みぃねこの備忘録

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Trn MT4 レビュー

こんにちは。

今回はいつもの中華イヤホンレビュー編として、低価格U5000帯で発売された2DDモデルのTrn MT4についてレビューをまとめたいと思います。

国内amazonのHiFiGoで取扱があります。

 

 

AliExpressでも取扱があります。

 

ja.aliexpress.com

 

HiFiGoサイトはコチラ

TRN MT4 High-Performance Dual Dynamic HiFi In-Ear Monitorshifigo.com

 

 

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1. Trn MT4について 

Trn MT4は低価格U5000帯中華イヤホンのデュアルダイナミックドライバモデルとして今年1月に新発売されました。

近年のTrnは従来の低価格U5Kから高価格A30K帯迄の幅広いラインナップを持ち、それらは普通に音質の良いモデルが多く発売し中華イヤホンファンから注目されています。

「普通に音質が良い」というのはとても重要です。それは中華イヤホンのA10K帯やそれ以下の価格帯の新商品の発売スパンは短く、長くても数か月一度ニューモデルを投入してきます。我々中華イヤホンファンはこのスパンで発売される新商品を追いかけて楽しんでいますが、その中にはどうしても「微妙」な評価になる商品も残念ながら存在しています。それも含めて「今回は外れだった」とネタにして楽しむ訳ですが、初めて中華イヤホンに興味を持ち、あれこれ悩みながら手に入れた中華イヤホンが微妙だったらもう目も当てられません。音質傾向が好みではなかったというのなら救いがありますが、高音だけが目立って五月蠅いとか、低音が支配的で中高音域が籠っているイヤホンを引いた日には「中華イヤホンは二度と買わない」となって終うかもしれません。趣味に対する向き合い方は人それぞれですが、それでもやはり間口は広くありたいと願う次第です。

さて、Trn MT4は昨年発売されたシングルダイナミックドライバモデルのMT3の進化系と云えるデュアルダイナミックドライバモデルです。販売価格もU3Kという低価格帯の中でも安価なゾーンとなりますが、数年前までのこの価格帯は1BA+1DDハイブリッドドライバモデルが席巻していました。勿論Trnも例外なく発売しており、直近では一年前にTAを発売していましたし、最近では昨年からのトレンドの一つ、平面磁気駆動ドライバ(PD)の異種として、四角形の平面磁気駆動ドライバ(SPD)を採用することで低価格U5K帯に収め、且つBAとのハイブリッドドライバ構成としたXuanWuを発売する等、目新しくて良さそうなものはどんどん取り入れていく姿勢は流石と云えます。

そのTrnが今年最初に発売したMT4は従来の低価格帯の1BA+1DDハイブリッドドライバ構成のモデルが常識だった市場に一石を投じました。MT4は大小異なるサイズ径と異なる二種のダイヤフラムのデュアルダイナミックドライバ構成です。近年発売したモデルは「普通に音が良い」という評判のTrnから発売されたこともあり、これは注目せざるを得ませんよね。

 

※MT4のf特(メーカーHP抜粋)

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メーカー発表のf特を引用し音質を想定してみます。グラフからはやや高音域寄りにピークがあり、2k付近に最大ピークがあります。そこからは高音域に掛けて緩やかに右下がりとなり振れ幅も広めに上下しています。音域全体を見ると中音域が凹むよくあるドンシャリサウンドのf特性となっています。

 

※Xuanwuのf特(メーカーHP抜粋)

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次に比較として同社の1BA+1SPDデュアルドライバ構成Xuanwuのメーカー発表のf特を引用します。グラフからは高音域寄りにピークがあり、2k付近が最大ピークとなりますが、そこからは10k手前の高音域迄横ばいにピークを維持し、それを超えた後は右下に急激に下降しています。音域全体を見ると高音域が強調されたドンシャリサウンドのf特性となっています。

実際にXuanwuを聴いてみると高音域に強いピークを感じるドンシャリ傾向のサウンドです。

 

※Trn Kirinのf特(メーカーHP抜粋)
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最後にTrn Kirinのf特です。価格帯もクラスも上となりますが、Kirinのf特とは全体的に同傾向の印象を持ちますが、高音域が異なります。ステムノズルフィルタにより厳密には異なるもののKirinの高音域のピークは10k手前ではなく5k付近にあります。加えて、それを超えた10k-20kの間にピークを持っています。より高音域を強調されている様な印象を持ちますが、実際に聴き比べてみるとそれは一変します。全体の印象は似ていますが、高音域の繊細さと低音域の質感は流石の中価格A15000-U20000帯モデルと云えます。全体では高音やや強めのフラット寄りのドンシャリですが、解像感の高い高音域は華やかでありながらしつこさの無い繊細な音は耳障りが無く、一クラス上の音質を感じられます。

 

これまでのレビューでも考察した通り、f特は出音の参考にはなりますがそれで音質が分る訳ではなく聴いてみて音質を評価することが一番だと個人的に考えています。そのためKirinとXuanwuの高音域が全然違うのは納得できます。そういう意味ではMT4がどのような音を聴かせてくれるのか楽しみです。

 

さて、Trn MT4のスペックですが、中華イヤホンの低価格帯ではあまり例のない異なるサイズとダイヤフラム(振動膜)のダイナミックドライバ(DD)を片側に二基搭載したデュアルドライバ構成のモデルです。この商品群では珍しい組合せと云えます。高音域から中高音域用のDDには直径6mmの軽量振動膜を採用したダイナミックドライバを。中低音~低音域用には直径10mmのベリリウムコーティング振動膜に加え、二重磁気のダイナミックドライバを採用しています。

複数ドライバ機で最も大事なことですが、異なる種類や複数のドライバを搭載するモデルでは各ドライバの担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングが重要です。低価格帯はもとより、中価格帯のモデルでも曲によってつながりにやや不自然さを感じる場合があります。前述の通りMT4は6mm小径DDと10mm大径DDをデュアル構成としておりますが、実質的には10mm径DDがフルレンジを担い、6mm径DDが中高音域より上の音域を補完する構成です。そのため鳴らし始めは曲に依って高音域と低音域が独立して鳴っているようなつながりの不自然さを感じられる事があるのが気になります。特に低音が広がる強めの曲で感じやすいです。これは6mm径DDがちゃんと仕事をしているという裏返しでもありますが、鳴らし込むことで多くの場合次第に落ち着きます。余談ですが某3DD機は6mm径DD二基が鳴っていない疑惑がありました。

次にイヤホン本体にはステムノズルが金属製。シェル本体に樹脂製、フェイスプレートには亜鉛合金を採用し高級感のある外観としています。

最後に付属ケーブルです。高品質銀メッキ無酸素銅(OFC)線の4芯編込み線を採用。元々中華ケーブルメーカーの利点を活かしたものとなっています。中華イヤホンメーカーでは付属ケーブルはリケーブル前提で質を落としコストカットしているところもありますが、付属として必要十分な高品質線材を採用しています。

 

※宜しければ過去記事もご参考ください

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Trn MT4の納期として今回HiFiGoでオーダー、1週間強で届きました。現在(2023/3/17)は国内amazonでも本国発送となっています。昨今、HiFiGoやAliExpressで購入した本国発送の場合でも以前の様な感染症の影響で遅延は少なくほぼ回復したと云えます。尤も、万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかるのが、海外通販のリスクです。

そんな訳で一般的に海外通販での購入は国内通販で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが偶に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットがありましたが、最近では円安でその恩恵も受け難く、国内では入手できない商品を早く手に入れる事がメリットと云えます。それらを天秤にかけた場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. Trn MT4実機レビュー 

それでは、実機レビューを以下、まとめていきます。


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パッケージングは白を基調とした商品名とイヤホンイラストがプリントされたスリーブタイプの化粧箱です。

 

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スリーブを外すと内箱の白地の台座にイヤホンが収納されています。

 

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内装を取り外すと箱の底には付属品が収納されています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースS、M、Lの1セットに加えTrn新型イヤーピースT-Ear TipsのMサイズ黒軸1ペアの計3種。ケーブル、ケーブルバンドです。低価格U5000帯として十分な付属品となります。

 

次にイヤホン本体を見ていきます。

 

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ビルドクオリティですが、中華イヤホンで心配されるような雑なところ感じさせません。低価格帯でよくあるシェルの合わせ面等のズレや隙間は無く綺麗に仕上がっています。

カラーバリエーションは黒色とクリア(銀フェイスプレート)の二種。今回は黒色を選択しました。

 

次にケーブルをみていきます。

 

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付属ケーブルは4芯銀メッキ無酸素銅(OFC)線材の編込み線のシルバー(白?)カラーです。プレイヤー側コネクタはL字タイプ。イヤホン側はQDCタイプの丸型ハウジングKZ-C 2ピン仕様。極性はKZと同じ極性の上側がプラスです。いつものTrn低価格帯に付属するケーブルです。この付属ケーブルは被膜に多少引っ掛かりがありますが、タッチノイズは殆ど感じません。肝心の耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的に柔らかくしなやかなものとなり取り回しは悪くありません。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、私はこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

続いて他機種とのサイズ感や造形の比較です。

 

※画像左からTruthear x Crinacle ZERO、Trn MT4、Trn TA3

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Trn MT4はTA3やXuanWuと同じシェルです。フェイスプレートのデザイン違いだけで比較的オーソドックスな造形です。Truthear x Crinacle ZEROが比較的大柄な造形のため、MT4の一般的な造形からはサイズ感は大きく感じますが、大きくて耳に持て余すようなことはありません。MT4もTA3もZEROもXuanWu同様に比較的軽量となり、装着時にはその装着感の良さもあり殆ど重量を感じません。

また、ZEROはステムノズル一体型オール樹脂シェルですが、MT4やTA3はXuanWu同様にステムノズルとフェイスプレートが金属の本体は樹脂シェルです。

ステムノズルの長さや太さと角度はMT4とTA3とXuanWuが同じ。ZEROが太く長め。角度はやや起きています。

また、ステムノズル部には三機種全てにフィルターがあり異物混入による故障を防げます。ZEROとMT4とTA3は金属フィルタですが、XuanWuでは繊維フィルタを採用しそれらの金属フィルタと異なり音質に影響があるタイプです。

そして、シェル本体の形状と付属ケーブルからは三機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、装着感はステムノズルの長さや太さに影響がありますので、イヤーピースのフィッティングは重要となります。

 

最後に付属イヤーピースです。

 

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付属イヤーピースは最近のTrnに付属する白色イヤーピースと新型T-ear Tipsイヤピです。某メーカーのイヤピを彷彿させるもの。傘はしっとりと柔らかい中にコシもありフィット感は良好です。音質的には高音域をやや減衰させるタイプです。

いつもの白色イヤピは開口部が大きく、中高音域をクリアにするタイプです。

音質的には好みにもよると思いますが、白傘タイプが個人的にはしっくりきました。このイヤーピースを私は耳の奥に栓をするように装着しフィットしています。

低価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じます。今回は付属のイヤピで上手くフィットした為、そのまま使用しました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感はもとより音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えない他社製へ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. Trn MT4音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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昨年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音に脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

昨年はSony NW-ZX507を使用していましたが、やや演出感のあるドンシャリはメリハリがありグルーブ感のある音はSonyの音で音楽を楽しく聴く事が出来ました。しかし、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5の方がモニターライクながらも、決してつまらない音ではなくリスニングでも使えて万能と考えたからです。

Shanling UP5をUSB-DACとして使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

 

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属白 Mサイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「自然な高音域としっかりと鳴る低音域のドンシャリ」でした。

箱だしでは高音域と低音域が不自然に分離した音で遠い高音域と近くて膨らむ低音は緩さを感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音は締まった音になり高音域も自然で定位に不自然さがなくなりました。

 

音場

普通の広さですが、前後の奥行も感じられ、左右の広さもあり、立体的な空間を感じられます。

 

高音域

自然な強さ量で鳴るために控えめな印象を持ちそうですが、誇張された煌びやかで明るい華やかな鳴り方よりも素直で自然な音は、必要以上に華やかさを感じる事のない爽やかな鳴り方です。想像よりずっと大人の落ち着いた感じは、高音好きには刺激が少なく物足りないかもしれません。自然な誇張のない煌びやかさは響きや余韻も控えめな為、瞬発的なキレも程々。超高音域までの伸びはそれ程感じません、寧ろ音圧は少なくても整った音の高音域であり、立体感を感じ易くなっています。その為、存在感は大きくはないものの、十分描写を感じられます。ゆったりとした曲を聴く際には騒がしさの無い心地の良い高音域を楽しめます。

 

中音域

空間は広くも狭くもない普通。それほど広さを感じない空間に適度に華やかに鳴る音は、若干凹みを感じられますが、音数の多い曲でもごちゃつかずに表現してくれます。また、音が重なり中心に集まる団子感の感じ難い分離の良さを感じます。高音域よりも音の立ち上がりの良さがありキレの良い音は音の強弱を綺麗に描写してくれます。ボーカルはクリアで自然な位置から聴かせてくれ、ややドライ気味なものの息遣いを感じられます。

 

低音域

量感は適度に抑えられ、余韻を楽しむような広がりはありませんが、タイトな面白みのない音ではありません。適度に強さのある芯を感じられる締まった音。全体的な印象として締りとキレは良好で音の強弱や音階を描写します。ベースラインは追えますが、前に出すぎる事はありません。重低音の沈み込みはそれほど深さを感じませんが、芯の強さを感じる音。

 

出音のバランス

一言で云えば適度な華やさのある中高音寄りの弱ドンシャリ。出音は中高音を中心に低音は適度な強さのある万人受するバランスです。やや中高音寄りの弱ドンシャリバランスという印象です。

 

高音の華やかさは控えめな印象ですが、誇張の無い自然な音の強さは好感を持ちます。低音は最近のTrnの得意な中高音域をマスクしない見通しの良さを確保した締まりのあるタイトに鳴るバランス。そのため刺激の少ない音に物足りなさを感じられるかもしれません。確かに多少誇張することで高音域は煌びやかで響きも良く華やかに鳴り解像感を高く感じてしまいますが、XuanWuの様に不自然な金属の響きだけが耳に残るのはやり過ぎ感があります。一方でMT4では自然な音かもしれないけど地味な音に聞こえてしまうかもしれません。もう少し、いや僅かに誇張したバランスの方が解像感と音楽性を両立させやすいのも事実です。

ではMT4のバランスがどこで活きるのかと云えば、「ゆったりとした音数の少ない曲」という印象です。小さな音をかき消さずに描写してくれるものの音圧は弱めですが、それが功を奏して前後の奥行を感じられ立体感を生み出します。尤も高級機であれば何方かに寄るでもなく、何方の場合でも綺麗に表現してくれますので、この価格帯ならではの無いものねだりとなります。

中音は落ち着いた華やかさが心地良い。やや凹みを感じますがボーカルと楽器の音はやや後ろ辺りの離れた位置に感じられ奥行を感じられます。そして中音域の音は統制されており、空間の見通しも良くクリアです。音の描写力は良好で解像感は相応ながらも分離の良い音を感じられます。

一方、ボーカルは自然な位置からクリアで聴きやすく、高音や低音の音に埋もれませんし中音に重なりかき消されることはありません。声色はややドライ気味なものの息遣いを感じられますが、ボーカルを中心に聴きたい場合には自然な位置が仇となります。

低音は量感は適度に抑えられ、締まりのあるタイトな鳴り方のため余韻を楽しむような広がりはあまり感じませんので雰囲気の良いバラードを聴きたい場合には相性を感じるかもしれません。何方かと云えば締りとキレの良い鳴り方で低音域はアップテンポな曲との相性は悪くはありません。中高音寄りの弱ドンシャリの出音は決して低音を犠牲にしていませんが、それなりの相性はありそうです。

重低音は沈み込みはそれほど深くありませんが、芯のある強さがあります。誇張の無い自然に華やかに鳴る高音中音域をキレの良い低音が支え、音楽を楽しく聴く事ができます。

 

XuanWuとの比較ではXuanWuは少々やり過ぎ感のある高音域でしたが、MT4の高音域は自然な音でありそれぞれの嗜好によって好き嫌いが分かれそうです。それでも中音低音の音は近しいバランスであり、解像感はXuanWuの方に分がありますが、全体のバランスではMT4の方が自然で素直に高音質と云えそうです。

とはいえ、ネガティブな面として地味な高音域に物足りなさを感じるのも事実です。中音域ではベリリウムコートの程良い堅さとキレのある音を奏でてくれますが、高音域ではやや線が細い印象となるのがその理由と云えそうです。

同じ異形サイズ2DDとして先日レビューしたQKZ x HBB KHANがありますが、こちらと比較すると低音域のしっかりとした中低音寄りの音質傾向とは真逆というか異なります。QKZ x HBB KHANは低音域を豊かにしたHBBの低音を疎かにしない音楽性を重視した音。尤もMT4と価格が倍違うので単純に比較できるものでもありませんが。

そして以前レビューした同社MT1との違いも気になります。MT1はU1Kのシングルダイナミックドライバモデルですが、発売当時トレンドになった1DDモデルの一つです。MT1もTrnらしい中高音寄り良バランスモデルでしたが、MT4のバランスに近似しており、その音を高音と低音を厚くしたのがMT4と云えそうです。

 

※以前のQKZ x HBB KHANのレビューもご参考ください

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※以前のTrn MT1のレビューもご参考ください

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まとめるとTrn MT4は従来のTrnの普通に良い音を重視した良バランスの音。高音域をこれまでの中華BAから小径DDにすることでBAとDDのハイブリッドドライバ構成よりも自然な音を得られた低価格帯でもトップクラスの高音質と云えそうです。そして以前レビューした同社MT1はシングルダイナミックドライバモデルでしたが、MT4はデュアルダイナミックドライバによる進化を十分に感じられました。

XuanWuで採用されたBAとSPDのハイブリッドドライバは特にSPDがまだまだ進化の途中であり、これからに期待するドライバと云えそうです。尤も、XuanWuの場合、BAの活用の仕方に調整の余地がありそうですが。

なお、MT4はリスニング用途としてのバランスであり音楽を分析的に聴きたい方には評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   XuanWu ≧ MT4 ≧ MT1 (出音の強さ)

中音   XuanWu ≧ MT4 ≧ MT1 (出音の強さ)

低音   MT4 ≧ XuanWu ≧ MT1 (出音の強さ)

ボーカル MT4 ≧ XuanWu ≧ MT1 (質感)

 

 

4. Trn MT4の総評

Trn MT4はTrnらしい良バランスの普通に良い音と云えます。低価格帯中華イヤホンの中でもトップクラスに高音質と云えます。尤もその高音質は価格なりであり解像感は相応です。それでも極端な音質傾向ではない「普通」に良い音はTrnを安心してお勧めできるメーカーと云えるのかもしれません。

MT4はTrnらしい音でまとめ、MT1の1DDからMT4の2DDへブラッシュアップすることで高音質化を図ったモデルと云えそうです。

 

最後に、今回は今年2月に発売された低価格U5000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2023年3月17日)はHiFiGoで2,000円台前半で販売し、国内amazonでは本国発送扱いの2,000円台後半となっています。海外通販でもHiFiGoの発送は早く届くのも早い印象があります。これまでの中華イヤホンの中では安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは十分満足できる内容となっておりますので、低価格帯中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、新製品を少しでも早く(安く)手に入れたい方はHiFiGoでの購入も検討してみてくださいね。

 

MT4

以下、付属ケーブル、付属白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★ (高音好きの方★4)

※☆0.51.0

 

XuanWu

以下、付属ケーブル、付属白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★ (高音強調が苦手の方★4)

※☆0.51.0

 

MT1

以下、付属ケーブル、付属イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★☆ 
中音★★★☆  
低音★★★☆ 
音場★★★☆
分離★★★☆
お勧め度★★★★  

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回はいつもの中華イヤホンの低価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後は低価格だけではなく、中価格の中華イヤホンも扱っていきます。

また、気になる商品が出ればチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

※2023/5/7 誤記修正