みぃねこの備忘録

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KZ PR1 HiFi Edition レビュー

こんにちは。

今回はいつもの中華イヤホンレビュー編として、中価格A5000-U10000帯で発売された1PD、平面駆動モデルのKZ PR1 HiFi Editionについてレビューをまとめたいと思います。

今回はAliExpressのDUDO Audio Storeから購入しました。

 

ja.aliexpress.com

 

国内amazonでも取扱があります。

 

 

 

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1. KZ PR1 HiFi Editionについて 

今年も残すところ後2か月を切りました。ファッションにも毎年のトレンドがあるように今年の中華イヤホンのトレンドの一つは平面駆動ドライバだったと云えます。昨年は中華ESTドライバ改め、ESM(Electro Static Magnetic。以下中華EST省電力タイプをESMと表記)ドライバが登場し中華BAに代わるドライバとして期待が高まりましたが、ケチが付いてその後新製品は発売されていません。高音域を繊細に表現をしてくれるESMは中華BAよりも個人的には好みだったのですが、残念で仕方ありません。

平面駆動ドライバの搭載モデルは以前から他メーカーでも中価格A10000-U20000帯で発売されていました。今年Trn Kirinが販売価格17,000円で登場し、現在のTrnの勢いそのままに普通に良い音を聴かせてくれました。そこにKZ系ブランドのCCAが平面駆動ドライバを搭載したCCA PLA13を販売価格10,000円を下回り発売後、今回兄弟ブランドのKZから平面駆動ドライバ搭載のPR1を同価格帯で新発売してきました。

KZは価格のインパクトに加え、新製品のKZ PR1は異なる二つのバリエーションモデルとして登場。それぞれKZ PR1 Balanced EditionとKZ PR1 HiFi Editionと名付けられており、音質チューニングを変えて発売されました。

前回のレビューでは先ずPR1 Balanced Editionの方を記事にまとめましたが、今回はもう一つのバリエーションモデル、PR1 HiFi Editionをレビューしていきます。

 

※PR1(メーカーHP抜粋)

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前回のBalanced Editionのレビューでも触れましたが、メーカー発表のf特を引用します。グラフからは中音、高音域はほぼ同じですが、Balanced EditionよりもHiFi Editionの方が低音域が抑えられている様に窺えます。f特で音質の全てが分かる訳ではありませんが、大凡の傾向が分るという程度という理解に留めていただくとして、PR1の特徴は高音域にあります。1kを超えた辺りから2kと3kの間にピークがあり、やや下降した後に狭い振れ幅で上下も小さく10k手前まで維持し一旦下降。その10kのピークはやや抑えられ15k付近で再び上昇し2k-7kと同程度のピークになっていることが分かります。

実際のBalanced Editionの出音は前回のレビューの通り、平面駆動ドライバとしては低音がしっかりと鳴り、PLA13とほぼ同じ音という感想。細かく云えば高音域はPLA13と傾向は同じですが、PLA13の方が僅かに抑えている印象で、Balanced Editionの方が華やかさがあるように感じます。そしてHiFi EditionはPLA13やBalanced Editionのf特から明らかな違いとしてみてとれる低音域は流石に出音が全然違います。かなり抑えられた低音で「お前本当にKZか?」と疑う程です。一方でHiFi Editionの高音域はBalanced Editionのf特と測定誤差程度の違いはあれど同じです。実際の出音はHiFi Editonの方がより明るく華やかに聴こえます。

 

※KZ ZS10 pro X、4BA+1DDハイブリッドモデル(メーカーHP抜粋)

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比較用として同社の最新多ドラハイブリッドモデル、ZS10 pro Xの高音域BAではこの辺りはPR1の両Editionに比べグラフの振れ幅も広く、そして大きく上下していますが、PR1の両Editonは非常に振れ幅も狭く小さく上下しており安定した高音域を実現していることが分かります。

実際の出音は高音域の華やかさはBalanced Edition程ではありませんが、立体感を感じられ統制され整った音がします。個人的にはこちらの方が丁度良いと感じられます。低音は適度な量感。全域でバランスの良い音です。

 

※CCA PLA13、平面駆動モデル(メーカーHP抜粋)

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次に同じKZ系ブランドのCCA PLA13では高音域はPR1同様に2kと3kの間にピークがあり、そこからやや右下がりのグラフです。傾向は同じと云えますが、異なるのはPR1の様に10kはそれ程抑えられておらず、ピークからのやや右肩下がりの群の中に収まっています。これだけ見ればPLA13の方がPR1の両Editionよりも高音域が派手に鳴ることを騒動してしまいますが、実際には先述の通りPR1 Balanced Editionの方が華やかに感じ、PLA13の方が僅かに抑えられた大人の鳴り方という印象です。

そして低音域は最も異なります。PLA13よりもPR1 HiFi Editionのグラフカーブは4db程低く抑えられています。f特だけで出音は語れませんが、実際に聴き比べると一聴してPLA13の方がしっかりと鳴る低音です。

 

※Trnの平面駆動モデル(メーカーHP抜粋)
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折角なので価格帯は一クラス上となりますが、Trnの平面駆動モデルとf特を比べてみるとPLA13よりもPR1の高音域に近く、10kはPR1の両Editionよりも抑えられています。加えて低音域も抑えられていて、HiFi Editionがそれに近いことが分かります。こちらの実際の出音はやはり低音域は抑えられておりタイトな鳴り方。解像感の高い高音域はPLA13やPR1の両Editionと比べ、華やかさよりも繊細に鳴らす耳障りの無い音質は確実に一クラス上を感じられる音質です。

結局のところf特は出音の参考にはなりますがそれで全てが分る訳ではなく聴いてみて音質を評価することが一番だと個人的に考えています。そういう意味ではKZ PR1の二つのEditionは”間違いなく”二種類の音を楽しめるバリエーションモデルと云えそうです。

 

さて、KZ PR1 HiFi Editionのスペックですが中華イヤホンで最近流行りの平面駆動ドライバを1基搭載した片側シングルドライバ構成モデルです。

このドライバはCCA PLA13同様の直径13.2mmの振動膜にデュアルキャビティを採用しており平面駆動ドライバのレスポンスに加え芯の強さを引き出すことを狙ったものです。

イヤホン本体にはステムノズル一体型の樹脂製シェルカバー上下に金属製のフェイスプレートを被せており低価格帯のステムノズル側シェルカバーと金属製フェイスプレートを接合するものとは異なります。

 

※宜しければ平面駆動ドライバの搭載モデルの過去記事もご参考ください

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KZ PR1 Balanced Editionの納期として今回AliExpressでオーダー、2週間強で届きました。現在(2022/11/5)は国内amazonでも取扱がありますが、本国発送ですのでAliExpressでのオーダーと同程度の納期となります。昨今、HiFiGoやAliExpressで購入した本国発送の場合でも以前の様な感染症の影響で遅延は少なくほぼ回復したと云えます。尤も、万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかるのが、海外通販のリスクです。

そんな訳で一般的に海外通販での購入は国内通販で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが偶に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットがありましたが、最近では円安でその恩恵も受け難く、国内では入手できない商品を早く手に入れる事がメリットと云えます。それらを天秤にかけた場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. KZ PR1 HiFi Edition実機レビュー 

それでは、実機レビューを以下、まとめていきます。


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パッケージングは従来のシンプルな白を基調としたものから箱の表に商品写真を印刷したスリーブタイプの化粧箱です。
箱の裏にはイヤホンスペック等が記載されています。

 

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スリーブを外すと内箱の白地のプラ台座にイヤホンが収納されています。


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内箱の下側の蓋を開けると箱の底に付属品が収納されています。

 

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付属品は最近のKZ系に付属するシリコンイヤーピース、溝有白色タイプS、M、Lの3種が1セット。他にはケーブルです。中価格A5000-U10000帯としては物足りない付属品となります。

次にイヤホン本体です。

 

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シェルは何かの流用の様ですが、低価格帯のように樹脂と金属を嵌め合わせただけの構造ではなく、シェルの樹脂部は上下カバーを嵌め合わせた後に、金属フェイスプレートを被せたもの。その分それらよりもシェルに厚みがあります。ビルドクオリティには問題を感じられず、中華イヤホンで心配されるような雑なところ感じさせません。低価格帯でよくあるシェルの合わせ面等のズレや隙間は無く綺麗に仕上がっています。

カラーバリエーションは銀色のみとなり、Balanced Editionが黒。HiFi Editionが銀となり色違いで各Editionの識別が可能となります。

次にケーブルです。

 

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付属ケーブルは先述の通り最近のKZに付属する4芯銀メッキOFC線、並列フラットケーブルの白(銀)色タイプです。プレイヤー側コネクタはL字タイプ。イヤホン側はKZ-C、2ピン仕様。極性はもちろんKZ極性の上側がプラスです。この付属ケーブルは被膜に多少引っ掛かりがありますが、タッチノイズは殆ど感じません。肝心の耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的に柔らかくしなやかなものとなり取り回しは悪くありません。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、私はこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

続いて他機種とのサイズ感や造形の比較です。

 

※画像左からCCA PLA13、KZ PR1 Balanced Edition、KZ PR1 HiFi Editoin

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KZ PR1のBalanced EditionとHiFi Editionは基本的に同じ。CCA PLA13とはフェイスプレートのデザイン違いです。PR1の二種とPLA13はKZ ZSN pro X等と比べるとシェルの厚みがあり、ZS10 pro Xと同等程度です。Trn Kirinのオール金属製と異なり、樹脂と金属のハイブリッド素材となり重量は3機種共に同じ。軽量とまでは云いませんが装着時にはその装着感の良さから殆ど気になりません。

ステムノズルの長さや太さも三機種共に同じ。ZS10 pro Xを標準的とした場合に、それよりもやや短く、太さも僅かに細い。角度もやや寝ています。

また、ステムノズル部には三機種全てにフィルターがあり異物混入による故障を防ぐと同時に細目タイプで音質に影響があるタイプの様です。

そして、シェル本体の形状と付属ケーブルからは三機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、装着感はステムノズルの長さや太さに影響がありますので、イヤーピースのフィッティングは重要となります。

 

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付属イヤーピースは最近のKZに付属する従来のKZ黒色溝有の白色タイプ。個人的に従来のKZ黒色溝有はパサつくというかかさつくので、このKZ白色溝有イヤーピースの方が重宝しています。傘のコシもありしっとりとしていて遮音性も十分に感じますので低価格帯では十分使えます。Balanced Editionでは従来の黒色溝有イヤピが付属していました。

音質的には従来のKZ黒色溝有イヤピよりも白色タイプの方が中高音がクリアに聴こえるタイプの様で、KZの強い低音には丁度良いタイプですね。

この付属イヤーピースで私は耳の奥に栓をするように装着しフィットしています。

低価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じます。今回は付属のイヤピで上手くフィットした為、そのまま使用しました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感はもとより音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えない他社製へ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

※左HiFi Edition。右Balanced EditionのイヤピはKZ付属白色溝有を装着。

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3. KZ PR1 HiFi Edition音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音に脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

昨年はSony NW-ZX507を使用していましたが、やや演出感のあるドンシャリはメリハリがありグルーブ感のある音はSonyの音で音楽を楽しく聴く事が出来ました。しかし、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5の方がモニターライクながらも、決してつまらない音ではなくリスニングでも使えて万能と考えたからです。

Shanling UP5をUSB-DACとして使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

 

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属白色溝有 Mサイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「低音が抑えられた音。高音域に華やかで明るく派手に鳴らす。平面駆動らしい高音と中音域に解像感を感じられる音」でした。注意点としてはBalanced Edition同様に音量がやや取りにくく普段よりもボリュームを上げる必要があります。

箱だしでは高音域の騒がしさと量感の少ない低音に加え、緩さを感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音の量感はさほど変わりませんが、締まったタイトな音になり高音域も落ち着きました。

 

音場

やや広めから広め。前後の奥行を感じられ、特に左右の空間の広さを感じられます。

 

高音域

華やかで明るく華やかさがある派手な鳴り方は、ちょっと騒がしくない?と感じるような鳴り方です。煌びやかで響きが良く上までよく伸び、存在感があります。悪く云えば前に出たがる主張。良く云えば高音域を中心に解像感を感じさせシャープな音。とは言えしっかりと鳴るものの刺さりや尖りは感じ難く、不快感の無いように上手くまとめている印象です。繊細に鳴る音も線の細い聴こえない音ではなく細やかな音を描写してくれる解像感の高さを感じます。

 

中音域

空間の広さを感じられ高音域同様にその空間に華やかに響く音は繊細さも持ち合わせており、複数ドライバでよくあるような音が重なり中心に集まる団子感や音がゴチャつく渋滞の無い整理された分離の良さ感じます。高音同様に解像感の高さを感じ、小さな音の消え入る様を感じられる繊細さがあります。ボーカルはクリアで自然な位置から聴かせてくれ、ややドライ気味なものの息遣いを感じられます。

 

低音域

量感は抑えられ、余韻を楽しむような広がりはありませんが、決して軽い音ではなく芯のある締まった音。全体的な印象として締りとキレは良好で音の強弱や音階を淡々と描写する。ベースラインは追えますが、支配的ではなく添えるだけ。重低音の沈み込みはそれほど深さを感じませんが、芯の強さを感じる音。

 

出音のバランス

一言で云えば派手な明るい中高音寄り重視の弱ドンシャリ。出音は高音の主張が強く低音がそれほど強くないので万人受けするバランスではない。やや高音強調のフラットバランス寄りに感じられます。

 

高音はかなり派手に感じられますが、低音が控えめなバランスから受ける印象によって脳が支配されている印象。実際には煌びやかで響きも良く華やかに明るく鳴りますが、耳を劈く様な刺さりをギリギリ攻めたように派手に鳴る訳ではなく、ちょっと騒がしいな位の印象。音の強弱や響き、小さな音も繊細に描写してくれます。超高音までの伸びも良くなめらか。強めの音も尖りはなく、小さな音はかき消されずに耳に届けてくれます。演出感のある鳴り方ではなく、あくまでも解像感の高さを感じられる音は、高音を強調し解像感が高いような演出した音ではなく、小さな音も繊細に鳴らす描写力を持ち合わせた音です。

中音も高音域同様に華やかさがありますが、ちょっと騒がしい。凹みを感じずに縦横の空間の広さを感じられ、楽器の音はボーカルの周りやや後ろ辺りの離れた位置に感じる立体感のある鳴り方ですが、その音は統制されています。空間の見通しは良くクリアで音の描写力は良好。解像感の高い分離の良い音を感じられます。

ボーカルは自然な位置から聴きやすく、高音や低音の音に埋もれません。中音に重なり、かき消されることはありません。声色はややドライ気味なものの息遣いを感じ、クリアに聴こえます。

低音は量感はかなり抑えられ、余韻を楽しむような広がりは感じません。軽い音ではありませんが、芯がある強くて締りの良いタイトな音はキレの良い小気味良い鳴り方です。従来のKZの二重磁気ダイナミックドライバの様な強いアタック感ではありませんし、量感で誤魔化していない低音はバラードなどのしっとりとした雰囲気の良い曲との相性は良くないかもしれません。中高音寄りの弱ドンシャリの出音はフラットバランス寄りという印象を受け、寧ろ高音域を楽しむために低音を抑えた音。高音中音を邪魔することはありません。

重低音は沈み込みはそれほど深くありませんが、芯のある強さがあり小気味良く鳴ります。明るく華やかに鳴る高音中音域をキレの良い低音が小気味良さを感じます。

 

PR1 HiFi Editionの音はBalanced EditionやPLA13とは異なる傾向です。箱出し一聴して感じられる違いは、f特にも表れていた違いの通り低音域は抑えられており、HiFi Editionでは高音域中心に聴かせることを主眼とした音づくりという印象です。加えてBalanced Editionよりも高音域が華やかさを感じられ、ちょっと騒がしい印象も受けますが、平面駆動ドライバの特徴である解像感の高いサウンドは不快な尖りはなく統制され、金属音の刺激的な部分を抑えながら明るく華やかな印象です。

HiFi Editionはちょっとネガティブな要素を持ち合わせていますが、Balanced Editionの普通に良い音という印象と比べた場合の話であり、音が破綻している訳ではありません。以前のKZの高音域のような主張の強い派手な音は、平面駆動ドライバの繊細な音を鳴らす事ができる特徴を活かせているのかと問われると疑問を持つというのが正直な感想です。

 

次に同様の平面駆動ドライバ搭載機との比較としてTrn Kirinとの比較です。販売価格帯が一クラス上となる為、参考程度となります。

先ず、同じ平面駆動ドライバと云ってもKirinは14.5mmとPR1の13.2mmとは異なります。先述の通りf特ではHiFi Editionの方は低音域等がKirinに近しいのですが、聴き比べると全体的に違う音と云えます。

一番の違いは高音域です。PR1 HiFi Editionでは高音域が明るく派手な音ですが、Kirinの高音は繊細な音を聴かせてくれます。一言で云えばKirinは品のある高音です。悪く云えば騒がしいHiFi Editionとは音の描写、解像感のレベルが違います。

低音もKirinもPR1 Balanced Edition程の量感はありません。量感だけならばHiFi Editonとほぼ同じ位ですが、低音の解像感がKirinの方に分があります。HiFi Editionの低音は同じ量感を抑えた傾向であっても音の強弱のみであり、Kirinの様に音階の表現力には敵いません。

また、Kirinの方が音場の広さ、特に奥行を感じやすい印象です。これはPR1 HiFi Editionの3.5mmアンバランスとKirinの4.4mmバランスという違いもあると思いますが、やはりKirinが一クラス上であることを実感します。

そのためKirinとHiFi Editionは近しいf特であっても、全く違う音という印象を受けます。

とはいえ聴き比べればの話であって、PR1 HiFi Editionだけ。または、Kirinだけを聴いている限りはどちらも同じ傾向の弱ドンシャリの繊細で高解像の音は、レベルの高い音と感じます。

PR1 HiFi Editionは、高音域に特徴のありながらも分離の良い繊細で解像感の高い音であり、同価格帯の多ドラハイブリッドモデルの様に相性の良い楽曲に左右されがちな音質評価と云えそうです。寧ろBalanced Editionの方は万能感のある高音質と云えそうです。

 

※以前のTrn Kirinのレビューもご参考ください

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まとめるとPR1 HiFi EditionはBalanced Editionとは傾向の異なる音質であり、高音域が特徴的なバリエーションモデルと云えそうです。

また、今年のトレンドである平面駆動ドライバを採用し、KZブランドらしさで魅せてくれたモデルです。そして何よりもKZのアイデンティティー、他社と比較した場合の圧倒的コストパフォーマンスのが高さを証明してくれました。

なお、PR1 Balanced Editionはリスニング用途としてのバランスの良さがあり、HiFi Editionは低音よりも高音が欲しい方というような棲み分けられる音ですので、各々評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   HiFi Edition ≧ Balanced Edition ≧ PLA13 (出音の強さの順)

中音   HiFi Edition ≧ Balanced Edition ≧ PLA13 (出音の強さの順)

低音   PLA13 ≧ Balanced Edition ≧ HiFi Edition (出音の強さの順)

ボーカル Balanced Edition ≧ PLA13 ≧ HiFi Edition (質感の順)

 

 

4. KZ PR1 HiFi Editionの総評

KZ PR1の二つのEditionは同社の得意とする複数BAや多ドラハイブリッドモデルとは異なりシングルダイナミックの平面駆動ドライバモデルをライバルを大きく下回る販売価格で新発売するというコストパフォーマンスの高いモデルです。しかし相変わらず付属品が貧相で従来のワリキリを踏襲していますが、我々中華イヤホンファンもKZにそれは求めていないですし、個人的にはアリと思います。それでも平面駆動ドライバのモデルが9,000円程度で購入でき、音質も同価格帯の多ドラハイブリッドモデルを凌ぐ音質は、総評として高音質と云えますのでお勧めです。そして先述の通り、先に発売したKZ系ブランドCCA PLA13のブラッシュアップ版として完成度が上がっているBalanced Editonに対し、KZらしい明るく派手な高音域のHiFi Editonはユーザーの嗜好に応じて選択できますので、これからどちらかを購入する場合にはKZ PR1 HiFi Editionの方をお勧めします。その心は…。どちらもコスパの良いイヤホンですが、高音の派手さはイヤーピースで調整できますし、低音域のスッキリした音は化ける可能性が高く、潜在能力はHiFi Editionの方が高いと個人的に評価しています。

 

最後に、今回は今年9月に発売された中価格U5000-A10000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2022年11月5日)はAliExpressで11.11セール中。通常9,000円程で販売し、国内amazonでは11,000円程の価格で販売されています。海外通販でもHiFiGoの発送は早く届くのも早い印象がありますが、一方のAliExpressでオーダーした場合の入手性もかなり改善しています。とはいえこれまでの中華イヤホンの中では高価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは十分満足できる内容となっておりますので、中価格帯中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、新製品を少しでも早く(安く)手に入れたい方はHiFiGoでの購入も検討してみてくださいね。

 

PR1 HiFi Edition

以下、付属ケーブル、付属白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★★
分離★★★★★
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

 

PR1 Balanced Edition

以下、付属ケーブル、KZ付属白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★★
分離★★★★★
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

 

PLA13

以下、付属ケーブル、付属白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★★
分離★★★★★
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

 

Kirin

以下、付属ケーブル4.4mm、付属白イヤピ M使用、Referenceノズル、DAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★★
分離★★★★★
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回はいつもの中華イヤホンの中価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後も低価格?を中心に、中華据え置き機器や複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ