みぃねこの備忘録

いろいろなこと、主に趣味の備忘録として活用。アフィリエイトやってません。お気軽にリンクからどうぞ。

KZ ZASレビュー ※KZ ZAX CCA CA16 比較含む

こんにちは。

今回は中華イヤホンの中から多ドラハイブリッドモデルのレビュー編として中価格帯で発売されたKZ ZASについてレビューをまとめたいと思います。

AliExpressのSA Audio Store等で取り扱いがあります。

 

ja.aliexpress.com

 

国内amazonでは本国発送ですが取り扱いはあります。

 

 

 

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1. KZ ZASについて 

KZ ZASは片側8ドライバ、7BA+1DD構成で発売された同社の中価格帯U10000、多ドラハイブリッドモデルの新商品です。

同価格帯では昨年発売されたCCA CA16やKZ ZAXが同じ片側8ドライバ、7BA+1DDの多ドラハイブリッドモデルが既にあり、目新しさやインパクトが弱くなっています。そもそもAliExpressや国内amazonの有名セラーで私が入手した後も、プロモーション等を見かけていません。私自身もAliExpressで物色中に「あれ?KZの新製品あるじゃん!?」と、偶然気が付いた程度。KZの新作にしては注目度も低く有名セラーもまだ扱っていない、それぐらいマイナーな滑り出しです。

その理由はわかりません。でも邪推すれば昨年KZ系ブランドからCCA CA16やKZ ZAXの7BA+1DDの多ドラハイブリッドの旗艦モデルが登場しており、勿論レビューしていますが、それらは旗艦モデルとして最高スペックが与えられていました。ところが今年のZASはZAXと同じドライバ数と毎年大体1BA増えていた新モデルが今年は現状維持。やはりZSXやC12の5BA+1DDから翌年のZAXやCA16でBAを二つも増やして7BA+1DDにした無理が災いした?のかもしれません。

というのも、昨年のZAXとCA16以降に発売した複数BA機では新型BAを投入して話題になりましたが、片側5BA機の評価はイマイチ。片側10BA機も悪くはないけど、良くもないという凡庸なもの。まあ、AS10の頃から複数BA機は価格にしては良くできているけど…という評価はあまり変わっていないのが実情です。複数BA機の難しさを感じます。

それでもその複数BA機で投入された新型BAの中高音域用は性能的にも満足できる出来であり、以降の製品への展開につなげられたのはKZとしても幸いだったと云えます。

 

それはさておき、不思議なもので昨年は中華多ドラハイブリッドモデルの豊作となりました。これは以前も触れましたが、COVID-19の蔓延により昨年前半はこの業界だけでなく、全ての経済活動が停滞しその影響は大きいものでした。それでも5月以降少しづつ、夏が終わるころには驚くほどのスピード感を中華は見せつけてくれました。

具体的にはエントリークラスに片側4BA+1DDのCCA C10 proが。ミドルクラスとして片側5BA+1DDのCVJ CSNとTrn V90Sが。ハイクラスとして片側6BA+1DDのTrn VXと、片側7BA+1DDのCCA CA16とZAXが発売されています。また、オールBAの複数BAモデルも片側5BAのKZ ASFや片側10BAのKZ ASXに加え、片側8BAのCCA CS16が発売され、後半怒涛の新製品ラッシュと今年前半の片側6BA+1DD、CCA CKXまでの流れを個人的にかなり楽しませてもらえました。

 

ですが昨年はCOVID-19によって世界経済が停滞しました。国内では昨年4月に初めて緊急事態宣言が発令され、現在四度目の緊急事態宣言下です。前回から僅か数週間での発令は某世界大会へも大きな傷跡として歴史に残ることとなりました。

専門家の意見を聞けば色々な問題が改善していないことが分かります。個人的には人の流れを止められないことが原因と考えていますが、それは想いだけでは無力です。

大企業ではテレワーク(リモートワーク)が普及し、その結果本社ビルを売却する企業もあるようです。かつて都会の一等地に本社ビルを構え、自社ビルがステータスだった時代から、それこそポツンと一軒家のような地方の山奥に電波さえ届けばオフィスを構えられる現在は、当に永田町の常識は世間の非常識という言葉に表されます。時代が変わってく様を見届ける私たちはそれをどの様な想いを抱きながら立ち会うことになるのでしょう。

振り返ってみれば時代の変革はいつの時代もあり、日本が大きく変わったその時代を生きた人々は何を想いそれを見届けたのでしょうか。

夢か希望か、はたまた絶望か。

歴史は繰り返すともいわれていますが、その時代を生きた人々はその時、今を生きるために必死だっただけ。辛く悲しい時を必死に耐え、いつか明るく楽しい未来が来ることを信じていただけ。或いは家族や子供たちの未来を守りたかっただけ。

そんな繰り返される歴史的瞬間に何もできずにいることは責任の放棄なのかもしれません。

いつかこの時代が歴史として刻まれた未来に、きっと教科書に載った事実を見て、嘲笑う自分がその時いかに無力だったのかを恥、悔いても取り戻せないことを思い知らされ朽ちていくのでしょう。

だからこそ本当に今それが必要だったのか。

私はそれのために最悪の事態を招くかもしれない事を危惧しています。

あなた達のしていることは本当に国民のためですか。

そこに子供たちの未来はありますか。

ワクチン接種すら進まない。未だ半分も終わらないこの現状でそれを開催することが本当に正しい判断と言えるのでしょうか。その答えは少なくても四半世紀の時を超えて明らかになることでしょう。本当に悔しい。

 

閑話休題

昨年のZAXの出来が良くて、ZASは同じドライバ数だったのでもうKZはこの辺りには力を入れていないのかなと届くまでは正直思っていました。

ところがこのZASは一聴して従来のKZ系らしさを残しながらも目指した音が違うのかなと感じます。

それはKZは王道のドンシャリであり、ZSX以降ZAXで完成されたと思われた音がZASではそれらとも違う、例えるなら中華らしくない音に感じました。CCAでもCA16よりもCKXでそれを感じましたが、それでもCCAらしい音を踏襲したCCAの音と云えます。

個人的にCKXはCCAのモデルのなかでも完成度の高さはトップクラスで一番の出来だと思っています。そしてこのZASもKZのモデルの中でもトップクラスの音となりそうなそんな予感をしています。

具体的にはCCAが「中低音域を豊かにしながら僅かに高音を抑えたピラミッドバランス」で、KZは「良くも悪くも高音と低音の強さを感じるドンシャリバランス」で整えています。そのためKZは聴いていてノリの良さがあります。一方CCAは中低音域を重視し高音をやや抑える傾向があるため聴き疲れをし難く聴いていて心地よさがある印象です。

蛇足ですが、もう一つのライバル、Trnは最近は中高音を重視しており高音の方が明らかに強く、これは高音を強めにして高解像感を演出しているように感じます。低、中価格帯では個人的にこれは逆効果だと感じています。高価格帯では採用しているドライバの質が高く、上手くバランスを取ることができていますが、この価格帯のドライバでは単純にしつこい高音の印象で、それはしつこい低音よりも人を選ぶと思います。何事もバランスが大切ということですね。

とはいえ、個人的には昨年の中価格U10000の多ドラハイブリッドモデルのベストバイをKZ ZAXと評価していますし、個人的にはCCA CKXの音が好きですが、このKZ ZASがそれらと対峙したときどんな風に聴かせてくれるのか。とても楽しみにしています。

 

いつも通り前置きが長くなりましたが、今年のKZの中価格帯U10000多ドラハイブリッドモデル、KZ ZASを入手しましたので、昨年評価の高かったモデルで7BA+1DDモデルのKZ ZAXとCCA CA16との違いを含めながら、レビューを纏めていきたいと思います。

 

KZ ZASのスペックは先述の通り片側7BA+1DDと昨年発売された同社ZAXやCCA CA16とドライバ数が同じ(構成は異なります)。搭載ドライバは中低音域用のダイナミックドライバにZAXと同様の10mm径ではありますが、それとは異なる二重磁気ダイナミックドライバを。BAは30019シングル1基が高音域を担当しダイナミックドライバに並列に配置。ZAXやCA16で採用された50024改良版、50024sデュアル(2BA)3基が中高音域を担当し、こちらもダイナミックドライバに並列に配置しており、これまでのKZやCCAで採用例の無い組合せとなります。驚きは、これまでKZでは頑なにステムノズル内に配置したBAが今回はシェル内部、ダイナミックドライバに並列配置です。

比較としてZAXのスペックを。こちらも片側7BA+1DDとなります。搭載ドライバは低域用ドライバにZASとは異なる10mm二重磁気(デュアルマグネティック)ダイナミックドライバです。BAは30095シングル1基が高音域を担当しZSX同様にステムノズル部に配置。50024デュアル(2BA)2基が中高音域を担当しダイナミックドライバに並列に配置。更に中音域用に30019シングル(1BA)2基がダイナミックドライバに並列配置され、低音域を前述のDD1基が担います。

次にCA16のスペックも片側7BA+1DDとなります。搭載ドライバは低域用ドライバは7mm二重磁気ダイナミックドライバで、C12の10mmから小型化されています。BAは定評がある30095シングル3基が高音域を担当し配置がC12のステムノズル部からシェル内に。50024デュアル(2BA)2基が中音域を担当しこちらも高音域用BA同様にダイナミックドライバに並列に配置され、低音域を前述のDD1基が担います。

これらを比較すればZASは一昨年のZSXやC12が高音域30095シングル1基に中音域50060デュアル(2BA)を2基とDD1基により中音域に厚みを持たせていた構成と同じ考え方と云え、特にそれぞれの高音域に採用したBAが30095と30019という違いと配置も見逃せません。

加えて、先述の通りZAXではステムノズル内に高音域用BAを1基配置し、中高音域用デュアルBA 2基をダイナミックドライバに並列に配置。中音域用シングルBA 2基も同じく並列配置した、4way方式を採用しています。

これに対し、ZASではBAを新世代に変えるとともに、更に搭載位置もシェル内部のダイナミックドライバに並列と変化させ1BA+6BA+1DDとZSXとC12世代の3Way方式を踏襲しています。

また、CCA CA16ではZSXやC12の中音域に厚みを持たせていた1BA+4BA+1DDの3way方式から高音域用のBAを追加しており、高、中、低音域を3BA+4BA+DDの3way方式とスペック上のバランスの良いドライバ構成と云えます。

とはいえ、3wayや4wayとこれまで世の中に送り出された中価格多ドラハイブリッド中イヤホンのように各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングのポイントを活用できるかが重要となります。このチューニングポイント、経験則を活かしたチューニング次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくると云えますね。

 

KZ ZASの納期は国内amazonのようにはいきません。AliExpressでのオーダー後、発送からは約2週間と従来同様です。それでもまだAliExpressの中国本土からの発送は中国からの航空便減便による輸送への影響が大きく、AliExpressにてオーダーした場合はそれなりに時間が掛かる覚悟は必要です。加えて万が一の不良の際に返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くの少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. KZ ZAS実機レビュー

それでは、早速KZ ZASの実機レビューを以下、まとめていきます。


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パッケージングはKZの豪華版、シンプルな黒を基調とした化粧箱です。

同社中価格帯の初期LOTで採用されているタイプです。


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上蓋を開けると黒地の内装にイヤホンが収納され、その下側にはいつもの製品名が刻印された金属製プレートがあります。内装を取り外すとその下に取説等の付属品が収納されています。

 

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付属品はKZ系のTWSに付属する軸が短いイヤーピースの白色タイプ。そのシリコンイヤーピースは二種あり、ノーマル傘形状がS、M、L、3種各1セットとかまぼこ形状のMサイズが付属します。その内、ノーマル傘のMサイズがイヤホン本体取付け済みで、他にはケーブルです。A5K-U10Kの中価格帯としては少々寂しい付属品ですが、個人的にこれまで同様本体にコスト全振りは嫌いではありません。


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ビルドクオリティですが、ここ数年のKZは中華イヤホンで心配されるような各所の仕上りに問題はなく、それでも中華製品では偶に何かしらやらかしますが、綺麗に仕上げられていて気になるところはありませんでした。

カラーバリエーションはクリア(FP白色、縁が銀色)とブラック(FP黒色、縁が金色)の二種で、今回はクリアにしました。


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付属ケーブルは新しいタイプが付属。白色の編込みタイプで、8芯銀メッキ銅線が採用されていて、KZアップグレードケーブル相当が付属しています。プレイヤー側コネクタはI字タイプ。イヤホン側はKZ-Cタイプ(2ピン)、もちろんKZ極性(上がプラス)です。最近の中華イヤホンはKZ-Cタイプが多く採用されていますのでリケーブルの際には注意が必要です。私は気にせず2ピン仕様を使っています。

この付属ケーブルはシュア掛け用にチューブで癖付けがあり耳への装着性、使用感はそれほど悪くはありませんし、全体的に絡まりにくくしなやかなものとなります。また、中価格帯に付属するケーブルとして十分で、そのまま使用できますし綺麗な色合いのケーブルは一体感があり普段使いも可能ですね。

 

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※画像左からKZ ZAX、KZ ZAS、CCA CA16

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ZASはCA16と同じシェルが大柄です。この中ではZAXのシェルはにコンパクトになりますが、KZ ZSN pro X等よりは厚みがあります。加えて、皆さんお気づきの様にZASとCA16は同じシェルの造形となっています。

ZASのフェイスプレートはCA16同様にラウンドしており、ZAXの平面的のタイプとは異なります(個人的にラウンドしていると撮影しにくくて敵いません)。そして金属製のプレート表面にクリア樹脂で覆った凝ったデザインです。

三機種共にステムノズルは金属でシェル本体が樹脂製ですが、ZASとZAXフェイスプレートは金属製です。ZASとCA16は大柄のため重量は比較的感じますが、コンパクトなZAXフェイスプレートは金属のお陰で重さを感じます。

ZASの装着感はその大柄なシェルにも拘わらず、カスタムIEM風デザインにより装着感は比較的良好です。寧ろZAXの方が太めのステムノズルの影響で装着感は一段落ちます。普段ならZAXでも良好と感じるのに、より良いものを知ってしまうと駄目ですね、人間ってやつは。

次にステムノズルはZASとCA16は短く細め。パーツで見ればほぼ同じ寸法ですが、シェルの一部もステムとしたZAXの方が長めなものの、一般的な長さと云えます。加えてZAXはBAの配置の都合上、太めです。そのため太さに影響するイヤーピースの圧迫感はやや感じます。

ZASはCA16同様に細めのステムノズルのため、イヤーピースの選択はいつものサイズで問題なく使えそうで、耳の小さな女性や子供を除き、殆どの方で不満を感じることはないのではと思います。

また、三機種共にステムノズル先端端面にはメッシュフィルターが装備されていてシェル内部への異物混入が防げますので、長期の使用にも耐えることができます。フィルターはZASとCA16は細目。ZAXは低価格中華でよく見る粗目ですね。そのためCA16は地味な高音でしたので、ZASの高音域への影響が気になります。

そして、シェル本体の形状や付属ケーブルからは3機種ともにシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、先述の通りZASはステムノズルは比較的細めです。太いステムノズルは装着感に影響があり、圧迫感を感じやすく、ZASではその影響が感じないため、イヤーピースのタイプで上手く調節する必要があります。今回は付属のイヤーピースでは上手くフィットできませんでした。

 

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付属イヤーピースはKZ系のTWSに付属する軸短の白色タイプ、ノーマル形状(右)とかまぼこ形状(左)の二種です。個人的にこの付属のイヤピは傘にコシが無く、フニャフニャ、パサパサしていて装着感がイマイチに感じます。

音質的にはやや高音中音がクリアに聴こえるタイプに感じますが、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。

残念ながらこの付属イヤーピースでも私は上手く合わせられず、形状からは耳の奥に栓をするように装着も、大き目で浅めに装着もフィットしませんでした。

低価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じますが、今回は特にこの付属タイプは合った試しがなく、手持ちのKBEAR 07 M-を使用しています。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. KZ ZAS音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今後は価格帯関係なくSony NW-ZX507を基準としてレビューを行います。ずっとスマホ同等かやや良いくらいという基準を持ってきましたが、ご容赦ください。

ZX507については他の方のサイトでも詳しく解説していますので、SONYのまあまあの価格帯のサブスク対応android機です。従来のShanling Q1は3.5アンバランス接続のみですが、ZX507は4.4バランス接続にも対応しています。DACには独自開発のS-Master、フルデジタルアンプが採用されています。

Shanling Q1とZX507の音質の違いは音場がやや平面的に感じられるQ1に対し、ZX507は奥行きのある立体的な印象。具体的にはボーカルの位置に対し、高音や中音の演奏音がその周りやや離れた後ろ側に位置し自然な位置関係に感じられます。

次に、音質傾向ですが、音楽を正確に淡々と鳴らそうとするQ1に対し、ZX507は高音域と低音域をしっかしと鳴らすやや派手な音ながらも、ボーカルを邪魔せずにそれを引き立てています。所謂ドンシャリ傾向と云えますが、過剰なほどではなくて若干の演出という感じ。そして中音はボーカルに対し相対的に控えめに感じられますが、その分ボーカルはクリアです。特徴としては低音に厚みがありますので音楽を雰囲気良く聴くことができるSONYの音といえます。

個人的には音楽を楽しく聴くという本来の目的を達成するために必要十分なDAPと考えており、今年6月からは音楽配信サービス、Apple Musicがロスレス対応しましたが、android搭載DAPとして勿論対応(※)しています。そして、何よりもBluetooth接続は安定していますので、強いて云えば電池持ちが悪い位しか不満はないです。

※2021/07/17現在 android版Ver3.6.0ベータ版

 

 

 

低価格帯のイヤホンの場合でDAPの違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。


miineco106.hatenadiary.jp

 

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それではZX507に直挿し4.4バランス接続で実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピはKBEAR 07 M-サイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「整った中音に澄んだ高音。そして低音がしっかりとした中高音寄りのドンシャリバランス。」でした。

箱だしではやや低音に緩さを感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音が締まり落ち着きました。

音場はやや広め。曲によって広く感じます。

高音は煌びやかさ華やかさがあり響きの良さありますが、刺さるような尖りを感じることはありません。

低音の量感は十分で強さもあり、キレや締まりもあって、ベースラインは追いやすい。

重低音は沈み込みの深さを感じ十分な強さがある。

中音は華やかさがありますが、ボーカルの周りやや後に位置し邪魔することはありません。

そのボーカルはクリアで自然から僅かにドライ寄りですが、位置は自然に感じます。

一言で云えば中高音寄りのややドンシャリのバランス。

高音域の主張は適度で前に出るような感じはなく、出番を弁えながらもしっかりと鳴る低音域は相対的に中音域の豊かさ華やかさを邪魔するような印象はありません。それでも高音域は実はしっかりしていて中音域よりも前に出るような主張はありませんが、こちらも必要な時に存在感を示し、いつものKZのしつこさを感じません。

もっと云えば、高音は常にシャリつくような五月蠅さはなく欲しい時にしっかりと存在感を示し、伸びと響きのある音を感じられます。

中音は高音よりも華やかさを感じますが、ボーカルが埋もれずにその周りやや後ろで引き立たせてくれます。音数が多い曲でもボーカルは演奏と重なりを感じず分離感が良くクリアに聴こえます。

そのボーカルは自然でクリアに聴かせてくれますが、若干ドライ気味のために特に女性ボーカルのバラードでは相性を感じることがあるかもしれません。

低音は十分な量感があり強さがありますが、音の強弱、表現力の良さを感じます。特にKZの低音には強さというか芯が感じられるものが多く、このあたりは従来のKZの音となりますが、先述の通りただ量が多く強いだけの音ではありません。

ZASは高音は前に出るような主張は控えめながらも曲に十分なアクセントを加えており心地良さを感じます。それ故に曲によっては中音低音の印象が強く華やかさが控えめで地味な印象を受けそうです。それでも高音は所謂喧しさがなく、シャリシャリする様な音数や量感でお茶を濁してはいませんので、一聴するとつまらない音に感じピラミッド型の印象となってしまいそうですが、音数や量感で誤魔化そうとしない実は誇張のない自然な音なのかもしれません。自然な誇張の少ない音色は聴きやすく上手くまとめていると思います。

 

※以前のCCA CA16のレビューもご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

※以前のKZ ZAXのレビューもご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp


このバランスは以前レビューしたZAXと比較した場合、最も異なるのは中音域で特に華やかさを感じる音は一方でごちゃつきを感じる事があります。ZAXでもそれは抑えられていましたが、ZASのそれは分離の良さが前提としてあって整理された音。ZAX以前の音とは違います。ZSXもどちらかと云えばZAX寄りですが、音場の広さがそれよりも見通し良く広がりとシャープさのある楽しい音です。ZAXは全域でまとまった音であり、ZASの中音域はそれを上回っていると感じます。

次にCCA CA16と比較した場合、真逆の音と云えます。中低音寄りのその音は必要以上に高音に存在感を与えず、必要な時に必要な量を奏でます。都合の良い音扱いです。しかし、それがCA16やCKXの真骨頂でもあり、特にCKXではその高音に響きの良さ、余韻を与えています。つまりCA16よりもCKXは同じ中低音寄りながらも高音の伸びやかさと中音域の分離感を感じられるモデルと云えます。CA16は豊かな中低音が雰囲気の良さを醸し出すというこれはこれで良い音ではあるのですが。

もちろんそれぞれの良さはあるのであくまでも音の傾向として捉えてください。それが絶対評価ではなく、相対評価でしかありません。

個人的にはCKXの音が好きなので、3年待ちました。

また、今回のZASの比較対象であるZAXとCA16ですが、最も異なるのは分離感です。ZASの中音域は本当に高級機で魅せらるそれと遜色のない印象です。ZAXやCA16では中華の中でという枕詞を付けられますが、ZASではその土俵に立つことができたかもしれません。もちろん、十数万もする国内外有名メーカーハイエンドモデルには歯が立ちませんし、比べてはいけません。あくまでもその高級機はそこまでのモデルではなく、強いて云えば5万程度までの価格帯で購入できる多ドラや複数BA機の範疇ですね。偶にヤバい音の高級機ってありますからねぇ。まあ、好みではなかったということで、すみません、察してください。

 

次に、ZX507から据え置きでも聴いてみました。いつも通りDACTOPPING D10Sとヘッドホンアンプは同社L30の組み合わせです。

ZASとの接続は3.5mmステレオミニに6.35ステレオ変換を使用してHP出力に挿入しています。ゲインはLowです。

結果、もうこれで十分な音が聴こえます。

ZX507で聴いた時よりも中音域は解像感があり、ボーカルとの位置関係がはっきりとしボーカルの周りやや後ろに存在し出しゃばらず、分離の良い音を奏でます。高音はZX507よりもやや落ち着きながらも伸びと余韻を感じさせ、音の消え入る様を感じさせてくれます。低音はZX507ではやや膨らんだ音が、ぎゅっと締まり強さが増し、音の強弱、解像感のある音を聴かせてくれます。もちろん据え置きの駆動力がイヤホンのポテンシャルを十分に引き出していると考えた場合に、DAPもハイクラス以上を使用するともっと良い印象になるのかもしれません。

尤も、ZX507も今回は3.5アンバランスでの評価ですので、4.4バランスの場合はもっと印象が良くなると思います。

 

まとめとして、KZ ZASはKZの系譜の音ではありますが、従来のKZとは異なる音づくりで、中音域の分離感が音楽を心地よく楽しませてくれる、現時点でのKZ多ドラハイブリッド最高傑作と云えそうです。

個人的にはCCA CKXの音は好みではありますが、やはりKZは低~中価格帯中華イヤホンのトップランナーであり、そうあり続けて欲しいと考えさせられました。その理由として低中価格帯では明るく元気な音づくりが好まれますし、中華に大人しい音は求めていないと嗜好の部分なのに断罪され淘汰される、そんな寂しい市場にはなって欲しくないからです。

 

蛇足ですが、以前のレビューでも触れていますが中華イヤホンの単純にドライバ数を増やす足し算では未だ限界があります。残念ながらそれをBAオンリーの低~中価格帯複数ドライバ搭載モデルが証明しています。それでも次々と投入される中華の新モデルが我々を楽しませてくれており、今後も期待していきたいですね。

 

高音   ZAX ≧ ZAS ≧ CA16 

中音   ZAS ≧ CA16 ≧ ZAX

低音   CA16 ≧ ZAS ≧ ZAX 

ボーカル CA16 ≧ ZAS ≧ ZAX

音場   ZAS ≧ ZAX ≧ CA16

 

 

4. KZ ZASの総評

さて、KZ ZASはKZの系譜の音ではありますが、従来のKZとは異なる中音域の分離感、表現力を重視した音づくりで、音楽を心地よく楽しませてくれる、現時点でのKZ多ドラハイブリッド最高傑作とまとめました。

そしてKZの凄味というか、底力というか、KZの進化は止まらないと従来からの中華イヤホンファンへのメッセージを込めた商品としてもお勧めできます。

個人的にはこのKZ ZASとCCA CKXを押さえておけば現在の中華中価格帯U10000多ドラハイブリッドイヤホンでは満足できる商品であり、昨年からの旗艦モデルの流れを今年もまだまだ止まらないよと、KZのメッセージだと個人的に思う次第です。だってまだ7月ですもん。あと半年ありますからね…。

 

最後に、今回はAliExpressで先月発売された中価格帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2021年7月17日)はAliExpressやamazon(本国発送)で発売されており、AliExpressでは7,000円前後。フォロワー割では6,000円台で購入可能。一方amazonでは8,000円台と少々差があります。そのためAliExpressの方が安価に入手できますが、その入手性には現在も難があります。とはいえこれまでの中価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっておりますので、中価格中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、少しでも安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。 

 

ZAS
以下、付属ケーブル、イヤピKBEAR 07 M-使用、DAP ZX507アンバランス接続
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★  
※☆0.5、★1.0

 

CA16
以下、ケーブルYYX4762、イヤピAET07 M-使用、DAP ZX507アンバランス接続
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★ 
※☆0.5、★1.0

 

ZAX
以下、ケーブルT4、イヤピAET07 M使用、DAP ZX507アンバランス接続
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★☆
分離★★★★
お勧め度★★★★★ 
※☆0.5、★1.0 

 

 

あとがき

あとがきとして、今回はいつもの中価格中華多ドラハイブリッドイヤホンの新商品のレビューをまとめました。今回もはてなブログさんにはやられました。以前も下書きが途中でバグって消えてしまい、急遽3機種比較レビューとしたことがありました。今回も思い出しながら書きましたが、手前味噌ですが絶対最初の方が面白かったと思います。つまらない場合はご容赦ください。

さて、日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後も低価格?を中心に、複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ