こんにちは。
今回はいつもの低価格中華イヤホンレビュー編として、低価格U5000帯で発売された1BA+1DDモデルのKZ ZNAについてレビューをまとめたいと思います。
国内amazonで取扱いがあります。
AliExpressでも取り扱いがあります。
1. KZ ZNAについて
KZ ZNAは、久しぶりに同社の得意とする低価格帯の片側デュアルドライバの最新モデルとして、今回「ZNA」が1BA+1DDハイブリッドモデルとして昨年末に新発売されました。
KZといえば、これまでにも1BA+1DDハイブリッド構成のイヤホンを多数発売しておりますが、2020年中盤に発売したZSN pro Xを最後に同年後半にU2K帯で同社のEDXに始まった1DDモデルがトレンドとなり2021年前半の低価格中華イヤホン市場を席巻しました。そして同年後半から2022年前半にはBAに代わるドライバとしてESM(Electro Static Magneticの略。EST省電力タイプ)を採用したハイブリッドモデルのZEX等を登場させましたが、従来のBAとは異なりESMドライバの出力を抑えたチューニングが「鳴っていない」と揶揄され「実質1DD」という評判の憂き目を見ました。そこからはかつてのライバルTrnの躍進により、トップランナーの地位を追われる形となり、同社10周年記念モデルESXは1DDモデルでの発売と1BA+1DDハイブリッドで躍進した同社にとって不本意な形だったのではと推察します。そのESXも記念メダルを同梱する等、特別なモデルとして新型ダイナミックドライバを投入しましたが、販売的には成功とはいえず見る影もありませんでした。過去の栄光は今は昔と相成り2022年は新技術よりもZS10 pro Xの様に過去にヒットした製品の焼き直しに頼らざるを得ない同社にとって苦しい状況が続いたと云えます。
そんなKZが昨年の終わりに発売したのが、今回のZNAとなります。記念モデルESXで新投入した12mmDDを改良し、1BA+1DDハイブリッドモデルとしたそれが本当の意味でのKZの記念モデルとして期待が高まります。
では、KZ ZNAのスペックを詳しく見ていきます。先述の通り1BA+1DDハイブリッドモデルです。1BA+1DDハイブリッドモデルの超高音~高音域のバランスドアーマチュアドライバ(BA)にはKZのカスタマイズ30095を採用し超高音~高音域を担います。中音~低音域はKZの最新12mm径ダイナミックドライバ(DD)が担います。この振動膜には0.15mmの薄膜液晶ポリマー(LCP)ダイアフラムが採用されています。ESXでも12mm径DDにLCPダイヤフラムが採用されていますが、ESXでは厚さ5ミクロンの超薄膜ダイヤフラムとなりますので、ZNAとは異なります。更にZNAのダイナミックドライバには、従来のKZ同様に二重磁気コイルとデュアルキャビティと組み合わせることで、応答性の高い中音域と豊かな低音域を実現しています。また、BAの配置は従来のKZではステムノズル内部に配置していますが、ZNAではDD傍に並列に配置しています。
昨年はLCPダイヤフラム(=振動膜)採用のドライバがトレンドの一つでした。LCPダイヤフラムダイナミックドライバの特徴としてキレの良い解像感の高い音を表現できますが、反面音が軽く感じやすく、それを二重磁気とデュアルキャビティによってLCPダイヤフラムだけの低音では物足りないところを補います。
次にシェル本体は樹脂製、フェイスプレートは金属製です。KZでは上位のASシリーズなどで音導管の効果を狙い、内部キャビティ構造を用いていますが、ZNAでは低価格帯でよくある製品と同じく音導管は採用していません。
音質を突き詰めればシェルの材質による音への影響は無視できません。金属製シェルは高音域の響き、反響が樹脂に比べて大きくなります。響きの美しさは金属が一枚上手ですが、良い事だけではなく、反響が強くなることで不自然な残響音となる場合があります。一方樹脂製シェルでは高音域の響きが吸収されてしまう傾向があり、金属シェルと同じ音圧をにするために高音域の減衰を考慮しやや強めに鳴らす必要があります。加えて、音導管の有無も重要でこのバランスが難しいのは言うまでもありません。
そして最も大事なことですが、異なる複数のドライバを搭載するハイブリッドモデルでは各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングが重要です。低価格帯はもとより、中価格帯のモデルでも曲によってつながりにやや不自然さを感じる場合があります。この辺りが各社のチューニング技術の腕の見せどころと云えます。
最後に付属ケーブルです。最近のKZで採用されている並列フラットケーブルは銀メッキ無酸素銅(OFC)線を採用しています。中華イヤホンメーカーでは付属ケーブルはリケーブル前提で質を落としコストカットしているところもあり、特に低価格帯では顕著です。KZ付属ケーブルもその類と云えますので、必要に応じてリケーブルを検討してください。
※宜しければ以前のレビューもご参考ください
KZ ZNAの納期としては現在(2023/2/4)国内amazonでも本国発送扱いです。prime扱いの当日発送、翌日配達ではありませんが、amazonの安心感があります。AliExpressでオーダーした場合では感染症の影響は回復傾向であり国内で佐川急便に委託される輸送の場合はかなり安定してきました。尤も平時であればAliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。
そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かるのが気になるところでしたが、最近は円安の影響で国内amazonとの価格差が殆どなく、そのメリットは殆ど感じません。
まあ海外ネットショッピングで心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。
2. KZ ZNA実機レビュー
それでは、早速実機レビューを以下、まとめていきます。
パッケージングは白を基調としたいつものスリーブタイプ。スリーブ表面にはイヤホンイラストがプリントされています。
スリーブを外すと内箱が。こちらも白を基調としています。
内箱の上側にイヤホンが収納されています。
内箱の下側のカバーを開けると付属品が収納されています。
付属品はシリコンイヤーピースタイプのS、M、Lの3種1セット、他にはケーブルです。低価格U5,000帯として必要最低限の付属品となります。
次に本体を見ていきます。
一見してKZと分かるデザインのフェイスプレートに対し、シェルの造形はオーソドックスなもの。
肝心のビルドクオリティは、中華イヤホンの低価格帯として十分に綺麗な仕上りでシェルの合わせ面も綺麗に揃っています。
カラーバリエーションは黒色のみ。
付属ケーブルは先述の通り最近のKZに付属する並列フラットケーブルタイプ。銀メッキ無酸素銅(OFC)線を採用しています。プレイヤー側コネクタはL字タイプ。イヤホン側はKZ-C 2ピン仕様のKZ極性(上側がプラス)です。この付属ケーブルは被膜に多少引っ掛かりがありますが、タッチノイズは抑えられております。肝心の耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的にやや堅さを感じますが比較的しなやかなさはありますので取り回しは悪くありません。
参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。
※画像左からZES、ZNA、ZSN pro X
ZNAとZSN pro X、ZESとの外観の比較として、サイズ感はほぼ同じ。比較的シェルに厚みがあります。造形はオーソドックスで過度の落ちた丸みのあるもの。
ステムノズルの長さと太さ、角度は三機種共にほぼ同じ。太さはZSN pro Xが太め、ZESが細め、ZNAがその中間です。長さは三機種共にやや長め、先ずかにZNAがその中でも長めです。
三機種共に耳への収まりが良く装着感は悪くありません。
イヤホンとケーブルを接続するコネクタには全てQDCタイプのKZ-C 2ピン仕様。リケーブルの際は2ピン仕様でも使用できますが、コネクタ部の強度を考慮すればKZ-Cタイプを選択した方が良さそうです。
シェルの材質は、全て樹脂と金属のハイブリッドに対し、ZSN pro XとZESはステムノズルも金属です。
重量は三機種ともにほぼ同じ。そこまで軽量とはいえませんが、特別重量を感じる事もありません。寧ろ耳への装着感はステムノズルの太さに影響を受けやすくZNAは細めと云えますのでイヤピのサイズで調整しやすいと思います。
ステムノズル部には全てにメッシュフィルタがありZNA以外は金属フィルタを採用。ZNAは本来のフィルタタイプで音質への影響のあるタイプです。
三機種共にシェル本体の形状と付属ケーブルからはシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。
なお、先述の通り三機種全てステムノズルが比較的太めなものの、実際の装着感は悪くなく、寧ろ付属イヤーピースの形状からは耳に密着させ装着する想定の様子。付属のシリコンイヤーピースで上手くフィットする事ができれば音質的にも必要十分だと思います。
最後にイヤーピースを見てみます。
付属のシリコンイヤーピースは従来のKZで付属していたものと異なり傘の内側にフィン?があり口径の大きなタイプ。一般的な形状の丸穴径、傘の裾野が弾丸タイプ。他社製含むサードパーティー商品との互換性の高い一般的な形状は選択肢が増えますので安心です。AliExpressでは見かけたことのあるイヤーピースです。
付属イヤピは音質的にはダイレクトに音を届けてくれ、やや低音がしっかりとするタイプに感じます。従来の溝有黒と付属白の中間の印象で、中高音がはっきりと聴こえつつ低音もしっかりと鳴る印象です。軸はやや短めとなりますので耳への装着時はイヤピを耳にやや浅めに栓をするように耳へ密着させることを想定している様です。付属イヤピで装着感に問題ない場合を除き、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。
幸いこの付属イヤーピースで私は耳に浅めに栓をするようにしてフィッティングが上手いきましたのでそのまま使用しています。
低、中価格帯に付属するイヤーピースは装着感が悪く、音質的にも実力を発揮できないと感じますが、今回も付属のシリコンイヤピで上手くフィットできず他社製を使用しています。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。
このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)
3. KZ ZNA音質レビュー
いよいよ音質についてまとめていきます。
昨年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホはSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。
UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音に脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。
昨年はSony NW-ZX507を使用していましたが、やや演出感のあるドンシャリはメリハリがありグルーブ感のある音はSonyの音で音楽を楽しく聴く事が出来ました。しかし、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5の方がモニターライクながらも、決してつまらない音ではなくリスニングでも使えて万能と考えたからです。
Shanling UP5をUSB-DACで使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。
より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。
USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。
Shanling UA2は以下を参考ください。
それでは実際に聴いてみます。
ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。
先述の通りイヤピはSedna EarFit MSサイズ、付属ケーブルです。
箱出しで聴いてみた第一印象は「豊かな低音と高音に華やかさがある。やや中低音寄りのドンシャリバランス」です。
箱出しではやや高音域に強調感と低音にボワつきを感じましたが、鳴らし込み後は高音は落ち着き、低音は締まった印象です。
音場
普通の広さ。前後はやや奥行があり、左右もやや広さを感じられますが、立体感はそれ程感じませんし、空間の広さもそれ程感じません。
高音域
煌びやかで響きが良く上までの伸びやかさも感じられますが、特筆する程ではありません。一方、存在感は十分で華やかに鳴りますが、常に前に出るような出しゃばった感じはありません。刺さりや尖りは感じ難く、適度に抑えられた鳴り方。
中音域
高音よりも空間に響く華やかさがありますが、音が集まる団子感や音が重なるゴチャつきは抑えられていますが分離はそれなり。音の立ち上がりは良く解像感も良好ですが、多少描写の甘さを感じられます。ボーカルはクリアでやや近め。僅かにドライ気味ですが息遣いを感じられ瑞々しさを感じます。
低音域
量感は十分で響くような広がりもありますが、音階や強弱といった低音域の解像感の高い鳴り方。雰囲気の良い曲ではその片鱗を感じられます。ベースラインは追いやすい。重低音は沈み込みは深さはそれ程ではありませんが、十分な強さがある鳴り方です。
出音のバランス
一言で云えばやや中低音寄りのドンシャリ。高音域はしっかりと鳴り、低音域は強く鳴る音。
高音は煌びやかで響きも良く華やかに鳴る音は下品に主張をしませんが、やや前のめり気味。多少の誇張を感じますが、嫌味の無い印象ですが、超高音までの伸びはそれ程感じません。その分不快に感じる刺さりや尖りは抑えられています。低価格帯で採用しているBAの限界を感じる強めの音で強調されシャリ付く演出感のある不自然さはありますが、全体のバランスでみればやや誇張された程度の音です。この辺りはESMの方が質の高い音を表現できていた印象です。
中音は凹みを感じますが、ボーカルが近く楽器の音はボーカルの周りから少し離れやや後ろ辺りに位置し奥行は感じられますが、分離がそれ程よくないので重なりは抑えられてもご茶付く印象があります。それでも適度に統制された響きの良い華やかさは見通しが悪くないので不快には感じません。
ボーカルは近めの位置からクリアで聴きやすく、周りの音や高音や低音に埋もれる事はありませんがやや重なりは感じます。声色は僅かにドライ気味なものの息遣いを感じられ不自然さを感じ難く、瑞々しさを感じられます。その分女性ボーカルのバラードなどでしっとりとした艶のある声を楽しみたい場合には多少分の悪さを感じるかもしれません。
低音は量感は十分で響きや広がり、音階や強弱を描写します。それでもやや低音が強調された強めの音という印象は拭えず解像感の高さはやや良い程度。低音が強めのために雰囲気の良さを感じられ相性は良好ですし、ベースラインが邪魔しない程度に適度に前に出る様は音楽を聴いている心地良さがあります。
重低音は沈み込みはそれほど深くありませんが、十分な強さを感じられます。これまでの低価格帯の様なただ強く鳴らすだけの下品ではない音。低音の強い曲では少々支配的な低音域が高音や中音域を邪魔することもありますが、雰囲気は悪くないので音楽を聴く楽しさを感じられます。
箱出し一聴した時点で「やばい奴が返ってきた」と思いましたが、鳴らし込み、聴き込んでいくとあの頃のKZに戻ったというよりは、高音も低音も質感を疎かにせずに、自社の音を追求したのかな?と。確かに出音はドンシャリです。しかし、高音も五月蠅いだけの音からは一歩引いた弁えた感じがあり、シャンシャン、シャリシャリとは違います。低音にしてもドンドンする音ではなくド-ンとドゥォンの違いと云えば伝わるでしょうか。
これはZSN pro Xと比較した場合にZSN pro Xの様な高音と低音とは質感に違いがあってZNAの方が上の印象。特に低音は純粋な音のインパクトではZSN pro Xの方がありますが、中低音域の厚みや情感を感じるのはZNAです。高音はZSN pro Xの方がもっとレンジが広く中高音域にシャリ感がありますので、質感はZNAの方が上。勿論ZSN pro XはこれまでのKZの中で良バランスの機種として評価していましたので、これは私の嗜好がそう評価させるのかもしれません。
次にZESとの比較ではZESの高音は非常に質感の高い音です。統制の取れた鳴り方は小さい音でも搔き消されず、潰れずに耳に届けてくれます。それに対しZNAではZESの理想的な鳴り方とは言えずにやはり誇張した鳴り方であり、従来のKZサウンドがベースになります。中低音域はZESも12mmDDを採用しておりますが、ZNAのLCPダイヤフラムとは異なり、従来の二重磁気DDと同素材の大口径です。その違いもあるのでしょうかZESの低音域はやはり従来のKZサウンドの延長線上と云え強く鳴る音はZNAの低音の質感とは異なるものとなります。
個人的にはZSN pro XよりもZESの方が良い音だと思います。特に高音域の質感は低価格帯の中華BAでは真似できないと思います。そして12mmDDがZEXでは不足した低音域をカバーして完成度が上がったという印象を持っており、この時点でZSN pro Xを超えてきたなと評価しています。しかしながらZESの低音は所謂KZサウンドの低音とも云えますので高音の質感と中低音域の質感がアンマッチしていることをZNAが気が付かせてくれました。
※宜しければ過去記事もご参考ください
まとめるとZNAのドンシャリは従来のKZサウンドのドンシャリとは異なり高音域と低音域の質感を向上した一クラス上の1BA+1DDハイブリッドの音を目指した音と云えそうです。例えば先日レビューしたTRIPOWIN Rhombusの傾向に近いと云えます。とはいえあと一歩、いや後二歩ぐらいの差は感じられますし、Rhombusの壁は価格だけではないと言うのが正直なところです。それでもKZが低迷した2022年の最後にZNAを投入し、我々中華イヤホンファンに健在を示し、前を向いている姿を見せてくれたことは中華イヤホンファンの一人として嬉しく思いますし、これからも動向を追っていきたいと思いました。
ZNAは従来のKZのドンシャリサウンドをブラッシュアップした音質傾向は音楽を楽しく聴く事ができます。一方でモニター用途としては聴いていて楽しいドンシャリバランスと云えるため不向き。そして高音域のシャリつく刺激的な強さや低音のドンの量が多い強ドンシャリを求め、演奏メインで聴きたい方にはZSN pro Xの方が評価が高くなるかもしれません。
高音 ZES ≧ ZNA ≧ ZSN pro X (質感の順。強さはZSN pro X)
中音 ZES ≧ ZNA ≧ ZSN pro X (質感の順。華やかさはZSN pro X)
低音 ZNA ≧ ZES ≧ ZSN pro X (質感の順。強さはZSN pro X)
ボーカル ZNA ≧ ZES ≧ ZSN pro X (質感の順)
4. KZ ZNAの総評
KZ ZNAは同社が従来のドンシャリサウンドをブラッシュアップしたサウンドであり、同社の良さを感じられながらも高音域と低音域の質感を向上させたモデルとして音楽を楽しく聴く事ができます。安価に良いイヤホンが欲しいというニーズに4,000円までという予算で選択する場合に国内メーカーとの競合に加えて欲しいモデルと云えそうです。
最後に、今回は低価格帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2023年2月4日)は国内amazonやAliExpress等で発売されておりますが、何れも本国発送と昨今の円安のため、保証の観点からは国内amazonでの購入がお勧めです。AliExpressでも本国発送のため、納期は同程度掛かりますしその入手性には少々難があります。それでも、中華イヤホンの中でもその音質を含めクオリティの高さは十分満足できる内容となっておりますので、低価格中華イヤホンに挑戦してみようと検討中の方や間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実な国内正規品取り扱いを待って。少しでも新製品を早く安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。
ZNA
以下、付属ケーブル、付属イヤピ M、DAC UP5使用
高音★★★★
中音★★★☆
低音★★★★
音場★★★☆
分離★★★☆
お勧め度★★★★★
※☆0.5、★1.0
ZES
以下、付属ケーブル、Trn付属白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★
中音★★★★
低音★★★★
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★
※☆0.5、★1.0
ZSN pro X
以下、付属ケーブル、付属溝無黒イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★
中音★★★☆
低音★★★★
音場★★★☆
分離★★★
お勧め度★★★★★ (演奏重視の方に)
※☆0.5、★1.0
あとがき
今回はいつもの低価格中華1BA+1DDハイブリッドイヤホンのレビューとなりました。結構久しぶりになりますね。最近は少し価格帯が上の1DDモデルや多ドラハイブリッドモデルに触れる機会が多かったのですが、特にあのKZの新商品ということで楽しく書く事ができました。日々進化を見せる中華イヤホンはこれからも楽しみですが、今後も変わらず低価格?を中心に、手ごろな価格帯の中華イヤホンのレビューをしていきたいと考えています。
また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ