みぃねこの備忘録

いろいろなこと、主に趣味の備忘録として活用。アフィリエイトやってません。お気軽にリンクからどうぞ。

Trn MT1レビュー ※KZ EDX、KBEAR KS1との比較含む

こんにちは。

今回はいつもの低価格中華イヤホンレビュー編として、1BA+1DDハイブリッドモデルではなく1DD、シングルダイナミックモデルのTrn MT1についてレビューをまとめたいと思います。

AliExpressのTRN Promo Discount Store(@TrnDiscount)等で取扱があります。

 

ja.aliexpress.com

 

国内amazonでも取扱があります。

 

 

 

f:id:miineco106:20210508121610j:image

 

 

 

 

1. Trn MT1について 

Trn MT1はTrnが今年の春リリースしたシングルダイナミックドライバのモデルとして新発売されました。Trnは主にU10000中華イヤホンの雄、KZの対抗モデル低価格帯1BA+1DDハイブリッドモデルから中価格帯の多ドラハイブリッド及び、複数BAモデルを発売しています。以前のレビューでも触れていますが、これまではKZの後追い感のあるラインナップでしたが、今年の同社TA1やBA15等はKZとは異なる傾向で魅せはじめています。

そのTA1は以前レビューしており、従来の低価格1BA+1DDハイブリッドの枠とは異なり、非常に完成度の高い音質が好評のモデルとなっています。加えてBA15ではイヤホン片側にBAを15基も搭載しています。現在KZは片側にBAが12基のASTが最大となり、それを上回るモデルの開発に成功し販売しています。更に、中華イヤホンで片側15基のBA搭載モデル!?と、KZ対Trnの複数BA搭載機の開発競争を出し抜いたいつもならイロモノモデルを疑いたくなりますが、決してそんなことは無くBA15はその音質も界隈で好評のようです。う~ん、BA15は気になりますねぇ。

 

さて、今回それらのモデルに続き低価格帯のエントリーモデルの新商品として1DDモデル、Trn MT1が登場しました。昨年くらいまでのTrnは高音を重視した解像感を演出した音質傾向と感じており、やりたい方向は汲み取れましたが、肝心の高音は粗く低価格BAの限界を感じました。しかし、少なくてもTA1では初心に帰ったとでも言うのか、強いドンシャリではないバランスの良い音を聴かせてくれました。そしてBA15では中華BAを複数搭載し、例えばKnowles製BA等を数基採用すれば片手で済まない価格となるところを15基も搭載しているのに約25,000円とその半額以下。何よりも音が良いという評判です。そのTrnの新たな刺客が、本来の低価格でコストパフォーマンスに優れたイヤホンを世に送り出すことで、他社のとりわけKZと真っ向から勝負するメーカーとして無視できない存在となったと云えそうです。正直、BA15発表以降のKZはASTを世に送り出しましたが、パッとせず。ここはKZの次の手を期待して待ちたいところです。

 

一方、TrnはKZのような特徴がまだまだ認知されていないため、二番手からの脱却を謀る上でもBA15で高音と中音を重視し解像感の高い音づくりを中心としながらもバランス良くまとめた方向性をブラッシュアップしていくことで、互いに競い合っていって欲しいと中華イヤホンファンの一人として願うところです。それはつまり私たちがこれからも楽しませてもらえるという事に他なりませんので。

 

この数年で熟成しつつある低価格中華イヤホンの代名詞であった1BA+1DDハイブリッドではなく、敢えてBAを搭載しないシングルドライバの1DDモデルをKZからは以前レビューしたEDXを投入済。そのEDXはトニカク安価、AliExpressでは1000円を切る販売価格でありながら、音質も好評で「圧倒的なコスパ」と称賛。他社ではKBEARも1DDモデルのKS1を投入。そしてTrnが今回1DDモデルのMT1を発売しました。

更には、CCAも1DDモデルのCA2を5月に発売し購入済み。それら比較用に某メーカーと中身が一緒という1DDモデルのQKZ VK4を入手しましたが、Trnがやってくれましたよ。

MT1のレビューも終わらないうちに次の1DDモデル、CS1を6月初旬に発売しました。ええ、もちろんポチりましたよ。と、安心したのもつかの間、今のTrnは勢いが違う。矢継ぎ早に今度は1BA+1DDハイブリッドモデル、ST2を発売…。最早やけくそでこちらも購入済み。CS1とST2は近日中に届く予定です(←アホ)。

 

Trn MT1は3月に発売され、片側に一つのダイナミックドライバを搭載しています。1BA+1DDハイブリッドモデルでは高音域をバランスドアーマチュア(BA)ドライバ1基がそれを担いましたが、MT1ではダイナミックドライバ(DD)1基が高音から低音域までをフルレンジで担っています。音を繊細に高い解像感で表現するのにBAは最適ではありますが、中華イヤホンの低価格帯で採用されているBAの質は残念ながら高いとは言えず、音に粗さがあり解像感を重視した結果、シャープさはあるが故に尖りも兼ね備えてしまう痛し痒し。もちろんドライバの質だけでなくチューニングも重要です。高音域のBAと中・低音域のDDの各音域のクロスオーバーはメーカーの腕の見せ所となりますが、今回はダイナミック1基となりますのでその心配は不要です。

加えて、それらチューニング技術は数年前に比べればかなり良くなってきており、実際KZ ZSN pro XやKBEAR LARKは国内有名メーカーのU5K辺りとも良い勝負をすると思います。

ですが、初期ZSTの頃は1,000円ちょっとという圧倒的コスパによる人気からも分かるように現在は2,000~3,000円と国内メーカーのエントリーモデルと同等となってきていています。今でも十分にコスパは良いのですが、このMT1やKS1及び、KZ EDXでは敢えてシングルダイナミックドライバ1基とし原点回帰とも云える「鬼コスパを再び」の一手なのかもしれませんね。

 

昨今の中華イヤホンのレベルアップを感じつつ、原点回帰の鬼コスパモデル群に登場したMT1を他の中華イヤホン低価格1DDモデル、KZ EDXやKBEAR KS1との違いを交えながらレビューを纏めていきたいと思います。

察しの良い方はこのレビュー後に1DDモデルレビューが連載されることをお気づきかもしれませんが(笑)。

 

Trn MT1のスペックですが先述の通り中華イヤホンの低価格帯で多く採用されている高音域用のバランスドアーマチュアドライバ(BA)を1基と中・低音域用のダイナミックドライバ(DD)を1基搭載した片側デュアルドライバ構成のハイブリッドモデルとは異なり、一つの大径ダイナミックドライバを搭載し、高音域から低音域の全域を担当しています。

ダイナミックドライバには直径10mmの二重磁気ドライバを採用。10mm径のSilicon Crystal Composite biocellulose複合振動膜を採用しており、従来のbiocellulose振動膜よりも応答性が高く低電力でも安定した性能を発揮できるとのこと。

イヤホン本体はシェル本体とフェイスプレートが樹脂製。ステムノズルが金属製とKBEAR KS1と同様。

そして大切なのはこれまでレビューした低価格中華1BA+1DDイヤホンでは各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングが重要となりますが、MT1ではシングルダイナミックドライバであることから音域毎のチューニングが重要です。このチューニング次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくると云えますね。

 

Trn MT1の納期として今回AliExpressで購入し中国本土からの発送という事もあり、国内amazonのようにはいきません。今回もオーダーから2週間強で届きました。昨今、感染症の影響で中国からの輸送は平時の様にはいきませんが、それも徐々に回復傾向であり最近はシンガポール経由ではなく台湾経由等で動き始めていますので、物流の安定化までもう少しというところですね。尤も平時であればAliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. Trn MT1実機レビュー 

それでは、早速Trn MT1の実機レビューを以下、まとめていきます。


f:id:miineco106:20210508121641j:image
f:id:miineco106:20210508121644j:image

パッケージングはいつものシンプルなTrnの小箱ではなく、TA1同様のデザインですが従来のサイズの白い小箱、スリーブタイプの化粧箱です。
箱の表にはイヤホンイラストが。裏にはスペックが記載されています。


f:id:miineco106:20210508121715j:image
f:id:miineco106:20210508121709j:image
f:id:miineco106:20210508121713j:image

スリーブを外すと白地の内装の台座にイヤホンが収納され、台座を取り外すと箱の底に付属品が収納されています。


f:id:miineco106:20210508121741j:image

付属品はシリコンイヤーピースが白色タイプのS、M、Lの3種が計1セット。そのシリコンイヤピMサイズが本体取付け済。他にはケーブルです。U1K、実売1,000円以下の低価格帯として必要最低限の付属品となります。


f:id:miineco106:20210508121831j:image
f:id:miineco106:20210508121825j:image
f:id:miineco106:20210508121806j:image
f:id:miineco106:20210508121828j:image
f:id:miineco106:20210508121816j:image
f:id:miineco106:20210508121821j:image
f:id:miineco106:20210508121813j:image
f:id:miineco106:20210508121810j:image
f:id:miineco106:20210508121803j:image

次にビルドクオリティですが、中華イヤホン、特にTrnで心配されるような雑なところ感じさせない、近年のレベルアップを感じられ、寧ろKZ EDXよりもシェルの合わせ面等が綺麗に仕上がっています。カラーバリエーションはクリアとグリーンがあり、今回はクリアを選択しています。


f:id:miineco106:20210508121850j:image

付属ケーブルはTrnの4芯銅線、黒色の編込みタイプが採用されています。プレイヤー側コネクタはL字タイプで、イヤホン側はKZ-Cタイプ、2ピン仕様、KZ極性(上がプラス)です。この付属ケーブルは耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的にやや絡まりやすいものの、しなやかなものとなり低価格帯に付属するケーブルの中でも最低限の印象。とはいえそのまま使用できますし黒色ケーブルは落ち着いた色味からは、シェル本体の色と相まって普段使いでは気になりませんね。個人的にはもう少し目立つ感じでも問題ないですけど。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

※画像左からKZ EDX、Trn MT1、KBEAR KS1 
f:id:miineco106:20210508121933j:image
f:id:miineco106:20210508121919j:image
f:id:miineco106:20210508121948j:image
f:id:miineco106:20210508121930j:image
f:id:miineco106:20210508121923j:image
f:id:miineco106:20210508121937j:image
f:id:miineco106:20210508121927j:image
f:id:miineco106:20210508121940j:image
f:id:miineco106:20210508121944j:image
Trn MT1とKZ EDX、KBEAR KS1の外観の比較として、サイズ感や体積はほぼ同じ。MT1とEDXは同一の造形です。

三機種共にシェルの造形はカスタムIEM風のオーソドックスな横に広いタイプ。

MT1とKS1は樹脂製シェルにステムノズルが金属製でEDXはオール樹脂製です。

重量は三機種共にほぼ同じですが、その造形から耳への装着時には殆ど差が分からないレベルです。三機種共に耳への装着感は悪くありませんが、ステムノズルの太さはMT1が僅かにやや太め。EDXは一体成形の都合上、強度を持たせる為に太さがありますが、MT1よりはやや細くなっています。角度は三機種共にほぼ同じ。

また、ステムノズル部には全てにメッシュフィルターがあり異物混入による故障を防げます。そしてKS1のフィルターは他に比べて目が細かく音質への影響がありそうです。

そして、シェル本体の形状は3機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、先述の通りMT1はステムノズルは比較的太めです。太いステムノズルは装着感に影響があり、圧迫感を感じやすいですが、MT1ではイヤーピースの大きさでシンプルに調節可能です。付属の白色イヤーピースMサイズを耳奥に栓をするように装着する形が音質的にもしっくりきました。


f:id:miineco106:20210508122019j:image
f:id:miineco106:20210508122016j:image

この付属イヤーピースはTrn TA1に付属するタイプです。いつものTrn付属黒傘赤軸タイプの白タイプ?でしょうか。個人的にKZ付属の溝有黒は傘がパサパサしていて遮音性がイマイチに感じる事が多いのですが、こちらはTrn付属黒傘赤軸タイプよりも傘に粘りがあってしっくりきます。

音質的にはやや高音中音がしっかりとするタイプに感じますが、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。

幸いこの付属イヤーピースでも私は上手く合わせられ、耳の奥に栓をするように装着しフィットしています。

低価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じますが、今回は同じ付属のイヤピ白色で十分と感じられそれを使用しています。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

f:id:miineco106:20210508122045j:image

 

 

3. Trn MT1音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

f:id:miineco106:20210508122105j:image

以前も触れましたが、これまで低価格帯はShanling Q1を基準としてレビューを行ってきましたが、先日のKZ DQ6のレビューの中でDAPによる音質差を今更ながら感じ、イヤホンのレビューとしてより正確に伝えることを優先しようと考えました。ずっとスマホ同等かやや良いくらいという基準を持ってきましたが、ご容赦ください。

ZX507については他の方のサイトでも詳しく解説していますので、SONYのまあまあの価格帯のサブスク対応android機です。従来のShanling Q1は3.5アンバランス接続のみですが、ZX507は4.4バランス接続にも対応しています。DACには独自開発のS-Master、フルデジタルアンプが採用されています。

Shanling Q1とZX507の音質の違いは音場がやや平面的に感じられるQ1に対し、ZX507は奥行きのある立体的な印象。具体的にはボーカルの位置に対し、高音や中音の演奏音がその周りやや離れた後ろ側に位置し自然な位置関係に感じられます。

次に、音質傾向ですが、音楽を正確に淡々と鳴らそうとするQ1に対し、ZX507は高音域と低音域をしっかりと鳴らすやや派手な音ながらも、ボーカルを邪魔せずにそれを引き立てています。所謂ドンシャリ傾向と云えますが、過剰なほどではなくて若干の演出という感じ。そして中音はボーカルに対し相対的に控えめに感じられますが、その分ボーカルはクリアです。特徴としては低音に厚みがありますので音楽を雰囲気良く聴くことができるSONYの音といえます。

個人的には音楽を楽しく聴くという本来の目的を達成するために必要十分なDAPと考えており、今年6月からは音楽配信サービス、Apple Musicがロスレス対応しましたが、android搭載DAPとして勿論対応(※)しています。そして、何よりもBluetooth接続は安定していますので、強いて云えば電池持ちが悪い位しか不満はないです。

※2021/06/19現在 android版Ver3.6.0ベータ版

 

 

 

低価格帯のイヤホンの場合でDAPの違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。

 
miineco106.hatenadiary.jp

 

※FiiO M5とShanling M0の比較もよろしければご参考ください。 

miineco106.hatenadiary.jp

 

それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属白色Mサイズ、付属銅線ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「やや低音に膨らみを感じる低音と過不足ない高音域のドンシャリバランス」でした。

箱だしではやや低音に膨らみを感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音が締まり落ち着き相対的に中音がすっきりと感じます。

音場は広くも狭くもない普通。

高音は適度な煌びやかさがあり華やかさはありますが、伸びは控えめ。刺さりは感じません。

低音は適度な量感があり芯が感じられ締りとキレがある。ベースラインはやや控えめですが追えます。重低音は沈み込みは浅め。

中音は適度な華やかさがありますが、主張は少なくゴチャつきも少なく感じます。ボーカルはクリアで自然な位置から聴かせてくれ聴きやすい。

一言で云えば中高音寄りのややドンシャリ

高音は適度な煌びやかさと華やかさはやや控えめに感じ、超高音までの伸びも感じない。逆に云えば不快に感じる尖りもなく、良く云えば自然な高音。これはKZを始めとする低価格帯1BA+1DDハイブリッドモデルと比べると分が悪く、低価格帯のBAの存在意義を再認識します。

中音は凹みを感じ難く、楽器の音はボーカルの周りやや後ろ辺りに位置し華やかに鳴ります。ボーカルはクリアで聴きやすく、高音低音に埋もれません。というよりも高音と低音が控えめに感じるため相対的にそういう印象を持ちます。

全体的にみれば中高音域が聴きやすい音で、音数が多いハードな曲でも音の重なりをあまり感じず、団子感は少ない。ボーカルをしっかりと聴くことができます。

ボーカルはややドライ気味ですが、自然で不自然さはあまり感じません。それでもしっとりとした雰囲気を楽しみたい場合にドライ気味な声に多少相性を感じるかもしれません。

低音は適度な量感で芯のある音で締りとキレがありますが、強さはそこまでありませんので、控えめに感じるかもしれません。重低音は沈み込みは浅めでやや物足りなさも感じます。それでもこの低音が高音中音を邪魔せず適度な量で支え中高音寄りのバランスの良いドンシャリが最近のTrnらしいバランスの良い音を聴かせてくれている印象です。


これらは以前レビューしたTrn STMのドンシャリと傾向は同じで、恐らくTrnがKZの後追いを止めて、Trnというメーカーの音を目指した音と云えます。そういう意味では全音域で主張が少なく、物足りなさを感じてしまうかもしれませんが、もっと質の良いドライバを使用することで意図する音質になるのではと少し残念に思います。

実際に高音は伸びや華やかさが足りず、全音域をバランスよくするために低音も犠牲にした感がありますので、今更ながらに1BA+1DDハイブリッドの良さを感じます。もちろん1DDには1BA+1DDと違い繋がりに不自然なところを感じられず、音圧で誤魔化す必要がありませんので、これはこれで良いのだと思います。

次に、KZ EDXやKS1との大きな違いはそれらが中低音寄りに対し、MT1が中高音寄りという事。KS1はドンシャリ感が一番強くEDXはMT1に近いもののやはりドンシャリで中音域に凹みを感じます。MT1は中音域の凹みを感じさせずに上手く高音と低音とバランスを整えています。まあ、高音と低音が弱いとも云えますが。

またKZ EDXとKS1はベースラインがしっかり感じられますが、MT1は存在感は薄め。低音もしっかりしているそれらとは結構違いを感じやすい部分と思います。

MT1は中音域はすっきりクリアに聴かせる音色ですが、EDXやKS1では低音域が多少重なっていると云え、特にKS1は中低音が前に感じられる為、EDXの方がクリアなもののMT1の方がよりクリアと云えます。

いずれにせよMT1の音質傾向は高音低音を抑えた「Trnの(目指す)音」と言う印象です。

 

最後に、据え置きPCオーディオでも試してみました。

DACTopping D10S、ヘッドホンアンプは同L30です。

結果は音の傾向は同様に弱ドンシャリですが、中音域の見通しの良さはそのままに華やかさが増し、高音の煌びやかさ、低音の芯の強さがあり非常にバランスが良くなります。ZX507ではKS1やEDXに比べやや物足りなさを感じましたが、パワーのあるDAPであれば、もっと印象が良くなると思いますし、寧ろそれらと比べかなり良いのではと感じました。

 

※以前のKZ EDXのレビューもご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

※以前のKBEAR KS1のレビューもご参考ください

 

miineco106.hatenadiary.jp

 

まとめるとTrn MT1は高音低音は適度でも、キレの良い音が低価格帯でよくある中音域のごちゃ付きを抑え、クリアですっきりとした中音域は音の華やかさとボーカルの聴きやすさを感じられる音質傾向はTrnの目指す音を示す指標とも云えますね。そして従来の1BA+1DDハイブリッドモデルのようにBAで高音域を補うことにより派手な音で誤魔化さずに本当に良い音を目指しているのかもしれない、今後に期待感を抱かせてくれる存在と云えそうです。

また、アンプの高出力を求めるため、スマホは基よりそれなりのDAPが必要になりそうです。

尤もリスニング用途としての聴いていて楽しいドンシャリバランスは中華イヤホンには高音域のシャリつく刺激的な強さや低音のドンの量が多い強ドンシャリを求め、演奏メインで聴きたい方には、少々もの足りなさを感じ評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   KS1 ≧ EDX ≧ MT1 

中音   MT1 ≧ KS1 ≧ EDX

低音   KS1 ≧ EDX ≧ MT1

ボーカル MT1 ≧ KS1 ≧ EDX

 

  

4. Trn MT1の総評

さて、Trn MT1は最近のTrnが目指している音を踏襲した中高音中心のドンシャリイヤホンであり、アンプのパワーを少々必要とするモデルとまとめました。

そして単にBAを無くしたバランスではなく、1DDでも十分良い音にできることを示してくれたイヤホンとして従来のハイブリッドの不自然さを嫌う方に試して欲しい音と考えています。

そういう意味では中華イヤホンは「コスパ重視」の方へお勧めできますが、中華イヤホンの強ドンシャリを求め検討されている方には注意が必要な商品ですね。

 

最後に、今回はAliExpressで先月発売された低価格帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2021年6月19日)はAliExpressやamazonで発売されており、AliExpressでは1,000円以下の価格で入手可能です(しかも一時期2個で1,000円!?)。一方amazonではprime扱いの1,000円台の価格と、AliExpressの方が安価に入手できますが、その入手性には現在も難があります。とはいえこれまでの低価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっておりますので、低価格中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、少しでも安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

MT1

以下、付属ケーブル、付属イヤピ M使用、DAP ZX507
高音★★★☆ 
中音★★★☆  
低音★★★☆ 
音場★★★☆
分離★★★☆
お勧め度★★★★  

※☆0.51.0

 

KS1

以下、付属ケーブル、付属イヤピ M使用、DAP ZX507
高音★★★☆ 
中音★★★☆  
低音★★★★ 
音場★★★☆
分離★★★
お勧め度★★★★

※☆0.51.0

  

EDX

以下、付属ケーブル、付属溝有白イヤピ M使用、DAP ZX507
高音★★★☆ 
中音★★★☆  
低音★★★★ 
音場★★★☆
分離★★★
お勧め度★★★★ 

※☆0.51.0

  

あとがきとして、今回はいつもの低価格中華1BA+1DDハイブリッドイヤホンではなく同じ低価格帯の1DDモデルの新商品のレビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後も低価格?を中心に、中華据え置き機器や複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ