こんにちは。
今回もいつもの1BA+1DD中華イヤホンレビュー編をお休みして先日発売されたKB EAR KB10についてレビューをまとめたいと思います。
今回はAliExpressのWooeasy Earphones Store(@hulang9078)から購入しています。
国内amazonでもWTSUN Audio(@Zhuo520x)にて取り扱いが始まっています(2019年6月28日現在)
KB EAR KB10は前回比較レビューしたCCA A10とTRIPOWIN TP10及びKZ AS10と同じ複数BA搭載の5BAドライバ構成です。その比較レビューではAS10とA10及びTP10の違いや進化をまとめていますが、端的に云えばAS10の中低音寄りとA10及びTP10の中高音寄りと異なる音質傾向のため後継機としては少し異なる印象でした。
そんな時にこのKB10が発売されましたがセラーのツイートからF特はA10、TP10と一緒のため正直スルーするつもりでしたが、セラー曰く「低音を強化した」とのことでしたので三度目の正直として突撃した次第です。
その為、今回は前回のCCA A10とTRIPOWIN TP10の比較レビューの続編としてKB EAR KB10のレビューとしてまとめ、完結編としてまとめたいと思います。
※気になる方は以下、比較レビューも併せてご参考ください
今回も比較対象として外せない同じ複数BAドライバを搭載するKZ AS10を用意しました。AS10からのA10、TP10そしてKB10への進化とその違いが気になるところですよね。
さてAS10とKB10の違いとして先ず目につくのがシェル本体の材質です。AS10のすべて樹脂シェルと異なりKB10は、前回のA10とTP10同様に先述の通りフェイスプレートとステムノズルが金属製です。加えてKB10のフェイスプレートは前回のA10、TP10とそのデザインが異なり、唯一TP10にはベント穴が設けられています。(AS10含めシェル本体の樹脂部には全てベント穴が同じ位置に設けられています)
AS10はフェイスプレートにクリア樹脂を採用し内部のネットワークボードをアクセントに魅せるデザインを採用していますが、ステムノズルにはイヤーピースの抜け防止の返しが小さいなどやや残念な一面もありました。KB10ではA10とTP10同様に金属製のフェイスプレートとしステムノズルは金属製の抜け防止の返しありへ変更しています。これには賛否あると思いますが特にフェイスプレートを金属製の単体パーツとして簡単に交換することでOEM製造のしやすさと販売各社のオリジナルデザインが採用可能で、製造コストを抑えやすくできると云えます。もっと云えばAS10のようなクリア樹脂は大量生産するには金型を製作し成型を行うことになりますが販売数とのコストバランスが悪くなり商品単価に跳ね返ります。これを金属切削とすることでそれら製造コストをペイしやすくなるという訳ですね。つまり我々ユーザーが製造側のスケールメリットによるコストダウンの恩恵を受けやすくなることになりますよね。
(この説明必要?と、メーカー勤務の人間が無駄に熱くなったところで意味もないw)
そして大事なのはKB10の音質ですがAS10以降採用された内部の樹脂ケースによって各BAからの音道管の役割を持たせ、且つ決められたところに決められたものを組み付けるだけという組み立て製造品質安定性向上の仕組みは継承され、AS10のオール樹脂製シェルから、A10とTP10に引き続きKB10でも先述の通りステムノズルとフェイスプレートが金属製となり高音域の響き等にどのような影響があるのか気になりますよね。
この辺りは以前Ashのレビュー時にもシェル等の材質の違いによる音質傾向への影響を少しだけ考察しています。よろしければ併せてご参考ください。
※気になる方は以下、Ashレビューをご参照ください。
KB10の納期としてはAliExpressにて6月中旬にオーダーし約1週間で届きました。オーダーから8日後、輸送自体は7日となりますので結構早いですよね。輸送は安定のチャイナポストでしたのでかなり早いレベルといえます。これまでの経験上スタンダードシッピングでシンガポールポスト経由だった時は3週間以上は掛かっていましたので変更できるならチャイナポスト(CN)に変更すると良いかもしれません。今回のセラーはチャイナポストがデフォルトのため変更しませんでした。発送も翌日と早くこれまでの最速と同等の日数で無事に届いていますので一安心です。
そんな訳で、一般的にAliExpressでの購入では国内で購入するより安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。
KB EAR KB10とCCA A10及びTRIPOWIN TP10のスペックはKZ AS10同様にA5000の価格帯にもかかわらず、5つのBAドライバを搭載しています。AS10ではこのドライバ構成を低音域用BA22955が1基。中音域用BA29689と中高音域用BA31005をそれぞれ1基。高音域用BA30095を2基で担当していてAS10では中高音域と中音域をそれぞれ専用で配置し音の厚みを演出していましたが、KB10とA10及びTP10ではドライバ構成を低音域用BA22955が1基。中音域用BA29689が2基。高音域用BA30095を2基とシンプルな3way構成としています。余談ですがAS06では低音域BA22955が1基。中音域用BA29689が1基。高音域用BA31005を1基の構成としていて高音域をすっきりとさせたい意図がうかがえますね。
※KB10の低音域用ドライバ刻印右 A22955X、左 A22955。画像上が右側
また、前回気になったのがTP10とA10のドライバ構成は同じはずが現物の刻印が少し違う件はKB10では左右で違いました(これに意味があるのかないのか真意は不明)。
そのためこれまでレビューした低価格中華1BA+1DDイヤホン同様に各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーがチューニング技術の見せどころとなります。このチューニング次第でAS10に対しKB10がA10及びTP10と比べて「当り」か「外れ」という評価に繋がってくるといえます。
それでは、早速KB EAR KB10のレビューを以下、まとめていきます。
パッケージングはKB10はA10とTP10同様に白箱を基調としたスリーブタイプの化粧箱です。
箱の表にはイヤホン画像が印刷され、裏にはスペックが記載されています。他の中価格帯A5K中華イヤホンと同等の化粧箱ですね。
(KB10、A10は中文でTP10は英文にて基本的に記載されています)
スリーブを外すと白地の内装の台座にイヤホンが収納され固定されています。この内装を取り出すとその他付属品が箱の底にあります。
付属品はどちらもKZ社のイヤホンにに付属するシリコンイヤーピースがS、M、Lの3種セットとMサイズが本体取付け済みで、他にはケーブルです。流石に中価格帯でも必要最低限となります。個人的に付属のイヤピは結局交換することが多いのでこの潔さは好感を持ちますね。
ビルドクオリティですが、KB10はA10及びTP10と同じ製造工場ということもあり中華イヤホンで心配されるような各所の仕上りに雑なところを感じません。この1年ほどで中価格帯A5Kの製品も安心して購入できるようになったのではと感じています。カラーバリエーションは他に黒色もありますが青を選択しています。
付属ケーブルは茶色の編込みタイプでTP10同様にI字タイプです(A10はL字タイプでした)。耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的に絡まりにくくしなやかなものとなり低価格帯に付属するケーブルとしてそのまま使用できますし落ち着いた色合いも普段使いするには目立たず嬉しいですよね。
シェル本体は先述の通りKB10はA10、TP10と全く同じですね。シェルは樹脂製でステムノズルとフェイスプレートが金属製です。ステムノズルにはメッシュフィルターがあります。
シェル本体の形状はKZ AS10とほぼ一緒ですので比較的大柄となります。そのため装着感は個人差がありそうですね。
※左からAS10、KB10、TP10
次に先述のAS10とTP10との比較をしてみます。
前回同様に何から何まで同じですね。AS10よりKB10とTP10のフェイスプレートが厚く感じますがAS10のフェイスプレートが端面に行くにつれてラウンドしていて薄く見えますが中に入るドライバの大きさなどは同じため実際はその分で内容積を稼いでいる考えられますね。ステムノズルの角度はほぼ同じで太さがAS10がやや太い。こうして画像で比べてみると本当に同じです。
耳への装着も全て同じで割と奥の方入れて蓋をするように装着する形となりますがみぃねこは前回同様に付属ケーブルと付属イヤーピースでは音質的に実力を発揮できないと感じましたのでA10とTP10と同じくイヤピをいつものAET07に。KB10をYYX4732にリケーブル(TP10には前回と変更しYYX4733にリケーブル)して装着感と音質的に十分と感じました。この辺りは個人差があるかもしれませんね。
これは低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)
それではいよいよ音質についてまとめていきます。
今回の再生環境はFiiO M9、直挿しアンバランス接続です。
これまで通り中価格帯はM9を基準としてレビューを行います。もちろんShanling M0やiPhone6sでも鳴らすことができましたが、中高音域の解像感や低音域の表現力で本来の性能を発揮できないと感じましたのでご容赦ください。
低価格帯のイヤホンの場合でその違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。
それでは実際に聴いてみます。
ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳をとじて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。
先述の通りイヤピはAET07 Mサイズ、YYX4732にリケーブルしています。
箱出しで聴いてみた第一印象はTP10同様に「中高音の解像感は高く低音は量感は控えめながら中高音を支えていて聴きやすい」でした。(もちろんスマホ付属品とは大違いです)
こちらも箱出し直後は低音は控えめに感じたため今回も先に鳴らし込みを行っています。
音場は広くも狭くもなく普通で音の分離感は良好です。
低音は量感は控えめながらもやや芯を感じA10より量感がありTP10よりやや強く感じます。締りはBAとして普通でキレも普通に感じます。重低音の沈み込みはやや浅く感じられますが、ベースラインは十分追えます。
高音は煌びやかさは十分で存在感も十分に示しA10より伸びがありますがTP10よりはやや劣る印象。刺さりは感じられず中低音に埋もれることはありません。
中音はA10、TP10に比べやや凹みを感じますが高音や低音に負けていませんし分離も悪くなく明快でA10よりすっきり聴こえますがTP10よりやや劣る印象。
ボーカルはクリアに聴こえ自然な位置で近くも遠くもなく普通で、曲によってやや近く感じクールに聴こえます。
一言で云えば中高音寄りのややドンシャリですが、A10より強くドンを感じられます。その分TP10やこのKB10の方がバランス良く全体としてより聴きやすく感じられますしA10同様に中高音域の分離の良いややすっきりとした印象です。
このバランスはA10とは似て非なる印象で、TP10も同じ中高音寄りではあるものの低音域が少しだけ存在感があるためより聴きやすいバランスでしたが、それをより強化したと云えそうです。F特では全く同じカーブを描いていましたがKB10はA10からは低音を強化したチューニングの音質傾向と云えそうですね。
それ故にA10同様に複数BAの良さである音数の多さや分離や解像感の高さは感じられ、TP10でやや控えめながらも低音域が存在感を示し、このKB10では物足りなかった低音域を強化したモデルと云えそうで、中高音寄りのややドンシャリ好きの方からTP10同様に好評を得られるかもしれません。
また、A10で感じた高音域と中音域の間の中高音域が少しだけ音が重なったごちゃつきはTP10では感じずすっきりとしていましたが、KB10では高音域と中音域の間の中高音域で少しだけ感じる印象です。これは低音を強化したするために高音中音低音のバランスを少しだけ低音寄りに寄せた結果、中音域が少し凹みが感じられるようになり相対的に高音域がその下の中高音域に寄ったように感じるせいかもしれません。
とはいえ聴き比べると僅かにという程度でもありますので、それほど気にならないレベルかもしれませんね。
A10とTP10で感じた音質の違いは高音域の伸びと高音と中音の間の中高音域のすっきり感と低音域の存在感でしたが、KB10とTP10の違いは僅かで低音域が存在感を増し高音域と中音域の間の中高音域が僅かに音が重なるくらいのため個人的にAS10の後継改良型としてはKB10.次点でTP10と感じています。尤もセラーのツィートではA10も改良版をリリースしているそうですのでこちらも低音の存在感があるモデルなのかもしれませんね。
改めてKB10とTP10をAS10と聴き比べてみましたが中高音寄りと中低音寄りという音質傾向に違いはなく、高音域はTP10やKB10が。中音域は明快さはTP10やKB10。ボーカルはAS10。低音域はAS10という印象ですがこれについては量感と広がりがあるため分かりやすく一般ウケし易いという評価です。
そしてこれらの音質傾向を纏めると以下の様な関係が浮かんできます。
高音 TP10 ≧ KB10 > AS10
中音 TP10 ≧ KB10 ≧ AS10
低音 AS10 > KB10 ≧ TP10
ボーカル AS10 ≧ KB10 ≧ TP10
上記の通りKB10はAS10の弱点を改良した音質傾向と云え、TP10はAS10よりとは異なる位置にいるモデルと云えそうです。
しかしこれらのモデルは求めている音質傾向によって選択ができるとも言い換えられますし、聴きやすさで選べば最新のKB10やTP10の方が一歩進んでおりAS10からの進化版と云えそうです。ですが、これらはやはり明らかな音質の優劣では表わしにくく使う方の嗜好の違いによって選択するのが最適解と云えそうですね。
さてKB EAR KB10はCCA A10とTRIPOWIN TP10という三兄弟は最近のトレンドである複数BA搭載中価格中華イヤホン同様の高中低音域をバランス良く表現するタイプといえ低音を控えめに中高音を重視したバランスの良いイヤホンとまとめました。
そして三兄弟で見ればTP10の最もバランス型に対し、A10の中高音特化型とKB10のドンシャリ強化モデルと云え、それらすべてに特徴のあるモデルとなりそうですね。
最後に、今回は5,000円前後から10,000円以下で買える中価格中華イヤホンの紹介となりました。現在(2019年6月28日)はamazonでも取り扱いが始まり各セラーで6,000円台半ば。AliExpressでは5,000円台で購入できそうですがその入手性に少々難があります。とはいえこれまでの中価格中華イヤホンと同様の実売価格となり、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっていますので低価格中華イヤホンからのステップアップとしてその辺りの購入を考えていて少しでも気になった方は安心確実なamazonを。少しでも安い方が良い方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。
KB10
以下、YYX4732ケーブル、イヤピAET07 M使用、DAP M9
高音★★★★☆
中音★★★★☆
低音★★★★
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★ (AS10とお好みで)
※☆0.5、★1.0
TP10
以下、YYX4733ケーブル、イヤピAET07 M使用、DAP M9
高音★★★★☆
中音★★★★☆
低音★★★★
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★ (KB10とお好みで)
※☆0.5、★1.0
A10
以下、YYX4733ケーブル、イヤピAET07 M使用、DAP M9
高音★★★★☆
中音★★★★☆
低音★★★☆
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★☆ (TP10とお好みで)
※☆0.5、★1.0
AS10
以下、YYX4762ケーブル、イヤピAET07 M使用、DAP M9
高音★★★☆
中音★★★★☆
低音★★★★☆
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★ (KB10とお好みで)
※☆0.5、★1.0
あとがきとして、今回も複数BA中価格中華イヤホンの新商品の比較レビューをしてみました。複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンも今後も挑戦していきたいと考えています。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですね。
今後も気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ