みぃねこの備忘録

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Joyodio SHINE(光耀) レビュー

こんにちは。

今回はいつもの低価格中華イヤホンレビュー編として、中価格A10000帯で発売された2BA+1DDモデルのJoyodio SHINE(光耀)についてレビューをまとめたいと思います。

国内amazonのLinsoul Audio(@Luke32344614)で取り扱いがあります。

 

 

AliExpressでも取扱があります。

 

ja.aliexpress.com

 

Linsoul Audioの直販サイトはコチラ

JOYODIO SHINEwww.linsoul.com

 

 

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1. Joyodio SHINEについて 

Joyodioは中国のオーディオブランドです。といってもそれ以上の情報が無く、以下はHPからの引用です。

トレンドを先導するヘッドフォンデザインと革新的な音響技術を世界中のオーディオファンにもたらすことを目的として設立され、そのコンセプトを達成すべく、Joyodioは独自のアイデアとして4つのスイッチにより音質チューニングを調整可能としたインイヤーモニターを開発し業界の新しいスタンダードを提案しました。
この新発売したSHINEは、光と影という観点からインスピレーションを得ています。暖かい日差しは目に見えても触れることはできませんが、光に照らされた表に対しその裏には影があります。その影は光があればこそ存在し、表は暖かさを感じることができるのです。その光はあなたに希望と力を与えてくれるでしょう。私たちJoyodioは独自の方法で光による暖かさを提供し、輝く瞬間を一緒に掴もうとしています。それは絶妙な造形や他に例をみない4つの音質調整スイッチを搭載し、3Dプリントによる音導管構造を採用したSHINEはJoyodioのハイエンドヘッドフォンコンセプトを実現する為に細部を妥協せずにあらゆる部分に拘り製品化されました。

以上がSHINEのリリースノートですが、Joyodioの自信の現れを感じます。実際に商品としてもSHINEの訴求性は高く、2BA+1DD構成の多ドラハイブリッドモデルという事や音質調整スイッチを4つも搭載していること。3Dプリンタによる成形技術による音導管を用いたりとJoyodio自体の詳細は分かりませんが、SHINEに興味が沸いたというのが素直な想いです。

そしてなによりも興味深いのは4基搭載したディップスイッチによる音質調整機能に心躍ります。「男の子ってこういうのが好きでしょ?」と脳に直接語り掛けられているような錯覚すら覚えます。

冗談はさておき。今回、Joyodio SHINEを入手しましたので、同クラスのBQEYZ TOPAZやTRIPOWIN Rhombusとの比較を含めながら記事をまとめたいと思います。

 

SHINEのスペックは先述の通り、片側2BA+1DDのドライバ構成です。搭載ドライバは低域用ドライバに7mm径の二重磁気及びデュアルキャビティを採用した新型ダイナミックドライバを。超高音~高音域用BAにカスタマイズBAの30019シングル1基を採用しシェル内部に配置。高音域~中音域用BAにこちらもカスタマイズBAの29689シングル1基を採用しこちらもシェル内部に配置。それらのドライバはシェル内部の3Dプリントにより音導管が造形されステムノズルへ伸びています。

次に、先述の通りSHINEには音質調整用のディップスイッチが4基搭載されています。4つのディップスイッチ(SW)をシェル側面に並列配置しデフォルトは全てoffです。

ディップスイッチ1(SW1)、ディップスイッチ2(SW2)、ディップスイッチ3(SW3)、ディップスイッチ4(SW4)は以下のようにon/offすることで音質傾向を調整できます。

 

パターン SW1 SW2 SW3 SW4 音質傾向
1 off off off off Standard
2 on on on on POP
3 off off on on Classical
4 on off off on R&B/Rock
5 off off off on HiFi

 

後述しますが、上表の通り音質傾向調整SWにより最大16種の音質へ調整することができ、デフォルトのスタンダード含む好みの音質傾向を主な5種に調整することができます。

以下、HP引用です。

 

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ディップスイッチをスタンダードにセットしたときのf特です。

 

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各ディップスイッチによる変化をf特で示していますが、結構変化することが分かります。音質レビュー項では実際にメインの5種を聴き比べてみたいと思います。

 

さて、SHINEはスペックだけ見れば片側3ドライバ、2BA+1DD多ドラハイブリッドモデルと中華イヤホン中価格帯A10000-U20000として特筆するものはありませんが、侮るなかれ堅実なドライバ数と音導管による音響調整に加え、ディップスイッチによる音質調整機能による嗜好の多様性に対応していることが、真骨頂と云えます。

次にシェル本体は樹脂製とし、フェイスプレートには金属製を採用しています。特にフェイスプレートのデザインは流線形の造形であり美麗なデザインは一目置かれるものとなります。

そして、音質チューニングを突き詰めればシェルの材質による音への影響は無視できません。金属製シェルは高音域の響き、反響が樹脂に比べて大きくなります。響きの美しさは金属が一枚上手ですが、良い事だけではなく、反響が強くなることで不自然な残響音となる場合があります。一方樹脂製シェルでは高音域の響きが吸収されてしまう傾向があり、金属シェルと同じ音圧を得るためには高音域の減衰を考慮しやや強めに鳴らす必要があります。加えて、音導管の有無も重要でこのバランスを含めたチューニングは難しく、メーカーの技術力の証となります。

最後に付属ケーブルです。高品質銀メッキ銅線の8芯編込みケーブルです。中価格帯中華イヤホンとして過不足のないケーブルです。更に、8芯編込みケーブルはしなやかで取り回しの良いケーブルとなっています。中華イヤホンメーカーでは付属ケーブルはリケーブル前提で質を落としコストカットしている場合がありますが、SHINEではバランス接続を試したい方以外はリケーブルする必要を感じません。

 

※宜しければ以前のレビューもご参考ください

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Joyodio SHINEの納期としては現在(2023/1/28)国内amazon取扱がありますが、本国発送ですので当日発送、翌日配達とはいきません。私の場合も本国発送のため、AliExpressでオーダーした場合と同様に少々時間はかかります。昨今、感染症の影響は回復傾向であり国内で佐川急便に委託される輸送の場合はかなり安定しており、10日前後で届きました。ほぼ平時に戻った印象です。尤も従来の平時であればAliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かるのが気になるところでしたが、最近は円安の影響で国内amazonとの価格差が殆どなく、そのメリットは殆ど感じません。

まあ海外ネットショッピングで心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. Joyodio SHINE実機レビュー 

それでは、早速実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングは黒を基調とした大箱のスリーブタイプ。表面には大きくプリントされたイヤホンとメーカーロゴと商品名が記載されています。

 

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スリーブを外すと内箱も黒を基調としたシックなデザインです。

 

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内箱の上蓋を開けると黒地の内装右上側にイヤホンが収納されています。その下側にはイヤーピースが収納されています。


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内箱左側には黒地箱があり、その中には発色の強いイヤホンケースが収納されています。


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そのイヤホンケースには付属品が収納されています。全体の造りはしっかりとしています。残念なのはケースの開口部が全開にならず、開口幅に限度がある事。長財布のマチみたいな造りで出し入れし難いです。

 

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付属品はシリコンイヤーピースタイプのS、M、Lの3種が2セットに加えイヤホンにセットされた黒いイヤーピースMサイズ1組。他にはケーブルとイヤホンケース、ディップスイッチの操作用ピンです。中価格A10000帯として必要最低限なものが揃った付属品となります。

 

※ディップスイッチ操作用ピン

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※イヤホンケース。イヤホン等とは異なり発色強めの青色。
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次にイヤホン本体を見ていきます。

 

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シェルの造形は丸みを帯びたカスタムIEM風のもの。シェルは比較的コンパクトですが、厚みがあります。個人差がありそうですが、樹脂シェルの軽さも相まって装着感は良好と云えます。フェイスプレートには先述の通り流線形の造形が施され、比較的目を引きそうなデザインです。

肝心のビルドクオリティは、中華イヤホンの中価格A10000帯として十分に綺麗な仕上りでありシェルの合わせ面も揃っています。

カラーバリエーションは黒のみです。

続いてケーブルです。

 

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付属ケーブルは先述の通り高品質8芯銀メッキ銅線を編込み線としたもの。価格帯的にはケーブルにもコストを掛けたものと云えます。プレイヤー側コネクタはI字タイプ。イヤホン側はQDCタイプのKZ-C 2ピン仕様。極性はやはりKZ系と同様に上側がプラスです。この付属ケーブルはしなやかでタッチノイズを感じにくく、肝心の耳への装着性や使用感は悪くありません。シュア掛け用にチューブで癖付けされており、全体的にしなやかで取り回しは悪くありません。

ここで一つ。お気づきでしょうか。何処かで見たことのあるケーブルだということを。KZのアップグレードケーブルによく似ています。ZASやZES、PR1 Proに付属していたものとよく似ています。まあ中華の汎用パーツを使用している為、似ている商品があっても何の不思議もありませんが。

さて、参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

次に他機種との造形の比較です。

 

※画像左からRhombus、SHINE、TOPAZ

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SHINEとTOPAZ、Rhombusの外観の比較として、サイズ感はRhombusが一番コンパクト。SHINEとTOPAZはシェルの厚みがありそれと比べるとやや大柄に見えます。Rhombusがシェルの厚みが無いためにSHINEやTOPAZが大きいと誤解されそうですが、一般的には十分コンパクトな部類になると思います。

ステムノズルの長さと太さ、角度ですが、長さはこの中ではSHINEが長くTOPAZが一番短い。角度はSHINEがやや起きています。太さはTOPAZが一番太くSHINEとRhombusがやや細め。TOPAZとRhombusは耳奥に。SHINEは浅めの装着を想定していることが窺えます。

SHINEはこの中ではそのコンパクトさが目立ちませんが、一般的なサイズ感と云えますので決して大きいという事はありませんし、オーソドックスな造形と云えます。意外と耳への収まりが良く装着感は良好です。

イヤホンとケーブルの接続コネクタはSHINEはQDCタイプ。Rhombusはフラット2ピン。TOPAZが埋め込み2ピンです。そのためリケーブルの際はSHINEのみQDCタイプ及びKZ-Cタイプを選択する方がコネクタ部の破損を防ぐ意味でも無難。他は2ピンケーブルのコネクタ部の長さに注意が必要です。

シェルの材質は、SHINEとTOPAZが樹脂と金属のハイブリッド。Rhombusはオール金属製となります。

重量はオール金属のRhombusが一番重そうですが、実は三機種共にほぼ同じ。ややSHINEが重量を感じます。とはいえ、SHINEは思ったよりも耳への装着感が良く、それほど重さを感じないレベルです。寧ろ耳への装着感はステムノズルの太さに影響を受けやすくSHINEとRhombusは細めと云えますのでいつものイヤピのサイズ感で問題ないと思います。

ステムノズル部には全てにフィルターがあります。SHINEはメッシュフィルタなので他の機種よりも音質への影響のあるタイプと云え、他は異物混入による故障を防ぐタイプの様です。

三機種共にシェル本体の形状と付属ケーブルからはシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、先述の通りSHINEはステムノズルがやや細めのため、実際の装着感も良好。付属イヤーピースで耳に浅めに栓をするように密着させ装着し付属のシリコンイヤーピースで上手くフィットする事ができれば音質的にも十分だと思います。

 

最後にイヤーピースを見てみます。


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付属のシリコンイヤーピースはグレー傘赤軸の傘にフィンのあるタイプ。形状自体は一般的な丸穴径、傘の裾野が弾丸タイプ、開口部広め、軸短め。同じくシリコンタイプの背の低い白傘の軸短、開口部広めのお椀型。イヤホン初期装着されていたイヤピはなんとKZの付属品と同じ溝有黒傘タイプ(何か気が付いた方もいるかもしれませんが、「カンの良いガキは嫌いだよ」という名台詞が脳裏に浮かびまして、気が付かなかったことにします)。幸いにも他社製含むサードパーティー商品との互換性の高い一般的な形状は選択肢が増えますので安心です。

付属イヤピグレーは音質的にはダイレクトに音を届けてくれ、やや低音がすっきりとするタイプの印象です。一方白は中高音をクリアにし全体をバランス良く届けてくれるタイプの印象です。溝有黒以外は論外として、他2種は軸が短めとなりますので耳への装着時はイヤピを耳に浅めに挿入し耳へ密着させることを想定している様です。付属イヤピで装着感に問題ない場合を除き、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。

幸い付属イヤーピースで私はフィッティングが上手くいきましたし、低音が逃げる事もありませんでしたので、そのまま付属白を使用しています。

低、中価格帯に付属するイヤーピースは装着感が悪く、音質的にも実力を発揮できないと感じますが、今回は付属のシリコンイヤピで上手くフィットできました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. Joyodio SHINE音質レビュー

いよいよ音質についてまとめていきます。

 

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昨年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行います。スマホSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音に脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

昨年はSony NW-ZX507を使用していましたが、やや演出感のあるドンシャリはメリハリがありグルーブ感のある音はSonyの音で音楽を楽しく聴く事が出来ました。しかし、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5の方がモニターライクながらも、決してつまらない音ではなくリスニングでも使えて万能と考えたからです。

Shanling UP5をUSB-DACで使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

 

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属イヤーピース白 Mサイズ、付属ケーブル、ディップスイッチは全てoffのデフォルトです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「全体的に籠りを感じる音。音場も狭くボーカルが近いのに演奏が後ろに離れすぎている定位に違和感を感じる音。」です。これは久しぶりにハズレか?と思いました。そのため、通常聴いているローゲインからハイゲインに変更してみましたが少しまともになった程度。そのためSony NW-WM1AM2に変更。ハイゲインに設定し聴いてみました。するとUP5で聴いた印象から一変し「籠り感は無くなり、ボーカルの位置は自然な位置で楽器の音も定位に不自然さの無いフラット寄りの出音の弱ドンシャリ」となりました。音量も従来はローゲインの25前後位でしたが、前述の通りハイゲインで45とかなり大きくする必要がありました。

また、箱出しでは低音にボワつきを感じましたが、鳴らし込み後は低音は締まり、バランスの良い音という印象です。

 

音場

普通からやや広め。前後はやや奥行があり、左右にやや広さを感じられ、立体感を感じられますが、空間の広さはそれ程感じません。

 

高音域

煌びやかさはありますが響きは抑え気味。上までの伸びやかさは程々。それでも十分な存在感があります。華やかに鳴りますが、騒がしいとかしつこいと感じるような常に前に出る様な感じのない適度に強調感のある音。最近の中華イヤホンの傾向と同じ様な刺さりや尖りは感じない弁えた鳴り方をします。解像感は普通程度ですが、鮮明さは感じられます。

 

中音域

華やかさがある鳴り方ですが、分離は良好でボーカルに被らず、音が集まる団子感や音が重なるゴチャつきを感じ難い。立体感のある鳴り方は解像感も良好。ボーカルはクリアで自然な位置。声音はややドライ寄りの印象です。

 

低音域

量感は適度で響きや広がりは抑え気味。音階や強弱を感じられますが低音域の解像感はそこまで高くはない、どちらかと云えばタイトに締まった音。ベースラインは追いやすくですが、ボーカルよりも前に出るような不自然さはありません。重低音は沈み込みそれ程深くありませんが、強さがありますので過不足はありません。

 

出音のバランス

一言で云えばやや中低音寄りの弱ドンシャリ。高音域はやや暗めながらも必要な量をしっかりと鳴らす。低音は適度で過不足のない強さで鳴り、出音のバランスに偏りのない音。フラット寄りの音は特定の音域を誇張していません。

 

高音の煌びやかさは十分に感じられますが、響きは抑え気味。そのため華やかさはありますがしつこさは感じない。どちらかと云えばやや暗めに聴かせてくれる音。それでも必要な時に必要な量を鳴らし不足を感じる事はありません。中華イヤホンの明るい高音域に慣れた方には不足を感じるかもしれません。演出感は少なく不快なシャリつきもない整った鳴り方は耳障りの良い音。超高音までの伸びやかさはそこまで高さを感じませんが、中低音域の音圧に隠れません。小さな音でも感じ取れますが鮮明さや解像感はやや描写が丸く感じられますが、決して低くはありません。

中音は僅かに凹みを感じますが、ボーカルの自然な位置に対し楽器の音はその周りから少し離れやや後ろ辺りに位置し奥行を感じられます。見通しの良い空間に華やかさを感じられ、その音は整って聴こえ解像感は良好です。

ボーカルは自然な位置からクリアで聴きやすく、周りの音や高音や低音にも埋もれません。声色はドライ寄りですが息遣いを感じられます。そのため女性ボーカルのバラードなどでは相性を感じるかもしれません。

低音の量感は適度で響きや広がりは抑えられています。どちらかと云えば広がりよりもタイトに締まりのある音は音階や強弱を感じ取れますが、解像感はそこまでといったところ。その分雰囲気の良さにも対応できるバランスを整えた音。逆に云えば音階や音の強弱を誇張せずに描写してくれているとも云えます。そのため多少器用貧乏、どっちつかずの印象があります。

重低音は沈み込みはそれほど深くありませんが、強さを感じられる音。低価格帯でよくあるただ強く鳴らす音ではありませんが、そこまで質の高さを感じません。

 

次に音質調整SWの効果を確認してみます。先述の通り結構変化があります。

SW全offのデフォルトから全onへ変更した場合、先ず音量を下げる必要があります。ハイゲイン45からハイゲイン33に下がります。肝心の音質は音が明るく明瞭になりクリアで見通しの良い音に変化します。それによって音にメリハリが感じられこれだけでもデフォルトよりも明らかに良い音に感じられます。これは好みもあるのかもしれませんが、f特では全音域が持ち上がるように変化する筈です。しかし、デフォルトのSW全offで感じた暗い音から明るい音質傾向に変化し印象が良い方向に変化したのは間違いありません。例えるなら、Astell&Kren SE200のESS側がデフォルトSW全off。AK側がSW全onのPOPでしょうか。このくらいの変化があります。 

次にClassical(SW1:off、SW2:off、SW3:on、SW4:on)の場合です。デフォルト(SW全off)よりPOP同様に音量を下げる必要があります。POP同様に明るい音で高音域が明瞭になり聴きやすくなりますが低音域はそれ程でもありません。。クラシック等の管楽器の金属音などは聴きやすくなるチューニングと云えます。

次にR&B/Rock(SW1:on、SW2:off、SW3:off、SW4:on)の場合です。デフォルトよりもPOP同様に音量を下げる必要があります。低音が強調されベースラインが明瞭に出ますが、深く沈み込む低音とまではなりません。高音中音域はクリアで明瞭になり、ボーカルに違和感を感じます。ボーカルにスポットが当たった様な前に出る訳ではなくボーカルよりも演奏が後ろに離れるというか、何でしょうねコレ。

最後にHIFI(SW1:off、SW2:off、SW3:off、SW4:on)の場合です。デフォルトよりもPOP同様に音量を下げる必要があります。高音域がやや誇張され高音中音域はクリアで明瞭になります。デフォルトが中低音寄りに感じたバランスでしたが、HIFIでは中高音寄りに感じられます。非常に聴きやすい耳馴染みのある音はPOPよりもこちらのバランスが好きという方が多そうです。

個人的にはPOPが一番SHINEの良さを感じられるのではないかという印象です。

 

折角なので、据え置き機材でも試してみました。というのも冒頭UP5では明らかに鳴らしきれていないため、今回はWM1AM2で音質確認をしていますが、据え置き機材ならばもっと好印象に変わるのではないかという興味からです。DACはGustad A18、アンプにTopping A90を使用しています。DACからアンプへはXLR出力-XLR入力。PCからDDCのGustad U18にUSB入力しU18からI2S接続。U18には外部クロックをGustad C16から入力しています。A90はハイゲインのSE出力ステレオプラグ-ステレオミニプラグ変換です。

結果は思った通りです。SHINEはアンプの駆動力が高いほど本領発揮できるようですね。SHINEのデフォルト設定でさえもWM1AM2で聴いたときよりも更にクリアで明瞭な音を聴かせてくれますし、中高音寄りに変化し見通しの良い高音域を表現してくれます。モバイル用USB-DACのUP5では駆動力が不足して本来の性能を発揮できませんでしたが、それなりのDAPや駆動力のあるアンプを通すことで本領を発揮し、SHINEは普通に良い音という感想です。

 

最後に他社製品との比較です。BQEYZ TOPAZとの比較ではTOPAZは中高音重視の瑞々しいリスニングサウンドです。全体の出音を僅かに高音を強めにしながらも解像感の高い音は、高音寄りのフラットな音でした。SHINEのデフォルトが中低音寄りのやや暗い音とは異なると云えます。一方でSWをPOPに設定すると明るさや華やかさがあり明瞭な音はSHINEが1枚上手という印象です。HIFI設定では近しい音と云えるかもしれません。

次にTRIPOWIN Rhombusとの比較です。Rhombusはドンシャリの出音が音楽を純粋に楽しめました。低音の方が出音が多めに聴こえますが、実は高音域の清々しいリスニングサウンドです。SHINEのデフォルト設定とは方向性の違う音質傾向であり完全なるリスニングサウンドです。SHINEをR&B/Rock設定にしてもリスニングサウンドという土俵ではRhombusには敵わないです。一方で中高音重視で聴きたい方にはRhombusの低音は邪魔という印象を持つかもしれません。SHINEはあくまでもフラット寄りの出音がベースにあるサウンドバランスとなっています。

 

※音質調整SW付他製品の過去レビューも参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

まとめるとJoyodio SHINEのフラット寄りの弱ドンシャリサウンドバランスはデフォルト設定ではやや暗めに鳴らしながらもどこかの音域を強調しない音造りです。ポータブルデバイスでは力不足になる場合もありますが、駆動力の高いアンプ部を持ったDAPであれば本来の音を楽しめます。また、音質設定SWをPOPにすることで劇的に変化する音質傾向はJoyodioが我々ユーザーに提案した作品と云えるのかもしれません。とはいえ、イヤホンをDAPで愛用する方が多い中で、それなりのアンプ性能を求めるため、スマホ直挿しやスマホにUSB-DACというユーザーにはハードルが高い商品となるかもしれません。やはりマニア向けの商品と云えます。

一方で駆動力の高いアンプ部を持ったDAPやポータブルアンプをお持ちの方には音質調整SWによって、いろいろな音を楽しめる製品と云えそうです。だって今回はメインの5種のみしか紹介できていませんので(全16種類ですよ!)。

 

高音   Rhombus ≧ TOPAZ ≧ SHINE  

中音   TOPAZ ≧ SHINE ≧ Rhombus

低音   Rhombus ≧ SHINE ≧ TOPAZ

ボーカル Rhombus ≧ SHINE ≧ TOPAZ

※SHINEはデフォルトで評価

 

 

4. Joyodio SHINEの総評

Joyodio SHINEは同社のA10000帯モデルとして、非常に他社製品を研究し同社の技術を惜しみなく投入した意欲作と云えます。中華で最近主流のフラットバランス寄りの音はそれでは物足りない方に音質調整SWによって調整する事ができる何度でも楽しめるイヤホンです。一方でポータブル製品のカテゴリでありながらアンプに高い駆動力を求められるためにライトユーザーには少々ハードルが高くなります。勿論ちゃんとパワーを掛けると普通に高音質で音楽を楽しめますので、やはりマニア向けの製品と云えます。

 

最後に、今回は中価格A10000-U20000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2023年1月28日)は国内amazonやAliExpress等で発売されております。それ故に昨今の円安からは国内amazonでの購入が安心感があってお勧めです。AliExpressでは本国発送は勿論のこと、納期が掛かりますしその入手性には少々難があります。それでも、中華イヤホンの中でもその音質を含めクオリティの高さは十分満足できる内容となっておりますので、中価格中華イヤホンでちょっと面白いものを検討中の方や間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実な国内での取り扱いを待って。少しでも新製品を早く安く手に入れたい方はAliExpress等での購入も検討してみてくださいね。

 

SHINE

以下、付属ケーブル、付属イヤピ白 MDAP WM1AM2 ハイゲイン
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★ (スマホ直挿し又はUP5等のドングルUSB-DAC★3) 

※☆0.51.0

 

TOPAZ

以下、付属ケーブル、イヤピ Sedna EarFit MSDAC UP5使用
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

Rhombus

以下、付属ケーブル、イヤピ Sedna EarFit MSDAC UP5使用
高音★★★★★ 
中音★★★★☆  
低音★★★★★ 
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★  

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回はいつもの低価格中華1BA+1DDハイブリッドイヤホンではなく、中価格A10K-U20K帯中華2BA+1DD多ドラハイブリッドイヤホンの商品のレビューとなりました。日々進化を見せる中華イヤホンはこれからも非常に楽しみですが、今後も低価格?を中心に、中華据え置き機器や複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ