みぃねこの備忘録

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Trn TAレビュー ※KZ ZEX KZ ZSN pro X との比較含む

こんにちは。

今回はいつもの低価格中華イヤホンレビュー編として、1BA+1DDハイブリッドモデルのTrn TAについてレビューをまとめたいと思います。

今回はAliExpressのTRN Promo Discount Store(@TrnDiscount)から購入しました。

 

ja.aliexpress.com

 

国内amazonでも本国発送ですが取扱があります。

 

 

 

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1. Trn TAについて 

Trn TAは以前レビューした同社TA1が金属シェルに対し、搭載ドライバは同じままにシェル素材を樹脂に変更した言わば兄弟機で、低価格帯の中華イヤホンではポピュラーな1BA+1DDハイブリッド機です。TA1は昨年前半に。TAは昨年後半に発売され、どちらもKnowles製BA採用を謳ったモデルです。

最近のTrnは低価格中華イヤホンの雄、KZのライバルブランドに成長し今ではKZの音よりもTrnの音が好きという方も出るほどです。それもその筈。数年前まではKZの後追いをしていたメーカーでしたが、近年は兎に角明るく派手なKZとは一線を画す普通に良い音で我々中華イヤホンファンを魅了しています。

振り返ってみれば2020年夏頃の多ドラハイブリッドモデルのVX以降、中高音重視の音づくりにシフトし、続く1BA+1DDハイブリッドモデルのSTMでも同傾向。2019年発売のST1まではKZ同様のドンシャリでしたが、それとは明確な音の方向性の変化を感じます。

この頃のTrnは中高音を重視した結果、低音が控えめ。寧ろ捨てた?と感じるくらいのバランスは聴く人を選ぶ機種でしたが、今にして思えば中高音を聴かせたいが故に強い低音は邪魔になるために意図的に抑えていたのだと理解できます。

そして、20年終わりにその流れを汲んだ多ドラハイブリッドモデルのV90Sが登場し特に高音が尖ったモデルとしてその名を馳せます。

流石にTrnも思うところがあったのか翌年21年前半に1BA+1DDハイブリッドモデルのTA1が今度はKnowles製BAを採用し高音を尖らせずに低音もしっかりと鳴らすバランスを整えたモデルを投入し好評を得て、同年5月頃にはシングルダイナミックモデルのMT1が中高音寄り。CS1が中低音寄りのバランスで登場しましたが、MT1の方が適度な低音がクリアな中高音をマスクしない音質で好評となりました。それに続いた1BA+1DDハイブリッドモデルのST2は中高音重視の音でしたが、STM程の極端なものではなく非常に高音低音のバランスが整った音がするものの少しどっちつかずの音で物足りない印象でTrnの意図を感じるものの迷いを感じられる音という印象がありました。

そのTrnがついに昨年後半最後に登場した多ドラハイブリッドモデルのVX ProがそれまでのTrnの(悪く云えば)迷走に終止符を打ちました。当に真打登場といった感じです。

VX Proと同クラスにはKZ ZASやZAXがありますが、それを凌ぐ音と云っても過言ではないと思います。Trnの目指したクリアで解像感のある中高音とタイトで強さのある低音を両立した非常に完成度の高い音質です。

尤もVX Proはそれらよりも販売価格がやや上となりますので当たり前とも云えますし、Trnに10,000円?とも思われるかもしれません。10,000円の予算ならikko Opal OH2も買えますから何とも言えないところがありますけど。

そんなTrnのハイブリッドモデルは明瞭(迷走)期を経て昨年終わりに多ドラハイブリッドフラッグシップモデルVX Proの登場し、昨年終わりに登場した1BA+1DDハイブリッドモデルのTAが、低価格帯でもTrnは健在と存在感。否、ライバルとの差を見せつけられるのか?これはもう、期待しかありません。

 

さて、今回は今年最初の中華イヤホン低価格帯1BA+1DDハイブリッドモデルのレビューです。つまり、実家にいるような気安さ、お馴染みの低価格帯中華イヤホン1BA+1DDハイブリッドモデルとなりますが、迷ったらコレというベテランエース、KZ ZSN pro Xと次代のエース候補生、KZ ZEXの二機種と比較してみます。

 

Trn TAは低価格帯の中華イヤホンでポピュラーな1BA+1DDハイブリッドモデルです。高音域をバランスドアーマチュア(BA)ドライバ1基がそれを担い、ダイナミックドライバ(DD)1基が中音から低音域までを担います。音を繊細に高い解像感で表現できるのはBAの利点ですが、中華イヤホンの低価格帯で採用されているBAの質は残念ながら高いとは言えず、レンジも狭く音に粗さがあり解像感を重視した結果、シャープさはあるが故に尖りも兼ね備えてしまい相容れない。もちろんドライバの質だけでなくチューニングも重要です。高音域のBAと中・低音域のDDの各音域のクロスオーバーはメーカーの腕の見せ所となります。

尤も、そのチューニング技術は数年前に比べればかなり進化しており、実際KZ ZSN pro XやKBEAR LARKは国内有名メーカーのU5K辺りとも負けず劣らずと思います。

ですが、初期ZSTの頃の1,000円ちょっとという圧倒的コスパからはやや高価になり、現在は2,000~3,000円と国内メーカーのエントリーモデルと同等となってきていてインパクトに欠けています。それでも十分にコスパは良いのですが、一般の方が3,000円「も」出して買うのはやっぱり国内有名メーカー又は、海外有名メーカーという現実は、中華イヤホンは視聴できればもっと売れるのにな、と個人的には思っております。

 

Trn TAのスペックですが先述の通り中華イヤホンの低価格帯で多く採用されている高音域用のバランスドアーマチュアドライバ(BA)を1基と中・低音域用のダイナミックドライバ(DD)を1基搭載した片側デュアルドライバ構成のハイブリッドモデルで、BAはステムノズル内に配置しています。

BAにはKnowles製33518を採用し、中華BAを採用している他の低価格1BA+1DDハイブリッドモデルとの差別化と高音域の質の改善を狙っていることが窺えます。

ダイナミックドライバには直径8mmの二重磁気ドライバを採用。TAが採用するドライバは同社TA1と同じものを採用しており、TA1のシェル本体の形状や材質違いと云えます。

イヤホン本体はシェル本体とフェイスプレートが樹脂製、ステムノズルが金属製となりKZ ZSN pro XやKZ ZEXのステムノズルとフェイスプレートが金属とは異なります。

そして大切なのはこれまでレビューした低価格中華1BA+1DDイヤホンでは各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングが重要となります。このチューニング次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくると云えますね。

 

※宜しければ過去記事もご参考ください

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Trn TAの納期として今回AliExpressでオーダーしたため国内amazonの様に当日発送、翌日配達とはいきません。昨今、AliExpressで購入した際は感染症の影響で中国からの輸送は平時の様にはいきませんが、それも徐々に回復傾向と云えます。尤も平時であればAliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. Trn TA実機レビュー 

それでは、実機レビューを以下、まとめていきます。


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パッケージングは白を基調とし側面が黒色のアクセントがあるTrnの小箱で、スリーブタイプの化粧箱です。
箱の表にはイヤホンイラストが。裏にはスペックが記載されています。

 

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スリーブを外すと白地の内装の台座にイヤホンが収納され、台座を取り外すと箱の底にイヤーピース、ケーブルが収納されています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースが白色タイプのS、M、Lの3種が計1セット。そのシリコンイヤピMサイズが本体取付け済。他にはケーブルです。U3K、発売当時2,000円半ば、現在(2022/2/19)は2,000円を切る低価格帯として必要最低限の付属品となります。

 

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次にビルドクオリティですが、中華イヤホンで心配されるような雑なところ感じさせない、近年のレベルアップを感じられ、シェルの合わせ面等が綺麗に仕上がっています。

カラーバリエーションは黒色とクリア色があり、今回はクリア色を選択しています。

 

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付属ケーブルは4芯銅線、黒色の編込みタイプが採用されています。プレイヤー側コネクタはL字タイプでTrnロゴ入り、イヤホン側はKZ-Cタイプ、2ピン仕様、KZ極性(上がプラス)です。この付属ケーブルは耳への装着性や使用感は特別良くも悪くもなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。最近のTrnに付属するケーブルと同等でやや絡まり易いものの、しなやかなものとなり低価格帯に付属するケーブルの中ではそれ程悪い印象はありません。そのためそのまま使用できますし黒色ケーブルは落ち着いた色味からは、シェル本体に囚われずに普段使いでは気になりません。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

※画像左からKZ ZEX、Trn TA、KZ ZSN pro X 

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Trn TAとKZ ZEX、KZ ZSN pro Xの外観の比較として、三機種のサイズ感はほぼ同じ。

Trn TAとKZ ZEX、KZ ZSN pro Xはシェルの造形はカスタムIEM風のオーソドックスな横に広いタイプ。その中でもKZ ZEXはやや厚みがある造形です。

ステムノズルはTrn TAとKZ ZSN pro Xが金属製。KZ ZEXとKZ ZSN pro Xのフェィスプレートは金属製でTrn TAは樹脂製です。

重量はKZ ZEXが僅かに重さを感じますが、装着時には殆ど差が分からないレベルで、三機種共に耳への装着感は悪くありません。ステムノズルの太さはTrn TAとKZ ZSN pro Xはやや太目。KZ ZEXはやや細めです。

次に、ステムノズル角度は三機種共にほぼ同じ。長さはKZ ZEXがTrn TAとKZ ZSN pro Xに対しやや長めです。

また、ステムノズル部には全てにメッシュフィルターがあり異物混入による故障を防げます。そしてKZ ZEXのフィルターはTrn TAやKZ ZSN pro Xの丸穴と違い、音質に影響がありそうな所謂細目フィルタータイプ。KZ ZSN pro Xが一番粗目です。

そして、シェル本体の形状は3機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、先述の通りTrn TAはステムノズルは太目であり、太いステムノズルは装着感に影響があり、圧迫感を感じやすくなりますので、イヤーピースのフィッティングは重要です。


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付属イヤーピースはTrn MT1やST2等の最近のTrnに付属するタイプです。個人的に従来のTrn付属の赤軸黒傘イヤーピースでは傘のコシは良いのですが若干パサつきを感じました。このTA付属イヤーピースでは適度なしっとり感があり遮音性も十分に感じます。

音質的には従来のTrn付属赤軸黒傘イヤピよりもTA付属の方が中高音がクリアに聴こえるタイプのようです。比較的開口部が大きく高音がダイレクトに届くタイプですね。

この付属イヤーピースで私は耳の奥に栓をするように装着しフィットしています。

低価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じます。今回は付属のイヤピで上手くフィットした為、そのまま使用しました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. Trn TA音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

昨年はSony NW-ZX507を使用していましたが、やや演出感のあるドンシャリはメリハリがありグルーブ感のある音はSonyの音で音楽を楽しく聴く事が出来ました。しかし、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5の方がモニターライクながらも、決してつまらない音ではなくリスニングでも使えて万能と考えたからです。

Shanling UP5をUSB-DACで使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

 

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低価格帯のイヤホンの場合でDAPの違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。

 
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※FiiO M5とShanling M0の比較もよろしければご参考ください。 

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前置きが長くなりましたが、それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属Mサイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「低音が抑え気味の最近のTrnを感じ中・高音はすっきりとしてクリアな音でボーカルが聴きやすい整った音」でした。

箱だしでは低音がやや膨らみ緩さを感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音が締まりタイトになりました。

音場は広くも狭くもない普通。

高音は煌びやかさがあり伸びやかで華やかさは適度、刺さりは感じません。

低音は量感は控えめですが芯が感じられ、締りとキレは良好。ベースラインは主張が控えめながらも十分に追えます。

重低音は沈み込みはそれほど深さを感じないが強さはある。

中音は適度な華やかさがあり、分離感は良好。音数の多い曲でもゴチャつきを感じ難く、ボーカルはクリアで聴きやすい。

一言で云えば中高音寄りのややドンシャリ

高音は低音域に埋もれない存在感のある煌びやかさと鼻につかない華やかさがあり、超高音までの伸びも感じられますが、その場合中華BAの良くある不快に感じる尖りはありません。これはKZ等の低価格帯1BA+1DDハイブリッドモデルと比べるとかなり優秀です。一方でそれらよりは華やかさは抑え気味のため地味に感じられるかもしれません。

中音は凹みを感じられず、高音域同様に華やかさがあります。また、楽器の音がボーカルの周りやや後ろに位置し華やかに鳴ります。そのボーカルは他の低価格帯1BA+1DDハイブリッドモデルと比べ見通しの良いクリアさは聴きやすく、高音低音に埋もれません。

低音は兄弟機TA1よりも抑えられ広がりや響きは抑えられていますが、不足を感じるほどではなく、タイトで強さのある芯を感じます。重低音は沈み込みはそれ程ありませんが、十分に強さを感じます。中高音をマスクする様な低音では無く、適度で弁えた低音という印象です。

全体的にみて中・高音域は華やかさがありますが他の低価格帯1BA+1DDハイブリッドモデルの様な前面に出るような鳴らし方ではなく、必要な音を必要なだけ鳴らし音数が多いハードな曲でも音の重なりはあまり感じられず団子感は少ないです。過度な華やかさの無い鳴り方は演出感が無く、それでもちゃんとボーカルの周りでしっかり聴くことができます。

ボーカルはバラード等では近く感じ、アップテンポの曲でもクリアではっきりとした声を聴くことができますし、しっとりとした雰囲気を楽しみたい場合には相性を感じる場合があるかもしれません。低価格帯の良くあるドライではっきりした声はかすれを感じますが、それよりも空気感や息遣いは感じられます。

 
これらのバランスは以前レビューしたKZ ZEXに近く、KZ ZSN pro Xの低価格帯のドンシャリとは異なる音です。KZ ZSN pro Xの中・高音の方が派手に鳴りますし、低音は強さがあります。

尤もKZ ZEXに近いとは云うものの傾向というか音のバランスの話であり、高音はZEXの方が伸びやかで繊細さがあります。同じドライバ構成のTA1と比べれば、TA1の方が低音域の量感や響きの良さ、ボーカルの暖かみがありやはり違います。それらよりも似ているのは今回比較対象ではありませんが、KBEAR LARKかもしれません。

KZ ZEXは高音域はクリアで解像感が高く伸びも良く、ZSN pro XはBAが強めの音で、とにかくしっかりと鳴らす反面、シャンシャンと鳴りシャリつきを感じる荒さや粗さがありましたが、ZEXではそれを感じない上質な音になっています。それでもZSN pro XはKZのこのクラス歴代の最高峰だと思いますし、以前の無暗矢鱈に鳴らす高音ではありません。

中音域はTAは1BA+1DDハイブリモデルでよくある凹みを僅かに感じます。ZEXも凹む傾向があり、ZSN pro Xは凹みを感じます。それでもZEXの中音域はごちゃつかずに整理され、TAでもその傾向がありますが、一歩及ばず。これらZSN pro Xよりも統制された音で解像感が高く感じます。

最後に低音ですが、強さや沈み込みの深さだけならばZSN pro XとZEXは近く、甲乙つけがたい。それとTAを比べるのは酷な気もしますが、それでもTAは芯がありキレの良さがあります。何よりもそれらよりも沈み込みが浅く感じるのはKZの10mmに対し、TAの8mmダイナミックドライバとして限界があるのかもしれません。小気味良さのあるTA。ノリの良さはZEXとZSN pro Xです。低音域は音楽を雰囲気良く聴かせられるかどうかを左右しますので、嗜好の違いにより評価が分かれるかもしれません。

個人的にTAの低音は十分と考えています。

 

Trnの最新の中高音寄りの解像感を演出する音はTrnの狙う新しい音として、完成度の高い音を聴かせてくれます。数年前のTrnはトニカクKZの後追いの印象でした。最近は先述の通り中高音寄りの解像感重視の音。このTAはそれを踏襲した新しいTrnの音を確固たるものにしたと云えるのかもしれません。

いずれにせよTAの音質傾向はこれまでの低価格帯のポピュラーなドンシャリとは一線を画す音と云えます。

 

※以前のTrn TA1のレビューもご参考ください

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※以前のTrn ST2のレビューもご参考ください

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まとめるとTrn TAはTA1のシェル変更した兄弟モデルというよりもTrnの最新の音を実現した同社の低価格1BA+1DDハイブリッドモデル最高音質と云え、低音は適度で中高音をクリアに質の良い音を聴かせてくれます。ライバルのKZはBAの代わりにESM(Electro Static Magnetic。以下EST省電力タイプをESMと表記)によって繊細で上質な高音を狙い、Trnは(真贋不明ですが)Knowles製BAにより上品な高音を狙うというアプローチの違いはあるものの、目指すところは同じ様子。これらは低価格帯での中華BAの限界を示しており、今後の中華イヤホンから目が離せません。

なお、TAはリスニング用途としての聴いていて楽しいドンシャリバランスが好きという方には評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   ZEX ≧ TA ≧ ZSN pro X (質感の順。強さはZSN pro X)

中音   ZEX ≧ TA ≧ ZSN pro X (整っている順)

低音   ZEX ≧ ZSN pro X ≧ TA (出音の強さ)

ボーカル TA ≧ ZEX ≧ ZSN pro X (質感の順)

 

 

4. Trn TAの総評

Trn TAは同社の多ドラハイブリッドモデルVX Pro同様に最近のTrnの中高音重視の音であり同社の1BA+1DDハイブリッドモデルの中で最高峰の音質と云え、21年の有終の美を飾ったと感じています。一方でKZの明るい派手な音とは異なりますので、嗜好によりその評価は分かれるかもしれません。とはいえ、2,000円で購入できる中華イヤホン低価格帯の中でお勧めできる上位5本に入る出来と考えます。

 

最後に、今回は昨年終わりに発売された低価格帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2022年2月19日)はAliExpressで2,000円を切る価格で販売し、国内amazonでは3,000円台の価格で販売しています。一方AliExpressでオーダーした場合の入手性は現在も難があります。とはいえこれまでの低価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっておりますので、低価格中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、少しでも安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

TA

以下、付属ケーブル、付属白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★ 
中音★★★★  
低音★★★☆ 
音場★★★☆
分離★★★☆
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

 

ZEX

以下、付属ケーブル、Trn付属白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★ 
中音★★★★  
低音★★★★ 
音場★★★☆
分離★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.5、★1.0

 

ZSN pro X

以下、付属ケーブル、付属溝無黒イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★ 
中音★★★☆  
低音★★★★ 
音場★★★☆
分離★★★
お勧め度★★★★★ (演奏重視の方に)

※☆0.5、★1.0

 

 

あとがき

今回はいつもの低価格中華1BA+1DDハイブリッドイヤホンの新商品のレビューをまとめました。通算37個目のレビューとなります。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後も低価格?を中心に、中華据え置き機器や複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ