みぃねこの備忘録

いろいろなこと、主に趣味の備忘録として活用。アフィリエイトやってません。お気軽にリンクからどうぞ。

FiiO BTA30レビュー PCオーディオを手軽に楽しむのに最適

こんにちは。

今回は中華イヤホンレビュー編を一休みし、昨年購入したBluetoothトランスミッター/レシーバーについてレビューをまとめたいと思います。

国内amazonのイヤホン&ヘッドホン専門店、eイヤホンや有名家電量販店等で取扱があります。

 

 

AliExpressでも取扱があります。発売当初は「おま国」の憂き目に遭いましたが、現在(2021/5/1)は購入できるようです。

  

ja.aliexpress.com

 

 

f:id:miineco106:20210502183258j:image

 

 

 

1. FiiO BTA30の有用性 

FiiO BTA30はポータブル製品というよりは据え置き機器にカテゴライズされる商品です。このBTA30があることによって「何ができるのか?」と思われるかもしれません。それは簡単にいえば「PCとイヤホンやヘッドホンをBluetoothで接続し音楽を聴くことができる」と、なります。そんなん今だってできるよ、と仰る方もいると思います。その通りです。最近のノートパソコンであればBluetooth機能が搭載されていますので、音に拘らなければそれは「できる」と云えますが、それらのコーデックはSBCが殆どです。

Bluetooth接続といっても、そのコーデックによる音質の違いは少なくなく、寧ろ大きいと云えます。オーディオファンにとって音質は何よりも大事。お気に入りの音楽を可能な限り良い音で聴きたいという欲求は沼の入口とも云えます。

ではBTA30の「何が優れているのか?」と云えば「Bluetooth接続をLDACで送受信可能」という答えになります。ここで「LDACって?」と思われる方に難しい技術説明を抜きに簡単に説明すると、巷でBluetooth接続コーデック、SBCよりも高音質と謳われているAAC(主にiOSiPhone)やaptX(主にandroid OSのスマホ)よりも本当の意味で高音質で音楽を聴くことができる無線コーデックで日本オーディオ協会の「Hi-Res Audio Wireless」に認定されています。詳しく知りたい方は「SONY」「LDAC」で検索してみてください。きっとあなたがこれまで興味が無かった世界に一歩足を踏み入れることになるでしょう。それもまた、一興というものです。

 

BTA30の機能詳細は後述するとして、私もお気に入りの音楽を良い音で聴きたいオーディオファンと自認していますし、ポータブルデジタルオーディオプレイヤー(DAP)を所有しており、それにこだわりのイヤホンをDAPに有線接続し音楽を良い音で楽しんでいます。とはいえ無線接続の手軽さや便利さも捨てがたく、気になっていました。

私自身、ポータブルオーディオの世界に足を踏み入れ数年が経ち、これまでに各社のDAPをとっかえひっかえしてきました。

最大7台のDAP保有した時期もありましたが現在は4台所有し、内1軍が3台と1台は予備機という最小構成のつもりです。

当時7台も所有した理由は各社の音であったり、DACによる違い、アンプ部の違い等が気になり聞き比べ、使い分けのつもりで購入していました。

例えばDACチップではESS ES9218と9028や9038と9068、AKM AK4377と4490と4493と4497、Cirrus Logic(CS)CS4398や43198、TI PCM5242の使い分けです。

アンプ部ではTHX-AAA78やディスクリート、一般的な複数opアンプの組合わせ等です。

実際にDACやアンプ部の組合わせで各社のDAPは出音が異なりますが、ある程度の傾向があり、ESSが音の粒をそのまま伝えようとする解像感に対し、AKMは音の輪郭をシャープにエッジが立っている解像感でどちらも甲乙つけがたい。CSは解像感はESS寄りであるもののそれ程ではなく中音に厚みがあって音場の良さと臨場感がある音。TIはサンプルが少ないので断定的には云えませんが、CS寄りの解像感寄りではありますが音の出音というか音色を楽しめる雰囲気のある音という特徴を持っている印象です。勿論DAPの出音はDACだけでは決まらずに、アンプ部が最終的に各社の音を造り込んでいることになります。

それらのDAPスマホで聴くよりもどれも高音質で音楽を良い音で聴きたいという願いを叶えてくれ、スマホの充電残量を気にすることなく音楽に浸ることができました。そしてその各社の中で出音が私個人の嗜好に合ったものが今手元に残っていることになります。

一方でDAPスマホと同様にバッテリーで駆動しています。このバッテリーは当然ですが消耗品であり、DAPを使用し充放電を繰り返していくことでバッテリー性能が劣化してしまいます。

スマホで例えれば携帯キャリア各社が2年縛りとしていた従来の料金プランはスマホ本体の進化と新機種発売が、バッテリー劣化と型落ち旧モデル化を嫌うという買い替え需要とリンクし、壊れても、使えなくもないのに定期的に買い替えるのが普通という文化が定着しています。

DAPでも似て非なるの文化があり、特に中華製DAPでは早ければ半年。遅くても1年程度で新モデルが発売されています。その進化は昨今のCOVID-19の影響と世界的な半導体及びIC不足による鈍化はあるものの、DACチップの変更という荒業の末に新モデルとして発売するスピード感は最早感服せざるを得ません。日本メーカーのようにモデルサイクルを長いスパンで考えてはいない、悪く言えば売り切りの商売は一長一短であり賛否はありますが、この界隈の消費者は常に新しいもの、否寧ろ「良い音」に飢えており新商品に飛びついてしまいます。最新こそが最善とは云えないと分かっていても、です。そもそもDAPとしてのポータブルプレイヤーは現在2万円迄のエントリーモデル、2万円超−5万円迄のエントリーハイモデル、5万円超−7万円迄のミドルモデル、7万円超−10万円迄のミドルハイモデル、10万円超−20万円迄のハイクラスモデル、20万円超のハイエンドモデルと価格帯が広く、それを大きく分けても3つのエントリー、ミドル、ハイモデルに分かれます。特にハイモデルは知る限り下は10万円超から上は80万円と際限がなくなりますので末恐ろしい世界です。

この恐ろしさは価格の高さに注目が集まりますが、寧ろそこではなく実は価格の高さが音の良さに必ずしも正比例ではないということ。もちろん相関はありますが、ある一定のところから価格に対する伸び率が低くなってしまうところです。予算が潤沢な方は金にものを言わせてということもできますし、高価なDAPを所有する所有欲、ステータスを得られる、それが楽しさの一つであることも否定しません。そうれはもう凡人の私にはただただ羨ましい限りです。

では、際限なく追及した結果満足できるのかといえば、それも否。きっと今後発売されるであろう新商品に目を奪われることになることが常。それが人間の性というものであり仕方がありません。人は弱く何かに縋りたい生き物ですから。

 

それはさておき、本来のDAPの使い方としてはイヤホンやヘッドホンと有線接続し本領を発揮すると云えますが、最近のDAPWiFi機能を搭載しインターネット接続が可能となりアップデート等が便利になりました。加えてandroid OSを搭載しSpotifyamazon music HD等の音楽配信サービスに加え、YouTube(動画)やTwitterさえもアプリで使用可能と最早スマホのようになっています。平成中期の携帯電話のようにDAPガラパゴス化と云えるのかもしれません。

更にBluetooth機能も搭載し数年前のオマケ的なポジションから、それこそスマホの様に左右独立型完全ワイヤレスイヤホンとBluetooth接続してスマホと同じ様に動画視聴や音楽配信サービスを楽しむことができるようになり、最近ではこれがDAPの機能のマストとなりDAP選びの基準となっています。これは先述の通り、音の良さと価格が正比例していないことから多くのユーザーがDAPに多様性を求めるようになり、音だけでなく機能を重視するように変化してきたと云えます。

スマホと同様の機能を持ち、スマホよりも良い音で音楽を楽しめる。できないことは通話ぐらいという最新DAPですが、ネガティブ要素もあります。そうです、DAPはバッテリーが搭載され、それによる電力で動作している以上、劣化は避けられず「消耗品」と云えます。そのDAPは価格と機能と音をどこかで折り合いをつけて購入する訳ですが、やはり高価な買い物ということを否定できません。折角買ったDAPですし音の良さを最優先に機能充実のお気に入りの相棒を手に入れたわけですから少しでも長く使いたいものです。

さて、カンの良い方はもうお分かりですね。はい、これが私の出した答えです。

工業製品である以上、止む無く故障等もありますが、それらの不確定要素リスクを無視した時に残る超えられない壁が「バッテリーは消耗品」ということ。

勿論DAPもバッテリー交換をすることができます。当然ですがそれらは有償対応となりますし、メーカーで作業する為、その間しばらくの間は使えないことになります。

お気に入りのDAPだからこそ大事に使って長持ちさせたい。

そんな考えを強く持つようになり色々調べた結果、家ではPCで動画視聴や音楽配信サービスを使えばよい。(なお、デスクトップPC)

でもPCに有線接続するとケーブルが邪魔だしその場から動けない。PCの音を無線で飛ばせれば良いのに。

PCに繋ぐ無線アダプタがあるんだ。

でも、レシーバー機能しかないや。

トランスミッター機能付きがあったけどaptXかあ。

と、希望に合うものが無く、ゼンハイザー BT T100を買って使っていました。

そして昨年やっと希望に合うものが発売されました。それがFiiO BTA30です。

 

FiiO BTA30についてメーカーの謳い文句は「良い音でBluetoothを楽しむ、高品位Bluetoothオーディオシステムを実現する先進のBT送受信機能」です。

そしてFiiO BTA30の主なスペックは以下の通り(メーカーHP抜粋)。

 

  • LDAC/aptX HD/aptX/AAC/SBC対応のBluetooth受信機能
  • LDAC/aptX HD/aptX LL/SBC対応のBluetooth送信機能
  • 192kHz/24bit・2.8MHz DSD対応のDAC機能
  • DACチップにAKM製「AK4490EN」を搭載
  • デジタル/アナログ両面で圧倒的利便性を実現する豊富な入出力端子群
  • 高性能DSPによるデジタル信号のアップサンプリング機能を搭載
  • 送受信距離30mを実現するBluetooth接続用外付け高ゲインアンテナ搭載
  • Bluetoothコーデックの瞬時判別が可能なRGBインジケーター
  • 素早く、正確な調節が可能な最先端の音量調節機能
  • マルチポイント接続により2つのBluetooth端末と同時に接続可能
  • FiiO MusicアプリやFiiO Controlアプリでスマートフォンからリモート制御

 

先述の通り、LDAC送受信可能です。特にトランスミッター(送信)機能がLDACに対応している機種が殆どないので、例えば愛用しているシステムコンポやお気に入りのCDプレイヤー、TVの音もBTA30を使い音楽はLDACを。TVや映画等はaptX LLを使うことでメーカーの謳う「良い音でBluetoothを楽しむ」ことができます。

しかし、ここで注意しなければいけない事があります。

主なスペックでは明記されていませんが、トランスミッターモードでLDACを最大限有効に使うにはBTA30の同軸(S/PDIF)入力端子に所謂同軸デジタルケーブル(コアキシャルケーブル)又は光デジタル入力端子に光デジタルケーブル(オプティカルケーブル)で接続する必要があります。

そして少し技術的な話になりますが、大前提のPCに同軸又は光出力が無いとPCのUSB-A出力とBTA30のUSB-C入力(電源入力と共用)に付属のUSBケーブルで接続するしかなく、この場合は16bit/48kHzまでとなり、仮にハイレゾ音楽データ24bit/96kHzをPCで再生しても16bit/44.1kHz~48kHzにダウンコンバート(音楽データ量が小さく変換)されてしまい、16bit/44.1kHz~48kHzの音楽データとしてBluetoothで無線送信されます。折角のハイレゾ音楽データがCD音質と同等となってしまい台無しです。まあこれでも十分LDACのデータ転送量990kbps(音質優先設定時)の恩恵は受けられていますし、aptXやAAC、特にSBCではもっとダウンコンバートされ更にデータ転送量が328kbpsとLDACに比べ1/3にになります。この話を聞くとSBCやAAC及び、aptXのBluetoothによる無線接続では有線接続に音質で敵わないことを理解いただけるのではないでしょうか。

LDACを最大限有効に使った場合はハイレゾ音楽データ24bit/96kHzがそのまま受信先のイヤホン又はヘッドホンで理論上ほぼそのままの音として聴くことができます。

当然ですが、受信先のイヤホン又はヘッドホンもLDACの受信に対応していないとできません。

 

 

2. FiiO BTA30の設置

それでは、FiiO BTA30の実機を実際に設置していきます。

私の目的はPCで音楽を再生し、それをBluetoothコーデック、LDACでイヤホン又は、ヘッドホンと接続することになりますので、それをするために何を準備すればよいのかを中心に説明します。


2.1. BTA30の設置と用意するもの

始めにPC周りを準備します。

私のPCは先述の通りデスクトップタイプです。ノートパソコンが主流のこの時代にデスクトップパソコンを好んで買うような私も結構PC好きなのかもしれません。

そしてそのPCは某自作PCで有名なショップオリジナルモデルなのですが、残念ながら同軸出力や光出力端子は標準では付いていません。

しかし、ここからがデスクトップPCの強さです。

マザーボードASUSのB250系ですので、S/PDIF出力のピンがあります。つまり同軸出力端子ボードブラケットの増設が可能であり、早速それを購入し増設しました。

次に同軸デジタルケーブルを用意。そしてFiiO BTA30です。

この3つを用意するだけで、PCのハイレゾ音楽データをBluetooth接続、LDACで送信する用意が完了です。

次にBTA30とPCとの接続は簡単です。

 

  1. デスクトップに同軸出力端子ボードブラケットを組み込みます。
  2. PC背面に増設した同軸出力端子とBTA30の背面にある同軸入力端子を同軸デジタルケーブルで繋ぐ。
  3. BTA30の背面にあるUSB-C電源兼用USB入力端子に付属のUSBケーブルのUSB-C側を接続し、PCのUSB-A端子に接続するか、又はUSB電源(iPhone用USB充電器5V1A等でOK)を使い家庭用コンセントに接続する。

 

この三つだけです。

PCへの同軸出力端子ボードブラケット組み込みは検索するとすぐに見つかると思いますので、それを参考にしてください。基本的に組み込み作業の難易度は低く、簡単にできると思います。恐らくこの記事にたどり着いた方はそのスキルがあると思いますが、あくまでも「自己責任」という事です。
後はBTA30の全面パネル、「MODE切り替えスイッチ」を真ん中の「BT TX」に合わせて電源を入れるだけ。

 

f:id:miineco106:20210502183525j:image

 

この記事を読んで「デスクトップPCだけかよ」と、がっかりすることはありません。

 

ノートパソコンでも以下の商品を用いることで同軸出力することができます。

 

 

所謂「DDC」といわれる商品で、PCのUSBに入力側を接続。出力側には同軸出力端子と光出力端子がありますので、上記のデスクトップPCに増設した同軸出力端子と同じ用途で使うことができます。※2021/05/02 加筆 

 

2.2. アプリを使ってBTA30を設定

BTA30はFiiOが提供するアプリで各種設定を変更することができます。

以下、アプリを使ったBTA30設定の手順です。

 

  1. スマホのアプリ「FiiO Control」 をgoogle play(又はapple store)から入手しインストールする。
  2. 設置したBTA30をRX/DACモードにし、電源を入れ、スマホBluetooth接続(ペアリング)する。
  3. アプリを起動し、BTA30を選択する。
  4. アプリの「ステータス」が表示され、コーデックとBTA30のファームウェアVerが上部に表示されます。
  5. アプリの「TX」を選択する。
  6. 「Select input source」項目を「Coax」を選択する。
  7. 「LDAC streaming quality」項目を「Audio quality first」を選択する。
  8. 「Volume control mode」項目を「fixed at 100%」を選択する。
  9. アプリを終了し、BTA30の電源をoff。BTA30を「BT TX」モードに切り替える。

 

これでBTA30の設定完了です。次項はいよいよ使ってみます。

注意事項として、8項のVolume control mode設定の際、andoridスマホでは画面を下にスクロールできますが、iOSでは何故か下にスクロールできず、100%を選択できません。一応70%までは選択できますので、困ることは無いと思います。

 

以下、参考画像。Sony NW-ZX507、andorid 9.0。

※2項参照

f:id:miineco106:20210502121834p:plain

※4項参照

f:id:miineco106:20210502121839p:plain

※RC/DAC設定①

f:id:miineco106:20210502121843p:plain

※RC/DAC設定②

f:id:miineco106:20210502121847p:plain

※5項~8項参照

f:id:miineco106:20210502121852p:plain

※注意事項参照

f:id:miineco106:20210502121856p:plain

 

2.3. PCの設定

最後にPCの設定です。

WIN10の「スタート」→「設定」→「サウンド」メニューの「出力」の出力デバイス選択を「Realtek Digital Output」を選択します。これはPCの音声出力を同軸出力(&光出力)からの出力に変更する為です。

 

f:id:miineco106:20210503114842p:plain

 

次に「サウンド」メニューの右側にある「サウンドコントロールパネル」を開きます。

 

f:id:miineco106:20210503115039p:plain

 

「再生」タブのデバイス選択から「Realtek Digital Output」を選択し、「プロパティ」を開きます。

 

f:id:miineco106:20210503115247p:plain

 

次に「詳細」タブ「既定の形式」でサンプルレートとビットの深さを「2チャンネル、24ビット、192000Hz」を選択します。これはBTA30の同軸入力の最大値に合わせています。

最後に「OK」を押してPC設定終了です。

注意事項としてはPCで使用している再生ソフトの「出力」設定も同様に行ってください。

 

2.4. イヤホンとの接続

それではいよいよイヤホンとの接続、ペアリング設定です。

ここではLDAC受信可能なイヤホンとして以前レビューしたAUSOUNDS AU-Flex ANCを例に説明します。勿論Sony WH-1000XM3でも問題なく使用することができます。

 

※よろしければAUSOUNDS AU-Flex ANCのレビューも参照ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

最初のペアリング手順は以下の通りです。

 

  1. BTA30をTXモードにする。
  2. BTA30の電源を入れる(PAIRボタンの上のLEDが青色点滅する)
  3. BTA30のPAIRボタンを3秒長押しする(PAIRボタンの上にあるLEDが赤色青色が交互点滅)
  4. イヤホン(ヘッドホン)の取説に従いペアリングモードにする
  5. BTA30とイヤホンのペアリングに成功し接続が確立するとPAIRボタンの上にあるLEDが白色で点灯する。
  6. 接続解除はイヤホンの電源を切る又は、BTA30の電源を切るだけ

 

これだけです。

二回目からはBTA30の電源を入れた後にイヤホンの電源を入れると自動的に接続します。例えばWH-1000XM3やWF-1000XM2はそれで自動的に繋がります。

 

※5項参照

f:id:miineco106:20210502183428j:image

 

注意事項として、AUSOUNDS AU-Flex ANCは接続に癖があります。

以下その手順。

 

  1. BTA30の電源を入れた後にPAIRボタンの上にあるLEDが青点滅する。
  2. そのまま暫く待つ。
  3. BTA30のPAIRボタンの上のLEDが青色二回連続点滅する(点滅イメージは点灯、点灯、消灯、点灯、点灯、消灯の繰り返し)。
  4. BTA30がその状態になったらAU-Flex ANCの電源を入れる。
  5. AU-Flex ANCがピーっと鳴り、BTA30のPAIRの上のLEDが白色点灯すれば接続確立です。

 

Sony製品の様に二回目以降の接続は電源を入れるだけとは少し異なりますので注意が必要です。

また、同様の手順で例えばaptX HD受信対応イヤホンやヘッドホンも使用可能です。その際はPAIRの上のLEDが以下の色で点灯しますのでコーデックが何で接続されているか判別可能です。

 

  • LDAC・・・白色
  • aptX HD・・・紫色
  • aptX LL・・・緑色
  • aptX・・・黄色
  • AAC・・・緑青色(RXモードのみ対応)
  • SBC・・・青色

 

それでは次項ではいよいよLDACの実力を確認してみます。

 

 

3. BTA30のLDACを試す

前項までにBTA30の設置と設定及び、イヤホンとの接続が完了しました。

それではいよいよBTA30のLDACの実力を試して、まとめていきます。

 

3.1. 接続品質

先ず気になるのは接続品質です。BTA30のLDAC送信を音質優先モードに設定(アプリで「LDAC streaming quality」項目を「Audio quality first」を選択)していますので、家の中でどれだけの接続品質を確保できるのか?

結論から云えば、何の心配も要らないです。

壁を隔てた隣の部屋に居ても途切れる様子はありません。それはBTA30の送受信には送受信距離30mを実現するBluetooth接続用外付け高ゲインアンテナが搭載されていて、その実力は高いことを実感できます。

 

3.2. 音質

今回はAUSOUNDS AU-Flex ANCでテストをしています。というよりもBTA30購入後、ずっとこの組み合わせで愛用しています。

前述の通り、LDACでは送信する音楽データをほぼ劣化させることなく受信することができます。そのため送信でハイレゾ音楽データ24bit/96kHzをPCで再生すれば、ダウンコンバート(音楽データ量が小さく変換)されることなくそのままの音楽データとしてBluetoothで無線送信されます。LDACのデータ転送量は990kbps(音質優先設定時)となりますので、LDAC受信可能なイヤホンやヘッドホンでハイレゾ音楽データ24bit/96kHzをほぼそのまま受信し理論上ほぼそのままの音として聴くことができます。

実際に聴いてみた感想としては、有線接続で聴いたハイレゾ音楽データの曲と同様に各音域に音の厚みがあり、高音の上の方と低音の下の方の音もしっかりと感じることができます。少なくてもAACやaptXで接続したときの様なあっさりとした音とは違い「もうこれで十分じゃね?」と。もちろん厳密にいえば有線接続よりもSNは劣る印象をうけます。しかし、それも前述するハイエンドDAPでは勿論のこと、ハイクラDAPとの聴き比べであればやっとその差があると感じられるレベルで、ミドルハイモデルではその差を感じない印象です。

これは「所詮無線でしょ?」と馬鹿にできない位、LDACは高音質と云え、エントリーからミドルモデルまでのDAPであれば有線接続との明確な音質差が無いと感じました。

 

3.3. 使い勝手

前項でLDACは高音質で音楽を聴くことができると感じましたが、今度はその使い勝手についてです。

これはもう有線接続との比較するまでもなく、ケーブルレスによる自由度は勝負になりません。これまではPCで音楽を聴いたり動画を観たりする際にPCの前に居るしかなく、飲み物を取りに席を立つ時にはイヤホン又はヘッドホンを外すしかありませんでした。

これからはそのまま席を立ち、なんなら飲み物を用意したり、料理したり、家事をすることができる便利さは、最早比べることが失礼なほどの。FREEDOM、Excellentという単語が自然にこぼれニヤついてしまいます。

 

3.4. PCオーディオの高音質化

この項では少々オーディオマニアっぽい話になりますので、不要な方は読み飛ばしてください。

さて、散々LDACを活用したPCオーディオを推してきましたが、実は更なる高みを望むことができます。

それはPCと同軸デジタルケーブルで接続したBTA30から送信される音はあくまでもそのPCのオーディオチップの音という事です。また、有名国内外メーカーの製品であれば多くの場合、受信側のイヤホンやヘッドホンにもオーディオチップが搭載されていて、そのメーカー音として味付け(調整)されていて、今はこの音を聴いていることになります。

つまり、DAP同様にDACチップを通すことで、前述のDAPDACチップの音の傾向にすることが可能となります。

 

3.4.1. 追加で用意するもの

先ずは何はともあれDACです。

条件に合うものを色々探しましたが、なるべく安価に。そして、BTA30に同軸デジタル入力可能なようにその出力があること。別の据え置きヘッドホンアンプにも出力できること、という条件で見つけたのが、TOPPING D10Sです。

 

 

こちらは知る人ぞ知る中華DACDDC)です。D10Sは電源入力兼用のUSB入力のみとなりますが、DACチップにESS9038Q2Mをシングル搭載しアンプ部にはLME49720を使っています。また、そのLME49720はDIP ICで搭載され、しかも基板にはソケットタイプで実装されていますので、自己責任となりますがオペアンプ交換も楽しめますし、何よりもネットでの評判も良かったことが購入した決め手です。そして2.1.項で触れたノートパソコン用の同軸出力端子増設用のDDCとしても使えます(価格が4倍強違いますが)。※2021/05/06 誤記修正

これの唯一の不満はD10Sの電源ON/OFFはPCの電源ON/OFFと連動している為、PCを起動しているときはD10Sも電源が入っていて、音楽を再生していなくてもディスプレイにサンプリングレート表示されたままです。

 

3.4.2. TOPPING D10Sの設置

これまでBTA30の同軸入力端子にはPCの増設した同軸出力端子ボードブラケットと同軸デジタルケーブルで接続していましたが、それを変更します。

 

  1. TOPPINGのメーカーHPからD10S用のドライバをDLする。
  2. DLしたD10S用のVer4.86をインストールする。
  3. PCの電源を切る。
  4. D10Sの背面にあるUSB入力とPCのUSB-Aを付属のケーブルで接続する。
  5. PCの背面に増設した同軸出力端子へ繋いでいる同軸デジタルケーブルをD10Sの背面にある同軸出力に繋ぐ。

 

これだけです。これまでのPCとBTA30の間にD10Sを入れることで、D10Sによるデジタルtoデジタル変換(DDC)を通すことでUSB出力の意図しないノイズを減らし、PCマーザーボードの音よりも高音質でBTA30からLDACで無線送信可能です。※2021/05/19 修正

つまり従来のPCの音、マザーボードのオーディオチップの音から、ESSのハイエンドDACチップ同等のESS9038Q2Mの音を楽しむことができます。

 

3.4.3. D10Sを通すPCの設定

2.3.項のPCの設定同様にWIN10の設定、サウンド画面を開きます。

「出力」の出力デバイス選択を「TOPPING USB DAC」を選択します。

 

f:id:miineco106:20210503120119p:plain

 

次に「サウンド」メニューの右側にある「サウンドコントロールパネル」を開きます。

 

f:id:miineco106:20210503120145p:plain

 

「再生」タブのデバイス選択から「TOPPING USB DAC」を選択し、「プロパティ」を開きます。

 

f:id:miineco106:20210503120208p:plain

 

次に「詳細」タブ「既定の形式」でサンプルレートとビットの深さを「2チャンネル、24ビット、192000Hz」を選択します。これはBTA30の同軸入力の最大値に合わせています。

最後に「OK」を押してPC設定終了です。

注意事項としてはPCで使用している再生ソフトの「出力」設定も同様に行ってください。

 

3.4.4. D10Sを通したLDACの音質

従来のPCから直接BTA30に接続した音からは高音と中音域の見透しが良くなった印象です。また、低音域も従来の量感のある音からはそれが控えめになりますが、その分解像感が良くなった印象です。全音域でPC直接の音からは解像感の向上を感じられ、高音、中音域がすっきりクリアに感じられます。そのため、ボーカルもよりクリアに聴こえ、総じて高音質と感じられるようになりました。

また、D10Sを追加することで音質改善を感じられますが、ここまでくると本当にハイエンドクラスDAPの有線接続した音とも遜色ないレベルに感じられます。

 

3.4.5. 【番外編】D10Sとヘッドホンアンプの接続

3.4.1.項でTOPPING D10Sを選んだ理由に「据え置きヘッドホンアンプとの接続ができる」事を挙げています。この場合ではBTA30との組合せと違いD10SのDACを通りますので、更なる高音質化が期待できます。※2021/05/19 修正

手持ちのアンプが同じメーカーのTOPPING A50Sでしたが、イヤホンを有線接続で使用するにはローゲイン(0db)でもパワーがあり過ぎる為、使いどころが難しく、よりローゲイン(-9db)で使用できる別のヘッドホンアンプとして同じメーカーのTOPPING L30を購入しました。D10SとL30の接続にはRCAケーブルを使用しています。

L30はTOPPINGの据え置きフラッグシップヘッドホンアンプ、A90のシングルエンド回路に採用した技術を踏襲しており期待できます。

実際に聴いてみた印象はA50Sよりも静寂を感じます。また音の輪郭もはっきりとしており、AKMのDACチップとの相性が良さそうに感じます。まあ、D10SはESSのDACですが、それとの接続でもその片鱗を窺える出音と感じます。一方A50SはAKMのDACよりもESSのDCとの相性の良さを感じます。これは素直にL30がAKMのDACとの組合せをE30で提供していること。A50SはD50SでESSのDACとの組合せを提供していることからも納得できます。

という訳で、これによりPCオーディオを無線接続だけでなく、有線接続でも良い音で楽しめる環境を整えることができました。これでも総額約4万円です。エントリーハイモデルのDAPを購入する予算内で、それよりも高音質のPCオーディオシステムが完成し満足感は高いです。

 

f:id:miineco106:20210502181951j:image

 

 

4. BTA30の総評

さて、FiiO BTA30はミドルクラスDAPの有線接続とその差を感じない音をBluetooth接続でありながらも、無線コーデックLDACにより実現できるPCオーディオシステムを充実させるコンポーネントとまとめました。

更には安価なDACの追加によりハイクラDAPと遜色のない音を得られるシステムにアップデート可能です。

そしてBTA30はレシーバー機能(RXモード)やDACモードでも使用可能な多機能型高音質LDACトランスミッター/レシーバーとして、拡張性を備えた商品と云えそうです。

尤も、その機能を最大限使用する為には、実は結構な準備が必要なため、ある程度の知識を持っているオーディオファンが使用することを想定しているのかもしれません。

まあ、そういうところが中華商品と云えますし、国内メーカーには真似できない柔軟性なのかもしれません。

 

最後に、今回は中華Bluetoothトランスミッター/レシーバーの紹介となりました。発売当初AliExpressでは「おま国」だったために、国内代理店の取り扱いを待って、家電量販店で購入しました。現在AliExpressでは日本への発送をしてくれるところもありますし、国内販売価格とは1,000円強の差しかありませんので、その保証を考慮すると国内での購入が安全かもしれません。

現在(2021年5月1日)はAliExpressやamazon、国内家電量販店等で発売されており、AliExpressで10,000円を切る価格で購入可能。一方国内でも12,000円前後で購入可能です。一般的にはAliExpressの方が安価に入手できますが、その入手性には現在特に難があります。とはいえこれまでの中華製品の中でも安価な実売価格でありながら、その機能を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっておりますので、この商品を検討している方は保障の面からも安心確実な国内での購入を。少しでも安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

なお、繰り返しますが、本記事の中でデスクトップPCを選択している様な方はそのスキルがあるからこそだと考えています。そのため、「自己責任」が前提となり、本記事を参考にし作業した結果の損害はいかなる場合も負いかねます。それをご了承いただいた上でご参考ください。

 

 

あとがき  

あとがきとして、今回は中華製のBluetoothトランスミッター/レシーバーをPCオーディオで活用する為に何が必要か。それをどの様に使うのかをレビューとしてまとめてみました。今までのイヤホンとは勝手が違いかなり構成を考えました。これを読んでくださる方が何故このサイトにたどり着いたのか?を重視してまとめています。そしてこの記事はかなり長い間構想を練り、やっと書き上げることが出来た記事です。自己満足の域を出ませんが、達成感はありますね。皆さんに少しでも参考になれば幸いです。

一方、日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみです。今後も低価格?を中心に、複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンや、中華DAC及びヘッドホンアンプにも挑戦していきたいと考えていて、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

※2021/05/02 2.1.項に「ノートパソコンへでBTA30を使う場合」を加筆。その他誤記修正等。

※2021/05/03 2.3.項及び3.4.3項に「PCの設定」を追加

※2021/05/06 誤opa1612、正LME49720に修正

※2021/05/19 D10SのDDC機能とDAC機能の誤記を修正