みぃねこの備忘録

いろいろなこと、主に趣味の備忘録として活用。アフィリエイトやってません。お気軽にリンクからどうぞ。

KZ ZEXレビュー ※KZ ZSN pro X、CCA NRAとの比較含む

こんにちは。

今回はいつもの低価格中華イヤホンレビュー編として、1BA+1DDハイブリッドモデルではなく、1EST+1DDハイブリッドモデルのKZ ZEXについてレビューをまとめたいと思います。

AliExpressのKZ Official Store等で取扱があります。

 

ja.aliexpress.com

 

国内amazonでもprime扱いで取扱があります。

 

 

 

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1. KZ ZEXについて 

KZは言わずと知れた低価格中華イヤホンの雄、中華イヤホンファンにはお馴染みのメーカーです。KZと云えばKZ系ブランドにCCAがあり、以前低価格帯初のESTドライバを搭載した1EST+1DDハイブリッドモデル、NRAをレビューしています。そしてCCAの後に真打登場と云わんばかりのKZ ZEXがNRA同様にESTドライバを搭載したモデルを発売しました。もちろん販売価格がU3000の低価格帯モデルです。この価格帯は個人的にボリュームゾーンなので、これまでも1DD、シングルダイナミックモデルや1BA+1DDハイブリッドモデルを中心にレビューを行っています。以前NRAのレビュー時にも触れましたが、市場の動向としては昨年のKZ EDXから始まったU1000、シングルダイナミックモデルが今年前半のトレンドモデルとなり、1BA+1DDハイブリッドモデルはKZ ZSN pro X以降、KBEAR LARK、CCA CSN、Trn ST2とかつての勢いはなく、注目株としてはCCZブランドの頭角ぐらいでした。そんな停滞した雰囲気を吹き飛ばしたのが、静電ドライバを採用した1EST+1DDハイブリッドモデル、CCA NRA。それに続くこのKZ ZEXです。

中華イヤホンの静電ドライバと云えば、以前発売していたSHUOER TAPEを思い出しますが、あちらは中価格帯A10000のモデルで終売。現在はSHUOER TAPE Proが後継機として販売されていますが、販売価格15,000円と静電ドライバ(EST)を採用しているモデルはやはり高価です。

ところが、前回の低価格帯の2,000円半ば程度で1EST+1DDハイブリッドモデルのCCA NRAが登場し試すことができる!に始まり、結構いいなこれ!?に続き、KZ ZEXが登場した訳ですから、比較のためにもオーダーしています。

 

KZ ZEXに採用したESTはNRA同様の6.8mm径の低電圧タイプ(メーカー資料)。これは中華オリジナルの機転を利かせた特殊な使い方と云え、少ない電力で駆動させることができるものの、対応できる音域が狭くなっているようです。

一方、高級機で採用しているESTは駆動するのに高電力が必要ですが、その分広い音域を対応が可能となっています。これがドライバのコストに繋がる訳ですので、低価格帯に採用され難い最大の理由です。儲からないことをしない国ですので(ビジネスの基本)。

 

次に、ZEXとNRAとの最大の違いは、NRAでは新型のトリプルマグネティック(三重磁気)ダイナミックドライバ(DD)を採用していましたが、ZEXは従来の10mm径デュアルマグネティック(二重磁気)ダイナミックドライバを採用しています。

NRAの三重磁気ドライバは従来の二重磁気ドライバよりも芯のあるタイトでキレの良い音を聴かせてくれましたが、敢えて、二重磁気ドライバとした理由は何だったのか?非常に気になります。

尤も、従来の二重磁気ドライバでもキレの良い芯のある音を聴かせてくれましたので、コストとの兼ね合いもあり、「不足なし」という判断だったのかもしれません。

 

以下は、NRAで触れたものを要約。

さて、近年の低価格中華イヤホンは1BA+1DDハイブリッドが定番化していたところに、前述の通り1DDトレンドモデルが今年前半を席巻。その結果は以前の各社低価格1DDトレンドモデルのレビューでも触れた通り、低価格帯の限界を感じる音と云うのが正直なところ。もちろん1,000円に満たないという販売価格からは十分健闘した価格帯として十分に良い音と云えます。BAを取り払ったダイナミックドライバのみの1DDモデルと云える中低音寄りの音質傾向は、Trn MT1の中高音寄りの音はやや変わり種と感じるほどでした。結局、一周回ってやはり1BA+1DDハイブリッドが低価格帯では最適解なのかなと。低価格帯U1000ではドライバにコストを掛けられず、高級機の様な音域を上から下までワイドレンジに鳴らすことができない性能の限界は、得意な音域をBAとDDで分担する発想がコスト的に理にかなっている事を証明しています。

しかし、1BA+1DDハイブリッドモデルが飽和気味な今、新たな一手として、KZ ZEXがCCA NRAに続き発売され、市場活性化の一手として重要なモデルとなりそうです。

 

従来の低価格帯中華イヤホンでポピュラーな1BA+1DDハイブリッドモデルは高音域をバランスドアーマチュア(BA)ドライバ1基がそれを担い、ダイナミックドライバ(DD)1基が中音から低音域を担っています。音を繊細に高い解像感で表現するのにBAは最適とされていましたが、中華イヤホンの低価格帯で採用されているBAの質は残念ながら高いとは言えず、音に粗さがあり解像感を重視した結果、シャープさはあるが故に尖りもある荒さがある痛し痒し。それをZEXやNRAではESTを採用し高音から中高音域を担います。

もちろんドライバの種類や質だけでなくチューニングも重要です。高音から中高音域のESTと中音から低音域のDDの各音域のクロスオーバーはメーカーの腕の見せ所となります。

中華のチューニング技術は数年前に比べ進化しており、実際KZ ZSN pro XやKBEAR LARKは国内有名メーカーのU5K辺りとも良い勝負をすると思います。そこにNRAに続くZEXがどう食い込んでくるのか、期待が高まります。

 

KZ ZEXのスペックですが先述の通り中華イヤホンの低価格帯で多く採用されている高音域用をバランスドアーマチュアドライバ(BA)ではなく、ESTを1基採用し高音から中高音域を。中・低音域用のダイナミックドライバ(DD)を1基搭載した片側デュアルドライバ構成のハイブリッドモデルです。

ダイナミックドライバは従来のKZ系の直径10mmの二重磁気ドライバを採用。ESTには6.8mm径低電圧タイプを採用しています。

イヤホン本体にはステムノズルがシェル本体と一体型の樹脂製。フェイスプレートが金属製を採用しています。

そして大切なのはこれまでレビューした低価格中華1BA+1DDハイブリッドイヤホン同様にESTとDDの各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングが重要です。

ZEXでもESTとDDを搭載し、二つのドライバが担う音域のクロスオーバーチューニングが重要です。このチューニング次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくると云えますね。

 

KZ ZEXの納期として今回AliExpressで購入し中国本土からの発送という事もあり、国内amazonのようにはいきません。今回はオーダーから3週間で届きました。

昨今、感染症の影響で中国からの輸送は平時の様にはいきませんが、それも徐々に回復傾向であり最近はシンガポール経由ではなく台湾経由等で動き始めていますので、物流の安定化までもう少しというところですね。尤も平時であればAliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. KZ ZEX実機レビュー 

それでは、早速実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングはいつものKZの白を基調としたシンプルな小箱でスリーブタイプの化粧箱です。
箱の表にはイヤホンイラストが。裏にはスペックが記載されています。

 

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スリーブを外すと白地の内装の台座にイヤホンが収納され、台座を取り外すと箱の底に付属品が収納されています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースがKZ系のかまぼこ型軸短白色タイプのS、M、Lの3種が計1セット。そのイヤピMサイズが本体取付け済。他にはケーブルです。U3K、実売2,500円の低価格帯として必要最低限の付属品となります。

 

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次にビルドクオリティですが、中華イヤホンで心配されるような雑なところ感じさせない、近年のレベルアップを感じられます。カラーバリエーションは黒、青、クリア色の三色展開。クリアはフェイスプレートがローズゴールドで綺麗ですが、今回無難な黒を選択しました。

 

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付属ケーブルは従来のCCAで付属するタイプではない白色(シルバー?)の4芯銀メッキ銅線の2本並列タイプが採用されています。プレイヤー側コネクタはL字タイプでイヤホン側はKZ-Cタイプ、2ピン仕様、KZ極性(上がプラス)です。この付属ケーブルは耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的にやや絡まりやすいものの、しなやかなものとなり低価格帯に付属するケーブルの中でも高品質の印象。とはいえそのまま使用できますし白色ケーブルはやや派手さはありますが、シェル本体の色が今回黒色の為、それと相まって綺麗な印象を持ちます。個人的にはケーブルの被膜は黒色の方が合わせやすくて好きですね。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

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※画像左からCCA NRA、KZ ZEX、KZ ZSN pro X 

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KZ ZEXとCCA NRAとKZ ZSN pro Xの外観の比較として、サイズ感はほぼ同じ。造形も似ています。三機種ともオーソドックスな造形なため、耳への収まり、装着感は余程耳の小さい方でない限り問題ないと思います。

三機種共にKZ-Cタイプのコネクタとなっています。

シェルの材質は、KZ ZEXとCCA NRAはステムノズルとシェル本体が樹脂製でフェイスプレートが金属に対し、KZ ZSN pro Xはステムノズルとフェイスプレートが金属製でシェル本体が樹脂製です。

重量は三機種共にほぼ同じで、耳への装着時には殆ど差が分からないレベルです。三機種共に耳への装着感は悪くありませんが、ステムノズルはZEXとNRAがやや細めで長め、ZSN pro Xはステムノズル内にBAを配置することもあり太めです。角度はZEXとNRAがやや起きています。

また、ステムノズル部には全てにメッシュフィルターがあり異物混入による故障を防ぐと同時に、音への変化が期待できます。一番変化をつけているのはZEXとNRA、ZSN pro Xはフィルター目が大きくなります。

そして、シェル本体の形状からは三機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、先述の通りZEXとNRAはステムノズルは比較的細めです。太いステムノズルの場合は装着感に影響があり、圧迫感を感じやすくなりますが、ZEXやNRAではその影響が感じ難いため、イヤーピースのサイズで比較的容易に調節できます。

 

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付属イヤーピースはKZ系に付属するかまぼこ型軸短タイプの白色タイプです。個人的にこの付属イヤピは傘にコシが無くフニャフニャしていて装着感がイマイチに感じる事が多いです。これならば最近のKZ溝有白色タイプの方がまだ使えます。

付属イヤピは音質的には高音中音をクリアにして低音控えめにするタイプに感じますが、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。

生憎、この付属イヤーピースでは上手く合わせることができませんでした。そのため、中華イヤホン、恐らくTrnに付属していたノーマル形状の白色イヤーピース(Trn付属黒傘赤軸の白版)に交換し、耳奥やや浅めに栓をするように装着しフィットしました。

低価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じますが、今回も付属のイヤピ白色ではイマイチだったのが残念でした。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. KZ ZEX音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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いつも通り、Sony NW-ZX507を基準としてレビューを行います。

ZX507については他の方のサイトでも詳しく解説していますので、簡単に。SONYのミドルクラスのサブスク対応android機です。エントリーモデルのNW-A100シリーズとの違いは4.4バランス接続にも対応しています。DACには独自開発のS-Master、フルデジタルアンプが採用されています。

音質傾向としては、高音域と低音域をしっかりと鳴らすやや派手な音ながらも、ボーカルを邪魔せずにそれを引き立てています。所謂ドンシャリ傾向と云えますが、過剰なほどではなくて若干の演出という感じ。そして中音はボーカルに対し相対的に控えめに感じられますが、その分ボーカルはクリアです。特徴としては低音に厚みがありますので音楽を雰囲気良く聴くことができるSONYの音といえます。

個人的には音楽を楽しく聴くという本来の目的を達成するために必要十分なDAPと考えており、今年6月からは音楽配信サブスクリプションサービス、Apple Musicがロスレス対応しましたが、android搭載DAPとして勿論対応(※1※2)しています。そして、何よりもBluetooth接続は安定していてLDAC対応していますので、同社の左右独立型完全ワイヤレスイヤホン、WF-1000XM4との相性も良く、標準アプリで再生する場合にワイヤレスでもハイレゾ級(24bit/96kHz、最大990kbps)で音楽を楽しめますが、強いて云えば電池持ちが悪い位しか不満はないです。

※1:2021/07/19現在 android版Ver3.6.0ベータ版(1115)で動作確認

※2:2021/07/22現在 android版Ver3.6.0正式版(1118)が配信開始

 

 

 

低価格帯のイヤホンの場合でDAPの違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。

 
miineco106.hatenadiary.jp

 

※FiiO M5とShanling M0の比較もよろしければご参考ください。 

miineco106.hatenadiary.jp

 

それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピはTrn付属白色Mサイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「主張のある低音と澄んだ高音域のドンシャリ」です。

箱出しでは低音に主張を感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音が落ち着き締まったキレの良い音に。相対的に高音中音がクリアに感じます。

音場は広くも狭くもない普通。

高音は適度な煌びやかさと伸びやかさは華やかさがあり存在感がありますが、刺さりを感じるような鋭さは抑えられています。

低音は十分な量感があり芯が感じられ締りとキレは良好。ベースラインは追いやすく曲によって目立ちます。重低音は沈み込みは深く強さも有ります。

中音は華やかでありながらゴチャつきを感じません。ボーカルは自然な位置に感じますが、クリアに聴かせてくれ聴きやすい。

一言で云えば中高音寄りのややドンシャリ

高音は煌びやかで伸びも良く、音の消え入る様を感じられますが、決して前に出るような主張がなく、かと言って控えめという事ではなく、自然で演出感は抑えられています。超高音までの伸びも自然で綺麗に伸びる印象です。BAの高音域で感じるような不快な尖りはなく、中音域やボーカルを邪魔しない弁えた音。これはTrnの様な解像感を高めるためにぎりぎり不快に感じない高音域のシャリつきを全く感じない統制され整った音は、NRAと同様の印象です。

中音は1BA+1DDハイブリモデルと同様に凹みを感じます。NRAでは寧ろ凸に感じるような音もZEXでは従来のKZのバランスに近いです。それでも楽器の音はボーカルの周りやや後ろ辺りに位置し華やかに鳴り小さな音の消える様を感じられる解像感と分離感はNRA同様に良好です。

ボーカルはややドライ気味なものの息遣いを感じられ自然な感じ。バラードなどのしっとりとした雰囲気を楽しみたい場合には相性というか部の悪さは感じられるものの、悪くありませんがこちらはNRAの方が聴きやすい印象です。

低音は十分な量感があり、NRAよりも多く、KZの強くキレの良い低音です。そのため広がりや響きをNRAよりも感じます。尤も、ZEXでは従来の二重磁気ドライバが採用されており、沈み込みの深さや強さは従来通り。NRAの三重磁気ドライバの方が芯の強さとキレの良さを感じます。KZ系の二重磁気ドライバの良さを感じられる音です。NRAの三重磁気ドライバはキレの良いタイトな音になっている印象で、その分、重低音は強さはありますが、沈み込みは少し抑え気味。これは三重磁気ドライバの性質というよりは中音域の下の方と低音域とのバランスを取った結果と推察しています。

結果として、ZEXは従来のKZの1BA+1DDハイブリッドモデルの音を踏襲したサウンドに近く、NRAの従来のCCAの様にどこかの音域に尖ったところを持たせずにバランス良くまとめた音とは異なる印象です。

 

次に、KZ ZSN pro Xとの違いですが、ZSN pro XはZEXやNRAと同じ中高音寄りとなりますが、ZEXとその音質傾向は似ていると感じます。NRAは中音が印象的な弱ドンシャリ。ZSN pro Xはドンシャリ感のあるKZらしい音ですが、ZEXもそのKZらしい音と云えると思います。

個人的にNRAは高音や中音域をクリアに解像感を重視した音質傾向ですが、ZEXも高音域はクリアで解像感が高く伸びも良い。ZSN pro XはBAが強めの音で、とにかくしっかりと鳴らす反面、シャリつきを感じる荒さや粗さがありましたが、ZEXやNRAではそれを感じない上質な音になっています。それでもZSN pro XはKZのこのクラス歴代の最高峰だと思いますし、以前の無暗矢鱈に鳴らす高音ではありません。それらをZEXやNRAはBAの代わりにESTを用いることによって、煌びやかで伸びやかな音を決して前に出すことなく実現しています。

次に中音域です。ZSN pro Xは1BA+1DDハイブリモデルでよくある凹みを感じます。ZEXもその傾向があり、一方NRAは凸傾向に感じます。それでもZEXの中音域はごちゃつかずに整理され、これはZSN pro Xよりも統制された音で解像感が高く感じます。

最後に低音ですが、強さや沈み込みの深さだけならばZSN pro XとZEXは近く、甲乙つけがたいです。それよりも芯がありキレの良さがあるのはNRAですが、それらよりも沈み込みが浅く感じるのは新型ダイナミックドライバの音として好みが分かれるかもしれません。小気味良さのNRA。ノリの良さはZEXとZSN pro Xです。低音域は音楽を雰囲気良く聴かせられるかどうかを左右しますので、嗜好の違いにより評価が分かれるかもしれません。

個人的にZEXはやっぱりKZサウンドという、ブレないKZに好感を持ちます。

 

※以前のCCA NRAのレビューもご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

※以前のKZ ZSN pro Xのレビューもご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

まとめるとESTドライバを採用したCCA NRAと同じくZEXも高音は上品に、低音はノリ良く鳴らし、音楽を心躍る様に聴かせてくれ、KZサウンドは健在と云えます。従来のBAの高音の勢いは無いものの解像感の高い音は聴かせてくれ、高音中音は華やかで見通し良く、低音は勢いのある強さとキレのある音。中音域はやや凹みを感じますが、低価格帯では類を見ない分離と解像感は良好、ボーカルは自然な位置からクリアで聴きやすい音質傾向は従来のKZサウンドを踏襲しブラッシュアップされた音と云え、従来の1BA+1DDハイブリッドモデルが目指している音を実現したモデルと云えそうです。

それでもリスニング用途として小気味良い聴いていて楽しいバランスは中華イヤホンには高音域のシャリつく刺激的な強さや低音のドンの量が多い強ドンシャリを求め、演奏メインで聴きたい方には、もの足りなさを感じ評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   ZSN pro X ≧ ZEX ≧ NRA (出音の強さ) 

中音   NRA ≧ ZEX ≧ ZSN pro X (出音の強さ)

低音   ZEX ≧ ZSN pro X ≧ NRA (出音の強さ)

ボーカル NRA ≧ ZEX ≧ ZSN pro X (質感の順)

 

 

4. KZ ZEXの総評

KZ ZEXは従来のKZサウンドを踏襲した音とまとめしたが、これまでの1BA+1DDハイブリッドモデルではごちゃつきを感じる中音域を改善し音が整理されています。そしてESTドライバによる高音域は従来のBAを強く鳴らすことで解像感を演出しない自然な解像感が魅力です。低音は敢えて従来の二重磁気ドライバとすることでKZサウンドを踏襲したモデルとまとめました。

飽和気味の低価格帯1BA+1DDハイブリッドモデル群からの新たな一手としてESTを採用したモデルはCCA NRAに続き、このKZ ZEXが発売され今後各社の動きが気になりますし、期待していますし、非常に楽しみです。

そういう意味では「新しいものが好き」な方やKZサウンドの完成形としてお勧めできます。一方で低価格中華イヤホンの強ドンシャリを求め検討されている方には注意が必要な商品です。

 

最後に、今回はAliExpressで先月発売された低価格帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2021年11月2日)はAliExpressや国内amazonで発売しています。AliExpressでは2,000円台の価格で入手可能です。一方amazonでは3,000円台とAliExpressの方が安価に入手できますが、その入手性には現在も難があります。しかしAliExpressで毎年恒例の「11.11セール」が近日開始しますので、通常よりも安価で購入できるかもしれません。とはいえこれまでの低価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっておりますので、低価格中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでprimeでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、少しでも安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

ZEX

以下、付属ケーブル、Trn付属白イヤピ M使用、DAP ZX507
高音★★★★ 
中音★★★★  
低音★★★★ 
音場★★★☆
分離★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.5、★1.0

 

NRA

以下、付属ケーブル、Trn付属白イヤピ M使用、DAP ZX507
高音★★★★ 
中音★★★★  
低音★★★★ 
音場★★★☆
分離★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

ZSN pro X

以下、付属ケーブル、付属溝無黒イヤピ M使用、DAP ZX507
高音★★★★ 
中音★★★★  
低音★★★★ 
音場★★★☆
分離★★★
お勧め度★★★★★ (ボーカル重視の方★4)

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回はいつもの低価格中華1BA+1DDハイブリッドイヤホンでなく、1EST+1DDハイブリッドモデルの新商品のレビューとなります。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後も低価格?を中心に、中華据え置き機器や複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンも扱っていきます。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

JSHiFi 白龍 ケーブルレビュー ※TRI Starseaをリケーブル

こんにちは。

今回は中華低価格イヤホンレビューではなく中華ケーブルのレビューをしていきます。

先日発売されたJSHiFi 白龍ケーブルのレビューをまとめたいと思います。

国内amazonのJSHiFi(@xiaoxia76571098)から購入しています。

 

 

 

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1. 白龍ケーブルについて 

JSHiFiは国内amazonマーケットプレイス扱いでイヤホン用ケーブルを中心に販売している新進セラーです。

JSHiFiの商品では以前レビューした同社Hi8ケーブル、Skyケーブル、ZB8ケーブル、GYT8ケーブル、D4Gケーブル、RB8ケーブルに加え、ZHX変換ケーブルと数多ある中華ケーブルの中でも品質の高い線材を使用する等、後発メーカーの強みとしてコストパフォーマンスに優れたモデルを販売しています。今回JSHiFiのラインナップ補強として、上位のRB8とD4Gの間を埋めるモデルとして「白龍」ケーブルを新発売しています。

以前のケーブルレビューでも触れましたが、近年の中華ケーブルのトレンドは以前の多芯化から高価で質の高い線材へ変化しています。それに伴い数年前まで主流だった銀メッキ銅線が当時16芯銀メッキOFC(無酸素銅)ケーブルが6,000円。8芯銀メッキOFCケーブルが4,000円という価格帯から、現在の16芯銀メッキOFCケーブルが3,000円。8芯銀メッキOFCケーブルが2,000円と3年前の半値という市場に変化しました。販売価格の変動は単に物の値段の下落、単にデフレという事ではなく、競合他社との競争原理による急速な市場変化と考えられます。

JSHiFiは数年前と比べると価格破壊のあった中華ケーブル市場に後発メーカーの強みを活かし、その中華ケーブルの価格帯から更に安価としたラインアップ展開でポータブルオーディオファンが注目しているブランドと云えます。

 

ケーブルと云えばオーディオ界隈では時にオカルト扱いされてしまいますが、リケーブルによる効果としてイヤホンでも「音質の変化」は感じられる場合も多く、個人的には「イヤーピース > ケーブル」の様な変化の度合いから最後の「味付け」と認識した上で、イヤホンの音質の変化を楽しんでいますが、中華ケーブルの魅力は何と言っても「国内外有名メーカーの何分の一の価格で購入できる」であり、リケーブル効果を安価に楽しみたい方や、その効果を試してみたいけど、国内外有名メーカー製は高価で手が出せない方(含む筆者)の強い味方という認識です。

これまでの中華ケーブルは品質の高い線材を採用した多芯化から高級線材の太芯化へ。現在は他社で24芯タイプという超多芯化や新たな線材としてグラフェンを採用した線材が発売されるなど、新たな線材の探求という展開が始まっています。

加えて新たな価値観「スペックを追求せずに用途に合わせて中華ケーブルを選択」するユーザーの意識の変化を感じます。実際ケーブルによってイヤホンとの「相性」を感じられることがあり、リケーブルすることで音質の「変化」は必ずしも良い悪いを決められるものではなく、好きか嫌いかどちらに「変化」するのかを楽しむというのが醍醐味と云えるのではないでしょうか。尤も、リケーブルする理由には「見た目」や「取り回し」を改善し自分だけの好みのイヤホンにして所有感を満たす事に加え、最大の理由は「バランス化」による恩恵を得る事だと思います。

そんなリケーブルで楽しみたいユーザーが、安価ならそれに越したことはないという想いは人情というもの。その目的を安価に実施でき、気軽に楽しめる中華ケーブルJSHiFiのケーブルラインナップは中華イヤホンファンの強い味方と云えます。

 

さて、JSHiFiのラインナップを簡単に説明すると、以前レビューした同社Hi8Skyが同社の中で1,000円台のエントリーモデルとなるものの従来の他社3,000円前後のケーブルと同等の品質の銅線(OFC)に銀メッキを施した線材を採用し芯線を8本とすることで安物感が無く、初めてのリケーブルにお勧めしやすくなっています。

その上位モデルとしてZB8では細い線材を1芯辺り40本を纏めた8芯銀メッキ銅線を採用し被膜を黒と銀色の混合線で、それよりもワンランク上を感じさせ、低音を締めやや高音寄りの特徴があり、高音を伸ばしたい場合に良好な変化を与えてくれるケーブルで2,000円を僅かに超える価格。

次にGYT8では金メッキ銅線と銀メッキ銅線と銅線の三種混合線の8芯としそれぞれの線材の良いとこどりしたミドルグレード線材を採用する得手不得手の少ない合わせやすいケーブルで3,000円を切る価格。

また、同クラスの異種、D4Gでは単結晶銅線(OCC)に金メッキを施した高品質線材を4芯としたハイグレード線材を採用し、ラインナップの中でも音質変化を最も楽しめ3,000円を僅かに超える価格。

それらの上位モデルとしてRB8ケーブルには8芯単結晶銅線材に金メッキと銀メッキを施した各4芯混合線材というハイグレード線材を採用し販売価格も5,000円台と一気に上がっていますが、音質が上質に変化し価格の価値がある商品となっています。

そして今回の白龍ケーブルは販売価格4,000円台と同社D4GとRB8ケーブルの間を埋めるモデルラインナップとして追加され、線材に8芯銀メッキ単結晶銅線を採用し被覆は白色のみとなりますが、コネクタタイプにノーマル2ピンとmmcxを。プラグタイプは3.5、2.5、4.4mmプラグを選択でき殆どのイヤホンで使用可能となっています。白龍ケーブルは同社のハイクラスRB8ケーブルは被覆が派手すぎると敬遠された方にも手を出しやすいシンプルな外観のケーブルと云えますね。

 

そんな訳で今回も中華イヤホン愛好家の味方、JSHiFi 白龍ケーブルを入手しました。同社のD4GケーブルやRB8ケーブルも線材に単結晶銅線を採用し芯線の数やメッキ処理が異なる組合せとなりましたが、白龍はシンプルに銀メッキ単結晶銅線のみとなりますので、それらと違いどの様な変化を聴かせてくれるのか楽しみですね。

 

 

2. 白龍ケーブルの実機について

それでは実際にケーブル実機をみていこうと思います。

 

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パッケージはお世辞にも豪華とは言えませんが、他社の低価格帯と同様に簡素なもの。

JSHiFiでは「商品にコストを注力」しているとのこと。個人的にその潔さは嫌いではありません(賛辞)。

 

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今回購入したのは4.4バランス、ノーマル2ピン仕様です。ピン極性はイヤホン上側がプラスになるKZ系と同様の仕様です。

白色の被覆の線材が編込まれた綺麗なケーブルです。線材には高品質な銀メッキ単結晶銅線を採用しています。端子等の外観ではプラグやスプリッター及びコネクタ部にチープさを感じさせないものを採用しており、4,000円台で購入できるケーブルとして十分な高級感があります。

また、D4GやRB8ではケーブルスライダーがありましたが、白龍には装備されていません。個人的にはスライダーは使わずにいつもスプリッター傍に固定しているので無くても困りません。

白龍ケーブルの線材は被覆が比較的固めで、8芯を編込んだこともあり取り回しにやや堅さを感じます。それでも線材同士の引っ掛かりは殆ど感じず、適度なしなやかさは使い勝手にそれほど影響は無いと思います。


参考として白龍ケーブルを以前レビューした同社D4G及びRB8ケーブルと外観の比較をしてみました。

 

※上からD4G、白龍、RB8ケーブル

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RB8が同じ8芯でありながら僅かに細め。D4Gは4芯且つ敢えて編込みを緩めにする事で取り回しが一番良好。白龍とRB8は同じ8芯ですがRB8の方がやや取り回しが良く感じます。編込んだ太さは白龍が一番太く感じますが、他社の中華16芯ケーブルとほぼ同じか僅かに太い程度です。またRB8よりも取り回しに僅かに堅さを感じますが、適度にしなやかで取り回しで困ることはないと思います。

また、三種共にコネクタ付近にはシュア掛け用にチューブで成形されています。

加えてプラグとスプリッターもそれぞれ種類が異なり、この辺りは好みの問題もありますので一概には云えませんが、白龍ケーブルで採用されたプラグ等はその名前にも妙にしっくりくると個人的に感じています。

 

そして今回、白龍ケーブルをTRI Starseaにリケーブルしてみました。

 

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白龍ケーブルの白色がStarseaの濃紺にマッチしていると思います。まあStarsea付属ケーブルも白色ですからね。

 

ちなみに、Starseaの付属ケーブルと比較してみました。

※上が白龍、下がStarsea付属ケーブル

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Starsea付属ケーブルも十分な品質のケーブルですが、白龍の方が1芯あたりの太さがあることに気が付きます。実際、白龍にリケーブルしたイヤホンを耳に装着した際に、重量感を感じます。

同社のSkyケーブルの8芯と比較しても1芯あたりの太さはそれよりも太く、使用線材がしっかりとしたものを使っているというのが一番の違いですね。

 

JSHiFi 白龍ケーブルの納期ですが、国内amazonのみの取扱いで、流石の当日発送、翌日配達です。そんな訳で、中華製品といえば一般的にAliExpressで購入した場合、国内で購入するより安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

3. 白龍ケーブルの音質変化について 

それでは、いよいよJSHiFi 白龍ケーブルの音質変化レビューです。

 

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先述の通り今回は白龍ケーブルをTRI Starseaにリケーブルして音質の変化についてまとめていきます。

再生環境はいつものSONY ZX507に4.4バランス接続です。

 

※よろしければ以前のTRI Starseaレビューもご参考ください。

miineco106.hatenadiary.jp

 

それでは白龍にリケーブルして実際に聴いてみます。 

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳をとじて倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

TRI Starseaはレビュー時同様にスパイラルドット MSサイズ。SWはデフォルト(全off)です。

始めにレビュー時のStarseaをおさらいします。

高音は華やかさと煌びやかさがあり響きも良好です。強弱や小さな音も聴き分けられ、シャリつきは無く刺さりは感じません。

低音は適度な量感ですが、芯がある強さが曲を下支えし心地良さを感じます。それ故に曲によっては中高音の華やかさが目立ち、物足りなく感じてしまうかもしれません。低音の解像感は良好で音の強弱は十分に掴め、質は良く所謂量感でお茶を濁しておらず、ベースラインも追いやすい。

重低音の沈み込みの深さはそれ程ではありませんが十分な強さがあります。

中音は凹みを感じず音の濃さを感じますが高音同様に小さな音や強弱を掴み易く解像感は良好ですが、音数が多い曲では僅かにボーカルと演奏が重なる印象です。

そのボーカルはクリアで滑らか。僅かにドライ気味ですが、自然な位置に感じます。音数が多い曲ではやや相性を感じます。

一言で云えば中高音寄りでややドンシャリのバランス。

一聴すると低音のメリハリから低音域重視に感じますが、フラットに近いややドンシャリは、煌びやかで華やかな高音域と音の濃さのある中音域。リズミカルながらも低音域を強調させずにバランス良く表現し上手くまとめていると思います。

 

これを白龍ケーブルにリケーブルすると一聴して高音中音の音のなめらかさが増したように感じます。これはケーブルの線材が単結晶銅に変わり、その特徴が良い結果に繋がっていること。同じでも1芯が太い線材の8芯による情報の増加が音の厚みに好影響なこと。3.5mmアンバランスから4.4mmバランスへの変更によりDAPの出力が上がっていることによるものと考えられます。

特にバランス化による出力増は低音域が締まりよりタイトに鳴らし、高音中音低音域の音の強さのバランスが変化したことと単結晶銅の音像の曇りを無くし、音のガサツキを減らしなめらかな音になったことで、付属ケーブルよりも澄んだ音に感じます。

また、中音域のなめらかさは音場の広がりも感じ、付属ケーブルでは真ん中に寄った音と再認識。白龍にリケーブルしたStarseaはより解像感を感じやすく、その特徴を更に進化させた音色に変化した印象です。

また、元々音の濃さを感じた中音もすっきりと適度に。ごちゃつきを感じ難くく、音数が多い曲でも分離良く重なりを感じません。

そして高音域は僅かに前に出た印象がありますが、より洗練され見通しの良い空間の中にはっきりと表れ、伸びやかで響きの良い高音域が上品な印象に変化します。Starseaの強すぎず、弱すぎず。

そのため、基本的に中・高音域寄りのややドンシャリだったStarseaがフラットに近づきますので、ドンシャリが好きな方はちょっと異なる方向性に感じられるかもしれません。その場合には同社RB8ケーブルの方が良い印象を持たれるかもしれません。尤も、白龍ケーブルもイヤホンの音質傾向を大きく変えるような変化ではなく、イヤホンの音の特徴を伸ばしつつ、味付けとしての変化となりますので、高音をより伸ばした見通しの良い音が好きという方にはこの白龍ケーブルの方がお勧めできます。

 

まとめるとJSHiFi 白龍ケーブルは同社のRB8ケーブル同様にラインナップの中ではリケーブル効果、変化を感じやすく中高音をすっきりとなめらかにしたい場合に選択肢に入れて欲しい商品と云え、例えばU10K帯の多ドラハイブリモデルの粗さのある音をなめらかにしたい場合にお勧めできます。

 

 

4. 白龍ケーブルの総評 

JSHiFi 白龍ケーブルは同社RB8ケーブル同様に同価格帯の中華ケーブルの中でも高品質線材を使用したハイコスパケーブルと云え、今回試したTRI Starsea等、中華多ドラハイブリッドモデルとの相性の良さを感じられました。また、4,000円台で購入できる中華ケーブルとして変化も感じ易く、他社製品と比較しても遜色のない、且つ後発の有利さを活かした安価な販売価格はお勧めしやすいケーブルとまとめました。

尤も、その価格からは流石に高級帯のケーブルには届かない、限界を感じる部分もありますが、手持ちのイヤホンに安価に変化をつけたい。変化をさせて楽しみたい場合に特にお勧めできる商品だと思います。

 

最後に、今回は国内amazonで4,000円台で購入できる低価格帯の中華ケーブルの紹介となりました。現在(2021年10月30日)はamazonでのみ発売されており、AliExpressでの取り扱いはなさそうです。そのAliExpressは入手性は現在も難があります。とはいえこれまでの低価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっておりますので、低価格中華ケーブルの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの購入をした方が良さそうです。

 

 

あとがき

今回は低価格帯中華ケーブルの新商品のレビューをしてみました。今後もヘッドホンアンプや従来通り複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホン同様にケーブルにも挑戦してみようと思います。

今後も気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

ikko Zerda ITM01レビュー ※スマホでサブスクを良い音で聴く

こんにちは。

今回は中華イヤホンレビュー編をお休みし、USB-DACアンプケーブルアダプターという商品の第二弾をまとめたいと思います。

2021/10/29に国内発売予定のikko Zerda ITM01の紹介です。

AliExpressではikko Official Store(@ikko_Audio)等で販売しています。

 

ja.aliexpress.com

 

国内販売は国内代理店(株)IC-CONNECTの取扱いとなり、同社の国内amazonでの販売やイヤホン&ヘッドホン専門店eイヤホン等で取扱いがあります。国内の有名どころの販売サイト及び店頭で普通に購入できるのは国内代理店のお陰ですね。

 

 

www.e-earphone.jp

 

メーカーHPは以下

IKKO Zerda ITM01 Portable Headphone Amplifierwww.ikkoaudio.com

 

国内代理店HPは以下

zerda ITM01 | 製品紹介 | IC-CONNECT【Astrotec COLORFLY IKKO OSTRY SOUNDAWARE 日本総代理店】

 

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1. ikko Zerda ITM01とは 

1.1. ikkoとは

ikko(アイコー)は数多ある中華オーディオメーカーの一つで国内ではその代理店をIC-CONNECTが担っています。ブランドの代表作と云えば先日レビューしたイヤホンのGems OH1SやOH10 Obsidianがありますが、ポータブルDACアンプのITM03もあります。特にイヤホンのGems OH1SはOH10 Obsidianと並び、比較的安価でありながらもその音質には妥協のない商品は知る人ぞ知る隠れた名機とポータブルオーディオファンからの評価を得ていますし、実際OH1Sを使ってみると中高音にフォーカスした音色は高音域が煌びやかで響きが良く、1BA+1DDハイブリッドモデルとしてとてもなめらかな音を聴かせてくれ、タイトな低音は心地の良い小気味良さがあり清々しさを感じます。

そのikkoというメーカーは「デジタルオーディオライフに新しいコンセプトの提案と、素晴らしいオーディオの体験をもたらすために革新的な構成を追求する」という先進的で独創的な比較的新しいオーディオブランドとして着実に進化し、今後のブランド展開にも期待し目が離せませんね。

 

1.2. ikko Zerda ITM01で何ができるの?

ikko Zerda ITM01は簡単に云えば、スマホタブレットにイヤホンを直挿しして音楽を聴くときにその間に差し込むアダプターです。

それが一体何の役に立つのかと云えば、スマホタブレットApple Musicやamazon music等の音楽配信サービス、サブスクリプションサービスで聴いている音楽をより高音質で楽しむことができます。

「ん?それが何なの?」と思われた方、ちょっと待ってください。以下、少し補足させていただきます。

以前同様のポータブルDACアンプをレビューしています。それまではDAP(Digital Audio Player)を中心に手持ちのCDから音楽ファイルを作成したりmora等から音楽ファイル購入したものをDAPに入れてポータブルオーディオを楽しんでいました。しかし、そもそも好きなアーティストの曲に偏ってしまうのは性というもの。そういう楽しみ方を否定するのではなく、折角なら色々なアーティストの曲だったり、流行りの曲を良い音で聴きたいという気持ちが芽生えました。そして前述の音楽配信サブスクリプションサービスです。DAPにもOSにandroid搭載機がここ数年増えてきて、寧ろandroidを搭載していないDAPはどんなに音が良くても人気がない等、環境が変わってきています。また近年高騰したDAPは普及帯でも10万円前後と高価。加えてDAPでも音楽配信サブスクを快適に利用できる機種は最近発売のモデルでもSoCにsnapdoragon660が採用されてモデルが最低条件になりつつあります(それ未満でも動作がもっさりするけど動く場合もあります)。

そこでDAPはさて置き、恐らく殆どの皆さんは音楽配信サブスクはスマホで楽しんでいると思います。そして先程DAPの話をしました。話がそれているように感じたかもしれませんが、これは大事なポイントです。

本題に戻れば「Apple Musicを良い音で楽しめる?それだけ?」と思われたかもしれません。いえ、違います。それはスマホの高性能化に伴い高価になりましたが、実は「音」という事に関しては決して価格に見合っていないのです。CMで音質にも拘ったと謳うSony XPERIA 1 III等もありますが、XPERIA 1 IIIは実売15万円とかなり高価ですし旗艦モデルです。ミドルクラススマホでもディスプレイは綺麗に。写真は近くも遠くも広角も暗所でもなんでも綺麗に撮影できます。でも音はやっぱり置き去りなんです。iPhoneも最新13では13万円ですが未だに音楽ファイル対応はロッシー(圧縮音源)ですし、何よりもイヤホンジャックがありません。

つまり、スマホで手持ちのお気に入りのアーティストの曲(音楽ファイル)や音楽配信サブスクサービス、Apple Musicやamazon musicロスレスハイレゾの良い音で聴きたいというニーズに応える事ができる商品の一つがこのikko Gmes ITM01となり、これが先の答えと成ります。

 

1.3. ikko Gems ITM01の仕様

ikko Zerda ITM01の機能をメーカーは「様々なシーンで利用できるよう多くの機能を盛り込みつつ小型でサウンドに妥協しない製品をめざした」とあります。

それは音楽を聴くというシーンには単にアーティストミュージックを聴くというだけでなく、映画鑑賞やゲームプレイの音にもITM01のモード切替で対応することができます。

詳細は後述するとして、先ずは主な機能をチェックしてみます。

以下、メーカーHP抜粋


音楽シーンに合わせた3つのモードを搭載

具体的には、本体中央の「〇」ボタンを長押しする事で、「MUSIC」「MOVIE」「GAME」と3つのモードを簡単に切り替えシーンに合わせた音にすることが可能です。

  • MUSICモード・・・純粋で透明なサウンド
  • MOVIEモード・・・映画鑑賞の質を高いレベルで刺激的に鑑賞可能
  • GAMEモード・・・CSゲーム機のSwitchやPS等でゲームの世界に没頭できる※1

※1:各CSゲーム機で動作確認済み。すべてのバージョンおよび機能での動作を保証するものではありません。

 

各モードでは以下の様に本体側面のLEDが光りますので、現在のモードを確認可能です。

  • MUSICモード・・・黄色
  • MOVIEモード・・・紫色
  • GAMEモード・・・水色

 

カスタムチップのES9298PROを搭載

低ノイズでハイパワーかつ高音質な、IKKOオリジナルのカスタムチップとしたESS社製ES9298PROを搭載。PCM:最大32bit/384kHz、DSDは最大128(Dop)までをサポートし、ハイレゾにも対応

 

IKKO マグネティックテクノロジー

ikkoオリジナルのケーブル接続ポートは、磁石が反応しピタッと吸い付くようにケーブルが接続。このマグネット接続機構はケーブルへのノイズ干渉を抑制し、オーディオデータの伝送品質を上げ音質を向上させます。また、ケーブルの取り外しが可能となり、断線した場合にもケーブルを交換する事で継続し使用が可能

 

PC接続用ロングケーブル付属

マグネティックテクノロジーを活かしケーブルを簡単に取り変えることでPC等にはロングケーブルを。スマートフォン等のモバイルデバイスには短いLightning/TYPE-Cケーブルを利用するといった使い分けが可能※2

 

※2:Lightning/TYPE-Cケーブルは何れか1本が付属

 

小さな媒体にこれだけの機能が詰まっているというのは凄いですね。特にPCでNetflixやprime video等を楽しむ方にはMOVIEモードは嬉しい機能ではないでしょうか。

次に、ikko Zerda ITM01の主なスペックは以下の通り(メーカーHP抜粋)。

 

  • DACチップ:ESS Technology ES9298PRO(ikkoオリジナルカスタムチップ)
  • モード選択:MUSICモード、MOVIEモード、GAMEモード※3
  • PCM:最大32Bit / 384kHz
  • DSD:128まで対応 DSDネイティブ再生(DoP)※4
  • THD+N:<0.0006%
  • 推奨インピーダンス:16~600Ω(ヘッドフォン出力)
  • SNR:118db@32Ω(A-Weighting)
  • 出力インピーダンス:<0.8Ω
  • 出力レベル:2V@32Ω(125mw@32Ω)
  • 入力端子:ikko マグネット端子
  • ケーブル:TYPE-Cモデル(TYPE-Cケーブル、USB-Aケーブル)/Lightningモデル(Lightningケーブル、USB-Aケーブル)MIF認証取得済
  • 出力端子:3.5㎜ステレオジャック
  • 本体サイズ:58 x 22 x 11mm

※3:GAMEモードを選択した時に、切り替わりで一度ITM01が再起動します

※4:再生機器によって、DSDネイティブ再生(DoP)時に、最大音量で流れる場合がありますのでご注意下さい。

 

仕様上はミドルクラスDAPに迫る性能を持っていると云えそうです。

 

仕様を簡単に解説すると、Zerda ITM01は32bit/384kHzまでの再生に対応しています。つまり、先述の音楽配信サブスクリプションサービスのApple Musicやamazon musicロスレスハイレゾ音楽データ24bit/96kHz等の再生にも対応し、もちろん手持ちのCDからリッピングした曲も16bit/44.1kHzの音楽ファイルとして圧縮(データを削る)することなく再生可能です。

Zerda ITM01では現在主流の音楽ファイル再生が可能であり、iTunesで購入したiPhone等で再生可能なAAC-LC(圧縮した320kbps、16bit/44.1kHz)形式や、mora等で購入したAAC-LC形式、ロスレスFLACやALACの16bit/44.1kHz)やFLAC形式のハイレゾ音楽ファイル(24bit/48kHz以上)にも対応していますので、今ある音楽ファイル財産をそれらが持つ本来の性能でそのまま再生することができます。

残念ながらMQAの音楽ファイル再生には対応していませんが、MQAファイルを所有している方はDAPをお持ちでしょうから今回のケースでは無視しても構いませんね。

尤も、iPhone等のiOSモバイル機器単体で手持ちのハイレゾファイルを再生したい場合は標準再生アプリApple Musicでは非対応(2021/10/22)でAAC-LCまでに留まります。もしもハイレゾ音楽ファイルを24bit/48kHzを超えて本来の性能で再生したい場合には別途NePLAYER等の音楽再生アプリを使い、Zerda ITM01を接続することで可能になりますのでご注意ください。そういう意味では手持ちのハイレゾファイルを楽しんでいる方はandroidスマホを愛用していると思いますので余計なお世話ですね。

 

 

2. ikko Zerda ITM01の実機レビュー

それでは実機レビューをしていきます。

 

2.1. Zerda ITM01の実機&パッケージ

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クリアケースのパッケージは中華メーカーの安物感は無く、寧ろ中身の見える安心感のある化粧箱です。

ケースの裏には中国語と英語があり、日本のマーケットでも大きな問題の無いパッケージングです。

 

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蓋を開けると白地の内装が本体とUSB Cケーブルをしっかりと固定していて輸送中の傷や破損を防ぐ配慮を感じられます。内装を取り出すとその下に付属品のPC用USB Aケーブルが収納されています。

他には取説類です。


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付属品はZerda ITM01本体、USB Cショートケーブル、USB Aロングケーブル、取説類です。取説には中国語、英語の記載があります。

 

※表面にメーカーロゴとボリュームの+と-、モード切替スイッチがあります。

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※裏面にモデル名が印字されています。

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※側面はスマホ等との接続時にモードを示すLEDが内臓(画像は消灯時)

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USBメモリーと同等のサイズ感。
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※入力側ケーブルikkoオリジナルマグネティック接続端子を採用。ケーブル交換が可能です。

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入力側のikkoマグネティック端子は上下無く、USB C端子と同じ様に気にせず接続可能です。

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上の画像のよりも僅かに近づけると「パチッ」と吸い付くようにくっつきます。

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※出力側は3.5mmフォンアウトのみ。
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※モードを示すLEDはスマホ等と接続時に点灯します。
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※musicモードの黄色が点灯しています。実物はもっとはっきり光っています。
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Zerda ITM01本体の材質は表と裏が金属、側面が樹脂の組合せですが、勘合も良くクオリティの高さを感じます。本体のサイズ感は少し前に主流だったUSBメモリーよりも一回り大きめです。

 

※付属USB Aロングケーブル。PCとの接続に使用しメーカーロゴが印字されています。

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※付属USB Cショートケーブル。
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ショートケーブルとロングケーブル共に使い勝手の良い長さのケーブルです。

 

余談ですが、メーカーアップグレードケーブルの発売も予定されているようです。

Zerda ITM01はUSB CケーブルとLightningケーブルの何方か1本付属で販売されますので、お使いのスマホの端子に合わせて選択する訳ですが、後からやっぱり別の端子にすればよかったとなってもアップグレードケーブルを購入すれば良いので無駄がないですね。

 

2.2. Zerda ITM01とiPad Air第四世代の接続

先ずはiPadからです。以前使っていたiPad Air第二世代ではLightning端子でしたが、第四世代はUSB C端子に変わりProシリーズと同様になりました。

 

始めにITM01本体に付属USB Cショートケーブルのikkoマグネティック端子を本体のikkoマグネティック端子と接続し、付属USB CショートケーブルのUSB C端子をiPadのUSB C端子に接続します。

次にイヤホンを接続します。今回は前回レビューしたikko Gems OH1Sを使用します。OH1Sは通常の3.5mmステレオミニプラグですので、ITM01の3.5mmステレオミニジャックに接続してください。

 

※気になる方は以前のレビューもご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

2.2.1 amazon musicの時

iPadamazon musicアプリ(Ver10.16.0)を起動します。先日のamazon musicの会員種別変更に伴い従来の「HD会員」も「Unlimited会員」となりました。そのため今回は「Unlimited会員」の場合を想定しておりますので、ご容赦ください。

 

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接続自体は難しいことは無く、順番を守っていれば問題なく認識されます。こういうときのストレスフリーというのは良いことです。amazon等で数多ある同様の商品ではそもそも認識しない。認識するけどコツが有る。そのコツを見つけるのに試行錯誤が必要等があったりしますので、ITM01は安心して購入できる商品と云えます。

 

それでは曲を再生します。

amazon musicで聴きたい音楽を選択した際に曲名の上に黄色い文字で「ULTRA HD」と表示がありますので、そこをタップすると現在の音質が分かります。

 

 オーディオ品質・・・ここがULTRA HDであればハイレゾ音質

 音質・・・ここがUltra HD音質ならハイレゾ音質

 楽曲の音質・・・ここが24bit/48kHz以上であればハイレゾ音質

 デバイス・・・ここが当該端末の再生可能なファイルの音質の最大値

 出力・・・ここが実際に再生できている音質

 

通常は端末の性能が配信されている楽曲の最大音質よりも高くなります(あくまでも端末の性能に依存)。例えばハイレゾ音楽データ24bit/96kHzであれば端末の性能の数値と再生中の音質の数値が同じであれば、「ちゃんと」ハイレゾ音質で聴くことができています。

なお、そもそも先述の「ULTRA HD」表示ではない、「HD」表示される配信楽曲はCD音質(16bit/44.1kHz)となりますので、誤解の無いようにお願いします。


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宇多田ヒカル/First Love では以下の通り

 

 オーディオ品質・・・ULTRA HD表記なのでハイレゾ音質

 音質・・・Ultra HD音質なのでハイレゾ音質

 楽曲の音質・・・24bit/96kHzなのでハイレゾ音質

 デバイス・・・24bit/96kHzなので当該端末の最大値通り

 出力・・・24bit/96kHzなのでハイレゾ音質で再生できている

 

次に、オフコース/言葉にできない で試します。

 

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結果は以下の通り

 

 オーディオ品質・・・ULTRA HD表記なのでハイレゾ音質

 音質・・・Ultra HD音質なのでハイレゾ音質

 楽曲の音質・・・24bit/192kHzなのでハイレゾ音質

 デバイス・・・24bit/192kHzなので当該端末の最大値通り※5

 出力・・・24bit/192kHzなのでハイレゾ音質で再生できている

 

※5:従来端末の性能の最大値でしたが宇多田ヒカル/First Loveで24/96と表示されていたものが24/192と表示。良く分かりませんね。だからamazon musicの表示は信用できない。アプリの仕様変更が多すぎるし修正内容もサイレントですので、結局ハイレゾかどうかのみ確認して他は気にしないのが良さそうです。

 

因みに、amazon musicで聴きたい音楽を選択した際に曲名の上に黄色い文字で「ULTRA HD」や「HD」、「SD」と表示されます。そこが「HD」ならロスレス(16bit/44.1kHz)。「SD」なら標準のロッシー(圧縮)です。

注意点としては、amazon musicアプリはバージョンにより不具合があり、「最新が最良と限らない」という問題があります。

個人的にiPhoneandroidスマホamazon musicは安定動作しているアプリのバージョンをアップデートしない運用をしていて、iPhoneは未だにver10.11.1ですし、Redmi Note 10 ProはVer17.8.6を使っています。iPadだけ間違ってアップデートしてしまって後悔しています。 

 

2.2.2 Apple Musicの時

先ずはApple Musicをロスレスで聴くためのiOSの設定をiPhoneを使って説明します。iPadとはメニューの開き方が違いますが、設定項目は同じなので迷うことはないと思います。 

以下、WiFi接続を前提とした説明となります。

「設定」から「ミュージック」アプリを選択し開きます。

 

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 「オーディオ」項目の「オーディオの品質」を選択し開きます。

 

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ロスレスオーディオ」を「ON」にすると「WiFiストリーミング」と「ダウンロード」項目が追加表示されます。

追加された「WiFiストリーミング」を選択し開きます。

 

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「高音質」、「ロスレス」、「ハイレゾロスレス」の内、もちろん「ハイレゾロスレス」を選択しチェック(レ)を入れます。その後、前の画面に戻ります。

 

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WiFiストリーミング」項目が「ハイレゾロスレス」に変わりました。

以上で設定完了です。

 

次に、iPadApple Musicアプリ(iOS14.8)を起動します。

 

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聴きたい音楽を選択し再生します。


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[Alexandros] / 閃光を聴いてみます(ハサウェイ面白かったです)。

画面中央やや下に「ロスレス」表記がありますので、それをタップします。

 

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画面中央にポップアップが表示され、再生中の音質が確認できます。

ロスレス 24ビット/48kHz ALAC と表示されています。amazon musicではULTRA HD(ハイレゾ)扱いの仕様ですが、Apple Musicとの違いですね。

 

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次に、CHICO with HoneyWorks/ノスタルジックレインフォール を聴いてみます。

画面中央やや下に「ハイレゾロスレス」表記がありますので、それをタップします。

 

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画面中央にポップアップが表示され、再生中の音質が確認できます。

ハイレゾロスレス 24ビット/96kHz ALAC と表示されています。こちらは所謂ハイレゾですね。

 

iPadamazon musicApple Musicの両方でハイレゾを楽しむことができることを確認できました。

しかし、気になる点も。

恐らくApple Musicの「ハイレゾロスレス」をタップして表示される「音質」はあくまでも「配信されている楽曲の音質」であり、「再生している音質」ではないと考えられます。これはamazon musicでも同様のことが云えこちらはアプリが裏でどの様な処理をしているのか分からないため微妙です。

そのためiOS端末では音楽配信サブスクサービスをハイレゾで楽しむにはITM01の様なポータブルDACアンプを使い、Apple Musicでロスレスハイレゾを聴くのが間違いないという印象です。従来のロッシー音源よりは間違いなく良い音になったと違いを感じられると思います。

 

2.3. Zerda ITM01とXiaomi Redmi Note 10 Proの接続

次にandroidスマホXiaomi Redmi Note 10 Pro(以下RN10Pro)との接続です。

以前はOPPO A73を使っていましたが、BluetoothがLDACやaptX Adaptiveに対応していないため買替えています。勿論相変わらず通信契約「なし」です。

接続の手順は基本的にiPadと一緒ですので割愛します(2.2項参照ください)。

イヤホンは同じくikko Gems OH1Sを使用します。

 

2.3.1 amazon musicの時

RN10Proのamazon musicアプリ(Ver17.8.6)を起動します。

 

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こちらも接続に難しいところはありませんし、問題なくITM01を認識してくれます。

それではお気に入りの曲を聴いてみます。

 

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どーぷちゃん/花の便り です。

amazon musicアプリはiPadとほぼ同じですが、音質の画面が異なっています。

アプリ画面のアルバムアート下、左側。曲名の上に「ULTRA HD」と黄色文字で表示がありますので、そこをタップし音質の画面を開き音質チェックをします。

 

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iPadのアプリVer10.16.0とiPhoneで使っているVer10.11.1とも表記は異なりますし、RN10Proで使っているandroidのアプリVer17.8.6とiPhoneで使っているものは表記は一緒です。単にアプリVerの世代の違いです。私は余程安定した評判がでないとアプデするつもりはありません。

さて、androidのアプリVer17.8.6での表記は以下の通り。

 

 xxx音質・・・ここがUltra HD音質ならハイレゾ音質

 音質・・・ここが24bit/48kHz以上であればハイレゾ音質が配信

 端末の性能・・・ここが当該端末の再生可能なファイルの音質の最大値

 現在・・・ここが実際に再生できている音質

 Codec・・・ここが再生中のデータ形式

 

この様に表記等アプリの仕様はアプリのバージョンによって異なります。

それでは実際の音質を確認します。

 

 xxx音質・・・Ultra HD音質なのでハイレゾ音質

 音質・・・24bit/48kHz以上なのでハイレゾ音質

 端末の性能・・・24bit/192kHzを当該端末で再生可能

 現在・・・24bit/48kHzで再生できている

 Codec・・・FLAC形式

 

他にも確認してみます。

 

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こちらはHD音質 音質と現在が16bit/44.1kHz。端末は24bit/192kHzです。


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こちらはUltra HD音質 音質と現在が24bit/96kHz。端末は24bit/192kHzです。


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こちらはUltra HD音質 音質と現在が24bit/48kHz。端末は24bit/192kHzです。

 

iPhoneと同様ですね。iPadで使っているアプリVer10.16.0のデバイス(端末)の音質表記に何らかのバグがあると推察できます。

とは云え通常は端末の性能が配信されている楽曲の最大音質よりも高くなり(あくまでも端末の性能に依存)、例えばハイレゾ音楽データ24bit/96kHzであれば端末の性能の数値と音質と現在の数値が同じであれば、「ちゃんと」ハイレゾ音質で聴くことができていると考えてよいと思います。

なお、iPadの項でも触れましたが、そもそも先述の「ULTRA HD」表示ではない、「HD」表示される配信楽曲はロスレス(CD音質16bit/44.1kHz)となりますし、「SD」表示される配信楽曲は標準ロッシー(圧縮)となりますので、誤解の無いようにお願いします。 

 

2.3.2 Apple Musicの時

次に、RN10ProのApple Musicアプリ(Ver3.7.1ベータ版)を起動します。ベータ版テストに参加しており、便宜上ベータ版と表記しています。そのため現在の最新と異なる場合があるかもしれませんがご了承ください。

先ず2.2項同様のApple Musicの初期設定を済ませている前提で説明します。

聴きたい音楽を再生します。

 

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iPad同様に [Alexandros] / 閃光 を聴いてみます。

画面中央やや下に「ロスレス」表記がありますので、それをタップします。


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画面中央にポップアップが表示され、再生中の音質が確認できます。

ロスレス 24ビット/48kHz ALAC と表示されています。こちらもamazon musicではULTRA HD(ハイレゾ)扱いの仕様ですが、Apple Musicではロスレスと表記されます。


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次に、CHICO with HoneyWorks/ノスタルジックレインフォール を聴いてみます。

画面中央やや下に「ハイレゾロスレス」表記がありますので、それをタップします。


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画面中央にポップアップが表示され、再生中の音質が確認できます。

ハイレゾロスレス 24ビット/96kHz ALAC と表示されています。こちらは所謂ハイレゾですね。

 

RN10ProでもiPad同様にamazon musicApple Musicの両方でハイレゾを楽しむことができることを確認できました。

しかし、こちらでもiPad同様にアプリ上でハイレゾロスレス)表記だとしてもそれが本当に表記されている「bit/kHz」で再生しているのかが気になります。

まあ、iPad項でも書きましたが、アプリの仕様上の問題をユーザー側であれこれ言っても仕方がないので「従来の音楽配信サブスクサービスはロッシーだったけど、今はハイレゾで楽しむことができるようになった」。それには「ITM01の様なポータブルDACアンプを使うと、従来のロッシー音源よりは違いを感じられるほど良い音になって音楽を楽しめる」と理解していれば良いのではと思います。

尤も個人的にはスマホ等のモバイル端末はApple Musicでロスレスハイレゾを聴くのが間違いないと考えていて、amazon musicはPCで使用する使い分けです。amazon musicはPCアプリだと「排他」も選択できますので。

 

2.3.3 音楽再生アプリの時

最後にRN10Proで手持ちの音楽ファイル、ハイレゾロスレスを聴く為に音楽再生アプリを使ってみます。

RN10ProにはMi Musicという標準音楽再生アプリがインストールされていますが、それは使いません。

有名どころはNeutorn Music Player(以下NeutornMP)やUSB Audio Player PRO(以下UAPP)ですが、今回はUAPPを使用してみます。

どちらも有料アプリになり、購入方法やインストール方法、設定の仕方は割愛します。検索をすると沢山の先人達がいらっしゃいますので参考にしてみてください。

 

RN10ProとITM01の接続は2.2項の通り。

イヤホンはもちろんikko Gems OH1Sです。

 

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接続後、UAPPアプリを起動すると画面中央に以下のポップアップが出ますので、「OK」を選択してください。

また、画像下部に「USBデバイス用アプリを選択」が出る時があります。こちらは「キャンセル」で構いません。

 

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これだけです。驚く暇もないほど簡単です。

あとは手持ちのお好きなハイレゾロスレス音楽ファイルでお楽しみください。

 

それでは次項ではいよいよZerda ITM01の音質を確認してみます。

 

 

3. ikko Zerda ITM01の音質レビュー

前項まではZerda ITM01とiPad及び、RN10Pro(androidスマホ)との接続テストを行いました。

ここからは実際にZerda ITM01を使って音質がどのように変化するのかを試してみたいと思います。今回はRN10Proで試してみます。

 

先ずは、amazon musicハイレゾ音楽データを聴いてみます。イヤホンはikko GemsをRN10Proに直挿しで聴いてみます。

 

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ITM01を経由しない時、端末の性能は24/48止まりです。

中低音が聴きやすく、耳馴染みの良い音が聴こえます。高音の音数も多く、情報量に極端な過不足は感じません。これはこれで良い音に聴こえますが、OH1Sのお陰の様な気がします。

次に、ITM01を接続して聴いてみます。


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2.3.1項の通り、端末性能は24bit/192kHzまで対応しておりますが、amazon musicハイレゾ音楽データは24bit/48kHzなので音質と現在はそのまま24bit/48kHzを表示しています。

比較前は正直、対応している再生データ上は24bit/48kHzとandroidの上限と変わらないので大きな差を感じないかも…、と思っていました。

しかし、それは見事に杞憂に終わります。

ITM01を経由した場合には、一聴して背景の黒さ、静寂を感じられます。ITM01のノイズレス、S/Nの良さから来るものを考えますが、かなり違いを感じます。

これだけでも直挿しとの結構な、加えて十分な違い音の良さを感じられますが、それだけではありません。

中音域の音場が広がり、分離感が良くなります。直挿しでは一か所に集まるような、そして平坦な印象を受けましたが、特に左右の広がりと奥行きが感じられます。小さい音は重なり聴こえなくなることもありません。ちゃんとそこに存在してくれます。

高音は直挿しではどうしてもごちゃつきを感じましたが、整理され整った音になります。

低音は締まり小気味良さがでてきます。直挿しではボリュームこそありましたが、解像感は今一つだったことが分かります。

非常に分かりやすい変化が直挿しと聴き比べた時に感じられますので、最早別の音源で比べているような錯覚を覚えます。

 

直挿しと比較した時、中音域にフォーカスを当てたボーカルを重視したような音質傾向から、ITM01で同じ曲を聴いた際に音場が広く良い意味で中音域がすっきりとしたフラットな音に聴こえます。その分、ボーカルはやや遠くなったように感じますが、こちらの方がボーカルの位置が自然な位置と感じます。

 

使用したイヤホンは同社のikko Gems OH1Sです。中高音フォーカスのフラットな音質傾向なので、ITM01を通して聴いた場合にはイヤホンの本来の音を引き出してくれている印象です。

高音や低音は直挿しよりも高音は繊細で伸びやかに。低音は量感が抑えられすっきりとしながらも強弱をより感じられ、高音や低音の解像感が高く感じます。

一言で云えば「音場の広さを感じられる自然な解像感の高い音」です。

尤も、普段そこそこのDAPを使っているのでもちろんそれには及びませんが、確実に直挿しとは違って高音質と云えると思います。やはりポータブルDACアンプ、Zerda ITM01は安価な販売価格とは云え侮れないと感じました。

 

 

4. ikko Zerda ITM01の総評

ikko Zerda ITM01はコンパクトなポータブルUSB-DACでありながら、ミドルクラスDAPの性能に迫る良い音で音楽配信サブスクリプションサービスで活用でき、それを手軽に楽しめことができるとまとめました。

そして音楽配信サービスもそうですが、寧ろ音を聴くシーンで活用でき映画鑑賞等も含めてエンターテイメントにフォーカスした商品として、その性能を発揮してくれそうです。

最後に、今回はmovie等のモードを試すことができませんでした。中華ポータブルUSB-DACアンプというDAP要らず、スマホで音楽や動画を楽しむことができるという魅力的な商品の紹介となりました。

現在(2021年10月23日)はamazonECサイト等で予約開始されており、8,000円台で購入可能です。安価な実売価格でありながら、その機能を含めクオリティは十分満足できる内容となっておりますので、この商品を検討している方は保証の面からも安心確実な国内正規代理店取扱品の購入を検討してみてくださいね。

 

 

あとがき  

あとがきとして、今回は中華製のUSB-DACアンプをiPadandroidスマホで使ってサブスクに利用できるのか。それをどの様に使うのかをまとめてみました。これを読んでくださる方が何故このサイトにたどり着いたのか?を重視してまとめています。確かにこの記事も自己満足の域を出るものではありませんが、達成感は従来より得られている気がしますし、皆さんに少しでも参考になれば幸いです。

一方、日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみです。今後も低価格?を中心に、複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンや、中華DAC及びヘッドホンアンプにも挑戦していきたいと考えていて、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

 

ikko Gems OH1Sレビュー

こんにちは。

今回はいつもの低価格中華イヤホンレビュー編ではなく、中価格1BA+1DDハイブリッドモデルのikko Gems OH1Sについてレビューをまとめたいと思います。

AliExpressのikko Official Store(@ikko_Audio)等で取扱があります。

 

ja.aliexpress.com

 

国内amazonでも国内最大手eイヤホンの取扱があります。

 

 

www.e-earphone.jp

 

 

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1. ikko Gems OH1Sについて 

ikko Gems OH1Sは20,000円の中価格帯中華1BA+1DDハイブリッドモデルとして発売されています。ikkoといえば所謂中華メーカーのなかでも「新しいコンセプト」、「革新的な構成」を実現するという製品コンセプトの下、魅力的な製品を発信している比較的新しいブランドです。

同社の代表作としてイヤホンではMeteor OH1(以降OH1)やOH10 Obsidian(以降OH10)を始め、ポータブルDACアンプ等を手掛け、手ごろな価格で良い音を楽しみたいユーザーの味方となっています。

 

ikko Gems OH1Sは1BA+1DDハイブリッドモデルとなりますが、個人的に中華イヤホン、とりわけ低価格中華1BA+1DDハイブリッドモデルを好んで購入し本ブログでレビューしておりますので、低価格帯との違いも気になるところです。

同社OH1とOH10は所有しておらず、試聴のみとなりますが、非常に音が良いと感じた記憶があります。OH1が高音と低音のしっかりとしたドンシャリ傾向で、OH10がOH1とは異なり中低音寄りにフォーカスしたモデルという印象です。特にOH10は個人的に好きな音で深く味わいのある低音に加え、ボーカルの艶やかさは本気で購入を検討したモデルでしたが、それでも購入に至っていないのはこのA20,000クラスとなると1DDシングルダイナミックモデルの良機種が多く、結局選べないという優柔不断ですね。

そんな時にこのOH1Sが発売され巷の評判が中高音フォーカス、弱ドンシャリからフラットというもの。以前低価格帯との比較用にSONY XBA-N3BPを所有していましたが、これはもうSONYの音らしいドンシャリ。低音が膨らみ高音がシャッキリ中音はボーカルは近く音場は広さを感じないもの。勿論それはそれで良さがありますので、優劣ではなく嗜好の話。そのため中価格帯1BA+1DDハイブリッドモデルの本命として満を持しての入手となりました。

 

ikko Gems OH1Sのスペックですが先述の通り個人的に収集している低価格帯の中華イヤホン1BA+1DDハイブリッドモデルと同様に高音域用のバランスドアーマチュアドライバ(BA)を1基と中・低音域用のダイナミックドライバ(DD)を1基搭載した片側デュアルドライバ構成のハイブリッドモデルです。価格帯の違いからドライバの質が上がっているのは明白で、ダイナミックドライバには直径10mmのナノカーボンダイヤフラムドライバを採用。BAにはKnowles製33518を採用する等、高品質ドライバーを採用しています。

イヤホン本体にはシェル本体が航空機に採用されるアルミニウム合金の金属製。ステムノズルもシェル一体型のため同じ金属製となります。中価格帯に良くあるオール金属製と少々異なるのはIKKO独自構造のSVAS( Separating Vector Acoustics System )を初投入、採用しています。

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SVASとは何か?

簡単に説明すると、シェル本体を金属と金属の間に樹脂を挟み込み、金属と樹脂の異なる素材によって音響を調整する技術です。ここにikkoのコンセプトである「革新的な構成」が発揮されていますね。これは何が凄いのかと云えば、良くあるオール金属シェルでは高音域の響きが良いもののやや整理、統制されずに勝手に鳴り響き不自然な場合があります。それらを含めてチューニングしている訳ですが、中価格帯ではコストの制約もありますので、簡単ではありません。実際にOH1Sを聴いてみると高音域の響きに不自然さを感じない音にしっかり統制されていると感じます。

そして大切なのはこれまでレビューした低価格中華1BA+1DDイヤホンでは各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングに不自然さを感じる機種も多く、高音域BAの強さや、低音域DDの強さでドンシャリ傾向として誤魔化しているものも多いのですが、OH1Sは流石の中価格帯です。上から下までなめらかに繋がっていて、中音域に極端な凹みも感じません。

 

次に付属ケーブルです。中華イヤホンメーカーでは付属ケーブルはリケーブル前提で質を落としているところもありますが、ikkoはそんな妥協も許しません。

OH1Sに合わせて同社CTU-01をベースに開発し、1芯あたり0.127mmの細線を7本使用し4芯線化。従来のOH1やOH10付属のケーブルよりも解像感を向上させ見通しの良いサウンドに仕上げています。

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加えて、実機レビューで後述しますが、付属イヤーピースも同社オリジナルとすることで、装着感と音質を両立させており、ここでもikkoのコンセプトである「革新的な構成」であることを実現している商品と云えます。

 

さて、中華の技術力は常に進化しており、実際低価格帯1BA+1DDハイブリッドモデルのKZ ZSN pro XやKBEAR LARKは国内有名メーカーの低価格帯とも良い勝負をすると思います。

尤も、それは低価格帯での話。今回の中価格帯A20,000には1BA+1DDハイブリッドモデルは少なく1DDシングルダイナミックモデルが多く、且つ好評を得ています。しかしikko Gems OH1Sは知る人ぞ知る、隠れた名機としてポータブルオーディオファンに今後注目されえていく商品なのかもしれませんね。

 

ikko Gems OH1Sの納期として今回AliExpressで購入し中国本土からの発送という事もあり、国内amazonのようにはいきません。今回もオーダーから2週間強で届きました。昨今、感染症の影響で中国からの輸送は平時の様にはいきませんが、それも徐々に回復傾向であり最近はシンガポール経由ではなく台湾経由等で動き始めていますので、物流の安定化までもう少しというところですね。尤も平時であればAliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. ikko Gems OH1S実機レビュー 

それでは、早速実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングはikkoオリジナルの化粧箱です。黒を基調とした大き目の箱は表にかわいらしいイラストがあり、まるでOH1Sの音質を表すかのようなもの。高層ビル街の夜景の静けさに明るくも喧噪とは違う光を灯す、そんなイメージを抱かせてくれます。実際に聴いてみたOH1Sもそのイラストと違わずにしっとりとした曲にも合いますね。

 

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外側のスリーブを外すとイヤホンがプリントされていて暗所に光るStar Blueが綺麗です。


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更にブックケースの様なケースを外すと、いよいよイヤホン収納箱の登場です。


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収納箱は高級素材を使用しこれだけでも十分に高級感があります。上蓋を開けると黒地の内装の台座にイヤホンが収納され、台座を取り外すと箱の底に付属品が収納されています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースタイプのS、M、Lの3種が計2セット。フォームタイプのS、M、Lが1セット。他にはケーブルとケーブルとイヤホン本体分離器、予備ノズルフィルタ、イヤホンケース、ピンです。A20K、国内実売22,800円、AliExpressでは18,000円の中価格帯として必要十分の豪華な付属品となります。

 

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イヤホンケース内に某社のMMCX ASSISTと同様のケーブルとイヤホン本体を分離する器具とノズルフィルタの予備が収納されています。

 

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※先端のU字ピンはフィルタ清掃用でしょうか?


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※予備?フィルタも紛失時に役立ちます

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※同社のロゴをあしらったピンも付属。

 

それでは本体を見ていきます。

 

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ビルドクオリティですが、中華イヤホンとは云え、中価格帯ともなると非常に綺麗に仕上がっています。そしてステムノズル先端が楕円形となっています。

カラーバリエーションは青(Star Blue)と紫(Midnight Purple)があり、今回は青を選択しています。

 

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※ケーブルの収納箱も妥協無し


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付属ケーブルは先述の通りOH1Sに最適化された茶色と黒色の撚線、4芯銀メッキ単結晶銅線タイプが採用されています。プレイヤー側コネクタはI字タイプでikkoロゴ付、イヤホン側はmmcx仕様です。この付属ケーブルは被膜に引っ掛かりが無く、タッチノイズも殆ど感じません。肝心の耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的にややコシが有りますが、十分にしなやかなものとなり品質の高さ、ikkoのこだわりを感じられ高品質の印象。そのためそのまま使用できますしバランス接続を試したい方以外、無理にリケーブルはする必要がないと思います。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

※画像左からBQEYZ Spring1、ikko Gems OH1S、NF AUDIO NM2+ 

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OH1SとSpring1、NM2+の外観の比較として、サイズ感はSpring1が一番小ぶり。でも厚みがあります。造形は三者三様ですが、一番オーソドックスなのはOH1Sで耳への収まり、装着感も一番良好です。

OH1Sのみmmcxタイプのコネクタとなっています。

シェルの材質は、全てオール金属製。OH1Sのみ金属の間に樹脂を挟み込んでいますが、ほぼ金属製と云えます。

重量は三機種共にほぼ同じですが、ややNM2+が重く感じます。一番軽量なのはOH1Sとなりますが、耳への装着時には殆ど差が分からないレベルです。三機種共に耳への装着感は悪くありませんが、ステムノズルの太さはSpring1が太め。次にNM2+。OH1Sは寧ろ細目と云えますが、先述の通り楕円形。角度はSpring1がやや起きているのに対し、OH1Sが三機種の中でやや寝ています。

また、ステムノズル部には全てにメッシュフィルターがあり異物混入による故障を防ぐことができますし、清掃が容易ですね。

シェル本体の形状からは三機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、先述の通りOH1Sはステムノズルが比較的細めですが、楕円形となります。実際の装着感にはほとんど影響が無く、寧ろikkoオリジナルシリコンイヤーピースの形状が装着感に影響があり、通常の丸型で弾丸形状の傘とは異なる故に最初こそ違和感がありますが、慣れると装着感も軽く耳穴への圧迫感も少ないです。イヤーピースこそ社外品を使用し難いですが、付属のシリコンタイプでフィットする事ができればこれほど装着感が良く感じるのは驚きです。そのため付属シリコンイヤピで上手くフィットできなければ苦戦するかもしれません。

 

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※楕円且つ、傘が裾広がりのシリコンタイプ


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※フォームタイプ。同社i-Planetイヤーピースです。

付属のシリコンイヤーピースはikkoオリジナル楕円径タイプ。傘の裾野が広がるタイプで、通常の丸径、傘の裾野が弾丸のようなものとは異なります。個人的に通常のタイプとの互換性がある一般的なものの方が選択肢が増えるので好きなのですが、実際にはよく考えられた形状であることを使ってみて感じました。兎に角装着感が楽なんです。

音質的にはダイレクトに音を届けてくれ、やや低音がしっかりとするタイプに感じますが、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。

一方フォームタイプも付属。同社のi-Planetイヤーピースです。傘の高さが低めでシリコンタイプで上手くいかないときにフィット感を改善してくれます。

幸いシリコンイヤーピース Mサイズで私は上手く合わせられ、耳の奥やや浅めに蓋をするように装着しフィットしています。

低、中価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じますが、今回は同じ付属のシリコンイヤピで十分と感じられそれを使用しています。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. ikko Gems OH1S音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今後は価格帯関係なくSony NW-ZX507を基準としてレビューを行います。ずっとスマホ同等かやや良いくらいという基準を持ってきましたが、ご容赦ください。

ZX507については他の方のサイトでも詳しく解説していますので、SONYのまあまあの価格帯のサブスク対応android機です。従来のShanling Q1は3.5アンバランス接続のみですが、ZX507は4.4バランス接続にも対応しています。DACには独自開発のS-Master、フルデジタルアンプが採用されています。

Shanling Q1とZX507の音質の違いは音場がやや平面的に感じられるQ1に対し、ZX507は奥行きのある立体的な印象。具体的にはボーカルの位置に対し、高音や中音の演奏音がその周りやや離れた後ろ側に位置し自然な位置関係に感じられます。

次に、音質傾向ですが、音楽を正確に淡々と鳴らそうとするQ1に対し、ZX507は高音域と低音域をしっかりと鳴らすやや派手な音ながらも、ボーカルを邪魔せずにそれを引き立てています。所謂ドンシャリ傾向と云えますが、過剰なほどではなくて若干の演出という感じ。そして中音はボーカルに対し相対的に控えめに感じられますが、その分ボーカルはクリアです。特徴としては低音に厚みがありますので音楽を雰囲気良く聴くことができるSONYの音といえます。

個人的には音楽を楽しく聴くという本来の目的を達成するために必要十分なDAPと考えており、今年6月からは音楽配信サービス、Apple Musicがロスレス対応しましたが、android搭載DAPとして勿論対応(※1※2)しています。そして、何よりもBluetooth接続は安定していますので、強いて云えば電池持ちが悪い位しか不満はないです。

※1:2021/07/19現在 android版Ver3.6.0ベータ版(1115)で動作確認

※2:2021/07/22現在 android版Ver3.6.0正式版(1118)が配信開始

 

 

 

低価格帯のイヤホンの場合でDAPの違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。

 
miineco106.hatenadiary.jp

 

※FiiO M5とShanling M0の比較もよろしければご参考ください。 

miineco106.hatenadiary.jp

 

それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属Mサイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「音場が広くやや高音域がシャキシャキしているのに不快では無く、くっきり、はっきり聴こえます。低音は控えめですが、解像感が高い音」です。

箱出しではやや高音がシャキシャキと刺激的に感じましたが、鳴らし込み後は落ち着きなめらかさを感じます。

音場は広く前後左右の空間の広さを感じられます。

高音は煌びやかで響きが良く、より上までの伸びやかさがあり、十分な華やかさを感じられ存在感がありますが、なめらかさがあり尖りは感じません。

低音は量感こそ控えめですが、芯が感じられ締りとキレは良好。ベースラインは追いやすい。重低音は沈み込みは深さをそれ程感じませんが、芯の強さは有ります。

中音は高音同様に響きが良く華やかさがありますが、団子感やゴチャつきを感じません。ボーカルはクリアで自然な位置から聴かせてくれクリアで聴きやすく、ドライ気味ですが瑞々しさを感じます。

一言で云えば中高音寄りのフラット。もっと云えば清々しい音。

高音は煌びやかさは十分で伸びがある華やかさは前に出るような主張もなく、演出感は感じません。超高音までの伸びも自然でなめらかな印象です。不快に感じる尖りとは無縁でありながらも、ス~っと耳に届く音はボーカルを邪魔せず清々しい音。これは低価格帯でよくある解像感を高めるために高音域BAに前に出るようにシャンシャン鳴らす傾向とは違い演出感はありません。統制されたBAは質の高い音を届けてくれるものなのだと感心します。

中音は凹みを感じず、楽器の音はボーカルの周りやや後ろ辺りに位置し華やかに鳴りますが、その音は統制され暴れずに見通し良く鳴ります。ボーカルはクリアで聴きやすく、高音や低音に埋もれません。

ボーカルはややドライ気味なものの息遣いを感じられ不自然さを感じ難く、瑞々しさがあります。その分しっとりとした艶のある声を楽しみたい場合には相性というか分の悪さを感じるかもしれません。

低音は量感は控えめに抑えられています。そのため広がりや響きはそれ程感じず雰囲気はそこまでの印象があります。それでも響きというよりも芯のある音で締りとキレによる小気味良さと強さ、音の強弱や音階の掴みやすさを重視し、解像感の高い音を感じられます。

中高音寄りのフラットなイヤホンとしてはこれぐらいの低音が適度と云えるのかもしれません。そのため、普段低価格帯のイヤホンのドンシャリに慣れた方は物足りないと感じると思います。

重低音は沈み込みはそれほど深さを感じませんが、芯のある強さを感じ小気味良さがあります。低音域は高音中音をリズミカルに下支えし高音中音の煌びやかで伸びやかな音をマスクすることなく感じられ、先述の「清々しい音」にまとめられると思います。


これは同社のOH1やOH10とは趣が異なると感じています。

OH1Sのフラットとすれば、OH1とOH10はドンシャリ傾向と云えます。特にOH10ではその低音域の豊かさ。OH1では高音域の煌めきが評価されています。加えてOH10のボーカルは中低音寄りの傾向が艶を感じられるため、ボーカルホンとしてもファンの心を掴んでいます。そういう意味ではOH1SはやはりOH1の後継機と云えますが、よりその特徴を前面に出すことでOH10との差別化を図ったと云えると思います。

 

まとめるとikko Gems OH1Sは中高音重視の清々しいサウンドは低音こそ控えめとしながらもその解像感は高く、全音域をフラットな音とすることで音楽を分析的に聴くことも可能なイヤホンとなります。尤も、高音中音は華やかで見通しが良く、低音は芯のある音は決してモニターサウンドとしてだけではなく、リスニングでも心地の良い音を聴かせてくれる音と云えそうです。

一方でリスニング用途としての聴いていて楽しいドンシャリバランスとは言い難く高音域のシャリつく刺激的な強さや低音のドンの量が多い強ドンシャリを求め、演奏メインで聴きたい方には、もの足りなさを感じ評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   OH1S ≧ OH1 ≧ OH10 

中音   OH1S ≧ OH10 ≧ OH1

低音   OH10 ≧ OH1 ≧ OH1S

ボーカル OH10 ≧ OH1S ≧ OH1

 

 

4. ikko Gems OH1Sの総評

ikko Gems OH1Sはikkoの質の高いサウンドに仕上げられたモデルと云えます。

伸びやかで澄んだ高音域は音数の多い楽曲でも破綻することなく、広さを感じる中音域は響きが良くなめらか。締まりの良いタイトな低音域はリズミカルに高音中音域を支え、解像感の高い音を耳に届けてくれる清々しいサウンドは高音重視の方にも納得いただける音質にまとめられていると思います。

このOH1Sの音はOH1の音をikkoのコンセプトで再解釈した音であり、OH10とも異なる音色はユーザーの嗜好に合わせて選択できるラインナップ補強と云えますね。

そして当たり前かもしれませんが、低価格帯モデルとはそのサウンドの質が異なり、上質で清々しさのある音はikkoの音を試してみれば好きになる人が多いという話にも納得です。

そういう意味では中華イヤホンは中々試聴をする機会がありません。国内代理店がある商品はeイヤホン等で視聴できる場合がありますので機会があれば是非試聴をしていただければと思います。そして、昨年と今年は大規模試聴会がCOVID-19感染症の影響で見送られており、良い商品が世の中に認知されにくい現状を残念に思います。

 

最後に、今回は国内大手イヤホン専門店でも取扱がある中価格帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2021年10月22日)はAliExpressや国内amazon(eイヤホン発送)、国内大手イヤホン専門店の店頭及びweb本店でも発売されており、AliExpressの方が安価に入手できますが、その入手性には現在も難があります。とはいえ中華イヤホンの中でもその音質を含めクオリティの高さは十分満足できる内容となっておりますので、中価格中華イヤホンに挑戦してみようと検討中の方や間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実な国内正規品を。少しでも安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

OH1S

以下、付属ケーブル、付属シリコンイヤピ M使用、DAP ZX507
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★★
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回はいつもの低価格中華1BA+1DDハイブリッドイヤホンではなく、中価格A20K中華1BA+1DDハイブリッドイヤホンの商品のレビューとなります。低価格とは格の違いを見せつけられましたし日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後も低価格?を中心に、中華据え置き機器や複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。まあ、未レビュー品が少々溜まってきていていますので頑張っていきます。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

JSHiFi Sky ケーブルレビュー ※CCA NRAをリケーブル

こんにちは。

今回は中華低価格イヤホンレビューではなく中華ケーブルレビューをしていきます。

今回は先日発売されたJSHiFi Skyケーブルのレビューをまとめたいと思います。

国内amazonのJSHiFi(@xiaoxia76571098)から購入しています。

 

 

 

※実物はもう少し薄い青色です

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1. Skyケーブルについて 

JSHiFiは国内amazonマーケットプレイス扱いでイヤホン用ケーブル等を中心に販売している新進セラーです。

以前レビューした同社Hi8ケーブル、GYT8ケーブル、D4Gケーブル、RB8ケーブル、ZB8ケーブルに加え、ZHX変換ケーブルと数多ある中華ケーブルの中でも品質の高い線材を使用する等、後発メーカーの強みとしてコストパフォーマンスに優れたモデルを販売しています。そのJSHiFiから従来他社よりも安価なエントリー帯のHi8と同グレードモデルとして今回、Skyケーブルが新発売されました。

以前のケーブルレビューでも触れましたが、近年の中華ケーブルのトレンドは以前の多芯化から高価で質の高い線材へ変化しています。それに伴い数年前まで主流だった銀メッキ銅線が当時16芯銀メッキOFC(無酸素銅)ケーブルが6,000円。8芯銀メッキOFCケーブルが4,000円という価格帯から、現在の16芯銀メッキOFCケーブルが3,000円。8芯銀メッキOFCケーブルが2,000円と3年前の半値という市場に変化しました。販売価格の変化は単にものの値段の下落、所謂デフレという事ではなく、競業他社との価格競争という事だけではなく、そもそもの製造原価が、という方が腑に落ちそうですが、そこは純粋にメーカー各社の努力もあると考えています。

僅か数年で価格破壊のあった中華ケーブル市場にJSHiFiは先述の通り、更に後発メーカーの強みをセオリー通りに従来の中華ケーブルの価格帯から更に安価なラインアップ展開でオーディオファンの間で注目されています。

 

さて、中華ケーブルの魅力は何と言っても「国内外有名メーカーの何分の一の価格で購入できる」であり、リケーブル効果を安価に楽しみたい方や、その効果を試してみたいけど、国内外有名メーカー製は高価で手が出せない方(含む筆者)の強い味方です。

これまでの中華ケーブルは品質の高い線材を採用した多芯化から高級線材の太芯化へ。現在は他社で24芯タイプという超多芯化や新たな線材としてグラフェンを採用した線材が発売されるなど、線材の探求という展開が始まっています。

それが新たな価値観「スペックを追求せずに用途に合わせて中華ケーブルを選択する」が生まれています。それはケーブルによる「相性」が感じられることがあり、リケーブルすることで音質の「変化」を楽しむ醍醐味の一つだと思います。もちろんリケーブルには「見た目」や「取り回しの良さ」に加え、最も大きいのは「バランス化」による恩恵だと思います。

そんなリケーブルの目的を安価に実行でき、楽しめる中華ケーブルJSHiFiのケーブルラインナップは中華イヤホンファンの強い味方と云えますね。

 

JSHiFiのラインナップを簡単に説明すると、以前レビューした同社Hi8が同社の中で1,000円台のエントリーモデルとなるものの従来の他社3,000円前後のケーブルと同等の品質の銅線(OFC)に銀メッキを施した線材を採用し芯線を8本とすることで安物感が無く、初めてのリケーブルに。

その上位モデルとしてZB8では細い線材を1芯辺り40本を纏めた8芯銀メッキ銅線を採用し被膜を黒と銀色の混合線で、それよりもワンランク上を感じさせ、低音を締めやや高音寄りの特徴があり、高音を伸ばしたい場合に良好な変化を与えてくれるケーブルで2,000円を僅かに超える価格。

次にGYT8では金メッキ銅線と銀メッキ銅線と銅線の三種混合線の8芯としそれぞれの線材の良いとこどりしたミドルグレード線材を採用する得手不得手の少ない合わせやすいケーブルで3,000円を切る価格。

また、同クラスの異種、D4Gでは単結晶銅線(OCC)に金メッキを施した高品質線材を4芯とすることでハイグレード線材を採用し、ラインナップの中でも音質変化を最も楽しめ3,000円を僅かに超える価格。

それらの上位モデルとしてこのRB8ケーブルには単結晶銅線材に金メッキと銀メッキを施した混合線材というハイグレード線材を採用し販売価格も5,000円台と一気に上がっていますが、音質が上質に変化し価格の価値がある商品となっています。

そして今回のSkyケーブルは同社Hi8と同クラスのモデルラインナップに追加され、Hi8ケーブルが線材の被覆が黒、銀、白色の三種と、コネクタタイプもノーマル2ピン、QDC(KZ-C)、TFZ、mmcxを。プラグタイプは3.5、2.5、4.4mmプラグを選択できるというエントリーラインの中でも選択肢が多いリケーブルお試し層にぴったりな商品でした。SkyケーブルはHi8同様に銀メッキ銅線を採用し被覆は青色のみとなりますが、Hi8同様のコネクタとプラグ選択が可能な万能モデルと云えそうです。

 

そんな訳で庶民の味方JSHiFi Skyケーブルを入手しました。Hi8ケーブルはやや中低音を厚くする傾向でしたが、このSkyケーブルはどの様な変化を聴かせてくれるのか楽しみですね。

 

 

2. Skyケーブルの実機について

それでは実際にケーブル実機をみていこうと思います。

 

※実物はもう少し薄い青色です。

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パッケージはお世辞にも豪華とは言えませんが、他社の低価格帯と同様に簡素なもの。

JSHiFiでは「商品にコストを注力」しているとのこと。個人的にその潔さは嫌いではありません(賛辞)。

 

※ほぼ実物の色です(上手く撮れました)

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今回購入したのは4.4バランス、QDC(KZ-C)仕様です。ピン極性はイヤホン上側がプラスになるKZ系と同様の仕様です。

薄青色の被覆の線材が編込まれたHi8とは趣が違う綺麗なケーブルです。線材には高品質な銀メッキ銅線を採用しています。端子等の外観ではプラグやスプリッター及びコネクタ部にチープさを感じさせないものを採用しており、1,000円台で購入できるケーブルには見えません。惜しいのは線材の被覆はビニル素材を採用しているためやや引っ掛かりを感じますが、十分なしなやかさが使いやすく取り回しは良好といえます。


参考としてSkyケーブルを以前レビューした同社Hi8及びZB8ケーブルと外観の比較をしてみました。

 

※上からZB8、Sky、Hi8ケーブル

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ZB8が8芯ながらも一番細め。SkyとHi8も同じ8芯ですがZB8よりも編込みが緩く太く見えますが、中華リケーブルの一般的な太さです。またZB8よりも全体的にしなやかさを感じますが、ZB8も取り回しが悪いと感じることはありません。

コネクタ付近にはシュア掛け用にチューブで成形されています。

プラグとスプリッターもそれぞれ種類の違いがありますが、この辺りは好みの問題もあり一概には云えませんが、Skyケーブルで採用されたプラグ等は青色にマッチしていると個人的に感じています。

 

そして今回、SkyケーブルをCCA NRAにリケーブルしてみました。

 

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Skyケーブルの薄青がNRAにマッチしていると思います。まあNRAのシェルが青なら完ぺきだったと思いますけど(自己満足)。

 

ちなみに、NRAの付属ケーブルと比較してみました。

 

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NRAから付属ケーブルが新世代に変更になっており、例を挙げればfinal E3000で採用されている1芯に2本の線材を被覆し並列ストレートの4芯線と同じタイプです。

8芯のSkyケーブルとの違いを一番感じます。

 

JSHiFi Skyケーブルの納期ですが、流石の国内amazon、当日発送、翌日配達です。もしAliExpressで購入した場合、スタンダードシッピングでは早くても約2週間。通常2週間から1か月程度待つことになります。尤も、Skyケーブルは国内amazonの取り扱いのみとなります。

そんな訳で、一般的にAliExpressでの購入では国内で購入するより安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

3. Skyケーブルの音質変化について 

それでは、いよいよJSHiFi Skyケーブルの音質変化レビューです。

 

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先述の通り今回はSkyケーブルをCCA NRAにリケーブルして音質の変化についてまとめていきます。

再生環境はいつものSONY ZX507に4.4バランス接続です。

 

※よろしければ以前のCCA NRAレビューもご参考ください。

miineco106.hatenadiary.jp

 

それではリケーブルして実際に聴いてみます。 

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳をとじて倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

NRAはレビュー時同様にTrn付属白色 Mサイズ。付属ケーブルです。

始めにレビュー時のNRAをおさらいします。

高音は煌びやかで伸びも良く、音の消え入る様を感じられますが、決して前に出るような主張がなく、かと言って控えめという事ではなく、自然で演出感は抑えられていて、超高音までの伸びも自然に綺麗に伸びる印象です。低価格帯のBAの高音域で感じるような不快な尖りはなく、中音域やボーカルを邪魔しない弁えた音は統制され整った音です。

中音は1BA+1DDハイブリモデルで感じる凹みはなく、相対的に寧ろ凸を感じます。楽器の音はボーカルの周りやや後ろ辺りに位置し華やかに鳴り小さな音の消える様を感じられる解像感と分離感は良好です。

ボーカルはややドライ気味なものの息遣いを感じられ自然な感じ。バラードなどのしっとりとした雰囲気を楽しみたい場合には相性というか部の悪さは感じられるものの、悪くありません。

低音は適度な量感に抑えられていて、広がりや響きはそれ程感じません。ですが、三重磁気ドライバのお陰なのか、芯の強さとキレの良さは特筆もの。元々KZ系の二重磁気ドライバでもその良さがありましたが、三重磁気に進化したことでその良さが強化されています。その分、重低音は強さはあるものの沈み込みは少し抑え気味。これは三重磁気ドライバの性質というよりは中音域の下の方と低音域とのバランスを取った結果と推察。

結果として、CCAとしていつも通りどこかの音域に尖ったところを持たせずにバランス良くまとめた音というものです。

 

これをSkyケーブルにリケーブルすると一聴して音場の広さと音のなめらかさを感じられます。これは3.5mmアンバランスから4.4mmバランスへの変更の影響に加え、8芯による情報の増加による音の厚みによるものと考えます。

特に低音域が締まりよりタイトに鳴ることでNRAの三重磁気ドライバのキレの良さをより感じると共に、音の強弱、音階が掴みやすく解像感が増し、新型ダイナミックドライバの実力が発揮されていると感じます。

そして中音域のなめらかさは立体的に広がった音場の広さと相まって、付属ケーブルでは抑えられ窮屈だったのだと再認識。リケーブルしたNRAはより解像感を感じやすく、その特徴を更に進化させた音色に変化した印象です。

一方でボーカルは付属ケーブルでは暖かさを感じられましたが、自然な声色に。その分声の輪郭がくっきりと聴こえますが、これは好みが分かれると思います。

また、元々特筆ものの高音域は僅かに前に出た印象がありますが、より洗練され見通しの良い空間の中にはっきりと表れ、伸びやかだった高音域が更に良い印象に変化します。決して強すぎず、弱すぎず、主張は弁えて。具体的にはシンバル等の金属音はここというときにくっきりと存在を示し、伸びやかさではシャーンという伸びながらやがてゆっくりと消え入る様を感じられます。低価格帯の尖りを感じるギリギリを攻めた解像感や躍動感とはレベルの違う音であり、ESTドライバの真骨頂と云えます。

そのため、基本的に中・高音域寄りのややドンシャリだったNRAがフラットに近づきますので、ドンシャリが好きな方はちょっと異なる方向性に感じられるかもしれません。その場合には同社Hi8ケーブルの方が良い印象を持たれるかもしれません。尤も、Hi8もSkyケーブルもイヤホンの音質傾向を大きく変えるような変化ではなく、イヤホンの音の特徴を伸ばしつつ、味付けとしての変化となりますので、中高音寄りフラットで見通しの良い音が好きという方にはSkyケーブルの方がお勧めできます。

 

まとめるとJSHiFi Skyケーブルは同社のHi8ケーブル同様にラインナップの中で低価格のエントリーラインながらも、適度な変化を感じられます。Skyケーブルと同クラスのHi8ケーブルでは中低音域に厚みを増しドンシャリ感の雰囲気を良好にする変化とは逆に、中高音寄りのフラット寄りに変化させ全体のなめらかさを良好にさせたいときは、このSkyケーブルを試して欲しいと云えます。

なおZB8ケーブルは低音を締め、高音域をもっと伸ばしたいときにその良さを感じられると思いますので、NRAの高音域をより尖った音にしたいときには良いかもしれませんが、個人的にそれはやり過ぎ感がありバランスが悪いかなと思います。

 

 

4. Skyケーブルの総評 

JSHiFi Skyケーブルは同社Hi8やZB8ケーブル同様に中華ケーブルの中でもハイコスパケーブルと云え、今回試したNRAでは相性の良さを感じられました。1,000円台で購入できる中華ケーブルとして、変化も十分に感じられ、他社製品と比較しても遜色なく、且つ後発の有利さを活かした安価な販売価格はお勧めしやすいケーブルとまとめました。

尤も、その価格からは流石に高級帯のケーブルには届かない、限界を感じる部分もありますが、手持ちのイヤホンに安価に変化をつけたい。変化をさせて楽しみたい場合に特にお勧めできる商品だと思います。

 

最後に、今回は国内amazonで2,000円以下で購入できる低価格帯の中華ケーブルの紹介となりました。現在(2021年10月9日)はamazonでのみ発売されており、AliExpressでの取り扱いはなさそうです。そのAliExpressは入手性には現在も難があります。とはいえこれまでの低価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっておりますので、低価格中華ケーブルの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの購入をした方が良さそうです。

 

 

あとがき

今回は低価格帯中華ケーブルの新商品のレビューをしてみました。今後もヘッドホンアンプや従来通り複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホン同様にケーブルにも挑戦してみようと思います。

今後も気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

okcsc ED10レビュー

こんにちは。

今回もいつもの低価格中華イヤホンレビュー編として、1BA+1DDハイブリッドモデルではなく1DD、シングルダイナミックモデルのokcsc ED10についてレビューをまとめたいと思います。

国内amazonのokcsc公式ストア(@okcsc_carolwong)から購入しました。

 

 

AliExpressのokcsc Official Storeでも取扱があります。

 

ja.aliexpress.com

 

 

 

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1. okcsc ED10について 

okcscと云えば、その国内amazonの商品ラインナップから中華系PCサプライメーカーという印象を持ちますが、実はAliExpressではヘッドホンやイヤホンも多く販売しています。実際の用途としては昨今のリモートワーク等で利用可能なイヤホンを低価格で販売しており、音楽を聴くという用途だけでなく、声を届けるという商品を扱っています。

これまで、特に流行りのワイヤレスイヤホンに力を入れているという個人的な認識でしたが、amazonで見かけたED10があのイヤホンに似ていて、もしやOEM?と思い今回購入に至っています。

実際に手元に届いたED10はシェルのデザインがCCA CA2やTrn MT1と同じであり、製造工場が同じと云えそうです。それ自体は何という事もなく、中華イヤホンではよくある話。それでもCA2とMT1はメーカーの音の違いが反映されていて、中低音寄りのCA2に対し、中高音寄りのMT1と別物です。そもそもシェル本体の金型を流用というか共用している?若しくは製造工場のパーツラインナップとして選択しているのだろうと推察できます。それが低価格で販売できる競争力と云え、世界の工場、中国が効率を重視し世界の中心となっている現状がそれを裏付けています。

そういう意味でこのED10は流用技術による圧倒的なコストパフォーマンスによって生まれた商品と云え、国内amazonで販売価格が1,000円台後半と破格と云えます。

破格と云えば、そもそもokcscが取り扱っている商品の殆どがそうだとも云えます。その分、後発の商品展開と感じる部分もあり、実際そうなのだろうと思います。

それでも他業種で云うジェネリック医薬品の様に特許切れに伴い後発で同成分、同効能の医薬品を販売することで開発費を抑えた商品展開は、嵩む医療費を抑制するという事例もあり、決してそれが悪だとは云えませんし、思いません。

寧ろそれを積極的に行うことで事業を拡大させていく姿勢は、公僕ではない民間企業が慈善事業ではないという現実がそこにあるのだと考えます。

 

閑話休題

兎に角、okcsc ED10が生い立ちがどうあれ、私たちユーザーにとって有益かどうか。良いイヤホンかどうかが重要であり、昨年のKZ EDXから続く低価格帯のトレンドモデル、シングルダイナミックモデル群の中で、ED10がどんな音を聴かせてくれるのか。そして、これまでのシングルダイナミック、トレンドモデルのライバル達との違いが気になります。

 

okcsc ED10はamazonの商品ページでは今年5月に登録されており、片側に一つのダイナミックドライバを搭載するTrn等の各社一連のトレンドモデルと同時期になります。低価格帯の中華イヤホンでポピュラーな1BA+1DDハイブリッドモデルでは高音域をバランスドアーマチュア(BA)ドライバ1基がそれを担いましたが、ED10ではダイナミックドライバ(DD)1基が高音から低音域までをフルレンジで担っています。音を繊細に高い解像感で表現するのにBAは最適ではありますが、中華イヤホンの低価格帯で採用されているBAの質は残念ながら高いとは言えず、音に粗さがあり解像感を重視した結果、シャープさはあるが故に尖りも兼ね備えてしまう痛し痒し。もちろんドライバの質だけでなくチューニングも重要です。高音域のBAと中・低音域のDDの各音域のクロスオーバーはメーカーの腕の見せ所となりますが、今回はダイナミック1基となりますのでその心配は不要です。

とはいえ、それらのチューニング技術は数年前に比べればかなり良くなってきており、実際KZ ZSN pro XやKBEAR LARKは国内有名メーカーのU5K辺りとも良い勝負をすると思います。

ですが、初期ZSTの頃の1,000円ちょっとという圧倒的コスパからはやや高価になり、現在は2,000~3,000円と国内メーカーのエントリーモデルと同等となった今、それでも十分にコスパは良いものの、ED10を含むこれらトレンドモデルでは敢えてシングルダイナミックドライバ1基の「ハイコスパモデル」が注目されています。

そのため、今回はトレンドモデルのKZ EDXやCCA CA2との違いを交えながらレビューをまとめていきたいと思います。

 

okcsc ED10のスペックですが先述の通り中華イヤホンの低価格帯で多く採用されている高音域用のバランスドアーマチュアドライバ(BA)を1基と中・低音域用のダイナミックドライバ(DD)を1基搭載した片側デュアルドライバ構成のハイブリッドモデルとは異なり、一つの大径ダイナミックドライバを搭載し、高音域から低音域の全域を担当しています。

ダイナミックドライバには直径10mm二重磁気ドライバを採用。イヤホン本体はシェル本体が樹脂製、ステムノズルが金属製。KZ EDXやCCA CA2のオール樹脂製とは異なります。

そして大切なのはこれまでレビューした低価格中華1BA+1DDイヤホンでは各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングが重要となりますが、ED10ではシングルダイナミックドライバであることから音域毎のチューニングが重要です。このチューニング次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくると云えますね。

 

okcsc ED10の納期として今回国内amazonで購入し、当日発送、翌日配達と流石の国内amazonです。AliExpressではオーダーから届くまで数週間かかります。昨今、世界的に広がった感染症の影響で中国含む海外からの輸送は平時の様にはいきません。現在は徐々に回復傾向であり最近は台湾経由等で動き始めていますので、物流の安定化までもう少しというところですね。尤も平時であればAliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. okcsc ED10実機レビュー 

それでは、早速実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングは白を基調としたサイドが黒の小箱で、横長スリーブタイプの化粧箱です。
箱の表にはイヤホンイラストが。裏にはスペックが記載されています。

 

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スリーブを外すと白地の内装の台座にイヤホンが収納され、台座を取り外すと箱の底に付属品が収納されています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースが黒色タイプのS、M、Lの3種が計1セット。そのシリコンイヤピMサイズが本体取付け済。他にはケーブルです。U2K、実売1,000円台の低価格帯として必要最低限の付属品となります。

 

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次にビルドクオリティですが、中華イヤホンで心配されるような雑なところ感じさせない、近年のレベルアップを感じられ、寧ろKZ EDXよりもシェルの合わせ面等が綺麗に仕上がっています。カラーバリエーションはグリーンとパープルとレッドがあり、今回はパープルを選択しています。

 

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付属ケーブルはTrn付属の4芯銅線、黒色の編込みタイプが採用されています。プレイヤー側コネクタはL字タイプでメーカーロゴ付、イヤホン側はKZ-Cタイプ、2ピン仕様、KZ極性(上がプラス)です。この付属ケーブルは耳への装着性や使用感は特別良くも悪くもなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。KZ等に付属するケーブルよりも絡まり難く、しなやかなものとなり低価格帯に付属するケーブルの中ではそれ程悪い印象はありません。そのためそのまま使用できますし黒色ケーブルは落ち着いた色味からは、シェル本体をブラックを選択した場合、その色と相まって普段使いでは気になりません。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

※画像左からCCA CA2、okcsc ED10、KZ EDX 

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ED10とCCA CA2、KZ EDXの外観の比較として、サイズ感や体積はほぼ同じ。

三機種共にシェルの造形はカスタムIEM風のオーソドックスな横に広いタイプ。

ED10のみステムノズルが金属製。EDXとCA2はオール樹脂製です。

三機種共に重量はほぼ同じ。その造形から耳への装着時には殆ど差が分からないレベルです。何れも耳への装着感は悪くありません。ステムノズルの太さはED10が金属製で僅かに太く、ほぼ同じ。ED10が金属製でありその加工性の有利さからイヤピの抜け防止の返し部は細めだが、ノズル長はやや長め。CA2とEDXは一体成形の都合上、強度を持たせる為に太さがあります。角度については三機種共にほぼ同じ。

また、ステムノズル部には全てにメッシュフィルターがあり異物混入による故障を防げます。そしてED10のフィルターはEDXやCA2の長穴と違い丸穴。

そして、シェル本体の形状は3機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、先述の通りED10のステムノズルはやや太く、太いステムノズルでは装着感に影響があり、圧迫感を感じやすいですが、ED10でもイヤーピースの大きさでシンプルに調節可能です。

 

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付属イヤーピースはTrnで付属する赤軸傘黒色タイプのとも少し違う黒色タイプです。個人的にTrn付属の黒タイプは傘がパサパサしていて遮音性がイマイチに感じる事が多いのですが、こちらはRevoNext付属の傘のタイプに近くややパサパサ感がありますが、遮音性は及第点。

音質的にはTrn付属黒色同様にやや中低音がしっかりするタイプに感じますが、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。

幸いこの付属イヤーピースでも私は上手く合わせられ、耳の奥に栓をするように装着しフィットしています。

低価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じますが、今回は同じ付属のイヤピ黒色で十分と感じられそれを使用しています。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. okcsc ED10音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今後は価格帯関係なくSony NW-ZX507を基準としてレビューを行います。ずっとスマホ同等かやや良いくらいという基準を持ってきましたが、ご容赦ください。

ZX507については他の方のサイトでも詳しく解説していますので、SONYのまあまあの価格帯のサブスク対応android機です。従来のShanling Q1は3.5アンバランス接続のみですが、ZX507は4.4バランス接続にも対応しています。DACには独自開発のS-Master、フルデジタルアンプが採用されています。

Shanling Q1とZX507の音質の違いは音場がやや平面的に感じられるQ1に対し、ZX507は奥行きのある立体的な印象。具体的にはボーカルの位置に対し、高音や中音の演奏音がその周りやや離れた後ろ側に位置し自然な位置関係に感じられます。

次に、音質傾向ですが、音楽を正確に淡々と鳴らそうとするQ1に対し、ZX507は高音域と低音域をしっかりと鳴らすやや派手な音ながらも、ボーカルを邪魔せずにそれを引き立てています。所謂ドンシャリ傾向と云えますが、過剰なほどではなくて若干の演出という感じ。そして中音はボーカルに対し相対的に控えめに感じられますが、その分ボーカルはクリアです。特徴としては低音に厚みがありますので音楽を雰囲気良く聴くことができるSONYの音といえます。

個人的には音楽を楽しく聴くという本来の目的を達成するために必要十分なDAPと考えており、今年6月からは音楽配信サービス、Apple Musicがロスレス対応しましたが、android搭載DAPとして勿論対応(※)しています。そして、何よりもBluetooth接続は安定していますので、強いて云えば電池持ちが悪い位しか不満はないです。

※2021/06/19現在 android版Ver3.6.0ベータ版

 

 

 

低価格帯のイヤホンの場合でDAPの違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。

 
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※FiiO M5とShanling M0の比較もよろしければご参考ください。 

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属黒色Mサイズ、付属銅線ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「やや低音に膨らみを感じる低音と過不足ない高音域のドンシャリバランス」でした。

箱だしではやや低音に膨らみを感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音が締まり落ち着き相対的に中音がすっきりと感じます。いつも聴きながら執筆していますが、MT1の音に似ています。

音場は広くも狭くもない普通。

高音は適度な煌びやかさがあり華やかさはありますが、伸びは控えめ。刺さりは感じません。

低音は適度な量感があり芯が感じられ締りとキレがある。ベースラインは追いやすい。重低音は沈み込みは浅め。

中音は適度な華やかさがありますが、主張は少なくゴチャつきも少なく感じます。ボーカルはクリアで自然な位置から聴かせてくれ聴きやすい。

一言で云えば中高音寄りのややドンシャリ

高音は適度な煌びやかさと華やかさはやや控えめに感じ、超高音までの伸びも感じない。逆に云えば不快に感じる尖りもなく、良く云えば自然な高音。これはKZを始めとする低価格帯1BA+1DDハイブリッドモデルと比べると控えめという印象。

中音は凹みを感じ難く、楽器の音はボーカルの周りやや後ろ辺りに位置し華やかに鳴ります。ボーカルはクリアで聴きやすく、高音低音に埋もれません。というよりも高音と低音は主張がそれほど強くなく感じるため相対的にそういう印象を持ちます。

全体的にみれば中高音域が聴きやすい音で、音数が多いハードな曲でも音の重なりをあまり感じず、団子感は少ない。ボーカルをしっかりと聴くことができます。

ボーカルはややドライ気味ですが、自然で不自然さはあまり感じません。それでもしっとりとした雰囲気を楽しみたい場合にドライ気味な声に多少相性を感じるかもしれません。

低音は適度な量感で芯のある音で締りとキレがありますが、強さはそこまでありませんので、控えめに感じるかもしれません。重低音は沈み込みは浅めでやや物足りなさも感じます。それでもこの低音が高音中音を邪魔をしない適度な量で下支えし中高音寄りのバランスの良いドンシャリはほぼMT1と同じ音という印象です。ただし、ED10の付属イヤーピースがやや低音をしっかりさせてくれている様で、ベースラインはMT1よりも掴みやすく、何処かを誇張せずにバランスの良い音を聴かせてくれる印象です。

これらは以前レビューしたTrn MT1の音質傾向と印象は同じで、恐らくMT1がベースモデルというかそのまま?の気がします。

実際にMT1同様に高音は伸びや華やかさが適度、全音域をバランスよくするために低音も主張を抑え気味にした感がありますので、今更ながらMT1の音質傾向はフラット寄りにしたややドンシャリの良さを感じます。まあ、1BA+1DDハイブリ機と違い不自然さは殆ど感じませんが、それに慣れていると高音低音は物足りなさを感じると思います。

次に、KZ EDXやCCA CA2との大きな違いはそれらが中低音寄りに対し、ED10(≒MT1)が中高音寄りという事。CA2はドンシャリ感が一番強くEDXはED10に近いもののやはりドンシャリで中音域に凹みを感じます。ED10は中音域の凹みを感じさせずに上手く高音と低音とバランスを整えています。

またKZ EDXとCA2はベースラインがしっかり感じられますが、ED10はそこまで前に出る穂ではありませんし、低音もしっかりしているそれらとは結構違いを感じやすい部分と思います。

ED10は中音域はすっきりクリアに聴かせる音色ですが、EDXやCA2では低音域が多少重なっていると云え、特にCA2は中低音が前に感じられる為、EDXもCA2よりクリアですが、ED10の方がすっきりクリアと云えます。

いずれにせよED10の音質傾向は高音低音を誇張しない整った高音中音のフラット寄りにしたバランスの良い音と言う印象です。

 

※以前のKZ EDXのレビューもご参考ください

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※以前のCCA CA2のレビューもご参考ください

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※以前のMT1のレビューもご参考ください

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まとめるとokcsc ED10は高音低音は適度に抑え、キレの良い音が低価格帯でよくある中音域のごちゃ付きを抑え、クリアですっきりとした高音中音域は音の華やかさとボーカルの聴きやすさを感じられる音質傾向はTrn MT1に似た音ですが、付属イヤーピースによりそれよりも僅かに中低音を感じられる音と云う印象です。

尤もリスニング用途としての聴いていて楽しいドンシャリバランスは中華イヤホンには高音域のシャリつく刺激的な強さや低音のドンの量が多い強ドンシャリを求め、演奏メインで聴きたい方には、もの足りなさを感じ評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   EDX ≧ ED10 ≧ CA2 

中音   CA2 ≧ ED10 ≧ EDX

低音   CA2 ≧ EDX ≧ ED10

ボーカル CA2 ≧ ED10 ≧ EDX

 

 

4. okcsc ED10の総評

okcsc ED10は昨年のEDXから続く1DDトレンドモデルの中でもTrn MT1同様に中高音寄りの中高音をクリアに整った音を聴かせてくれるバランスの良い音とまとめました。

1BA+1DDハイブリッドモデルからBAを取っただけのバランスではなく、1DDのみで十分良い音を聴かせてくれる音質に感心します。

そういう意味で中華イヤホンを「コスパ重視」で検討される方へお勧めできますが、中華イヤホンの強ドンシャリを求め検討されている方には注意が必要な商品ですね。

 

最後に、今回は国内amazonので発売されている低価格帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2021年10月1日)はAliExpressやamazonで発売されており、AliExpressでは1,000円前半の価格で入手可能です。一方amazonでは1,000円後半の価格と、AliExpressの方が安価に入手できますが、その入手性には現在も難があります。とはいえこれまでの低価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっておりますので、低価格中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、少しでも安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

ED10

以下、付属ケーブル、付属イヤピ M使用、DAP ZX507
高音★★★☆ 
中音★★★☆  
低音★★★☆ 
音場★★★☆
分離★★★☆
お勧め度★★★★  

※☆0.51.0

 

CA2

以下、付属ケーブル、付属イヤピ M使用、DAP ZX507
高音★★★☆ 
中音★★★★  
低音★★★★ 
音場★★★
分離★★★☆
お勧め度★★★★  

※☆0.51.0

 

MT1

以下、付属ケーブル、付属イヤピ M使用、DAP ZX507
高音★★★☆ 
中音★★★☆  
低音★★★☆ 
音場★★★☆
分離★★★☆
お勧め度★★★★

※☆0.51.0

 

EDX

以下、付属ケーブル、付属溝無白イヤピ M使用、DAP ZX507
高音★★★☆ 
中音★★★☆  
低音★★★★ 
音場★★★☆
分離★★★
お勧め度★★★★ 

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回はいつもの低価格中華1BA+1DDハイブリッドイヤホンではなく同じ低価格帯の1DDモデルの商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後も低価格?を中心に、中華据え置き機器や複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。が、先ずは、未レビュー品を捌いていきます(困)。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

Opera Factory OS1Proレビュー

こんにちは。

今回はいつもの低価格中華イヤホンレビュー編として、1BA+1DDハイブリッドモデルではなく1DD、シングルダイナミックモデルのOpera Factory OS1Proについてレビューをまとめたいと思います。

国内amazonのWTSUN Audio(@Naruto88814,@hulang9078)から購入しています。

 

 

 

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1. Opera Factory OS1Proについて 

Opera Factory OS1ProはWhizzer社のサブブランドとして以前Opera Factory OS1を発売しており、OS1Proはその後継機となります。

Whizzerと云えば、Kylin HE01が国内イヤホン販売店等でも取扱があり、国内外で音質に定評のあるモデルとなります。そのWhizzerのサブブランド、Opera FactoryからOS1Proが登場しましたが、今回はKBEARのプロモーションでEasy Earphones系販売店で取り扱いされています。詳しいことは分りませんが、入手の幅が広がる事は良い事だと思いますし、今回マイク無がA5Kなのに対し、マイク付きはU3Kで購入できました。

Opera Factory OS1Proは低価格帯中華1DDモデルとして新発売されました。先代のOS1もダイナミックドライバにグラフェンダイヤフラムを採用し、キレのある元気な音質傾向が中華イヤホンファンから好評を得ていました。もちろん「イヤホン」なので音質が大事ではありますが、フェイスプレートにはダイヤモンドカットが施され、樹脂シェルには金色のラメが混ぜ込まれた「綺麗な」イヤホンでデザイン性が高く、低価格ながらも所有感を満たしてくれるメーカーのこだわりが感じられる商品でした。

OS1ProはOS1の後継機として、「Pro」を冠して登場し、先代同様にダイナミックドライバにはグラフェンダイヤフラムを採用。シェルもフェイスプレートのダイヤモンドカットが踏襲されています。変更点としては先代OS1がリケーブル不可だったのに対し、OS1Proではリケーブル可能となったこと。これは意外に大きな問題でイヤホンの故障はケーブルの断線が多く、国内有名メーカーの低価格イヤホンの殆どはリケーブル不可となっています。お気に入りのイヤホンのケーブルが断線して音が聴こえないのは悲しいです。しかし、中華イヤホンでは低価格帯でもリケーブル可能なイヤホンが多く販売されており、そういう意味で「長く使える」のは安心感があります。

Opera Factory OS1Proは先代で好評を得たところをそのままに、ネガティブ要素だったリケーブルに対応させることで、元々デザイン性が高く商品価値を高めた商品と云えます。

 

個人的にWhizzerもOpera Factoryもシングルダイナミックという安心感のあるモデルにはこれまで手を出していませんでした。近年の低価格1BA+1DDハイブリッドモデルの「行きついた感」は拭えず、最近BAの代わりにESTを搭載する1EST+1DDハイブリッドモデルの登場により新たな局面を迎えようとしている期待感はあります。そんな中でもブランドイメージというか、メーカーのこだわりというか。それを地に足をつけているようなOpera FactoryはTFZ同様に今更ながら注目したいブランドと考えています。

それは、昨年から続く、KZ等の低価格1DDトレンドモデルをレビューしてみた時に感じた物足りなさ、不満感は低価格帯U1Kの限界を感じる音であり、シングルダイナミックモデルでももう少し上の価格なら…と云う興味が沸いたのが正直なところ。もちろんそれらは1,000円に満たない販売価格からは十分健闘しており、価格帯として十分に良い音なのですが。

そういう意味で今、敢えてシングルドライバの1DDモデルに注目しています。

 

Opera Factory OS1Proは低価格帯の中華イヤホンでポピュラーな1BA+1DDハイブリッドモデルが高音域をバランスドアーマチュア(BA)ドライバ1基がそれを担い、ダイナミックドライバ(DD)1基が中音から低音域を担う片側デュアルドライバとは異なり、片側1基のシングルダイナミックドライバモデルです。1BA+1DDハイブリッドモデルの様な二つのドライバの音域が重なるクロスオーバーチューニングなどがネックになりませんが、単純にドライバの質や純粋な音質のチューニングが重要となります。

 

Opera Factory OS1Proのスペックですが先述の通り片側シングルダイナミックドライバモデルです。中華イヤホンの低価格帯では音質に自信のあるメーカーのみ採用している印象です。ダイナミックドライバにはグラファイトダイナミックコイルダイヤフラムを直径10mmの新開発強磁気ドライバを採用する等、先代OS1からの進化を。

イヤホン本体にはシェル本体がオール樹脂製。ステムノズルがシェル一体型樹脂製を採用。

そして大切なのはこれまでレビューした低価格中華1BA+1DDデュアルドライバのイヤホンの様に各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングは不要なものの、それ故にシングルダイナミックドライバとして音質に妥協はできません。

OS1Proではシンプルに音質チューニングが重要です。このチューニング次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくると云えますね。

 

Opera Factory OS1Proの納期として、流石の国内amazonです。当日発送、翌日配達です。AliExpressで購入した場合は中国本土からの発送となりますので、オーダーから届くまで数週間必要です。現在も感染症の影響で中国からの輸送は平時の様にはいきませんが、それも徐々に回復傾向であり最近はシンガポール経由ではなく台湾経由等で動き始めていますので、物流の安定化までもう少しというところですね。尤も平時であればAliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. Opera Factory OS1Pro実機レビュー 

それでは、早速GK GSTの実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングは先代OS1の化粧箱を踏襲したインパクトのあるもの。ダークな色合い基調としたブランド名が金色の横型の化粧箱です。

 

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上箱を開けると黒地の内装の台座にイヤホンが収納され、台座を取り外すと箱の底に付属品が収納されています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースが白色タイプのS、M、Lの3種が計1セット。そのシリコンイヤピMサイズが本体取付け済。他にはケーブルとケーブルバンドです。U5K、実売2,000円台の低価格帯(マイク付きのみ)として必要最低限の付属品となります。

 

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次にビルドクオリティですが、中華イヤホンで心配されるような雑なところ感じない綺麗に仕上がっています。カラーバリエーションはクリア赤青(イヤホン左右で左が赤、右が青と色違い)とブラックがあり、今回はクリア赤青を選択しています。

 

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付属ケーブルも赤色の4芯5n無酸素銅(OFC)線の編込みタイプが採用されています。プレイヤー側コネクタはL字タイプ、イヤホン側はKZ-Cタイプ、2ピン仕様、KZ極性(上がプラス)、マイク付きです。イヤホン側が良くある右が赤、左が青の本体色ではなく、右が青、左が赤と逆になっていますが、ケーブルはコネクタ部に右を示す赤点があります。この付属ケーブルは耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的にやや絡まりやすいものの、しなやかなものとなり低価格帯に付属するケーブルの中でも高品質の印象。とはいえそのまま使用できますし赤色ケーブルはやや派手さはありますが、シェル本体の色が今回クリア赤青な為、それと相まって一体感のある印象を持ちます。まあ、個人的にはケーブルの被膜は黒色の方が合わせやすくて好きですね。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

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※画像左からTFZ MLE、Opera Factory OS1Pro、QKZ VK4 

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OS1ProとMLE、VK4の外観の比較として、サイズ感はほぼ同じ。造形もほぼ同じです。フェイスプレートが膨らんでいる分、OS1Proがやや大きく見えますが、耳への収まり、装着感はほぼ同じ、良好です。

イヤホン側コネクタはOS1Proが特殊丸型タイプ、MLEはTFZタイプ、VK4がKZ2ピンタイプとなっています。

シェルの材質は、三機種共にオール樹脂製です。

重量は三機種共にほぼ同じで、耳への装着時には殆ど差が分からないレベルです。三機種共に耳への装着感は悪くありませんが、全てステムノズルがやや太めで角度もほぼ同じです。

また、ステムノズル部には全てにメッシュフィルターがあり異物混入による故障を防ぐと同時に、音への効果もあります。一番変化をつけているのはMLEでやや目が細い。そしてOS1Pro、VK4のフィルターは目の穴が大きめです。

シェル本体の形状からは三機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、先述の通りOS1Proはステムノズルは比較的太めです。太いステムノズルは装着感に影響があり、圧迫感を感じやすく、OS1Proではその影響が感じやすいため、イヤーピースのタイプで上手く調節する必要があります。

 

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付属イヤーピースは(元々は中価格帯A5K)低価格帯にも付属するものとは異なり、しっかりとしたクオリティの赤軸白傘タイプの白色タイプです。個人的に中価格帯Over10Kのイヤホンに付属する印象です。

音質的にはやや高音中音がしっかりとするタイプに感じますが、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。

生憎この付属イヤーピースでは私は上手く合わせられず、手持ちのAET07 M-を耳の奥に栓をするように装着しフィットしています。

低・中価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じ、今回も付属のイヤピ白色ではフィット感が悪く交換しています。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. Opera Factory OS1Pro音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今後は価格帯関係なくSony NW-ZX507を基準としてレビューを行います。ずっとスマホ同等かやや良いくらいという基準を持ってきましたが、ご容赦ください。

ZX507については他の方のサイトでも詳しく解説していますので、SONYのまあまあの価格帯のサブスク対応android機です。従来のShanling Q1は3.5アンバランス接続のみですが、ZX507は4.4バランス接続にも対応しています。DACには独自開発のS-Master、フルデジタルアンプが採用されています。

Shanling Q1とZX507の音質の違いは音場がやや平面的に感じられるQ1に対し、ZX507は奥行きのある立体的な印象。具体的にはボーカルの位置に対し、高音や中音の演奏音がその周りやや離れた後ろ側に位置し自然な位置関係に感じられます。

次に、音質傾向ですが、音楽を正確に淡々と鳴らそうとするQ1に対し、ZX507は高音域と低音域をしっかりと鳴らすやや派手な音ながらも、ボーカルを邪魔せずにそれを引き立てています。所謂ドンシャリ傾向と云えますが、過剰なほどではなくて若干の演出という感じ。そして中音はボーカルに対し相対的に控えめに感じられますが、その分ボーカルはクリアです。特徴としては低音に厚みがありますので音楽を雰囲気良く聴くことができるSONYの音といえます。

個人的には音楽を楽しく聴くという本来の目的を達成するために必要十分なDAPと考えており、今年6月からは音楽配信サービス、Apple Musicがロスレス対応しましたが、android搭載DAPとして勿論対応(※1※2)しています。そして、何よりもBluetooth接続は安定していますので、強いて云えば電池持ちが悪い位しか不満はないです。

※1:2021/07/19現在 android版Ver3.6.0ベータ版(1115)で動作確認

※2:2021/07/22現在 android版Ver3.6.0正式版(1118)が配信開始

 

 

 

低価格帯のイヤホンの場合でDAPの違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。

 
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※FiiO M5とShanling M0の比較もよろしければご参考ください。 

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属白色Mサイズ、付属銅線ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「やや膨らみを感じる低音と過不足ない高音域のドンシャリバランス」です。

箱出しではやや低音に膨らみを感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音が締まり落ち着き相対的に高音中音がより元気に感じます。

音場は普通からやや広め。

高音は適度な煌びやかさと華やかさがあり存在感がありますが、刺さりは抑えられています。

低音は適度な量感があり芯が感じられ締りとキレは良好。ベースラインはやや目立ち追いやすい。重低音は沈み込みは深く強さも十分。

中音は適度な華やかさがありますが、高音同様に華やかさがありゴチャつきも少なく感じます。ボーカルはクリアで自然な位置から聴かせてくれ聴きやすく、曲によってやや近く感じます。

一言で云えば中低音寄りのドンシャリ

高音は煌びやかさを感じられ全体的な華やかさはやや前に出るような主張がありますが、嫌な感じは無く、演出感は抑えられています。超高音までの伸びはそれ程感じませんが自然な印象で不快に感じる尖りはなく、ボーカルを彩ります。

中音はやや凹みを感じますが、楽器の音はボーカルの周りやや後ろ辺りに位置し華やかに鳴ります。ボーカルは暖かみがありながらクリアで聴きやすく、僅かに低音が重なる場合上がりますが、殆ど気になりません。

全体的にみれば高音や低音域がしっかりとしていて音楽を楽しめる音で、音数が多いハードな曲でも高音域や中音域の音の重なる団子感を抑え、ボーカルをしっかりと聴くことができます。

ボーカルは暖かく艶を感じられ自然な声色を感じられ、しっとりとした雰囲気を楽しみたい場合には相性の良さを感じられます。

低音は適度な量感に抑えられていますが、広がりや響きは良く雰囲気の良い印象があります。特にベースラインは聴きやすい。

重低音は沈み込みは深さがあり強さがあります。ドゥオォォンという響きがありながらスーッと消える低音は高音中音を邪魔しないギリギリのバランスと高音中音の華やかさのあるバランスの良いドンシャリは、兎に角アップテンポな曲にもしっとりとしたバラードにも対応できる器用さを感じます。


これはこれまでレビューした低価格帯の1BA+1DDハイブリッドモデルでは中々再現できないかもしれない音の印象です。低音がしっかりとした上で高音中音をマスクしない音は、高音もBAの様な尖りもなく心地良さがあります。一方やや凹みを感じる中音域も過不足を感じずにボーカルはクリアに聴くことができ、KZ等の1BA+1DDハイブリモデルのドンシャリとは違います。これがシングルダイナミックが鳴らすことができる自然な音という印象で、1DDモデルの素直な音をが、そう感じさせるのかもしれません。

 

※以前のKZ ZSN pro Xのレビューもご参考ください

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※以前のKBEAR LARKのレビューもご参考ください 

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まとめるとOpera Factory OS1Proは中低音寄りドンシャリとなりますが、音楽を雰囲気の良く聴かせてくれ、ボーカルを楽しめるイヤホンとなります。高音中音は華やかで、低音はしっかりとした音。中音域は1BA+1DDハイブリモデルによくあるごちゃ付きを抑えクリアなボーカルは暖かく聴きやすい音質傾向はOpera Factoryの真骨頂と云え上位機種も気になってしまいますね。

尤もリスニング用途としての聴いていて楽しいドンシャリバランスは1BA+1DDハイブリモデルの主戦場。中華イヤホンには高音域のシャリつく刺激的な強さや低音のドンの量が多い強ドンシャリを求め、演奏メインで聴きたい方には、ややもの足りなさを感じ評価が分かれてしまうかもしれません。

 

 

4. Opera Factory OS1Proの総評

さて、Opera Factory OS1Proはシングルダイナミックモデルの良さを感じられるモデルとまとめました。

本来は中価格帯A5Kモデルが、今なら(2021/10/01現在)何故か2,000円台で購入できますので、1BA+1DDハイブリッドモデルとの違いを試してみたい方にお勧めできます。

そういう意味でOS1Proは「コスパ重視」の方へお勧めできますが、中華イヤホンの強ドンシャリを求め検討されている方には注意が必要な商品ですね。

 

最後に、今回はAliExpressで先月発売された低価格帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2021年10月1日)はAliExpressや国内amazon(本国発送)でも発売されており、AliExpressではマイク無が5,000円強の価格で入手可能です。一方amazonでも同様。本国発送の5,000円強の価格となりますが、マイク付きが2,000円台とお得感があります。今回はAliExpressの方が安価とは云えません。通常はAliExpressが安価ですが、その入手性には現在も難があります。とはいえこれまでの低価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっておりますので、低価格中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでprimeでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、少しでも安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

OS1Pro

以下、付属マイク付きケーブル、イヤピAET07 M-使用、DAP ZX507
高音★★★★ 
中音★★★★  
低音★★★★ 
音場★★★☆
分離★★★
お勧め度★★★★☆ (マイク付きコスパ★5) 

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回はいつもの低価格中華1BA+1DDハイブリッドイヤホンではなく、シングルダイナミックイヤホンの新商品のレビューとなりました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後も低価格?を中心に、中華据え置き機器や複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。いや、本当に、未レビュー品が溜まってきていてお蔵入りの危機です(困)。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ