みぃねこの備忘録

いろいろなこと、主に趣味の備忘録として活用。アフィリエイトやってません。お気軽にリンクからどうぞ。

CCA NRAレビュー ※KZ ZSN pro X、KBEAR LARKとの比較含む

こんにちは。

今回はいつもの低価格中華イヤホンレビュー編として、1BA+1DDハイブリッドモデルではなく、1EST+1DDハイブリッドモデルのCCA NRAについてレビューをまとめたいと思います。

AliExpressのCCA Official Store等で取扱があります。

 

ja.aliexpress.com

 

国内amazonでは一時期本国発送で取扱がありましたが、現在は販売していないようです(2021/09/18)。

例のクラウドファンディングが終了し国内amazonでもprime扱いが復活しています(2021/10/14)。※2021/10/14追記

 

 

 

 

f:id:miineco106:20210914185817p:plain

 

 

f:id:miineco106:20210918162527j:image

 

 

 

 

1. CCA NRAについて 

CCA NRAは言わずと知れたKZ系の派生ブランド、CCAのニューモデルです。販売価格がU3000の低価格帯モデルです。この価格帯は個人的に注目しており、これまでも1DD、シングルダイナミックモデルや1BA+1DDハイブリッドモデルを中心にレビューを行ってきました。市場の動向としては昨年のKZ EDXから始まったU1000、シングルダイナミックモデルが今年前半のトレンドモデルとなりましたが、そんな折に今年の注目株の一つとなる、静電ドライバを採用したモデルとして、1EST+1DDハイブリッドモデルのCCA NRAが登場しました。

中華イヤホンの静電ドライバと云えば、以前発売していたSHUOER TAPEを思い出しますが、あちらは中価格帯A10000のモデルで終売。現在はSHUOER TAPE Proが後継機として販売されていますが、販売価格15,000円と静電ドライバ(EST)を採用しているモデルはやはり高価です。

ところが、今回低価格帯の2,000円半ば程度で1EST+1DDハイブリッドモデルを試すことができる、CCA NRAが登場した訳です。そりゃあ、もう、買うよね?とオーダーしていました。

 

CCA NRAに採用したESTは6.8mm径の低電圧タイプです(メーカー資料)。こちらは中華オリジナルというか特殊な使い方とも云え、少ない電力で駆動させることができるものの、対応できる音域が狭くなります。

一方、高級機で採用しているESTは駆動するのに高電力が必要ですが、その分広い音域を対応が可能となっています。これがドライバのコストに加え、低価格帯に採用されにくい理由の一つです。

次に、NRAは低価格帯のモデルにESTを搭載し注目を集めていますが、実はそれだけではありません。新型のダイナミックドライバ(DD)が採用されています。従来の10mm径デュアルマグネティック(二重磁気)ドライバから、10mm径トリプルマグネティック(三重磁気)に進化したダイナミックドライバが採用されています。

二重磁気ドライバではキレの良い芯のある音を聴かせてくれましたが、三重磁気ドライバは一体どの様な音を聴かせてくれるのか?静電ドライバの中・高音域と同様に楽しみです。

 

さて、近年の低価格中華イヤホンは1BA+1DDハイブリッドが定番化していたところに、前述の通り昨年KZが1DDモデル、EDXをリリース以降CCAやTrnも発売しBAに頼らない1DDトレンドモデルを投入してきました。その結果は以前の各社低価格1DDトレンドモデルのレビューでも触れた通り、低価格帯の限界を感じる音と云うのが正直なところ。もちろん1,000円に満たないという販売価格からは十分健闘しており、価格帯として十分に良い音と云えますし、そこに間違いはありません。

それもその筈、敢えてBAを搭載しないシングルドライバの1DDモデルは従来の1BA+1DDハイブリッドモデルのBAを取り払ったダイナミックドライバのみの1DDモデルと云える中低音寄りの音質傾向となっており、Trn MT1の中高音寄りの音は最近のTrnの音でやや変わり種。そういう意味ではKZ EDXを含め価格帯に係わらず自社の音を真摯に追及していると云えるかもしれません。この一点はKZとTrnには信念を感じられます。

そして、一周回ってやはり1BA+1DDハイブリッドが低価格帯では最適解なのかなと感じさせられたのも事実です。低価格帯U1000ではそもそもドライバにコストを掛けられない。そのドライバも高級機の様な音域を上から下までワイドレンジに鳴らすことができない性能の限界。だからこその得意な音域をBAとDDで分担しましょうという発想は理にかなっているのだと。

しかし、1BA+1DDハイブリッドモデルが飽和気味で食傷気味なのも事実です。そりゃあ各社が1年ごとに新商品を出している訳ですので、そうなります。それに加えてここ1,2年で発売された1BA+1DDハイブリッドモデルでは「ハズレ」が無い。いや本当に音が破綻することなく鳴らすモデルばかりです。それに比べると正直3年前ぐらいまでの〇Zなんて酷い音だと思います。あの尖った高音が良い音なんて…とても…。まあ、それだけ今の音が安定しているからこそ感じるのかもしれません。少なくてもその頃は同価格帯での国内有名メーカー品では体験できない音でしたので。だって国内有名メーカーはそのころは「重低音シリーズ」ですもんねぇ。

 

そんな飽和市場への一手として、このCCA NRAが発売され、市場活性化の一手となるのか。従来の低価格帯中華イヤホンでポピュラーな1BA+1DDハイブリッドモデルは高音域をバランスドアーマチュア(BA)ドライバ1基がそれを担い、ダイナミックドライバ(DD)1基が中音から低音域を担います。音を繊細に高い解像感で表現するのにBAは最適とされていましたが、中華イヤホンの低価格帯で採用されているBAの質は残念ながら高いとは言えず、音に粗さがあり解像感を重視した結果、シャープさはあるが故に尖りも兼ね備えてしまう痛し痒し。それをNRAではESTを採用し高音から中高音域を担います。

もちろんドライバの種類や質だけでなくチューニングも重要です。高音から中高音域のESTと中音から低音域のDDの各音域のクロスオーバーはメーカーの腕の見せ所となります。

中華のチューニング技術は数年前に比べ進化しており、実際KZ ZSN pro XやKBEAR LARKは国内有名メーカーのU5K辺りとも良い勝負をすると思います。そこにこのNRAがどう食い込んでくるのか、期待が高まります。

 

CCA NRAのスペックですが先述の通り中華イヤホンの低価格帯で多く採用されている高音域用をバランスドアーマチュアドライバ(BA)ではなく、ESTを1基採用し高音から中高音域を。中・低音域用のダイナミックドライバ(DD)を1基搭載した片側デュアルドライバ構成のハイブリッドモデルです。

ダイナミックドライバは直径10mmの三重磁気ドライバを採用。ESTには6.8mm径低電圧タイプを採用しています。

イヤホン本体にはステムノズルがシェル本体と一体型の樹脂製。フェイスプレートが金属製を採用しています。

そして大切なのはこれまでレビューした低価格中華1BA+1DDハイブリッドイヤホン同様にESTとDDの各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングが重要です。

NRAでもESTとDDを搭載し、二つのドライバが担う音域のクロスオーバーチューニングが重要です。このチューニング次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくると云えますね。

 

CCA NRAの納期として今回AliExpressで購入し中国本土からの発送という事もあり、国内amazonのようにはいきません。今回はオーダーから一月強で届きました。実は配送で少々トラブルがあり、中国税関でFailとなり一旦セラーに返品処理されてしまいました。呑気なセラーは私からのその旨問い合わせで再送してくれたんですが、正直自国の税関もPassできない落ち度のあるセラーからはキャンセルしたかったのですが。まあここからは二度と購入しないので、勉強代です。

昨今、感染症の影響で中国からの輸送は平時の様にはいきませんが、それも徐々に回復傾向であり最近はシンガポール経由ではなく台湾経由等で動き始めていますので、物流の安定化までもう少しというところですね。尤も平時であればAliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. CCA NRA実機レビュー 

それでは、早速実機レビューを以下、まとめていきます。

 

f:id:miineco106:20210918162129j:image
f:id:miineco106:20210918162127j:image

パッケージングはいつものCCAの白を基調としたシンプルな小箱でスリーブタイプの化粧箱です。
箱の表にはイヤホンイラストが。裏にはスペックが記載されています。

 

f:id:miineco106:20210918162151j:image
f:id:miineco106:20210918162158j:image
f:id:miineco106:20210918162156j:image
スリーブを外すと白地の内装の台座にイヤホンが収納され、台座を取り外すと箱の底に付属品が収納されています。

 

f:id:miineco106:20210918162239j:image
付属品はシリコンイヤーピースがKZ系のかまぼこ型軸短白色タイプのS、M、Lの3種が計1セット。そのイヤピMサイズが本体取付け済。他にはケーブルです。U3K、実売2,500円の低価格帯として必要最低限の付属品となります。

 

f:id:miineco106:20210918162328j:image
f:id:miineco106:20210918162323j:image
f:id:miineco106:20210918162317j:image
f:id:miineco106:20210918162312j:image
f:id:miineco106:20210918162325j:image
f:id:miineco106:20210918162330j:image
f:id:miineco106:20210918162333j:image
f:id:miineco106:20210918162321j:image
f:id:miineco106:20210918162315j:image
次にビルドクオリティですが、中華イヤホンで心配されるような雑なところ感じさせない、近年のレベルアップを感じられます。カラーバリエーションは緑色のみ。

 

f:id:miineco106:20210918162406j:image
f:id:miineco106:20210918162409j:image
f:id:miineco106:20210918162403j:image
付属ケーブルは従来のKZ系で付属するタイプではない白色(シルバー?)の4芯銀メッキ銅線の2本並列タイプが採用されています。プレイヤー側コネクタはL字タイプでイヤホン側はKZ-Cタイプ、2ピン仕様、KZ極性(上がプラス)です。この付属ケーブルは耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的にやや絡まりやすいものの、しなやかなものとなり低価格帯に付属するケーブルの中でも高品質の印象。とはいえそのまま使用できますし白色ケーブルはやや派手さはありますが、シェル本体の色が今回クリアな為、それと相まって綺麗な印象を持ちます。個人的にはケーブルの被膜は黒色の方が合わせやすくて好きですね。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

f:id:miineco106:20210918162446j:image

 

※画像左からKZ ZSN pro X、CCA NRA、KBEAR LARK 

f:id:miineco106:20210918162640j:image
f:id:miineco106:20210918162645j:image
f:id:miineco106:20210918162631j:image
f:id:miineco106:20210918162638j:image
f:id:miineco106:20210918162643j:image
f:id:miineco106:20210918162629j:image
f:id:miineco106:20210918162633j:image
f:id:miineco106:20210918162636j:image
f:id:miineco106:20210918162648j:image

CCA NRAとKZ ZSN pro X、KBEAR LARKの外観の比較として、サイズ感はほぼ同じ。造形も似ています。三機種ともオーソドックスな造形なため、耳への収まり、装着感は余程耳の小さい方でない限り問題ないと思います。

CCA NRAとKZ ZSN pro XはKZ-Cタイプ、KBEAR LARKはTFZタイプのコネクタとなっています。

シェルの材質は、CCA NRAのステムノズルとシェル本体が樹脂製でフェイスプレートが金属に対し、KZ ZSN pro X、KBEAR LARKはステムノズルとフェイスプレートが金属製でシェル本体が樹脂製です。

重量は三機種共にほぼ同じで、耳への装着時には殆ど差が分からないレベルです。三機種共に耳への装着感は悪くありませんが、ステムノズルはNRAがやや細め、ZSN pro XとKBEAR LARKはステムノズル内にBAを配置することもあり太めです。角度はNRAが三機種の中でやや起きています。

また、ステムノズル部には全てにメッシュフィルターがあり異物混入による故障を防ぐと同時に、音への変化が期待できます。一番変化をつけているのはLARKで目が細かい真にフィルター調。そしてNRA、ZSN pro Xのフィルターの順に目が大きくなります。

そして、シェル本体の形状からは三機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、先述の通りNRAはステムノズルは比較的細目です。太いステムノズルの場合は装着感に影響があり、圧迫感を感じやすくなりますが、NRAではその影響が感じ難いため、イヤーピースのサイズで比較的容易に調節できます。

 

f:id:miineco106:20210918162711j:image
f:id:miineco106:20210918162714j:image
付属イヤーピースはKZ系に付属するかまぼこ型軸短タイプの白色タイプです。個人的にこの付属イヤピは傘にコシが無くフニャフニャしていて装着感がイマイチに感じる事が多いです。これならば最近のKZ溝有白色タイプの方がまだ使えます。

付属イヤピは音質的には高音中音をクリアにして低音控えめにするタイプに感じますが、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。

生憎、この付属イヤーピースでは上手く合わせることができませんでした。そのため、中華イヤホン、恐らくTrnに付属していたノーマル形状の白色イヤーピース(Trn付属黒傘赤軸の白版)に交換し、耳奥やや浅めに栓をするように装着しフィットしました。

低価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じますが、今回も付属のイヤピ白色ではイマイチだったのが残念でした。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

f:id:miineco106:20210918162740j:image

 

 

3. CCA NRA音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

f:id:miineco106:20210918162758j:image

今後は価格帯関係なくSony NW-ZX507を基準としてレビューを行います。ずっとスマホ同等かやや良いくらいという基準を持ってきましたが、ご容赦ください。

ZX507については他の方のサイトでも詳しく解説していますので、SONYのまあまあの価格帯のサブスク対応android機です。従来のShanling Q1は3.5アンバランス接続のみですが、ZX507は4.4バランス接続にも対応しています。DACには独自開発のS-Master、フルデジタルアンプが採用されています。

Shanling Q1とZX507の音質の違いは音場がやや平面的に感じられるQ1に対し、ZX507は奥行きのある立体的な印象。具体的にはボーカルの位置に対し、高音や中音の演奏音がその周りやや離れた後ろ側に位置し自然な位置関係に感じられます。

次に、音質傾向ですが、音楽を正確に淡々と鳴らそうとするQ1に対し、ZX507は高音域と低音域をしっかりと鳴らすやや派手な音ながらも、ボーカルを邪魔せずにそれを引き立てています。所謂ドンシャリ傾向と云えますが、過剰なほどではなくて若干の演出という感じ。そして中音はボーカルに対し相対的に控えめに感じられますが、その分ボーカルはクリアです。特徴としては低音に厚みがありますので音楽を雰囲気良く聴くことができるSONYの音といえます。

個人的には音楽を楽しく聴くという本来の目的を達成するために必要十分なDAPと考えており、今年6月からは音楽配信サービス、Apple Musicがロスレス対応しましたが、android搭載DAPとして勿論対応(※1※2)しています。そして、何よりもBluetooth接続は安定していますので、強いて云えば電池持ちが悪い位しか不満はないです。

※1:2021/07/19現在 android版Ver3.6.0ベータ版(1115)で動作確認

※2:2021/07/22現在 android版Ver3.6.0正式版(1118)が配信開始

 

 

 

低価格帯のイヤホンの場合でDAPの違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。

 
miineco106.hatenadiary.jp

 

※FiiO M5とShanling M0の比較もよろしければご参考ください。 

miineco106.hatenadiary.jp

 

それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピはTrn付属白色Mサイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「やや主張のある低音と澄んだ高音域に前面に出る中音域」です。

箱出しではやや低音に主張を感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音が落ち着き締まったキレの良い音に。相対的に高音中音がクリアに感じます。

音場は広くも狭くもない普通。

高音は適度な煌びやかさと伸びやかさは華やかさがあり存在感がありますが、刺さりを感じるような鋭さは抑えられています。

低音は適度な量感があり芯が感じられ締りとキレは良好。ベースラインは追いやすく曲によって目立ちます。重低音は沈み込みはそれ程深くありませんが強さが有ります。

中音は華やかでありながらゴチャつきを感じません。ボーカルは自然な位置からやや近くに感じ、クリアに聴かせてくれ聴きやすい。

一言で云えば中高音寄りのややドンシャリ

高音は煌びやかで伸びも良く、音の消え入る様を感じられますが、決して前に出るような主張がなく、かと言って控えめという事ではなく、自然で演出感は抑えられています。超高音までの伸びも自然で綺麗に伸びる印象です。BAの高音域で感じるような不快な尖りはなく、中音域やボーカルを邪魔しない弁えた音。これはTrnの様な解像感を高めるためにシャリつくぎりぎりの高音域ではなく、シャリつきを全く感じない統制され整った音です。

中音は1BA+1DDハイブリモデルで感じる凹みはなく、寧ろ凸を感じますが、それは相対的に見ればの話。楽器の音はボーカルの周りやや後ろ辺りに位置し華やかに鳴り小さな音の消える様を感じられる解像感と分離感は良好です。

ボーカルはややドライ気味なものの息遣いを感じられ自然な感じ。バラードなどのしっとりとした雰囲気を楽しみたい場合には相性というか部の悪さは感じられるものの、悪くありません。

低音は適度な量感に抑えられています。そのため広がりや響きはそれ程感じません。それでも三重磁気ドライバのお陰なのか、芯の強さとキレの良さは特筆もの。元々KZ系の二重磁気ドライバでもその良さがありましたが、三重磁気に進化したことでその良さが強調されている印象です。その分、重低音は強さはありますが、沈み込みは少し抑え気味。これは三重磁気ドライバの性質というよりは中音域の下の方と低音域とのバランスを取った結果と推察しています。

結果として、CCAとしていつも通りどこかの音域に尖ったところを持たせずにバランス良くまとめた音だと思います。

 

次に、KZ ZSN pro XやKBEAR LARKとの違いですが、ZSN pro XやLARKはNRAと同じ中高音寄りとなりますが、その性質は異なります。NRAは中音が印象的な弱ドンシャリ。LARKがフラットに近いややドンシャリ。ZSN pro Xはそれらよりもドンシャリ感のあるKZらしい音。個人的にNRAはTrnが目指している音の完成形、高音や中音域をクリアに解像感を重視したTrnの傾向を感じます。

そして、一番の違いは高音域です。ZSN pro Xは云う迄もなく、強めの音。とにかくしっかりと鳴らす反面、シャリつきを感じる事があります。それでもKZのこのクラス歴代の最高峰です。LARKは兎に角フラットに近い音のバランスを感じさせる音。そのため適度に抑えられた音は華やかさはあっても上の上まで伸びるようなことはありません。それらをNRAはESTによって、煌びやかで伸びやかな音を決して前に出すことなく実現しています。

次に中音域です。ZSN pro XやLARKは1BA+1DDハイブリモデルであり凹みを感じます。それでもLARKは凹みが少なく僅かに抑えられていますが、NRAは凸に感じますし、そのリッチで整理された音はLARKでも敵いません。

最後に低音ですが、強さや沈み込みの深さだけならばZSN pro Xですが、それよりも芯がありキレの良さはNRAの新型ダイナミックドライバの真骨頂でしょう。小気味良さはNRAの一人勝ちです。もちろん低音域は音楽を雰囲気良く聴かせられるかどうかを左右します。そのため、NRAはその対極にいると云えるかもしれません。

尤も、CCAとしては従来の路線とも異なる音であり、これまでの雰囲気路線とは異なるKZ寄りの音のC12やC10 Proもありましたので、変わり種、若しくは意欲作なのかもしれません。

 

※以前のKZ ZSN pro Xのレビューもご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

※以前のKBEAR LARKのレビューもご参考ください 

miineco106.hatenadiary.jp

 

まとめるとCCA NRAは中音重視ながら高音は上品に、低音も小気味よく鳴らし音楽を心地よく聴かせてくれるイヤホンと云えます。高音中音は華やかで見通し良く、低音は芯がありキレの良い音。中音域は低価格帯では特筆の分離と解像感は整理され、ボーカルはクリアで聴きやすい音質傾向は従来のCCAの音とは少々異なりますが、従来の1BA+1DDハイブリッドモデルとは違う魅力のあるモデルと云えそうです。

尤も個人的には中音域はもう少し抑え気味でも良い気がしますし、改善の余地がありそうです。

それでもリスニング用途として小気味良い聴いていて楽しいバランスは中華イヤホンには高音域のシャリつく刺激的な強さや低音のドンの量が多い強ドンシャリを求め、演奏メインで聴きたい方には、もの足りなさを感じ評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   ZSN pro X ≧ LARK ≧ NRA (出音の強さ) 

中音   NRA ≧ LARK ≧ ZSN pro X (出音の強さ)

低音   ZSN pro X ≧ NRA ≧ LARK (出音の強さ)

ボーカル NRA ≧ LARK ≧ ZSN pro X (質感の順)

 

 

4. CCA NRAの総評

CCA NRAは従来のCCAの音とは異なりましたが、これまでの1BA+1DDハイブリッドモデルでは物足りなかった中音域を改善及び音を整理し、高音域も強く出すことで解像感を演出しない自然な解像感が魅力のバランス良く仕上げたモデルとまとめました。

飽和気味の低価格帯1BA+1DDハイブリッドモデル群からの新たな一手としてESTを採用した意欲作は、先ずはCCAからというところでしょうか。KZもEST搭載機をZEXを発表し近日発売予定という事もあり、非常に楽しみです。

そういう意味では「新しいものが好き」な方へお勧めできますが、中華イヤホンの強ドンシャリを求め検討されている方には注意が必要な商品です。

 

最後に、今回はAliExpressで先月発売された低価格帯の中華イヤホンの紹介となりました。記事公開当時(2021年9月18日)はAliExpressでの取り扱いのみ。その少し前まで国内amazon(本国発送)でも発売されていましたが、確認できませんでした。後日分かったのはクラファンで期限付き独占販売のために一時的に取り扱いができなかったようです。それについては色々な想いもありますが、それは封印しておきます。まあ呆れていますけど。

尤も、現在(2021/10/14)はAliExpressでは2,000円半ばの価格で入手可能で、国内amazonでも一時取り扱い無しでしたが、10月11日のクラファン独占販売期限が過ぎた現在は取り扱いが復活し2,000円台後半で購入可能です。

そのためAliExpressの方が僅かに安価に入手できますが、その入手性には現在も難があります。とはいえこれまでの低価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっておりますので、低価格中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでprimeでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、少しでも安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

※2021/10/14追記&修正

 

NRA

以下、付属ケーブル、Trn付属白イヤピ M使用、DAP ZX507
高音★★★★ 
中音★★★★  
低音★★★★ 
音場★★★☆
分離★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

ZSN pro X

以下、付属ケーブル、付属溝無黒イヤピ M使用、DAP ZX507
高音★★★★ 
中音★★★★  
低音★★★★ 
音場★★★☆
分離★★★
お勧め度★★★★★ (ボーカル重視の方★4)

※☆0.51.0

  

LARK

以下、付属ケーブル、付属白イヤピ M使用、DAP ZX507
高音★★★★ 
中音★★★★  
低音★★★★ 
音場★★★☆
分離★★★
お勧め度★★★★★ (重低音重視の方★4)

※☆0.5、★1.0

 

 

あとがき

今回はいつもの低価格中華1BA+1DDハイブリッドイヤホンでない、1EST+1DDハイブリッドモデルの新商品のレビューとなります。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後も低価格?を中心に、中華据え置き機器や複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンも扱っていきます。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

※2021/10/14追記及び修正