みぃねこの備忘録

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KZ DQ6Sレビュー 3DDモデルの進化版 ※前作KZ DQ6や1BA+1DDモデルTrn TAとの比較含む

こんにちは。

今回はいつもの中華イヤホンレビュー編として低価格帯で年明けに発売されたKZ  DQ6Sについてレビューをまとめたいと思います。

AliExpressのKZ Global Storeから購入しています。

 

ja.aliexpress.com

 

国内amazonでもGK Official Storeで取扱があります。

 

 

 

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1. KZ DQ6Sについて 

KZ DQ6SはKZ社の低価格帯モデルラインナップの中で変わり種である前作DQ6の後継機です。昨年後半からKZは有名レビュアーとのコラボモデルを発売しており、DQ6SもHBBコラボとなっています。有名レビュアーが認める「良い音」という物がどんな音を聴かせてくれるのか気になるところです。

しかし、好事魔多し。高音域用2DDとメイン中低音域用1DDを繋いでいる音道管に接着剤が詰まっているという不良が特定のLOTで発生。メーカーが回収するという事態がありました。更に3DDの内、高音域用2DDが殆ど鳴っていないという疑惑も…。こちらについてはネット上で分解検証した方もいらっしゃったようで、物議を醸しました。

個人的には殆ど鳴らないドライバがあるというのは中華イヤホンの音質チューニングとなのではないかと考えています。最終的に出音での評価をしている私としては、複数ドライバを搭載し各ドライバが各音域を担う場合のクロスオーバーチューニングは非常に難しい技術でありこれをうまく調整していないと各音域に段差というか落差というか音が不自然に聴こえつながりの悪さを感じます。あちらは時間と手間がかかる。儲からないことはやらない事が正義という文化のある所なので、同等の効果が得られコストが掛からずにできるのであれば商売として何方を選択するのかということを優先します。それについていろいろな意見があるのは理解していますし、正しい正しくないというお話をするつもりはありません。それについて議論したいわけでもありません。趣味の世界を離れた時、本業でかかわることがある私としてはそれが絶対に悪だとは思わないという一つの意見でございます。

と、まあ、そんなこんなでKZは低価格中華イヤホンのリーディングカンパニーとして踏ん張りどころ。企業としてのプライドに懸けて我々中華イヤホンファンに新しい商品を発売していただき、これからも楽しませてくれることを願います。

 

さて、前作DQ6が挑戦的な商品であり、BAに代わりDDを高音域用に採用した変わり種モデルでありながら、音は良い。しかも従来の1BA+1DDハイブリッドモデルと比べても遜色ない音。寧ろ音場は1BA+1DDハイブリッドモデルよりも広さがあり、闇雲に高音域を強めて解像感を得ようとしていない等、音づくりが丁寧になったのかなという認識でした。その一方、高音域用2DDとメインの中低音域用1DDとの音のつながりに不自然さを感じる部分もありました。具体的には高音域が独自に鳴っているように感じるところと、高音域の音が細く感じるのにちゃんと主張しようと鳴るために若干シャカシャカしているように聴こえていました。後継機のDQ6Sではこの辺りの改善があるのかは個人的チェックポイントです。

 

KZ DQ6Sは今年初めに発売され、片側に三つのダイナミックドライバを搭載しています。従来の1BA+1DDモデルでは高音域をバランスドアーマチュア(BA)ドライバ1基がそれを担いましたが、DQ6では小径のダイナミックドライバ(DD)2基がそれを担っています。音を繊細に高い解像感を表現するのにBAは最適ではありますが、中華イヤホンの低価格帯で採用されているBAの質は残念ながら高いとは言えず、音に粗さがあり解像感を重視した結果、シャープさはあるが故に尖りも兼ね備えています。もちろんドライバの質だけでなくチューニングも重要です。そのチューニング技術も数年前に比べればかなり良くなってきており、実際1BA+1DDハイブリッドモデルのKZ ZSN pro XやLARKは国内有名メーカーのU5K中価格帯とも良い勝負をすると思います。

ですが、数年前の初期ZSTの頃は1BA+1DDハイブリッドモデルが1,000円ちょっとという圧倒的コスパによる人気から分かるように現在は2,000~3,000円と国内メーカーのエントリーモデルと同等となってきていて今でも十分にコスパは良いのですが、1BA+1DDハイブリッドモデルは飽和気味。

そういう意味でもDQ6Sの3DDモデルは中華イヤホンが新たなステージに突入したと云えるのかもしれません。

 

その3DDモデルの後継機DQ6Sが発売され早々に購入したものの、冒頭の事件のなんやかんやで記事の執筆モチベが上がらずにほっといた訳ですが、聴いてみればやはり音は良い。これを伝えていかなければと半年放置してやっと執筆している次第です。そんなやらかしを含めて愛でる中華イヤホンの世界。所謂沼の存在を伝えていこうと思います。

そして、本記事では同じ低価格帯中華イヤホンから最近は音質で評価の高いTrnから1BA+1DDハイブリッドモデルのTrn TAとKZから前作KZ DQ6を選択し、それらとの違いを交えながらレビューを纏めていきたいと思います。

 

KZ DQ6Sのスペックですが先述の通り中華イヤホンの低価格帯で多く採用されている高音域用のバランスドアーマチュアドライバ(BA)を1基と中・低音域用のダイナミックドライバ(DD)を1基搭載した片側デュアルドライバ構成のハイブリッドモデルとは異なり、三つのダイナミックドライバを搭載しています。小径ダイナミックドライバ(DD)2基が高音域を。大径ダイナミックドライバ(DD)1基が中・低音域を担当しています。

大小二種のダイナミックドライバには中・低音域用が直径10mmの二重磁気ドライバを採用。高音域用に直径6mmのダイナミックドライバを2基並列配置し10mmDDに並列搭載しています。

イヤホン本体はシェル本体が樹脂製。フェイスプレートとステムノズルが金属製とポピュラーな仕様。ZSN pro XやLARKと同様にシェル素材のハイブリッド構成という低価格帯のスタンダードです。

以前ステムノズルの素材が金属製と樹脂製との違いによって音質傾向への影響をこれまでレビューした経験から、それが高音域に現れると感じていますが、多くの低価格1BA+1DDハイブリッドイヤホンでは高音域を担当するBAドライバがステムノズルの中に配置されており、音道管を使用していない為、高音域の伸びや響きに影響があると経験則で捉えています。

とはいえ最も大切なのはこれまでレビューした低価格中華1BA+1DDイヤホン同様に各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングが重要となります。このチューニング次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくると云えますね。

 

※宜しければ過去記事もご参考ください

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KZ DQ6Sの納期として今回AliExpressで購入し中国本土からの発送という事もあり、国内amazonのようにはいきません。今回もオーダーから2週間弱で届きました。昨今、感染症の影響で中国からの輸送は平時の様にはいきませんが、それも徐々に回復傾向であり最近はシンガポール経由ではなく台湾経由等で動き始めていますので、物流の安定化までもう少しというところですね。尤も平時であればAliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. KZ DQ6S実機レビュー 

それでは、早速実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングはいつものKZのシンプルなデザインの小箱、スリーブタイプの化粧箱です。
箱の表にはイヤホンイラストが。裏にはスペックが記載されています。

そしてHBBコラボの証として「KZ x HBB DQ6S」のモデル名が印字されています。

 

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スリーブを外すと白地の内装の台座にイヤホンが収納され、台座を取り外すと箱の底に付属品が収納されています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースが最近のKZに付属する従来の溝有KZ黒イヤーピースの軸短白色タイプのS、M、Lの3種が計1セット。Mサイズが本体取付け済み。他にはケーブルです。A3K、実売3,000円台の低価格帯としては一般的な付属品となります。

 

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※HBBコラボの証として「HBBロゴ」がマークされています
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次にビルドクオリティですが、中華イヤホンで心配されるような雑なところはなく、近年のレベルアップを感じられます。肝心の音道管は「しっかりと」繋がっていました(一安心)。

カラーバリエーションはピンクとグレーがあり、今回はピンクを選択しています。

 

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付属ケーブルは最近のKZに付属する並列ストレートタイプ、4芯銀メッキ銅線の線材が採用されています。プレイヤー側コネクタはL字タイプで、イヤホン側はKZ-Cタイプ、2ピン仕様、KZ極性(上がプラス)です。この付属ケーブルは耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的にやや絡まりやすいもののしなやかなものとなり低価格帯に付属するケーブルの中でも質感が高くそのまま使用できますし、銀(白)色ケーブルはやや派手なところもありますが、シェルの無色透明やフェイスプレートのピンクと相まって普段使いでは少々目立つかもしれませんね。個人的には問題ないですけど。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

※画像左からTrn TA、KZ DQ6S、KZ DQ6 

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DQ6SとDQ6、TAの外観の比較として、サイズ感はTAが一般的な低価格中華イヤホンと同様の造形でコンパクト。DQ6SとDQ6はやや大きく感じます。シェルの造形はカスタムIEM風のDQ6SとDQ6の幅が無く厚みがあるシェルと比較しオーソドックスなTAは横に大きく薄くなります。

DQ6SとDQ6はステムノズルとフェイスプレートが金属製でフェイスプレートのデザインも同一。まあ同一シェルだと思います。一方、TAはステムノズルのみ金属製ですが、シェルは樹脂製。そのため重量はTAが一番軽量ですが、意外にDQ6SもDQ6もその造形から耳への装着時には殆ど気にならないレベルの差でしかなく、3機種共に耳への装着感は悪くありません。個人的にはDQ6SやDQ6の造形の装着感は良好です。

ステムノズルの太さはDQ6Sが一番細く、次にDQ6。TAは低価格中華イヤホンの一般的なサイズでやや太め、角度はTAが一番寝ていますが、耳への装着感は良好です。

また、ステムノズルには全てにメッシュフィルターがあり音質変化はDQ6が一番細目。この金属タイプのフィルタでは異物混入による故障を防ぐことだと思いますので音質変化はそこまで気にする必要はなさそうです。

そして、シェル本体の形状は3機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、先述の通りDQ6Sはステムノズルは細めです。太いステムノズルは装着感に影響があり、圧迫感を感じやすいですが、細めの場合、イヤーピースが抜ける事が心配されますのでサードパーティー製を使用する際は注意が必要です。

 

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この付属イヤーピースは軸が短く耳の奥にぴったりと押し込む形が想定されているようです。

音質的には従来のKZ溝有黒タイプよりも中高音域をクリアに聴かせてくれるタイプ。とはいえ、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングでサードパーティー製を含め選択されると良いと思います。

幸い私はこの付属イヤーピースは私には上手く合わせられましたので、Mサイズを耳の奥に栓をするように装着しています。

低価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じますが、今回は同じ中華イヤホン付属のイヤピ白色で十分と感じられそれを使用しています。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. KZ DQ6Sの音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

昨年はSony NW-ZX507を使用していましたが、やや演出感のあるドンシャリはメリハリがありグルーブ感のある音はSonyの音で音楽を楽しく聴く事が出来ました。しかし、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5の方がモニターライクながらも、決してつまらない音ではなくリスニングでも使えて万能と考えたからです。

Shanling UP5をUSB-DACで使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

 

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低価格帯のイヤホンの場合でそれらの違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。

 
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※FiiO M5とShanling M0の比較もよろしければご参考ください。 

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属Mサイズ、付属銀メッキ銅線ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「KZらしさを抑えた音。豊かな低音とシャッキリとした高音域を感じるのドンシャリバランス。ただし、DQ6で感じたシャカシャカするようなカサつかない落ち着いた音色」でした。

箱だしではやや低音に膨らみを感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音が締まり落ち着きました。

音場は広くも狭くもない普通。曲によってやや広く感じます。

高音は煌びやかさがあり華やかさがあるが、刺さりは抑えられています。

低音は適度な量感があり芯が感じられ締りとキレがある。ベースラインは追いやすい。

重低音は沈み込みはそれほど深さを感じないが強さはある。

中音は適度な華やかさは元気で派手さがあり、曲によっては多少のゴチャつきを感じます。ボーカルはクリアで自然な位置から聴かせてくれ、曲によってやや近く感じ聴きやすい。

一言で云えば中低音寄りのドンシャリ

高音は低音域に埋もれない存在感のある煌びやかさと華やかさがありますが、超高音までの伸びは感じないものの不快に感じる尖りはありません。これはKZを始めとする低価格帯1BA+1DDハイブリッドモデルと遜色ないものの、それらよりは抑え気味の印象です。

中音はやや凹みを感じ、楽器の音がボーカルの周りに位置し華やかに鳴ります。ボーカルはクリアで聴きやすく、高音低音に埋もれません。

全体的にみても中音域は華やかに鳴り、音数が多いハードな曲では流石に音の重なりを感じ団子感があります。それでもちゃんとボーカルはしっかり聴くことができる印象です。

ボーカルはバラード等ではやや近く感じ、アップテンポの曲でも明朗に聴く事ができます。この辺りはDQ6と違いしっとりとした雰囲気の曲も相性の悪さをそれ程感じることはありません。

低音は適度な量感があり、しっかりと鳴ります。不足のない十分な量と芯のある音は締りとキレがあり強さがあります。重低音は十分な強さがあるものの深く沈み込む程ではありません。しかし、この適度な低音が高音中音を支えることでKZのドンシャリバランスの音を聴かせてくれます。

次に、DQ6では特徴的な音場感がありましたが、DQ6Sでは違和感の無い音場となっています。

DQ6Sでは横方向の広さに加え奥行を感じられ、ボーカルの周りにやや後ろに演奏が居る立体感のある印象です。DQ6ではボーカルの横一面に位置し平面的な感覚でしたが、DQ6Sではこれが改善されています。

加えて、冒頭第一印象でも触れた通り、DQ6では平面的な音場とシャカシャカしたカサついた音。もっと云えば勝手に鳴っている感のあった中高音が、DQ6Sでは音が整いコントロールされた高音と中音が調和のとれた落ち着いた音色で聴かせてくれます。


DQ6Sは以前レビューした前作KZ DQ6の音質傾向を踏襲しながらDQ6では3DDの音が手探りであったものをブラッシュアップした音であり、確実に進化を感じさせます。そして従来の1BA+1DDハイブリッドモデル、KZ ZSN pro XのようなKZ「らしさ」である高音と低音を疎かにしていない音色からは感じられますし、従来のトニカク派手なKZらしい音からはやや抑え気味と云えます。例えばZSN pro Xのドンシャリには及ばず、DQ6の方が派手さがあります。

いずれにせよDQ6Sは前作DQ6の音質傾向と同じながらも、ちょっと前の低価格帯のポピュラーなドンシャリとは違う、敢えて抑えている印象です。

 

※以前のKZ ZSN pro Xのレビューもご参考ください

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次にTrn TAとの比較ですが、TAはTrnの最新の音を実現した音と云え、低音は適度で中高音をクリアに質の良い音を聴かせてくれます。高音は繊細で上質な音を狙い、Knowles製BAを採用。これにより上品な高音を実現した中高音寄りのバランスのため、リスニング用途としての聴いていて楽しいドンシャリバランスが好きという方にはもの足りない音でした。

そのため、DQ6Sの方が低音域の量感や響きの良さがあり、高音もDQ6Sの方が華やか。リスニング用途としてはDQ6Sの方が好みという方の方が多そうですね。

 
まとめるとDQ6Sは高音域は煌びやかさ華やかさは存在感を示し、低音域は重低音は適度でも強さと締まり、キレのある存在感は心地良く、けして出しゃばらない。中音域は音の華やかさとボーカルの聴きやすさを感じられるKZらしさを感じられる音質傾向は前作DQ6の不満点を改善した正統進化の後継機と云え、その完成度は2作目にして高く、同社の同価格帯の主力1BA+1DDハイブリッドモデルと音色は異なるもののKZらしさのあるドンシャリと云えそうです。

尤もリスニング用途としての聴いていて楽しいドンシャリバランスは中華イヤホンには高音域のシャリつく刺激的な強さや低音のドンの量が多い強ドンシャリを求める演奏メインで聴きたい方には、少しもの足りないと感じられ評価が分かれてしまうかもしれません。

 

高音   TA ≧ DQ6S ≧ DQ6 (質感の順) 

中音   DQ6S ≧ TA ≧ DQ6 (質感の順)

低音   DQ6S ≧ DQ6 ≧ TA (質感の順)

ボーカル DQ6S ≧ TA ≧ DQ6 (質感の順)

 

 

4. KZ DQ6Sの総評

さて、KZ DQ6Sは3DDモデルでKZらしさに原点回帰したDQ6の正統後継機であり、前作のドンシャリ回帰とは異なりそれを抑え気味にしながらも気持ち良く聴く事ができる弱ドンシャリバランスとまとめました。

そういう意味では中華イヤホンを「わかっている」方へお勧めできますが、コスパ重視で購入を検討されている方には注意が必要な商品です。

 

最後に、今回はAliExpressで昨年末に発売された低価格帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2021年7月1日)はAliExpressやamazonで発売されており、AliExpressで3,000円台の価格で入手可能です。一方amazonではprime扱いの3,000円台と、円安の所為でAliExpressの方が安価に入手できるとは言えない状況になります。加えてその入手性には現在も難があります。とはいえこれまでの低価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっておりますので、低価格中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、少しでも安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

DQ6S

以下、付属ケーブル、付属イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★ 
中音★★★☆  
低音★★★★ 
音場★★★☆
分離★★★
お勧め度★★★★☆ (出力の高いDAP ★5)

※☆0.51.0

 

DQ6

以下、付属ケーブル、中華白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★ 
中音★★★☆  
低音★★★★ 
音場★★★
分離★★★
お勧め度★★★★  (出力の高いDAP ★5)

※☆0.51.0

 

TA

以下、付属ケーブル、付属白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★ 
中音★★★★  
低音★★★☆ 
音場★★★☆
分離★★★☆
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

 

あとがきとして、今回はいつもの低価格中華1BA+1DDハイブリッドイヤホンではなく同じ低価格帯としては異端児とも云える3DDモデルの後継機のレビューを今更ながらまとめました。色々と葛藤があったことを察していただけますと幸いです。

そして日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後も低価格?を中心に、複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ