こんにちは。
今回はいつもの中華イヤホンレビュー編として、中価格A10000帯で発売された1PD+1DDハイブリッドドライバモデルのSeeAudio x Z Reviews Rinkoについてレビューをまとめたいと思います。
国内amazonのHiFiGoで取扱があります。
US amazonでも取扱があります。
AliExpressでも取扱があります。
HiFiGoサイトはコチラ↓
SeeAudio x Z Review Rinko 1DD+1Planar Dual-Driver Hybrid IEMshifigo.com
- 1. SeeAudio x Z Reviews Rinkoについて
- 2. SeeAudio x Z Reviews Rinko実機レビュー
- 2.1. SeeAudio x Z Reviews Rinkoのパッケージング
- 2.2. Rinko Touchレビュー
- 2.3. SeeAudio x Z Reviews Rinko実機レビュー
- 3. SeeAudio x Z Reviews Rinko音質レビュー
- 4. SeeAudio x Z Reviews Rinkoの総評
- あとがき
1. SeeAudio x Z Reviews Rinkoについて
SeeAudio x Z Reviews Rinkoは中価格A10000-U20000帯中華イヤホンのデュアルドライバモデルとして今年4月に新発売されました。
SeeAudioは中華イヤホンの新興メーカーです。SeeAudioは音質に定評のあるブランドとして注目されており、旗艦モデルのKaguyaやミドルレンジモデルのYUME IIやBraveryは同社の代表モデルです。そして、同社のブランドキャラクター「Rinko」は同社の商品と共に注目されています。2021年からは国内で正規販売が始まり、近年注目のメーカーと云えます。
そのSeeAudioが今回Z Reviewsとのコラボレートにより同社のブランドキャラクターの名を冠する「SeeAudio x Z Reviews Rinko」を発表しました。Z ReviewsはRinkoのチューニングを評して、「強力でタイトなローエンドを持たせると同時に、ミッドレンジのレスポンスを改善しボーカルの熱量を加えました。このIEMは、価格を上回る価値を目指しハイエンドに遜色の無い音色を耳に届けてくれることを目指しています。」と説明。加えて、「Rinkoは間違いなく同価格帯の中でも競争に勝ち抜き、他のIEMを凌駕すると思います。」とも。その言葉通り、SeeAudio x Z Reviews Rinkoは販売価格が13,000円とこれまでの同社のイヤホンとして非常に競争力の高い価格は、その音質次第では国内で正規販売されている国内や海外有名メーカーの中価格A10K-U20K帯の勢力分布にも大きく影響することは間違いありません。
さて、SeeAudio x Z Reviews Rinko(以下Rinko)のスペックですが、平面磁気駆動ドライバ(PD)とダイナミックドライバ(DD)の異なるドライバ2基を同軸配置するデュアルドライバ構成の1PD+1DDハイブリッドドライバモデルです。
平面磁気駆動ドライバには新開発の6mm径ドライバを採用。この平面磁気駆動ドライバは従来の平面磁気駆動ドライバとは異なりかなり特殊な構造です。二つの円周マグネットを内外並列に配置。それを超薄膜ダイヤフラムを挟み込む独自のマイクロ平面ドライバを採用し高音から中高音域を担います。中低音から低音域用を担うダイナミックドライバにはカスタマイズされたダイナミックドライバを採用。それら二つのドライバを同軸配置し、PCBによって各ドライバのクロスオーバーを調整し音質を整えています。Rinkoはこの二つのドライバによって優れた応答性の高音域と深みのある低音域を実現し高音質化を図っています。
次にイヤホン本体には樹脂3Dプリント技術によるシェル内部を音響キャビティ構造とし、フェイスプレートにはアルミニウム合金の金属製を採用。特に現在主流の3Dプリンタによる高精度で自由度の高い造形が二つのドライバを確実に固定し設計通りの音響空間を確保できます。
更に付属イヤーピースにもZ ReviewsことZeosこだわりのシリコン素材とフォーム素材を組合せたハイブリッドイヤーピースを採用し、安定した音質と装着感を得られます。安価な中華汎用イヤーピースを交換前提で付属している訳ではありません。
最後に付属ケーブルです。高純度の4N無酸素銅(OFC)線の銀メッキ線を撚線としたものを採用しています。中華イヤホンメーカーでは付属ケーブルはリケーブル前提で質を落としコストカットしているところもありますが、高品質ケーブルを付属しています。
※宜しければ過去記事もご参考ください
SeeAudio x Z Reviews Rinkoの納期として今回HiFiGoでオーダー、1週間強で届きました。現在(2023/4/14)は国内amazonでprime扱いとなっています。昨今、HiFiGoやAliExpressで購入した本国発送の場合でも以前の様な感染症の影響で遅延は少なくほぼ回復したと云えます。尤も、万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかるのが、海外通販のリスクです。
そんな訳で一般的に海外通販での購入は国内通販で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが偶に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットがありましたが、最近では円安でその恩恵も受け難く、国内では入手できない商品を早く手に入れる事がメリットと云えます。それらを天秤にかけた場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。
2. SeeAudio x Z Reviews Rinko実機レビュー
それでは、実機レビューを以下、まとめていきます。
2.1. SeeAudio x Z Reviews Rinkoのパッケージング
先ずはRinkoから。
パッケージングは白を基調としたRinkoのイラストが目を引くスリーブタイプの化粧箱です。※s/nの黒塗りご容赦ください
スリーブを外すとスリーブのポップさからは打って変わり内箱は春っぽい桜模様の白箱に「SeeAudio」と表記されているシンプルなもの。
内箱の蓋を開けるとRinkoのイラストが印刷されたスタンドが。
スタンドを取り出すと白地のプラ製台座にイヤホン本体とケースが収納されています。
イヤホンケースには付属品が収納されています。
付属品はシリコンとフォームのハイブリッドイヤーピースがS、M、Lの3種1セット。他にはケーブル、イヤホンケース、Rinkoスタンドです。中価格A10,000-U20000帯としてやや寂しい付属品となります。また、今回別途添付のRinkoアクリルスタンドが付属しました。
※メーカー名入りのイヤホンケース(ジュエリーケース型)
※Rinkoイラストのスタンド(色紙タイプ)
※Rinkoアクリルスタンド(黒Rinko小悪魔風)
そして更にSeeAudioとZeosが手掛けたアイテムにPC用キーボードのキーキャップがあります。今回はイヤホンとセットで入手しました。
2.2. Rinko Touchレビュー
先ずはパッケージングから。
Rinko Touchの化粧箱もポップな装いでRinkoがカラープリントされたスリーブケースタイプの化粧箱です。
内箱はシンプルな白箱です。
内箱を開けるとRinkoがプリントされたキーキャップが収納されています。
収納ケースは三段になっていて、お使いのUS配列のメカニカルキーボードに応じてメインの文字列類に加え、オプションとしてテンキーや方向キー等、61-104キーに対応しています。
それでは早速手持ちのKeychron K10のキーキャップを交換してみます。
K10オリジナルの生真面目さから一変。文字キーが白ベースのポップで明るいキー配列に所有感が満たされます。キー配列最上段のファンクションキーも付属していますが、Fn1-12の機能を全て覚えられないので、K10オリジナルのままにしています。
Rinko Touchのキーの高さがK10オリジナルよりもやや低いので寧ろFn1-12キーとの高さのバランスは良いと感じます。このK10は青軸なのですが、キーキャップを交換しても当たり前ですが打鍵感に変化は無く、Rinkoキーキャップがやや背が低いもののストロークにも影響は無く、寧ろ低くなったことで指送りがスムースになった様に錯覚します。指触りも良いキーキャップはイラスト重視と侮ることはできません。そして相反しますが、何よりもENTERキー付近のRinkoがプリントされたキーが遊び心を刺激し自分だけのオリジナルキーボードへの満足感が高いです。
満足感の高いRinko Touchですが、個人的に惜しいと感じたのはK10オリジナルは自光式(実際にはバックライトが光る)キーキャップなのでキーにプリントされた文字が光りますが、Rinko Touchは光りませんのでK10のバックライトがキーの隙間から光るだけになります。日本で態々USキーボードを使うユーザーとしては自光式文字キーは採用して欲しかったです(まあ光らなくても困ることは全くありませんが)。
また注意点として、先述した通りFn1-12キーもRinko Touchには付属していますが、キーボードメーカーによってオリジナル機能を割り当てていることもあります。そのため何の機能が割り振られているのかが分からなくなる心配があります(覚えれば良いだけですが)。加えて、RinkoイラストがプリントされたENTERキー付近のキーには一部を除き文字が印字されていません。そのため何のキーなのか覚える必要があります。まあ、キーキャップを交換するくらいのユーザーが困るレベルの話ではありませんね。
- Rinkoイラスト有/印字有キー BACK SPACE、\
- Rinkoイラスト有/印字無キー ]、ENTER、/、shift、win、Fn、CTRL
HiFiGo Storeと国内amazonのHiFiGoでのみRinko Touchキーキャップを約9,000円で購入する事ができます。また、HiFiGo StoreではRinkoイヤホンとこのキーキャップをセットで購入も可能です。※1
アクリルスタンドだけでなく、PC用キーボードのキーキャップという新たなグッズの展開はファンには堪らないですね。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0C1GCQW2V/mechkeys+rinko+touch/
次にイヤホン本体を見ていきます。
2.3. SeeAudio x Z Reviews Rinko実機レビュー
お待たせしました。以下、イヤホン実機です。
ビルドクオリティは中華イヤホンで心配されるような雑なところ感じさせません。中華イヤホンの低価格帯でよくあるようなシェルの合わせ面等のズレや隙間は無く綺麗に仕上がっています。
カラーバリエーションは黒色のみ。
次にケーブルをみていきます。
付属ケーブルは先述の通り高純度の4N無酸素銅(OFC)線の銀メッキ線を撚線としたものを採用。プレイヤー側プラグはI字、イヤホン側は埋め込み2ピン仕様、イヤホン側コネクタの極性は上がプラスです。
この付属ケーブルはケーブル被覆のゴム質がやや強めで引っ掛かりがあります。そのため少々絡まり易いものの、しなやかさがあり耳への装着性や使用感は悪くありません。イヤホン側にはシュア掛け用にチューブで癖付けされ、中価格帯に付属するケーブルの中でも悪い印象はありません。ガンメタリックカラー被覆のケーブルは黒いシェル本体ともマッチしています。
参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、私はこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。
続いて他機種とのサイズ感や造形の比較です。
※画像左からSeeAudio x Z Reviews Rinko、7Hz LEGATO
SeeAudio x Z Reviews Rinkoは比較的オーソドックスなシェルの造形です。そのシェルのサイズは比較的コンパクトです。LEGATOとの比較ではどちらも特徴のある造形ですので似ているものは思いつきません。
Rinkoは樹脂シェル本体と金属フェイスプレートのためそれほど重量を感じません。耳への装着感の良さもあり重量は感じません。LEGATOはオール金属シェルのためRinkoよりも重量を感じます。
ステムノズルの長さや太さと角度はRinkoはやや短く、一般的な太さ。角度は起きています。LEGATOはそれと比べ長く、太さがあり角度はそれよりもやや寝ています。ステムノズルには金属フィルタがあり、Rinkoはダストフィルタ機能として。LEGATOは外側金属フィルタですが、内側に繊維フィルタがありためそれとは異なり音質に影響があるタイプです。
そして、シェル本体の形状と付属ケーブルからは両機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。
なお、装着感はステムノズルの長さや太さに影響がありますので、イヤーピースのフィッティングは重要となります。
最後に付属イヤーピースです。
傘がシリコン素材、傘の内側にフォーム素材のインナーが入っているハイブリッドイヤーピースが付属しています。
Zeos拘りの付属イヤーピースです。音質への影響を抑えながら耳への密着感を重視した結果、先述のハイブリッドイヤーピースが標準付属となっています。外側の傘は非常に薄く柔らかい材質です。軸と外側の傘の間にはフォーム素材が組み込まれており、反発力によって耳の中でしっかりと固定してくれますし、耳穴の密閉度も高くなります。
フォームタイプは一般的に高音域を減衰させる傾向があり、好みが分かれると思いますが、一般的なフォームタイプよりも比較的開口部は大きめで、ダイレクトに音を伝えてくれます。
付属タイプを試してみると低音がかなり主張させてくるタイプ。ただ膨らむというよりは全体の音域の中でも低音が目立つかなという印象です。音質的には好みにもよると思いますが、個人的には手持ちのSedna EarFit Shortが低音も損なわずに高音とのバランスがしっくりきました。このイヤーピースを私は耳の奥に栓をするように装着しフィットしています。
低、中価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じます。今回は中価格帯に付属するイヤピで上手くフィットしたものの、低音域の膨らみが気になり手持ちのイヤピを使用しました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。
このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感はもとより音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えない他社製へ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)
3. SeeAudio x Z Reviews Rinko音質レビュー
それではいよいよ音質についてまとめていきます。
昨年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホはSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。
UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音に脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。
そのため、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5はモニターライクながらも決してつまらない音ではなく、リスニングでも使えて万能と考えています。
Shanling UP5をUSB-DACとして使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。
より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。
Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。
USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。
Shanling UA2は以下を参考ください。
それでは実際に聴いてみます。
ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。
先述の通りイヤピはSedna EarFit Short MSサイズ、付属ケーブルです。
箱出しで聴いてみた第一印象は「豊かな低音域としっかりとした中高音域のドンシャリ」でした。
箱だしでは高音域に対し低音域がやや量感多めに感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音は適度な量感になり高音域ののバランスが丁度良い塩梅になりました。
音場
空間の広さを感じ易い。前後は奥行があり、左右の空間を感じられ、立体感を感じられます。
高音域
煌びやかさがあり響きも良好です。上までの伸びやかさを感じ、十分な存在感がある華やかさのある高音域です。シャンシャン、シャリシャリと騒がしさを感じる様な主張の強さではない、強く前にでる音と小さく爽やかになる音が共存し、ごちゃつきを感じない分離の良い音は不自然さを感じ難く解像感も高い。複数BA機の高音の様な華やかさとシングルDD機の自然な音色の整った高音を両立しています。刺さりや尖りを感じない統制された出音は鮮明に耳に届きます。
中音域
華やかに鳴りますが、ごちゃつきを感じ難い整理された音。音が真ん中に集まる団子感や音が重なるゴチャつきを感じない立体感を感じられる鳴り方。音に広がりのある響きの良い音です。ボーカルはクリアでやや近い位置。声音は自然でニュートラル。息遣いを感じ易く声の揺らぎを感じられます。
低音域
量感は適度で響きや広がりを感じられ、音階や強弱といった低音域の解像感は良好です。音の広がりや響きの良さがありますが、適度に締まった芯のある音はやや強めの出音に感じられるものの不自然に誇張した音ではなく低音が効いていると十分感じられます。ベースラインは追いやすく、ボーカルよりも前に出るような主張ではなく曲調を支えます。重低音は沈み込みは深く、強さがあり、過不足を感じません。
出音のバランス
一言で云えばやや中低音寄りの弱ドンシャリ。高音域は明るく華やかにしっかりと鳴らす音。低音が音域の中ではやや強め。不足を感じない鳴り方は他の音域がかき消されるような下品な出音ではなく、バランスが良いドンシャリは心地良い音。所謂ハーマンターゲット近似の音ではありますが、低価格帯のそれとは異なり本来の音と云えるのかもしれません。
高音の煌びやかさは近くの強めの音と遠くの小さな音が感じられ、その距離感が掴みやすく、音の響き、その音の消え入る様を感じられます。華やかで明るい音は鮮やかに明朗に耳に届きます。必要な時に必要な量を鳴らし、不快な音にならずに不足を感じない鳴り方は複数BA機の華やかな高音域が好きな方にも不足感を感じ難いと思います。一方で複数BA機の高音域が得意ではない方にも十分な解像感と適度な華やかさが丁度良く感じられるのではないでしょうか。
中音は凹みを感じません。ボーカルがやや近い位置にあるのに対し楽器の音はその周りから少し離れやや後ろ辺りに位置し奥行を感じられます。音の距離感が良好で華やかさのある音なのに音が重なったりごちゃごちゃしていない。統制された音は空間に整理されて聴こえますので聴き難い、聴き辛い印象はありません。
ボーカルはクリアで周りの音や高音や低音にも埋もれません。やや近い位置から聴こえ、その声色も自然で息遣いを感じられ艶を感じられます。平井堅の声の揺らぎは彼の独特な声音をリアルに再現してくれます。女性ボーカルのバラードでしっとりとした艶のある声を楽しめますし、アップテンポな曲でも重さを感じさせずに伸びやかさ軽やかさも感じられます。
低音の量感自体は適度ですが、響きや広がりがありながら締まりもありタイトに感じられます。曲に依ってその曲が表現したかった低音域をちゃんと魅せてくれる。音の表現力が高い。そのため音階は勿論のこと、強弱、大小、遠近を感じ取れる解像感は曲の世界観を損なわずに没頭させてくれます。
重低音は沈み込みは深く、強さのある音はただ強く大きな音で鳴らす音ではない表現力の豊かな音。尾を引かない適度な伸び。適度な量感の重低音は低音域の質感の高さを感じられます。
Rinkoは音楽を聴く事に純粋に楽しめる出音は高音と中音域の聴きやすさと低音域の質感の高さを備えており、ただ出音のバランスを整えた何処かだけを強調していない解像感重視の音とは一線を画しています。
他機種との比較として、先ず7hZ LEGATOとの比較ではLEGATOは中低音に厚みのある重厚サウンドが特徴です。どちらも単純な低音ホンではなく、高音域もしっかりと鳴る中低音寄りのドンシャリサウンドバランスですが、LEGATOの方が中低音域に厚みがあります。高音域はLEGATOの強めのスパイスは解像感よりも味付けを重視したものという印象です。
次にTRIPOWIN Rhombusとの比較ではRhombusのドンシャリの出音が音楽を純粋に楽しめる音。狙う方向性が同じなのだという印象です。単純な強さではRhombusの方に分がありますが、質感はRinkoが一枚上手。そういう意味では愉しさはRhombusの方がやや有利でしょうか。Rhombusは厚い低音の上にある高音域の清々しさはが特徴であり出音の強さはRinkoの方があります。
最後にBQEYZ TOPAZとの比較ではTOPAZの中高音重視の音は中低音寄りのドンシャリサウンドのRinkoとは志向の異なる音。TOPAZの瑞々しいリスニングサウンドはRinkoの豊かな低音と明るい鮮やかな高音域のドンシャリとは相反する音です。
※以前のレビューもご参考ください
まとめるとSeeAudio x Z Reviews Rinkoの弱ドンシャリは豊かな低音域に明るく鮮やかな高音域が心地良く、音楽を愉しく聴く事の出来る音造りは聴きやすい、バランスの良い音を聴かせてくれます。日本国内では中高音域がクリアで高音が上の上まで伸びる音が人気ですが、海外では人気のある音造りと云えそうです。日本国内でも普通に流通していますし、愛らしいキャラと共にコレクションアイテムとしてのイロモノではなく、価格帯では文句なく高音質という評価と云えます。
個人的に音楽を楽しめる出音は高音と中音域の聴きやすさと低音域の質感だと考えています。ただ単に出音のバランスを整えた何処かだけを強調していない音は音を聴いているのか曲を聴いているのかわからなくなりますが、音楽を聴く楽しさを純粋に楽しみたい方にお勧めできます。
一方で中華イヤホンに強ドンシャリバランスを求める方や中高音域のクリアさと解像感を重視し低音は要らない、邪魔という方には評価が分かれてしまうかもしれません。
高音 Rinko ≧ Rhombus ≧ LEGATO (出音はLEGATO)
中音 Rinko ≧ LEGATO ≧ Rhombus (出音はLEGATO)
低音 Rinko ≧ LEGATO ≧ Rhombus (出音はRhombus)
ボーカル Rinko ≧ LEGATO ≧ Rhombus (質感の順)
4. SeeAudio x Z Reviews Rinkoの総評
SeeAudio x Z Reviews Rinkoは同社のオリジナルキャラが目立つイロモノモデルと誤解されてしまうかもしれませんが、実に真面目に音づくりをした音楽を愉しめる高音質モデルと云えそうです。低音域を充実させた音造りは一般層には受けが良く海外では高評価となりそうな音質傾向ではありますが、日本国内のポータブルオーディオファンには高音域中心の音が好まれる傾向があり、評価は分かれそうです。
それでも、同社の云う「高価格帯Killerモデル」は中華イヤホン高価格A20K帯より上のモデルを追い詰める存在に成り得そうです。
なによりもRinkoファンはコレクションに加えても損はしないと思います。
最後に、今回は今年4月に発売された中価格A10000-U20000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2023年4月14日)はHiFiGoで13,000円台で販売し、国内amazonではprime扱いの13,000円台となっていますので気になる方はお早めに。海外通販で購入するとしてもHiFiGoの発送は早く届くのも早い印象があります。これまでの中華イヤホンの中では手頃な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは十分満足できる内容となっておりますので、中価格帯中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、新製品を少しでも早く(安く)手に入れたい方はHiFiGoでの購入も検討してみてくださいね。
Rinko
以下、付属ケーブル、イヤピ Sedna EarFit Short MS、DAC UP5使用
高音★★★★★
中音★★★★☆ (Vo★5)
低音★★★★★
音場★★★★☆
分離★★★★★
お勧め度★★★★★
※☆0.5、★1.0
LEGATO
以下、付属ケーブル、イヤピ 付属白傘 M-、DAC UP5使用
高音★★★★★
中音★★★★☆
低音★★★★★
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★
※☆0.5、★1.0
Rhombus
以下、付属ケーブル、イヤピ Sedna EarFit MS、DAC UP5使用
高音★★★★★
中音★★★★☆
低音★★★★★
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★
※☆0.5、★1.0
TOPAZ
以下、付属ケーブル、イヤピ Sedna EarFit MS、DAC UP5使用
高音★★★★★
中音★★★★★
低音★★★★☆
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★
※☆0.5、★1.0
あとがき
今回はいつもの中華イヤホンの中価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後は低価格だけではなく、中価格の中華イヤホンも扱っていきます。
また、気になる商品が出ればチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ
※2023/04/15 誤記修正
※1:2023/04/17 国内amazonのRinko Touch購入リンク付記及び、その旨修正