こんにちは。
今回はいつもの中華イヤホンではなく、日本のオーディオブランドfinal(ファイナル)の左右独立型完全ワイヤレス(Ture Wireless Stereo。以下TWS)イヤホン、ZE3000のレビューをまとめたいと思います。
国内メーカーの商品なので国内大手イヤホン専門店や家電量販店の各店頭及び、WEBサイト並びにamazon等のECサイトで購入可能です。
メーカーの商品HPはコチラ
以下メーカーHP
- 1. final ZE3000について
- 1.1. finalとは
- 1.2. final ZE3000の特徴
- 1.3. final ZE3000のスペック
- 1.4. androidスマホのaptX Adaptiveでのペアリング方法
- 1.5. イヤホン本体の操作方法
- 1.6. イヤホンのリセット方法
- 2. final ZE3000の実機について
- 3. final ZE3000の音質について
- 4. final ZE3000の総評
- あとがき
1. final ZE3000について
1.1. finalとは
finalは国内で製造販売しているポータブルオーディオメーカーです。以前同社の有線イヤホンE1000をレビューしましたが、「スマホ付属イヤホンが壊れて買い替え」、「もう少し良い音で聴きたい」、「予算は数千円以内で」というニーズに合致する国内メーカーは少なくなりました。そのため中高生は消去法で付属のイヤホンをもう一度購入される方も多いと思います。そんなニーズに応えるためfinalはE1000を発売したという記事がメディアインタビューに掲載されていました。
finalではイヤホンのEシリーズが同社の中でスタンダードなラインナップとなっています。そしてE1000はEシリーズのラインナップの中で実売2,000円のエントリーモデルとなります。同シリーズには上位にE2000、E3000がミドルモデルを担っており販売価格もそれぞれ実売3,000円弱、3,000円後半で購入できます。そしてシリーズ最上位にはE4000、E5000がありEシリーズの中ではハイクラスとなりリケーブルできるモデルとなりますが、実売15,000円、30,000円とその価格からはちょっと中高生だけでなく一般ユーザーでも簡単に購入に踏み切れないモデルとなります。尤もこのEシリーズのボリュームゾーンはE2000やE3000というfinalの定番モデルであり、E4000やE5000は終売方向の様子。というのも、2020年10月に同社フラッグシップA8000の流れを汲むAシリーズとしてA3000、A4000が登場しそれぞれ実売12,800円、15,800円とE4000と競合しています。同社としてはEシリーズとAシリーズは狙う音質が異なるものという説明ですが、一般ユーザーである消費者は価格で判断しますので、ちょっと頑張れば手が届く良い音がするイヤホンが10,000円半ばもするという事の方が重要です。
そして何よりも動画や音楽はスマホで楽しむのが当たり前になりつつある現在ではイヤホンと云えば無線接続の左右独立型完全ワイヤレス(TWS)イヤホンであり、何万円もする有線イヤホンを購入する層は「マニア」という令和の時代にこれまで有線イヤホンのEシリーズをシリーズ累計数十万本を売り上げたfinalでさえも市場の変化を無視できず、TWSをラインナップに追加せざるを得ないという事です。
企業の理屈で儲からない事業は他社に切り売りされたり、廃止または廃業したりと国内ポータブルオーディオメーカーは縮小の一途です。その中でもfinalは「音への拘り」をEシリーズ等の製品に想いを込め、ユーザーへ届けてきました。そのfinalが新たに世に出したTWSイヤホンが、今回紹介するZE3000となります。
1.2. final ZE3000の特徴
final ZE3000はこれまでfinalのサブブランドであるag(エージー)から発売していたTWSとは一線を画したモデルといえます。
これまでに私はagから販売したTWSの最初期モデル TWS01Kを初めに購入、後に後継機のTWS04Kを購入しました。加えて、finalの名で販売したコラボモデルのEVATW01を愛用していますが、これらのTWSは低音が強めながらもfinalらしさを感じられるモデルでした。それ故にコラボモデルは例外としても「final」ではなく、新たなブランド「ag」として発売されたことに納得していました。それもその筈。finalもこれらのTWSモデルの音質に納得できていなかった部分があったことを中の人が動画でその悔しさを滲ませていました。とはいえ、通勤通学等の外出時に使用するシーンを想定されているTWSでは低音がしっかりしたモデルの人気が高く、マーケティングに沿った商品だったと云えます。
つまり今回agブランドではなく、ついにfinalが「finalの名」で満を持して発売したZE3000は同社の音への拘りを今度は納得する形で商品化することができたと云えます。
それはfinalが自社のHPの中でZE3000を「最新の音響工学、音響心理学の研究成果を踏まえた音質設計。完全ワイヤレスイヤホンの新しい定番と言える製品。」と銘打っており、同社の自信のほどが窺えます。
ZE3000の特徴として大きく三つあります。
一つは新設計のドライバを採用しています。そのドライバは超低歪を実現する新設計の「f-Core for Wireless」と名付けられており、TWS用に専用設計されたものを搭載しています。「f-Core for Wireless」は同社の有線イヤホンAシリーズ、A3000とA4000で新採用された「f-Core DU」と同じ「f-Core」技術の系譜の直径6mmダイナミックドライバユニットです。
このドライバの優れたところは、従来のTWSイヤホンがソフトウエアによるイコライジングに頼った音質調整により聴き疲れしやすい音質になりがちのところをドライバーユニットの基本性能を高め、イヤホンの筐体内部の音響空間を利用したアコースティックな音質調整により、イコライジングせずに十分に満足できる音質調整をしています。そして最後の調整としてイコライジングでしかできない効果的な補正を行なっているところです。
このイコライザーによる最終調整を有効に活かす為に、高い精度の音圧周波数特性を持つドライバーユニットが必要で一般的な精度の±3dB程度を上回る新設計の「f-Core for Wireless」を開発し、超低歪を実現できたと云えます。
二つ目は筐体内部圧力を最適化する「f-LINK ダンピング機構」です。
TWSイヤホンはバッテリーや基板、アンテナ等を筐体内に全て収める必要がありますが、イヤホンとして大きくなり過ぎないようにする相反する課題があります。それら部品を小さな筐体に詰め込むため内部の密度が高くなりますし、筐体を小さくし過ぎると音質をアコースティック的な手段で調整する自由度が低くなります。
また、TWSイヤホンには防水性能が求められるため、イヤホン筐体内部の音響空間の圧力を最適化するベント(通気孔)を筐体外部に開けることができず、その影響で、ベントを持たない一般的なTWSイヤホンでは低域過多のバランスだったり、低音とのバランスを整えるために高域を強調したりすることになります。結果として、低域と高域を共に強調した派手な音色はボーカルも遠くなるなど、自然さが失われる傾向がありました。
これをZE3000では、イヤホンの筐体内部の音響空間の圧力を最適化し、筐体外部へのベント無しでも有線イヤホンと同等の音響設計を可能にする「f-LINKダンピング」機構を新たに開発、採用することでTWSイヤホンでも低音の細かな強弱を感じられる質の高さを実現しています。
つまり、ZE3000では「f-Core」技術のTWS用「f-Core for Wireless」の徹底的な歪みの低減により、他の音に埋もれて聴こえにくかった一音一音の細かな部分を明瞭に聴き分けることを可能とし従来のTWSから解像感の向上に加え、残響音が減衰していく過程を最後まで聴きとれることで、音楽の音空間の広さまでもしっかりと感じられ、「f-LINKダンピング」機構によって質の高い低音を実現し「音質」に拘ったTWSイヤホンと云えます(メーカーHPを抜粋)。
最後に三つ目ですが、ZE3000の商品性として今やTWSの機能で無視できない「無線コーデック」にQualcomm aptX Adaptiveを採用しています。aptX AdaptiveはSonyの開発した無線コーデック、LDACと同様にこれまで主流だったaptXよりも伝送量が多く、その結果、従来よりも高音質で音楽を聴く事ができます。しかし、LDACが最大24bit/96kHz、最大990kbpsに対し、aptX Adaptiveは最大24bit/48kHz、最大420kbpsとスペック上やや劣ります。しかし、実用上LDACが接続品質と音質のバランスを考慮した時に実用性能660kbps以下に抑えられるため、ZE3000のaptX Adaptiveは最大24bit/48kHz、最大420kbpsと、それにはやや劣るものの実用上同等の性能を得たことになり、従来のaptXの最大16bit/48kHz、最大384kbpsよりも最大ビット深度の違いによる音質向上が体感できます。
さて、ZE3000はfinalが有線イヤホンで培った経験をTWSイヤホンで実現する為に、従来の技術を最適化し新技術を開発することで、従来のTWSイヤホンでは妥協せざるを得なかった「音質」に拘り、新しいTWSイヤホンの定番を目指したモデルと云えます。その販売価格は15,800円とTWSイヤホンの中では1万円超~2万円以下のミドルクラスとなりますが、ちょっと良いTWSイヤホンという市場のボリュームゾーンではプロモーションさえ間違わなければ同社のE2000、E3000の様にロングセラーモデルに成り得るかもしれません。
1.3. final ZE3000のスペック
それではfinal ZE3000のスペックを詳しく見ていきます。
■主要スペック(final商品ページ抜粋)
ZE3000 | 国内S社 | |
---|---|---|
音域ドライバ |
6mm 特殊樹脂ドライバ (f-Core for Wireless) |
6mm ダイナミックドライバ |
高音質化技術 | - | DSEE Extreme |
Bluetoothバージョン | 5.2 Class 不明 | 5.2 Class 1 |
コーデック |
SBC、AAC、aptX、 aptX Adaptive |
SBC、AAC、LDAC |
ノイズキャンセル | - | 〇 |
ヒアスルー | - | 〇 |
360 Reality Audio | - | 〇 |
アプリ対応 | - | 〇 |
連続再生時間 |
イヤホン:最大7時間
|
イヤホン: 最大8時間(NCオン) / 最大12時間(NCオフ) 充電ケース: 最大24時間(NCオン) / 最大36時間(NCオフ) |
防水 | イヤホン本体:IPX4 | イヤホン本体:IPX4 |
満充電時間 | イヤホン:約1.5時間 ケース:約2時間 |
イヤホン:1.5時間 ケース:約3時間 |
高速充電 | 非対応 | 5分充電で60分使用可能 |
イヤホン重量 | イヤホン:5g(実測) ケース:41g(実測) |
イヤホン:7.3g ケース:41g |
参考に国内メーカーS社の昨年発売されたLDAC対応TWSのスペックを併記してみました。
二つの機種はスペックが大きく異なり、音質に影響のある搭載ドライバと無線コーデックの違いだけではなく、機能面でも差があります。所謂全部盛の国内S社は実売価格が20,000円後半のハイクラスモデルとなりますし、最近のTWSに求められる音質以外の機能性、所謂ガジェット性能を重視する市場ニーズに対応しています。
販売価格がZE3000の15,800円(公式ストア)に対し、国内S社は33,000円(公式ストア)と倍以上と高価になります。実売価格でもZE3000の15,800円に対し、国内S社は28,000円と昨年前半に発売された国内S社の商品は5,000円程値下がりしていますが、ZE3000は発売開始時期が半年遅れの昨年12月と違うもののそれでも7割ほど高価です。ZE3000の価格帯は各社のTWSミドルクラスモデルが犇き合うボリュームゾーンであり、従来はTWSハイクラスの専売機能だったアクティブノイズキャンセリング(以下ANC)やヒアスルーを搭載したモデルも登場しています。ですがそれらは「高音質」を謳うもののハイクラスの音質と比較すると見劣りするのも事実。その「高音質」は「従来製品と比べて=当社比」というもの。それだけでは売れないとなれば、ガジェット機能を備えた商品性に活路を見出していますが、肝心のANC性能は一段も二段も劣るものが多いです。そしてガジェットっぽさの演出としてスマホアプリと連携させて便利さをアピールしていますが、イコライザーが使えたり現在の設定を視認できる程度のもの。その程度の機能を毎度使用する度にアプリを開いて…なんて使うとは思えません。個人的に音質に自信の無いメーカーが多機能を売りにした「ガジェット」として販売しているという印象です。
そういう意味でZE3000はTWSのミドルクラスの中で本質となる「高音質」を謳った商品となりますが、ユーザーニーズであるガジェット性能は劣ります。ANCもアプリ連携も潔く捨てたZE3000はイヤホンの本質である音楽を高音質で聴く事ができるTWSイヤホンであり消費者に偽ることの無い商品と云えます。
ガジェット性能は国内S社の商品がハイクラスモデルに相応しく圧倒的となります。しかし、私の様にどちらも所有したり他にも複数所有している方はマニアに属するのでしょうし、シーンに応じて使い分ける…なんて考えないのが普通です。そのため、一つだけを選ぶとなれば「何方が良いか?」は用途に応じてお勧めは変わってくると思います。
ZE3000はBluetoothバージョン5.2(Classは不明ですが、恐らくClass1)を採用し省電力と接続安定性が高くなります。androidスマホでaptX Adaptive音質優先(420kbps)で接続した場合でも通信は安定していてリビングにスマホを置きイヤホンを装着したまま家事を行ったり壁を隔てた部屋間の移動でも途切れることはありませんでした。また、いつも通り屋外での使用テストとして政令指定都市駅構内や電車内等では一瞬途切れることがありましたが、殆ど途切れることはありませんでした。余談ですが、国内S社のノイキャンTWSとandroidスマホのLDACのベストエフォート接続(330-990kbps間で自動調整)でも殆ど途切れることはなく、通信品質は安定しています。
ZE3000はiPhone等のiOS端末の場合、AAC接続となりますが、実は接続品質は一番安定している印象です。経験上最も優れている認識で、先述の条件では屋内は全く問題ないのものの、屋外では人混みや電車内で稀に一瞬途切れる程度です。
また、連続再生時間は接続コーデックにより変化します。そのため公称よりはやや短めとなりますが、最新のTWSとして十分な実行時間となります。尤もこれは使用環境、条件により変わりますので参考程度にお願いします。
次に待機時間や充電時間ですが実際に半月以上使ってみた印象として充電時間はほぼスペック通りと感じましたが、私の環境では音楽再生がやや短く感じ、スペックの7-8割程度だと思います。とは云え、家で動画を観たり通勤往復でも十分ですし、会社についたら充電してしまえば実用上問題ないです。実際のところメーカー公称時間とユーザーの実行時間として、これは他のメーカーでも云えることですので有効使用時間として問題なく、十分に満足できます。
※Sony Xperia 5 IIの設定>音設定メニュー画面
ZE3000に限った話ではありませんが、初めて接続したTWSの音量が大きすぎる場合があります。その場合ですが、androidの設定>音設定メニュー、メディアの音量を調整し本体の音量調節ボリューム調整で予め下げておくことをお勧めします。また、通常Bluetooth接続機器とスマホ本体の音量調整は連動しており機種によっては1メモリの調整幅で大きくなり過ぎたり、小さくなり過ぎたりと音量調整で困ることがあります。これに対応できるのが前述の「(Bluetoothマーク)メディア」の音量調整です。ポイントはスマホ本体のボタンではなく音量バーを「スワイプ」で調整し好みの音量に微調整します。
FW1000Tの充電は付属のケーブルをケースのUSB タイプC端子を接続し市販のUSB-A充電器で行います。
イヤホン本体の充電残量の確認はケース本体のLEDの点灯により確認できますが、分かり易いのはスマホ本体での確認です。
※Sony Xperia 5 IIの設定>機器接続メニュー画面
androidスマホではBluetooth等で接続した機器のメディアデバイス一覧に現在接続している機器が表示されますが、その中でバッテリー残量の確認ができます。
次にケースの充電状態はケース正面のLEDにより充電ステータスが分かります。
充電中はLEDが残量に応じて点灯します。
- 10%未満・・・LEDが赤色点灯
- 10-99%・・・LEDが黄色点灯
- 100%・・・LEDが緑色点灯
イヤホンの充電中はイヤホンのLEDがにより充電ステータスが分かります。
充電中はLEDが残量に応じて点灯します。
- 0-99%・・・LEDが青色点灯
- 100%・・・LEDが消灯
購入後、最初に満充電にします。充電が完了したらいよいよandroidスマホとのペアリングです。基本的に取説通りで問題なくペアリングを行えます。
ここではandroidスマホを例にペアリング方法を説明します。
1.4. androidスマホのaptX Adaptiveでのペアリング方法
基本的に難しいことはありません。以下の手順でペアリングを行います。
- 最初にandroid OSの開発者向けオプションを有効にする。
- androidスマホのBluetoothを有効にする。
- 充電ケースからZE3000、イヤホン左右をケースから取り出す。
- androidスマホの設定>機器接続>新しい機器とペア設定するメニューを選択すると接続機器のリストに「ZE3000」が表示されますのでそれを選択するとペア設定完了です。
- 2回目以降は自動的に接続します。自動的に接続しない場合は以前接続した機器リストに「ZE3000」が表示されていますのでそれを選択する。
- メディアデバイスが「ZE3000」を表示していれば接続完了です。
androidスマホの画面右上のBluetoothマークの両サイドに小さな点が付けば完了。
※必要に応じ最初に開発者向けオプションでBluetoothオーディオコーデックをaptX Adaptiveを選択してください。Xperia 5 IIの場合、自動で選択されます。
※aptX Adaptiveでペアリング成功した画面表示
※開発者向けオプションのBluetoothオーディオコーデックがaptX Adaptiveになっていることを確認
基本的に一度ペアリングすると接続機器リストに表示されますので次回以降はZE3000をケースから取り出す(電源を入る)と自動的に接続します。
自動的に接続できない場合は前述の以前接続した機器リストから選択してください。
上手くいかない場合、一度androidスマホからZE3000の接続の登録を削除して最初から実施しなおしてみてください。
次にイヤホン本体の操作方法の説明です。
1.5. イヤホン本体の操作方法
※Xperia 5 IIとペアリング済で検証
- androidスマホのBluetoothを有効にする。
- ZE3000をケースから取り出し自動的にペアリングモードに移行し接続開始。
- androidスマホの画面右上にBluetoothマークの左右に点が付けば接続完了。
- androidスマホでミュージックアプリを起動し聴きたい曲を選択し再生する。
- イヤホン右側/左側の何方かを1回タッチで再生停止。もう一度1回タッチすれば再生します。基本的に1回タッチ毎に再生/停止を繰り返します。
- 再生停止中にイヤホン右側を電子音が聴こえるまで長タッチし離すと次の曲へ進みます。
- 再生停止中にイヤホン左側を電子音が聴こえるまで長タッチし離すと前の曲に戻ります。
- 再生中にイヤホン右側を電子音が聴こえるまで長タッチし離すと次の曲へ進みます。
- 再生中にイヤホン左側を電子音が聴こえるまで長タッチし離すと曲の頭に戻ります。
- 再生中/停止中にイヤホン右側を2回タッチで音量アップ。
- 再生中/停止中にイヤホン左側を2回タッチで音量ダウン。
- 着信中にイヤホン左右の何れかを1回タッチで通話開始。
- 通話中にイヤホン左右の何方かを電子音が聴こえるまで長タッチし離すと通話終了。または左右のイヤホンをケースに収納すると通話終了。
- 着信中にイヤホン左右の何方かを2回タッチすると着信拒否。
- 再生停止中又は着信及び、通話をしていない時にイヤホン左右の何れかを3回タッチするとスマホのアシスタント機能オン。(あらかじめスマホ側でアシスタント機能を有効にしておく必要があります)
- 使い終わったらケースに戻すとイヤホンの電源がオフになります。
- androidスマホとの接続が解除される(androidスマホの画面の接続ステータスが消える)。
- androidスマホのBluetoothをオフにする。
プレイヤーをandroidスマホとした場合の音楽再生にかかわる主な操作方法を抜粋し検証した方法をまとめてみました。基本的に他のandroid搭載DAPでも操作方法は同じです。(接続する機種によって一部機能が対応していない場合があります)
最近のTWSは音楽再生等の機能操作を全てコントロールできますし、ハイクラスTWSでは勿論のことミドルクラスでも必須となってきています。数年前までのTWSでは音量調整ができない、曲送り、曲戻しができない等の操作機能制限があったり、タッチ操作の感度(反応)が悪いなんて機種もありましたが、ZE3000はその点に心配はありません。
タッチ感度は良くやや敏感なので初めてTWS使う方は少し慣れが必要かもしれませんが、問題なく使えるレベルです。注意点としては各社のTWSの操作方法が異なり統一されていないので、他にも所有している場合にZE3000はイヤホン左右に割り当てられた機能、タッチ回数が比較的分かり易くなっていますが、スマホに取説の操作方法を画像で持っておくか、Web取説をブックマークにしておくことをお勧めします。
なお、国内S社のTWSではアプリで操作方法を確認できますし、左右の操作方法を一定のカスタマイズができます。加えてANCの効きも調整できる等、ガジェット性能としても優秀ですので流石ハイクラスです。
まとめるとZE3000の接続は簡単でスムース。イヤホン本体ですべての音楽再生機能操作も行え実用的です。そして、何よりも音が良い。正直ハイクラスと遜色のないレベルです。確かに外音をシャットダウンするANCや外音を取り込めるヒアスルー機能もありません。機能があれば便利なのは間違いないです。それにアプリ連携もありません。個人的には音が良いのでミドルクラスのTWSとして全く問題ではないのですが、他社のミドルクラスはガジェット性能を売りにしている商品が多く、商品としてのユーザーへの訴求力は他社に一歩譲るのかもしれません。
最後にイヤホンのリセット方法も説明しておきます。
何故にリセット?と思われるかもしれませんが、実はよく検索されている「ワード」だったりします。
1.6. イヤホンのリセット方法
- 電池残量が十分な充電ケースに左と右のイヤホンを収納します。収納したイヤホンの左と右を同時に10秒以上タッチセンサー部を触れ続けます。左と右のLEDが同時に紫色に点滅しますので、点滅したら離します。
- 一定時間が経つと自動的にスマホ等とのペアリングモードに移行します。ペアリングモードでは片側のイヤホンはLEDが青色、赤色と交互に点滅します。この状態になるとリセットが完了しています。
- リセットが完了し出荷時の状態に戻ったイヤホンは記憶されているペアリング情報も削除されています。そのため、スマホ等に残っている登録を削除し、再度ペアリング登録を行います。
動作がおかしいなと思ったらスマホから登録を削除してイヤホン本体をリセットを先ずお試しください。
因みに、これは技術者目線の余談です。ZE3000に限りませんが、初期化と同様に大切なのはTWSのバッテリー残量をあらかじめandroidスマホ画面で確認しておくことです。
- TWSの充電が少なくなった際に直ぐに充電をする。
- 充電が20%以下にならないように管理する。
- 過放電は絶対にダメ!
これは過放電はバッテリー劣化を早め寿命を短くしてしまうからです。特にTWSに搭載されるバッテリーは容量が小さく、愛機は長く大切に使いたいものです。
2. final ZE3000の実機について
それでは、ZE3000の実機レビューを以下、まとめていきます。
白を基調とした化粧箱です。
無駄のないパッケージング。外側の白に対し箱の中を黒としたシックな化粧は無駄がありません。
次にパッケージの中身を。
※充電用USBケーブルは卓上では必要十分の長さ
付属品はfinalの「TYPE E 完全ワイヤレス専用仕様イヤーピース」がSS、S、M、L、LLの5種1セットでLサイズが本体取付け済み。他にはUSBタイプC-タイプA充電ケーブルです。必要十分の付属品です。
イヤーピースは本体色に合わせられており、本体色黒色には黒色イヤーピース、本体色白色には白色イヤーピースが付属します。
取扱説明書は安心の日本語の他、多言語対応。イヤーピースの取説?も付属しています。
それでは実際にイヤホンを見てみましょう。
先ずはケースから。
※ケース蓋にfinalロゴ
※イヤホンのタッチセンサー部にfinalロゴ。友情出演のぺんぎん?
※ペンギンがケースが倒れないように支えてくれています
ビルドクオリティは申し分なし。ケースの表面はレザートン処理により微細な傷を目立ちにくくすると同時に高級感があります。カラーバリエーションは黒色と白色の二種です。
注意点を一つ。ケースの蓋を開けると自立しない事。蓋を開けているときは横倒しになりますので、イヤホンを収納するときに少々面倒です。
次にイヤホン本体です。
イヤホン本体はTWSとしては比較的コンパクトとなりますが、他社のTWSよりもイヤホン本体で耳にフィットさせられ、イヤーピースのみで保持し収めるタイプよりも圧倒的に装着感が良好です。
シェル本体は樹脂製で軽量に仕上られており、ケース同様に表面をレザートン処理しています。ステムノズルにはメッシュフィルターがあり異物の混入による故障を防げます。
シェル本体の形状は内側から見ると同社のAシリーズに似ていますが、外側のフェイスプレート側はオリジナルデザインです。装着感はTWSとしてかなり良好。付属品イヤーピースも5サイズありますので安心です。もしも合わない場合は他社のTWS用であればケースにも余裕があるので問題なく仕舞えると思います。
※左からSS、S、M、L、LL
※左付属タイプE TWS Mサイズ、右タイプE Mサイズ
付属タイプE TWSイヤーピースは同シリーズのTWSタイプです。もちろん有線イヤホンにも問題なく使用できますが、通常のタイプEよりも開口部が大きく傘が従来よりも柔らかくて軸が短くなります。殆どの場合、傘が柔らかめなこともありフィットしやすいです。しかし軸が短いことから通常のタイプEの耳奥に栓をする装着とは異なり、普段よりも1サイズ大き目で耳に浅めに蓋をするような装着がお勧めです。どちらが正しい訳ではなく、自分に合った装着を見つける事が大切です。
付属のイヤピは音質的にバランスが良いので、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。
幸いなことに私はこの付属イヤーピースで耳の奥にやや浅めに栓をするように装着し、上手くフィットできました。恐らく、イヤホン本体で支える耳へのフィット感が良好なことも好影響なのだと思います。
余談ですが、Sedna EarFit(shortではない)は軸が長めで傘がやや硬めなこともあり、最近一周回ってなかなかフィットしない場合に重用しています。軸の長さは装着位置に影響があるので、フィット感に重要なポイントとなります。
この様にイヤホンではイヤピが重要です。上手くフィットできないと装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)
それではZE3000と他製品との比較をしてみます。
※左からfinal A3000、final ZE3000
流石に有線イヤホンのA3000が二回りぐらいコンパクトです。ZE3000にはバッテリーが搭載されていますので大きいです。
重量はZE3000の方が重くなりますが、他社TWSと比較すれば軽いです。耳への装着時には他社TWSよりもその重さを殆ど感じません。
次にステムノズルはA3000もZE3000も短め。太さは標準的。その為、ステムノズルの太さに影響するイヤーピースの圧迫感は殆ど感じません。付属のイヤーピースの柔らかい傘と相性は悪くありません。イヤーピース選択をしっかりできれば問題なく使えそうです。尤も耳の小さな女性や子供を除き、殆どの方で不満を感じることはないのではと思います。
また、これらにはステムノズル先端端面にメッシュフィルターが装備されていてシェル内部への異物混入が防げますので、長期の使用にも耐えることができます。
今回付属イヤーピースが本体に合わせて黒色ですが、手持ちのタイプE TWS Mサイズ白に交換しています。以前比較した際に黒色よりも白色の方が中高音がよりクリアに感じたことと、本体黒色に白色イヤピの方が見た目が好みという理由です。まあ見た目が殆どの理由です。
3. final ZE3000の音質について
それではいよいよ音質についてまとめていきます。
今回の再生環境はandroidスマホのSony Xperia 5 II、Bluetooth コーデックaptX Adaptive接続です。
実際に聴いてみます。
ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳をとじて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。
先述の通りイヤピは付属品のカラーバリエーションである手持ちのタイプE TWS Mサイズ白を使用しています。
箱出しで聴いてみた第一印象は「低音は控えめ。全体的に音の響きが良く、解像感のある整った音。ボーカルは自然で聴きやすい」でした。これまでのag TWS04K等の音づくりとは全く違うという印象です。また発売時のメディアレビューで「E3000の音をTWSで目指した音」という記事を読みましたが、実際に聴いてみるとそれとは違うというのが率直な感想です。ZE3000は中高音が彩のある音、E3000はもう少し低音寄りに感じます。
一先ず鳴らし込みを兼ねて数週間聴きこみました。鳴らし込み後は、低音域が締まり解像感を感じやすい音に。相対的に高音はよりクリアに聴こえやすくなりました。
音場は普通ですが左右の広さを感じる音。他社ミドルクラスの狭い空間に音圧を感じるドンシャリとは異なります。
低音は一聴して控えめ。量感は少な目ですが響きの良さ、音の輪郭と強弱を感じ易く、解像感の高い音は音圧で誤魔化そうとしていない質の高さを感じます。ベースラインは控えめですが追えます。重低音の沈み込みは深さがあませんが、TWSとしては芯の強さを感じます。
高音は煌びやかさがあり華やかさがありますが、常に前に出るような主張の仕方ではなく柔らかさのある美麗で彩を感じる鳴り方。決して中低音に埋もれる事は無く必要な時に必要なだけしっかりと主張しますが、尖りや刺さりは感じません。
中音は凹みを感じず、左右に空間の広さを感じ見通しの良さがあります。華やかに鳴りますが音がごちゃつかず整理された音は解像感が良好ですっきりと聴きやすい。
ボーカルは暖かさを感じ艶やかさがあり自然な位置からクリアに聴こえます。
一言で云えばやや中高音寄りのフラットに近いバランスです。
TWSではその性質からドンシャリ傾向が強い機種が多く販売されています。ミドルクラス以下は特に顕著です。確かに一聴して程良いドンシャリは聴きやすさがありますので、その音圧で良い音という認識してしまいますが、普段有線イヤホンで耳の肥えたポータブルオーディオ好きにとっては、過ぎたるは猶及ばざるが如しです。ZE3000は普段有線イヤホンをその音質の良さから好んで使っている方にも納得いただける音と云えそうです。
ZE3000の特徴として、やはり高中音域。それでも所謂ドンシャリのシャリが強いだけの音とは異なり広がりのある音は響きが良く、見通しの良さがシャャ~ァン~と鳴り、すぅ~っと小さく消えいる様を感じられます。これは同社の有線イヤホンE3000よりも伸びの良さを感じます。尤も、E3000というよりはやはりA3000、A4000の方が近い印象。強いて云えば中高音寄りのA4000に最も近いのですが、A4000の聴こえ方は音の広がりというか、響きがちょっと不自然に感じてしまい、これこそが過ぎたるは猶及ばざるが如し。
個人的に中低音寄りですが自然な音がするA3000しか使っていません。Aシリーズはトランスペアレントの音というfinalの拘りを実現したモデルです。このZE3000もそれに沿った音づくりという印象です。
一方、中音域は空間が左右に広さがあって鮮やかさのある音。音の輪郭や強弱を掴みやすく解像感が良い音は演奏とボーカルの分離が良く、映えます。
低音は量感は控えめですが、解像感があり響きの良さがあります。音の強弱も聴き分けられ輪郭も掴みやすいです。その分、圧倒的な強さだったり頭の中で響くような低音ではないので、物足りなさを感じるかもしれません。
加えてZE3000の音場は同社のA3000と比べても遜色のない広さを感じ、TWSのミドルクラス以下の他機種で感じられる空間の狭さはありません。他社がドンシャリでボーカルを強調させる為に結果として空間が狭くなるのとは一線を画す音と云えます。ここがfinalが他社とは違い音に拘ったという商品説明に繋がり、体感できたところですね。
さて、音楽は低音域が上の音域を支えることで全体の風景を見渡すことができたり空間を想像しやすくしてくれます。それが高音域に曇りを感じたり中音域に籠りを感じたりしますが、ZE3000では低音域は適度。高音域は見通し良く中音域もすっきりと鳴りますので、音が重ならずダマにならず解像感の高い音を楽しめます。
尤もこれはaptX Adaptive接続でのお話。
iPhoneでも試しましたが、AAC接続とのコーデックの差はあきらか。中音というか真ん中に集まる音はやや平面的に聴こえ中高音の繊細さや低音の表現力は一段以上も下がります。同じ曲を有線イヤホンとワイヤレスイヤホンで聴いたときに感じる音の薄さ線の細さを感じ難く抑えられています。
本当に普段Apple Musicを(ハイレゾ)ロスレスでは無く標準のロッシーでAirPodsシリーズを使って聴いている方に普段聞いているお気に入りの音楽をただ単にZE3000に換えて聴いてみて欲しい。きっと新たな世界への入口を見つけることになると思います。その世界が貴方のこれからの人生に彩をもたらしてくれるかもしれません。
最後に、昨年発売されたSonyのLDAC接続に対応した最新TWS、WF-1000XM4をLDACの音質優先で接続し比較した場合、全体的な音の濃さは遜色ありませんが、XM4の方が音の塊感があり音場の広さではZE3000に分がある印象。そうなのです。そもそもWF-1000XM4はSonyの音。基本ドンシャリの音でグルーブ感のある音です。これは簡単に云えば音楽を楽しく聴くという目的に沿った音ですので、それは音質の良し悪しではなく、メーカーの音づくりと理解した上で、個人的な好みを敢えて言えばZE3000の方が普段使っている有線イヤホンの好きな音に近い音だと思います。
とは云え、WF-1000XM4はZE3000よりも強い低音としっかりと鳴る高音は決して雑に鳴らす訳ではなく、音楽をノリ良く聴くことができ、心地良く楽しませてくれる音は分かりやすく高音質と云えます。XM4の様グルーブ感のある音が好きな方もいると思いますので、TWSとしてどちらが高音質なのかは結局の個人の嗜好に委ねる部分であり、どちらも高音質と云えると思います。
まとめると、ZE3000は中音≧高音≧低音のフラットに近いバランス。Sony WF-1000XM4は低音≧高音≧中音のドンシャリバランスとそれらの音質傾向はやはり違うと云えます。加えて接続コーデックの差は現在従来のAACやaptXよりも圧倒的にaptX Adaptiveは高音質。これは特に音の濃さの違いとして感じやすく、LDACやaptX Adaptiveが24bitに対応しているアドバンテージは大きく、最早高音質を謳うミドルクラス以上はaptX AdaptiveやLDACの対応が必須というところに来ています。
※宜しければVictor HA-FW1000Tのレビューもご参考ください
※レビューの記念にA8000とZE3000
4. final ZE3000の総評
final ZE3000はスマホで音楽を楽しんでいる、特にandroidスマホユーザーがもっと良い音で聴きたいというニーズに1万円半ばで応えられる有力な候補となる商品とまとめました。
尤も音質に振った分、ガジェット性能は皆無ですが。TWSのミドルクラスとしては一歩他社に譲る部分もありますが、本当に音質の良いTWSを探しているユーザーやfinalの音づくりに共感するファンには同社Aシリーズユーザーがサブで手軽に使いたいときにお勧めできます。
最後に、今回は中価格帯10,000円超-20,000以下の高音質TWSイヤホンの紹介となりました。現在(2022年4月16日)は15,800円でイヤホン専門店等、有名家電量販店通販サイトなどでも販売しています。TWSでも音質に妥協したくない。音質の良いTWSの購入を考えていて少しでも気になった方は安心確実なイヤホン専門店での視聴を是非よろしくお願いします。
ZE3000
以下、イヤピ タイプE TWS Mサイズ、androidスマホ、aptX Adaptive音質優先
高音★★★★☆
中音★★★★☆
低音★★★★☆
音場★★★★☆
分離★★★★
お勧め度★★★★★ (aptX Adaptive環境の無い方★4)
※☆0.5、★1.0
国内S社XM4
以下、イヤピSedna Earfit short MSサイズ、androidスマホ、LDAC音質優先
高音★★★★★
中音★★★★☆
低音★★★★★
音場★★★☆
分離★★★☆
お勧め度★★★★☆ (ガジェット性能重視の方★5)
※☆0.5、★1.0
あとがき
今回はTWSのミドルクラスモデルのレビューしてみました。無線コーデックの進化によりTWSでも良い音が身近になってきていると思います。しかし音質も良くガジェット性能の高いTWSはやはり高価です。だからこそ各メーカーにはミドルクラスモデルは音質に特化して欲しいと思います。中途半端なANCやアプリは購入者を馬鹿にしていると私は感じます。結局ハイクラスに買い替えることになる。売れればよいというメーカーはいずれ行き詰まります。歴史がそれを証明していますから。
今後も気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ