みぃねこの備忘録

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Kefine Klanar レビュー

こんにちは。

今回はいつもの中華イヤホンレビュー編として、中価格A10000-U20000帯で発売された平面磁気駆動モデルのKefine Klanarについてレビューをまとめたいと思います。

 

国内amazonで取り扱いがあります。Linsoulが国内代理店となります。

 

AliExpressのKefine公式ストアでも取扱があります。

https://00m.in/Fppal

 

Linsoul直販サイトはコチラ

Kefine Klanarwww.linsoul.com

 

 

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1. Kefine Klanar について 

Kefineは新しい中華オーディオメーカーです。Kefineは今年9月に立ち上がった新興メーカーとして今後に注目のオーディオメーカーと云えます。

そのKefineのファーストモデルとして平面磁気駆動ドライバ(Planar Driver)を1基搭載したKlanarが発売されました。昨年から平面磁気駆動ドライバ(以下、PD)搭載モデルが続々登場し、従来の中価格A10000ーU20000帯だけでなく、U10000というかA5000帯でも従来のPDとは異なるSPD(Square Planar Driver)を搭載したモデルが登場しました。今回Kefine Klanarは一般的なPDドライバであり、正統派モデルとして期待値が高くなります。

 

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さて、Kefine Klanarのスペックですが、先述の通りPD(平面磁気駆動ドライバ)を1基搭載するシングルドライバモデルです。1PDには14.5mm径ドライバを採用。PDは従来のダイナミックドライバと比べ、バランスの取れたサウンドで広く評価されており、原音に忠実性と感情豊かに表現を誇張を抑え自然に近い音色で表現することができ、リアルで豊かなアコースティック楽器を再現できるとメーカーは謳っています。

 

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Kefine Klanarは同社のカスタマイズPDにより優れたオーディオ性能を得ることに成功しています。全体的にはやや暗めのサウンドは、暖かみのあるサウンドです。

それはPDの振動膜にコンポジットダイヤフラムを採用し、強力な磁力のn55マグネットをカスタマイズしたドライバー構造により他製品を超える非常に強力な低音応答を実現。中音域は暖かさと豊かさを特徴とし、卓越したクリアさとディテールを維持しながら、他に類を見ない没入型のリスニング体験を実現したこのPDがKefine Klanarの最大の特徴と云えます。

また、メーカー発表のf特はやや高音域を抑え気味の特性を示しており、実際に聴いてみるとただ大人しいだけのモニターサウンドではない臨場感を感じられる豊かなサウンドを届けてくれます。

 

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シェル本体は5軸CNC精密機械加工を使用して、アルミニウム合金の金属ブロックから慎重に切削加工されています。 この方法は高級感のある外観に加え、原音に忠実なサウンドを再生するために設計されたチャンバー構造も実現しています。シェル設計は、小型で軽量な構造を優先し、長時間のリスニングセッションで快適さを確保するための職人技を極めた加工技術を表しています。

シェル内には14.5mmの大径PDを搭載しながらもコンパクトに仕上げられたシェル本体により快適な着用感を実現。これはシェルサイズを最小限に抑えるために、ドライバユニットに非常に薄い0.2mm厚が採用されたことでシェルの快適なフィット感を確保。人間工学に基づいたデザインにより、さまざまな耳の形状に適合しやすくしています。

 

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最後に付属ケーブルです。Klanarには取り扱いのし易い0.78径2ピンを採用しリケーブル可能としています。商品購入時に3.5mmシングルエンドと4.4mmバランスプラグを選択できます。この付属ケーブルはどちらも合計4本の芯線で構成され、一芯あたり54本の導線が含まれています。また、異なる二種の線材を採用し、茶色のOFC線と黒色の銀メッキ銅線の組み合わせにより、温かみのある自然な音を豊かにしながら、鮮明さを犠牲にすることなく滑らかで透明な高音を実現します。

一芯が太めの1mm線材は程良い堅さがありながらもしなやかで取り回しの良いケーブルとなっています。中華イヤホンメーカーでは付属ケーブルはリケーブル前提で質を落としコストカットしている場合がありますが、Klanarではそんな心配はありません。そのため、バランス接続を試したい方は最初から4.4mmバランスプラグモデルを選択すればよいことになります。

 

※宜しければ以前のレビューもご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

Kefine Klanarの納期としては現在(2023/12/2)国内amazonで取扱があり、Prime扱いのため当日発送、翌日配達と安心です。AliExpressでオーダーした場合でも現在はかなり安定しており、10日前後で届くと思います。ほぼ平時に戻った印象です(※現在はBF/CMセールの配送混雑の影響がありますので、ご注意ください)。尤も従来の平時であればAliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressや海外サイトでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かるのが気になるところでしたが、最近は円安の影響で国内amazonとの価格差が殆どなく、そのメリットは殆ど感じません。

まあ海外ネットショッピングで心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. Kefine Klanar 実機レビュー 

それでは、早速実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングは白を基調としたスリーブタイプの中サイズの箱です。表面にはイヤホンイラストがプリントされメーカー名とイヤホン名の記載があります。

裏面にはイヤホンスペックが記載されています。

 

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スリーブを外すと黒を基調とした内箱があり無地という潔さ。

内箱の蓋を開けると黒地の内装にイヤホン等が収納されています。

箱の下側に付属品が収納されたイヤホンケースが収められています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースタイプのS、M、Lの2種が2セットとイヤホンに取り付けられていたMサイズのイヤピが1組。これは2種の内、1種と同一のもの。他にはイヤホンケースです。中価格A10000-U20000帯としてはやや物足りないものの必要なものが揃った付属品となります。

 

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Kefineの文字が入ったイヤホンケースはハードタイプでイヤホンをしっかりと保護してくれます。

 

次に本体を見ていきます。

 

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シェルの造形は角に丸みを帯びたオーソドックスなIEM風のもの。シェルは一般的な大きさですが、厚みが無く平らなデザインです。シェルが厚くないため耳へ収まる部分が薄くなっており耳から出っ張ることも無く収まるので装着感も良好です。アルミニウム合金に黒アルマイト処理され、敢えて面粗度を下げたシボ処理の金属製シェルは落ち着きのある見た目です。それに加え金属製でありながら重量感が少なく耳への装着時はその装着感の良さから重さをそれ程感じません。

フェイスプレートはシンプルで中央部にメーカー名がワンポイントにあるだけの質実剛健といった出で立ち。派手な見た目よりもシンプルなデザインを好まれる方には好印象となりそうです。

肝心のビルドクオリティは、中華イヤホンの中価格帯として綺麗に仕上っており、シェルの合わせ面も綺麗です。

カラーバリエーションは黒のみ。今回は3.5mmステレオミニプラグを選択しています。

続いてケーブルです。

 

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付属ケーブルは先述の通り高品質4芯編込み線。銀メッキ銅線とOFC線のミックスタイプです。シェルのカラーの黒に付属ケーブルの被覆カラーが黒と茶色のミックスと落ち着いた色合いがマッチしています。プレイヤー側コネクタはI字タイプ。イヤホン側はフラット2ピン仕様。極性は上側がプラスです。スプリッター部とプラグ部にメーカー名があります。

この付属ケーブルは一芯あたり1mmと太くやや堅さを感じますが、思ったよりもしなやかで取り回しに苦労することはありません。また、タッチノイズを感じにくく、肝心の耳への装着性や使用感は悪くありません。イヤホン側にはシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的に取り回しは良く使い勝手も悪くないため、バランス接続をしたい方は購入時に4.4mmバランスプラグタイプを選択すれば音質的にも十分ですし長く使用できます。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

次に他機種との造形の比較です。

 

※画像左からKefine Klanar、Trn Kirin

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Kefine KlanarとTrn Kirinの外観の比較として、サイズ感はKirinがかなり大きく見えます。Klanarのシェルは厚みが薄く平らですが、Kirinは厚く立体的です。実際にKirinは体積も大きいです。KlanarとKirinはどちらも14.5mmの大径PDを搭載していながら圧倒的にKlanarの方がコンパクトと云えると思います。

ステムノズルの長さと太さ、角度ですが、長さはKlanarが長く、太さはほぼ同じ。角度はKlanarがやや寝ています。

KlanarはKirinと比べかなりコンパクトであり、オーソドックスな造形の見た目通り耳への収まりが良く装着感は良好です。

ケーブルを接続するイヤホン側のコネクタ部はKlanarがフラット2ピン。KirinはKZ-Cタイプです。Klanarのリケーブルの際は通常の2ピンコネクタを選択しておけばそれほど気にする必要はないと思います。

シェルの材質は、どちらもオール金属製ですが、Klanarではシェルをコンパクトにするために、ドライバユニットの小型化によりオール金属製であっても重量を感じにくくしています。寧ろ耳への装着感はステムノズルの太さに影響を受けやすくKlanarはやや太めのためイヤピ選びは通常よりもやや小さいサイズ感で良いと思います。

ステムノズル部には全てにフィルターがあります。どちらもステムノズル部に金属製フィルタがあり、異物混入による故障を防ぐ事ができます。

二機種共にシェル本体の形状と付属ケーブルからはシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、前述の通りKlanarはステムノズルがやや太めですので小さめのイヤーピースを選択し装着することで圧迫感は少なくなります。そのため付属イヤーピースで耳の奥というよりは浅めに栓をするように耳に密着させ装着するとフィットしました。そのため付属のシリコンイヤーピースで上手くフィットする事ができれば音質的にも必要十分だと思います。

 

最後にイヤーピースを見てみます。


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付属のシリコンイヤーピースは黒色のやや背が低く傘が幅広の口径大き目の形状と一般的な黒色の裾野が弾丸タイプの二種です。イヤホンに装着済みのイヤーピースは黒色弾丸形状タイプ Mサイズです。他社製含むサードパーティー商品との互換性の高い一般的なステムノズル形状は選択肢が増えますので安心です。

付属弾丸タイプは音質的にはダイレクトに音を届けてくれ、やや低音がしっかりとするタイプの印象です。傘幅広口径大タイプは中高音をクリアにして僅かに低音を弱めてタイトにさせ全体のバランスをやや腰高にしてくれる印象ですが、傘にコシが無くペラペラのため私はフィット感がイマイチ。傘幅広口径大タイプはいつもよりワンサイズ大き目で耳に浅めに蓋をする装着に。弾丸タイプは耳奥やや浅めに栓をするように耳へ密着させることで私はフィットしました。付属イヤピで装着感に問題ない場合を除き、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。

幸い付属弾丸タイプのイヤーピースで私はフィッティングが上手くいきました。音質的にもメーカーの意図するタイプという印象で、そのまま初期装着の付属弾丸タイプMサイズを使用しています。

低、中価格帯に付属するイヤーピースは装着感が悪く、音質的にも実力を発揮できないと感じますが、今回は付属のシリコンイヤピで上手くフィットできました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. Kefine Klanar 音質レビュー

いよいよ音質についてまとめていきます。

 

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昨年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音に脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

昨年はSony NW-ZX507を使用していましたが、やや演出感のあるドンシャリはメリハリがありグルーブ感のある音はSonyの音で音楽を楽しく聴く事が出来ました。しかし、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5の方がモニターライクながらも、決してつまらない音ではなくリスニングでも使えて万能と考えたからです。

Shanling UP5をUSB-DACで使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

 

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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Shanling UP5やUA5の対抗としてFiiO BTR7もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

miineco106.hatenadiary.jp

 

それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属白傘赤軸イヤーピース Sサイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「中低音に厚みがある音。高音は華やかで低音はしっかりと鳴るやや中低音寄りのドンシャリバランス」です。

箱出しでは低音が膨らみボワつきを感じましたが、鳴らし込み後は低音は落ち着き、高音とのバランスが取れた音という印象です。

 

音場

やや広めから広めの印象。前後は奥行を感じ、左右は広さを感じられます。奥行きを感じられ立体感もあります。空間は広さもあり音の立体感を感じます。

 

高音域

華やかさは十分の印象。煌びやかさは適度で上までの伸びやかさはそれ程感じられませんが、響きや余韻は感じられます。やや暗めの印象ですが存在感は適度な華やかさ。兎に角明るい騒がしさを感じるような感じではない繊細な鳴り方。そのため刺さりや尖りは感じません。解像感は良好でそれに全振りする様な刺々しさはありませんので、聞き手にプレッシャーを与える様な感覚ではなく、心地の良い描写です。

 

中音域

厚みのある華やかさと濃さのある音は、真ん中に音が集まる団子感や音が重なるゴチャつきは感じません。音の分離が良い整理された鳴り方は上品さを感じさせます。音の立ち上がりも良く解像感も感じられ明朗に描写します。ボーカルはクリアで近い位置から自然で暖かみのある声色の印象です。

 

低音域

量感は適度で響きや広がりも感じられますが、大きく強く鳴らし音圧で誤魔化すような鳴らし方ではありません。音階や強弱といった低音域の解像感は良好でベースラインは追いやすいく癖が無く分かり易く感じられますが、ボーカルよりも前に出るような不自然さはありません。重低音は沈み込みは深さがあり、力強さがありますので力不足を感じません。

 

出音のバランス

一言で云えばやや中低音寄りの弱ドンシャリ。中高音域はやや暗く感じますがクリアで明快に鳴らし響きが良い。低音は適度な量感ですが、力強さがあり不足は感じません。聴き易い出音のバランスは素直に良い音と云えます。

 

高音はやや暗めの印象ですが華やかさは騒々しさはなく、上の上までの伸びやかさはそれ程感じませんが、響きや余韻が感じられ適度な華やかさは心地良く感じられます。一方で高音域は強調感がないため過度な響きを抑えられており、やや暗めの音という印象を持ってしまいます。無駄に強調せず誇張の少ない高音域は不自然さを感じない耳馴染みの良い音。超高音域までの伸びやレンジの広さはそれ程感じませんが、なめらかに鳴り、小さな音も感じ取れます。解像感や描写は良好で、鮮やかに小さな音をかき消されずに鳴らし、高音の出力を上手く整えているバランスです。

中音は凹みを感じず、ボーカルは近い位置にあり楽器の音はその周りに位置しています。分離も良く解像感の高い中音域でありながら中音の域の下の方に厚みがある音は濃厚な音を感じられます。

ボーカルは近い位置からクリアに聴く事ができます。演奏の音にも埋もれることはありません。声色は暖かく自然さを保ちながら息遣いを感じられ艶も感じられます。そのため女性ボーカルのバラードなどでしっとりとした艶のある声を楽しめますし、アップテンポな曲でも明朗に聴かせてくれます。

低音の量感は適度ですが響きや広がりも感じられます。響きもあり一発の力強さに重きを置いた音は音階や強弱の描写も感じ易く、解像感の高い濃厚な音は雰囲気の良さを感じられます。

重低音は沈み込みは深く、力強さを感じられる音。それは低価格帯でよくあるただ強く大きく鳴らす音ではなく、下から広がりを感じられる音です。

 

他機種との比較としてTrn Kirinと比較した場合、一言で云えば中高音寄りのKirinの弱ドンシャリとは異なる傾向という印象です。Kirinの出音は中高音を重視し低音を抑えタイトに鳴らす音。一方のKlanarは中低音が厚い濃い音。Kirinは兎に角中高音をクリアに爽快に鳴らす音であり、Klanarのそれは音楽を自然に聴かせてくれる音です。どちらが正しくてどちらが良い音と云う様なゼロかイチかという白黒で語るべきではないと思います。Kirinのそれは高音域の爽快感は心躍りますし、Klanarの音は音楽を聴く楽しさへの高揚感があります。それでも敢えて比較すれば、高音域はKirinの鮮やかさや爽快感は特筆ものであり、Klanarは真面目で地味な暗い音。中音域はKirin爽快感がKlanarの濃厚さからは薄口に感じられます。低音域は濃厚で音楽的なKlanarに対し、モニターライクなKirinとなります。全域のバランスはフラットに近いKirinに対し、同じ弱ドンシャリでも躍動感を感じられ情熱的なKlanarとなります。

Klanarは一聴すると地味な音ではありませんが高音域のやや暗い音への評価次第で印象が変わると云えます。

 

※過去レビューも参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

まとめるとKefine KlanarはPDのメリットを活かした高い解像感と分離感を活かした情熱的で躍動感のあるサウンドを実現しており高音質と云えます。中低音域寄りの弱ドンシャリは高音域は比較的やや暗めとなりますが、響きと伸びは良好で中低音域を厚く濃厚に鳴らす音造りは音楽的であり万人が受け入れやすい音です。それは同価格帯でも間違いなく高音質と云え個人的に好きな音です。

一方で従来のような中華イヤホンの強ドンシャリの音が好きな方や中高音重視、低音は邪魔という方には評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   S12 Pro ≧ Kirin ≧ Klanar (質感の順)

中音   S12 Pro ≧ Klanar ≧ Kirin (質感の順)

低音   S12 Pro ≧ Klanar ≧ Kirin (質感の順)

ボーカル S12 Pro ≧ Klanar ≧ Kirin (質感の順)

※S12 Proは価格帯が異なる為、参考程度に

 

4. Kefine Klanar の総評

Kefine Klanarは新興オーディオメーカーとなりますが、そのファーストインパクトとして最も評価できる製品を世に送り出していると云えます。このKlanarは音楽を楽しめる高音質イヤホンと評価できます。同価格帯では間違いなく高音質と云えますし、PDを上手く活用した製品と云えそうです。個人的に普通に高音質のイヤホンとしてお勧めできます。Klanarは音楽を楽しく聴く事を思い出させてくれる、そんな高音質イヤホンと評価できます。

 

最後に、今回は中価格A10000-U20000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2023年12月2日)は国内amazonやAliExpress等で約18,000円で発売されており、価格差が殆どありません。それ故に昨今の円安からは国内amazonでの購入が安心感があってお勧めです。AliExpressでは本国発送は勿論のこと、納期が掛かりますし、万が一の際には少々難があります。それでも、中華イヤホンの中でもその音質を含めクオリティの高さは十分満足できる内容となっておりますので、中華イヤホンでちょっとよいものを検討中の方や間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実な国内正規品取り扱いを待って。少しでも新製品を早く安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

Klanar

以下、付属ケーブル、付属砲弾タイプイヤピ MDAC UP5
高音★★★★☆ 
中音★★★★★  
低音★★★★★ 
音場★★★★★
分離★★★★★
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

Kirin

以下、付属ケーブル、付属白イヤピ M使用、Referenceノズル、DAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★★
分離★★★★★
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

 

S12 Pro

以下、付属ケーブル、付属白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★★ 
音場★★★★★
分離★★★★★
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回は中華イヤホンの中価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後は低価格だけではなく、中価格の中華イヤホンも扱っていきます。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

※2023/12/6 AliExpressリンク修正。1.項の導入部修正。