みぃねこの備忘録

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Trn ST2レビュー ※KZ ZSN pro X、CCA CSNとの比較含む

こんにちは。

今回はいつもの低価格中華イヤホンレビュー編として、1BA+1DDハイブリッドモデルのTrn ST2についてレビューをまとめたいと思います。

AliExpressのTRN Promo Discount Store(@TrnDiscount)等で取扱があります。

 

ja.aliexpress.com

 

国内amazonでも取扱があるようですが、本国発送となります。

 

 

 

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1. Trn ST2について 

Trn ST2は今年6月に低価格帯中華1BA+1DDハイブリッドモデルとして新発売されました。TrnはKZの競合メーカーとしてこれまでも同社に後追いした形で1BA+1DDハイブリッドモデルや多ドラハイブリッドモデル、複数BAモデルを多くリリースしています。

しかし最近はKZの単なる後追いを止め、意欲的なモデルを投入しています。例えば片側15BAの同社BA15等が記憶に新しくイロモノではない堅実な音質が好評です。ライバルのKZでも片側12BAのASTです。当初はそのリリースのタイミングからKZ後追いと認識していましたが、最近は前述の通りその認識を改める必要があるようです。

ST2はTrnの1BA+1DDハイブリッドモデル、ST1がモデル名からは後継機となりそうですが、このST2ではその造形が変わりました。ST1やSTMのオーソドックスなタイプからよりカスタムIEMに寄せたシェルのデザインは同社V40と同じもののようです。

Trnと云えば最近の音質は中高音を中心に解像感を重視した音と個人的に認識していますが、以前はKZの様な元気で派手な音の傾向がありました。特徴的なのは弾む低音で、悪く云えば締まりのないボヨンとした音が好みからは外れ、解像感の高い音とは思いませんでした。それが今はTrnといえばまるで別人のように一聴して良い音と感じられる安定した音を聴かせてくれます。特に中高音の解像感はVXではやり過ぎ感があり、V90Sで丁度良い塩梅に。個人的にはそれでもやや高音が強いと感じていました。そのあと今年に入ってTA1が発売され本ブログでもレビューしましたが非常にバランスの良い音になっており、STMやVX、V90Sでは高音中音の解像感を重視した結果、低音控えめという玄人好みの音。評判の良い高級機で感じられる傾向です。

この辺りはKZの後追いからの脱却をはかるTrnの本気を感じられますが、何と言っても低価格帯という制約条件の中では高級機で採用されるドライバとの質の差を見せつけられ現実を突きつけられます。

 

これまで個人的にTrnは一部の複数BA機を除き入手しレビューをしています。一昨年の複数BA機の各社競争激化した際に一通り購入してみましたが、一握りの複数BA機の以外レビューするに至りませんでした。そもそも自分が気に入らない、お勧めできないものはレビューしたくないと思っています。まあ世の中そんな簡単ではありませんけど。

 

さて、今回Trnから昨年のTrn STMに続く低価格帯の1BA+1DDハイブリッドモデルとして、ST2が登場しました。以前レビューしたSTMは高音と中音域に強調感があり、控えめな低音が高音中音の解像感を演出していました。加えてステムノズルフィルターを交換するギミックも搭載した意欲作、転換期の挑戦作と云えます。個人的な音の好みはさておき、この辺りからのTrnから現在のTrnの音という地位を築き始めたと云っても過言ではないかもしれません。

それはTrnがTrnらしさをユーザーへ印象付けるには1BA+1DDハイブリッドモデルが手に取りやすさという意味でも重要ですし、なによりもKZという中華イヤホンファンに認知されたメーカーを相手に後発として最初からオリジナル性を打ち出したところでイロモノ扱いされ一過性で終わる可能性を否定できず、消えてしまうリスクを避けた結果の後追いであり、現在のTrnの音を確固たるものにする戦略だったのだとすれば、それはもう間違いなく成功だったと云えると思います。だって、ここにその音に興味を持っているユーザーが一人存在する。一人いるという事は他にも同じように考えている方がいる。何故ならば、この記事を読んでいる貴方がそれを証明しています。

 

近年の低価格中華イヤホンは1BA+1DDハイブリッドが定番化しておりますが、昨年KZが1DDモデル、EDXをリリース以降Trnも今年MT1とCS1を発売しBAに頼らない1DD、シングルダイナミックモデルを投入してきました。その結果は前回までの各社低価格1DDトレンドモデルのレビューでも触れた通り、低価格帯の限界を感じる音と云うのが正直なところ。もちろん1,000円に満たないという販売価格からは十分健闘しており、価格帯として十分に良い音と云えまし、そこに間違いはありません。

そういう意味で、敢えてBAを搭載しないシングルドライバの1DDモデルは従来の1BA+1DDハイブリッドモデルのBAを取り払ったダイナミックドライバのみの1DDモデルとしてやはり中低音寄りの音となっており、MT1の中高音寄りの音はTrnが目指している音であり、Trnの音と云えます。そして価格帯に係わらず自社の音を真摯に追及していると云えるかもしれません。この一点はそれらと違い尊敬に値します。

 

Trn ST2は6月に発売され、低価格帯の中華イヤホンでポピュラーな1BA+1DDハイブリッドモデルで高音域をバランスドアーマチュア(BA)ドライバ1基がそれを担い、ダイナミックドライバ(DD)1基が中音から低音域を担っています。音を繊細に高い解像感で表現するのにBAは最適ではありますが、中華イヤホンの低価格帯で採用されているBAの質は残念ながら高いとは言えず、音に粗さがあり解像感を重視した結果、シャープさはあるが故に尖りも兼ね備えてしまう痛し痒し。もちろんドライバの質だけでなくチューニングも重要です。高音域のBAと中・低音域のDDの各音域のクロスオーバーはメーカーの腕の見せ所となります。

中華のチューニング技術は数年前に比べ進化しており、実際KZ ZSN pro XやKBEAR LARKは国内有名メーカーのU5K辺りとも良い勝負をすると思います。

尤も、初期ZSTの頃は1,000円ちょっとという圧倒的コスパによる人気からも分かるように現在は2,000~3,000円と国内メーカーのエントリーモデルと同等となってきていています。今でも十分にコスパは良いのですが、価格帯がワンランク上がっているとも云えます。それらのモデルよりもST2はAliExpressの販売価格は1,500円以下と安価ですね。

このST2がそれらの中華イヤホン低価格1BA+1DDモデル、KZ ZSN pro XやCCA CSNに対しレベルアップしているのか、その違いを交えながらレビューを纏めていきたいと思います。

 

Trn ST2のスペックですが先述の通り中華イヤホンの低価格帯で多く採用されている高音域用のバランスドアーマチュアドライバ(BA)を1基と中・低音域用のダイナミックドライバ(DD)を1基搭載した片側デュアルドライバ構成のハイブリッドモデルです。

ダイナミックドライバは直径10mmの二重磁気ドライバを採用。BAには中華では定番の30095を採用しています。

イヤホン本体にはシェル本体が樹脂製。ステムノズルが金属製を採用しています。

そして大切なのはこれまでレビューした低価格中華1BA+1DDイヤホンでは各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングが重要です。加えてステムノズル部にBAを配置する場合、その素材も高音域への影響があると個人的に経験則として感じていて、金属製の方に響きの良さを感じます。

ST2ではBAとDDを搭載しBAが金属製のステムノズル部に配置されていること。二つのドライバが担う音域のクロスオーバーチューニングが重要です。このチューニング次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくると云えますね。

 

Trn ST2の納期として今回AliExpressで購入し中国本土からの発送という事もあり、国内amazonのようにはいきません。今回もオーダーから2週間強で届きました。昨今、感染症の影響で中国からの輸送は平時の様にはいきませんが、それも徐々に回復傾向であり最近はシンガポール経由ではなく台湾経由等で動き始めていますので、物流の安定化までもう少しというところですね。尤も平時であればAliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. Trn ST2実機レビュー 

それでは、早速Trn ST2の実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングはいつものTrnの化粧箱と違います。白を基調とした小箱は変わりませんが、サイドの黒は無く横向きのシンプルな小箱で、従来の縦型ではない横型スリーブタイプの化粧箱です。
箱の表にはイヤホンイラストが。裏にはスペックが記載されています。

 

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スリーブを外すと白地の内装の台座にイヤホンが収納され、台座を取り外すと箱の底に付属品が収納されています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースが白色タイプのS、M、Lの3種が計1セット。そのシリコンイヤピMサイズが本体取付け済。他にはケーブルとケーブルバンドです。U2K、実売1,500円以下の低価格帯として必要最低限の付属品となります。

 

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次にビルドクオリティですが、中華イヤホン、特にTrnで心配されるような雑なところ感じさせない、近年のレベルアップを感じられます。カラーバリエーションはクリアとブラックがあり、今回はクリアを選択しています。

 

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付属ケーブルはいつもの黒色のタイプではない白色(シルバー?)の4芯銀メッキ銅線の編込みタイプが採用されています。プレイヤー側コネクタはL字タイプでTrnロゴ付、イヤホン側はKZ-Cタイプ、2ピン仕様、KZ極性(上がプラス)です。この付属ケーブルは耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的にやや絡まりやすいものの、しなやかなものとなり低価格帯に付属するケーブルの中でも高品質の印象。とはいえそのまま使用できますし白色ケーブルはやや派手さはありますが、シェル本体の色が今回クリアな為、それと相まって綺麗な印象を持ちます。個人的にはケーブルの被膜は黒色の方が合わせやすくて好きですね。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

※画像左からCCA CSN、Trn ST2、KZ ZSN pro X 

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Trn ST2とCCA CSN、KZ ZSN pro Xの外観の比較として、サイズ感はST2が一番小ぶり。造形は三者三様です。一番オーソドックスなのはZSN pro Xですが、耳への収まり、装着感はCSNが一番カスタムIEM風で大柄にも拘わらず、それが功を奏して良好です。

何れもKZ-Cタイプのコネクタとなっています。

シェルの材質は、ST2のステムノズルが金属で樹脂製シェルに対し、CSNとZSN pro Xはステムノズルとフェイスプレートが金属製です。

重量は三機種共にほぼ同じですが、ややCSNが重め。一番軽量なのはST2となりますが、耳への装着時には殆ど差が分からないレベルです。三機種共に耳への装着感は悪くありませんが、ステムノズルの太さはCSNが細め、ST2とZSN pro Xはステムノズル内にBAを配置することもあり太めです。角度はZSN pro Xが三機種の中でやや寝ています。

また、ステムノズル部には全てにメッシュフィルターがあり異物混入による故障を防ぐと同時に、音への効果もあります。一番変化をつけているのはCSNで目が細かい真にフィルター。そしてST2、ZSN pro Xのフィルターの順に目が大きくなります。

シェル本体の形状からは三機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、先述の通りST2はステムノズルは比較的太めです。太いステムノズルは装着感に影響があり、圧迫感を感じやすく、ST2ではその影響が感じやすいため、イヤーピースのタイプで上手く調節する必要があります。今回は付属の白色イヤーピースMサイズを耳奥に栓をするように装着する形で音質的にもしっくりきました。

 

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この付属イヤーピースはTrnにも付属する赤軸黒傘タイプの白色タイプです。個人的に従来のTrn付属の赤軸黒傘イヤピは傘がパサパサしていて装着感がイマイチに感じる事が多いのですが、こちらは色の違いだけでなく傘に粘りがあってしっくりきます。

音質的にはやや高音中音がしっかりとするタイプに感じますが、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。

幸いこの付属イヤーピースでも私は上手く合わせられ、耳の奥に栓をするように装着しフィットしています。

低価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じますが、今回は同じ付属のイヤピ白色で十分と感じられそれを使用しています。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. Trn ST2音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今後は価格帯関係なくSony NW-ZX507を基準としてレビューを行います。ずっとスマホ同等かやや良いくらいという基準を持ってきましたが、ご容赦ください。

ZX507については他の方のサイトでも詳しく解説していますので、SONYのまあまあの価格帯のサブスク対応android機です。従来のShanling Q1は3.5アンバランス接続のみですが、ZX507は4.4バランス接続にも対応しています。DACには独自開発のS-Master、フルデジタルアンプが採用されています。

Shanling Q1とZX507の音質の違いは音場がやや平面的に感じられるQ1に対し、ZX507は奥行きのある立体的な印象。具体的にはボーカルの位置に対し、高音や中音の演奏音がその周りやや離れた後ろ側に位置し自然な位置関係に感じられます。

次に、音質傾向ですが、音楽を正確に淡々と鳴らそうとするQ1に対し、ZX507は高音域と低音域をしっかしと鳴らすやや派手な音ながらも、ボーカルを邪魔せずにそれを引き立てています。所謂ドンシャリ傾向と云えますが、過剰なほどではなくて若干の演出という感じ。そして中音はボーカルに対し相対的に控えめに感じられますが、その分ボーカルはクリアです。特徴としては低音に厚みがありますので音楽を雰囲気良く聴くことができるSONYの音といえます。

個人的には音楽を楽しく聴くという本来の目的を達成するために必要十分なDAPと考えており、今年6月からは音楽配信サービス、Apple Musicがロスレス対応しましたが、android搭載DAPとして勿論対応(※)しています。そして、何よりもBluetooth接続は安定していますので、強いて云えば電池持ちがカタログ値よりも悪い位しか不満はないです。

※2021/06/19現在 android版Ver3.6.0ベータ版

 

 

 

低価格帯のイヤホンの場合でDAPの違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。

 
miineco106.hatenadiary.jp

 

※FiiO M5とShanling M0の比較もよろしければご参考ください。 

miineco106.hatenadiary.jp

 

それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属白色Mサイズ、付属銅線ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「やや膨らみを感じる低音と過不足ない高音域のドンシャリバランス」です。

箱出しではやや低音に膨らみを感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音が締まり落ち着き相対的に高音中音がクリアに感じます。

音場は広くも狭くもない普通。

高音は十分な煌びやかさと華やかさがあり存在感がありますが、刺さりは抑えられています。

低音は適度な量感があり芯が感じられ締りとキレは適度。ベースラインは追いやすい。重低音は沈み込みは深く強さも有る。

中音は適度な華やかさがありますが、主張は少なくゴチャつきも少なく感じます。ボーカルはクリアで自然な位置から聴かせてくれ聴きやすく、曲によってやや近く感じます。

一言で云えば中高音寄りのドンシャリ

高音は煌びやかさがあり伸びも感じられ全体的な華やかさはやや前に出るような主張がありますが、嫌な感じは無く、演出感は抑えられています。超高音までの伸びも自然な印象です。逆に云えば不快に感じる尖りはなく、ボーカルを邪魔しないわきまえた音。これはTrnの解像感を高めるための傾向とも云えますが、KZの低価格帯1BA+1DDハイブリッドモデルと比べると、そこまでの演出感はありません。最近は低価格1DDモデルを多く聴いていたので、新鮮な気持ちで聴くことができますし、BAの存在意義を再認識します。

中音はやや凹みを感じますが、楽器の音はボーカルの周りやや後ろ辺りに位置し華やかに鳴ります。ボーカルはクリアで聴きやすく、高音や低音に埋もれません。特に最近のTrnには珍しく低音がしっかりしているのにボーカルがクリアに聴こえるのは個人的に出来が良い証拠だと考えています。

全体的にみれば高音や低音域がしっかりとしていて音楽を楽しめる音で、音数が多いハードな曲でも高音域や中音域の音の重なりによる団子感を殆ど感じずにボーカルをしっかりと聴くことができます。

ボーカルはややドライ気味なものの息遣いを感じられ不自然さを感じ難いですが、しっとりとした雰囲気を楽しみたい場合には相性というか部の悪さは感じられます。

低音は適度な量感に抑えられています。そのため広がりや響きはそれ程感じず雰囲気はそこまでの印象があります。繰り返しになりますが、最近のTrnとしてはかなりバランスが良い低音感じます。やはり響きというよりも芯のある音で締りとキレによる小気味良さと強さを重視しています。中高音寄りのイヤホンとしては十分な低音のため、それに慣れた方ではそれでも多すぎると感じるかもしれませんが、このぐらいは無いと物足りないと個人的には感じます。低音の小気味良さと雰囲気の両立は高級機であってもなかなか難しいと思います。

重低音は沈み込みは深さがあり強さもあります。この低音の高音中音を邪魔しない適度なバランスと高音中音の煌びやかさ華やかさのあるバランスの良いドンシャリは、最近のTrnの音への個人的な不満に対して一発回答と云えそうです。その位耳に馴染み易く聴きやすいバランスの良い音を聴かせてくれます。


これは以前レビューした同社STMの中高音寄りとは違い、低音がしっかりとした上で高音中音をマスクしない音は特に中音域の見通しの良さにも繋がり、やや凹みを感じる中音域に過不足を感じずにクリアに聴くことができます。KZのドンシャリとは違いますし、Trnの音をブラッシュアップしてきた印象です。最近のTrnは中高音を聴かせる為に低音が犠牲になっている感がありますが、ST2ではそういう事もなく、聴いていて心地の良い音と云えそうです。

次に、KZ ZSN pro XやCCA CSNとの違いですが、ZSN pro XはST2と同じ中高音寄りに対し、CSNは中低音寄りという事。ST2はそれらよりもドンシャリ感はやや控えめで高音や中音域のクリアさを重視したTrnの傾向を感じます。CSNも中高音がクリアですっきり感はありますが、ST2の方が高音中音に華やかさがあります。

一番の違いは低音域です。ZSN pro Xは云う迄もなく、CSNも中低音寄りでありながらも低音が支配的ではないために中高音を犠牲にしていません。ST2はどちらかと言えばそれらよりも抑え気味ですが、決して過不足はありません。少なくてもTrn史上上位の出来であると云えます。強いて云えば同社TA1に近い音。

つまりST2ってどんな音?という問いにはTA1に近いと答えることができます。ではTA1との違いは何か?と問われれば、一番は「BAの質」とそれの「使い方(担う音域)」と答えます。近くて高い壁ですね。

そして同社MT1と比較すれば高音低音のしっかりMT1とも云えます。高音低音をしっかりと鳴らすためにドンシャリ加減が強くなり中音域に凹みを感じますが、そういう意味でもST2はTrnの音を感じる事ができ、良い音で音楽を楽しめます。

 

※以前のKZ ZSN pro Xのレビューもご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

※以前のCCA CSNのレビューもご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

まとめるとTrn ST2は中高音重視ながら低音もきっちりと鳴らす音楽を小気味よく聴かせてくれるイヤホンとなります。高音中音は華やかで見通し良く、低音は芯があり強さのある音。中音域は低価格帯でよくあるごちゃ付きを抑えクリアでボーカルは聴きやすい音質傾向はTrnの音と云え従来の1BA+1DDハイブリッドモデルの好評かモデルに肉薄する音と云えそうです。

尤もリスニング用途としての聴いていて楽しいドンシャリバランスは中華イヤホンには高音域のシャリつく刺激的な強さや低音のドンの量が多い強ドンシャリを求め、演奏メインで聴きたい方には、もの足りなさを感じ評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   ZSN pro X ≧ ST2 ≧ CSN 

中音   CSN ≧ ZSN pro X ≧ ST2

低音   ZSN pro X ≧ CSN ≧ ST2

ボーカル CSN ≧ ST2 ≧ ZSN pro X

 

 

4. Trn ST2の総評

さて、Trn ST2はやはりTrnの音を踏襲していましたが、これまで物足りなかった低音域をKZやCCAとは違う解釈で仕上げたモデルとまとめました。

低価格帯モデルの中でもTrnの音というメーカーの主張を感じられる、高音質と云える音は、今後も終わる事のない各社の競争を予感させますし、その音を体験してみるのも一興かもしれません。

そういう意味では中華イヤホンは「コスパ重視」の方へお勧めできますが、中華イヤホンの強ドンシャリを求め検討されている方には注意が必要な商品ですね。

 

最後に、今回はAliExpressで先月発売された低価格帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2021年7月10日)はAliExpressや国内amazon(本国発送)でも発売されており、AliExpressでは1,000円弱の価格で入手可能です。一方amazonでは本国発送の2,000円を少し超える価格と、AliExpressの方が安価に入手できますが、その入手性には現在も難があります。とはいえこれまでの低価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっておりますので、低価格中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでprimeでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、少しでも安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

ST2

以下、付属ケーブル、付属イヤピ M使用、DAP ZX507
高音★★★★ 
中音★★★★  
低音★★★★ 
音場★★★☆
分離★★★
お勧め度★★★★☆  

※☆0.51.0

 

ZSN pro X

以下、付属ケーブル、付属溝無黒イヤピ M使用、DAP ZX507
高音★★★★ 
中音★★★★  
低音★★★★ 
音場★★★☆
分離★★★
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

  

CSN

以下、付属ケーブル、何かの付属白イヤピ M使用、DAP ZX507
高音★★★★ 
中音★★★★  
低音★★★★ 
音場★★★☆
分離★★★
お勧め度★★★★★ 

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回はいつもの低価格中華1BA+1DDハイブリッドイヤホンの通算34個目の新商品のレビューとなります。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後も低価格?を中心に、中華据え置き機器や複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。まあ、未レビュー品が少々溜まってきていてお蔵入りの危機に戦々恐々です(困)。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ