こんにちは。
今回は中華イヤホンの中から多ドラハイブリッドモデルのレビュー編として低価格帯で発売されたND N10についてレビューをまとめたいと思います。
今回はAliExpressのLuckyLZ Audio Storeから購入しています。
国内amazonでは未だ取り扱いが無いようです。
1. ND N10について
ND N10は片側5ドライバ、4BA+1DD構成で今年6月に発売されました。NDというブランドの詳細は調べてみましたがよく分からず仕舞い。箱に記載のHPアドレスも辿り着けず。…まあ、いつも通り細かいことは抜きにして、低価格帯U5000に登場した多ドラハイブリッドモデルの新商品です。
同価格帯の新発売モデルとして、4BA+1DD多ドラハイブリッドはこれまで殆ど記憶になく、これまでもAliExpressのプレセールやフォロワー割で5,000円以下で購入できたケースはありますが、最初からストアのプライスがUS$29.9、約3,300円と安価で、参考として以前レビューしたCCA C10 proも発売当初AliExpressでは5,000円を切る価格で販売されていました。
数年前まではKZ等の4BA+1DD多ドラハイブリッドが旗艦モデルとして5,000円台で購入できると話題になりましたが、現在多ドラハイブリッドの旗艦モデルは7BA+1DD構成と進化しており、前回レビューしたKZ ZASや以前レビューした同社ZAX、CCA CA16がその構成でもそれほど注目されない市場に変化しています。
そんな中、かつての旗艦モデル4BA+1DD多ドラハイブリッド構成と同じND N10が、3,000円で購入できる時代が到来し、中華イヤホンの高コスパを改めて感じられます。
もちろんただ「安い」だけではなく肝心の音質も一聴した限り悪くなく寧ろ好印象。「こういうので良いんだよ」と云える、そんな音づくりとなっているファーストインプレッションです。
さて、昨年の中華多ドラハイブリッドモデルの豊作は、その勢いは留まることを知らずに今年も上半期はCCA CKXとKZ ZAS、そしてこのND N10が発売されています。直近ではKBEAR Robinのリリースや某海外サイトで好評のGeek Wold GK10と、興味が尽きません。特にGK10は1BA+2Piez+2DDの異なる三つのドライバ構成を試してみたいですね。
価格帯としてU5000の多ドラハイブリッドをエントリークラスとした場合、片側4BA+1DDのCCA C10 proが目下のライバルとなりそうですが、ミドルクラスとして片側5BA+1DDのCVJ CSNとTrn V90S。ハイクラスとして片側6BA+1DDのTrn VXとCCA CKX、片側7BA+1DDのZASとZAX及び、CCA CA16との音の違いに注目です。
実際にKZ ZAXと比べた場合には片側のBAが3基少なく、中高音域のBAが3基がありません。高音・中音域もそうですが、中高音の音の出方が気になるところです。
そういう意味でこのN10は数年前から続く搭載ドライバ数の増加競争、スペック至上主義から一歩身を引いた敢えてオーソドックスなドライバ構成の多ドラハイブリッドとすることで良い音を実現しそれを安価に提供する。それは中華イヤホンを脅威に感じ、一方で高揚させられた頃のあの気持ちを思い出させてくれた商品と云えそうです。
今回比較対象としてCCA C10 proを用意しています。C10 proはKZ系ブランドの中でもそれとは異なる派手さを抑えた音。具体的には「中低音域を豊かにしながら僅かに高音を抑えたバランス」です。KZは良くも悪くも高音と低音の強さを感じるバランスで整えています。そのため聴いていてノリの良さのあるドンシャリです。一方CCAは中低音域を重視し高音をやや抑える傾向があるため聴き疲れし難く聴いていて心地よさがある印象です。
N10のファーストインプレッションではKZよりもCCAの音に近いかな、と感じていますが、C10 proもCCAの中ではKZに近い音ですので、KZ ZAXとも比較することで今回の相対評価を行うようにします。
また、もう一社忘れてはいけないのはTrnです。最近は中高音を重視しており高音の方が明らかに強く、これは高音を強めにして高解像感を演出しているように感じます。低、中価格帯では個人的にこれは逆効果だと感じていて、Trnの主戦場と違い高価格帯で採用しているドライバは質が高く、上手くバランスを取ることができていますが、この価格帯のドライバでは単純にしつこい高音の印象となり、それはしつこい低音よりも人を選んでしまいます。何事も「過ぎたるは猶及ばざるが如し」、バランスは大事というお話です。
いつも通り前置きが長くなりましたが、注目の低価格帯U5000多ドラハイブリッドモデル、ND N10を入手しましたので、昨年評価の高かったモデルで7BA+1DDモデルのKZ ZAXとそれ同クラスの4BA+1DDモデルのCCA C10 proとの違いを含めながら、レビューを纏めていきたいと思います。
ND N10のスペックは先述の通り4BA+1DDとCCA C10 proとドライバ数が同じ(構成は異なります)。Storeページの仕様を見る限り、搭載ドライバは中低音域用のダイナミックドライバに10mm径の二重磁気ドライバを。BAは30095(30019とも書いてある?)シングル2基が高音域を担当しその内1基がステムノズル部に配置、もう1基はシェル内のダイナミックドライバに並列に配置。30060シングル2基が中音域を担当しダイナミックドライバに並列に配置しています。
ZAXの搭載ドライバは片側7BA+1DDとN10よりもBAが3基多くなります。低域用ドライバに10mm径の二重磁気ダイナミックドライバです。BAは30095シングル1基が高音域を担当しステムノズル部に配置。新開発50024デュアル(2BA)2基が中高音域を担当しダイナミックドライバに並列に配置。更に中音域用に30019シングル(1BA)2基がダイナミックドライバに並列配置され、低音域を前述のDD1基が担います。
C10 proの搭載ドライバは低音域用に10mmデュアルマグネティックドライバを。高音域用のBAには定評がある30095シングル1基が担当しシェル内ダイナミックドライバ傍に並列配置。これまた定評のある50060シングル1基が中音域を担当しこちらも高音域用BA同様にダイナミックドライバ傍に並列に配置。中高音域をカスタムBAデュアル(2BA)1基、それぞれ30095と50060ベースのカスタマイズドBAの組合せで同様にDD傍に並列配置。低音域を前述のDD1基が担います。
特にN10とC10 proはそれぞれの高音域に採用したBAが30095と同じながらも配置の違いによる高音域への影響が気になります。
この辺りは実際に聴いてみない事には判りませんが。
次に、先述の通りN10はステムノズル内に高音域用BAを1基配置し、同じ高音域用BA1基をダイナミックドライバに並列に配置。中高音域用BA2基も同じく並列配置し、オーソドックスな3way方式を採用しています。
これに対し、KZ ZAXは片側8ドライバ、7BA+1DDモデルで搭載するBAの種類が増え、一部異なるとともに、更に搭載位置も工夫されています。ZAXではN10同様にステムノズル内に1基配置しています。C10 proも高、中、低音域を2BA+2BA+1DDとしたオーソドックスな3way方式。ZAXでは1BA+4BA+2BA+1DDの高、中高、中、低音域の4way方式と中高音を重視したドライバ構成です。
とはいえ、3wayや4wayとこれまで世の中に送り出された中価格以下の多ドラハイブリッド中華イヤホンのように各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングのポイントを活用できるかが重要となります。このチューニングポイント、経験則を活かしたチューニング次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくると云えますね。
ND N10の納期は流石の国内amazonのようにはいきません。AliExpressで購入の場合、発送からは約2週間と従来同様です。それでもまだAliExpressの中国本土からの発送は中国からの航空便減便による輸送への影響が大きく、AliExpressにてオーダーした場合はそれなりに時間が掛かる覚悟は必要です。加えて万が一の不良の際に返品交換に結構な手間と時間がかかります。
そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くの少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。
2. ND N10実機レビュー
それでは、早速ND N10の実機レビューを以下、まとめていきます。
パッケージングはシンプルな白を基調としたスリーブタイプの化粧箱です。
裏面にはスペックが記載された低価格帯でよく見るデザインで共通化がされていますが、こういう合理的なところは個人的に嫌いではありません。
スリーブを外すと白地の内装の台座にイヤホンが収納され、台座を取り外すといつものように箱の底に付属品が収納されています。
付属品はKZ系に付属する溝有黒色イヤーピースのタイプがLとSサイズ。MサイズはこちらもKZ系で付属する溝無黒色タイプシリコンイヤーピースが付属し、S、M、L、3種、各1セットが付属します。その内、シリコンイヤピMサイズがイヤホン本体取付け済みで、他にはケーブルです。U5Kの低価格帯としては最低限の付属品ですが、個人的にこれまで同様本体にコスト全振りは嫌いではありません。
ビルドクオリティですが、低価格帯の中華イヤホンで心配されるような各所の仕上りに問題はありませんでした。まあ中華製品では偶に何かしらやらかす場合がありますが、今回はアタリ?(普通)ですね。綺麗に仕上げられていると思います。
カラーバリエーションは黒色と青色の2種で、今回は黒色にしました。
付属ケーブルは黒色の編込みタイプで、4芯銅ケーブルが採用されています。最新(2021/07/24現在)ロットではケーブル被膜が白(銀?)色に変わっているようです。プレイヤー側コネクタは変則L字タイプ。イヤホン側はKZ-Cタイプ(2ピン)、KZ極性(上がプラス)です。最近の中華イヤホンはKZ-Cタイプが多く採用されていますのでリケーブルの際には注意が必要です。私は気にせず2ピン仕様を使っています。
この付属ケーブルはシュア掛け用にチューブで癖付けがあり耳への装着性、使用感はそれほど悪くはありませんし、全体的にやや絡まりやすいもののしなやかなものとなります。また、低価格帯とはいえ多ドラモデルに付属するケーブルとして力不足ではありますが、そのまま使用できますし落ち着いた色合いのケーブルは一体感があり普段使いも可能ですね。
※画像左からCCA C10 pro、ND N10、KZ ZAX
N10はZAXやC10 proと同様にそれ程大柄ではないシェルでオーソドックスな造形で、ZAXが一番厚みがあります。
三機種共にフェイスプレートは平面的。
装着感は一般的なカスタムIEM風デザインと同様に悪くありません。三機種共にステムノズルとフェイスプレートが金属でシェル本体が樹脂製です。重量は三機種ともほぼ同じ程度で耳への装着感は軽く、イヤホン本体の重量による影響は殆ど感じません。
次にステムノズルはN10はZAX同様にやや長く太め。C10 proは太さは同じでそれよりもやや短く角度もやや起きています。N10は中華イヤホンでは一般的なサイズと云えます。そのため太さに影響するイヤーピースの圧迫感はやや感じます。また、人によってはイヤーピースの選択が通常よりも小さめを使用したり、そのサイズ選びがシビアになってしまうかもしれません。逆に云えばイヤーピース選択をしっかりできれば問題なく使えそうです。尤も耳の小さな女性や子供を除き、殆どの方で大きな不満を感じることはないのではと思います。
また、これらにはステムノズル先端端面にメッシュフィルターが装備されていてシェル内部への異物混入が防げますので、長期の使用にも耐えることができますね。
そして、シェル本体の形状や付属ケーブルからは3機種ともにシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。
最後にN10はステムノズルがやや長く太めのため、耳へは付属のイヤーピースでは私の耳ではどうしても耳から抜けてしまい、音が軽く抜け気味となったため、いつものAET07 M-サイズに交換し耳奥に栓をするように装着した形が一番バランスが良くしっくりきました。余談ですが、Sedna EarFit(shortではない)は軸が長めで傘がやや硬めなこともあり、最近一周回ってなかなかフィットしない場合に重用しています。
この様に低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)
なお片側5ドライバ、4BA+1DDの性能を活かすために付属ケーブルからJSHiFi Hi8ケーブル、8芯銀メッキ線へリケーブルしています。
このJSHiFi Hi8ケーブルですが、amazonのJSHiFi(@xiaoxia76571098)で取扱いがあります。中華リケーブルとして価格が1,000円半ばと安価でありながらもその価格帯の中でも安物感のない外観と豊富なバリエーションが特徴です。
先ずケーブルの被膜カラーが黒色、銀色、灰色の3種。その各色それぞれにイヤホン側コネクタも2ピン、mmcx、QDC(KZ-C)の3種を用意。更にプレイヤー(DAP)側プラグも3.5アンバランス、2.5バランス、4.4バランスの3種と現在主流のタイプを網羅したラインナップです。
低価格帯はもとより、中価格帯U10000の中華イヤホンでは付属ケーブルでコストダウンする傾向にありリケーブルしてから本領発揮となっている現状では、このHi8ケーブルは十分な質感を持ちながらも安価でありそのラインナップからも気軽に選択できるのは非常にありがたいですね。
そんなわけで早速CKXに灰色のQDC-4.4タイプをリケーブルしてみました。
この一体感は中々のものだと思いますし、見た目オーディオ的にも満足感が高いですね。
音質傾向は極端に味付けを行うタイプではなく、イヤホン本体の性能を発揮させるタイプ。付属ケーブルと比較し僅かに低音域の厚みが増す傾向はありますが、全域を伸ばしてくれますので、付属ケーブルではその性能を発揮できない多ドラハイブリッドや複数BAモデル等に使用することで本来の音を楽しめると思います。
3. ND N10音質レビュー
それではいよいよ音質についてまとめていきます。
今後は価格帯関係なくSony NW-ZX507を基準としてレビューを行います。ずっとスマホ同等かやや良いくらいという基準を持ってきましたが、ご容赦ください。
ZX507については他の方のサイトでも詳しく解説していますので、SONYのまあまあの価格帯のサブスク対応android機です。従来のShanling Q1は3.5アンバランス接続のみですが、ZX507は4.4バランス接続にも対応しています。DACには独自開発のS-Master、フルデジタルアンプが採用されています。
Shanling Q1とZX507の音質の違いは音場がやや平面的に感じられるQ1に対し、ZX507は奥行きのある立体的な印象。具体的にはボーカルの位置に対し、高音や中音の演奏音がその周りやや離れた後ろ側に位置し自然な位置関係に感じられます。
次に、音質傾向ですが、音楽を正確に淡々と鳴らそうとするQ1に対し、ZX507は高音域と低音域をしっかしと鳴らすやや派手な音ながらも、ボーカルを邪魔せずにそれを引き立てています。所謂ドンシャリ傾向と云えますが、過剰なほどではなくて若干の演出という感じ。そして中音はボーカルに対し相対的に控えめに感じられますが、その分ボーカルはクリアです。特徴としては低音に厚みがありますので音楽を雰囲気良く聴くことができるSONYの音といえます。
個人的には音楽を楽しく聴くという本来の目的を達成するために必要十分なDAPと考えており、今年6月からは音楽配信サービス、Apple Musicがロスレス対応しましたが、android搭載DAPとして勿論対応(※1※2)しています。そして、何よりもBluetooth接続は安定していますので、強いて云えば電池持ちが悪い位しか不満はないです。
※1:2021/07/19現在 android版Ver3.6.0ベータ版(1115)で動作確認
※2:2021/07/22現在 android版Ver3.6.0正式版(1118)が配信開始
低価格帯のイヤホンの場合でDAPの違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。
それではZX507に直挿し4.4バランス接続で実際に聴いてみます。
ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。
先述の通りイヤピはAET07 M-サイズ、JSHiFi Hi8ケーブルです。
箱出しで聴いてみた第一印象は「見通し良く明朗な高音と中音。そして豊かな低音の中低音寄りのドンシャリバランス。」でした。
箱だしではやや低音に緩さを感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音が締まり落ち着きました。
音場は普通からやや広め。曲によって広く感じます。
高音は煌びやかさ華やかさがあり響きの良さありますが、刺さるような尖りを感じることはありません。
低音の量感は十分で強さもあり、キレや締まりは良好、ベースラインは追いやすいです。
重低音は沈み込みの深さを感じ十分な強さがある。
中音は適度な華やかさがありますが、ボーカルの周りやや後に位置し邪魔することはありません。
そのボーカルはクリアで自然から僅かにドライ寄りですが、自然な位置に感じます。
一言で云えば中低音寄りのややドンシャリのバランス。
高音域はしっかりとした主張がありますが、中低音域が相対的に豊かなために抑えられた印象を受けます。それでも高音域は実はしっかりしていて中音域よりもやや前に出るような印象で、伸びやかさのある高音なのに諄さはありません。
もっと云えば、高音は多少シャリつくような華やかさがあるものの常に前に出るような諄さは無く、欲しい時にはしっかりと存在感を示し、伸びと響きのある音を感じられます。
中音は高音よりもやや落ち着いた華やかさで、ボーカルの周りで引き立たせてくれます。音数が多い曲でもボーカルは演奏と重なりは抑えられていてクリアで見通しの良さを感じさせます。
そのボーカルは自然でクリアに耳に飛び込んできますので聴きやすさを感じます。ドライ気味のボーカルはそれほど女性ボーカルのバラードでも相性の悪さを感じられません。
低音は十分な量感で強さがありますが、大雑把な音ではなく音の強弱が感じられ、表現力は悪くありません。特に中音と低音の間、中低音域に凹みを感じず、豊かな低音域に感じます。この辺りはCCAと似ていて、KZの低音には強さと芯があり、それらのメーカーの方向性の違いを感じます。もちろんこのあたりは普段聞く曲によって嗜好の違いもありますので、何方が優れているという事ではありません。
N10は高音はしっかりとした存在感があり、曲によって煌びやかさ華やかさを十分に感じられ、それが嫌味の無いレベルで上手くまとめられています。しかし相対的に中音低音の印象が強く華やかさが控えめに感じられますが、決して地味ではなく寧ろシンプルに良い音として音楽を心地よく聴くことができる音色です。
※以前のCCA C10 proのレビューもご参考ください
※以前のKZ ZAXのレビューもご参考ください
このバランスは以前レビューしたCCA C10 proと比較した時に音の傾向は似ていて、N10の方が高音をもう少し上品にした印象です。C10 proはC10の高音域の物足りなさを補ったモデルで同社C12が少し高音域を尖らせすぎた感があり、それらのバランスを取った高音域にまとめられています。この辺りは前述のBAの配置による違いと考えられます。
そしてZAXと比較した場合、最も異なるのは中高音域です。それもその筈、流石に4BAと7BAは数の違いは伊達ではなく、高音と中音の間を担当するBAを配置させ、それらと同様に鳴らすだけでは中高音域に耳障りなピークが発生します。それを抑えながら不足なく鳴らす為に4BAと厚めに配置している意図を感じます。結果としてZAXの高音、中音域が極端に強調された音域の無いフラットな音を聴かせてくれ、N10やC10 proの高音と中音に分かれた音は中高音域の凹みを感じやすく、よりドンシャリに感じられます。
次に、ZX507から据え置きでも聴いてみました。いつも通りDACにTOPPING D10Sとヘッドホンアンプは今回同社A30 proの組み合わせです。いつもの同社L30でも良かったのですが、A30 proはヘッドホン出力端子に6.35ステレオ端子以外に4.4バランスプラグ及び、XLR4ピンバランスプラグ出力を備えています。尤も、これらの4.4バランスプラグ及び、XLR4ピンバランスプラグ出力端子はバランス出力ではなくアンバランス出力です。接続端子の利便性向上のためというのがメーカーの採用理由ですが、バランス出力対応と勘違いする方もいますのでやめた方が良いと思います。個人的には変換プラグを用いなくても済むので問題はないのですが。
N10との接続はHi8ケーブルが4.4プラグなので、4.4ヘッドホン出力端子に接続しています。ゲインはLowです。
結果はZX507でも4.4バランス出力により過不足ない高音と低音、見通しの良い中音とクリアなボーカルを楽しめましたが、相変わらず良い音が聴こえます。
ZX507で聴いた時よりも高音はやや控えめな位置に下がりますが、それは物足りない音ではなく鳴らすべき音の強さで自分の活躍する場所を弁えた鳴り方で、解像感も高い音。
中音は解像感があり、ボーカルとの位置関係がはっきりとしボーカルの周りやや後ろに存在し決して前に出すぎる無粋はありませんし、何よりも分離感の良い音を奏でます。
低音はZX507ではやや膨らんだ音が、ぎゅっと締まり強さが増し、音の強弱を感じ、解像感のある音を聴かせてくれます。もちろん据え置きの駆動力がイヤホンのポテンシャルを十分に引き出していると考えます。
尤も、ZX507は今回4.4バランスでの評価でしたが、据え置きはアンバランスでの評価です。それでも据え置きではアンバランスでもしっかりとした音場が感じられます。
そのためCA16よりもZAXの音の傾向が好きという方にはもの足りないつまらない音と。その代わりC10の音が好きだけどもう少しだけ解像感が欲しい方。CA16の音の傾向が好きだけど中低音をもう少し抑えたい方には好評となるのではないでしょうか。
もっと云えば、CCAの系譜が好きな方に試して欲しいお勧めできるモデルと云えそうですね。
最後に、ケーブルを最近発売されたJSHiFiのZB8ケーブルに交換してみました。8芯銀メッキ銅線、4.4バランスです。DAPには同じくZX507を使用しました。
以前CCA CKXにリケーブルしてレビューしてみました。その時に印象が良かったので、今回も試してみた次第です。
※以前のZB8ケーブルレビューも参考ください
結果、高音域の煌びやかさは増し、伸びも良くなり更に華やかに。高音域の見通しの良さが増しましたが、少々尖りを感じる部分もあります。低音の量感がやや減り締まった印象ですが、N10には「そうじゃない」感があります。まあ嗜好による違いがありますので高音域を重視して聴きたい方には試して欲しい組み合わせです。個人的にはJSHiFiのHi8ケーブルがN10の中低音寄りとの相性の良さを感じています。
まとめとして、ND N10はCCAの系譜に似た音と云え、KZとは異なる音づくりです。そしてCCA C10 proの音を更にブラッシュアップした音を聴かせてくれます。一方でKZの音が好きな方にとっては少々物足りなく感じられるかもしれませんが、十分に明るく元気な音色になっています。
蛇足ですが、以前のレビューでも触れていますが中華イヤホンの単純にドライバ数を増やす足し算では未だ限界があります。残念ながらそれをBAオンリーの低~中価格帯複数ドライバ搭載モデルが証明しています。それでも次々と投入される中華の新モデルが我々を楽しませてくれており、今後も期待していきたいですね。
高音 ZAX ≧ N10 ≧ C10 pro (質感の順)
中音 ZAX ≧ N10 ≧ C10 pro (質感の順)
低音 ZAX ≧ N10 ≧ C10 pro (質感の順)
ボーカル N10 ≧ C10 pro ≧ ZAX
音場 ZAX ≧ N10 ≧ C10 pro
4. ND N10の総評
さて、ND N10は雰囲気の良さと小気味良さを両立したCCA C10 proに似た音はそれをブラッシュアップした音に感じる上手くまとめたバランスが聴きやすいイヤホンとまとめました。
そしてこれがU5000、実売3000円程度で購入できる。もうこれで十分なんじゃと思わせる完成度は、前回のKZ ZASもそうでしたが、恐れ入ります。
現時点で中華中価格帯U10000多ドラハイブリッドイヤホンではKZ ZASとCCA CKXを押さえておき、低価格U5000多ドラハイブリッドではこのND N10を押さえておけば満足できそうです。ですが、今年下期はこの後KBEAR ROBINもありますし、上期の宿題Geek Wold GK10もあります。中華イヤホンの興味は尽きることはありませんね。
最後に、今回はAliExpressで先月発売された中価格帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2021年7月24日)はAliExpressでのみで発売されており、AliExpressでは3,000円台で購入可能。一方amazonではまだ取り扱いがありません。そのためAliExpressの方が安価に入手できますが、その入手性には現在特に難があります。とはいえこれまでの低価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっておりますので、中価格中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、少しでも安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。
N10
以下、ケーブルHi8、イヤピSedna EarFit MS使用、DAP ZX507バランス接続
高音★★★★☆
中音★★★★☆
低音★★★★☆
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★
※☆0.5、★1.0
C10 pro
以下、ケーブルT4、イヤピAET07 M使用、DAP ZX507アンバランス接続
高音★★★★☆
中音★★★★☆
低音★★★★☆
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★
※☆0.5、★1.0
ZAX
以下、ケーブルT4、イヤピAET07 M使用、DAP ZX507アンバランス接続
高音★★★★☆
中音★★★★☆
低音★★★★☆
音場★★★★☆
分離★★★★
お勧め度★★★★★
※☆0.5、★1.0
あとがき
あとがきとして、今回はいつもの中価格中華多ドラハイブリッドイヤホンの新商品のレビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、中華ヘッドホンアンプ等、今後も低価格?を中心に、複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。
また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ
※2021/07/31 誤記修正