こんにちは。
今回は中華イヤホンのシングルドライバモデルのレビュー編として中価格帯で発売されているTIN HiFi P1についてレビューをまとめたいと思います。
今回は国内amazonのWTSUN Audio(@Zhuo520x)から購入しています。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07Z4TZRYN/ref=ppx_yo_dt_b_asin_image_o00_s00?ie=UTF8&psc=1
AliExpressでもWooeasy Earphone Store(@hulang9078)に取り扱があります。
TIN HiFi P1はTIN HiFi社(旧TIN Audio)から発売されているシングルドライバ搭載モデルです。TIN HiFi社のイヤホンは以前レビューしたT3がありますがこちらは1BA+1DDの2ドライバを搭載しており今回のP1は1基のドライバを搭載したモデルとなりますが、実はこれ平面磁気駆動ドライバを採用しています。
そもそも平面磁気駆動ドライバとは何?という方のために簡単に補足すると、国内及び海外の有名メーカーで評価の(も)高い高級ヘッドホンで採用されているダイナミックドライバの一種です。ね、これだけでも凄いドライバが採用されていると思うでしょ(笑)。
平面磁気駆動ドライバの技術的な説明をどうしても知りたい方はgoogle先生で検索してみてくださいね。だってそれを長々と書いてもつまらないし読む気にならないと思いますし結局音は如何なんだよって方が殆どではないかと思いますので。
さて、このP1はこれまでのTIN HiFi社の商品の中でもかなり高額です。T2やT3は比較的安価な販売価格が設定されていて国内amazonでも5,000円-10,000円以下の中価格帯で購入できましたが、P1では桁を上げ国内amazonで1万円後半の中価格帯ではありますが高価となっています。
みぃねこは所有していてもこの辺りの価格帯の商品は殆どレビューすることはありませんでしたが何故にP1を購入し記事を書いているのかと云えば、思いの外良い音を聴かせてくれると感じましたが、あまりにもレビューが少なく折角の良い商品なのに販売に繋がっていないと考えたからです。
元々この備忘録は一般的な国内及び海外有名メーカーではないけど良い音を聴かせてくれる商品が沢山あっても試聴できなくて二の足を踏んでいる方の背中を押してあげることができるように始めています。つまり、このP1はぴったりの題材となる訳です。
そして、なによりも国内及び海外有名メーカーに勝るとも劣らない(かもしれない)中華イヤホンの楽しさを伝えていけたら幸いです。まあ、いい訳ですね、はい。なんやかんやでP1が気になっていて、やはり自分の耳で確認したくなったというのが一番の理由でございます(笑)。
※TIN HiFi T3の過去記事もよろしければご参考ください
そんな訳でイヤホンにはあまり採用されていない平面磁気駆動ドライバを搭載したP1を他の中価格帯の多ドラハイブリッドモデルとの違いを交えながらレビューを纏めていきたいと思います。
TIN HiFi P1はオール金属製のシェルが採用されています。全体的に角がなく丸みを帯びた造形で材質はステンレスのSUS304と耐食性は悪くないのですが、ここは医療用SUS316の方がアピールポイントとしては高くなったのではと思います。ステムノズルはコンパクトなシェルに対し、かなり太めです。そのため、装着感はコンパクトなシェルでありながらもステムノズルの太さの影響で個人差が結構あるかもしれませんね。
P1のスペックは先述の通り10mmの平面磁気駆動(Orthodynamic又はPlaner Magnetic)ドライバを片側1基搭載し、付属するケーブルも上質なものが採用されています。尤も平面磁気駆動ドライバ自体が高価なことと、金属シェル、上質な付属ケーブルが採用されていることからも必要な部分には惜しみなくコストを掛けますよっていうTIN HiFi社の商品づくりは共感できますね。
特に平面磁気駆動ドライバでは中高音域の表現力が高くなると評判で、少し聴いただけでもその評判に納得してしまいます。
そして、P1は片側に1ドライバのため、多ドラの様な複雑なクロスオーバーもなくシンプルで実績がある方式のため安定した音を奏でることにアドバンテージがあります。それはこれまでレビューしてきた中価格中華多ドラハイブリッドイヤホンとは異なり1ドライバ故の自然なつながりがある音が期待できるからです。複数のドライバを搭載した場合、各ドライバの担当する音域が重なるクロスオーバーのチューニングという難題があり低価格帯では特にこの辺りを誤魔化した商品も多くありますが派手な音づくりで結構それを感じさせない様な音作りがされていたりします。もちろんP1は1ドライバとはいえチューニングは行いますし大事ですが、このチューニングポイント、経験則を活かし易くそれ次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくるといえますね。
TIN HiFi P1の納期としては流石の国内amazonの当日発送、翌日配達です。AliExpressにてオーダーした場合はチャイナポストを選択しても早くても約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間かかりますし、万が一の不良の際に返品交換に結構な手間と時間がかかります。
そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くの少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。
それでは、早速TIN HiFi P1の実機レビューを以下、まとめていきます。
パッケージングは黒を基調としたシンプルなスリーブタイプの黒箱化粧箱です。
スリーブの表にはメーカーロゴとイヤホン名が記載されていシックなタイプです。
スリーブを外すと黒地の箱でこれまたシンプルですが雰囲気が良く箱を開けると黒地の内装の台座にイヤホンとイヤホンケースが収納されています。またイヤホン等が収納された台座を取り外すと、取説が入っています。
ケーブル等の付属品はイヤホンケースの中に収納されています。この辺りはいつもの中低価格帯とは異なり豪華な化粧箱ですね。
付属品のイヤーピースはシリコンイヤーピースがS、M、Lの3種各2セットとフォームタイプのM、Lが1セットの計3セットが付属します。シリコンイヤピは口径のサイズが異なりそれぞれ好みの音質に調整が可能です。
ケーブルは付属するケーブルとして上質なもの付属しており、A10K-U20Kの中価格帯でも高価なクラスとして十分な付属品ですが、個人的にこれだけで完結できる満足感の高いセットと云えますね。
ビルドクオリティですが、TIN HiFi P1は中華イヤホンで心配されるような各所の仕上りに雑なところを感じません。以前レビューしたT3同様に安心して購入できると思います。
カラーバリエーションは銀色のみです。
付属ケーブルは5N、OFCの線材を使用した明るい茶色の編込みタイプが採用されています。プレイヤー側コネクタはI字タイプで、イヤホン側はMMCXコネクタです。この付属ケーブルは耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的に絡まりにくくしなやかなものとなり中価格帯に付属するケーブルとして十分な印象があり、そのまま使用できますし落ち着いた色合いのケーブルが本体色との一体感もありますね。
※画像左からKB06、P1、Spring1、V90
P1のコンパクトなシェルを伝えるために同じくコンパクトなKB06とSpring1とV90を並べてみました。この3機種の中で同じ価格帯はSpring1となりますがこちらは3ドライバ搭載しておりシェルが大きく感じます。それでも同価格帯の多ドラハイブリッドモデルと比べコンパクトなモデルなのですが、それが際立つP1となりますね。
またP1のシェルデザインは丸みを帯びた造形で且つコンパクトなシェルが功を奏し耳への装着感はかなり良好です。ただしシェル自体はコンパクトですがステムノズルはかなり太めで長く、みぃねこは個人的に装着感が良好でしたが、個人差がありそうな印象ですね(装着感に個人差はあることをご了承ください)。
勿論ステムノズルの先端端面にメッシュフィルターが装備されています。
そして、シェル本体の形状と付属ケーブルからはシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。
先述の通りP1はステムノズルが比較的太めで長めながらも、耳へは付属のイヤーピースでしっかりと装着できましたが、音質的に少し低音が抜け気味で軽く感じたため、いくつか試した結果、AET06でみぃねこは一番しっくりきました。低~中価格帯では毎度付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じることが多くありますので手持ちのイヤピと交換しています。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。
このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)
それではいよいよ音質についてまとめていきます。
今回の再生環境はFiiO M9、直挿しアンバランス接続です。
これまで通り中価格帯はM9を基準としてレビューを行います。もちろんShanling M0やiPhone6sでも鳴らすことができましたが、中高音域の解像感や低音域の表現力で本来の性能を発揮できないと感じましたのでご容赦ください。
低価格帯のイヤホンの場合でその違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。
それでは実際に聴いてみます。
ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳をとじて、倖田來未/Moon Crying。高音/低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。
先述の通りイヤピはAET06 Mサイズへ。ケーブルは付属品を使用しています。
箱出しで聴いてみた第一印象は「TIN HiFiらしいクリアな中高音と中高音域の解像感が高く聴きやすい」でした。
こちらも箱出し直後は低音が控えめに感じたため今回も先に鳴らし込みを行っています。
音場は広く上下左右、特に左右の空間に広さ感じます。
中高音域の分離は良く解像感も良好です。音数の多い曲でも中高音域に重なりを感じごちゃつくようなことはありません。
高音は華やかさと伸びがありながらも刺さることはなくけして尖っていません。
中音は見通しは良くクリアですっきりしていてボーカルを邪魔しない。そのボーカルは自然な位置にいて中音に埋もれることはありません。
低音は控えめながらも十分に芯を感じられ広がりすぎず締りは良好で応答性の良さも感じ、ベースラインは追えます。
重低音は沈み込みはそれ程深さを感じませんが適度な強さがあります。
一言で云えば中高音寄りのフラットバランスの印象です。
更にみていくと高音は小さな音や強弱を聴き分けられますが、同社T3程の超高音域までの広さはないものの表現力はP1に分があります。
中音は高音同様に左右の離れたところから鳴る音を聴き分けられボーカルから左右少し下がった位置で支えてくれます。特にコーラスがボーカルに潰されずに、また前に出過ぎずにしっかり聴こえます。
低音は中高音が分離や解像感が良く小さな音もしっかりと聴き分けられること。量感が多いわけではなく控えめな為に印象が薄くなりますが質感は悪くありませんが、低音を重視する方には物足りなく感じるかもしれません。
その為ハイゲインに変更してみましたが、ただ派手に感じるだけで「なんか違う」と思いDAPをM9からパワーのあるDX160へチェンジしてみました。
結果、中高音の解像感やクリアさはそのままに低音に強さを感じられます。
この低音は中高をマスクしない適度で十分な強さがあり、しっかりとした芯と響きを感じます。そして中音の響きをより感じられM9で聴いた時の悪く云えば淡々と再現しようとする硬質な表現よりも、DX160の暖かさのある雰囲気の良い音ながらもけして分離や解像感が劣るわけではない特徴がP1にはマッチしこれが本来の姿なのかもしれませんね。
もっと云えば低音域の表現力はDX160の方が上ですので、P1の低音域が物足りないと感じる方にはパワーのあるDAPやポタアン等を使用してみると印象が良い方向に変わるのではないでしょうか。
まとめとして、TIN HiFi P1は挑戦的なモデルでありながら同社の1BA+1DDハイブリッドモデルT3を超えるフラッグシップとして十分満足できるモデルと云える仕上がりです。
ですが、スマホ直挿しではP1本来の性能を発揮できず、ポタアンを介し出力を確保した上で聴く場合に新たな世界を感じることができるのではないでしょうか。勿論出力の高いDAPを使用しても同様に非常にバランスの良い印象を持たれると思います。
尤もこのクラスの中華イヤホンをスマホ直挿しで使用される方は殆どいないのではと思いますので余計なお世話かもしれませんね。
なおP1のバランスの良さは中華イヤホンには高音域の刺激的な強さや低音の量が多い強ドンシャリを求めるという方には物足りないと感じ評価が分かれてしまうかも知れません。
そして、以前のレビューでも触れていますが単純にドライバ数を増やす足し算では未だ限界があります。残念ながらそれをBAオンリーの低~中価格帯複数ドライバ搭載モデルが証明しています。それでも次々と投入される中華の新モデルが我々を楽しませてくれており、今後も期待していきたいと思います。
高音 T3 ≧ P1 ≧ T2
中音 P1 > T2 ≧ T3
低音 P1 ≧ T3 ≧ T2
ボーカル P1 ≧ T3 ≧ T2
音場 P1 ≧ T3 ≧ T2
最後に、今回は国内amazonのセールなどで実売15,000円前後で購入できる中価格帯中華イヤホンの紹介となりました。現在(2019年11月22日)もamazonで取り扱いがありますし、AliExpressではフォロワー割で10,000円台前半とお求め易い価格ですが、その入手性に少々難があります。とはいえこれまでの中価格中華イヤホンの平面駆動モデルの中では安価な実売価格となりますし、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっていますので低~中価格中華イヤホンの中で間違いのないものを購入したいと考えていて気になった方は安心確実なamazonで。新商品を少しでも早く入手したい、少しでも安い方が良い方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。
P1
以下、付属ケーブル、イヤピAET06 M使用、DAP M9
高音★★★★☆
中音★★★★★
低音★★★★☆
音場★★★★☆
分離★★★★★
お勧め度★★★★☆
※☆0.5、★1.0
P1
以下、付属ケーブル、イヤピAET06 M使用、DAP DX160
高音★★★★☆
中音★★★★★
低音★★★★☆
音場★★★★☆
分離★★★★★
お勧め度★★★★★
※☆0.5、★1.0
あとがきとして、今回は平面磁気駆動シングルドライバ搭載の中価格中華イヤホンの商品レビューをしてみました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですね。今後も低価格を中心に、複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。
また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ