こんにちは。
今回はいつもの中華イヤホンレビュー編として、中価格A10000-U20000帯で発売された1DD、シングルダイナミックドライバモデルKefine Delciについてレビューをまとめたいと思います。
国内amazonで取り扱いがあります。Linsoulが国内代理店となります。
AliExpressのKefine公式ストアでも取扱があります。
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KEFINE Delci 10mm DLC+PU Diaphragm Dynamic Driver IEMshifigo.com
1. Kefine Delci について
Kefineは2023年に設立された新しい中華オーディオメーカーです。Kefineは昨年Klanarを発売し平面磁気駆動ドライバ(Planar Driver)を1基搭載した1PDモデルとして、中華価格A10000-U20000帯の中でも正統派の音質という評価でした。
そのKefineから弟分としてのラインナップが追加されました。それがDelciです。Delciは1DD、シングルダイナミックドライバ搭載のシンプルなモデルとなりますが、Kefineの音作りはKlanarで実証されており、期待値の高い製品と云えます。
さて、Kefine Delciのスペックですが、先述の通り1DD、シングルダイナミックドライバモデルです。
新開発の高性能10mm径ダイナミックドライバーユニットを搭載し、DLC とPUの複合材のダイヤフラムを採用。DLC+PU複合材ダイヤフラムはDLCの外周にPU素材を用いる事でサスペンション構造とし、ドライバにはデュアルキャビティ構造を採用しています。この新型ドライバユニットはダイヤフラムのDLCにより歪みが少なく、ディテールがクリアな高解像度と、ダイヤフラム外周のPUサスペンションという複合素材のメリットにより、力強い低音とバランスの取れたサウンドを実現しています。
Delciのシェル本体は高精度のCNC機械加工機を使用して製作しています。シェルの素材には高品質の航空グレードのアルミニウム合金素材を採用。表面には薄く梨地処理を施したメタリックカラー仕上げのハウジングはガンメタルカラーで高級精密機器の様な趣を醸し出しています。
最後に付属ケーブルです。高品質の純正ケーブルは被覆を黒色と茶色の2色の線材を採用し、その線材は2芯が各54本、2芯が各28本の異なる銅線を計164本で構成しています。これはDLC+PUダイナミックドライバーユニットの組み合わせを最適なサウンドバランスが得られるように複数のケーブルを試し選定したものです。
一芯が太めの1mm径線材は程良い堅さがありながらもしなやかで取り回しの良いケーブルとなっています。中華イヤホンメーカーでは付属ケーブルはリケーブル前提で質を落としコストカットしている場合がありますが、Delciではそんな心配はありません。もしも、バランス接続を試したい方はKlanar用の4.4mmプラグバランスケーブル を別途用意するのも良い選択かもしれません。
※宜しければ以前のレビューもご参考ください
Kefine Delciの納期としては現在(2024/6/15)国内amazonで取扱があり、Prime扱いのため当日発送、翌日配達と安心です。AliExpressでオーダーした場合でも現在はかなり安定しており、10日も掛からずに届くと思います。以前よりも早くなった印象です(※現在はサマーセールの配送混雑の影響がありますので、ご注意ください)。尤も万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。
そんな訳で一般的にAliExpressや海外サイトでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かるのが気になるところでしたが、最近は円安の影響で国内amazonとの価格差が殆どなく、そのメリットは殆ど感じません。
まあ海外ネットショッピングで心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。
2. Kefine Delci 実機レビュー
それでは、早速実機レビューを以下、まとめていきます。
パッケージングは黒を基調としたスリーブタイプの中サイズの箱です。表面にはイヤホンイラストがプリントされメーカー名とイヤホン名の記載があります。
スリーブを外すと黒を基調とした内箱がありメーカー名のみというシンプルさ。
内箱の蓋を開けると黒地の内装にイヤホン等が収納されています。
箱の下側に付属品が収納されたイヤホンケースが収められています。
付属品はシリコンイヤーピースタイプのS、M、Lの2種が2セットとイヤホンに取り付けられていたMサイズのイヤピが1組。これは2種の内、1種と同一のもの。他にはイヤホンケースです。中価格A10000-U20000帯としてはやや物足りないものの必要なものが揃った付属品となります。
Kefineの文字が入ったイヤホンケースはハードタイプでイヤホンをしっかりと保護してくれます。
次に本体を見ていきます。
Klanar同様にシェルの造形は角に丸みを帯びたオーソドックスなIEM風のもの。シェルは一般的な大きさですが、厚みが無く平らなデザインです。シェルが厚くないため耳へ収まる部分が薄くなっており耳から出っ張ることも無く収まるので装着感も良好です。アルミニウム合金にガンメタリックカラーのアルマイト処理は、面粗度の低い梨地処理の金属製シェルは機能美を感じさせる質実剛健の見た目です。またKlanarも同じですが金属製でありながら重量感が少なく耳への装着時はその装着感の良さから重さをそれ程感じません。
フェイスプレートはシンプルで中央部にメーカー名がワンポイントにあるだけの質実剛健といった出で立ち。派手な見た目よりもシンプルなデザインを好まれる方には好印象となりそうです。
肝心のビルドクオリティは、中華イヤホンの中価格帯として綺麗に仕上っており、シェルの合わせ面も綺麗です。また、ステムノズル部には金属フィルタがあります。音質に影響があるタイプではなさそうですが、異物の混入等による故障を防いでくれます。そして、シェル本体の形状と付属ケーブルからはシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。
なお、装着感はステムノズルの長さや太さに影響がありますので、イヤーピースのフィッティングは重要となります。
カラーバリエーションはガンメタリックカラーのみ。
続いてケーブルです。
付属ケーブルは先述の通り高品質4芯編込み線。Klanarの付属ケーブルとは違う仕様のタイプで1芯の線材が異なる2種のOFC線を組み合わせたミックスタイプです。シェルのカラーのガンメタリックに付属ケーブルの被覆カラーが黒と茶色のミックスと落ち着いた色合いがマッチしています。プレイヤー側コネクタはI字タイプ。イヤホン側はフラット2ピン仕様。極性は上側がプラスです。スプリッター部とプラグ部にメーカー名があります。イヤホン側コネクタがKlanar付属ケーブルと種類が違いますので見分けがつきやすいです。
この付属ケーブルは一芯あたり1mmと太くやや堅さを感じますが、思ったよりもしなやかで取り回しに苦労することはありません。また、タッチノイズを感じにくく、肝心の耳への装着性や使用感は悪くありません。イヤホン側にはシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的に取り回しは良く使い勝手も悪くありません。
参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。
最後にイヤーピースを見てみます。
付属のシリコンイヤーピースは黒色のやや背が低く傘が幅広の口径大き目の形状と一般的な黒色の裾野が弾丸タイプの二種です。イヤホンに装着済みのイヤーピースは黒色弾丸形状タイプ Mサイズです。Klanarに付属するものと同一です。このタイプのイヤーピースは他社製含むサードパーティー商品との互換性の高い一般的なステムノズル形状の際に選択肢が増えますので安心です。
付属弾丸タイプは音質的にはダイレクトに音を届けてくれ、やや低音がしっかりとするタイプの印象です。傘幅広口径大タイプは中高音をクリアにして僅かに低音を弱めてタイトにさせ全体のバランスをやや腰高にしてくれる印象ですが、傘にコシが無くペラペラのため私はフィット感がイマイチ。傘幅広口径大タイプはいつもよりワンサイズ大き目で耳に浅めに蓋をする装着に。弾丸タイプは耳奥やや浅めに栓をするように耳へ密着させることで私はフィットしました。付属イヤピで装着感に問題ない場合を除き、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。
幸い付属弾丸タイプのイヤーピースで私はフィッティングが上手くいきました。音質的にもメーカーの意図するタイプという印象で、そのまま初期装着の付属弾丸タイプMサイズを使用しています。
低、中価格帯に付属するイヤーピースは装着感が悪く、音質的にも実力を発揮できないと感じますが、今回は付属のシリコンイヤピで上手くフィットできました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。
このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)
3. Kefine Delci 音質レビュー
いよいよ音質についてまとめていきます。
今年4月から再生環境を更新しました。スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行うことは変わりませんが、USB-DACにはFiiO KA17を用います。これまではUSB-DACにShanling UP5を組み合わせていましたが、それを刷新します。スマホは変わらずSony Xperia 5 IIを用います。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。FiiO KA17は同社のドングルタイプ最新USB-DACです。
KA17の音質傾向ですが、THXアンプを採用し中高音はくっきりはっきりと音像を描く解像感は高く、中低音は暖かみがある。これまでの同社のTHXアンプを搭載した機種とは異なる印象の個人的に好きな鳴り方です。
KiiO KA17のUSB-DACとして使用した音質が気になる方は以前の「FiiO KA17 レビュー」をご覧ください。
以前使用していたUSB-DACとしてShanling UP5もご参考ください。
より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。
Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。
USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。
Shanling UA2は以下を参考ください。
それでは実際に聴いてみます。
ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。
先述の通りイヤピは付属黒傘弾丸タイプイヤーピース Mサイズ、付属ケーブルです。
箱出しで聴いてみた第一印象は「中低音に厚みがある音。高音は華やかさがあり低音はしっかりと鳴るやや中低音寄りのドンシャリバランス」です。
箱出しでは低音が膨らみボワつきを感じましたが、鳴らし込み後は低音は落ち着き、高音とのバランスが取れた音という印象です。
音場
普通からやや広め印象。前後は奥行を感じ、左右の広さを感じられます。奥行きを感じられる立体的な空間を感じます。
高音域
華やかさは適度の印象。煌びやかさも適度で上までの伸びやかさはそれ程感じられませんが、響きや余韻は感じられます。やや暗めの印象ですが存在感のある華やかさ。明るい騒がしさを感じるような感じではありませんが必要な量を必要なだけ鳴らします。そのため不快な刺さりや尖りは感じません。解像感は適度ですが音像を捉えやすいシャープな印象。
中音域
厚みのある華やかな音は、真ん中に音が集まる団子感や音が重なるゴチャつきは感じません。音の分離も好印象で整理された鳴り方は音の薄さ、線の細さはありません。解像感の良さを感じられ明朗に鳴らします。ボーカルはクリアでやや近い位置から自然で暖かみのある声色の印象です。
低音域
量感は十分で響きや広がりも感じられますが、大きく強く鳴らし音圧で誤魔化すような鳴らし方ではありません。音階や強弱といった低音域の解像感の良さを感じさせベースラインは追いやすく感じられますが、ボーカルよりも前に出るような不自然さはありません。重低音は沈み込みの深さはそれ程感じませんが、力強さがありますので不足を感じません。
出音のバランス
一言で云えばやや中低音寄りの弱ドンシャリ。中高音域はやや暗く感じますが適度な余韻があり不足はありません。低音は十分な量感があり、力強さがあり不足は感じません。中低音に厚みのある聴き易い出音のバランスです。
高音はやや暗めの印象ですが華やかさは感じられます。上までの伸びやかさはそれ程感じませんが、響きや余韻が感じられ適度な華やかさは不足を感じません。一方で高音域は誇張の抑えた適度な響きであり、暗めの音という印象を持ちます。無駄な強調感のない高音域は不自然さを感じない自然で耳馴染みの良い音。
中音はやや凹みを感じます。中音域の下の方に厚みのある鳴り方は音の重なりを抑えられていて分離も良く解像感の良さを感じます。
ボーカルは近い位置にあります。演奏はボーカルよりも後ろに位置しボーカルが音にも埋もれることはありません。声色は暖かく自然で息遣いを感じられ艶も感じられます。そのため女性ボーカルのバラードなどでしっとりとした艶のある声を楽しめます。
低音の量感は十分で響きや広がりも感じられます。余韻のある力強さのある音は音階や強弱の描写も感じ易く、解像感の良い厚みのある音は雰囲気の良さを感じられます。
重低音は沈み込みはそれほど深くありませんが、強さを感じられる音。低価格帯でよくある強く大きく鳴らす音とは違い、下からの広がりを感じられる音です。
他機種との比較として同社のKlanarと比較した場合、一言で云えば中低高音寄りの同じ傾向の音。Klanarも中低音が厚い濃い音でしたが、Delciでも同じ。KlanarとDelciは音楽を楽しく聴かせてくれる音です。少なくてもモニターサウンドの様に音を分析的に聴くのではなくリスニングサウンドです。
傾向は同じとはいえ流石にKlanarの方が中高音域の解像感は高くなります。一方でDelciの方が低音域にやや力強さがありますが、解像感ではKlanarの方に分があるのは仕方がありません。流石に価格が異なりますので。
※過去レビューも参考ください
まとめるとKefine Delciは音楽性の高い心地良いサウンドを聴かせてくれます。中低音域寄りの弱ドンシャリは高音域は比較的やや暗めとなりますが、中低音域の厚い音は音楽的であり万人が受け入れやすい音です。それは同価格帯でも高音質と云えると思いますし個人的に好きな音です。
一方で従来のような中華イヤホンの強ドンシャリの音が好きな方や中高音重視、低音は邪魔という方には評価が分かれてしまうかもしれません。
高音 Plutus Beats ≧ 4U ≧ Delci (質感の順)
中音 Plutus Beats ≧ 4U ≧ Delci (質感の順)
低音 Plutus Beats ≧ Delci ≧ 4U (質感の順)
ボーカル 4U ≧ Delci ≧ Plutus Beats (質感の順)
4. Kefine Delci の総評
Kefine DelciはKefineのエントリーモデルとなりますが、メーカーの狙う音質を踏襲しており、Klanarで受けたインパクトをDelciでも感じられました。DelciはKlanarの弟分として満足のいく音楽を楽しめる高音質イヤホンと評価できます。同価格帯でもこの音質傾向が好きな方に聴いてほしい、数多ある中華イヤホンA10000帯に埋もれるには勿体ない製品と云えます。
最後に、今回は中価格A10000-U20000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2024年6月15日)は国内amazonやAliExpress等で約11,000円で発売されており、価格差が殆どありません。それ故に昨今の円安からは国内amazon(※1)での購入が安心感があってお勧めです。AliExpressでは本国発送は勿論のこと、納期が掛かりますし、万が一の際には少々難があります。それでも、中華イヤホンの中でもその音質を含めクオリティの高さは十分満足できる内容となっておりますので、中華イヤホンでちょっとよいものを検討中の方や間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実な国内正規品取り扱いを待って。少しでも新製品を早く安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。
※1:2024/6/15時点で国内amazonで20%オフクーポン有
Delci
以下、付属ケーブル、付属砲弾タイプイヤピ M、DAC KA17
高音★★★★☆
中音★★★★☆
低音★★★★★
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★
※☆0.5、★1.0
4U
以下、付属ケーブル、付属標準傘イヤピ M、DAC KA17
高音★★★★☆
中音★★★★★
低音★★★★☆
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★ (4種の音質変化)
※☆0.5、★1.0
Plutus Beats
以下、付属ケーブル、付属赤軸イヤピ M使用、DAC KA17
高音★★★★★
中音★★★★★
低音★★★★★
音場★★★★☆
分離★★★★★
お勧め度★★★★★
※☆0.5、★1.0
あとがき
今回は中華イヤホンの中価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後は低価格だけではなく、中価格の中華イヤホンも扱っていきます。
また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ