こんにちは。
今回は中華イヤホンの中から多ドラハイブリッドモデルのレビュー編として中価格帯で発売されているCCA C10 proについてレビューをまとめたいと思います。
今回は国内amazonのHiFiHear Audio(@Qianqian_HRcase)から購入しています。
AliExpressのCCA Officail Store等でも取扱があります。
1. CCA C10 proについて
CCA C10 proはこれまでにレビューしたCCA C10(色々あって単独レビューではないけど)や同社C12等と同じ多ドラハイブリッドの最新モデルです。先日レビューした同社CA16は旗艦モデルとなり、CCAの多ドラハイブリッドエントリーモデルの新商品としてC10 proが登場しました。
CCA社は中華イヤホンファンには言わずと知れたKZ社との兄弟機を発売しており、KZの元気で派手な音質傾向とまとまった大人しめの音質傾向のCCAと棲み分けされています。
そして、CCA C10 proは一昨年の同社C10の登場から実に1年半以上の歳月を経て中価格U10000の多ドラハイブリッドモデルとして新発売されました。今年はCOVID-19の影響で諸々のスケジュールが後ろ倒しとなった影響なのでしょう。それでも先日レビューした同社CA16や昨年発売され今なお人気が高い同社C12というC10 proよりも搭載するBAが多い上位機種が存在する中で、敢えて多ドラハイブリッドモデルのエントリーモデルが登場したわけです。まあ、エントリーと云っても4BA+1DDは国内外有名メーカーならばハイエンドクラスに迫るスペックですよね。「恐るべし、中華イヤホン」と云えます。
そんな訳ですから、昨年発売された5BA+1DDのCCA C12と先代C10と同じ4BA+1DDのC10 proのドライバ構成(後述しますが、搭載ドライバは同じではありません)は、C12と比べると一見デチューンに見えますが、それでも片側5つのドライバ構成であり第二世代に進化したC10 proが一体どんな音を聴かせてくれるのか、期待せざるを得ませんよね。
※CCA C12の過去記事もよろしければご参考ください
※CCA C10の簡易レビューもよろしければご参考ください
CCA C10 proはその名前からC10の直系の後継機として「pro」の名を冠しており、昨年デビューしたCCA C12はC10の系譜ではあるものの大人しめのC10とは異なりメリハリのある音質傾向だったので1年以上空けて登場した直系後継機はどのような音を聴かせてくれるのか興味がありますよね。
また、C10 proはシェルの造形についてはC12と同じであり、フェイスプレートのデザインこそ違いますが、C10というよりはC12をベースにしたモデルと考えられます。
それは、搭載するBAこそ違えどその配置がC12のDD傍に置く配置同様であり、C10 proではステムノズル内にBAが無いというのが理由です。
C10 proのスペックは先述の通りC12の片側5BA+1DDドライバ構成にBAを1基減らした片側4BA+1DDとC10と同様になります。搭載ドライバは低域用ドライバは10mmデュアルマグネティックを採用したZSN pro Xと同じダイナミックドライバで、C12の10mmダイナミックドライバから進化しています。BAは定評がある30095シングル1基が高音域を担当し配置がC12ではステムノズル部内にあった30095シングル1基は削除され、シェル内に。これまた定評のある50060シングル1基が中音域を担当しこちらも高音域用BA同様にダイナミックドライバに並列に配置。中高音域をカスタムBAデュアル(2BA)1基、それぞれ30095と50060ベースのカスタマイズドBAの組合せで同様にDD傍に並列配置され、中低音域を前述のDD1基が担います。C12が高音域30095シングル1基に中音域50060デュアル(2BA)を2基とDD1基により中音域に厚みを持たせていた音質傾向でしたが、ドライバ構成からはC10の高音域用30095、1基と中音域用50060、1基と同様ですがカスタマイズBAの30095ベース、1基と50060ベースを、1基づつセットでDD傍に並列配置と異なります。それ故に、C10 proはC10とC12で得た経験から最適化をはかった音質傾向としているのではと期待感が高まりますね。
もっと云えば、CCA C10 proはC12の中音域に厚みを持たせたBA構成から高音域用のBAをステムノズル内から削除し、配置を変更。更に高、中、低音域をシンプルな2BA+2BA+DDの3way方式と多ドラハイブリッドのエントリークラスとして理想的なドライバ構成と云え、これまで世の中に送り出された中価格多ドラハイブリッド中華イヤホンのように各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーのチューニングポイントを活用できるかが重要となります。このチューニングポイント、経験則を活かしたチューニング次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくるといえますね。
CCA C10 proの納期は流石の国内amazon。当日発送、翌日着でした。最近はAliExpressで先行発売しても、結局セラーのamazon発売の方が到着が早く、価格もamazon新発売時のクーポン等で1Kも違わないため、AliExpressのメリットが薄れてきているように感じます。また、AliExpressの中国本土からの発送はかなり回復しておりますが、未だ輸送への影響が大きく、AliExpressにてオーダーした場合、チャイナポストを選択できれば平時より数日かかる程度まで回復も、スタンダードシッピングはほぼ1か月を覚悟しなければいけません。平時は10日から2週間。遅いと3週間でしたが、それなりに時間が掛かる覚悟は必要です。加えて万が一の不良の際に返品交換に結構な手間と時間がかかります。
そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くの少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。
2. CCA C10 pro実機レビュー
それでは、早速CCA C10 proの実機レビューを以下、まとめていきます。
パッケージングはいつものCCAの白を基調とし黒字で文字が描かれた白箱化粧箱です。
飾り気のないシンプルな化粧箱です。
箱の上蓋を外すと白地のカードケースがあり、その中に取扱説明書等が収納されています。これ地味に結構お洒落で気に入っています。カードケースを取り出すと白地の内装の台座にイヤホンが収納されています。イヤホンが収納された台座の下側には小箱が収納されていて、その小箱の中にはケーブル等の付属品入っています。
付属品はいつものCCAの低中価格帯商品と同様にKZで付属する溝有シリコンイヤーピースがS、M、Lの3種各1セットが付属します。加えて、CCAで付属する溝無シリコンイヤピMサイズがイヤホン本体取付け済みで、他にはケーブルです。A5K-U10Kの中価格帯としては少々寂しい付属品ですが、個人的にこれまで同様本体にコスト全振りは嫌いではありません。
※左がKZ付属溝有イヤーピース、右がKZやCCAで付属する溝無イヤーピース
イヤピースはCA16では白地のシリコンイヤーピースが付属しましたが、C10 proではこれまでのCCAで付属した(KZ付属タイプと異なる先端に溝がない)黒地のシリコンイヤーピースとKZ付属溝有と従来通りです。
ビルドクオリティですが、CCA C10 proは中華イヤホンで心配されるような各所の仕上りに雑なところを感じません。安心して購入でき、お勧めできると思います。
カラーバリエーションは黒色のみです。
付属ケーブルはいつものCCAに付属する茶色の編込みタイプではなく新型の白(銀?)色の編込みタイプが採用され、4芯銀メッキ銅線タイプです。
プレイヤー側コネクタはL字タイプで、イヤホン側はKZ-Cタイプ(2ピン)、もちろんKZ極性(上がプラス)です。最近の中華イヤホンではKZ-Cタイプが多く採用されています。
この付属ケーブルはシュア掛け用にチューブで癖付けがあり耳への装着性、使用感はそれほど悪くはありませんし、全体的に絡まりにくくしなやかなものとなります。また、中価格帯に付属するケーブルとして力不足の印象があるものの、そのまま使用できますし綺麗な色合いのケーブルが本体色との一体感があり普段使いも可能ですね。
※画像左からCCA C10、CCA C10 pro、CCA C12
C10 proはC12とシェル本体の造形が同じですが、C10は異なる造形です。シェル本体の構成は、C10のそれらとはシェルがフェイスプレートを除き樹脂製というところが異なります。
C10 proはこれまでのCCAロゴがフェイスプレートから消えたものの、デザインを含めCA16を除き他のCCAと同じように非常にオーソドックスとなっています。それらは所謂安定した装着感をもたらし、多くの方は良好に感じるのではないでしょうか。個人的にはCA16がカスタムIEM風の造形で好きなんですが。それでも同価格帯では装着感は良好であり、なによりも複数のドライバを搭載するシェルとしてはコンパクトですし、それはやはり耳への装着感への影響は大きく耳の小さな女性や子供を除き、殆どの方で不満を感じることはないのではと思います。
次にステムノズルは3機種共に太め。太めのステムノズルに影響し同じサイズのイヤーピースでも微妙に大きく感じ圧迫感を多少ありますが、逆に耳穴への密着感は上がりますからね。
また、これらにはステムノズル先端端面にメッシュフィルターが装備されていてシェル内部への異物混入が防げますので、長期の使用にも耐えることができますね。
※左がC10 pro、右がC12
最も気になるのはC10proとC12の違いです。
DDの傍にBAが2基づつ2ヵ所に配置されており、更にC12はステムへドライバ配線が伸びていますが、C10 proにはありません。シェルの形状等からもC12のステムのBAを削った構成と云えますが、実際には搭載しているドライバの構成を先述の通り変えていますので、厳密には異なります。寧ろ、ステムのBAが無いために耳のすぐ近くからの音が無いことでC12とC10 proの音にどんな違いが出てくるのか楽しみです。
最後に、シェル本体の形状や付属ケーブルからは3機種ともにシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。
C10 proはステムノズルが太めで耳へは付属溝無イヤーピースでも装着感は悪くないのですが、少々抜け気味となったため、いつものAET07 Mに交換し耳に浅めに蓋をするように装着した形がみぃねこは一番しっくりきました。低~中価格帯では毎度付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じることが多くありますので手持ちのイヤピと交換しています。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。
このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)
なお付属ケーブルも片側5ドライバ、4BA+1DDの性能を活かしつつイヤホン本来の傾向を変えないためにTrn T4へリケーブルしています。
3. CCA C10 pro音質レビュー
それではいよいよ音質についてまとめていきます。
今回の再生環境はSONY NW-ZX507、直挿しアンバランス接続です。
前回同様に中価格帯はZX507を基準としてレビューを行います。もちろんShanling Q1やiPhone6sでも鳴らすことができましたが、中高音域の解像感や低音域の表現力で本来の性能を発揮できないと感じましたのでご容赦ください。
低価格帯のイヤホンの場合でその違いを比較しました。気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。
※FiiO M5とSHANLING M0の比較もよろしければご参考ください。
それでは実際に聴いてみます。
ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳をとじて、倖田來未/Moon Crying。高音/低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。
先述の通りイヤピはAET07 Mサイズへ。イヤホンの本領を発揮させる為に付属ケーブルからTrn T4にリケーブルしています。
箱出しで聴いてみた第一印象は「中高音に適度な華やかさがあり明るくなった印象」でした。(もちろんスマホ付属品とは大違いです)
こちらも箱出し直後は低音にボワつきを感じたため今回も先に鳴らし込みを行っています。
音場は普通からやや広め。曲によってやや広く感じます。
高音は十分な煌びやかさがあり響きも感じますが、不快な尖りや刺さりは感じません。
低音は十分な量感と強さがありキレも良く適度に締まりがあって、ベースラインも追いやすい。
重低音は沈み込みの深さを感じ十分な強さがある。
中音は横の広さを感じられ華やかに響く様は明るさを感じられますが、解像感は適度。
ボーカルはクリアでややドライ。自然な位置に感じ、曲によってやや近く感じます。
一言で云えば中低音寄りでややドンシャリに近いバランス。
補足すると、高音域の主張は中音域と遜色ありませんが、低音域も主張が強くない為に中高音域をマスクしない丁度良いバランスです。
もっと云えば、高音は明るさがあるもののシャリつくような華やかさではなく、適度なな存在感を示します。
中音は高音同様に明るさがあり適度な響きと十分な解像感は、音数が多い曲でもボーカルと演奏は分離良く埋もれることはありません。そのボーカルはクリアで聴きやすくややドライながらも息遣いを感じられます。
低音は量感十分ですが、芯のある強さは曲を下支えし心地良さを感じます。全域でどこかを強調せずに過不足なく鳴らす、そんな丁度良さを感じられます。
このバランスは以前レビューしたCCA C12と比較した時に音の傾向はC12の悪く云えばしつこい高音は鳴りを潜めており、中音域はすっきりしています。
また、CCA C10と比較した場合、音場を広くし低音の量感を控えめにした代わりに質感を高め、中高音域を明るく華やかさした音と云えそうです。
C12と最も異なるのは中音域の解像感と高音域の強さで、C10との違いは中高音域の明るさ華やかさとボーカルです。そういう意味ではやはりC12のデチューンではなく、C10の改良型、後継機と云えそうで音質傾向は直系の後継機に相応しいと感じます。
そのためC10の音が好きだけどもう少しだけ中高音を華やかさがある音を探している方や、C12の派手過ぎずすっきりとした音を好む方には好評となるかもしれません。
一方、ZSXやC12の様な全体的に明るくて低音の量感を求めている方には、明るさはクリアできても低音に物足りなさを感じてしまうかもしれません。
折角なのでCA16との違いは、C10の音質傾向は悪く云えば暗い大人しい音です。同様に中低音寄りの大人しい音の傾向がありますが、これに中高音に華やかさを持たせ解像感を上げた音は実は本当の意味での直系上位機種、CCA旗艦モデルなのかもしれませんね。
以上のことからC10 proはC12とC10の良さを洗練させ良いところどりをしたモデルと云えますが、これは10mm径の新世代DDと高音域BAをC12等のステムノズル配置により強すぎた高音をDDとの並列配置によって音響調整をおこなった意欲作と云え、実際にC10をブラッシュアップしてきたと感じさせる音質傾向と感じます。
まとめとして、CCA C10 proは多ドラハイブリッドモデルのエントリーモデルとして。また多ドラハイブリッドの最初のモデルとして十分にお勧めできます。それは特定の音域を強調せずに高音も疎かにしていない中低音域中心に聴きやすい音質傾向は、満足できると云える仕上がりです。一方、とにかく明るく華やかな音を求める方にはもの足りない音と感じるかもしれません。
蛇足ですが、以前のレビューでも触れていますが単純にドライバ数を増やす足し算では未だ限界があります。残念ながらそれをBAオンリーの低~中価格帯複数ドライバ搭載モデルが証明しています。それでも次々と投入される中華の新モデルが我々を楽しませてくれており、今後も期待していきたいですね。
高音 C10 pro ≧ C12 ≧ C10 (量感はC12が一番)
中音 C12 ≧ C10 pro ≧ C10
低音 C10 pro ≧ C12 ≧ C10 (量感はC12が一番)
ボーカル C10 ≧ C12 ≧ C10 pro (暖かさの順)
音場 C10 pro ≧ C10 ≧ C12
最後に、今回はAliExpressで実売4,000円台で購入できる中価格帯U10000中華イヤホンの紹介となりました。国内amazonでも取扱があり5,000円台(2020/9/12現在)。AliExpressではフォロワー割等で4,000円台前後とお求め易い価格ですが、その入手性に少々難があります。とはいえこれまでの中価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格となりますし、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっていますので低~中価格中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になった方は安心確実なamazonの取り扱いを待って。新商品を少しでも早く入手したい、少しでも安い方が良い方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。
C10 pro
以下、ケーブルT4、イヤピAET07 M使用、DAP ZX507
高音★★★★☆
中音★★★★☆
低音★★★★☆
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★
※☆0.5、★1.0
C12
以下、ケーブルYYX4761、イヤピAET07 M使用、DAP ZX507
高音★★★★☆
中音★★★★☆
低音★★★★☆
音場★★★☆
分離★★★★
お勧め度★★★★★
※☆0.5、★1.0
C10
以下、ケーブルKBF4736、イヤピAET07 M使用、DAP ZX507
高音★★★☆
中音★★★★☆
低音★★★★☆
音場★★★★
分離★★★☆
お勧め度★★★★☆ (DAPをZX507で再評価)
※☆0.5、★1.0
あとがきとして、今回は多ドラハイブリッドモデルの中価格U10000中華イヤホンの新商品のレビューを多ドラハイブリッドモデルの人気機種と併せて比較をまとめてみました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですね。今後も低価格を中心に、複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。
また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ