動作がおかしいなと思ったらスマホから登録を削除してイヤホン本体をリセットを先ずお試しください。

因みに、これは技術者目線の余談です。FW5に限りませんが、初期化と同様に大切なのはTWSのバッテリー残量をあらかじめandroidスマホ画面で確認しておくことです。

  • TWSの充電が少なくなった際に直ぐに充電をする。
  • 充電が20%以下にならないように管理する。
  • 過放電は絶対にダメ!

これは過放電はバッテリー劣化を早め寿命を短くしてしまうからです。特にTWSに搭載されるバッテリーは容量が小さく、愛機は長く大切に使いたいものです。

 

 

2. FiiO FW5の実機について 

それでは実機レビューを以下、まとめていきます。

 

2.1. FW5実機レビュー

 

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同社のBTR7同様に黒を基調としたパッケージは光の反射で金?銀?の線で描かれた商品本体イラストが高級感のある化粧箱です。最近のFiiOらしいパッケージングです。

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上蓋を開けると黒色の内装にイヤホンケースや付属品が収められています。商品の保護スポンジの内装は機能美を感じます。イヤホンケース等の収められた内装を取り外すと箱の底には取説類が小箱に収納されています。

外側と内装を黒で統一したシックな外観の化粧箱は一見すると質素に見えますが、非常に合理的に感じます。

次にパッケージの中身です。

 

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付属品はイヤーピースがS、M、Lの3種2セットでMサイズが本体取付け済み。他にはクリーニングツール2種とUSB C to A充電ケーブルです。必要十分の付属品ですね。

注目はイヤーピースは二種類付属し、FiiOのオリジナルHS18イヤーピースが付属します。

取扱説明書は安心の多国言語対応しており、FiiOの国際対応が窺えます。

 

それでは実際にイヤホンを見てみましょう。

先ずはケースから。

 

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ビルドクオリティは安心できます。つるっとした表面はプラスチッキーさを感じられる為、価格との釣り合いは微妙な気持ちになります。カラーバリエーションは黒色のみ。

 

次にイヤホン本体です。

 

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イヤホン本体はTWSとして比較的大柄に見えます。意匠は同社の有線イヤホン旗艦モデル、FD7と同様であり所有感はあります。他社のTWS同様に耳へはイヤーピースで保持するタイプとなりますので、イヤーピース合わせは重要になります。

シェル本体は樹脂製で軽量に仕上げています。ステムノズルにはフィルターがあり異物の混入による故障を防げます。

先代の普及モデルのFW1よりも一回り以上大きくなったシェル本体ですが、装着感は悪くありません。耳への装着は付属品イヤーピース頼りですが、付属の2種類、3サイズで上手く合わない事はないと思います。もしも合わない場合は他社のTWS対応のタイプの様な軸の短いタイプのものであれば問題なくケースに仕舞えると思います。

 

※左からHS18のS、M、L。よくある中華イヤーピースS、M、L。

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先述の通り、付属イヤーピースはFiiOの新型イヤーピースHS18が傘が柔らかく、フィットしやすくなっています。もう一つのイヤーピースは一般的なタイプ。傘は固めです。

付属のイヤピでもHS18の方が音質的にFW5にマッチしている様に感じますし、寧ろバランスが良いのですが、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。

幸いなことに私はこの付属イヤーピースHS18で耳の奥に栓をするように装着し、上手くフィットできました。

余談ですが、TWSのみではなく有線イヤホンでもSedna EarFit(shortではない)は軸が長めで傘がやや硬めなこともあり、最近一周回ってなかなかフィットしない場合に重用しています。

この様にTWSイヤホンでもイヤピ選びは重要です。上手くフィットできないと装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

それではFW5と他社製品との比較をしてみます。

先ずはケースから。

 

※左からFiiO FW5、Technics EAH-AZ60

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※横からみたサイズ感

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EAH-AZ60の方が細長く高さがありますが、FW5の方が体積はあります。

次にイヤホン本体です。

 

※左からFiiO FW5、Technics EAH-AZ60

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FW5とEAH-AZ60はほぼ同じですが、装着感はEAH-AZ60の方が圧倒的に良いです。最近のTWSと比較しても同等と云えます。

二機種の重量はほぼ変わらないですが、EAH-AZ60が僅かに軽量です。ただしFW5も耳への装着時にはその重さの差を殆ど感じません。

次にステムノズルはFW5は一般的なイヤホンと同じサイズ感と長さ。EAH-AZ60の短く太めとは異なります。その為、ステムノズルの長さには軸の短いタイプとの相性が良いです。そのため付属のイヤーピースとの相性は良いと云えます。つまり他社のTWSも同様ですが、イヤーピース選択をしっかりできれば問題なく使えると云えます。尤も耳の小さな女性や子供では付属のSサイズ各2種類でフォットすればよいのですが、他社製を選択する必要がありそうです。また、この二機種共にステムノズル先端端面にメッシュフィルターが装備されていますし、EAH-AZ60では付属イヤピ内にもフィルタがあります。これによりシェル内部への異物混入が防げますので、長期の使用にも耐えることができますね。

 

2.2. FW5専用ケース

最後に、折角なので専用ケースSK-FW5を用意してみました。

 

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流石公式ケースです。フィッティングは抜群です。ケース内側はフェルト生地によって傷がつきにくくなっています。

…でも、充電をケースに入れたままできるのは良いのですが、LEDが見えないので結局はケースから出して充電した方が良さそうです(オイ)。

 

 

3. FiiO FW5の音質について 

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

今回の再生環境はandroidスマホSony Xperia 5 II、Bluetooth コーデック aptX Adaptive 24bit/96kHz接続です。

 

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実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love平井堅/瞳をとじて倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。
先述の通りイヤピは付属HS18イヤーピース Mサイズを使用しています。

箱出しで聴いてみた第一印象は「低音は控えめ。全体的に明るい音は硬質でくっきりはっきりとした中高音は解像感を感じられる音。」でした。

鳴らし込みを兼ねて数か月聴きこみました。鳴らし込み後は、低音域が締まり、中高音も整った印象です。硬質な中高音域はクリアで全音域がバランスの良い聴きやすい音になりました。

 

音場

普通からやや広めといえます。奥行きはそれ程ですが、左右の広さを感じる音。国内1万円台のミドルクラスの音圧に任せたドンシャリとは異なり空間を感じられるます。

 

高音域

硬質で煌びやかさがあり華やかさがある明るい音。常に前に出るような主張の仕方ではなく解像感が感じられる音。中低音に埋もれる事は無くしっかりと強めに主張していますが、尖りや刺さりは感じません。

 

中音域

凹みを殆ど感じず、高音よりも華やかさがあり賑やかに鳴りますが音がごちゃつかずに整理された音は解像感が感じられ、クリアに聴こえます。

ボーカルはややドライ気味に感じられますが、自然な位置からクリアに聴こえます。

 

低音域

低音は一聴して控えめ。量感は少な目で締まったタイトな音。解像感はそれ程高いとは思いませんが、音圧で誤魔化そうとしていません。ベースラインは控えめですが追えます。重低音の沈み込みはそれほど深さを感じませんが、TWSとしては十分。芯の強さを感じる低音です。

 

出音のバランス

一言で云えばやや中高音寄りのフラットに近い弱ドンシャリバランスです。

 

イクラTWSとしてもメーカーの謳う「音質に特化したTWSイヤホン」に相応しいというのが素直な感想です。

低価格帯の様な低音が強めで支配的なドンシャリの音質とは一線を画す音は普段はお気に入りの有線イヤホンとDAPで音楽を楽しんでいるポータブルオーディオファンのニーズにも合いそうという印象です。

先ず、FW5の特徴として、明るく硬質な音という印象を持ちます。高中音域の煌びやかで華やかな音は解像感の高さを感じられます。高音域は強ドンシャリのシャリつく音とは異なり前に出すぎない主張のある音はきちんと耳に届き、ごちゃつかず、重ならず、見晴らしの良い音。適度な広がりと伸びやかにシャァンと鳴り、すぅっと音が小さくなり消え入る様を感じやすい音。低価格帯ではこれがただ音が小さかったり、耳触りの悪い尖りのある音だったりしますが、FW5では全くそれを感じません。これがTWSの高価格帯を選択する理由となります。

次に、中音域は空間が左右に広さを感じられ、華やかさのある音。音の輪郭や強弱をちゃんと耳に届けてくれます。高音同様に解像感の高さを感じられる音は演奏とボーカルの分離が良く、ボーカルが埋もれる事はありません。

最後に、低音は量感は控えめです。圧倒的な強さだったり頭の中で響くような低音ではないので、物足りなさを感じるかもしれません。それでもタイトで芯のある適度な強さで鳴る低音は中高音を邪魔しない全体のバランスとして過不足は感じません。

 

まとめるとFW5は空間はそれ程広さは感じませんが、左右の広さは感じられます。堅めの音は輪郭をシヤープに音像をソリッドに聴かせてくれます。中高音域は明るく華やか。低音はタイトに中高音を邪魔しない音です。全体的に華やかな音を奏でてくれます。この鳴り方はこれまでにレビューしたfinal ZE3000やEAH-AZ60とは異なり、強いて云えばHA-FW1000TやFW-1000XM4の様なリスニングサウンド。とはいえそれらの様に低音域は強くない中高音重視の音は解像感が高く感じながらノリ良くリスニングが可能となり、モニターサウンドとは異なります。

尤もこれはaptX Adaptive 24bit/96kHz接続でのお話。

iPhoneでも試しましたが、コーデックの差を感じられ、AAC接続では中音域はボーカルが一歩前に出てくるまでは良いのですが、音が真ん中に集まりやや平面的に聴こえ中高音の繊細さや低音は強く鳴るものの表現力は下がります。やはりaptX Adaptive 24bit/

96kHz接続やLDAC接続とのコーデックの差を感じました。それらでは同じ曲を有線イヤホンとワイヤレスイヤホンで聴いたときに感じられる違い、音域の狭さや音が薄く線が細くなる印象を感じ難くなっています。

 

※宜しければ過去の記事もご参考ください

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さて、音楽は低音域が肝だと個人的には考えています。しっかりとした低音域が上の音域を支えることで全体の風景を見渡すことができたり空間を想像しやすくしてくれます。一方でそれが高音域に曇りを感じたり中音域に籠りを感じたりする場合がありますので、バランスが大事というのは言うまでもありません。

以前レビューしたEAH-AZ60では低音域は適度。高音域は見通し良く中音域もすっきりと鳴りますので、音の重なりや塊に感じ難く解像感の高い音を楽しめます。リスニングにもモニターライクにもなんでもこなせる優等生です。

次に、SonyのLDAC接続に対応した最新TWSWF-1000XM4をLDACの音質優先で接続し比較した場合、全体的な音に遜色ありませんが、そもそもWF-1000XM4はSonyの音。基本ドンシャリでグルーブ感のある音。音楽を楽しく聴くという目的に沿った音。これは音質の良し悪しではなく、メーカーの音づくりと云えます。

最後に、FW1000TもFW5同様にaptX Adaptive 24bit/96kHz接続が可能です。FW1000Tの特徴は音場に広さと低音域です。ドンシャリのドンが強いだけの音とは異なる広がりのある音は響きが良くドォ~ン~と鳴り、すぅ~っと小さく消えいる様を感じられます。決して中高音を邪魔しないのだから恐れ入ります。質の高い低音等はこういう音を云うのでしょう。中高音域は厚みがあり鮮やかさのある音は空間の広さが感じられます。同社の有線イヤホンと比べても遜色のない広さと立体的を感じられます。

 

まとめると、EAH-AZ60は中音≧高音≧低音のフラットに近いバランスはオールラウンダー。WF-1000XM4は低音≧高音≧中音のドンシャリバランスはグルーブ感を感じられるバンドサウンドに。FW1000Tは低音≧中音≧高音のフラットに近いバランスはクラシックやジャズ、R&Bに。そしてFW5は中音≧高音≧低音のフラットに近いバランスはPOPSに合うという印象です。

なお、これらは全てLDACやaptX Adaptive 24bit/96kHzで接続した評価です。AAC等ではその実力を発揮できていないと思います。一度聴いてみて欲しいです。きっとスマホも良いものに換えたくなります。

 

 

4. FiiO FW5の総評 

低価格帯のTWSではドンシャリ傾向が強い機種が多く、特に低音が強めの製品になりがちです。エントリークラスでは一聴して程良いドンシャリは心地良く、その音圧で良い音という認識してしまいます。求める音の好みというよりもその「商品」の価格で選択するユーザーとはそれを追求するポータブルオーディオファンとは求めるものが違いますし価値観が違います。そこに優劣はありませんし、市場の原理から云えば我々の様なポータブルオーディオファンの方が少数派です。それでもFiiO FW5はandroidスマホで音楽を聴いているユーザーがもっと良い音で聴く事ができる最高の相棒になってくれると思います。ガジェット性能は高くありませんが、とにかくお気に入りの音楽を高音質で聴きたいニーズに応えてくれる商品とまとめました。

一方、ガジェット性能もマルチポイント等、抑えるべきところを抑えていますのでWEB会議などでも活躍してくれるでしょう。唯一の難点は国内販売価格が「高い」です。代理店も円安で仕方がないのでしょうけど、ちょっと気になる販売価格の設定です。

最後に、今回は高価格帯30,000円台の高音質TWSイヤホンの紹介となりました。現在(2023年3月4日)は約33,000円でイヤホン専門店等、有名家電量販店通販サイトなどでも販売しています。TWSでも音質に妥協したくない高音質TWSイヤホンの購入を考えていて少しでも気になった方は安心確実なイヤホン専門店での視聴を是非よろしくお願いします。

 

FW5

以下、イヤピ付属HS18 Mサイズandroidスマホ、aptX Adaptive 24bit/96kHz

高音★★★★☆ 
中音★★★★★  
低音★★★★ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★☆ (aptX Adaptive 24bit/96kHz環境の無い方★3)

※☆0.51.0

 

国内S社

以下、イヤピSedna Earfit short MSサイズandroidスマホ、LDAC音質優先
高音★★★★★ 
中音★★★★☆  
低音★★★★★ 
音場★★★☆
分離★★★☆
お勧め度★★★★☆ (ANC性能重視の方★5)

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回は久しぶりにTWSのハイクラスモデルのレビューをしてみました。TWSスマホで手軽に良い音が聴く事ができるようになってきていると思います。今回の商品は特に音質に振り切ったモデルのため、ガジェット性能はそれ程高くないです。そして円安が悪い。国内販売価格は高価です。20k円中盤ならもっと評価できました。30k円出すとかなり良い有線イヤホンが買えますし。まあ音質特化で5万のTWSもありますけど、ね。

今後も気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。

みぃねこ

 

FiiO BTR7 レビュー 【USB-DAC編】

こんにちは。

今回は中華イヤホンレビュー編をお休みし、昨年8月に発売されたbluetoothレシーバ&USB-DACアンプのFiiO BTR7についてまとめたいと思います。

FiiO BTR7は国内amazonにて国内代理店によるマーケットプレイス扱いやイヤホン&ヘッドホン専門店のeイヤホン店頭及び同社WEB本店、有名家電量販店等で販売されています。

 

 

www.e-earphone.jp

 

製品情報詳細はコチラ

 

www.fiio.jp

 

 

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1. FiiO BTR7とは 

1.1. FiiOとは

FiiO Electronicsは中国のポータブルオーディオ機器メーカーです。同社は2007年に設立し、優れた設計思想と製造品質によって世界各国でその名を轟かせポータブルオーディオファンに認知されています。設立当初から他社を寄せ付けないコストパフォーマンスの高い製品がポータブルヘッドホンアンプのマーケットを席巻し、有名ブランドとしての地位を確立しました。近年は市場のシェアを拡大し企業としての成長を遂げており、現在ではデジタルオーディオプレーヤー(DAP)やインイヤーモニター(イヤホン)を主力商品に加え、品質、性能、そして高い価格競争力の製品を発表し続けています。

同社は四半世紀に渡る製品品質へのこだわりと優れた価格競争力を有しています。それは長く音響機器を設計してきたキャリアを持つエンジニアを含む多数の専門の開発チームを持っています。そして各チームは製品品質を重視し品質向上の継続的な取り組みによって高品質な製品開発と製造を実現しています。

以上、メーカーHPの抜粋引用です。FiiOはポータブルオーディオファンの間でも中華メーカーの中では音質に定評がありコストパフォーマンスの高い製品を世に送り出しているメーカーとして注目されているメーカーと云えます。

 

※以前のFiiO BTA30レビューもご参考ください

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1.2. FiiO BTR7って何?

FiiO BTR7は以前レビューしたShanling UP5と同様にスマホで音楽を聴く際にイヤホンをスマホ直挿しで聴くよりも高音質で聴く事ができるBluetoothレシーバー&USB-DACアンプ機器となります。具体的に有線接続で使う場合を例に説明すると普段スマホApple Music等の音楽を聴く際にスマホに付属している有線イヤホン等を使われていると思います。一般的なスマホと有線イヤホンの接続方法はイヤホンのステレオミニプラグをスマホのイヤフォンジャックに直挿し接続しますが、これをスマホのUSB C端子にFiiO BTR7をUSB Cケーブルで接続。そのBTR7のイヤフォンジャックにイヤホンのステレオミニプラグを接続します。

 

  • 通常の直挿し

  スマホ → イヤホン

から、

  • USB-DAC接続

  スマホ → BTR7 → イヤホン

 

と、スマホとイヤホンの間にBTR7を挟み込み「中継」しFiiO BTR7を外部DACアンプとして使用することで、スマホにイヤホンを直挿しで聴くよりも音楽を高音質で楽しむ事ができます。

そのため、自宅等でゆっくり音楽に浸りたい時にDAPには手が届かないけど、スマホで音楽を高音質で聴きたいというニーズをこのFiiO BTR7は満たしてくれます。

 

最近のスマホはイヤフォンジャックの無い機種が増えており、Bluetooth接続のイヤホンが主流になりつつあります。Bluetooth接続のイヤホンも最近は無線接続のコーデックにLDACを採用し高音質で音楽を聴く事ができる製品が増えてきました。そして何よりも「ケーブルレス」という身軽さが最大のメリットですが、イヤホンケーブルのある有線接続は同価格比で無線接続イヤホンよりも高音質で音楽を聴く事ができます。これも「現状では」となりますし、近い将来同価格帯の無線接続イヤホンが有線接続イヤホンを超えるかもしれませんね。

 

さて、最近はスマホで音楽を聴く方の多くが音楽配信サブスクリプションサービスを利用していると思います。私もスマホApple Musicをメインに。PCではamazon musicをメインにスマホでも利用しロスレスハイレゾ音質で楽しんでいます。一方、手持ちのCDをリッピングしたロスレス音楽ファイルやダウンロード購入したハイレゾ音楽ファイルを高音質で聴きたい場合はPCやandroidスマホが使いやすく「使い分け」をしています。

私はiPhoneをメインにしていますが、先述の手持ちの音楽ファイルを高音質で聴きたい場合には使い勝手がそれらに一歩譲りますのでandroidスマホをサブで所有しています。androidスマホならばPCやクラウドからファイルを取り込む又は、スマホのブラウザで直接配信サイトから直接ダウンロードする事ができますので、後はハイレゾ再生対応アプリで再生すれば問題ありません。とは云えApple Music等の音楽配信サービスをロスレスハイレゾ音質で利用する場合にはiPhoneでもFiiO BTR7等の外部DACアンプを使用することで対応できます。

 

※以前の同カテゴリ商品レビューもご参考ください

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1.3. FiiO BTR7の仕様

FiiO BTR7の機能詳細は後述するとして、先ずは仕様をチェックしてみます。

主な特徴は以下の通りです(メーカーHP抜粋)。

 

  • 先進のアンプテクノロジー「THX AAA-28」デュアル搭載によるフルバランスアンプ回路
  • ESS Technology製DACチップ「ES9219C」を2基、左右独立構成で搭載
  • PCM384kHz/32bit、DSD256ネイティブ再生を可能とするUSB DAC機能
  • QualcommBluetoothチップ「QCC5124」採用による高品位ワイヤレス性能
  • LDAC/aptX Adaptive/aptX HD/aptX/AACといった主要高音質ワイヤレスオーディオコーデックに対応
  • アナログ/デジタルを独立した13基の電源レギュレータを搭載
  • 3.5mmシングルエンド出力のほか、完全バランス構成による4.4mmバランス出力を搭載
  • 接続安定性を向上する、特許取得済みのシームレスメタルアンテナ搭載
    動作状況や設定を簡単に確認できるカラーIPSディスプレイを搭載した高剛性アルミ筐体
  • Qi規格無線充電対応と9時間動作可能な880mAhバッテリー搭載
  • ワンボタンで切り替え可能なUSBオーディオアダプターモード
  • FiiO Control Appによって、本体に触れずパラメーターを変更可能
  • 専用設計の保護ケースが標準付属

 

ドングルDACとして比較的大き目な媒体と云えますが、小型の外部DACアンプとして多機能を搭載した商品性は流石FiiOです。

次に、BTR7のスペックは以下の通り(メーカーHP抜粋)。

 

基本スペック

  • Bluetoothバージョン    Bluetooth 5.1
  • Bluetoothチップ    QCC5124
  • 対応Bluetoothオーディオコーデック    SBC, AAC, aptX, aptX LL, aptX HD, aptXAdaptive, LDAC
  • DACチップ    ES9219C x2
  • USBレシーバーチップ    XMOS XUF208
  • ディスプレイ    1.3インチIPSカラースクリーン
  • ゲイン設定    High/Low 2種類を切り替え可能
  • ヘッドホン出力端子    3.5mmシングルエンド + 4.4mmバランス
  • 出力(32Ω負荷時)    3.5mmシングルエンド: 160mW
              4.4mmバランス: 320mW
  • SN比(A weighted)    3.5mmシングルエンド: 118dB
             4.4mm バランス: 115dB
  • ノイズフロア(A weighted)    3.5mmシングルエンド: 3μV以下
                   4.4mmバランス: 5.5μV以下
  • THD+N    3.5mmシングルエンド: 0.00055%未満
                    4.4mmバランス: 0.00048%未満
  • セパレーション (1kHz/(32Ω負荷時)    3.5mmシングルエンド: 75dB
                                                                 4.4mmバランス:107dB
  • MQA    レンダラー機能搭載
  • USBポート    Type C(USB2.0)/データ転送・充電兼用
  • インライン・リモコン    CTIA規格に対応
  • マイク機能    ハンズフリー通話、音声アシスタント起動
  • 内蔵バッテリー容量    880mAh
  • 連続使用時間    3.5mmシングルエンド: 約9時間
                              4.4mmバランス: 約8時間
  • 充電時間    有線方式:1.5時間
                       無線方式:3.0時間
  • 無線充電方式    Qi規格対応
  • 外形寸法    83.6 x 39.6 x 14.6 mm
  • 重量    68g
  • 付属品    専用保護ケース/保証書/USB TYPE-C to Aケーブル / USB TYPE-C to Cケーブル / クイックスタートガイド

 

音質に拘る仕様はエントリーモデルのDAPに勝るとも劣らない性能を有しています。

 

さて、ここからは技術的な話になります。BTR7は独立したXMOS製USBコントローラー「XUF208」を採用し、USB Audio Class 2.0 でアシンクロナス伝送によるオーディオデコードが可能です。USB Type C端子からのオーディオデータ入力をPCM384kHz/32bitまでとDSD256(Native)、DSD128(DoP)までのDSDの再生に加え、MQAレンダラー機能も搭載しています。

※USB DAC機能はドライバー不要のUSB Audio Class 1.0モードと、フルスペックでの再生が可能な2.0モードの2つのモードに対応しています。後者の場合、FiiOオフィシャルウェブサイトからドライバーのダウンロードとインストールが必要となります。

 

つまり、手持ちのロッシー(圧縮)だけでなく、ロスレスハイレゾ音楽ファイル及び、DSDファイルの再生が可能ですので、一般ユーザーでは困ることはないと思います。また、昨今のサブスクリプション音楽配信サービスのApple Musicやamazon musicハイレゾロスレス)音楽データ(24bit/48kHz以上)の再生にも対応しています。もちろん手持ちのCDから非圧縮でリッピングした場合、16bit/44.1kHzのロスレス音楽ファイルとして再生可能なため、CD音質のまま聴く事ができます。

分かり易く区別すれば殆ど全ての音楽ファイル形式の再生が可能であり、例えばiTunes等で購入したロッシーのAAC-LC(iPhoneで再生可能な圧縮された320kbpsの16bit/44.1kHz)ファイルや、mora等で購入したAAC-LCファイルやFLAC形式ファイル等のロスレス(16bit/44.1kHz)やハイレゾ音楽ファイル(24bit/48kHz以上)に対応していますので、手持ちの音楽ファイル財産をそれらが持つ本来の性能でそのまま再生することが可能となります。

尤も、iPhone等のiOSモバイル機器単体では標準再生アプリApple Musicで手持ちの音楽ファイルを再生できるのは現在(2023/01/31)もAAC-LCファイルの再生までとなっています。もしも手持ちのALAC形式のロスレスハイレゾロスレス)音楽ファイルを24bit/48kHzを超えた本来の性能で再生したい場合にはiPhoneに別途BTR7を接続しNePLAYER等のハイレゾ音楽再生対応アプリを使うことで可能になります。

 

上記の意味が良く分からないという方のために、論より証拠。iPhone SE2のamazon musicを使って試してみます。amazon musicはunlimited(従来のHD会員)有料会員です。

BTR7のファームウェアはVer1.71です。

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BTR7のファームウェアはVer1.71です。

 

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BTR7は「Charge off」設定です。

 

 

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amazon musicアプリはVer10.11.1で検証しています。

 

iPhone SE2にBTR7をUSB-DACとして接続し、amazon musicで24bit/96kHzの曲を再生してみます。

 

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再生中の曲をアプリ上でチェックします。BTR7をUSB-DACとして接続している場合の再生中の曲の表示です。

楽曲の最大音質が24bit/96kHz、端末の性能が24bit/192kHz、再生中の音質が24bit/96kHz、CodecがFLACと表示されています。

ハイレゾ楽曲24bit/96kHzが端末の性能に制限されず24bit/96kHzで再生されています。これは端末の性能が24bit/192kHzまで対応しているので、音源通り24bit/96kHzで再生できています。

詳しくは後述するとして、端末の性能が楽曲と再生中と同じ又はそれ以上の数値の場合、ロスレス又はハイレゾロスレス)音質で再生できています。

では、BTR7を外してiPhone付属のApple Lightning - 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタに変更してみます。


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Apple Lightning - 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタを接続している場合の再生中の曲の表示です。BTR7を接続した場合には端末の性能が24bit/192kHzでしたが、iPhone付属のApple Lightning - 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタでは端末の性能だけが24bit/48kHzに下がっています。再生中の音質が24bit/96kHzと表示されていますが、端末の性能が24bit/48kHzに制限されていますので再生中の音質が24bit/96kHzと表示されていても24bit/48kHzの音質に制限され再生されていることになります。

厳密には24bit/48kHzでもハイレゾロスレス)と云えますので、ハイレゾロスレス)で聴く事ができるのですが、楽曲と再生中の24bit/96kHzからダウンコンバートされて再生されているために、楽曲本来の音を聴く事ができていません。また、付属のApple Lightning - 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタではアンプとしての増幅はありませんし、BTR7の強力なアンプ回路によるノイズの少ない綺麗な音を楽しむことができません。

ここで注意いただきたいのは再生中の音質が24bit/96kHzと表示されていますが、amazon musicアプリの仕様上、上限が端末の性能に制限されるという事です。仕様上、iPhone SE2やiPad Air4は端末性能が24bit/48kHzまで対応しています。つまり、iPhoneでは付属のLightning-3.5mmヘッドフォンジャックアダプタを接続することでamazon musicを24bit/48kHzまでのハイレゾ音楽データの再生が可能になります。iPad Air4の場合は別売のUSB-C-3.5mmヘッドフォンジャックアダプタを使用すれば可能になりますが、音源が24bit/48kHzを超える音源は端末性能に依存していますので、例えば音源が24bit/96kHzのハイレゾ音楽データでも24bit/48kHzにダウンサンプリングされて再生します。折角の24bit/96kHzのハイレゾ音楽データは劣化させずに本来の音で聴きたいものです。

まとめると、iPhone付属のApple Lightning - 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタでもamazon musicApple Music等の音楽配信サービスにおいて、ハイレゾロスレス)音質を一定の水準の音質で楽しめますが、BTR7を使用することで更に高音質で楽しめる事ができます。

ここまで読んでみて「言っている意味がよくわからない」、「いや、面倒…」という方は、iOS端末に単純にBTR7を接続し標準アプリ Apple Musicでロスレス配信サービスを利用すればiPhone等でもサブスクの(ハイレゾロスレス配信サービスの音を楽しむことができます。

 

Apple Musicアプリの設定は以下記事内、2.2.項をご参考ください。

miineco106.hatenadiary.jp

 

 

2. FiiO BTR7の実機レビュー

それでは実際に実機をみていきます。

 

2.1. BTR7の実機&パッケージ

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黒を基調としたパッケージは光の反射で金?銀?の線で描かれた商品本体イラストが高級感のある化粧箱です。

 

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箱を開けると黒スポンジの内装に本体が収納されています。下側には専用ケースが入った小箱があります。

 

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内装を取り出すと仕切り蓋がありそれを開けると箱の底に付属品が収納されています。

 

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付属品はBTR7本体、USB C to Cケーブル、USB C to Aケーブル、専用ケース、取説類です。取説には中国語、英語、日本語の記載があります。

 

それではBTR7本体を見てみます。

 

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※BTR7とShanling UP5とのサイズ感

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BTR7はUP5同様に入力側端子はUSB Cを採用。ケーブル交換が可能です。


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BTR7の方がUP5よりも少し長い。

※BTR7の左から3.5mmフォンアウト、4.4mmバランス
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BTR7はShanling UP5に対し、縦が長く横が僅かに大きく厚みもあります。BTR7本体の質感は同社のDAPのデザインが踏襲されています。従来のBTR5までのデザインとは異なりBTRシリーズの最新上位モデルと一目でわかる外観です。また最初から専用ケースが付属するのもポイントが高いです。

サイズ感としてはUSB-DACの各社製品と比べやや大きめです。

 

付属のUSB C-USB Cケーブルはコネクタ部含め全長約100mmと丁度良い長さのケーブルです。短すぎず、長すぎず、使い勝手は悪くありません。

 

2.1.1. Lightning-USB Cケーブル

付属品では主にandroid端末やiPad等のUSB C端子との接続を想定してUSB C to Cケーブルのみです。そのためiPhoneでも使えるサードパーティー製ケーブルを紹介します。

 

サードパーティ製のiPhoneとの接続用Lightning-USB Cケーブル

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iPhoneとの接続用Lightning-USB Cケーブルに「ddHiFi MFi06 Lightning to USB Type C データケーブル」が使用できます。型番が二種ありますが、その違いはMFi06Sはストレートコネクタ、MFi06はL字コネクタです。

 

ja.aliexpress.com

 

私はamazonから購入しましたが、残念ながら現在は販売していないようです。AliExpressではまだ販売していますのでどうしてもこれが必要な方はご検討ください。販売価格3,000円程度と少々値が張りますが、コネクタがL字タイプなので使いやすいです。

 

2.2. BTR7iPad Air4(第四世代)の接続

先ずはiPadからです。iPad Air4(第四世代)はProシリーズ同様にUSB C端子です。付属のUSB Cケーブルがそのまま使用できます。

始めに付属のUSB C to Cケーブルの一端をBTR7本体のUSB C端子に接続し、もう一端をiPadのUSB C端子に接続します。

次にイヤホンを接続します。今回はAcoustune HS1300SS DoradoをAcoustune ARC73 4.4mmバランスプラグ仕様にリケーブルしているものを使用します。そのためBTR7の4.4mmバランスジャックに接続します。手持ちのイヤホンが3.5mmステレオミニプラグの場合はBTR7の3.5mmヘッドフォン(ステレオミニ)ジャックの方に接続します。

最後にiPadApple Musicアプリ(iOS16.0.0 ※OS依存)を起動します。ちなみにApple Musicの有料会員の場合を想定しており、アプリの(ハイレゾロスレス設定済みを想定していますので、ご容赦ください。※本記事1.3.項最後の過去記事を参照

BTR7とiPad Air4を接続してApple Musicを聴く注意点としてはアプリの設定で「ドルビーアトモス」はオフにして下さい。ドルビーアトモス対応の楽曲の場合、「ロスレス」が正しく表示されない事があります。

次に、音量はApple Musicでは最大値に固定。音量はBTR7で調整することで音質を損なわずに聴く事ができます。ただし、必ずこの音量設定はBTR7と接続した状態で行ってください。BTR7を未接続の状態で設定すると爆音で耳を傷めてしまいます。爆音が心配になりますが、BTR7を外すと普段の音量に自動的に戻ります。それでも心配な方は音量は何をするときでも最小値から徐々に上げる事を徹底してください。

 

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接続自体は難しいことは無く、順番を守っていれば問題なく認識されます。こういうところでストレスフリーというのは良いことです。amazon等で数多ある同様の商品ではそもそも認識しない。認識するけどコツが有る。そのコツを見つけるのに試行錯誤が必要等があったりします。中華製品では割とよくあることですので、その過程も楽しめる方は自己責任となりますが国内代理店取扱いの正規品に拘る必要はないかもしれません。程度はどうあれ国内代理店のサポートを受けたいのであれば国内代理店扱いの正規品を購入して下さい。

 

※音源は176.4kHz、BTR7のLCDに176kと表示
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※音源は96kHz、BTR7のLCDに96kと表示
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※音源は48kHz、BTR7のLCDに48kと表示
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※音源は44.1kHz、BTR7のLCDに44kと表示
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Apple Musicで聴きたい音楽を選択した際に「再生」キーの上に「(ハイレゾロスレス」と表示がありますので、そこをタップすると音源の音質が分かります。

 

 ハイレゾロスレス・・・ここが24bit/48kHzを超えていればハイレゾロスレス音源

 ロスレス・・・ここが24bit/48kHz以下であればロスレス音源

 表示なし・・・(確認できませんが)ロッシー(圧縮)音源

 

確認した限りではアプリの設定を(ハイレゾロスレス再生可能にしていればロスレス以上の音源を楽しめる事になります。

また、例えばアプリ上で44.1kHzと表示される曲はBTR7でも44kHzと表示されています。176.4kHzも同じですが、何れも小数点以下は切り捨て?の様です。また、bit表示は全て32bit表示となり「HR」ロゴ表示ですが、BTR7のバグと推察しています。あしからず。いずれにせよBTR7ではApple Musicアプリから出力されたものをそのまま再生できています。

そして何よりもBTR7をUSB-DACとして利用することで端末に依存する24bit/48kHz以下の制約を回避することができ、(ハイレゾロスレス音質で聴くことができています。

逆に云えば、再生音質をハイレゾロスレスに拘らずロスレスで十分なのであればiPhone付属の3.5mmヘッドフォンジャックアダプタで用は足りる事になります。

 

2.3. BTR7とSony Xperia 5 IIの接続

次に、androidスマホXperia 5 IIで試してみます。android 12、SnapDragon 865、メモリ 8GのSonyの二世代前のモデルです(最新は5 IV)。

接続手順は2.2.項のiPad同様です。

 

2.3.1. Apple Musicアプリで試す

BTR7の接続後にandroid用のApple Musicアプリ(Ver4.1.0)を起動します。

 

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iPad同様に接続自体に難しいことはありません。BTR7を5 IIに接続するだけで認識してくれます。

 

※音源は176.4kHz、BTR7のLCDに192kと表示

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※音源は96kHz、BTR7のLCDに192kと表示
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※音源は48kHz、BTR7のLCDに48kと表示
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※音源は44.1kHz、BTR7のLCDに48kと表示
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android用のApple Musicアプリの画面、UIはiPadと大きく変わったところはありません。

そしてiPad同様に「再生」キーの上の「(ハイレゾロスレス」表示がありますので、そこをタップし音質のチェックをします。

アプリでは176.4kHz表示していますがBTR7では192k表示です。また、iPad同様にアプリが44.1kHzなのにBTR7では48k表示となっています。音源48kは一致していますが、96kは192k表示となっています。またBTR7のbit表示は全て16bit表示となりますが、24bit/48kを超える時「HR」ロゴ表示され、それ以下の時「SQ」ロゴ表示となっていますので、bit表示のバグと推察しています。いずれにせよiPad同様にBTR7ではApple Musicアプリから出力されたものをそのまま再生できています。

これはandroidApple Musicアプリの仕様又はandroidスマホの仕様と考えますが、(ハイレゾロスレスがロッシーにダウンサンプリングされているわけでもなく、ロッシーがロスレスロスレスハイレゾロスレスにアップサンプリングされているわけではありませんので、(ハイレゾロスレス音質で聴く事が出来ていると云えます。

 

2.3.2. amazon musicアプリで試す

次にamazon musicアプリ(Ver17.15.6)も試してみます。

 

※音源は192kHz、BTR7のLCDに192kと表示

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※音源は96kHz、BTR7のLCDに192kと表示

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※音源は48kHz、BTR7のLCDに192kと表示

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※音源は44.1kHz、BTR7のLCDに192kと表示

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amazon musicで聴きたい音楽を選択した際に曲名の上に黄色い文字で「ULTRA HD」または「HD」と表示がありますので、そこをタップすると現在の音質が分かります。

 

 音質・・・ここが24bit/48kHz以上であればハイレゾ音質

 端末の性能・・・ここが当該端末の再生可能なファイルの音質の最大値

 現在・・・ここが実際に再生できている音質

 Codec・・・ここが再生中のデータ形式

 

通常は端末の性能が配信されている音源の音質よりも高くなります(あくまでも端末の性能に依存)。例えば音源(音質の値)がハイレゾ音楽データ24bit/96kHzで端末の性能の値と現在の音質の値が同じであれば、「ちゃんと」ハイレゾ音質で聴くことができています。

また、そもそも先述の「ULTRA HD」表示ではない、「HD」表示される配信楽曲はCD音質(16bit/44.1kHz 1000kbps前後)となります。 

実際にアプリで表示されている(音源の)音質と(再生している)現在(の音質)は一致しており、これはiOSamazon musicアプリとは挙動が異なりandroid用アプリの方が正しい動きをしている様に見えます。しかし、BTR7の表示は全ての曲でアプリの端末の性能と一致した値192kを表示し、bit表示も全て16bit表示に加え、全て「HR」ロゴ表示となっていますので、実際に再生している値が現在の値の筈なのに、端末の性能に依存する「再生できる最大値」を表示しているようです。

amazon musicアプリのこの仕様だけは本当に理解に苦しみます。そういう意味ではアプリからの出力が正しく機能しているのはiPhone等のiOS端末のApple Musicアプリのみと云えそうです。androidApple Musicアプリは44.1kHzが48kHzや176.4kHzが192kHzと一部の音源では異なりますが、準じていると云えます。

 

実際のところ、amazon musicが端末の性能最大値にアップサンプリングして出力しているのかどうか確かめるすべもありません。それでも音源がハイレゾ音質ならばそれはハイレゾで聴く事が出来ています。問題となるのはロッシー配信とCD品質のHD音源が意図せずにハイレゾ相当にアップサンプリングされていなければ良いので、従来の全てロッシーで配信されていたころに比べれば高音質で色々な音楽を定額で楽しめるのは音楽配信サービスの良いところです。

 

個人的にはamazon musicはPCオーディオ用として作業中BGMとして活用しています。スマホApple Musicをメインで利用しています。今後WindowsでもApple Musicのロスレス配信に対応する噂もありますので、それまでは併用で我慢です。

 

2.3.3. サードパーティー製の再生アプリで試す

更に他の再生アプリとしてUAPP(USB Audio Player PRO)アプリ(Ver6.0.9.7)で手持ちのハイレゾ音源をSDカードに入れて再生できるのか?を試してみました。

 

※音源はAAC-LC、44.1kHz、BTR7のLCDに44kと表示

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※音源はFLAC、44.1kHz、BTR7のLCDに44kと表示

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※音源はFLAC、48kHz、BTR7のLCDに48kと表示
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※音源はFLAC、96kHz、BTR7のLCDに96kと表示
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※音源はFLAC、192kHz、BTR7のLCDに192kと表示
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結果は音源通りにBTR7は表示しました。44.1kは44kに。192kは192kと期待通りの結果に。一方でbit表示は全て32bit表示し、全て「HR」ロゴ表示される表示バグがあります。

少なくても5 IIとBTR7ではサンプリングレートは問題なく手持ちのハイレゾ音源をそのままの音質で再生できることが分かりました。

なお、ダウンロード購入した音源ファイル形式がAAC-LCの場合、ロッシー音源です。その表示も16bit/44.1kHzとなりますので、その場合は320kbps以下がロッシーです。CD音質は同じ16bit/44.1kHzでも1000kbps前後となりますので誤解の無いようにお願いします。 

 

2.3.4. BTR7接続時の注意点

最後にandroidスマホXperia 5 IIでBTR7をUSB-DACとして使用する場合の注意点を以下記載します。記事は5 IIで検証していますが、android 12のスマホならば独自のandroidカスタムOSを除き同じ考え方です。

 

通常の音量調整とは異なる

5 IIにBTR7を接続した場合、5 IIの音量出力「メディアの音量」を最大値に固定してください。

音量調整はその代わり、BTR7本体にあるボリュームダイヤルで調整できます。

 設定メニュー > 音設定 > メディアの音量

で音量を最大値に固定します。

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実際には最大値でなくても構いませんが、BTR7のボリュームを上げる必要がありますので、5 IIの方である程度上げておくと、BTR7で微調整しやすいです。

またこの設定は、必ず5 IIとBTR7を接続した状態で行ってください。5 IIがBTR7を接続した場合の初期値として記憶してくれます。5 II単独で行うと爆音で耳を傷める可能性があります。

 

BTR7接続時の挙動

インストールしているアプリによってBTR7を5 IIに接続した直後に表示されますが、その時は基本的にキャンセルで構いません。実際にアプリを使うために起動した際、再度確認されますので、その時には許可(OK)を選択します。

 

※BTR7を5IIに接続した画面。アプリ選択が出ますがここではキャンセルします

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※UAPPアプリを起動した画面
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例としてBTR7を接続した状態でUAPPアプリを起動するとBTR7へのアクセス許可をするかどうかを確認するメッセージが表示されます。BTR7をUSB-DACとして接続したままUAPPアプリで再生する場合は、基本的に「OK」を選択してください。誤ってキャンセルを選択した場合は一度5 IIからBTR7を外し、改めてBTR7を接続してください。改めて確認メッセージが表示されます。

 

2.4. BTR7とiPhone SE2(第二世代)の接続

最後にiPhoneとの接続です。

私のiPhoneはSE2ですのでLightning端子です。USB-DACのレビューで毎度のことですが、そろそろ独自規格のLightning端子を廃止して欲しいと切に願います。

というのもLightning端子が厄介でMFI認証という壁に加え、他にも供給電力制限が存在している為にサードパーティー製品は対応を謳っていても実際に使ってみないと分からないというのが現状です。今回はddHiFiのLightning-USB Cケーブルで問題なく使える事を確認済み(※本記事2.1.1.項参照)ですが、以前UA2の購入特典で付属していたLightning-USB Cケーブルで検証していますのでご容赦ください。

 

接続の手順を以下説明します。基本的にiPadと一緒ですが接続に使うケーブルが変わります。

 

始めにLightning-USB CケーブルのUSB C側をBTR7本体のUSB C端子に接続し、Lightning側をiPhoneのLightning端子に接続します。

次にiPad同様にBTR7にイヤホンを接続します。

最後にiPhoneApple Musicアプリ(iOS16.1.2)を起動します。

 

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接続に難しいところはありませんし、サードパーティ製Lightning-USB Cケーブルで問題なくBTR7を認識しています。

 

※音源は176.4kHz、BTR7のLCDに176kと表示

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※音源は96kHz、BTR7のLCDに96kと表示
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※音源は48kHz、BTR7のLCDに48kと表示
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※音源は44.1kHz、BTR7のLCDに44kと表示
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動作確認の結果はiPadと同じです。

アプリで音源が44.1k表示のものはBTR7では44k表示となり、確認した限り音源通りに出力され再生できています。また、iPad同様にbit表示は全て32bit表示と「HR」ロゴ表示となります。

 

なお、iPhoneiPadiOS端末の注意点があります。

音量が小さすぎる又は大きすぎる等の音量調整がうまくいかない場合、以下の設定をお試しください。

 設定 > ミュージック > オーディオ項【音量を自動調整】

の「オン」「オフ」を試してください。

 

※画像は「音量を自動調整」がオン。「ドルビーアトモス」はオフ。

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私はiPhoneでもiPadでも「オン」の方が音量が調整しやすかったです。

個々の設定により変わるかもしれませんが、困ったときにお試しください。

 

2.5. FiiO Controlアプリとの連携

ここではandroidスマホを例に紹介します。BTR7の設定を管理できる「FiiO Control」アプリと連携することができます。androidスマホとBTR7をBluetooth接続し、アプリを起動し、BTR7の機能設定やイコライザ設定等を選択することができ、一度設定してしまえばBTR7に記憶されます。

それでは以下、アプリの導入編です。

 

先ず、google play storeから「FiiO Control」アプリ(Ver3.6)をインストールします。

インストール後、BTR7とスマホBluetooth接続します。

 

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接続が確立された状態です。LDACで接続しています。

次にFiiO Controlアプリを起動します。

 

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アプリ起動後、デバイス選択でBTR7を選択します。


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BTR7との通信確立後、BTR7のステータス画面に移行します。

現在のBTR7のバッテリー残量や接続コーデックが確認できます。

アプリ画面下のメニュータブには「ステータス」「イコライザ」「Audio」「説明」メニューがあります。

 

※ステータスメニュー
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※イコライザメニュー
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※Audioメニュー①上スクロール
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※Audioメニュー②下スクロール
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Audioメニューを下までスクロールした画面です。

 

アプリのステータス画面では設定したい項目を選択し、各項目を設定できます。先述の通り、基本的にBTR7本体でも設定確認と変更ができますので、無理にアプリを使用する必要はありませんし、期待しすぎてはいけません。ガッカリします。少なくても私は無くても困ることはありませんでした。

注意点はアプリで設定できない項目があります。「ゲイン設定」と「DACフィルタ」です。これはBTR7本体でのみの設定可能となります。

 

ちなみに個人的なお勧めの設定は以下の通りです。

  • ゲイン:Low(BTR7本体でのみ設定可)
  • デジタルフィルタ:Hybrid fast roll-off
  • 充電:off

ノイズの少ないクリアで鮮やかな音を楽しめます。

USB-DACで使用する際のお勧めはBTR7本体のバッテリー充電スイッチを「Charge offにする」「バッテリー保護offにする」です。私は充電をスマホから給電ではなく別途USB充電器を用いています。充電時間は1.5-2.0H程度で満充電になります。

 

それでは次項ではいよいよBTR7の音質を確認してみます。

 

 

3. FiiO BTR7の音質レビュー

前項までにBTR7とiPad/iPhone及びXperia 5 IIとの接続テストと、アプリの利用を含めたBTR7の設定を行いました。

ここからは実際にBTR7を使って音質がどのように変化するのかを試してみたいと思います。

今回はandroidスマホSony Xperia 5 IIで試してみます。

イヤホンは先述の通り、Acoustune HS1300SS DoradoをAcoustune ARC73 4.4mmバランスプラグ仕様にリケーブルしているものを使い、再生アプリはUAPPを用います。

 

3.1. Xperia 5 IIに直挿しの音質

 

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前述の通り、イヤホンはAcoustune HS1300SS Dorado(以下HS1300SS)をAcoustune ARC73 4.4mmバランスケーブルにリケーブル。イヤピはSedna EarFit Short MSサイズです。

再生アプリはUAPPを用い5 IIのヘッドフォンジャックに4.4>3.5変換を用いて直挿し接続します。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

以前UP5のレビューの通り、Xperia 5 IIはSonyが音にも拘ったスマホという謳い文句にあらためて納得できます。

高音はしっかりと鳴り、低音は量感があります。中音はボーカルを聴きやすく前面に出しながらも演奏がしっかりと聴こえます。今回組み合わせたイヤホンがHS1300SSというクリアな中高音と解像感の高さに定評のあるイヤホンです。「普通に良い音」という印象です。

 

3.2. BTR7を使用した音質

それではXperia 5 IIにBTR7をUSB-DACとして接続し実際に聴いてみます。BTR7は2.5.項の個人的お勧め設定にしています。

先述の通りイヤピはSedna EarFit Short MSサイズです。BTR7の4.4mmバランスジャックに接続しています。

ソースは同様に宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先に聴いた5 IIの直挿しとは一聴して違いを感じます。5 II直挿しよりも華やかさを感じられる中高音と締まった低音のBTR7は分かり易く高音質という印象です。高音は華やかで伸びやか。中音は5 IIでは真ん中に集まりますが、BTR7は音場が広く音の分離も良く聴きやすい。特にくっきりはっきりと音を鳴らす傾向があります。一方でその鳴らし方はやや癖がある印象を受けます。上手く云えませんが、ナチュラルな感じというよりも少し創られた様な鳴り方です。その分、くっきりはっきりと聴こえますし、音像の輪郭が感じやすいので、この鳴り方が好きな方にはハマりそうです。低音は締まりのあるタイトな鳴り方。不自然に強調されていない割とあっさりとした印象です。そのため深みというか濃厚な音の低音が好みの方には注意が必要です。BTR7は全体をフラット寄りの弱ドンシャリ。やや中高音域寄りに鳴らすリスニングサウンドという印象です。

結論としては、5 II直挿しもそれだけ聴くと良い音ですが、BTR7を通して聴いた音はもっと良い音で聴く事ができます。5 II直挿しのみで聴いたときに十分と感じた音場がやや狭く中心に集まっていると感じます。まあ、同じ土俵で比較してはいけませんね。冒頭で申した通り、一聴して違いを感じられます。

 

次に同クラスの商品のShanling UP5との比較です。

先ずUP5の音質傾向ですが、音場は広めです。高音もUP5では煌びやかで響きの良さを感じます。低音はUP5でも量感が控えめですが、芯が感じられ締りとキレは良好。ベースラインは追いやすく、重低音は沈み込みも深く、芯の強さもあります。中音はUP5が高音同様に響きが良く華やかさがありますが、団子感やゴチャつきを感じません。ボーカルはクリアで自然な位置からクリアで聴きやすい。UP5は一言で云えば中高音寄りのフラット寄りのリスニングサウンドという印象です。

BTR7との比較ではBTR7の方が中高音がくっきりはっきり煌びやで明るく華やかに鳴らします。UP5の方がどちらかと云えば暗め。そして中高音は前に出るような主張は抑えられてBTR7よりも自然な印象。低音は量感は抑えられていますが、BTR7の方がタイトな鳴り方で、UP5の方がやや雰囲気のある鳴り方です。

まとめるとBTR7は明るくくっきりはっきりと鳴らすリスニングサウンド。一方のUP5もリスニングサウンド寄りですが、やや暗めに誇張なく音を自然に鳴らす印象です。

どちらも良い音と云うのが素直な感想です。可能なら試聴して個人の好みの方の音を選択するのがよいと思います。

 

 

4. FiiO BTR7のまとめ

さて、FiiO BTR7はドングルタイプのUSB-DACとしてはやや大きめの商品です。ですが、BTR7はBluetoothレシーバ機能も持っており、一台二役の多機能商品です。USB-DAC機能ではエントリークラスDAPと遜色無い音をスマホサブスクリプション音楽配信サービスや手持ちのハイレゾ音源を良い音で手軽に楽しめことができるとまとめました。

そしてBTR7は販売価格が3万円半ばとドングルDACアンプ商品群の中では上位クラスとなりディスプレイ搭載により直感的に操作可能。アプリはあまり役に立ちませんが、本堤だけでも使い勝手は悪くありませんし、特にその音質について満足できる商品と云えそうです。

現在(2023年2月17日)はamazonECサイト、国内家電量販店店頭等でも発売されており、30,000円半ばの価格で購入可能です。機能に対し満足感の高い実売価格と云えますが、AliExpressでは2万円半ばとより安価に購入できます。しかし万が一の保証の際のリスクが有ります。勿論保証の面からは安心確実な国内正規代理店取扱品の購入が安心ですが、あまり評判が良くないのが玉に瑕。それならば、自己責任の安い方が良いと個人的には考えています。

 

 

あとがき  

あとがきとして、今回は久しぶりに中華製USB-DACアンプの取り上げてみました。発売直後は品薄で中古価格も高騰していましたが、中華F社らしい品質造り込みが知られてきて徐々に人気も下降気味の様です。加えて本国との価格差が大きい代理店構造も個人的にはお勧めし難いです。

とはいえ、音は良いので今回取り上げた次第です。この商品を気になっている方に少しでも参考になれば幸いです。

今後も低価格?を中心に、複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンや、中華DAC及びヘッドホンアンプにも挑戦していきたいと考えています。気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

※2023/3/17 タイトル修正

※2023/3/21 誤記修正他