みぃねこの備忘録

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KZ ZEXレビュー ※KZ ZSN pro X、CCA NRAとの比較含む

こんにちは。

今回はいつもの低価格中華イヤホンレビュー編として、1BA+1DDハイブリッドモデルではなく、1EST+1DDハイブリッドモデルのKZ ZEXについてレビューをまとめたいと思います。

AliExpressのKZ Official Store等で取扱があります。

 

ja.aliexpress.com

 

国内amazonでもprime扱いで取扱があります。

 

 

 

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1. KZ ZEXについて 

KZは言わずと知れた低価格中華イヤホンの雄、中華イヤホンファンにはお馴染みのメーカーです。KZと云えばKZ系ブランドにCCAがあり、以前低価格帯初のESTドライバを搭載した1EST+1DDハイブリッドモデル、NRAをレビューしています。そしてCCAの後に真打登場と云わんばかりのKZ ZEXがNRA同様にESTドライバを搭載したモデルを発売しました。もちろん販売価格がU3000の低価格帯モデルです。この価格帯は個人的にボリュームゾーンなので、これまでも1DD、シングルダイナミックモデルや1BA+1DDハイブリッドモデルを中心にレビューを行っています。以前NRAのレビュー時にも触れましたが、市場の動向としては昨年のKZ EDXから始まったU1000、シングルダイナミックモデルが今年前半のトレンドモデルとなり、1BA+1DDハイブリッドモデルはKZ ZSN pro X以降、KBEAR LARK、CCA CSN、Trn ST2とかつての勢いはなく、注目株としてはCCZブランドの頭角ぐらいでした。そんな停滞した雰囲気を吹き飛ばしたのが、静電ドライバを採用した1EST+1DDハイブリッドモデル、CCA NRA。それに続くこのKZ ZEXです。

中華イヤホンの静電ドライバと云えば、以前発売していたSHUOER TAPEを思い出しますが、あちらは中価格帯A10000のモデルで終売。現在はSHUOER TAPE Proが後継機として販売されていますが、販売価格15,000円と静電ドライバ(EST)を採用しているモデルはやはり高価です。

ところが、前回の低価格帯の2,000円半ば程度で1EST+1DDハイブリッドモデルのCCA NRAが登場し試すことができる!に始まり、結構いいなこれ!?に続き、KZ ZEXが登場した訳ですから、比較のためにもオーダーしています。

 

KZ ZEXに採用したESTはNRA同様の6.8mm径の低電圧タイプ(メーカー資料)。これは中華オリジナルの機転を利かせた特殊な使い方と云え、少ない電力で駆動させることができるものの、対応できる音域が狭くなっているようです。

一方、高級機で採用しているESTは駆動するのに高電力が必要ですが、その分広い音域を対応が可能となっています。これがドライバのコストに繋がる訳ですので、低価格帯に採用され難い最大の理由です。儲からないことをしない国ですので(ビジネスの基本)。

 

次に、ZEXとNRAとの最大の違いは、NRAでは新型のトリプルマグネティック(三重磁気)ダイナミックドライバ(DD)を採用していましたが、ZEXは従来の10mm径デュアルマグネティック(二重磁気)ダイナミックドライバを採用しています。

NRAの三重磁気ドライバは従来の二重磁気ドライバよりも芯のあるタイトでキレの良い音を聴かせてくれましたが、敢えて、二重磁気ドライバとした理由は何だったのか?非常に気になります。

尤も、従来の二重磁気ドライバでもキレの良い芯のある音を聴かせてくれましたので、コストとの兼ね合いもあり、「不足なし」という判断だったのかもしれません。

 

以下は、NRAで触れたものを要約。

さて、近年の低価格中華イヤホンは1BA+1DDハイブリッドが定番化していたところに、前述の通り1DDトレンドモデルが今年前半を席巻。その結果は以前の各社低価格1DDトレンドモデルのレビューでも触れた通り、低価格帯の限界を感じる音と云うのが正直なところ。もちろん1,000円に満たないという販売価格からは十分健闘した価格帯として十分に良い音と云えます。BAを取り払ったダイナミックドライバのみの1DDモデルと云える中低音寄りの音質傾向は、Trn MT1の中高音寄りの音はやや変わり種と感じるほどでした。結局、一周回ってやはり1BA+1DDハイブリッドが低価格帯では最適解なのかなと。低価格帯U1000ではドライバにコストを掛けられず、高級機の様な音域を上から下までワイドレンジに鳴らすことができない性能の限界は、得意な音域をBAとDDで分担する発想がコスト的に理にかなっている事を証明しています。

しかし、1BA+1DDハイブリッドモデルが飽和気味な今、新たな一手として、KZ ZEXがCCA NRAに続き発売され、市場活性化の一手として重要なモデルとなりそうです。

 

従来の低価格帯中華イヤホンでポピュラーな1BA+1DDハイブリッドモデルは高音域をバランスドアーマチュア(BA)ドライバ1基がそれを担い、ダイナミックドライバ(DD)1基が中音から低音域を担っています。音を繊細に高い解像感で表現するのにBAは最適とされていましたが、中華イヤホンの低価格帯で採用されているBAの質は残念ながら高いとは言えず、音に粗さがあり解像感を重視した結果、シャープさはあるが故に尖りもある荒さがある痛し痒し。それをZEXやNRAではESTを採用し高音から中高音域を担います。

もちろんドライバの種類や質だけでなくチューニングも重要です。高音から中高音域のESTと中音から低音域のDDの各音域のクロスオーバーはメーカーの腕の見せ所となります。

中華のチューニング技術は数年前に比べ進化しており、実際KZ ZSN pro XやKBEAR LARKは国内有名メーカーのU5K辺りとも良い勝負をすると思います。そこにNRAに続くZEXがどう食い込んでくるのか、期待が高まります。

 

KZ ZEXのスペックですが先述の通り中華イヤホンの低価格帯で多く採用されている高音域用をバランスドアーマチュアドライバ(BA)ではなく、ESTを1基採用し高音から中高音域を。中・低音域用のダイナミックドライバ(DD)を1基搭載した片側デュアルドライバ構成のハイブリッドモデルです。

ダイナミックドライバは従来のKZ系の直径10mmの二重磁気ドライバを採用。ESTには6.8mm径低電圧タイプを採用しています。

イヤホン本体にはステムノズルがシェル本体と一体型の樹脂製。フェイスプレートが金属製を採用しています。

そして大切なのはこれまでレビューした低価格中華1BA+1DDハイブリッドイヤホン同様にESTとDDの各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングが重要です。

ZEXでもESTとDDを搭載し、二つのドライバが担う音域のクロスオーバーチューニングが重要です。このチューニング次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくると云えますね。

 

KZ ZEXの納期として今回AliExpressで購入し中国本土からの発送という事もあり、国内amazonのようにはいきません。今回はオーダーから3週間で届きました。

昨今、感染症の影響で中国からの輸送は平時の様にはいきませんが、それも徐々に回復傾向であり最近はシンガポール経由ではなく台湾経由等で動き始めていますので、物流の安定化までもう少しというところですね。尤も平時であればAliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. KZ ZEX実機レビュー 

それでは、早速実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングはいつものKZの白を基調としたシンプルな小箱でスリーブタイプの化粧箱です。
箱の表にはイヤホンイラストが。裏にはスペックが記載されています。

 

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スリーブを外すと白地の内装の台座にイヤホンが収納され、台座を取り外すと箱の底に付属品が収納されています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースがKZ系のかまぼこ型軸短白色タイプのS、M、Lの3種が計1セット。そのイヤピMサイズが本体取付け済。他にはケーブルです。U3K、実売2,500円の低価格帯として必要最低限の付属品となります。

 

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次にビルドクオリティですが、中華イヤホンで心配されるような雑なところ感じさせない、近年のレベルアップを感じられます。カラーバリエーションは黒、青、クリア色の三色展開。クリアはフェイスプレートがローズゴールドで綺麗ですが、今回無難な黒を選択しました。

 

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付属ケーブルは従来のCCAで付属するタイプではない白色(シルバー?)の4芯銀メッキ銅線の2本並列タイプが採用されています。プレイヤー側コネクタはL字タイプでイヤホン側はKZ-Cタイプ、2ピン仕様、KZ極性(上がプラス)です。この付属ケーブルは耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的にやや絡まりやすいものの、しなやかなものとなり低価格帯に付属するケーブルの中でも高品質の印象。とはいえそのまま使用できますし白色ケーブルはやや派手さはありますが、シェル本体の色が今回黒色の為、それと相まって綺麗な印象を持ちます。個人的にはケーブルの被膜は黒色の方が合わせやすくて好きですね。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

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※画像左からCCA NRA、KZ ZEX、KZ ZSN pro X 

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KZ ZEXとCCA NRAとKZ ZSN pro Xの外観の比較として、サイズ感はほぼ同じ。造形も似ています。三機種ともオーソドックスな造形なため、耳への収まり、装着感は余程耳の小さい方でない限り問題ないと思います。

三機種共にKZ-Cタイプのコネクタとなっています。

シェルの材質は、KZ ZEXとCCA NRAはステムノズルとシェル本体が樹脂製でフェイスプレートが金属に対し、KZ ZSN pro Xはステムノズルとフェイスプレートが金属製でシェル本体が樹脂製です。

重量は三機種共にほぼ同じで、耳への装着時には殆ど差が分からないレベルです。三機種共に耳への装着感は悪くありませんが、ステムノズルはZEXとNRAがやや細めで長め、ZSN pro Xはステムノズル内にBAを配置することもあり太めです。角度はZEXとNRAがやや起きています。

また、ステムノズル部には全てにメッシュフィルターがあり異物混入による故障を防ぐと同時に、音への変化が期待できます。一番変化をつけているのはZEXとNRA、ZSN pro Xはフィルター目が大きくなります。

そして、シェル本体の形状からは三機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、先述の通りZEXとNRAはステムノズルは比較的細めです。太いステムノズルの場合は装着感に影響があり、圧迫感を感じやすくなりますが、ZEXやNRAではその影響が感じ難いため、イヤーピースのサイズで比較的容易に調節できます。

 

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付属イヤーピースはKZ系に付属するかまぼこ型軸短タイプの白色タイプです。個人的にこの付属イヤピは傘にコシが無くフニャフニャしていて装着感がイマイチに感じる事が多いです。これならば最近のKZ溝有白色タイプの方がまだ使えます。

付属イヤピは音質的には高音中音をクリアにして低音控えめにするタイプに感じますが、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。

生憎、この付属イヤーピースでは上手く合わせることができませんでした。そのため、中華イヤホン、恐らくTrnに付属していたノーマル形状の白色イヤーピース(Trn付属黒傘赤軸の白版)に交換し、耳奥やや浅めに栓をするように装着しフィットしました。

低価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じますが、今回も付属のイヤピ白色ではイマイチだったのが残念でした。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. KZ ZEX音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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いつも通り、Sony NW-ZX507を基準としてレビューを行います。

ZX507については他の方のサイトでも詳しく解説していますので、簡単に。SONYのミドルクラスのサブスク対応android機です。エントリーモデルのNW-A100シリーズとの違いは4.4バランス接続にも対応しています。DACには独自開発のS-Master、フルデジタルアンプが採用されています。

音質傾向としては、高音域と低音域をしっかりと鳴らすやや派手な音ながらも、ボーカルを邪魔せずにそれを引き立てています。所謂ドンシャリ傾向と云えますが、過剰なほどではなくて若干の演出という感じ。そして中音はボーカルに対し相対的に控えめに感じられますが、その分ボーカルはクリアです。特徴としては低音に厚みがありますので音楽を雰囲気良く聴くことができるSONYの音といえます。

個人的には音楽を楽しく聴くという本来の目的を達成するために必要十分なDAPと考えており、今年6月からは音楽配信サブスクリプションサービス、Apple Musicがロスレス対応しましたが、android搭載DAPとして勿論対応(※1※2)しています。そして、何よりもBluetooth接続は安定していてLDAC対応していますので、同社の左右独立型完全ワイヤレスイヤホン、WF-1000XM4との相性も良く、標準アプリで再生する場合にワイヤレスでもハイレゾ級(24bit/96kHz、最大990kbps)で音楽を楽しめますが、強いて云えば電池持ちが悪い位しか不満はないです。

※1:2021/07/19現在 android版Ver3.6.0ベータ版(1115)で動作確認

※2:2021/07/22現在 android版Ver3.6.0正式版(1118)が配信開始

 

 

 

低価格帯のイヤホンの場合でDAPの違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。

 
miineco106.hatenadiary.jp

 

※FiiO M5とShanling M0の比較もよろしければご参考ください。 

miineco106.hatenadiary.jp

 

それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピはTrn付属白色Mサイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「主張のある低音と澄んだ高音域のドンシャリ」です。

箱出しでは低音に主張を感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音が落ち着き締まったキレの良い音に。相対的に高音中音がクリアに感じます。

音場は広くも狭くもない普通。

高音は適度な煌びやかさと伸びやかさは華やかさがあり存在感がありますが、刺さりを感じるような鋭さは抑えられています。

低音は十分な量感があり芯が感じられ締りとキレは良好。ベースラインは追いやすく曲によって目立ちます。重低音は沈み込みは深く強さも有ります。

中音は華やかでありながらゴチャつきを感じません。ボーカルは自然な位置に感じますが、クリアに聴かせてくれ聴きやすい。

一言で云えば中高音寄りのややドンシャリ

高音は煌びやかで伸びも良く、音の消え入る様を感じられますが、決して前に出るような主張がなく、かと言って控えめという事ではなく、自然で演出感は抑えられています。超高音までの伸びも自然で綺麗に伸びる印象です。BAの高音域で感じるような不快な尖りはなく、中音域やボーカルを邪魔しない弁えた音。これはTrnの様な解像感を高めるためにぎりぎり不快に感じない高音域のシャリつきを全く感じない統制され整った音は、NRAと同様の印象です。

中音は1BA+1DDハイブリモデルと同様に凹みを感じます。NRAでは寧ろ凸に感じるような音もZEXでは従来のKZのバランスに近いです。それでも楽器の音はボーカルの周りやや後ろ辺りに位置し華やかに鳴り小さな音の消える様を感じられる解像感と分離感はNRA同様に良好です。

ボーカルはややドライ気味なものの息遣いを感じられ自然な感じ。バラードなどのしっとりとした雰囲気を楽しみたい場合には相性というか部の悪さは感じられるものの、悪くありませんがこちらはNRAの方が聴きやすい印象です。

低音は十分な量感があり、NRAよりも多く、KZの強くキレの良い低音です。そのため広がりや響きをNRAよりも感じます。尤も、ZEXでは従来の二重磁気ドライバが採用されており、沈み込みの深さや強さは従来通り。NRAの三重磁気ドライバの方が芯の強さとキレの良さを感じます。KZ系の二重磁気ドライバの良さを感じられる音です。NRAの三重磁気ドライバはキレの良いタイトな音になっている印象で、その分、重低音は強さはありますが、沈み込みは少し抑え気味。これは三重磁気ドライバの性質というよりは中音域の下の方と低音域とのバランスを取った結果と推察しています。

結果として、ZEXは従来のKZの1BA+1DDハイブリッドモデルの音を踏襲したサウンドに近く、NRAの従来のCCAの様にどこかの音域に尖ったところを持たせずにバランス良くまとめた音とは異なる印象です。

 

次に、KZ ZSN pro Xとの違いですが、ZSN pro XはZEXやNRAと同じ中高音寄りとなりますが、ZEXとその音質傾向は似ていると感じます。NRAは中音が印象的な弱ドンシャリ。ZSN pro Xはドンシャリ感のあるKZらしい音ですが、ZEXもそのKZらしい音と云えると思います。

個人的にNRAは高音や中音域をクリアに解像感を重視した音質傾向ですが、ZEXも高音域はクリアで解像感が高く伸びも良い。ZSN pro XはBAが強めの音で、とにかくしっかりと鳴らす反面、シャリつきを感じる荒さや粗さがありましたが、ZEXやNRAではそれを感じない上質な音になっています。それでもZSN pro XはKZのこのクラス歴代の最高峰だと思いますし、以前の無暗矢鱈に鳴らす高音ではありません。それらをZEXやNRAはBAの代わりにESTを用いることによって、煌びやかで伸びやかな音を決して前に出すことなく実現しています。

次に中音域です。ZSN pro Xは1BA+1DDハイブリモデルでよくある凹みを感じます。ZEXもその傾向があり、一方NRAは凸傾向に感じます。それでもZEXの中音域はごちゃつかずに整理され、これはZSN pro Xよりも統制された音で解像感が高く感じます。

最後に低音ですが、強さや沈み込みの深さだけならばZSN pro XとZEXは近く、甲乙つけがたいです。それよりも芯がありキレの良さがあるのはNRAですが、それらよりも沈み込みが浅く感じるのは新型ダイナミックドライバの音として好みが分かれるかもしれません。小気味良さのNRA。ノリの良さはZEXとZSN pro Xです。低音域は音楽を雰囲気良く聴かせられるかどうかを左右しますので、嗜好の違いにより評価が分かれるかもしれません。

個人的にZEXはやっぱりKZサウンドという、ブレないKZに好感を持ちます。

 

※以前のCCA NRAのレビューもご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

※以前のKZ ZSN pro Xのレビューもご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

まとめるとESTドライバを採用したCCA NRAと同じくZEXも高音は上品に、低音はノリ良く鳴らし、音楽を心躍る様に聴かせてくれ、KZサウンドは健在と云えます。従来のBAの高音の勢いは無いものの解像感の高い音は聴かせてくれ、高音中音は華やかで見通し良く、低音は勢いのある強さとキレのある音。中音域はやや凹みを感じますが、低価格帯では類を見ない分離と解像感は良好、ボーカルは自然な位置からクリアで聴きやすい音質傾向は従来のKZサウンドを踏襲しブラッシュアップされた音と云え、従来の1BA+1DDハイブリッドモデルが目指している音を実現したモデルと云えそうです。

それでもリスニング用途として小気味良い聴いていて楽しいバランスは中華イヤホンには高音域のシャリつく刺激的な強さや低音のドンの量が多い強ドンシャリを求め、演奏メインで聴きたい方には、もの足りなさを感じ評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   ZSN pro X ≧ ZEX ≧ NRA (出音の強さ) 

中音   NRA ≧ ZEX ≧ ZSN pro X (出音の強さ)

低音   ZEX ≧ ZSN pro X ≧ NRA (出音の強さ)

ボーカル NRA ≧ ZEX ≧ ZSN pro X (質感の順)

 

 

4. KZ ZEXの総評

KZ ZEXは従来のKZサウンドを踏襲した音とまとめしたが、これまでの1BA+1DDハイブリッドモデルではごちゃつきを感じる中音域を改善し音が整理されています。そしてESTドライバによる高音域は従来のBAを強く鳴らすことで解像感を演出しない自然な解像感が魅力です。低音は敢えて従来の二重磁気ドライバとすることでKZサウンドを踏襲したモデルとまとめました。

飽和気味の低価格帯1BA+1DDハイブリッドモデル群からの新たな一手としてESTを採用したモデルはCCA NRAに続き、このKZ ZEXが発売され今後各社の動きが気になりますし、期待していますし、非常に楽しみです。

そういう意味では「新しいものが好き」な方やKZサウンドの完成形としてお勧めできます。一方で低価格中華イヤホンの強ドンシャリを求め検討されている方には注意が必要な商品です。

 

最後に、今回はAliExpressで先月発売された低価格帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2021年11月2日)はAliExpressや国内amazonで発売しています。AliExpressでは2,000円台の価格で入手可能です。一方amazonでは3,000円台とAliExpressの方が安価に入手できますが、その入手性には現在も難があります。しかしAliExpressで毎年恒例の「11.11セール」が近日開始しますので、通常よりも安価で購入できるかもしれません。とはいえこれまでの低価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっておりますので、低価格中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでprimeでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、少しでも安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

ZEX

以下、付属ケーブル、Trn付属白イヤピ M使用、DAP ZX507
高音★★★★ 
中音★★★★  
低音★★★★ 
音場★★★☆
分離★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.5、★1.0

 

NRA

以下、付属ケーブル、Trn付属白イヤピ M使用、DAP ZX507
高音★★★★ 
中音★★★★  
低音★★★★ 
音場★★★☆
分離★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

ZSN pro X

以下、付属ケーブル、付属溝無黒イヤピ M使用、DAP ZX507
高音★★★★ 
中音★★★★  
低音★★★★ 
音場★★★☆
分離★★★
お勧め度★★★★★ (ボーカル重視の方★4)

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回はいつもの低価格中華1BA+1DDハイブリッドイヤホンでなく、1EST+1DDハイブリッドモデルの新商品のレビューとなります。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後も低価格?を中心に、中華据え置き機器や複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンも扱っていきます。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ