みぃねこの備忘録

いろいろなこと、主に趣味の備忘録として活用。アフィリエイトやってません。お気軽にリンクからどうぞ。

KZ AS12レビュー ※CCA C12 KZ ZSX 比較含む

こんにちは。

今回は中華イヤホンの複数BAモデルのレビュー編として中価格帯で発売されているKZ AS12についてレビューをまとめたいと思います。

今回は国内amazonのHiFiHear(@Qianqian_HRcase)から購入しています。

 

※以下、amazon販売ページリンク

https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07TLWBXGT/ref=ppx_yo_dt_b_asin_title_o02_s00?ie=UTF8&psc=1

現在HiFiHearでは在庫切れで取り扱いが無いようです (2019年12月7日)。

他社では未だあるようですね。

KZ AS12 6BA without mic シルバー KZ64663E1silve-AS12

KZ AS12 6BA without mic シルバー KZ64663E1silve-AS12

  • メディア: エレクトロニクス
 

 

AliExpressでも有名どころのストアであれば取り扱いがありますし、その中でもNiceHCK Audio Store(@hckexin,@NiceHCK_Audio)は安心して購入できます。

 

ja.aliexpress.com

 

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KZ AS12はKZ社の複数BAイヤホンの最新モデルです。と、云えば聞こえは良いのですが、今年夏ごろのモデルです。その前今年春にAS16という片側8BA搭載モデルが発売されており、更にAS16の前にはAS10という片側5BAモデルが昨年夏ごろ発売しています。

つまり、最初が昨年片側5BA、次に今年春片側8BA、最も新しいのが今年夏片側6BAのAS12となります。

KZの複数BA搭載機としては最新モデルですし、AS10とAS16のフィードバックモデルとしてもっと話題に挙がっても良さそうなものですが、既に忘れられている存在…。

それもその筈、この複数BAを搭載したASシリーズはKZ社の兄弟ブランドCCA社からも今年初めにKZ社よりも先行して片側8BAを搭載したC16を皮切りに、片側5BAを搭載したA10が今年6月頃に発売され、更に他社もTRIPWIN TP10やKBEAR KB10も同じ片側5BAを搭載するモデルとしてほぼ同じ時期に挙って発売され食傷気味。

音質もそれぞれ少しづつ特徴を変えていますが、一括りにほぼ中高音はクリアで低音控えめの中高音寄りという音質傾向でした。そのためAS10の中低音寄りとは異なり、その系譜のモデルではありますが、直系とは云い難く趣向が違うモデルといえそうです。

そのため片側5BAモデルだけでもどれを選べばよいのかユーザーも絞り切れずに中には全て購入して比較する猛者もいたようですが、中高音がクリアで聴きやすかったものの万人受けするモデルとはいえず、泣かず飛ばすという憂き目にあったようです。

そんな中、最後発の片側6BAを搭載したAS10とAS16のフィードバックモデルと云えるAS12でしたが、同時期に発売されたKZ ZSXやCCA C12が5BA+1DDのドライバ構成で話題になり今更感のある片側6BAのドライバ構成だった本機はユーザーから敬遠され陰に隠れてしまった印象があります。

AS12はZSXやC12よりも少しだけ高価な販売価格が設定されていて国内amazonでは7,000円台後半でセラーによってクーポンで6,000円台で購入できますが、そのドライバ構成からは十分に安価な販売価格です。その理由は低域用BAはKZオリジナルと云えどもやはり中/高音域用のBAよりは高価となるため、低域にDDを搭載するZSXやC12よりも価格が上がってしまいますね。

そんなAS12を何故に購入したのかと云えば、以前C12とZSXをレビューし比較していたこともあり今回のAS12は「片側6ドライバモデルのハイブリッド機と複数BA機を比較したいと考えたから」となります。

そして、なによりも巷にはAS12のレビューが少ない。一部の評価ではAS12は好意的な評価が多くハズレは無いだろうと考えており、先述した低域のドライバはBAとDDでどちらが優れているのか単純に興味がありまとめてみたいから、ですね(笑)。

 

※CCA C12やKZ ZSXの過去記事もよろしければご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

miineco106.hatenadiary.jp

 

いつも通り前置きが長くなりましたが、そんな訳で何かと比較され話題となる中価格帯の複数BA搭載モデル、KZ AS12を同じ片側6ドライバを搭載した多ドラハイブリッドモデル、CCA C12とKZ ZSXとの違いを交えながら、レビューを纏めていきたいと思います。

 

さてKZ AS12はKZ AS16同様にシェル本体を樹脂製のシェルを採用しステムノズルとフェイスプレートが金属でZSXやC12と同じ構成です。C12は比較的オーソドックスなデザインでZSXは特徴的なフェイスプレートのデザインが採用されていますが、AS12ではAS16の流れを酌むデザインを採用しています。まあASシリーズとは真にこのことで共通の比較的大柄な樹脂シェルに特徴的なFPのデザインは既視感がありますね。

 

AS12のスペックは先述の通りZSXやC12の5BA+1DDハイブリッドと異なり低域用ドライバをDDではなくBAを搭載したオールBAの複数BA機です。最近では中価格帯でも全く珍しくなく中華の凄さですね。一方でBAとDDを搭載するハイブリッドモデルも発売されており、ユーザーが好みに応じて選択できるというのも中華の素晴らしさでもあります。

このAS12は片側に6ドライバが搭載されていて、その6BAドライバはKZオリジナルの新型30012デュアル(2BA)が高音域を。29689デュアル(2BA)が中音域を担当しており、低音域を22955デュアル(2BA)が担うことで3way方式を採用しています。そのためCCA A10等の5BAモデルの低域強化版又はAS16の高域BAを新型で補う形とした真にフィードバックモデルと云えます。

 

※A10、TP10、KB10の過去記事もよろしければご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

miineco106.hatenadiary.jp

 

そしてZSXやC12では高音域1BA+中音域4BA+低音域1DDと中音域に厚みを持たせていて、実際中音域の表現力は高く低音域もDDによる量感と力強さがありました。

AS12ではオールBA構成としそれらを高、中、低音域を各2BAの3way方式とし、これまで世の中に送り出された中価格中華複数BAイヤホンのように各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーのチューニングポイントを活用できるかが重要となります。このチューニングポイント、経験則を活かしたチューニング次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくるといえますね。

 

KZ AS12の納期としては流石の国内amazonの当日発送、翌日配達です。AliExpressにてオーダーした場合はチャイナポストを選択しても早くても約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間かかりますし、万が一の不良の際に返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くの少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

それでは、早速KZ AS12の実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングは黒を基調としたKZ社の豪華版の黒箱化粧箱です。


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箱の蓋を開くと黒地の内装の台座にイヤホンが収納され豪華版のプレートも鎮座しています。またイヤホンが収納された台座を取り外すと、ケーブル等の付属品が箱の底に入っています。この辺りはいつも通りのKZの化粧箱ですね。

 

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付属品はKZのいつものシリコンイヤーピースがS、M、Lの3種各1セットが付属します。その内、シリコンイヤピMサイズが本体取付け済みで、他にはケーブルです。A5K-U10Kの中価格帯としては少々さみしい付属品ですが、個人的にいつもの割切感は嫌いではないです。


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ビルドクオリティですが、KZ AS12は中華イヤホンで心配されるような各所の仕上りに雑なところを感じません。KZと云えば仕上がりの雑さ等、多少のアレはあっても価格が安いのに音が良いという評判は今は昔ですね。安心して購入でき、お勧めできると思います。

カラーバリエーションは黒色(FP金色)と青(緑)色(FP銀色)の2種類あり、みぃねこは青色を選択しています。

 

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付属ケーブルはいつものKZに付属する茶色の編込みタイプが採用されています。プレイヤー側コネクタはL字タイプで、イヤホン側はKZ-Cタイプ(2ピン)でもちろんKZ極性(上がプラス)です。この付属ケーブルは耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的に絡まりにくくしなやかなものとなりますが、中価格帯に付属するケーブルとして力不足の印象があるものの、そのまま使用できますし落ち着いた色合いのケーブルが本体色との一体感があり普段使いも可能ですね。

 

※画像左からAS10、AS12、AS06
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AS12は流石にASシリーズですのでAS10やAS06と外観上の違いはフェイズプレートとステムノズルの違いです。先述の通りAS12だけステムノズルに金属製が採用されています。シェル本体の大きさはASシリーズとしてはほぼ一緒。フェイズプレートのデザイン等による厚みが異なるのみです。

これらのデザインは賛否あると思いますが一番のネックはシェル本体がZSXやC12等のハイブリモデルと比べて結構大柄になるところです。そしてそれらはやはり耳への装着感への影響は大きく人によって不満を感じるかもしれませんね。ただしシェル自体は大柄なシェルを感じさせない装着感の良さは好感が持てますね。次にステムノズルもASシリーズとしてほぼ一緒。太さや長さの違いを殆ど感じません。

また、このASシリーズ3機種ではAS12のみステムノズル先端端面にメッシュフィルターが装備されています。(AS06、AS10はステムノズル内、奥の方にある様子)

そして、シェル本体の形状からは3機種ともにシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要で、特にイヤホン側ケーブルコネクタ部はAS12のみKZ-C対応の凸があるタイプです。手持ちのリケーブル資産を活用する際には注意が必要です。

AS12はステムノズルが太めのため、耳へは付属の本体装着済みイヤーピースでは上手く位置を合わせ難く少々抜け気味となったため、いつものAET07に交換し奥の方に栓をするように装着ではなく、やや浅めに蓋をするように装着した形がみぃねこは一番しっくりきました(ASシリーズではこれで対応しています)。低~中価格帯では毎度付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じることが多くありますので手持ちのイヤピと交換しています。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

なお付属ケーブルも片側6BAの性能を活かすためにYYX4762、8芯銀メッキ線へリケーブルしています。

 

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それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今回の再生環境はFiiO M9、直挿しアンバランス接続です。

これまで通り中価格帯はM9を基準としてレビューを行います。もちろんShanling M0やiPhone6sでも鳴らすことができましたが、中高音域の解像感や低音域の表現力で本来の性能を発揮できないと感じましたのでご容赦ください。

低価格帯のイヤホンの場合でその違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。

 
miineco106.hatenadiary.jp

 

それでは実際に聴いてみます。
ソースは宇多田ヒカル/First Love平井堅/瞳をとじて倖田來未/Moon Crying。高音/低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピはAET07 Mサイズへ。イヤホンの本領を発揮させる為に付属ケーブルからYYX4762にリケーブルしています。

箱出しで聴いてみた第一印象は「クリアな中高音と低音は強調され過ぎない適度なバランスで聴きやすい」でした。(もちろんスマホ付属品とは大違いです)
こちらも箱出し直後は低音が少なめでボワつきも感じたため今回も先に鳴らし込みを行っています。

音場は左右の音に広がりがあり空間が広めに感じます。

分離は良好で解像感も良好ですが音数の多い曲では中高音域にやや重なりを感じます。

低音の量感は控えめですが少ない訳ではなく十分で広がりも適度に感じ、締まりとキレは普通程度。BAの低音としては十分な印象です。

重低音は沈み込みはそれ程深さを感じませんが十分な強さがあり、ベースラインは追いやすい。

高音は煌びやかさがあり華やかさもありますが、尖りはなく刺さりは抑えられている。クリアに聴こえ伸びも普通です。

中音は凹みを感じずクリアで、ボーカルの周りで華やかさがあり存在感は十分。

ボーカルは自然な位置にあり、中音に埋もれずに聴きやすい。

一言で云えばやや中高音寄りの弱ドンシャリ

AS10とは異なり中高音をすっきりさせ高音の華やかさがあります。

C12やZSXとも異なる印象ですが、強いて云えばA10の軽すぎる低音域をちゃんと低音を感じられるように調整しなおしたと云えば伝わりやすいでしょうか。

AS12はZSXのように音場の広さを感じられます。C12の音場はやや狭くかんじるものの中音域にフォーカスされた音づくりとは異なります。

AS12は音場の広く音の響きは感じられますが、ZSX程の低音ではないためどうしてもあっさりしすぎるという違いがあります。ZSXのレビューでも書きましたが、中音域では特にボーカルの聴こえ方、感じ方に違いがでてきます。ZSXのボーカルは空間の広さも相まって自然な位置にありその少し離れた場所で演奏されているように感じられ、AS12もこの傾向があります。これはC12のような音場は広くないもののボーカルが近くに感じる傾向とは異なります。なんというかKZらしい派手さはあり華やかさはあるが音楽の深みが感じ難い、そんな印象を受けます。

次に低音域ですが、やはりZSXやC12のようなDDの深く強い、そしてキレのある音には敵いませんがBAの低音としては量感が控えめなものの十分に感じることができます。単純に低音を比較した場合、C12の方が強く感じ、ZSX、AS12の順となりますが、中価格のU10,000以下で搭載する安価なBAの低音では分が悪そうですね。

その代わりに高音域は音場の広さはもとより、ZSXやC12よりも華やかさがあり綺麗に整っていて音場の近さから相対的にC12が一番華やかさを感じますが、AS12はそれよりもマイルドながらも綺麗に感じられます。

 

この様にKZ AS12ではZSXと同様に音場の広さを感じながらC12やZSXのように中高音、特に高音域をより綺麗に聴かせてくれる音づくりで、A10等の中高音寄りのバランスを低音域を改善させることで高中低音域全ての音域バランスを改善させより聴きやすくした音質傾向とした、AS10、AS16を経て、A10(CCA)等をフィードバックさせた進化版としてのモデルと云えそうですね。

 

まとめとして、KZ AS12はKZの複数BAモデルにおける最新且つ最適なバランスの現時点で最善のモデルとして十分満足できるモデルと云える仕上がりで、人によってはAS10の中低音寄りに伴う中音域の籠りに感じる部分が苦手で、AS16程の高音域の派手さは苦手な方には本当にお勧めできるのではないでしょうか。

ですが、この価格帯にはやや安価でZSXやC12という多ドラハイブリッドの優良機が存在し、それらとの比較ではZSXが最もKZサウンドとしての完成形と云え、DDの低音が苦手又は、BAの低音が好みという方にはAS12を選択いただく方が間違いないと思います。一方、今回の比較対象としたCCA C12はボーカルをフォーカスしたリスニング用途にお勧めで、みぃねこはKZ ZSXの音場の広さや雰囲気の良さを聴いた今でもC12の方を推していますけど(笑)。

尤もAS12やZSXとC12のリスニング用途としてのバランスの良さは中華イヤホンには高音域の刺激的な強さや低音の量が多い強ドンシャリを求めるという方には物足りないと感じ評価が分かれてしまうかも知れません。

 

蛇足ですが、以前のレビューでも触れていますが単純にドライバ数を増やす足し算では未だ限界があります。残念ながらそれをBAオンリーの低~中価格帯複数ドライバ搭載モデルが証明しています。それでも次々と投入される中華の新モデルが我々を楽しませてくれており、今後も期待していきたいですね。

  

高音   AS12 ≧ C12 ≧ ZSX

中音   C12 ≧ ZSX ≧ AS12

低音   C12 ≧ ZSX ≧ AS12

ボーカル C12 ≧ ZSX ≧ AS12

音場   ZSX ≧ AS12 ≧ C12

 

最後に、今回は国内amazonのセールなどで実売6,000円台で購入できる中価格帯中華イヤホンの紹介となりました。現在(2019年12月7日)もamazonで取り扱いがありますし、AliExpressではフォロワー割等で5,000円台前半とお求め易い価格ですが、その入手性に少々難があります。とはいえこれまでの中価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格となりますし、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっていますので低~中価格中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になった方は安心確実なamazon。新商品を少しでも早く入手したい、少しでも安い方が良い方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

AS12
以下、ケーブルYYX4762、イヤピAET07 M使用、DAP M9
高音★★★★☆ 
中音★★★★  
低音★★★★ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★☆ 
※☆0.5、★1.0

 

ZSX

以下、ケーブルYYX4732、イヤピAET07 M使用、DAP M9
高音★★★★☆ 
中音★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★ 

※☆0.51.0

 

C12

以下、ケーブルYYX4761、イヤピAET07 M使用、DAP M9
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★☆
分離★★★★
お勧め度★★★★★ 

※☆0.51.0

 

AS10
以下、ケーブルYYX4762、イヤピAET07 M使用、DAP M9
高音★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★☆ (中音の厚みが欲しい方★5) 
※☆0.5、★1.0

 

あとがきとして、今回は複数BA搭載モデルの中価格中華イヤホンの新商品のレビューを多ドラハイブリッドモデルの兄弟機と併せて比較をまとめてみました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですね。今後も低価格を中心に、複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

※2019/12/13 誤記修正

 

  

 

 

SHOZY FORM 1.1レビュー

こんにちは。

今回はメインの1BA+1DD中華イヤホンレビュー編、番外編として先日のPaiaudio PLIISEN121やTRI i4同様に中価格帯で発売されたSHOZY FORM 1.1についてレビューをまとめたいと思います。

国内amazonではSy Audio(@syaudioli)で取り扱いがあります。

 

 

 

shozy FORM 1.1 高音質 HIFI イヤホン 高精度のバランスド 1DD + 1BA 高遮音性 密閉型 バランスサウンド HiFi 中華イヤホン 3.5mm 2Pin (マイクな)

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※メーカーHPはコチラ↓

www.shozy-hk.com

 

SHOZY FORM 1.1は深圳と香港に拠点を置き日本でも大手オーディオ販売店で商品を販売展開している中華メーカー、SHOZY社が手掛ける所謂中華イヤホンの1BA+1DDハイブリッドモデルです。国内amazonではマーケットプレイス扱いにてSy Audioが販売しています。

このFORM 1.1は販売価格が7,000円台半ばと中価格帯A5K-U10Kとなり、以前レビューしたTIN HIFI T3やPaiaudio PLIISEN121及び、TRI i4と価格が近く、ドライバ構成も同じ。スペックも同様なことから競合する商品と云え、それらとの違いが気になります。特にPLIISEN121は樹脂製シェルと直接的な競合商品と云えそうです。

TRI i4の売り文句にknowles製バランスドアーマーチュアドライバを採用とありますが、対するFORM 1.1はメーカーHPの商品説明にはその旨ありませんでした。

一方PLIISEN121も公開されておらず、knowles製BA採用はTRI i4とTIN HiFi T3の2機種のみ。PLIISEN121とFORM 1.1はメーカー不明となります。

とはいえTRI i4とT3に実際に搭載されている型番までは不明ですし、低価格帯の中華オリジナルBAを搭載する1BA+1DDよりも中高音域で繊細な音を聴かせてくれるので、気にしないことにします。だって大切なのは実際に聴いて音が良いのか悪いのかですからね。

 

そんな訳で今回は中価格帯A5,000-U10,000クラスの1BA+1DD機、SHOZY FORM 1.1を入手しましたので、TRI i4とPLIISEN121との違いを交えながら、FORM 1.1のレビューを纏めていきたいと思います。

 

さてFORM 1.1は樹脂製シェルですが、TRI i4は金属製のシェルです。一方PLIISEN121も樹脂製シェルでこれら3機種共にユニバーサルタイプとしてはカスタムIEM風の耳への装着時に馴染み易い形状です。

FORM 1.1のスペックは冒頭少し触れた通り1BA+1DDハイブリッド機ですが、9.2mmベリリウムコーティングダイナミックドライバ1基に加え(メーカー及び型番不明)BAを1基搭載しています。また、樹脂製シェルを採用しフェイスプレートが凝った装飾が施され質感が高く、よくあるの中華イヤホンの武骨なイメージとは異なります。実際に商品を見るとイヤホン本体の仕上がりも良く高級感がありクオリティの高さを感じられます。

そしてFORM 1.1はこれまでレビューした低価格中華1BA+1DDイヤホン同様に各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングが重要となります。このチューニング次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくるといえますね。

 

FORM 1.1の納期としては流石の国内amazonで当日発送、翌日配達です。尤もAliExpressにてオーダーした場合は早くても約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間かかることを考慮すればその保証からも少々の価格差は気にならないレベルかもしれません。

一般的にAliExpressでの購入では国内で購入するより安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

それでは、早速SHOZY FORM 1.1の実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングは箱の表にイヤホン画像がカラープリントされており、低/中価格帯の割り切った化粧箱とは一線を画したオリジナルデザインの黒箱でポップなイメージの化粧箱です。
箱の裏にはスペック等が記載されています。


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箱は上蓋を開けると黒地の内箱が収納されていて、内箱を取り出しそれを開けるとケースが入っています。

 

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そのケースを開けるとイヤホンと付属品が入っていて、付属品はシリコンイヤーピースが黒のシングルフランジと白のダブルフランジがS、M、Lの3種2セットで黒イヤピMサイズが本体取付け済みに加えフォームタイプがS、M、Lの3種1セット。他にはケーブル、(付属品の入っていた)イヤホンケースです。A5K-U10Kの中価格帯としては必要十分な付属品となります。


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ビルドクオリティですが、FORM 1.1は中華イヤホンで心配されるような各所の仕上りに雑なところを全く感じません。寧ろかなり綺麗な仕上がりに感じます。中価格帯とはいえこの綺麗さにはA10Kの中価格帯に勝るとも劣らないレベルで、安心して購入できるのではと感じています。

更にこのFORM1.1の最大の特徴であるフェイスプレートはラメ入り仕上げとなっていて、メーカーロゴも含め光の反射によって煌びやかさが演出がされていますが、少しだけ残念なのはカラーバリエーションは黒色のみとなっています。

 

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付属ケーブルは黒色のナイロンメッシュ被膜線材を使用したツイストしたタイプです。芯線は高純度銅線を使用し中価格帯で採用されているタイプとしても上質なケーブルと云えそうです。プレイヤー側コネクタはL字タイプで、イヤホン側は2ピン仕様でピンアサインはKZやTFZと同じ上がプラスです。この付属ケーブルは耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的に絡まりにくくしなやかなものとなり低価格帯に付属するケーブルとは異なりそのまま使用できますし黒色ケーブルやナイロン被膜がタッチノイズを抑えるため普段使いに重宝しそうですね。

 

※画像左からPLIISEN121、FORM1.1、TRI i4 
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FORM 1.1とTRI i4やPLIISEN121の外観の比較として、シェル本体は先述の通りTRI i4は金属製シェルで重厚感がありますが、実際には比較的軽量な金属を採用しており耳への装着時にそれほど重さを感じません。一方、FORM 1.1とPLIISEN121は樹脂製シェルを採用しPLIISEN121が少し大きめとなっています。それでも3機種共にカスタムIEM風のデザインのため耳への装着感は良く、大きさの割に重さを感じません(樹脂と金属では比重が違いますので当然と云えば当然)。

また、FORM 1.1とPLIISEN121は本体が樹脂ですがステムノズルが金属で3機種ともにメッシュフィルター付き。FORM 1.1にはシェル本体にやや大きめの金属製ダクトがあり、TRI i4にもシェルに小さな穴が2か所、PLIISEN121には1か所あります。

次にシェル本体の形状は3機種ともにシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要ですね。

いずれの機種も低価格帯とは異なり仕上がりの綺麗さや高級感は流石の中価格帯と云えますが、先述の通りFORM 1.1のクオリティの高さ、見栄えの良さは1枚上といったところでしょうか。

そしてFORM 1.1はステムノズルが細めでTRI i4とPLIISEN121が同じくらいですが形状的にTRI i4が装着感に影響が大きくなります。それらよりもFORM 1.1は小さめのイヤーピースで耳へは奥の方にやや深めに装着する形がみぃねこは一番しっくりきました。そしていつも通り付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じましたのでイヤピを色々試しスパイラルドットに交換して装着感と音質的に十分と感じました。実は最初にいつものAET07に交換し浅めに蓋をする形で装着してみましたがどうにも右耳だけ収まりが悪く外れてしまうため先述のイヤピを選択しています。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今回の再生環境はFiiO M9、直挿しアンバランス接続です。

これまで通り中価格帯はM9を基準としてレビューを行います。もちろんShanling M0やiPhone6sでも鳴らすことができましたが、中高音域の解像感や低音域の表現力で本来の性能を発揮できないと感じましたのでご容赦ください。

低価格帯のイヤホンの場合でその違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。

 
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それでは実際に聴いてみます。
ソースは宇多田ヒカル/First Love平井堅/瞳をとじて倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピはスパイラルドット Mサイズ、付属ケーブルを使用しています。

箱出しで聴いてみた第一印象は「中低音に厚みのある音ながら高音も華やかさがありボーカルが聴きやすくバランスが良い」でした。
箱出し直後は低音が少し膨らみすぎるように感じたため今回も先に鳴らし込みを行っています。

音場は広くも狭くもない普通からやや広く感じます。

高音は煌びやかさは十分で伸びも良く過度な主張をせずに刺さりも感じない。

低音は量感があり響きが良い。反面やや緩く感じキレは普通程度。ベースラインは追いやすい。

重低音は沈み込みはそれ程深さを感じないものの強さはあり不足を感じません。

中音は音に厚みがありながらもクリアさがある。ボーカルはクリアで自然な位置から艶がある声を聴かせてくれ暖かみを感じます。

一言で云えば中低音寄りのややドンシャリ

FORM 1.1の特徴として、高音は中低音域に比べて主張は強くないがしっかりと存在感があり十分な煌びやかさと伸びやかでシンバルはシャァーンと聴こえ低価格帯のシャンとは違います。

中音は兎に角ボーカルがクリアで聴きやすい。それでいて音に厚みというか暖かさがありながらも騒がしくない。音数が多い曲では多少音が重なってごちゃつきを感じます。

低音は重低音よりも中音との間の中低音寄りに重心があります。それ故にボーカルとベースラインの印象の良さに繋がっていると感じます。

これはみぃねこはKZ ZSNを初めて聴いた際の衝撃を忘れられないのですが、例えるならそのZSNの傾向のままブラッシュアップした音といえば伝わり易いでしょうか。ZSN proはZSNとは別の傾向でしたので、ZSNのあの音を探し求めている方にはお勧めし易いですね。

次に以前レビューしたPLIISEN121やTRI i4との比較として。

TRI i4はアップテンポの曲では高音の華やかさと低音の締まりとキレの良さが心地よく、様々な曲にも破綻することなく対応できると思います。

PLIISEN121は中低音域が中心で低音の量感とボーカルの艶やかさがあるバラードやボーカル曲が映える心地よさがあります。

対するFORM 1.1は高音の刺々しさのない中低音寄りの音質傾向で、同じ傾向のPLIISEN121は個人的に好みではあるものの低音寄りとも云え、FORM 1.1の方が万人に聴きやすい音質傾向と云えそうですね。

 

 

※過去記事です。よろしければご参考ください。 

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まとめるとFORM 1.1は必要以上の派手さや多ドラの様な音数や音圧勝負では無く、クリアでバランスの良い高/中/低音域とすることで中価格帯の中華イヤホンとして万人受けする堅実ながらも実力が高いイヤホンと云えるのではないでしょうか。

尤もこのバランスの良さは中価格帯の中華イヤホンには多ドラの様な音数の多く派手さや強ドンシャリを求めるという方には物足りなく感じるかも知れませんね。


最後に、今回は5,000円以上、10,000円以下で購入できる中価格帯中華イヤホンの紹介となりました。現在(2019年11月27日)はamazonで7,000円台半ばで。AliExpressでの価格がありませんし、その入手性に少々難があります。とはいえこれまでの中価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格となり、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっていますので低価格中華イヤホンからのステップアップとしてその辺りの購入を考えていて少しでも気になった方は安心確実なamazon。少しでも安い方が良い方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

FORM 1.1

以下、付属ケーブル、イヤピ スパイラルドット M使用、DAP M9
高音★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★☆
分離★★★☆
お勧め度★★★★★ (TRI i4とお好みで)

※☆0.51.0

 

あとがきとして、今回は中価格帯の1BA+1DD中価格中華イヤホンの新商品のレビューまとめてみました。今後も複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンに挑戦していきたいと考えています。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですね。

今後も気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

TIN HiFi P1レビュー

こんにちは。

今回は中華イヤホンのシングルドライバモデルのレビュー編として中価格帯で発売されているTIN HiFi P1についてレビューをまとめたいと思います。

今回は国内amazonのWTSUN Audio(@Zhuo520x)から購入しています。

 

https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07Z4TZRYN/ref=ppx_yo_dt_b_asin_image_o00_s00?ie=UTF8&psc=1

 

 

 

TINHIFI P1 平面駆動ドライバーと全金属フェイスプレートHIFI高音質イヤモニ型イヤホン 一つ10mmの平面磁気トランスデューサが搭載され フェイスプレートとシエルが全金属で一度に作られ 5N高純度OFCケーブルと金メッキMMCX端子と3.5mmプラグを搭載して リケーブル可能 カナル型ノイズキャンセリングイヤホン

ASIN:B07Z4TZRYN

 

AliExpressでもWooeasy Earphone Store(@hulang9078)に取り扱があります。

 

ja.aliexpress.com

 

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TIN HiFi P1はTIN HiFi社(旧TIN Audio)から発売されているシングルドライバ搭載モデルです。TIN HiFi社のイヤホンは以前レビューしたT3がありますがこちらは1BA+1DDの2ドライバを搭載しており今回のP1は1基のドライバを搭載したモデルとなりますが、実はこれ平面磁気駆動ドライバを採用しています。

そもそも平面磁気駆動ドライバとは何?という方のために簡単に補足すると、国内及び海外の有名メーカーで評価の(も)高い高級ヘッドホンで採用されているダイナミックドライバの一種です。ね、これだけでも凄いドライバが採用されていると思うでしょ(笑)。

平面磁気駆動ドライバの技術的な説明をどうしても知りたい方はgoogle先生で検索してみてくださいね。だってそれを長々と書いてもつまらないし読む気にならないと思いますし結局音は如何なんだよって方が殆どではないかと思いますので。

さて、このP1はこれまでのTIN HiFi社の商品の中でもかなり高額です。T2やT3は比較的安価な販売価格が設定されていて国内amazonでも5,000円-10,000円以下の中価格帯で購入できましたが、P1では桁を上げ国内amazonで1万円後半の中価格帯ではありますが高価となっています。

みぃねこは所有していてもこの辺りの価格帯の商品は殆どレビューすることはありませんでしたが何故にP1を購入し記事を書いているのかと云えば、思いの外良い音を聴かせてくれると感じましたが、あまりにもレビューが少なく折角の良い商品なのに販売に繋がっていないと考えたからです。

元々この備忘録は一般的な国内及び海外有名メーカーではないけど良い音を聴かせてくれる商品が沢山あっても試聴できなくて二の足を踏んでいる方の背中を押してあげることができるように始めています。つまり、このP1はぴったりの題材となる訳です。

そして、なによりも国内及び海外有名メーカーに勝るとも劣らない(かもしれない)中華イヤホンの楽しさを伝えていけたら幸いです。まあ、いい訳ですね、はい。なんやかんやでP1が気になっていて、やはり自分の耳で確認したくなったというのが一番の理由でございます(笑)。

 

※TIN HiFi T3の過去記事もよろしければご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

  

そんな訳でイヤホンにはあまり採用されていない平面磁気駆動ドライバを搭載したP1を他の中価格帯の多ドラハイブリッドモデルとの違いを交えながらレビューを纏めていきたいと思います。

 

TIN HiFi P1はオール金属製のシェルが採用されています。全体的に角がなく丸みを帯びた造形で材質はステンレスのSUS304と耐食性は悪くないのですが、ここは医療用SUS316の方がアピールポイントとしては高くなったのではと思います。ステムノズルはコンパクトなシェルに対し、かなり太めです。そのため、装着感はコンパクトなシェルでありながらもステムノズルの太さの影響で個人差が結構あるかもしれませんね。

 

P1のスペックは先述の通り10mmの平面磁気駆動(Orthodynamic又はPlaner Magnetic)ドライバを片側1基搭載し、付属するケーブルも上質なものが採用されています。尤も平面磁気駆動ドライバ自体が高価なことと、金属シェル、上質な付属ケーブルが採用されていることからも必要な部分には惜しみなくコストを掛けますよっていうTIN HiFi社の商品づくりは共感できますね。

特に平面磁気駆動ドライバでは中高音域の表現力が高くなると評判で、少し聴いただけでもその評判に納得してしまいます。

そして、P1は片側に1ドライバのため、多ドラの様な複雑なクロスオーバーもなくシンプルで実績がある方式のため安定した音を奏でることにアドバンテージがあります。それはこれまでレビューしてきた中価格中華多ドラハイブリッドイヤホンとは異なり1ドライバ故の自然なつながりがある音が期待できるからです。複数のドライバを搭載した場合、各ドライバの担当する音域が重なるクロスオーバーのチューニングという難題があり低価格帯では特にこの辺りを誤魔化した商品も多くありますが派手な音づくりで結構それを感じさせない様な音作りがされていたりします。もちろんP1は1ドライバとはいえチューニングは行いますし大事ですが、このチューニングポイント、経験則を活かし易くそれ次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくるといえますね。

 

TIN HiFi P1の納期としては流石の国内amazonの当日発送、翌日配達です。AliExpressにてオーダーした場合はチャイナポストを選択しても早くても約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間かかりますし、万が一の不良の際に返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くの少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

それでは、早速TIN HiFi P1の実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングは黒を基調としたシンプルなスリーブタイプの黒箱化粧箱です。
スリーブの表にはメーカーロゴとイヤホン名が記載されていシックなタイプです。


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スリーブを外すと黒地の箱でこれまたシンプルですが雰囲気が良く箱を開けると黒地の内装の台座にイヤホンとイヤホンケースが収納されています。またイヤホン等が収納された台座を取り外すと、取説が入っています。

ケーブル等の付属品はイヤホンケースの中に収納されています。この辺りはいつもの中低価格帯とは異なり豪華な化粧箱ですね。

 

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付属品のイヤーピースはシリコンイヤーピースがS、M、Lの3種各2セットとフォームタイプのM、Lが1セットの計3セットが付属します。シリコンイヤピは口径のサイズが異なりそれぞれ好みの音質に調整が可能です。

ケーブルは付属するケーブルとして上質なもの付属しており、A10K-U20Kの中価格帯でも高価なクラスとして十分な付属品ですが、個人的にこれだけで完結できる満足感の高いセットと云えますね。


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ビルドクオリティですが、TIN HiFi P1は中華イヤホンで心配されるような各所の仕上りに雑なところを感じません。以前レビューしたT3同様に安心して購入できると思います。

カラーバリエーションは銀色のみです。

 

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付属ケーブルは5N、OFCの線材を使用した明るい茶色の編込みタイプが採用されています。プレイヤー側コネクタはI字タイプで、イヤホン側はMMCXコネクタです。この付属ケーブルは耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的に絡まりにくくしなやかなものとなり中価格帯に付属するケーブルとして十分な印象があり、そのまま使用できますし落ち着いた色合いのケーブルが本体色との一体感もありますね。

 

※画像左からKB06、P1、Spring1、V90 
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P1のコンパクトなシェルを伝えるために同じくコンパクトなKB06とSpring1とV90を並べてみました。この3機種の中で同じ価格帯はSpring1となりますがこちらは3ドライバ搭載しておりシェルが大きく感じます。それでも同価格帯の多ドラハイブリッドモデルと比べコンパクトなモデルなのですが、それが際立つP1となりますね。

またP1のシェルデザインは丸みを帯びた造形で且つコンパクトなシェルが功を奏し耳への装着感はかなり良好です。ただしシェル自体はコンパクトですがステムノズルはかなり太めで長く、みぃねこは個人的に装着感が良好でしたが、個人差がありそうな印象ですね(装着感に個人差はあることをご了承ください)。

勿論ステムノズルの先端端面にメッシュフィルターが装備されています。

そして、シェル本体の形状と付属ケーブルからはシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

先述の通りP1はステムノズルが比較的太めで長めながらも、耳へは付属のイヤーピースでしっかりと装着できましたが、音質的に少し低音が抜け気味で軽く感じたため、いくつか試した結果、AET06でみぃねこは一番しっくりきました。低~中価格帯では毎度付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じることが多くありますので手持ちのイヤピと交換しています。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 



それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今回の再生環境はFiiO M9、直挿しアンバランス接続です。

これまで通り中価格帯はM9を基準としてレビューを行います。もちろんShanling M0やiPhone6sでも鳴らすことができましたが、中高音域の解像感や低音域の表現力で本来の性能を発揮できないと感じましたのでご容赦ください。

低価格帯のイヤホンの場合でその違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。

 
miineco106.hatenadiary.jp

 

それでは実際に聴いてみます。
ソースは宇多田ヒカル/First Love平井堅/瞳をとじて倖田來未/Moon Crying。高音/低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピはAET06 Mサイズへ。ケーブルは付属品を使用しています。

箱出しで聴いてみた第一印象は「TIN HiFiらしいクリアな中高音と中高音域の解像感が高く聴きやすい」でした。
こちらも箱出し直後は低音が控えめに感じたため今回も先に鳴らし込みを行っています。

音場は広く上下左右、特に左右の空間に広さ感じます。

中高音域の分離は良く解像感も良好です。音数の多い曲でも中高音域に重なりを感じごちゃつくようなことはありません。

高音は華やかさと伸びがありながらも刺さることはなくけして尖っていません。

中音は見通しは良くクリアですっきりしていてボーカルを邪魔しない。そのボーカルは自然な位置にいて中音に埋もれることはありません。

低音は控えめながらも十分に芯を感じられ広がりすぎず締りは良好で応答性の良さも感じ、ベースラインは追えます。

重低音は沈み込みはそれ程深さを感じませんが適度な強さがあります。

一言で云えば中高音寄りのフラットバランスの印象です。

更にみていくと高音は小さな音や強弱を聴き分けられますが、同社T3程の超高音域までの広さはないものの表現力はP1に分があります。

中音は高音同様に左右の離れたところから鳴る音を聴き分けられボーカルから左右少し下がった位置で支えてくれます。特にコーラスがボーカルに潰されずに、また前に出過ぎずにしっかり聴こえます。

低音は中高音が分離や解像感が良く小さな音もしっかりと聴き分けられること。量感が多いわけではなく控えめな為に印象が薄くなりますが質感は悪くありませんが、低音を重視する方には物足りなく感じるかもしれません。

その為ハイゲインに変更してみましたが、ただ派手に感じるだけで「なんか違う」と思いDAPをM9からパワーのあるDX160へチェンジしてみました。

結果、中高音の解像感やクリアさはそのままに低音に強さを感じられます。

この低音は中高をマスクしない適度で十分な強さがあり、しっかりとした芯と響きを感じます。そして中音の響きをより感じられM9で聴いた時の悪く云えば淡々と再現しようとする硬質な表現よりも、DX160の暖かさのある雰囲気の良い音ながらもけして分離や解像感が劣るわけではない特徴がP1にはマッチしこれが本来の姿なのかもしれませんね。

もっと云えば低音域の表現力はDX160の方が上ですので、P1の低音域が物足りないと感じる方にはパワーのあるDAPやポタアン等を使用してみると印象が良い方向に変わるのではないでしょうか。

 

まとめとして、TIN HiFi P1は挑戦的なモデルでありながら同社の1BA+1DDハイブリッドモデルT3を超えるフラッグシップとして十分満足できるモデルと云える仕上がりです。

ですが、スマホ直挿しではP1本来の性能を発揮できず、ポタアンを介し出力を確保した上で聴く場合に新たな世界を感じることができるのではないでしょうか。勿論出力の高いDAPを使用しても同様に非常にバランスの良い印象を持たれると思います。

尤もこのクラスの中華イヤホンをスマホ直挿しで使用される方は殆どいないのではと思いますので余計なお世話かもしれませんね。

なおP1のバランスの良さは中華イヤホンには高音域の刺激的な強さや低音の量が多い強ドンシャリを求めるという方には物足りないと感じ評価が分かれてしまうかも知れません。

 

そして、以前のレビューでも触れていますが単純にドライバ数を増やす足し算では未だ限界があります。残念ながらそれをBAオンリーの低~中価格帯複数ドライバ搭載モデルが証明しています。それでも次々と投入される中華の新モデルが我々を楽しませてくれており、今後も期待していきたいと思います。

  

高音   T3 ≧ P1 ≧ T2

中音   P1 > T2 ≧ T3

低音   P1 ≧ T3 ≧ T2

ボーカル P1 ≧ T3 ≧ T2

音場   P1 ≧ T3 ≧ T2

 

最後に、今回は国内amazonのセールなどで実売15,000円前後で購入できる中価格帯中華イヤホンの紹介となりました。現在(2019年11月22日)もamazonで取り扱いがありますし、AliExpressではフォロワー割で10,000円台前半とお求め易い価格ですが、その入手性に少々難があります。とはいえこれまでの中価格中華イヤホンの平面駆動モデルの中では安価な実売価格となりますし、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっていますので低~中価格中華イヤホンの中で間違いのないものを購入したいと考えていて気になった方は安心確実なamazon。新商品を少しでも早く入手したい、少しでも安い方が良い方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

P1
以下、付属ケーブル、イヤピAET06 M使用、DAP M9
高音★★★★☆ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★☆
分離★★★★★
お勧め度★★★★☆ 
※☆0.5、★1.0

 

P1
以下、付属ケーブル、イヤピAET06 M使用、DAP DX160
高音★★★★☆ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★☆
分離★★★★★
お勧め度★★★★★ 
※☆0.5、★1.0

 

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あとがきとして、今回は平面磁気駆動シングルドライバ搭載の中価格中華イヤホンの商品レビューをしてみました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですね。今後も低価格を中心に、複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

 

NICEHCK C4-1 C16-4レビュー

こんにちは。

今回はいつもと趣を変え中華ケーブルレビューとして先日発売されたNICEHCK C4-1とC16-4の2種のレビューをまとめたいと思います。

今回はAliExpressのNiceHCK Audio Store(新@NiceHCK_Audio,旧@hckexin)から購入しています。

 

ja.aliexpress.com

 

ja.aliexpress.com

 

国内amazonでは未だ取り扱いが無いようです。(2019年11月15日現在)

国内amazonのNICEHCKにて取り扱いが始まりました。(2019年11月18日現在)

 

 

  

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NICEHCK C4-1とC16-4は前回レビューした同社のGCT4同様にこの1年で価格破壊した中華ケーブルの中でも高品質な線材を使用し新発売されたモデルです。中華ケーブルはこれまでも国内有名メーカーの何分の一の低価格で提供しており、リケーブル効果を安価に楽しみたい方や、その効果をちょっと試してみたいが国内有名メーカー製は高価で手が出せない方(含むみぃねこ)の強い味方としてそのポジションを確立しています。

その象徴として今年に入ってからの低価格化で現在は高純度銅線を採用した16芯タイプが2,000円台で購入できるようになっています。昨年の今頃は6,000円前後、今年の初めは5,000円前後で購入できるようになり、1年前の8芯タイプの価格まで下がっています。

以前のレビューでも記載しましたが、この低価格化の進む中華ケーブル16芯タイプは低価格化に伴い採用する線材のグレードが下がっている訳ではなく、寧ろ従来の16芯タイプと同等以上の高品質な線材を採用しているようです。そのため芯線が増えることによる音の変化を十分に感じられ音質変化を楽しめるモデルとなっています。とはいえ流石に線材は中華ケーブルの高級ラインナップと比べるとグレードは決して高くは無いようです。しかし、先述の通りお気に入りの国産有名メーカーのイヤホンの純正ケーブルはそもそも高いしアフターマーケットでもどれを選べばよいかわからない。加えて「リケーブルで本当に変わるの?」という方に「お試し」に中華は安価でお勧めしやすいことや、そもそも低価格帯の中華イヤホンの付属ケーブルはコストダウンの的となっている訳で上質なものは付属していないことが多く、最初からリケーブルしてしまうという方にもお勧めと云えそうですね。

昨今、中華ケーブルの低価格化が進んでいますが、一方で中華ケーブルの高級化も進み、従来の付属品ケーブルを低価格帯ケーブルにリケーブルするお試し層(含むみぃねこ)と高価価格帯イヤホンをリケーブルによって更なる高みを望む層(羨ましい)とユーザーがそれぞれの楽しみ方で満喫しているようですね。

中華ケーブルの高級化は「輸入線材」や「単結晶銅線(OCC)」と「6N」、「7N」という純度を売りにした高品質で上質な線材の使用を謳っており、マニアの心を擽っています。ですが、気になるのが価格ですよね。はい、ご安心ください。もちろんそこは中華ケーブルですので国内メーカーでは1本2-3万円となるところが、1万円程度で購入できるという価格破壊ぶり。 過去には某国内有名メーカーが採用するキ〇バーケーブルと同じ線材を使用した中華キン〇ー風ケーブルが話題になりましたが、その時も2万円が5千円という価格で発売されています。もう、材料費もさることながら人件費で吸収できる中華は「流石ですね」としかいいようがありません。

 

そんな低価格化と高級化の二極化が進む中で、中華ケーブルの低価格帯新モデルとして登場したのがNICEHCK社のC16シリーズC16-4と、高級中華ケーブルの新モデルとしてC4-1がラインナップに加わった訳です。これは以前レビューした同社GCT4は高品質の高純度無酸素銅線(OFHC)線材を採用し芯線の数を4本に抑えることで低価格帯に収めていた手法とは異なりスタンダードに高品質な無酸素銅線(OFC)を多芯化したり、高級単結晶銅(OCC)線材で且つ1本あたり太さがある線材を芯数を少なめで採用し製品化しています。最近の中華ケーブルは16芯がエントリークラスまで下りてきていますので、物足りなく感じるかもしれませんが、太い線材では多芯化は取り回しの悪化に繋がりますのでバランスは大切です。

技術者目線で考察すれば先ず線材の太さはAWGで表されていて数字が大きいほど細くなります。例えばAWG26~30は産業電気機器のセンサー系に使用します。それよりも太いAWG18~24となるとセンサー系よりも電流が多く流れる箇所、例えばモーター系で使用します。AC100V電源からDC12-24V電源間ではAWG12~16とかなり太い線材が用いられています。勿論技術的にはそれだけではありませんが簡単に説明すると電力が多く必要な個所へは多くの電流を流す必要があり、それには太い線材が有利となります。つまり線材は太い方が有利と一般的には考えられています。

話はそれましたが、ユーザーにとっては理屈はどうでも良くて、価格が高くて良いものは当たり前であり、国内有名メーカーだろうが中華だろうが関係なく安くて良いものが歓迎されますからね。

 

そんな訳でC4-1は分かりやすく高級OCC線材を採用した高級ラインナップであり、C16-4は同C16シリーズ(他にC16-1、C16-2、C16-3等がラインナップ)の中でC16-1と同一線材の被膜カラー違いのようですね。

まとめるとC16-4は最近のA2K-U5Kの低価格帯で採用されている線材、無酸素銅線(OFC)を銀メッキ線した細い線材を編込まれておりしなやかで取り回しが良好です(1年前まではA5K-U8Kクラスの線材)。同C16シリーズのC16-1は白(銀?)カラーですので、被膜のカラーを好みによって選択できるようになったのは嬉しいですよね。

そして、中華ケーブルとしては高級ラインナップとなるC4-1は先述の通り6N、UPOCC線材を採用した銀メッキ線で且つ太めの線材となるためにコストや取り回し性の兼ね合いで4芯となりますが、C16シリーズよりも音質変化が見込めますね。

 

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みぃねこの手持ちでは以前購入した中華ケーブルHiF4814が一番高級で単結晶銅(OCC)8芯を採用されていて、LZ A5に使用し中/高音域がクリアになり高音の尖りがマイルドに変化し中音域がすっきりと見通しがよくなり聴きやすく音質変化したため気に入っていました。今回はそのA5をHiF4814からC16-4とC4-1にリケーブルしてその変化を確認するとともにC16-4はPaiaudio PLIISEN121にもリケーブルしてみたいと思います。

 

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先ずは一番気になるC4-1ですが、高品質な6Nの単結晶銅線(UPOCC)を採用し外観では金属プラグや金属コネクタを使用し線材の被膜もナイロンメッシュ被膜を採用する等、高級ラインナップに相応しい充実ぶりです。特に被膜のナイロンメッシュはタッチノイズの抑制に効果が期待でき線材の太さによる取り回しの悪さからも発生しやすくなりがちですが、殆ど気にならず寧ろ皆無とも云えるレベルですね。

 

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次にC16-4ですが、銀メッキ無酸素銅線を採用し外観ではC4-1同様に金属プラグや金属コネクタを使用する等、一見して低価格帯とは思えないほどです。

個人的にケーブルの被膜が白銀とガンメタ?カラーのMIX線がコネクタ類の銀色と相乗効果で高級感を演出していると感じますね。

 

NICEHCK C4-1及びC16-4の納期ですが10/29にオーダーし発送が10/31、届いたのが11/10でした。スタンダードシッピングとしてはやや早いくらいでしょうか。尤もこれまでのスタンダードシッピングよりも早くなったような気がしています。これまでは通常AliExpressにてスタンダードシッピングでオーダーした場合は早くても約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間かかっていますので。

そんな訳で、一般的にAliExpressでの購入では国内で購入するより安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

それでは、いよいよNICEHCK C4-1とC16-4の実機レビューです。

 

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先述の通り今回はC4-1をLZ A5に。C16-4をLZ A5とPaiaudio PLIISEN121にリケーブルして音質についてまとめていきます。

再生環境はC4-1及びC16-4とA5の組み合わせがiBasso DX200 AMP8(2.5to4.4変換)直挿しバランス接続。C16-4とPLIISEN121はFiiO M9、直挿しバランス及びアンバランス接続です。

以前Paiaudio PLIISEN121をレビューした際は同じDAPを使用していますが、付属ケーブルとリケーブルした違い等がありますので、ご容赦ください。

 

※よろしければ以前の「Paiaudio PLIISEN121レビュー」も併せてご覧ください。

miineco106.hatenadiary.jp

 

それではリケーブルして実際に聴いてみます。
ソースは宇多田ヒカル/First Love平井堅/瞳をとじて倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

A5とPLIISEN121は共に付属品イヤピ Mサイズを使用しどちらも耳奥に栓をするように装着しています。

始めにC4-1にリケーブル前の付属品ケーブルのA5は少し高音域に尖りを感じ中音域は音数も多く派手な印象で低音も十分に感じられるやや中高音寄りのバランスで、中/高音域の分離や解像感が良いLZ社の一世代前の旗艦モデルで片側5ドライバ4BA+1DDモデルです。

HiF4814にリケーブル後は先述の通り中/高音域がクリアになり高音の尖りがマイルドに変化し中音域がすっきりと見通しがよく聴きやすくなり音質変化を感じ気に入っていました。

これを更にC4-1へリケーブルしたところ、HiF4814より全体の透き通る感じが上。

これまで気にしたことがなかった無音時の静寂を感じます。例えるならSONY WH-1000XM3のノイズキャンセリングとも違う別のベクトルの静寂性でしょうか。

高音は刺激が控えめになりますが伸びは変わらず。

中音は更に見通しが良く澄み渡りボーカルに艶が増し生々しさが増したように感じます。

低音は強さと響きが増すが膨らみ過ぎて締りが無くなる事も無く適度な締りと強弱が掴み易く中/高音をマスクしません。

A5本来の性能を引き出しつつ多ドラハイブリッドが故のネガティブな中高音の派手な華やかさに伴う刺激的な部分を消す事で多ドラを感じさせない自然で上質な音質傾向に変化しました。月並みですがワンランク、ツーランク上のクラスのイヤホンを聴いているような錯覚を覚えます。

もう少し云えば音場は広く高音の尖りが鳴りを潜め中/高音域に上品さを感じます。

低音の量感は増え、元々の締まりとキレはそのままに、重低音も沈み込み響きが感じられベースラインは追いやすくなりました。中低音域に厚みが増すタイプとも云えそうです。

 

そのため、A5の華やかな中/高音域を好む方には評価が分かれてしまうかもしれません。 

 

次にC16-4にリケーブルして聴いてみます。

銀メッキ線らしくA5の中高音の華やかさや低音の良さを維持しながらも中低音の厚みが増す事で付属品ケーブルからのグレードアップを十分に感じる事ができますが、C4-1や元々のHiF4814を聴いた後では少し物足りなく感じてしまいますが、A5の華やかさを好む方には評価が高くなるかもしれません。加えて付属品ケーブルからの交換を考えていて予算が限られている場合には安価に変化を感じられますので良い選択肢になると思います。

その為、折角のC16-4の良さを引き出すために、Paiaudio PLIISEN121へリケーブルして確認してみます。

こちらは普段同社のCT1を使用していて付属品ケーブルよりも高音の華やかさが増し低音の響きを抑え締りを増すことで、より好みの音質傾向として気に入り常用しています。

先ず感じるのはCT1より音場がすっきりしクリアです。

高音は角が取れ控えめに感じますが伸びは良く寧ろ表現の仕方は上品な印象です。

中音は音場が広がり繊細な音の強弱を感じられ情報量が増えていますが、その分相対的にボーカルが少しだけ下がって聴こえます。

低音はPLIISEN121の特徴である強さと響きの良さに磨きがかかった印象。低価格では低音が強いと分離や解像感を感じにくい場合が多いですがPLIISEN121のポテンシャルの高さを発揮させる事に繋がっているようです。加えてベースラインは中高音を邪魔せずに追いやすく心地良いです。これはちょっと他ではなかなか無いですね。みぃねこはCT1からC16-4へ常用を変更したいと思います。

そんな訳でC16-4はPLIISEN121付属品ケーブルの傾向をグレードアップさせPLIISEN121の味をそのままに美味しく感じることができますね。

 

まとめるとNICEHCK C4-1は同社の高級ラインナップに恥じない実力を持ち、上質な音質への変化を感じることができます。

C16-4はイヤホン本来の性能を付属品ケーブルでは発揮できていない場合に取り回しも良くバランスを整える意図に相性が良いと云えるのではないでしょうか。


最後に、今回は10,000円を超えるものと4,000円前後で購入できる高価格と低価格中華ケーブルの紹介となりました。現在(2019年11月15日)はamazonでの取り扱いはありません。国内amazonでも取扱が始まりC4-1は15,000円を切り、C16-4は3,500円を切りそうです。AliExpressではC4-1が10,000円を切りC16-4が3,000円台の価格でamazonでの取り扱いよりも安価に購入できそうですがその入手性に少々難があります。とはいえ高品質なケーブルの低価格化が進み中華ケーブルの中でも上質な線材が安価な実売価格となりますが、その音質変化を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっていますので低価格中華ケーブルを使ってイヤホンのリケーブルに挑戦してみたい方は少しでも気になった方は安心確実なamazonの取り扱いを待って。少しでも安い方が良い方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

 

あとがきとして、今回は低価格及び高価格中華ケーブルの新商品のレビューをしてみました。複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホン同様に今後挑戦していきたいと考えています。日々進化を見せる中華イヤホン、中華ケーブルにはこれからも非常に楽しみですね。

今後も気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

※2019/11/16 19:13 誤記修正

※2019/11/18 21:05 国内amazon取り扱いを加筆修正

 

KZ E10レビュー ※加筆修正Ver ※2修正

こんにちは。

今回は中華ワイヤレスイヤホンレビューとして、先日発売されたKZ E10についてレビューをまとめたいと思います。※最初に公開した際は一部動作に不具合がありましたが、それが改善しましたので改めて加筆修正し再公開しています。

今回はAliExpressのNiceHCK Audio Store(@hckexin,@NiceHCK_Audio)から購入しています。

 

ja.aliexpress.com

 

国内amazonでも取扱いがあるようです。

 

 

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※画像のイヤピはSpinfit CP360です。付属品ではありません。

 

KZ E10は以前レビューしたNEX Q70やTWS X19と同様のイヤホン本体とプレイヤーを無線電波によってケーブルを介さずにワイヤレスで接続し、更にイヤホンの左右がケーブルで繋がれていない左右完全独立タイプのワイヤレスイヤホンとなります。

左右独立タイプの完全ワイヤレスイヤホンにいよいよあのKZ社が参入ということで以前発売された同社のプロタイプ、KZ T1はあっという間に売り切れたようで、入手することができませんでした(残念)。

そのKZ社から耳掛けタイプの完全ワイヤレスイヤホン、E10が発売されることを知り今度こそはとオーダーした次第です。

完全ワイヤレスタイプのイヤホンは今年に入り安価でありながら実用性能が十分なモデルが多く発売されていて前回レビューしたQ70やX19がその一例と云えますが、こちらは1DDを搭載するモデルです。というのも、前回のT1は1BA+1DDのハイブリッドモデルでしたが、今回発売したE10は何と4BA+1DDと多ドラハイブリッドです。流石KZ社ですよね。貴方はやってくれると思っていましたよ(笑)。

その期待感はみぃねこは前回レビューしたQ70を愛用しており、平日は通勤時に使用し、更に休日には取敢えず鞄にいれて持ち出すくらい気に入っています。イヤホン左右が繋がったネックバンドタイプ?なんですかそれ?知らない子ですねぇ(笑)。

 

※気になる方は以前の記事も併せてご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

miineco106.hatenadiary.jp

 

さて、前回レビューしたNex Q70は高性能チップQCC3020を搭載しapt-Xにも対応していましたが、KZ E10も同チップを採用しておりSBC、AAC、apt-Xという主要な無線コーデックに対応していることになります。

加えて、先述の通り4BA+1DDと片側5ドライバを搭載する多ドラハイブリッドモデルとなれば、もう気になって仕方がないですし、試してみたくなりますよね(アホ)。

 

KZ E10の納期はバッテリー搭載機のため配送無料便を選択した場合には船便のスタンダードシッピング扱いとなりシンガポール経由です。今回はオーダーから14日で届いていて流石に国内amazonのように当日発送、翌日配達とはいきませんが、オーダーして2週間で届くのは「普通」というところでしょうか。ただし、最近ネット上でAliExpressで購入した商品が香港で留まっているなんていう話を見かけます。幸いみぃねこはその被害には遭っていないので真偽は不明ですが、今はスタンダードシッピングが安定なのかもしれませんね。

そんな訳で、一般的にAliExpressでの購入では国内で購入するより安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 
それではKZ E10のスペックを詳しく見ていきます。

 

■主要スペック(amazon商品ページ抜粋)

  • ダブルマグネティックダイナミックドライバ 1基
  • バランスドアーマチュア 30095 2基
  • バランスドアーマチュア 50060 2基
  • Bluetoothバージョン 5.0
  • プロファイル HSP/HFP/A2DP/AVRCP
  • 通信距離 約15m
  • QCC3020チップ搭載
  • コーデック apt-X、AAC、SBC
  • イヤホン本体電池容量 30mAh
  • ケース電池容量 1100mAh
  • 音楽再生 約3-5時間
  • 待機時間 約100日
  • イヤホン充電時間 約2.5時間
  • ケース充電時間 約4時間
  • イヤホン重量 約25g
  • ケース重量 約83g
  • ケースサイズ 約95x70x35mm

 

KZ E10は5,000円以上10,000円未満の中価格完全ワイヤレス中華イヤホンでは先述の通り片側5ドライバを搭載した4BA+1DDのドライバ構成です。同価格帯の有線イヤホンではおなじみのドライバ構成ですが、この価格帯では本当に珍しい希少価値のある機種と云えます。

Bluetoothはバージョン5.0を採用し前回レビューしたQ70同様に通信安定性の向上や省電力化によりリビングにiPhoneを置きイヤホンを装着したまま家事を行ったり壁を隔てた部屋間の移動でも途切れることなく、屋外での使用では駅構内等でも殆ど途切れることがありませんでした。

また、連続使用は流石にドライバ数が多いこともあり3時間程度の連続使用にとどまりますが公称よりはやや短め。これは使用環境、条件により変わりますので参考程度にお願いします。

そして、iPhoneとの無線接続の際にはAACで接続することができSBC接続時より高音質で音楽を聴くことができました。次に他のDAPでも試してみました。Shanling M0やFiiO M9ではaptX接続を使用できますが、経験上少々難がある認識でしたが、やはり先述の条件では屋内は途切れは問題ないのものの、屋外では結構途切れることがありました。加えて、最初プチノイズが入る為、一旦DAPとの登録解除し再接続したところ収まりました(これはみぃねこの環境起因かもしれませんので参考程度にお願いします)。そのため個人的にはAACで接続できるiPhoneとの親和性は高いと感じています。

 

使用時間や充電時間ですが実際に使ってみた印象として充電時間はほぼスペック通りと感じましたが、私の環境では音楽再生は少し短く3時間程度といったところでした。とは言え、家で映画を観たり通勤往復でも十分ですし、会社についたらケースに入れれば自動的に充電されますので実用上問題ないです。実際のところメーカー公称時間とユーザーの実行時間としてこれは他のメーカーでも云えることですので有効使用時間として問題なく満足できると云えます。

イヤホンの充電はケースに入れると始まります。E10ではQ70よりバッテリー容量が少なくなります(その為使用時間は短い)。こちらは使用した時間=電池残量にもよりますが数分から数十分程度で完了しますが、バッテリーローからは2時間程かかりました。

ケースの充電は残量によりますが2時間から3時間強程度で完了します。ケースのバッテリー容量が大きいため他社製品より少し充電時間は長めですが、一度フル充電しておけばイヤホン本体をバッテリローから理屈では10回程充電できることになります。そしてケースの充電残量はケースのLEDにより残量が分かります。これは地味ですが便利な機能の一つですね。

一番うれしかったのはケースの充電はUSBタイプCが採用されていますので、最近のDAP等との汎用性があり利便性が向上しています。充電は一般的なUSBタイプの5V1A仕様が適合していますので、携帯用のUSB充電器やPCのUSB等からも充電可能です。

ただし難点もありまして、音量が初期接続時かなり大きいです。DAP側で音量を下げてから耳へ装着し再生をしてください。

 

イヤホン本体は耳掛け式のアームが本体から伸びています。そのため他の完全ワイヤレスイヤホンと比べ比較的大きめになっており、その分ケースも大きくなっていますが、それを逆手にケースのバッテリー容量を大きくできたため、連続使用時間は大幅に中価格帯中華他社製品を超えています。E10はQ70同様にX19の様な耳の中に収めるというよりは耳に引っ掛けるタイプのため耳の小さな女性やお子様にもイヤーピースを合わせられれば使用することができそうです。

 

■初回ペアリング方法(iPhone iOS13.2で検証済)※2:2020/04/30修正

  • iPhoneBluetoothを有効にする。
  • ケース蓋を開け、中央の丸ボタンを長押しし、LEDが緑に点滅する。
  • iPhoneの設定メニューでBluetooth機器の画面に「KZ E10」が表示されるのでそれを選択する。
  • 再度ペアリングを要求されるのでそれを選択する。
  • (充電済みの)イヤホンをケースから取り出す。
  • iPhoneの画面右上バッテリー残量表示の左にヘッドホンマークがでれば完了。

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これだけです。

注意点としては、

初めにiPhoneBluetoothを有効にしてください。

ペアリングはイヤホンがケースに入ったままで行ってください。※2:2020/04/30修正

この2つが重要です。

上手くいかない場合、一度iPhoneからE10の接続の登録を削除して再度初めから実施してみてください。ペアリングが完了している場合、2回目以降は自動的に接続します。上手く接続しない場合はiPhoneBluetooth設定画面から「KZ E10」を選択してください。それでもダメなときはイヤホン側をリセットしてください。リセット方法はペアリングの丸ボタンを10秒以上長押しすると何度かLEDが点灯した後に消えて緑点灯し直ぐに消灯しピポパポと音が鳴りリセット完了です。

 

■イヤホン本体の操作方法(初回ペアリング済で検証)

  • iPhoneBluetoothを有効にする。
  • ケースから取り出すとペアリング開始。
  • iPhoneの画面右上にヘッドホンマークがでればペアリング完了。
  • iPhone標準のミュージックアプリで聴きたい曲を選択し再生する。
  • イヤホン左/右本体を1回タップすると再生/停止する。
  • 再生停止中に左本体を2タップすると次の曲に進む。
  • 再生停止中に右本体を2タップすると前の曲に戻る。
  • 再生中に左本体を2回タップすると次の曲が再生する。
  • 再生中に右本体を2回タップすると再生中の曲の頭に戻る。これを繰り返すと前の曲に戻る。
  • 再生中/停止中に本体を3回タップすると最後の履歴に発信する。←注意!
  • 再生中/停止中に本体を長押し1回タップするとSriを呼び出し。
  • 聴き終わったらイヤホンをケースに戻す。
  • ペアリングが解除される。
  • ケースのバッテリー残量がある場合イヤホン充電開始。
 

音楽再生にかかわる主な操作方法を抜粋し検証した方法をまとめてみました。

少し惜しいのはQ70同様に音量調整がイヤホン本体からできないことですね。X19ではこれが可能でしたので残念です。

またX19では物理スイッチでしたが、E10はQ70同様によくあるタッチ式で操作感は良好です。これはQ70では少し慣れが必要でしたが、ポイントが高いですね。尤もも人的にスマホの様にタッチするところを見ながら操作できる場合は良いのですが見えない場所をタップする操作方法では誤動作が心配です。特にリダイヤル機能があるモデルは本当にこれが心配ですね。

 

操作の反応は少々ラグがありますので一呼吸置くくらいでOKです。これも他のモデルと同じレベルですので最初は戸惑うかもしれませんが慣れれば問題ないですね。

特筆すべきはやはりケースから取り出すと自動でイヤホンの電源が入りペアリングが完了することと、ケースに戻すとイヤホンの電源が切れてペアリング解除され充電開始されるという使う/仕舞うの一連の流れがケースから出す/戻すで完了する手軽さですね。ネックバンドタイプは手動で電源ON/OFFの操作が必要ですからね。

 

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なおDAPとのapt-X接続検証としてFiiO M9で確認し、問題なく接続できました。

 

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イヤホン充電ステータスはケースの左右のイヤホンを収納した真ん中付近のLEDが最初に点灯しイヤホン充電残量を示しイヤホン充電完了後は消灯します。

赤が残量少、緑が中間、青が完了です。見落とさないように注意が必要です。

ケース充電中はUSBポート付近にLEDがあり、緑点灯が充電中。消灯で完了です。

 

 

それでは、早速KZ E10の実機レビューを以下、まとめていきます。


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パッケージングは黒箱を基調としたシンプルなタイプです。
箱の表にはE10の文字が。裏にはスペックが光の記載されていて光の反射加減で見えます。無駄な装飾のないシックな化粧箱ですね。

 

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※他の中華TWSの付属品同様に軸がかなり短め

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付属品はイヤーピースがS、M、Lの3種1セットでMサイズが本体取付け済みで、他にはUSBタイプC-タイプA充電ケーブルです。流石に必要最低限の付属品ですね。

もちろん取扱説明書が付属していますが英語表記と中国語のみで日本語はありません。図解もありますしamazon当該ページに使用方法の説明もありますので余程のことがない限り困ることはないと思いますし、万が一の際はセラーのサポートがありますので問題ないと思います。

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ビルドクオリティですが、このKZ E10は中華イヤホンで心配されるような各所の仕上りに雑なところを感じません。以前購入したネックバンドタイプの商品では残念ながら不良品に当たりましたがそんな心配は不要ですね。カラーバリエーションは黒色、銀色(白銀?)がありますが、黒は屋外使用を考えると落ち着いた色となりますので、どのような服にでも合わせやすいですね。

 

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付属の充電用ケーブルは短めなので充電のみで使用する場合、手持ちのUSBC-タイプAケーブルを使用した方が便利かもしれません。尤も使用されるシーンで付属の短いケーブルを使用される等使い分けもできますしね。


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Q70と同様にシェル本体は樹脂製でステムノズルにはメッシュフィルターがあります。

シェル本体の形状も丸みを帯びており耳掛けの棒が気にはなりますが角がある訳ではないので装着感は悪くありませんし、何より落下防止に一役ありますね。

 

※イヤーピースはSureSeal MPサイズ装着

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次に耳への装着は付属品イヤーピースMサイズでは音質的に抜けてくる感じがありましたので色々試してSureSeal MPサイズを使用し奥の方に入れるようにするとみぃねこはしっくりきましたが、この辺りは個人差があるかもしれませんね。

そして現在はSureSeal Mでやや深めに栓をするようにして使用しています。※2:2020/4/30

この音が抜けてくる感覚は付属イヤピをLサイズにしてみたりしましたがどうしようもなく、フィット感はさておき音質が本来のものと異なると感じました。

 

加えて、低価格帯の完全ワイヤレスイヤホンの難点に付属のイヤピが特殊サイズでアフターマーケットのイヤピで音質やフィット感が良くなっても肝心のケースに入らないことがあり使用を諦めてしまう方がいるようです。

諦める前に一度このSureSeal MP又は通常のSureSealシリーズを試してみてください。軸が短いので完全ワイヤレスイヤホン用にもお勧めできますよ。

 

 

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

今回の再生環境はiPhone8、Bluetooth コーデックAAC接続です。

実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love平井堅/瞳をとじて倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。
先述の通りイヤピはSureSeal MPサイズを使用しています。

箱出しで聴いてみた第一印象は「中音域がクリアでボーカルが聴きやすく音場が広め」でした。※加えて先述の通り音量が大きめです。最初にDAP側で下げてから耳へ装着してください。

音場は広めで音の分離感は流石の5ドライバです。
低音は量感は控えめで締りとキレは普通程度。ベースラインは控えめですが追えます。重低音の沈み込みは感じませんが、中高音の強弱やその中の高低の音が聴き分けられる分離感の良さが特徴的です。聴いていて心地よさを感じます。
高音は煌びやかさは控えめですが中低音に埋もれることもなく必要十分。

中音はとにかく左右に広く見通しが良く高音や低音よりも聴きやすいチューニングのようですね。

ボーカルは自然な位置から聴こえ近くも遠くもなくクリアに聴こえます。

一言で云えばやや中音中心に聴き疲れのないかまぼこです。

低音は控えめながらも中高音を下支えしていて寧ろワイヤレスイヤホンとしての全体のバランスでは丁度良い感じ。

高音も控えめですが十分煌びやかさはあり刺さりとは無縁で聴きやすく上手くまとめている印象です。

ですが中音が相対的に強いかというとそうでもなく寧ろボーカルは自然な位置からクリアで聴きやすい中音域がメインの音づくりと云えます。

傾向として中音≧高音>低音の関係で所謂かまぼこの中音域はとても聴きやすく、そしてボーカルを心地よく聴くことができるバランスです。

5,000円以上10,000円未満の中価格ワイヤレスイヤホンとして変わり種のアプローチを試みた商品と云えそうですね。

如何しても無線接続ではその性質上高音低音域の超高音や重低音がカットされてしまいますし、上を見れば10,000円を超えるモデルで音質が良いのは当たり前。でも先述した性質上の問題は変わりません。

つまり、接続するコーデックと味付けの問題とした場合、必要十分と感じられるのであれば安価に越したことはありませんよね。

もちろんDAPやイヤホンでaptX HDやLDACで接続できる数万円の高価格モデルであれば音質的に先述の性質もクリアできベストな選択ですが、高価ですのでなかなか手が出にくいですし、そもそも同じ土俵で比べてはいけないですよね。

そのため、このKZ E10は中価格帯の完全ワイヤレスモデルの中で4BA+1DDという唯一にして最強の武器を持ちますが、低音が弱いのはちょっと、、という方にはお勧めしにくいです。でも、有線接続の多ドラに慣れた、もっと云えばその多ドラの華やかな音が好きな方には一聴の価値があるモデルと云えるのではないでしょうか。

 
さてKZ E10は最新の中価格帯の中華完全ワイヤレスイヤホンの中で異彩を放つ中音域特化型の商品とまとめました。

今回4BA+1DDのモデルを試しましたが、こうなると1BA+1DDモデルも試したくなるのが人間の弱さ、、もとい、探求心ですよね。探してみようかなぁ。


最後に、今回は5,000円以上10,000円未満で買える中価格中華完全ワイヤレスイヤホンの紹介となりました。現在(2019年11月3日)amazonで取り扱いがあり7,000円半ば程度で購入できるようです。AliExpressでも5,000円台と流石に高価ではあり、その入手性にも少々難があります。とはいえこれまでの中価格中華イヤホンと同様の実売価格となり、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっていますので中価格中華イヤホンの購入を考えていて少しでも気になった方は安心確実なamazon。少しでも安い方が良い方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

E10

以下、イヤピSureSeal MPサイズ使用、DAP iPhone8
高音★★★ 
中音★★★☆  
低音★★☆ 
音場★★★☆
分離★★★☆
お勧め度★★★★ (多ドラの華やかな音が好きな方)

※☆0.51.0

 

あとがきとして、今回は中価格中華完全ワイヤレスイヤホンの新商品をレビューをしてみました。完全ワイヤレスの中華イヤホンは3つ目となります。最新技術を低価格で投入し日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですね。

今後も気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

※2:2020/04/30 ペアリング方法修正しました。 

※2019/11/6 最初のレビュー時に右イヤホンが正常動作していませんでしたが、今日試したところ正常動作しています。そのため本文に加筆修正し再公開しています。最初の公開後、某ケーブルメーカー製1BA+1DDのTWSを実は購入しています。結論から言うと不良品でしたので返品してしまいました。他の方は正常動作しているようですので私のは外れだったのでしょう、残念です。それ故にE10が正常動作してくれたのが嬉しいですし、左だけしか音がでなかったケーブルメーカー製TWSも低音軽めでしたので、E10の方が音質的にはお勧めと云えそうですね。

 

Trn V90レビュー ※CCA C12 KZ ZSX 比較含む

こんにちは。

今回は中華イヤホンの多ドラハイブリッドレビュー編として中価格帯で発売されているTrn V90についてレビューをまとめたいと思います。

今回は国内amazonのHiFiHear(@Qianqian_HRcase)から購入しています。

 

 

AliExpressでも有名どころのストアであれば取り扱いがありますし、その中でもNiceHCK Audio Store(@hckexin,@NiceHCK_Audio)は安心して購入できます。

 

ja.aliexpress.com

 

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Trn V90はTrn社のハイブリッドイヤホンの最新モデルです。同時期に発売されたKZ ZSXやCCA C12が5BA+1DDのドライバ構成で話題になり4BA+1DDのドライバ構成だった本機は少々陰に隠れてしまった印象があります。

V90はZSXやC12よりも少しだけ安価な販売価格が設定されていて国内amazonでは5,000円台後半でセラーによってクーポンで5,000円とちょっとで購入できますがそのドライバ構成やシェル本体が金属製と十分に安価な販売価格です。最近ではZSXやC12が国内amazonのセールで5,000円切りの4,000円台となることがありますのでV90は未だ中価格帯に留まっていると云えますね。

何故にV90を購入したのかと云えば、前回までにC12とZSXを比較していたこともあり今回のV90はやはり「それらの比較には外せない商品と考えたから」となりますが、あの時散々悩んでC12を選択したくせに「結局全部買うんかい」と自身の弱さに呆れるよりも探求心が勝ったというポジティブシンキングによってみぃねこが成り立っているとご理解ください(笑)。

そして、なによりも巷の評価ではV90は好意的な評価が多くハズレは無いだろうと思っておりますが、そこはTrnですから、ね? 以前のC12レビュー時には「ZSXとC12はドライバ構成やスペック、販売がKZとCCAという関係からもどちらかを購入すれば事が済む商品」としていましたが、前回のZSXレビューで「C12とZSXは違う」とまとめており、そうなるとV90が気になってしまい、こちらもやはり自分の耳で確認したくなったわけです。さてさてさて。今回もどんな結果がでるのか。やっぱりTrnは買わなくてもよかったよねとなるのかどうか(笑)。

 

※CCA C12やKZ ZSXの過去記事もよろしければご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

miineco106.hatenadiary.jp

 

そんな訳で何かと比較され話題となる中価格帯の多ドラハイブリッドモデル、Trn V90を手に入れましたので、今回も前回同様にCCA C12とKZ ZSXとの違いを交えながら、Trn V90のレビューを纏めていきたいと思います。

 

さてTrn V90はオール金属製のシェルを採用しステムノズルとフェイスプレートが金属で他は樹脂というZSXやC12とは異なる構成です。C12は比較的オーソドックスなデザインでZSXは特徴的なフェイスプレートのデザインが採用されていますが、V90ではシンプル イズ ベストと云わんばかりのデザインを採用しています。まあ三者三様とは真にこのことで角らしい角がない丸みを帯びたデザインは愛らしさというか優しさを感じこれまでのTrn社のデザインとは全く異なる印象を持ちますね。

 

V90のスペックはZSXやC12と異なり寧ろKZ ZS10Pro同様の中価格帯では標準的な4BA+1DDのハイブリッドです。最近では全く見なくなった2BA+2DDのハイブリッドモデルは絶滅危惧種と云えそうですね。1年前はZS6系としてこの種のモデルがたくさん発売されていたのが最早遠い昔のようです。。

V90は片側に5ドライバが搭載されていて、その4BAドライバはTrnオリジナル30019デュアル(2BA)が高音域を。50060デュアル(2BA)が中音域を担当しており、低音域をダイナミックドライバ(1DD)が担うことで3way方式を採用しています。そのためZSXやC12では高音域1BA+中音域4BA+低音域1DDと中音域に厚みを持たせていて、実際中音域の表現力は高いものでした。V90はそういう意味ではシンプルな3way方式ではありますが、実績がある方式とも云え安定した音を奏でられるのではと期待が持てます。それはこれまで世の中に送り出された中価格中華多ドラハイブリッドイヤホンで培った各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーのチューニングポイントを活用できるかが重要となります。このチューニングポイント、経験則を活かしたチューニング次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくるといえますね。

 

Trn V90の納期としては流石の国内amazonの当日発送、翌日配達です。AliExpressにてオーダーした場合はチャイナポストを選択しても早くても約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間かかりますし、万が一の不良の際に返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くの少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

それでは、早速Trn V90の実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングは白を基調としたシンプルなスリーブタイプの白箱化粧箱です。
スリーブの表にはイヤホンイラストが。裏面にはスペック等が記載されている中低価格帯で一般的なタイプです。


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スリーブを外すと白地の内装の台座にイヤホンが収納されています。またイヤホンが収納された台座を取り外すと、ケーブル等の付属品が箱の底に入っています。この辺りはいつも通りの中低価格帯の化粧箱ですね。

 

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付属品はTrnのいつものシリコンイヤーピースがS、M、Lの3種各1セットが付属します。その内、シリコンイヤピMサイズが本体取付け済みで、他にはケーブルです。A5K-U10Kの中価格帯としては少々さみしい付属品ですが、個人的にいつもの割切感は嫌いではないです。


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ビルドクオリティですが、Trn V90は中華イヤホン、特にTrnで心配されるような各所の仕上りに雑なところを感じません。以前のV30では一月程で結局ステムノズルのメッシュが剥がれ、自分で接着剤で直そうと試みるも、手とシェルが接着剤だらけになって捨てた苦い経験がありますが、今回のV90では今のことろ問題ありません(笑)。勿論みぃねこが不器用すぎるだけで他の方は簡単に直せるレベルです。

しかし現在のKZやCCA等と比べると安心して購入でき、お勧めできるとは言い難いのがTrnの少し残念なところですね。

カラーバリエーションは黒色と青色(紺色)の2種類あり、みぃねこは青色を選択しています。

 

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付属ケーブルはいつものTrnに付属する黒色の編込みタイプが採用されています。プレイヤー側コネクタはI字タイプで、イヤホン側は埋め込み式ではない通常の2ピンでKZ極性と同じ仕様です(上がプラス)。この付属ケーブルは耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的に絡まりにくくしなやかなものとなり中価格帯に付属するケーブルとして力不足の印象がありますが、そのまま使用できますし落ち着いた色合いのケーブルが本体色との一体感がありますね。

 

※画像左からC12、V90、ZSX 
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V90とZSXやC12の外観の比較として、先述の通りV90だけオール金属製シェルが採用されています。金属と云ってもアルミニウム材のため金属の同一質量比で軽量な素材となります。シェル本体の大きさはZSXが一番大きく、V90が一番小さいです。これはデザインがZSXだけ大柄なフェイズプレートを採用していることとカスタムIEM風の立体的な形状から視覚的に感じられます。カスタムIEM風と云えばV90もどちらかと云えばそれに近いですがZSX程ではなく、C12と比較すればそっち寄りとなります。

これらのデザインは3者3様といえますが、V90の最大の特徴は角らしい角がなく丸みを帯びたデザインで且つ、コンパクトなフェイスプレートも相まって一層小さく見えます。そしてそれらが功を奏し耳への装着感はかなり良好です。ただしシェル自体はコンパクトですが厚みがありますがそれを感じさせない装着感の良さは好感が持てますね。次にステムノズルはC12やZSXよりも細めで角度もZSXと同じく寝ています。尤も装着感だけで云えば、ドライバを複数搭載している割に比較的コンパクトでシェルもカスタムIEM風寄りが功を奏しているものの、この3機種の中ではZSXが個人的に一番装着感が良好ですね(装着感に個人差はあることをご了承ください)。

また、この3機種ともにステムノズルに先端端面にメッシュフィルターが装備されています。

そして、シェル本体の形状からは3機種ともにシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

先述の通りV90はステムノズルは他のハイブリッドモデルと比べ比較的細めのため、耳へは付属の本体装着済みイヤーピースでは少々抜け気味となるため、いつものAET07に交換しやや奥の方に蓋をするように装着ではなく、細めのステムノズルを活かし丸七長楽青で耳奥に栓をするように装着した形がみぃねこは一番しっくりきました。低~中価格帯では毎度付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じることが多くありますので手持ちのイヤピと交換しています。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今回の再生環境はFiiO M9、直挿しアンバランス接続です。

これまで通り中価格帯はM9を基準としてレビューを行います。もちろんShanling M0やiPhone6sでも鳴らすことができましたが、中高音域の解像感や低音域の表現力で本来の性能を発揮できないと感じましたのでご容赦ください。

低価格帯のイヤホンの場合でその違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。

 
miineco106.hatenadiary.jp

 

それでは実際に聴いてみます。
ソースは宇多田ヒカル/First Love平井堅/瞳をとじて倖田來未/Moon Crying。高音/低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは丸七長楽青 Mサイズへ。イヤホンの本領を発揮させる為に付属ケーブルからYYX4733にリケーブルしています。

箱出しで聴いてみた第一印象は「クリアな中高音と低音は不自然に強調されずにバランスが良く聴きやすい」でした。(もちろんスマホ付属品とは大違いです)
こちらも箱出し直後は低音が少なめでボワつきも感じたため今回も先に鳴らし込みを行っています。

音場は左右の音に広がりがあり空間が広めに感じます。

分離は良好で解像感も良好ですが音数の多い曲では中高音域にやや重なりを感じます。

低音の量感は控えめですが少ない訳ではなく十分で広がりも適度に感じ、締まりとキレは普通からやや良好。

重低音は沈み込みはそれ程深さを感じませんが十分な強さがあり、ベースラインは追いやすい。

高音は煌びやかさがあり華やかさもありながら適度にまとめられ、刺さりも感じずクリアに聴こえ伸びも普通です。

中音は凹みを感じずクリアで、ボーカルの周りで華やかさがあり存在感は十分。

ボーカルは自然な位置にあり、中音に埋もれずに聴きやすい。

一言で云えばやや中高音寄りの弱ドンシャリ

C12やZSXとは異なる印象ですが、どちらかと云えばZSXの音づくりに近くC12とは違います。

V90はZSXの特徴である音場の広さを感じられます。

その音場も中/高音域の音の広がりは感じられますが、ZSX程の広さでは無いという違いがあります。ZSXのレビューでも書きましたが、中音域では特にボーカルの聴こえ方、感じ方に違いがでてきます。ZSXのボーカルは空間の広さも相まって自然な位置にありその少し離れた場所で演奏されているように感じられ、V90もこの傾向があります。これはC12のような音場は広くないもののボーカルが近くに感じる傾向とは異なります。

次に低音域はZSXやC12のようなDDの深く強い、そしてキレのある音とまではいきませんがBAの低音とは違うDDの低音を十分感じることができます。単純に低音を比較した場合、C12の方が強く感じ、ZSX、V90の順となりますがV90が弱いわけではなくZSX同様に音場の広さを感じられる音の広がりによって相対的に弱く感じられる為です。そして同様に高音域は音場の広さからC12よりもマイルドに感じられ、ZSX、V90の順になります。

 

この様にV90ではC12やZSXのようなどこかにフォーカスさせた音づくりではなく、兎に角高音中音低音全ての音域をバランス良くまとめられた音質傾向と云えそうです。

そのため、低音域はDDを採用しながらもつながりを重視し主張を控えめにすることで中高音域をマスクせずに自然な音場感を狙って作っていると感じます。

そしてV90では音場の広さとバランスの良い弱ドンシャリにより、楽しくリスニングができる音質傾向が、Trnの進化を感じられるモデルと云えるのではないでしょうか。

 

まとめとして、Trn V90はTrnのハイブリッドモデルにおけるフラッグシップとして十分満足できるモデルと云える仕上がりで、正直Trnの本気に魅せられたような気がしています。

ですが、この価格帯にはKZやCCAという競合他社が存在し、それらの中でも同じドライバ構成ではKZ ZS10Proが代表的な存在であり、CCA C10もモデルこそ約1年前と古くなりますが初めて挑戦する方にはそれを購入しておけば間違いないと云えるモデルもあります。そして、これらは何といっても価格がこなれてきていてTrn V90よりも安価に購入できるメリットがあります。一方、今回の比較対象としたCCA C12はボーカルをフォーカスしたリスニング用途にお勧めで、みぃねこはKZ ZSXの音場の広さや雰囲気の良さを聴いた今でもC12の方を推していますが、購入価格が上がってしまいます。

では、もしも中価格帯のハイブリッドモデルの中から最初の1本を選ぶとなれば?

もちろん、今回のTrn V90は有力な候補として是非検討していただきたいと考えます。

尤もV90やZSXとC12のリスニング用途としてのバランスの良さは中華イヤホンには高音域の刺激的な強さや低音の量が多い強ドンシャリを求めるという方には物足りないと感じ評価が分かれてしまうかも知れません。

 

以前のレビューでも触れていますが単純にドライバ数を増やす足し算では未だ限界があります。残念ながらそれをBAオンリーの低~中価格帯複数ドライバ搭載モデルが証明しています。それでも次々と投入される中華の新モデルが我々を楽しませてくれており、今後も期待していきたいと思います。

  

高音   C12 ≧ ZSX ≧ V90

中音   C12 ≧ ZSX ≧ V90

低音   C12 ≧ ZSX ≧ V90

ボーカル C12 ≧ ZSX ≧ V90

音場   ZSX ≧ V90 ≧ C12

 

最後に、今回は国内amazonのセールなどで実売5,000円前後で購入できる中価格帯中華イヤホンの紹介となりました。現在(2019年10月26日)もamazonで取り扱いがありますし、AliExpressではフォロワー割で4,000円台前半とお求め易い価格ですが、その入手性に少々難があります。とはいえこれまでの中価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格となりますし、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっていますので低~中価格中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になった方は安心確実なamazon。新商品を少しでも早く入手したい、少しでも安い方が良い方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

V90
以下、ケーブルYYX4733、イヤピ丸七長楽青 M使用、DAP M9
高音★★★★ 
中音★★★★  
低音★★★★ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★☆ 
※☆0.5、★1.0

 

ZSX

以下、ケーブルYYX4732、イヤピAET07 M使用、DAP M9
高音★★★★☆ 
中音★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★ 

※☆0.51.0

 

C12

以下、ケーブルYYX4761、イヤピAET07 M使用、DAP M9
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★☆
分離★★★★
お勧め度★★★★★ 

※☆0.51.0

 

あとがきとして、今回は4BA+1DD中価格中華イヤホンの新商品のレビューをライバルモデルの兄弟機と併せて比較をまとめてみました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですね。今後も低価格を中心に、複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

 

 

 

 

KZ ZSXレビュー ※CCA C12 KZ ZS10Pro 比較含む

こんにちは。

今回は中華イヤホンの多ドラハイブリッドレビュー編として中価格帯で発売されているKZ ZSXについてレビューをまとめたいと思います。

今回は国内amazonのHiFiHear(@Qianqian_HRcase)から購入しています。

 

 

AliExpressでもオフィシャルストアのKZ Global Store(@KEarphones)から購入できます。

 

ja.aliexpress.com

 

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KZ ZSXはKZ社のハイブリッドイヤホンの最新モデルです。同時期に発売されたCCA C12と同じ5BA+1DDのドライバ構成で何かと比較される兄弟機です。

ZSXの発表時にメーカーのキャッチコピーが「ターミネーター」と中華イヤホン開発競争に終わりを告げる使者として登場したこともありKZ ZSXの方が話題が多く、勿論購入者も多い様子で、兄弟機のCCA C12空気と化していました。(失礼)

このZSXはC12よりも少しだけ高めの販売価格が設定されていて国内amazonでは6,000円台でセールでも5,000円下ることはありませんがそのドライバ構成からは十分に安価な販売価格です。C12は国内amazonでセールの際に5,000円を下回ることがありますので中価格帯としてみれば最も安価となりますね。

以前のC12のレビュー記事に「ZSXとC12はドライバ構成やスペック、販売がKZとCCAという関係からもどちらかを購入すれば事が済む商品」としてこれまで購入を見送っていましたがC12とZSXの違いが気になってしまい、更にZSXとZS10Proとも傾向が違うという評判から、やはり自分の耳で確認したくなり今回遅れ馳せながらZSXを購入しています。さてさてどんな結果がでるのか。やっぱり買わなくてもよかったよねとなるのか。とても気になりますよね(笑)。

 

※CCA C12の過去記事もよろしければご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

そんな訳で話題の中価格帯の多ドラハイブリッドモデル、KZ ZSXを手に入れましたので、CCA C12とKZ ZS10Proとの違いを交えながら、KZ ZSXのレビューを纏めていきたいと思います。

 

さてZSXはC12やZS10Proと同様に樹脂製のシェルを採用しステムノズルとフェイスプレートが金属という構成です。C12やZS10Proではオーソドックスなデザインのフェイスプレートが採用されていますがZSXは特徴的(攻めた)なデザインを採用していて一目でZSXと分かりますし、この辺りはKZ社の真骨頂でしょうか。実は個人的にこのフェイスプレートのデザインがどうにも苦手でして、それだけでC12を選択したといっても過言ではなかったりします(汗)。

 

ZSXのスペックはC12同様に中価格帯でも珍しい5BA+1DDのハイブリッドです。同じ中価格帯ではもう少し上の価格となり先日レビューしたNICEHCK NX7が4BA+2DD+1CTと片側7ドライバのモデルがありますが、片側に5BAドライバを積んでも国内amazonで¥5K前後の価格で買えるのが本当に中華って恐ろしいですよね(C12と同様に天丼で褒めてます)。そしてC12同様に注目はダイナミックドライバに新型が採用されていて、実際C12で感じたこれまでのモデルとは違う中低音域に厚みがありました。そのためZSXでもC12同様にこれまでレビューした中価格中華多ドラハイブリッドイヤホン同様に各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングが重要となります。このチューニング次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくるといえますね。

 

KZ ZSXの納期としては流石の国内amazonの当日発送、翌日配達です。AliExpressにてオーダーした場合はチャイナポストを選択しても早くても約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間かかりますし、万が一の不良の際に返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くの少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

それでは、早速KZ ZSXの実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングはKZの豪華仕様で通常版の白箱とは異なり黒を基調としたシックなブックタイプの黒箱化粧箱です(以前にもAS10等の初期LOTで採用されており、今後は通常版の白箱に変更される可能性があります。このタイプの化粧箱が欲しい方は購入を急いだほうが良いかもしれませんね)。
箱の側面にはスペック等が記載されたラベルが貼付されています。

 


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蓋を開くと黒地の内装の台座にKZロゴのプレートが輝かしく装填され、豪華版の名に恥じない高級感を演出しているとともにイヤホンが収納されています。またイヤホンが収納された台座を取り外すと、ケーブル等の付属品が箱の底に入っています。この辺りは本当に豪華でCCA社の化粧箱が質素に見えてしまうのは人間の性でしょうね。

 

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付属品はC12同様にいつものKZに付属するシリコンイヤーピースがS、M、Lの3種各1セットとKZ ZSN等に付属したシリコンイヤピMサイズが本体取付け済みで、他にはケーブルです。A5K-U10Kの中価格帯としては少々さみしい付属品ですが、個人的にいつもの割切感は嫌いではないです。


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ビルドクオリティですが、KZ ZSXは中華イヤホンで心配されるような各所の仕上りに雑なところを感じません。数年ほど前のKZの製品は当たり外れ感を楽しむくらいの気持ちで購入する心構えが必要でしたが、現在のKZやCCA等は安心して購入できますし中価格帯として安心の仕上がりですね。カラーバリエーションは黒色(FP銀色)と緑色(FPガンメタ)と紫色(FP銀色)の3種類あり、みぃねこはフェイスプレートのガンメタがカッコよかったので緑色(FPガンメタ)を選択しています。

 

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付属ケーブルは最近のKZのモデルと同様に茶色の編込みタイプが採用されています。プレイヤー側コネクタはL字タイプで、イヤホン側はQDCタイプの2ピンでKZ極性仕様です(上がプラス)。この付属ケーブルは耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的に絡まりにくくしなやかなものとなり低価格帯に付属するケーブルとしてそのまま使用できますし落ち着いた色合いのケーブルが本体色との一体感がありますね。

 

※画像左からZS10Pro、ZSX、C12、NX7 
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ZSXとC12とZS10Proに加えてNICEHCK NX7の外観の比較として、シェル本体の大きさはZSXが一番大きく、NX7が一番小さく、その他はほぼ同じです。ZSXだけ毛色が違うシェルを採用していてよりカスタムIEM風に近くなっています。更にZSXのデザイン上最大の特徴はフェイスプレートの形状が平面的ではなく丸みを帯びていて、耳への装着時に下側になる端面が長く伸びています。例えるなら昔の0系東海道新幹線の先頭車両と云えば伝わるでしょうか。ただし特徴的なデザインのフェイスプレートではありますがシェル自体はコンパクトで他の機種よりも厚みがあります。次にステムノズルはC12やZS10Pro同様に太めでステムノズルの角度はZS10Proとほぼ同じ。尤も装着感だけで云えば、ドライバを複数搭載している割に比較的コンパクトでシェルもカスタムIEM風が功を奏し、この4機種の中では個人的に一番装着感が良好でした(装着感に個人差はあることをご了承ください)。

そしてZSXも他と同様にステムノズルが金属です。この4機種ともにメッシュフィルターが装備されています。

一方、シェル本体の形状からは4機種ともにシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

先述の通りZSXはステムノズルは比較的太めのため、耳へは付属の本体装着済みイヤーピースでは少々抜け気味となるため、いつものAET07に交換しやや奥の方に蓋をするように装着する形がみぃねこは一番しっくりきました。低~中価格帯では毎度付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じることが多くありますので手持ちのイヤピと交換しています。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今回の再生環境はFiiO M9、直挿しアンバランス接続です。

これまで通り中価格帯はM9を基準としてレビューを行います。もちろんShanling M0やiPhone6sでも鳴らすことができましたが、中高音域の解像感や低音域の表現力で本来の性能を発揮できないと感じましたのでご容赦ください。

低価格帯のイヤホンの場合でその違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。

 
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それでは実際に聴いてみます。
ソースは宇多田ヒカル/First Love平井堅/瞳をとじて倖田來未/Moon Crying。高音/低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピはAET07 Mサイズへ。イヤホンの本領を発揮させる為に付属ケーブルからYYX4732にリケーブルしています。

箱出しで聴いてみた第一印象は「クリアな中音と高音低音は不自然に強調されずにバランスが良くボーカルが聴きやすい」でした。(もちろんスマホ付属品とは大違いです)
こちらも箱出し直後は低音にボワつきを感じたため今回も先に鳴らし込みを行っています。

音場は音に広がりがあり空間が広く感じます。

分離は良好で解像感も良好ですが音数の多い曲では中音域にやや重なりを感じます。

低音の量感は十分で適度な広がりがあり、締まりとキレは良好。

重低音は沈み込みが十分で力強さがあり、ベースラインは追いやすい。

高音は煌びやかさが十分で華やかさがありながら刺さりを感じずクリアに聴こえますが伸びは普通です。

中音はクリアで見通しが良くボーカルの周りで華やかさがあり存在感は十分。

ボーカルは自然な位置にあり、中音に埋もれず聴きやすい。

一言で云えばやや中低音寄りの弱ドンシャリ

ほぼC12と同じ印象です。ですが、ZSXとC12には違いがあり特徴は音場の広さと中/低音域です。

音場は中/高音域の音の広がりを感じられ、例えるならC12のライブハウスとZSXの小ホールという違いがあります。その分中音域では特にボーカルの聴こえ方、感じ方に違いがでています。ZSXのボーカルは空間の広さも相まって自然な位置にありその少し離れた場所で演奏されているように感じられますが、C12ではボーカルがやや近くにいてその近くで演奏されているような感じです。これについてはどちらが優れているという訳ではなく嗜好の問題と云えそうです。

次に低音域はC12同様にBAの低音とは違うDDの深く強い、そしてキレのある音を楽しめます。低音の比較ではC12の方が強く感じますが、ZSXが弱いわけではなく音場の広さを感じる音の広がりが増している為に相対的に弱く感じられ、同じように高音域は音場の広さからC12よりもマイルドに感じられます。

また、ZS10Proとの違いは中音域のクリアさです。ZSXでは4BAによるなめらかな中音域とボーカルの聴きやすさがあり、ZS10Proの弱点である中音域の粗さを改善したモデルという認識に間違いはなさそうです。例えるならオーソドックスなノリの良い弱ドンシャリのZS10Proに対し、同じ弱ドンシャリでも中音域にフォーカスを当てフラット寄りに調整されたZSXでは厳密には音質傾向が異なると云えそうですね。

C12では中音域のクリアさとボーカルにフォーカスされた音質傾向でしたが、ZSXではKZらしく進化したドンシャリが心地良く音楽を楽しめる音になっていると感じます。

そしてZS10Proでは音場の広さと弱ドンシャリにより楽しくリスニングできる音質傾向でしたが、ZSXでは真にZS10Proの中音域を改善した正統進化版と云えるのではないでしょうか。

 

まとめとして、ZSXはKZのハイブリッドモデルにおけるフラッグシップの名に恥じないモデルと云える仕上がりです。できることならこの価格帯に初めて挑戦する方には遠回りせずこれを購入しておけば間違いないと思います。一方、C12はボーカルにフォーカスされたリスニング用途にお勧めですしみぃねこはZSXを聴いた今もC12の方が好みですし、ZS10ProはZSXには予算が届かないけどKZの「良い音」を感じてみたい方向けとなりますが、先述の通り後悔しないためにはZSXの方を強くお勧めします。

尤もZSXとC12のリスニング用途としてのバランスの良さは中華イヤホンには高音域の刺激的な強さや低音の量が多い強ドンシャリを求めるという方には物足りないと感じ評価が分かれてしまうかも知れません。

そして今回は比較対象として兄弟機のCCA C12とKZ ZS10Proを選びましたが、これらはそれぞれに良さがある評価が高いイヤホンです。また、今回NICEHCK NX7は片側7ドライバと更に搭載ドライバが多く、2DDに加え1CTと超高音域と低音域を強化したモデルと云えますが、中高音寄りのため少し毛色が異なり直接比較対象とはしていませんが、単純にみればワンランク上が当たり前と思われるかもしれません。しかし後継モデルや改良Verが常に最良とならないのも事実です。以前のレビューでも触れていますが単純にドライバ数を増やす足し算では未だ限界があります。残念ながらそれをBAオンリーの低~中価格帯複数ドライバ搭載モデルが証明しています。それでも次々と投入される中華の新モデルが我々を楽しませてくれており、今後も期待していきたいと思います。

 

※NICEHCK NX7の過去記事もよろしければご参考ください

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高音   C12 ≧ ZSX ≧ ZS10Pro

中音   C12 ≧ ZSX ≧ ZS10Pro

低音   C12 ≧ ZSX ≧ ZS10Pro

ボーカル C12 ≧ ZSX ≧ ZS10Pro

音場   ZSX ≧ ZS10Pro ≧ C12

 

最後に、今回は国内amazonのセールなどで実売5,000円前後で購入できる中価格帯中華イヤホンの紹介となりました。現在(2019年10月13日)もamazonで取り扱いがありますし、AliExpressではフォロワー割で4,000円台前半とお求め易い価格ですが、その入手性に少々難があります。とはいえこれまでの中価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格となりますし、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっていますので低~中価格中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になった方は安心確実なamazon。新商品を少しでも早く入手したい、少しでも安い方が良い方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

ZSX

以下、ケーブルYYX4732、イヤピAET07 M使用、DAP M9
高音★★★★☆ 
中音★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★ (KZハイブリ旗艦モデルを試したい方)

※☆0.51.0

 

C12

以下、ケーブルYYX4761、イヤピAET07 M使用、DAP M9
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★☆
分離★★★★
お勧め度★★★★★ (C10が好きだけど少し物足りない方)

※☆0.51.0

 

ZS10Pro

以下、ケーブルYYX4733、イヤピ丸七長楽青 M使用、DAP M9
高音★★★★ 
中音★★★★  
低音★★★★ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★☆ (KZの「良い音」を安価に試したい方)

※☆0.51.0

 

あとがきとして、今回は5BA+1DD中価格中華イヤホンの新商品のレビューを兄弟機との比較を含めてまとめてみました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですね。今後も低価格を中心に、複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ