みぃねこの備忘録

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KZ EDX Proレビュー ※KZ EDX、Trn MT1との比較含む

こんにちは。

今回もいつもの低価格中華イヤホンレビュー編として、1BA+1DDハイブリッドモデルではなく1DD、シングルダイナミックモデルのKZ EDX Proについてレビューをまとめたいと思います。

AliExpressのKZ Official Store等で取扱があります。

 

ja.aliexpress.com

 

国内amazonでもWTSUN Audio(@bairon98766334)で取扱があります。

 

 

 

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1. KZ EDX Proについて 

KZ EDX Proは昨年夏の終わりに登場しました。同社の20年秋に発売されたEDXの後継モデルとしてProを冠し、前作同様にシングルダイナミックドライバのモデルとして絶賛発売中です。

EDXといえば、21年は低価格帯の中華イヤホンの1DDシングルダイナミックモデルの新製品が各社から多数登場し一躍トレンドになりましたが、その先駆けとなったモデルです。

KZはやはり低価格帯の中華イヤホンのトップランナーであることを再認識したエピソードと云えます。

これまでも1DDモデルは発売されていたのに何故にEDXが話題になったのか?その理由は一つです。1,000円にも満たない価格でありながらKZらしい明るく元気で派手な音がウケた、と。

もちろんそこには他にも要素があって、例えば近年の多ドラ化と低価格化(一部は価格が上がり音質重視)による各社の製品乱発や1BA+1DDハイブリッドモデルの成熟と価格帯のアップ(とはいえ1K台→3K前後)は、ユーザーが食傷気味となり市場の停滞感が感じられていました。

それ故に中途半端に高い(とはいっても5K~7K)多ドラモデルよりも僅か数百円でコンビニレジ前の駄菓子感覚に購入できるEDXが音が良いと評判になれば各社も追従し一躍トレンドになるのは必然と云えます。この辺りはKZが上手く仕掛けたとも云えると思います。

 

そして昨年ヒットしたEDXの後継モデル、EDX Proが登場し直ぐに購入していた訳ですが、何を思ったか半年放置。とっくに旬は過ぎ去っています。それなのに今更レビューを書いているのはけじめの意味もありますが、低価格帯1DDモデルの総まとめの意味を込めてレビューを書こうと思ったからです。結論としてはKZ EDX Pro以降も低価格帯1DDモデルは登場していますが結果として全てスルーしています。この理由はこのレビューを最後まで読んでいただき、何かを感じ取っていただければ幸いです。

 

初めに1DDトレンドについて振り返ってみます。

KZのシングルダイナミックモデル、EDXへの対抗として各社よりも遅れてTrnがMT1を発売しEDXとは異なる最近のTrnの音を低価格帯でも踏襲しメーカーの方向性を示したモデルとなっていました。その前後にはCCA CA2、KBEAR KS1、Trn CS1等、各社も同じシングルダイナミックモデルを投入してきました。KZもEDX Proの後にEDSという個性的なフェイスプレートのモデルを発売しています。

個人的にベストバイはTrn MT1です。前述の通りTrnの音、中高音の解像感を重視し低音域はその高音と中音域を邪魔しない控えめな低音域が、良く云えば国内外有名メーカー高級シングルダイナミックモデルに近しい傾向となっています。尤も、流石にそれらと比べれば搭載するドライバの質が追いついておらず、粗さのある高音と中音域に加え低音域は薄いだけという印象は拭えません。とはいえ、実売1,000円以下という価格でこの音を楽しめるという圧倒的コスパは驚異的と云え、中華イヤホンの楽しみ方として正しいものだと思います。

次点がEDXです。次点とは云いますがこの二機種が他機種から頭一つ二つ抜けだした高次元の甲乙の話。そのEDXはトレンドモデル先駆けとなりますが、KZらしい音がするKZファンには堪らないモデルです。流石にBAがない分高音域には物足りなさと荒さが感じられますが、しっかりとした低音が高音低音のバランスを整え明るく元気で派手なKZの音を実現しています。

その他は以前の1DDトレンドモデル記事でも触れた通り、BAを除いた音。かなり厳しめの評価かもしれませんが、大きく分けるとそういう区分になります。正直に云えば各社の1BA+1DDハイブリッドモデルは本当に個性があって楽しませてくれましたが、1DDモデルではそれを期待してはいけないと思いました。もちろん各社の個性を垣間見せてくれますしそういう意味で完成度の高い機種もありますが、前述の二機種には及ばないとう評価です。

心残りというかNiceHCK DB1を試せていません。巷の評判を見る限り音質傾向はMT1とEDXの間辺りと窺えます。つまり、低音には振っていない音。以前からNiceHCKオリジナルモデルは音質に定評がありましたし良さそうなので、いつか買ってしまうかもしれません。ただ、ちょっと高い。1DDモデルなのに2,000円(国内amazon)を少し超えています。MT1やEDXが1,000円ちょっと(国内amazon)で購入できることを考えると「そりゃあ良くても当たり前」とも云えますから。

 

さて、今回はKZ EDXの後継モデル低価格帯のエントリーモデル、シングルダイナミックモデルのKZ EDX Proがこれまでのシングルダイナミックモデルの中でライバル達との違いが気になります。

KZ EDX Proは昨年夏の終わりに発売され、片側に一つのダイナミックドライバを搭載するシンプルなモデルとなります。低価格帯の中華イヤホンでポピュラーな1BA+1DDハイブリッドモデルでは高音域をバランスドアーマチュア(BA)ドライバ1基がそれを担いましたが、CS1ではダイナミックドライバ(DD)1基が高音から低音域までをフルレンジで担っています。高音域の音を繊細に高い解像感で表現できるためBAは最適ではありますが、中華イヤホンの低価格帯で採用されているBAの質は残念ながら高いとは言えず、レンジが狭く音に粗さもあり解像感を重視すれば、シャープさはあるが故に尖りも兼ね備えてしまうことも。もちろんドライバの質だけでなくチューニングも重要です。高音域のBAと中・低音域のDDの各音域のクロスオーバーはメーカーの腕の見せ所となりますが、今回はダイナミック1基となりますのでその心配は不要です。

とはいえ、それらチューニング技術は数年前に比べればかなり良くなってきておりますので、期待したいところです。

 

中華イヤホンと云えば1BA+1DDハイブリッドモデルは初期ZSTの頃の1,000円ちょっとという圧倒的コスパからはやや高価になり、現在は2,000~3,000円と国内メーカーのエントリーモデルと同等となってきていています。それでも十分にコスパは良いのですが、最新モデルではEDX Proを含め敢えてシングルダイナミックドライバ1基とすることで原点回帰とも云える「鬼コスパ」を体験することができます。

 

KZ EDX Proのスペックですが先述の通り中華イヤホンの低価格帯で多く採用されている高音域用のバランスドアーマチュアドライバ(BA)を1基と中・低音域用のダイナミックドライバ(DD)を1基搭載した片側デュアルドライバ構成のハイブリッドモデルとは異なり、一つの大径ダイナミックドライバを搭載し、高音域から低音域のフルレンジを担当しています。

ダイナミックドライバにはKZで良く採用されている直径10mm二重磁気ドライバを採用。イヤホン本体はシェル本体が樹脂製。フェイスプレートは樹脂ベースに金属のワンポイント。ステムノズルはシェル一体型の樹脂製となりKZ EDXのオール樹脂製からフェイスプレートの一部に金属が使用され、MT1のステムノズルのみ金属製とは異なります。

そして大切なのはこれまでレビューした低価格中華1BA+1DDイヤホンとは異なり複数のドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングは不要。そのためシングルダイナミックドライバでは音域毎の特性、チューニングが重要になります。このチューニング次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくると云えますね。

 

※宜しければ過去記事もご参考ください

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KZ EDX Proの納期として今回AliExpressで購入し中国本土からの発送という事もあり、国内amazonのようにはいきません。今回もオーダーから2週間強で届きました。昨今、感染症の影響で中国からの輸送は平時の様にはいきませんが、それも徐々に回復傾向であり、物流の安定化までもう少しというところですね。尤も平時であればAliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. KZ EDX Pro実機レビュー 

それでは、早速実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングはいつもの白を基調とした小箱で、スリーブタイプのシンプルな化粧箱です。
箱の表にはイヤホンイラストが。裏にはスペックが記載されています。

 

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スリーブを外すと白地の内装の台座にイヤホンが収納され、台座を取り外すと箱の底に付属品が収納されています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースが白色タイプのS、M、Lの3種が計1セット。そのシリコンイヤピMサイズが本体取付け済。他にはケーブルです。A1K、実売1,000円台の低価格帯として必要最低限の付属品となります。

 

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次にビルドクオリティですが、中華イヤホンで心配されるような雑なところ感じさせない、近年のレベルアップを感じられ、KZ EDXよりもシェルの合わせ面等が綺麗に仕上がっています。カラーバリエーションはクリアとブラックとシアンがあり、今回はクリアを選択しています。

 

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付属ケーブルは昨年からKZ系で付属するタイプの茶色版。4芯OFCの並列フラットタイプが採用されています。プレイヤー側コネクタはL字タイプでイヤホン側はKZ-Cタイプ、2ピン仕様、KZ極性(上がプラス)です。

この付属ケーブルは耳への装着性や使用感は特別良くも悪くもなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。以前のKZ系に付属するケーブルよりもやや絡まり易いものの、しなやかなものとなり低価格帯に付属するケーブルの中ではそれ程悪い印象はありません。そのためそのまま使用できますし茶色ケーブルはその落ち着いた色味からは、シェル本体のクリア色と相まって綺麗で普段使いでは気になりません。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

※画像左からKZ EDX、KZ EDX Pro、Trn MT1 

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KZ EDX ProとKZ EDX、Trn MT1の外観の比較として、サイズ感や体積はほぼ同じ。三機種共にシェルの造形はカスタムIEM風のオーソドックスな横に広いタイプ。

EDX Proはフェイスプレートの一部が金属でそれ以外は樹脂製です。特徴的なのはTWSのノイキャンやLDACで有名な国内メーカーS社のカスタムIEMに(あくまでも)似たデザインです。MT1はステムノズルが金属製。EDXはオール樹脂製です。

重量は三機種共にほぼ同じ。その造形から耳への装着時には殆ど差が分からないレベルで三機種共に耳への装着感は悪くありません。ステムノズルの太さはEDX Proがやや細め。EDXはProより太くMT1より細い。MT1が金属製で1BA+1DDハイブリッドモデル共通のため太め。

ステムノズルの角度や長さについては三機種共にほぼ同じ。

また、ステムノズル部には全てにメッシュフィルターがあり異物混入による故障を防げます。三機種共の中でEDXが丸長穴、MT1が大きめの丸穴、Proは目が細かいタイプ。

そして、シェル本体の形状は3機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、先述の通りEDX Proはステムノズルはやや細めです。太いステムノズルでは装着感に影響があり、圧迫感を感じやすいですが、EDX Proではイヤーピースの大きさでシンプルに調節可能です。今回は付属の溝有白色イヤーピースMサイズを耳奥に栓をするように装着する形が音質的にもしっくりきました。

 

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付属イヤーピースはKZ系で付属する先端に溝が有る黒色イヤーピースの白色タイプで、最近のKZ系に付属しています。個人的に従来のKZ系に付属する溝有黒タイプは傘がパサついて遮音性がイマイチに感じる事が多いのですが、こちらは色の違いだけでなく傘に粘りがあってしっくりきます。

音質的にはKZ系付属溝有黒色に比べやや高音中音がクリアに聴こえるタイプに感じますが、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。

幸いこの付属イヤーピースでも私は上手く合わせられ、耳の奥に栓をするように装着しフィットしています。

低価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じますが、今回は同じ付属のイヤピ白色で十分と感じられそれを使用しています。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. KZ EDX Pro音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

昨年はSony NW-ZX507を使用していましたが、やや演出感のあるドンシャリはメリハリがありグルーブ感のある音はSonyの音で音楽を楽しく聴く事が出来ました。しかし、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5の方がモニターライクながらも、決してつまらない音ではなくリスニングでも使えて万能と考えたからです。

Shanling UP5をUSB-DACで使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

 

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低価格帯のイヤホンの場合でDAPの違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。

 
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※FiiO M5とShanling M0の比較もよろしければご参考ください。 

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属溝有白色Mサイズ、付属銅線ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「やや膨らみを感じる低音と過不足ない高音域、暖かみを感じるボーカルのドンシャリバランス」です。

箱出しではやや低音に膨らみを感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音が締まり高音もしっかり感じられます。

音場は広くも狭くもなく普通。

高音は適度な煌びやかさはありますが、主張は控えめ。その分刺さりは感じません。

低音は量感があり強さも感じられ締りとキレはそこそこ。ベースラインが目立ち追いやすい。重低音は沈み込みは深く強さも有る。

中音は適度な華やかさがありますが、主張は少なくゴチャつきも少なく感じます。ボーカルはクリアでやや近い位置から聴かせてくれ聴きやすく、曲によって近く感じます。

一言で云えば中低音寄りのドンシャリ

高音は適度な煌びやかさはありますが前に出るような華やかさではなく自然な鳴り方。主張は控えめに感じ、超高音までの伸びもそれほど感じませんが十分。良く云えば演出感の無い自然な高音。これはCCA CA2の傾向と同じですが、KZを始めとする低価格帯1BA+1DDハイブリッドモデルと比べると、やはり弱く物足りなさを感じますが、低価格帯の1BA+1DDハイブリッドモデルの有用性を証明しているとも云えます。

中音は凹みを感じ難く、楽器の音はボーカルの周りに位置し華やかに鳴りますが、ボーカルを邪魔していません。ボーカルはクリアで聴きやすく、やや低音に重なる場面もありますが、埋もれるほどではありません。

そのボーカルは暖かみを感じられ、熱量を感じます。しっとりとした雰囲気を楽しみたい場合には相性の良さを感じられます。

低音は量感がありますが、やや演出感を感じますが、適度に広がり響きがある音。そして強さがあります。その分芯のある音というよりは雰囲気がある音ですので、MT1とは真逆と云えます。重低音は沈み込みは深く強さがあり、音楽を心地良く聴くことができます。

全体的にレンジは広く無い中低音寄りのピラミッドバランスの傾向があります。中低音域がしっかりとしていて音楽を聴きやすい音ですが、ボーカルに中音域の演奏音がやや重なりごちゃつく感じはあるものの、ボーカルを中心にしっかりと聴くことができます。

 

EDX Proは最近のKZと傾向が異なり、以前レビューしたCCA CA2に似た音です。そしてEDXのドンシャリとは違いますし、MT1の中高音寄りの音とも違います。

もっと云えば、EDXの元気で派手な音はKZのそれであり、CA2の誇張の無い大人の音はCCAの音。MT1ではそれらと異なり中高音をクリアに聴かせる音で最近のTrnの音。それらとは異なっていると云えます。

正直EDXの方向で伸ばしてくれた方が個人的には嬉しかったのですが、ここにきてKZが最近のKZの音を踏襲せずに、1BA+1DDハイブリッドモデルのBA無しモデルの様な音を仕上げてきた理由に疑問をもちますが、ラインナップの都合でしょうか。低価格帯では高級機の様にドライバにコストを掛けられない制約があり、上と下のレンジが狭くなりがち。そういう意味では中高音を聴かせる為に低音が犠牲になっているMT1やBAを取り除きました感のあるEDX Proは低価格帯の限界なのかもしれません。そういう意味ではMT1はTrnの音をその価格帯でも実現しようとした感があり、メーカーとしての音づくりに納得感はありますね。

 

一昨年のEDXから始まった1DDトレンドモデルはやはり高音の伸びや華やかさが1BA+1DDハイブリッドモデルに比べるともの足りなさがあり最新1DDモデルの聴き比べからは、1BA+1DDハイブリッドの良さを再認識する結果となりました。もちろん1DDには1BA+1DDハイブリッドの様に高音域と中低音域の繋がりに不自然なところを感じませんし、1BA+1DDハイブリッドモデルではそれを高音の音数や音圧で誤魔化したことで高音域の過度な演出となっているものが多くあります。これが苦手な方には1DDの自然な音が合うと思いますし、何よりも音楽を楽しめると思います。何方も違って何方も良いと云えますね。

 

次に、代表して前作KZ EDXとTrn MT1との違いをピックアップ。

EDXは中低音寄りではありますが、EDX ProのそれはCCA CA2と同様の中低音寄りであり趣向は異なります。もちろんMT1の中高音寄り、Trnの音とは違います。ではEDX ProとCA2が同じ音かと云えばそれも違い、各社の音を造っています。CA2はEDXとEDX Proの間に位置するドンシャリですが、派手な鳴り方とは違いCCAの音と云えます。EDXはやはりKZのドンシャリを踏襲し上手く高音と低音の強さを整えた音としています。

またEDX ProはKZ EDXやCA2同様にベースラインがしっかり感じられますが、EDX Proの方がよりしっかりしていて存在感は強め。CA2やEDXも低音はしっかりしていますが、EDX Proの方がより強めに感じ、CA2、EDXと続きMT1は控えめです。

EDX Proの中音域は暖かみがあり、CA2も同様で熱量を感じます。EDXではそれらに比べるとMT1に近くドライに感じますが、それともやや違います。MT1の中音域はすっきりクリアに聴かせる音色ですが、EDX ProやCA2では低音域が多少重なると云えます。EDX  ProやCA2は中低音に豊かさを感じられます。EDX Proのボーカルは暖かみがあり聴きやすく、MT1のすっきりクリアとは違った聴きやすさです。クリアの度合いはMT1>EDX>EDX Pro=CA2ですが、明朗さクリア度合いはMT1>EDX Pro=CA2>EDXと感じます。

 

※以前のCCA CA2のレビューもご参考ください

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まとめるとKZ EDX Proは中低音重視の極端ではないピラミッドバランスのイヤホンです。高音は自然に鳴りますが中低音に比べれば相対的に控えめ、低音は強さがある音。中音域は低価格帯でよくあるごちゃ付きを感じますが、クリアです。自然で熱量を感じるボーカルは聴きやすくボーカルを楽しめるイヤホンと云えそうです。そして従来の1BA+1DDハイブリッドモデルでは派手すぎると感じる方にシンプルな1DDモデルの選択肢の一つと云えると思います。

尤もリスニング用途としての聴いていて楽しいドンシャリバランスは中華イヤホンには高音域のシャリつく刺激的な強さや低音のドンの量が多い強ドンシャリを求め、演奏メインで聴きたい方には、高音にもの足りなさを感じ評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   EDX ≧ MT1 ≧ EDX Pro (音圧の順)

中音   MT1 ≧ EDX Pro ≧ EDX (音圧の順)

低音   EDX Pro ≧ EDX ≧ MT1 (音圧の順)

ボーカル EDX Pro ≧ MT1 ≧ EDX (質感の順)

 

 

4. KZ EDX Proの総評

KZ EDX Proは最近のKZの音とは違い、少し肩透かしをされた印象がありますが、中低音寄りの豊かな低音が音楽を心地よく聴かせてくれ、ボーカルを楽しめるイヤホンとまとめました。

1,000円以下という販売価格からは国内有名メーカー等の3,000円未満のイヤホンを使っている方には、こんな世界があるのかと感動するかもしれません。それでも我々の様な中華イヤホンファンからすれば、1BA+1DDハイブリッドモデルからBAを取ったバランスではなく、1DDのみでKZの特色を出してほしかったなぁと感じています。尤も、従来のハイブリッドモデルが苦手な方にも低音の強さに問題が無ければ試して欲しい音と考えています。

そういう意味ではEDXから付属ケーブルがグレードアップし、搭載ドライバも世代の新しい二重磁気ドライバと進化ており中華イヤホンを「コスパ重視」で検討される方へお勧めできますが、中華イヤホンの刺激的な高音の強ドンシャリを求め検討されている方には注意が必要な商品ですね。

 

最後に、今回はAliExpressで先月発売された低価格帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2022年2月26日)はAliExpressやamazonで発売されており、AliExpressでは1,000円以下の価格で入手可能です。一方amazonでは本国発送の1,000円台の価格と、AliExpressの方が安価に入手できますが、その入手性には現在も難があります。とはいえこれまでの低価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっておりますので、低価格中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、少しでも安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

EDX Pro

以下、付属ケーブル、付属溝有白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★☆ 
中音★★★★  
低音★★★★ 
音場★★★
分離★★★☆
お勧め度★★★★  

※☆0.51.0

 

MT1

以下、付属ケーブル、付属イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★☆ 
中音★★★☆  
低音★★★☆ 
音場★★★☆
分離★★★☆
お勧め度★★★★

※☆0.51.0

 

EDX

以下、付属ケーブル、付属溝有白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★☆ 
中音★★★☆  
低音★★★★ 
音場★★★☆
分離★★★
お勧め度★★★★ 

※☆0.51.0

 

CA2

以下、付属ケーブル、付属イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★☆ 
中音★★★★  
低音★★★★ 
音場★★★
分離★★★☆
お勧め度★★★★  

※☆0.5、★1.0

 

 

あとがき

今回はいつもの低価格中華1BA+1DDハイブリッドイヤホンではなく同じ低価格帯の1DDモデルのレビューをまとめました。これで一通り昨年のやり残しを解消しました。次回からは新作を開始します。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後も低価格?を中心に、中華据え置き機器や複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ