こんにちは。
今回は中華イヤホンの中から多ドラハイブリッドモデルのレビュー編として低価格帯で発売されたGK GS10についてレビューをまとめたいと思います。
今回は国内amazonのKZ Official SHOPから購入しています。
AliExpressでも取扱があります。
1. GK GS10について
GK GS10は低価格帯で今年7月に発売された片側5ドライバ、4BA+1DD構成の多ドラハイブリッドモデルの新商品です。低価格帯の多ドラハイブリッドモデルとしては4BA+1DD構成は珍しく、数年前に発売された商品の在庫処分特価品ではありましたが、新発売でありながらamazonでU3000は驚異的と云えます。
そもそもGKって?という話ではありますが、以前レビューしたGeek Wold GK10やND N10の今年の新興ブランド群の一つです。それら同様にGKブランドも調べましたがよく分からず仕舞い。KZの製造工場という噂もあります。まあ、いつも通りその辺の細かいことは抜きにして進めていきます。
4BA+1DDの多ドラハイブリッドと云えば、KZ ZS10を思い出します。2018年に発売されたKZの当時旗艦モデルでA5000で購入できると界隈に衝撃を与えたモデルでした。それも今は昔。最新の中華多ドラハイブリッドと云えば、KZ ZASの7BA+1DDの片側8ドライバが多ドラハイブリッドモデルの旗艦モデルです。
その為、4BA+1DD多ドラハイブリ構成では目新しさはがなく、中華イヤホンのスペック競争の渦中ではインパクトが弱いのも事実です。そもそも新興ブランドのGKでは知名度も低く、購入者が少ない様子でしたが、ええ、まあ凸った訳です。だって本国発送とはいえ、私が購入した時点ではAliExpressよりも安価だったんです。2,000円前半でした。最早その価格では実質「無料」と云えるお買い得な商品、ハズレてもネタにできますし。
それはさておき、前述の通り今年は中華多ドラハイブリッドの4BA+1DDモデルが豊作です。現在のスペック競争渦中からはエントリークラスとなる片側5ドライバ、4BA+1DD多ドラハイブリッドモデルは昨年のCCA C10 proが。今年はND N10とKBEAR Robinが発売。他にもオーソドックスな4BA+1DD多ドラハイブリとは異なりGeek Wold GK10はこちらも片側5ドライバですが、1BA+2Piez+2DDのピエゾドライバと素材とサイズが異なるダイナミックドライバを搭載し登場しました。
何れもamazonではA5000で販売されていますが、AliExpressではCCA C10 proが昨年発売という事もありA3000で購入可能、ND N10も同様です。KBEAR RobinとGeek Wold GK10が発売時A5000と今回のGK GS10の直接のライバルはND N10と云えそうです。
さて、GK GS10は一聴してKZともCCAとも異なる音づくりと感じます。
KZの王道のドンシャリ程ではありませんが、何方かと云えばやはりドンシャリ傾向。ではCCAの大人しい音かと云えば、それとも異なる華やかさは派手過ぎない音。もちろんCCAでもC12やC10 proのようにKZ寄りのモデルもありますが。GS10は実に丁度良い音がします。
これは久しぶりに個人的低中価格A5000多ドラハイブリッドモデルのベストバイに成り得るのか?とても楽しみにしています。
前置きが長くなりましたが、低価格帯A3000多ドラハイブリッドモデル、GK GS10を同じ4BA+1DDモデルのND N10とCCA C10 proとの違いを含めながら、レビューを纏めていきます。
GK GS10はオーソドックスなシェルデザインが採用されていて、C10 proやN10と同様の造形です。シェル本体は樹脂製でフェイスプレートとステムノズルが金属という構成も同様です。肝心の耳への収まりはオーソドックスなカスタムIEM風デザインにより良好でC10 proやN10で問題ない方は苦労することは無いと思います。
GK GS10のスペックは先述の通り4BA+1DDと数年前までは旗艦モデルの構成となります。搭載ドライバは低音域用のダイナミックドライバに10mm径のデュアルマグネティックドライバを。BAは30095シングル2基が高音域を担当しシェル内部のダイナミックドライバ傍に並列配置。50060シングル、2基が中音域を担当しその内1基がダイナミックドライバに並列に配置。もう1基はステムノズル内に配置しており、これまでのKZやCCA等で採用例の無い組合せとなります。
比較対象のC10 proの搭載ドライバは低音域用に10mmデュアルマグネティックドライバを。高音域用のBAには定評がある30095シングル1基が担当しシェル内ダイナミックドライバ傍に並列配置。これまた定評のある50060シングル1基が中音域を担当しこちらも高音域用BA同様にダイナミックドライバ傍に並列に配置。中高音域をカスタムBAデュアル(2BA)1基、それぞれ30095と50060ベースのカスタマイズドBAの組合せで同様にDD傍に並列配置。低音域を前述のDD1基が担います。
ND N10の搭載ドライバは中低音域用のダイナミックドライバに10mm径の二重磁気ドライバを。BAは30095(30019とも書いてある?)シングル2基が高音域を担当しその内1基がステムノズル部に配置、もう1基はシェル内のダイナミックドライバに並列に配置。30060シングル2基が中音域を担当しダイナミックドライバに並列に配置しています。
GS10、C10 pro、N10の三機種共にドライバ構成とその配置が異なる真に比較対象として最適と考えています。
余談ですがStoreページと私の手元のC10 proを比べると、もしかして初期型と現行品はBAの配置と構成が変わっているような気がします。ステム内にBAを配置している記述もあれば、全てのBAをシェル内に配置している記述も。手元のものは全てシェル内です。そのため説明文は手元のものを記載しています。
次に、先述の通りGS10はステムノズル内に中音域用BAを1基配置し、同じ中音域用BA1基をダイナミックドライバに並列に配置。高音域用BA2基も同じく並列配置した、高、中、低音域の3way方式を採用しています。
これに対し、C10 proはBAを全てシェル内のDDに並列に配置し、実質高音用30095と中音用50060を組合わせ、配置を工夫した高、中、低音域の3way方式。
N10はGS10同様にステムノズル内に高音用BAを1基配置し、中音用BAを2基と高音用1基をDDに並列配置した割とオーソドックスな高、中、低音域の3way方式です。それでも、数年前まではステムノズル内に高音域BAを2基配置していて攻撃的な高音域が味わえていたころに比べると、音質的にもその進化を感じられますね。
とはいえ、3wayや4wayが重要というよりもこれまで世の中に送り出された低中価格多ドラハイブリッド中イヤホンのように各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングのポイントを活用できるかが重要となります。このチューニングポイント、経験則を活かしたチューニング次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくると云えますね。
GK GS10の納期は今回購入は国内amazonでしたがマケプレで本国発送のため、流石の国内amazonのようにはいきません。AliExpressで購入と同様に発送からは数週間と従来よりも時間が掛かりました。やはりまだAliExpress同様に中国本土からの発送は中国からの航空便減便による輸送への影響が大きく、それなりに時間が掛かる覚悟は必要です。加えて万が一の不良の際に返品交換に結構な手間と時間がかかります。それでもamazonであればマケプレ保証で余程でない限り泣き寝入りはありませんのでそこは安心です。
そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くの少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。
2. GK GS10実機レビュー
それでは、実機レビューを以下、まとめていきます。
パッケージングは低価格帯でよくみるシンプルな白を基調としたスリーブタイプの化粧箱です。
裏面にはスペックが記載されています。
スリーブを外すと白地の内装の台座にイヤホンが収納されています。その内装を取り外すと箱の底にはケーブル等の付属品が入っています。
付属品はKZ系に付属する溝有黒色シリコンイヤーピース、S、M、L、3種各1セットと溝無黒色シリコンイヤーピースMサイズ1組が付属します。その内、溝無黒色シリコンイヤピMサイズがイヤホン本体取付け済みで、他にはケーブルです。U5K、A3Kの低価格帯としては最低限の付属品ですが、個人的にこれまで同様本体にコスト全振りは嫌いではありません。
ビルドクオリティですが、中華イヤホンで心配されるような各所の仕上りに問題はありませんでした。綺麗に仕上げられていると思います。
カラーバリエーションは銀色と黒色の2種で、今回は黒色にしました。
付属ケーブルは数年前のKZ系に付属する茶色の編込みタイプで、4芯銅線が採用されています。プレイヤー側コネクタはL字タイプ。イヤホン側はKZ-Cタイプ(2ピン)、もちろんKZ極性(上がプラス)です。最近の中華イヤホンはKZ-Cタイプが多く採用されていますのでリケーブルの際には注意が必要です。私は気にせず2ピン仕様を使っています。
この付属ケーブルはシュア掛け用にチューブで癖付けがあり耳への装着性、使用感はそれほど悪くはありませんし、全体的にやや絡まり易いいもののしなやかなものとなります。また、低価格帯に付属するケーブルとして力不足ではありますが、そのまま使用できますし落ち着いた色合いのケーブルは普段使いも可能ですね。
※画像左からCCA C10 pro、GK GS10、ND N10
GS10はC10 proやN10同様にそれ程大柄ではないシェルはオーソドックスなカスタムIEMの造形です。
GS10のフェイスプレートはC10 proやN10同様に平面的。加えてステムノズルとフェイスプレートが金属でシェル本体が樹脂製も同じで、重量はほぼ変わらず。耳への装着感は重さを殆ど感じません。
次にステムノズルはS機種共にやや長く太め。C10 proはステムノズル部がやや短く感じます。他も同様にステムノズルの太さに影響するイヤーピースの圧迫感はやや感じ、人によってはイヤーピースの選択がシビアになってしまうかもしれません。逆に云えばイヤーピース選択をしっかりできれば問題なく使えそうです。尤も耳の小さな女性や子供を除き、殆どの方で不満を感じることはないのではと思います。
また、これらにはステムノズル先端端面にメッシュフィルターが装備されていてシェル内部への異物混入が防げますので、長期の使用にも耐えることができますね。
そして、シェル本体の形状や付属ケーブルからは3機種ともにシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。
なお、GS10はステムノズルがやや長く太めのため、耳へは付属のイヤーピースでは軸が短く耳に本体を収め耳穴奥に栓をする装着となりますが、私の耳ではどうしても耳から抜けてしまい、音が軽く抜け気味となりました。
付属イヤーピースはKZ系に付属するいつもの溝有黒色タイプ(左)と溝無黒色タイプ(右)の二種です。個人的にこの付属のイヤピは傘がやや硬めでコシがあるものの、パサパサしていて装着感がイマイチに感じます。
音質的には決して悪くはないのですが、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。
残念ながらこの付属イヤーピースでは私は上手く合わせられず、形状からは耳の奥に栓をするように装着も、大き目で浅めに装着もフィットしませんでした。
そのため、手持ちに交換。いつものAET07を試し耳奥に栓をするように装着し、フィットし音質的にも満足できました。
余談ですが、Sedna EarFit(shortではない)は軸が長めで傘がやや硬めなこともあり、最近一周回ってなかなかフィットしない場合に重用しています。
この様に低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)
なお片側5ドライバ、4BA+1DDの性能を活かすために付属ケーブルからKBF4773ケーブル、8芯銀メッキ銅線へリケーブルしています。
このKBF4773ケーブルですが、味付けの少ないケーブルとして愛用しています。が、残念ながら現在は終売です。発売当時価格が3,000円前後、今なら2,000円を切る価格帯のJSHiFiのZB8ケーブル等も良さそうです。
また、今回使用するケーブルは2.5mmバランスプラグ仕様なので、4.4プラグへ変換し使用します。
このJSHiFi ZHXは変換バリエーションが多く、一通り揃っています。線材も銀メッキ単結晶銅線材と高級線材を使用しながらも安価に設定された販売価格は助かります。愛用している変換ケーブルの一つです。
一方KBF4773ケーブルも音質傾向は極端に味付けを行うタイプではなく、イヤホン本体の性能を発揮させるタイプ。付属ケーブルと比較し僅かに低音域がすっきりする傾向はありますが、中高音域を伸ばしてくれますので、付属ケーブルではその性能を発揮できない多ドラハイブリッドや複数BAモデル等に使用することで本来の音を楽しめると思います。
3. GK GS10音質レビュー
それではいよいよ音質についてまとめていきます。
今後は価格帯関係なくSony NW-ZX507を基準としてレビューを行います。ずっとスマホ同等かやや良いくらいという基準を持ってきましたが、ご容赦ください。
ZX507については他の方のサイトでも詳しく解説していますので、SONYのまあまあの価格帯のサブスク対応android機です。従来のShanling Q1は3.5アンバランス接続のみですが、ZX507は4.4バランス接続にも対応しています。DACには独自開発のS-Master、フルデジタルアンプが採用されています。
Shanling Q1とZX507の音質の違いは音場がやや平面的に感じられるQ1に対し、ZX507は奥行きのある立体的な印象。具体的にはボーカルの位置に対し、高音や中音の演奏音がその周りやや離れた後ろ側に位置し自然な位置関係に感じられます。
次に、音質傾向ですが、音楽を正確に淡々と鳴らそうとするQ1に対し、ZX507は高音域と低音域をしっかしと鳴らすやや派手な音ながらも、ボーカルを邪魔せずにそれを引き立てています。所謂ドンシャリ傾向と云えますが、過剰なほどではなくて若干の演出という感じ。そして中音はボーカルに対し相対的に控えめに感じられますが、その分ボーカルはクリアです。特徴としては低音に厚みがありますので音楽を雰囲気良く聴くことができるSONYの音といえます。
個人的には音楽を楽しく聴くという本来の目的を達成するために必要十分なDAPと考えており、今年6月からは音楽配信サービス、Apple Musicがロスレス対応しましたが、android搭載DAPとして
勿論対応(※1※2)しています。そして、何よりもBluetooth接続は安定していますので、強いて云えば電池持ちが悪い位しか不満はないです。
※1:2021/07/19現在 android版Ver3.6.0ベータ版(1115)で動作確認
※2:2021/07/22現在 android版Ver3.6.0正式版(1118)が配信開始
低価格帯のイヤホンの場合でDAPの違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。
それではZX507に直挿し4.4バランス接続で実際に聴いてみます。
ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。
先述の通りイヤピはAET07 M-サイズ、KBF4773ケーブルを2.5→4.4変換です。
箱出しで聴いてみた第一印象は「高音と中音と低音のどこかを極端に強調していないバランス。やや中高音寄りの弱ドンシャリ」でした。
箱だしではやや低音に緩さを感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音が締まり落ち着きました。
音場は普通からやや広め。
高音は煌びやかさ華やかさが適度で、刺さりや尖りを感じることはありません。
低音の量感は適度で強さもあり、キレや締まりは良好、ベースラインは追いやすいです。
重低音は沈み込みの深さを感じ十分な強さがある。
中音は適度な華やかさがありますが、ボーカルの周りやや後に位置し邪魔することはありません。
そのボーカルはクリアでややドライ寄りですが、自然な位置に感じます。
一言で云えば中高音寄りの弱ドンシャリのバランス。
高音域は常に前に出るような主張はありませんが、中低音域もそれほど主張をすることが無いため、控えめな印象は受けないと思います。やや遠くで高音域が鳴っている印象がありますが、実はしっかりしていて中音域よりも前に出るような主張はありません。必要十分な存在感はあるのにしつこくない、丁度良さを感じます。
中音は高音よりも華やかさを感じますが、ボーカルが埋もれずにその周りでしっかりと鳴ります。それでも音数が多い曲ではボーカルが演奏との重なりを殆ど感じないので分離は悪くありません。
そのボーカルは自然位置でクリアな聴きやすさを感じます。声質がややドライに聴こえるため、女性ボーカルのバラードでは相性を感じるかもしれません。
低音は適度な量感で強さがあり芯がある音。加えて音の強弱、分離は悪くありません。
GS10は高音と中音の間、中高音域に凹みを感じず、自然な中・高音域を表現している印象です。
高音は前に出るような主張はありませんが、必要な時に必要なだけ鳴らし、過度なアクセントを加えない心地良さを感じます。低音も芯のある音がキレが良く鳴り、中音域をマスクすることもありません。中音域は華やかですがごちゃつくこともなく、分離良く鳴り相対的に一番音がでている印象です。それでも高音、中音、低音域は何処かを強調していないので、フラットな印象を受けますし、決して地味な音ではないのですが。従来のドンシャリとは少し違う、高音は所謂喧しさがなく、シャリシャリする様な音数や量感でお茶を濁さず、低音は適度。ここだけ聞くとでつまらない音に感じるかもしれませんが、音数や量感で誤魔化そうとしない実は誇張のない自然な音なのかもしれません。この自然な誇張の少ない音色は聴きやすく上手いバランスだと思います。
※以前のCCA C10 proのレビューもご参考ください
※以前のND N10のレビューもご参考ください
GS10のバランスは以前レビューしたCCA C10 proの音の傾向が「ザ・ドンシャリ」とすれば、それとは異なるフラット寄り傾向。ND N10の音の傾向が中低音寄りのドンシャリとすれば、それとは異なる中高音寄りの弱ドンシャリ傾向と云えそうです。
そして個別にみていくと、GS10に対しC10 proの方が高音が強め、刺さることはありませんが、中音と同程度前に出ます。対してN10の高音は鳴らすべき時に前に出て鳴るもののそこまでのしつこさを感じませんが、GS10よりは出ているように感じるかもしれません。
低音はGS10に対して強さとキレ、芯のある傾向はC10 proと同程度、ややC10 proの方が強め。対してN10は強さと深さ、響きのある音。
中音はGS10に対しC10 proがややごちゃつきを感じます。対してN10は低音寄りのためにそれらがドライであるのとは異なる暖かさ。GS10はそれらよりも整理された音が聴くことができます。
ボーカルはGS10とC10 proのややドライに対し、N10の自然な暖かさを感じます。
もちろんそれぞれに良さはあるのであくまでも音の傾向として、です。
N10の音は個人的にはC10の音が好きなので、それに似たブラッシュアップした音として好きなのですが、GS10の中音が整理された高音、低音に誇張の無い聴きやすい音は好きなので、これは迷いますね。
そのため今回の比較対象の中では三者三様の良さがあり、個人的にはGS10がややリードかなと。もしも中低音寄りのボーカル重視ならばN10でしょうし、中高音寄りの誇張の少ない弱ドンシャリが好みの方にはGS10となります。C10 proはKZでは派手すぎるのでもう少し抑えた音を求める方にハマる音だと思います。
もっと云えば、1本で済ませたい方にはGS10がお勧めできるモデルと云えそうですね。
まとめとして、GK GS10はKZやCCAの系譜の音ではなく、強いて云えばKBEARかなと。それでもKBEARは最近Robinでその系譜の音で魅せてくれていて、それともちょっと違う。今書いていてひらめいたのはKZ ZASですね。もちろん音の華やかさがZASの方が上ですし、薄味のZASと云えば伝わりますか。
蛇足ですが、以前のレビューでも触れていますが中華イヤホンの単純にドライバ数を増やす足し算では未だ限界があります。残念ながらそれをBAオンリーの低~中価格帯複数ドライバ搭載モデルが証明しています。それでも次々と投入される中華の新モデルが我々を楽しませてくれており、今後も期待していきたいですね。
高音 C10 pro ≧ N10 ≧ GS10 (単純な強さの順)
中音 GS10 ≧ N10 ≧ C10 pro (整った音の順)
低音 N10 ≧ C10 pro ≧ GS10 (単純な強さの順)
ボーカル N10 ≧ GS10 ≧ C10 pro
音場 GS10 ≧ N10 ≧ C10 pro
4. GK GS10の総評
GK GS10は誇張の少ない音で聴きやすさのある中高音寄りのバランスの良いイヤホンとまとめました。
そして販売価格U3000という、最近の中価格帯多ドラハイブリッドモデルにも引けを取らないモデルは、あれもこれもではなくどれか一本買うならばこれをお勧めする商品と云えます。
最後に、今回は国内amazonとAliExpressで発売された低価格帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2021年9月11日)はAliExpressやamazon(prime)で発売されており、AliExpressで2,000円台。一方amazonではprime扱いの2,000円台半ばと価格差が無く、amazonでの購入がお勧めです。一方AliExpressでも安価に入手できますが、その入手性には現在特に難があります。とはいえこれまでの低価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっておりますので、中価格中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、少しでも安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。
GS10
以下、ケーブルKBF4773、イヤピAET07 M-使用、DAP ZX507バランス接続
高音★★★★☆
中音★★★★☆
低音★★★★☆
音場★★★★
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★
※☆0.5、★1.0
C10 pro
以下、ケーブルT4、イヤピAET07 M使用、DAP ZX507
高音★★★★☆
中音★★★★☆
低音★★★★☆
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★
※☆0.5、★1.0
N10
以下、ケーブルHi8、イヤピSedna EarFit MS使用、DAP ZX507バランス接続
高音★★★★☆
中音★★★★☆
低音★★★★☆
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★
※☆0.5、★1.0
あとがき
あとがきとして、今回はいつもの低価格中華多ドラハイブリッドイヤホンの新商品のレビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後も低価格?を中心に、複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンをご紹介していきたいと考えています。
また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ