みぃねこの備忘録

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Trn Rosefinch レビュー

こんにちは。

今回はいつもの中華イヤホンレビュー編として、中価格A5000-U10000帯で発売された平面磁気駆動ドライバモデルのTrn Rosefinchについてレビューをまとめたいと思います。

国内amazonのHiFiGoで取扱があります。

 

 

US amazonはコチラ↓

www.amazon.com

 

AliExpressでも取扱があります。

 

ja.aliexpress.com

 

HiFiGoサイトはコチラ

TRN Rosefinch 12 mm Planar Magnetic Driver In-Ear Monitorshifigo.com

 

 

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1. Trn Rosefinchについて 

Trn Rosefinchは中価格A5000帯中華イヤホンの平面磁気駆動ドライバモデルとして今年3月に新発売されました。

Trnの平面磁気駆動ドライバを採用したモデルと云えば以前レビューしたKirin(麒麟)やXuanWu(玄武)があります。Kirinは14.5mm径の平面磁気駆動シングルドライバ(1PD)モデルで販売価格が約15,000円とA10K-U20Kの中価格帯。もう一つのXuanWuはバランスドアーマチュアドライバ(BA)1基と1辺が10mm四角形の平面磁気駆動ドライバ(SPD)1基の1BA+1SPDハイブリッドドライバモデルで販売価格は約4,000円とU5Kの低価格帯のラインナップです。今回新発売されたRosefinchは12mm径の平面磁気駆動ドライバを1基搭載するシングルドライバモデルです。販売価格が約6,000円とA5K-U10K中価格帯となり、今回のRosefinchの登場に依って同社の平面磁気駆動モデルの低価格から中価格帯のラインナップが揃ったことになります。

Trn以外にも低価格帯やU15Kまでの中価格帯で平面磁気駆動ドライバモデルを発売しているメーカーはありますが、Trnの様に低価格から中価格までに一通りラインナップしているところは多くありません。これは以前のレビューでも触れた通り同社が低価格U5Kから高価格A30K帯迄の幅広いラインナップを持っており、従来のビジネスモデルから脱却しポータブルオーディオメーカーとして今後も成長していく意思を感じます。そして何よりも、それらは普通に音質の良いモデルが多く中華イヤホンファンから一目置かれるメーカーと云えます。

 

そのTrnがA5K-U10K中価格帯に発売したRosefinchには他社で主に採用されている14.3mm径でも自社Kirinの14.5mm径や自社XuanWuのSPDでもなく、12mm径の新型平面磁気駆動ドライバを採用しています。このRosefinchでも「普通に音が良い」という評価を得られるのか?これは気になります。

 

※Rosefinchのf特(メーカーHP抜粋)

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メーカー発表のf特を引用し音質を想定してみます。グラフからは高音域にピークがあり、7k付近に最大ピークがあります。そこから10kまで下降し15k付近に掛けて上昇し第二ピークとなります。音域全体を見ると中音域が凹みがありますが、フラットなf特性となっています。

 

※CCA PLA13のf特(メーカーHP抜粋)

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次に同じKZ系ブランドのCCA PLA13では高音域は2kと3kの間にピークがあり、そこからやや右下がりのグラフです。10k付近はそれ程抑えられておらず、2K-3Kのピークからの右肩下がりの群の中に収まっています。これだけ見ればPLA13の高音域が派手に鳴ることを想像してしまいますが、実際には華やかではあるが過度な鳴らし方ではなく適度に抑えられた大人の鳴り方。そして低音域には最大ピークがあります。音域全体を見ると中音域が凹むよくあるドンシャリサウンドのf特性となっています。

f特だけで出音は語れませんが、実際に聴いてみると低音域はしっかりと鳴り高音域には強いピークのないドンシャリ傾向のサウンドです。

 

※Trn Kirinのf特(メーカーHP抜粋)
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最後にTrn Kirinのf特です。価格帯が一クラス上のモデルとなります。Kirinのf特とRosefinchのf特はピークの位置など全体的に同傾向の印象を受けるものの、厳密に云えば高音域の最大ピークの発生する周波数が7k付近のRosefinchに対し、Kirinの2Kと異なります。Kirinはステムノズルフィルタ交換が可能でありフィルタにも依りますので一概には云えませんが。Rosefinchの方が高音域を強調している様な印象を受けますが、実際に聴き比べてみるとやはり違います。全体の印象は似ていますが、Kirinの高音域の繊細さと低音域の質感は流石の中価格A15000-U20000帯モデルと云えます。全体では高音やや強めのフラット寄りのドンシャリですが、解像感の高い高音域は華やかでありながらしつこさの無い繊細な音は耳障りの無い一クラス上の音質を感じられます。

 

まとめとして、これまでにも触れた通りf特は出音の参考にはなりますがそれで音質が分る訳ではなく聴いてみて音質を評価するべきだと個人的に考えています。それは実際に聴いてみたKirinとRosefinchに対し、PLA13は似て非なるものと云えるからです。また、Rosefinchの高音域はkirinとは価格帯による差異を感じられます。これはそもそもメーカーが狙う音が違うというのは想像に難しくありません。

 

では、Trn Rosefinchのスペックを確認します。平面磁気駆動ドライバ(PD)1基を片側に搭載したシングルドライバ構成のモデルです。このPDには新型12mm径の超薄型ダイヤフラム平面磁気ドライバを搭載、高音から低音域の全ての音域を担います。RosefinchのPDは従来のPDとは異なり、円錐形のダイアフラムではなく、平面の超薄膜2μmダイヤフラムを採用し、より高速な応答速度と広いサウンドステージを備え、鮮明なサウンドを達成しています。また、12mm径PDに両面ネオジムN52-basedハイパワー磁気アレイ構造を採用し、 高出力の磁力によってダイアフラムコイルの応答性を高め、歪みの少ないクリーンでリッチな高密度サウンドを実現しています。

次にイヤホン本体にはステムノズルが金属製。シェル本体に樹脂製、フェイスプレートにはアルミニウム合金を採用しセミオープン仕様です。全体的に高級感のある外観となっています。

最後に付属ケーブルです。高品質銀メッキ銅線と無酸素銅(OFC)線の4芯混合編込線を採用し、プレイヤー側のプラグを交換可能としたPCSケーブル3.5mmステレオミニ仕様としています。これは同社の上位モデルで採用しております。もっと云えば先日レビューしたTA3と同じケーブルですが、Rosefinchでは3.5mmプラグのみ付属しています。元々中華ケーブルメーカーの利点を活かしたものとなっております。中華イヤホンメーカーでは付属ケーブルはリケーブル前提で質を落としコストカットしているところもありますが、同社では付属として必要十分な高品質線材を採用しています。

 

※宜しければ過去記事もご参考ください

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Trn Rosefinchの納期として今回HiFiGoでオーダー、1週間強で届きました。現在(2023/3/29)は国内amazonはProme扱いとなっています。昨今、HiFiGoやAliExpressで購入し本国発送の場合でも以前の様な遅延は少なく、ほぼ回復したと云えます。尤も、万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかるのが、海外通販のリスクです。

そんな訳で一般的に海外通販での購入は国内通販で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが偶に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットがありましたが、最近では円安でその恩恵も受け難く、国内では入手できない商品を早く手に入れる事がメリットと云えます。それらを天秤にかけた場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. Trn Rosefinch実機レビュー 

それでは、実機レビューを以下、まとめていきます。


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パッケージングは白を基調とした商品名とイヤホンイラストがプリントされたスリーブタイプの化粧箱です。

 

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スリーブを外すと内箱の黒地の台座にイヤホンが収納されています。

下側には付属品が収納されています。

 

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付属品は2種のシリコンイヤーピースS、M、Lの2セットに加えTrn新型イヤーピースT-earのMサイズ黒軸1ペアの計3種。その他はケーブルです。中価格A5000帯として十分な付属品となります。

 

次にイヤホン本体を見ていきます。

 

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ビルドクオリティですが、中華イヤホンで心配されるような雑なところ感じさせません。低価格帯でよくあるシェルの合わせ面等のズレや隙間は無く綺麗に仕上がっています。

カラーバリエーションは黒色のみ。

 

次にケーブルをみていきます。

 

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付属ケーブルは銀メッキ銅線と無酸素銅(OFC)線の4芯編込み混合線。被覆が茶色と銀色のミックスカラー線です。プレイヤー側コネクタはプラグ交換システムのI字プラグタイプ3.5mmステレオミニのみ。イヤホン側はKZ-Cタイプ2ピン仕様。極性はKZと同じ上側がプラスです。この付属ケーブルは被覆の見た目に反して取り回しは良好です。多少引っ掛かりがありますが、タッチノイズは殆ど感じません。肝心の耳への装着性や使用感は悪くありません。イヤホン側コネクタ付近にはシュア掛け用にチューブで癖付けされています。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、私はこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

続いて他機種とのサイズ感や造形の比較です。

 

※画像左からTrn Kirin、Trn Rosefinch、CCA PLA13

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RosefinchとKirinは同じ造形で、PLA13は比較的オーソドックスな造形です。RosefinchとKirinが丸みを帯びた造形のため、PLA13の一般的な造形と少し異なりますがサイズ感は丸みのあるRosefinchとKirinの方が大きく見えてしまいます。Rosefinchは比較的軽量となり、装着時にはその装着感の良さもあり殆ど重量を感じません。

また、RosefinchとKirinはステムノズルが金属で、PLA13はステムノズル一体型樹脂シェルです。フェイスプレートもRosefinchとKirinとPLA13の全て金属製となり、シェル本体がKirinのみ金属となり、オール金属。RosefinchとPLA13は樹脂と金属のハイブリッドです。

ステムノズルの長さや太さと角度はRosefinchとKirin(ステムの種類によります)が同じ。PLA13が僅かに寝ています。PLA13とKirinが太く、Rosefinchはそれよりも細くなります。

また、ステムノズル部には三機種全てにフィルターがあり異物混入による故障を防げます。Rosefinchは繊維フィルタを採用しPLA13同様のタイプ。Kirinは金属フィルタとなりますが、交換式ノズルであり長さが選択可能。こちらも音質に影響があるタイプです。

そして、シェル本体の形状と付属ケーブルからは三機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、装着感はステムノズルの長さや太さに影響がありますので、イヤーピースのフィッティングは重要となります。

 

最後に付属イヤーピースです。

 

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付属イヤーピースは音質の好みで使い分け可能な3種のタイプです。注目は新型T-ear Tipsイヤピです。某メーカーのイヤピを彷彿させるもの。傘はしっとりと柔らかい中にコシもありフィット感は良好です。音質的には高音域をやや減衰させるタイプです。

黒傘はく高音と低音をしっかりさせるバランスタイプ。白傘は開口部が大きく、中高音域をクリアにするタイプです。

音質的には好みにもよると思いますが、白傘タイプが個人的にはしっくりきました。このイヤーピースを私は耳の奥に栓をするように装着しフィットしています。

低価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じます。今回は付属のイヤピで上手くフィットした為、そのまま使用しました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感はもとより音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えない他社製へ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. Trn Rosefinch音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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昨年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音に脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

そのため、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5はモニターライクながらも決してつまらない音ではなく、リスニングでも使えて万能と考えています。

Shanling UP5をUSB-DACとして使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

 

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

miineco106.hatenadiary.jp

 

それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属白 Mサイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「しっかりと鳴る高音域は華やか。平面駆動らしい中音域と不足なく鳴る低音域のドンシャリ」でした。気になったのはいつもより少し音量を上げる必要がありました。

箱だしでは高音域がやや粗い印象と低音に緩さを感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音は締り高音域も整いました。

 

音場

普通からやや広めの空間。前後の奥行を感じられ左右も広さを感じられ立体感があります。

 

高音域

煌びやかで明るく華やかに鳴りますが、必要以上に華やかさを感じるような鳴り方ではなく、整った音。瞬発的な鋭さはありますが、刺さりを感じることはなく、煌びやかで清々しさを感じます。僅かに誇張された煌びやかさを感じ、響きや余韻を楽しむというよりは、瞬発的なキレの良い音を楽しむタイプ。超高音域までの伸びはそれ程ありませんが、存在感はあります。高音域は描写を重視した音。そのため音圧は抑えられており、低価格帯のBAの高音域のように解像感を演出する為に刺さるギリギリを攻めたシャープな音とは異なります。小さな音も逃さずに繊細に鳴らし、細やかな音を描写するのが得意な印象です。

 

中音域

空間は広さを感じられますが広大というほどではありません。普通からやや広い空間に華やかに鳴る音は、平面磁気駆動ドライバらしく複数ドライバ機のような音数を多く描写してくれます。また、複数ドライバ機でよくある音が重なり中心に集まる団子感はなく、音がガチャガチャせずに分離が良い音を楽しめます。高音域同様に分離の良さと解像感の高い音を聴かせてくれますし音の輪郭を適切に描写してくれます。ボーカルはクリアで自然な位置から聴かせてくれ、ややドライ気味なものの息遣いを身近に感じられます。

 

低音域

量感は適度に抑えられ、余韻を楽しむような広がりのある音ではありませんが、決してタイトなだけの面白みのない音ではありません。適度な強さと芯を感じられる締まった音はキレが良好で音の強弱や音階を描写します。ベースラインは追えますが、やや控えめ。前に出すぎる事はありません。重低音の沈み込みはそれほど深さを感じませんが、芯の強さはあります。

 

出音のバランス

一言で云えば明るく華やかな中高音寄りの弱ドンシャリ。出音のバランスは整っており極端に強調した音域はありません。

 

明るい華やかさのある高音は低価格帯の中華BAが強すぎて痛々しい高音域ではなく、整った音が心地良くやや誇張された印象はあるものの決して嫌な感じはなく、丁度良い印象。PLA13やPR1が少々やり過ぎに感じられる程の統制されたRosefinchの高音はKirin寄りの高音の鳴らし方の印象です。

中音は高音域よりも華やかさがありはっきりとした音。凹みを感じ難くボーカルと楽器の音はやや後ろ辺りの離れた位置に感じられ立体感を感じます。中音域の音は高音域同様に統制されており、音の描写力は良好で解像感の高い分離の良い音です。

ボーカルは自然な位置からクリアで聴きやすく、高音や低音の音に埋もれません。中音に重なり、かき消されることはありません。声色はややドライ気味なものの息遣いを感じますので、ボーカルを中心に聴きやすい反面、しっとりとした曲との相性は感じます。

低音はTrnの得意な中高音域をマスクしない見通しの良さを確保した締まったタイトな音。やや高音域を誇張し低音を抑え気味にしている印象を受けますが、このバランスが丁度良いと感じます。

重低音は沈み込みはそれほど深くありませんが、芯のある強さがあります。明るく華やかに鳴る高音中音域をキレの良い低音は音楽を楽しく聴く事ができます。

 

同社のこのバランスが嘗てのライバルを抜き去り周回遅れにした音なんだと実感できます。

音の傾向としては前述の通りKirinを踏襲しややリスニングに振った音。近しい音としてはTA3のバランスですが、高音域だけで云えばKirinとTA3は同じ鳴り方。Rosefinchの方が派手です。それでも嘗てのライバルのPR1やPLA13の方が強く鳴るので、ドンシャリ具合はそれらの方が上です。そのためRosefinchは同社の平面磁気駆動ドライバ上位モデルの下位モデルとして上位の大人の音に対し、少し元気な音という棲み分け。上位の解像感の高さよりも音楽性の感じられる音という印象です。

 

Kirinとの比較では中音低音の音は似ていますが、Kirinの方が一枚上手です。上品で美麗な音を聴かせてくれるKirinに対し、やや元気に鳴らすRosefinchです。低音域はKirinと良い勝負。とはいえやはりkirinが上位モデルなんだと感じさせられます。

一方嘗てのライバルのPR1とPLA13との比較ではRosefinchよりも元気で派手なドンシャリ。正直Rosefinchを聴くまではPLA13は良いよねと思っていました。あのメーカーはやはりドンシャリだけなんだなぁという感想です。そりゃ周回遅れになるわ、と。

 

※以前のCCA PLA13のレビューもご参考ください

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まとめるとTrn Rosefinchは上位モデルのKirinの音を踏襲したバランスの良い音ながらも下位モデルらしくリスニングに寄せた音は、新しい12mm径平面磁気駆動ドライバ搭載モデルとして、ライバルよりも安価に高音質を実現したモデルです。

なお、Rosefinchはリスニング用途としてのバランスであり音楽を分析的に聴きたい方には評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   PR1 HiFi ≧ PLA13 ≧ Rosefinch (出音の強さ)

中音   PR1 HiFi ≧ Rosefinch ≧ PLA13 (出音の強さ)

低音   PLA13 ≧ Rosefinch ≧ PR1 HiFi (出音の強さ)

ボーカル Rosefinch ≧ PLA13 ≧ PR1 HiFi (質感の順)

 

 

4. Trn Rosefinchの総評

Trn Rosefinchは新しい平面磁気駆動ドライバを搭載しライバルとの差を感じさせる高音質モデルです。同社上位モデルのKirinの系譜であり、それよりもリスニング寄りとした音質傾向は同価格帯の多ドラ機の様に音質に不自然さを感じない素直な音は好感を持ちますし、Trnの商品から選んでおけば間違いないのではないでしょうか。

Rosefinchの中高音寄り弱ドンシャリはこの価格帯の多ドラ機が苦手な方にも、価格帯が上の多ドラ機と遜色の無い音を聴かせてくれますので、機会があれば試して欲しいと思います。恐らく気に入ってくれるのではないでしょうか。

 

最後に、今回は今年3月に発売された中価格A5000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2023年3月29日)はHiFiGoで6,000円台で販売し、国内amazonでもPrime扱いの6,000円台半ばとなっています。海外通販でもHiFiGoの発送は早く届くのも早い印象があります。これまでの中華イヤホンの中では手頃な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは十分満足できる内容となっておりますので、中価格帯中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、新製品を少しでも早く(安く)手に入れたい方はHiFiGoでの購入も検討してみてくださいね。

 

Rosefinch

以下、付属ケーブル、付属白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★★
分離★★★★★
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

 

PLA13

以下、付属ケーブル、付属白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★★
分離★★★★★
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

 

Kirin

以下、付属ケーブル4.4mm、付属白イヤピ M使用、Referenceノズル、DAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★★
分離★★★★★
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回は中華イヤホンの中価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後は低価格だけではなく、中価格の中華イヤホンも扱っていきます。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ