みぃねこの備忘録

いろいろなこと、主に趣味の備忘録として活用。アフィリエイトやってません。お気軽にリンクからどうぞ。

Geek Wold GK10レビュー ※KBEAR Robin KZ ZAS 比較含む

こんにちは。

今回は中華イヤホンの中から多ドラハイブリッドモデルのレビュー編として中価格帯で発売されたGeek Wold GK10についてレビューをまとめたいと思います。

今回はAliExpressのPenon Audio Storeから購入しています。

 

ja.aliexpress.com

 

国内amazonでもHiFiGoで取り扱いがあります。

 

 

 

f:id:miineco106:20210810183858p:plain

 

 

 

 

 

1. Geek Wold GK10について 

Geek Wold GK10は片側5ドライバ、1BA+2Piez+2DD構成で今年6月にリリースされました。海外のレビューサイトでも発売当時Geek Woldは新しいブランドということ。GK10というモデルがピエゾドライバを搭載していて、評判が良い事をリサーチ済みでしたが、海外で好評なモデルが日本でも好評とならないこともあり、当初スルーしていました。しかし、界隈で購入した先人たちの好評さから興味を持ち、ちょっと調べてみましたがよく分からなかったのです。まあ中価格帯の多ドラハイブリッドモデルの新商品という事に間違いないようですし、最近ではKBEAR RobinやND N10等の4BA+1DDモデルも5,000円程度で購入できるモデルが好評でしたので、それとの比較用に購入した次第です。

GK10はピエゾドライバ搭載に注目が集まりますが、実はそれだけではなく色々と挑戦したモデルと云えます。

それは先ず搭載ドライバにピエゾドライバを2基搭載していること。次にダイナミックドライバを直径と素材の異なる2基を搭載。そしてバランスドアーマチュアを1基の片側5ドライバです。

次に、シェルの造形が特徴的でフェイスプレートは木製でハートとシックにしたいのかポップにしたいのか。ハート形故にイメージを持ちやすく武骨なデザインとは違いイヤホンをアクセサリーの一つとしてファッションのアクセントにもできます。

最後にパッケージが簡素。届いたときに不具合を疑いました。一見化粧箱の外側スリーブをつけ忘れたのかと。しかし、他に購入されている方も同じ様でしたので、これが正しいのでしょうけど、ちょっとどうなのこれという印象です。その分、中身にコストを掛けてますよってことなのかもしれませんが、…ねぇ。

そんな挑戦的なモデル、GK10の最も特徴的なピエゾドライバは、某セラーオリジナルモデルのNX7シリーズやSENFER DT6にも搭載されています。とはいえNX7シリーズは中価格帯A10Kモデルですし、DT6は低価格帯U5Kモデルとなりますので、直接比較対象とはなりませんが。

例に挙げた通り以前からピエゾドライバを採用しているイヤホンがありましたが、採用例は多くありません。技術的なのかコストなのか事実は分かりませんが、簡単に採用できるほど浸透している訳ではなさそうです。これまでにピエゾドライバを搭載したイヤホンを聴いた限り、その音質は高音域が透き通り超高音域まで伸びる印象があります。それ故に低音域の強さとのバランスがバランスドアーマチュアよりも取り難くく各社の苦労が感じられます。それでも高音域のなめらかさや超高音域までの伸びの良さを得たい場合にはピエゾドライバが有利であり、メーカーは使いたくなるのでしょうね。

現在中華イヤホンの雄KZの中価格帯U10K多ドラハイブリッドの旗艦モデルは7BA+1DD構成に進化し、以前レビューしたKZ ZASや同社ZAX及び、CCA CA16が同じ構成となりますが、それほど注目されない市場に変化しています。

そんな中、4BA+1DD多ドラハイブリッドと同じ片側5ドライバでありながらも2ピエゾドライバと直径の異なる2種のダイナミックドライバ及びBAの構成としたGeek Wold GK10が5,000円と飽和気味の中価格帯A5K市場に新しい風を吹き込んでくれそうな、そんな期待をしてしまいます。

 

さて、以前も触れましたが昨年から続く中華多ドラハイブリッドモデルリリースの勢いは留まることを知らず、今年も中価格帯でCCA CKXとKZ ZASやKBEAR Robinに加えこのGeek Wold GK10と続いています。低価格帯ではND N10やGK GS10が発売されていてGK GS10も入手済みです。少しそれますが、個人的にGKブランドに注目していて、GSTも入手済みですので、追々ご紹介していきたいと考えています。

閑話休題

多ドラハイブリッドと云っても価格による差は感じます。それはU5Kを境に以下をエントリークラス。A5Kをミドルクラスとして、ハイクラスはA7Kとした場合に、単純にBAの数が増えれば音が良くなるとも云えず、寧ろつながりの悪さ、不自然さを感じる事があります。

そういう意味で今年はKBEAR Robin等が過去から続く搭載ドライバ数の増加競争、スペック至上主義から一歩身を引き、オーソドックスで且つ必要十分な4BA+1DDのドライバ構成の多ドラハイブリッドモデルが良い音を狙い実現していて、更に安価に提供することができています。その中で彗星の如く現れたGeek Wold GK10は新たな多ドラハイブリッドモデルとして非常に気になる商品と云えそうです。

 

今回は比較対象としてKBEAR RobinとKZ ZASを用意しています。KBEAR RobinはKZブランドとは異なる音づくりでそれらの明るく派手なドンシャリとは一線を画すフラットな音を聴かせてくれます。具体的には「中音を凹ませずに高音と低音域を強調しない全音域のバランスを整えた音」です。一方、KZは良くも悪くも高音と低音の強さを感じるバランスで整えていますが、今年発売されたZASは従来のKZとは違う音が楽しめます。そのため従来のKZの聴いていてノリの良いドンシャリが好きな方には評価が分かれるかもしれません。

余談ですが、中価格帯の中華イヤホンでもう一社忘れてはいけないのはTrnです。最近のTrnは中高音を重視しており高音の方が明らかに強いバランスです。これは高音を強めにして高解像感を演出しているように感じます。個人的に低、中価格帯でこれは逆効果だと考えています。Trnの主戦場と違い高価格帯で採用しているドライバは質が高く、上手くバランスを取ることができていますが、この価格帯のドライバでは単純にしつこい高音の印象となり、それはしつこい低音よりも人を選んでしまいます。何事も「過ぎたるは猶及ばざるが如し」です。もちろんそういった音の傾向が好きな方には魅力的な商品の一つと云えますが。

 

いつも通り前置きが長くなりましたが、注目の中価格帯A5K多ドラハイブリッドモデル、Geek Wold GK10を入手しましたので、先述の通り4BA+1DD多ドラハイブリッドモデルのKBEAR RobinとKZ ZASとの違いを含めながら、レビューを纏めていきたいと思います。

 

Geek Wold GK10のスペックは先述の通り1BA+2Piez+2DDです。Storeページの仕様を見る限り、搭載ドライバは中音域と低音域用のダイナミックドライバ2基がそれぞれ中音域用の7mm径複ラフェンダイアフラムと低音域用8mm径チタンコートダイヤフラムを。BAはシングル1基が高音域を担当。ピエゾドライバ2基が超高音域を担当しています。GK10はピエゾドライバを採用し高音域の更に上、超高音域までをカバーし低音域用ダイナミックドライバで低音域だけでなく、更にその下の超低音域のワイドレンジを意図したモデルと云えます。

KBEAR Robinのスペックは先述の通り4BA+1DDです。搭載ドライバは中音から低音域用のダイナミックドライバに10mm径の二重磁気ドライバを。BAはKBEAR-IF-Kシングル1基が高音から中音域を担当しステムノズル部に配置。KBEAR-HI-Bシングル3基が中高音域を担当しダイナミックドライバに並列に配置しています。RobinはBAを新型カスタマイズモデルを採用し更に実質高音域用を1基と中高音域用3基とすることで、高音域と中高音域の聴こえ方を調整したモデルです。

KZ ZASのスペックは先述の通り片側7BA+1DDです。搭載ドライバは中低音域用のダイナミックドライバに10mm径二重磁気ダイナミックドライバを。BAは30019シングル1基が高音域を担当しダイナミックドライバに並列に配置。50024sデュアル(2BA)3基が中高音域を担当し、こちらもダイナミックドライバに並列に配置。特筆はこれまでKZでは頑なにステムノズル内に配置したBAが今回は全てシェル内部、ダイナミックドライバに並列配置です。

GK10が従来のBA中心で中・高音域を担うオーソドックスな構成とは異なっているのが分かります。特にワイドレンジへの対応が気になります。

まあ、この辺りは実際に聴いてみない事には判りませんが。

 

次に、先述の通りGK10は超高音域用Piezを2基、高音域用BAを1基、中音域用DDを1基、低音域用DD1基の2Piez+1BA+1DD+1DDの4way方式です。

これに対し、Robinはステムノズル内に高音域用BAを1基配置し、中高音域用BA3基をダイナミックドライバに並列に配置した1BA+3BA+1DDの3way方式を発展させBAの各音域をクロスオーバーさせるのではなく4G Electronic(重ね合わせ包括する)技術を採用しています。

ZASではBAを新世代に変えるとともに、更に搭載位置もシェル内部のダイナミックドライバに並列と変化させ1BA+6BA+1DDとZSX(C12)世代の3Way方式を踏襲しています。

3wayクロスオーバー方式はこれまで世の中に送り出された中価格以下の多ドラハイブリッド中華イヤホンのように各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングのポイントを活用できるかが重要となり、オーソドックスでありながらも4wayのGK10が従来のクロスオーバーチューニングのポイント、経験則を活かしたチューニング次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくると云えますね。

 

さて、Geek Wold GK10の納期は国内amazonのようにはいきません。AliExpressで購入の場合、発送からは約2週間と従来同様です。それでもまだAliExpressの中国本土からの発送は中国からの航空便減便による輸送への影響が大きく、AliExpressにてオーダーした場合はそれなりに時間が掛かる覚悟は必要です。加えて万が一の不良の際に返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くの少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. Geek Wold GK10実機レビュー

それでは、早速Geek Wold GK10の実機レビューを以下、まとめていきます。


f:id:miineco106:20210810184158j:image
f:id:miineco106:20210810184201j:image

パッケージングは簡素。化粧箱というよりもキットケースという風貌の上蓋は中身が見えるクリアカバーと白箱です。

裏面にはスペックを英文で記載したラベルシールが貼付されており低価格帯でもここまで簡素な商品箱は見かけません。

 

f:id:miineco106:20210810184238j:image
f:id:miineco106:20210810184242j:image

クリアカバーの上蓋を外すと白地の内装の台座にイヤホンが収納され、その台座の上側にイヤーピースが収められています。

その内装を取り外すと箱の底にはケーブルとイヤーピースやイヤホンポーチが収納されています。

 

f:id:miineco106:20210810184310j:image

付属品は黒色イヤーピース、S、M、Lサイズ、その内Mサイズがイヤホン本体取り付け済み。黒色クリアタイプのシリコンイヤーピースがS、M、Lサイズの2種2セットが付属。他にはケーブル、イヤホンポーチです。A5Kの低価格帯としては必要十分な付属品ですが、実用的な付属品は初めて購入する方でも満足できると思います。

 

f:id:miineco106:20210810184405j:image
f:id:miineco106:20210810184343j:image
f:id:miineco106:20210810184356j:image
f:id:miineco106:20210810184346j:image
f:id:miineco106:20210810184352j:image
f:id:miineco106:20210810184402j:image
f:id:miineco106:20210810184349j:image
f:id:miineco106:20210810184340j:image
f:id:miineco106:20210810184359j:image

ビルドクオリティですが、中華イヤホンで心配されるような各所の仕上りに問題はありませんでした。まあ中華製品では偶に何かしらやらかす場合がありますけど、今回はケーブルの2ピンがイヤホンのコネクタに硬くて挿入し難い以外は綺麗に仕上げられていると思います。GK10の特徴としてフェイスプレートが木製と木目による個体差があります。

カラーバリエーションはフェイスプレートに違いにより青、赤、緑、黒と豊富です。購入の際は赤しか在庫が無く赤色にしました。


f:id:miineco106:20210810184422j:image

付属ケーブルは白色の編込みタイプで、8芯銀メッキ銅ケーブルが採用されています。プレイヤー側コネクタはI字タイプ。イヤホン側コネクタはコネクタ部の凸が低い2ピンタイプ、KZ極性(上がプラス)です。最近の中華イヤホンはKZ-Cタイプが多く採用されていてイヤホン側コネクタ部の破損が心配ですが、この従来のタイプは安心感があります。もちろんリケーブルの際には通常の2ピンタイプで問題はありません。安心して通常2ピン仕様を使えます。

この付属ケーブルはシュア掛け用にチューブで癖付けがあり耳への装着性、使用感はそれほど悪くはありませんし、全体的にしなやかなものとなります。また、中価格帯の多ドラモデルに付属するケーブルとして十分なクオリティと云え、そのまま使用できますしポップなシェルデザインに加え、綺麗な被膜の色合いのケーブルは普段使いでも気になりません。

 

f:id:miineco106:20210827111800j:image

 

※画像左からKBEAR Robin、GeeK Wold GK10、KZ ZAS

f:id:miineco106:20210810184510j:image
f:id:miineco106:20210810184522j:image
f:id:miineco106:20210810184513j:image
f:id:miineco106:20210810184500j:image
f:id:miineco106:20210810184504j:image
f:id:miineco106:20210810184525j:image
f:id:miineco106:20210810184507j:image
f:id:miineco106:20210810184519j:image
f:id:miineco106:20210810184516j:image

GK10はRobinと同様にそれ程大柄ではないシェルとそのポップなデザインとは裏腹に耳への収まりが良く、Robinのオーソドックスな造形や、ZASのカスタムIEM風と遜色のない装着感が得られます。

GK10のフェイスプレートはRobin同様に平面的ですが、前述の通りハート形。ZASのラウンドのあるタイプとは違います。

装着感は先述の通り一般的なカスタムIEM風デザインと同様に悪くありません。GK10のみステムノズルがシェル一体型の樹脂製、フェイスプレートが木製です。他の2機種がそれらが金属製でシェル本体が樹脂製です。重量はGK10が一番軽量ですが、他の2機種も耳への装着感は重さを感じ難く、イヤホン本体の重量による影響は殆ど感じません。

次にステムノズルはGK10がやや短く太め。Robinがやや長く太め。ZASがやや短く細目となり、角度がGK10とRobinがほぼ同じ。ZASは角度がやや起きています。Robinが中華イヤホンでは一般的なものと云え、GK10やZASはマイノリティと云えます。そのためGK10はステムノズルの太さに影響するイヤーピースの圧迫感はやや感じます。また、人によってはイヤーピースの選択が通常と異なる場合があり、そのサイズ選びがシビアになってしまうかもしれません。逆に云えばイヤーピース選択をしっかりできれば問題なく使えそうです。尤も耳の小さな女性や子供を除き、殆どの方で大きな不満を感じることはないのではと思います。

また、これらにはステムノズル先端端面にメッシュフィルターが装備されていますが、GK10は目が細かく数も少なめ。Robinのフィルターが一番細目で数が多いです。ZASのタイプは音質への影響はありそうなもの。とはいえシェル内部への異物混入が防げますので、長期の使用にも耐えることができますね。

そして、シェル本体の形状や付属ケーブルからは3機種ともにシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

 

f:id:miineco106:20210810184542j:image
f:id:miineco106:20210810184545j:image

付属イヤーピースは黒色タイプが軸長は一般的で傘が下まで広がる形状、開口部小さ目(左)と、黒クリア色タイプ、ノーマル形状、開口部大きめ(右)の二種です。例えるなら黒色タイプがS〇NY ハイブリッドイヤーピースに似たもの。黒クリア色は中華イヤホンに付属するタイプです。この付属の黒色イヤピは傘にコシが有り、しっとりしていて装着感は悪くありませんし、黒クリア色タイプも傘にコシがあり、ややカサカサするものの装着感は悪くありません。

音質的には黒クリアがやや高音中音がクリアに聴こえるタイプ。黒が中低音に厚みを感じますが、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。

この付属黒色タイプのイヤーピースでは私は上手く合わせられられず、黒クリアのノーマル形状で耳にやや浅めに蓋をするように装着しフィットしましたが、音質的には黒色の方が好みだったので、手持ちからfinal Eタイプを選択しています。

余談ですが、Sedna EarFit(shortではない)は軸が長めで傘がやや硬めなこともあり、最近一周回ってなかなかフィットしない場合に重用しています。

この様に低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

f:id:miineco106:20210827111727j:image

 

 

3. Geek Wold GK10音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

f:id:miineco106:20210827111718j:image

今後は価格帯関係なくSony NW-ZX507を基準としてレビューを行います。ずっとスマホ同等かやや良いくらいという基準を持ってきましたが、ご容赦ください。

ZX507については他の方のサイトでも詳しく解説していますので、SONYのまあまあの価格帯のサブスク対応android機です。従来のShanling Q1は3.5アンバランス接続のみですが、ZX507は4.4バランス接続にも対応しています。DACには独自開発のS-Master、フルデジタルアンプが採用されています。

Shanling Q1とZX507の音質の違いは音場がやや平面的に感じられるQ1に対し、ZX507は奥行きのある立体的な印象。具体的にはボーカルの位置に対し、高音や中音の演奏音がその周りやや離れた後ろ側に位置し自然な位置関係に感じられます。

次に、音質傾向ですが、音楽を正確に淡々と鳴らそうとするQ1に対し、ZX507は高音域と低音域をしっかしと鳴らすやや派手な音ながらも、ボーカルを邪魔せずにそれを引き立てています。所謂ドンシャリ傾向と云えますが、過剰なほどではなくて若干の演出という感じ。そして中音はボーカルに対し相対的に控えめに感じられますが、その分ボーカルはクリアです。特徴としては低音に厚みがありますので音楽を雰囲気良く聴くことができるSONYの音といえます。

個人的には音楽を楽しく聴くという本来の目的を達成するために必要十分なDAPと考えており、今年6月からは音楽配信サービス、Apple Musicがロスレス対応しましたが、android搭載DAPとして勿論対応(※1※2)しています。そして、何よりもBluetooth接続は安定していますので、強いて云えば電池持ちが悪い位しか不満はないです。

※1:2021/07/19現在 android版Ver3.6.0ベータ版(1115)で動作確認

※2:2021/07/22現在 android版Ver3.6.0正式版(1118)が配信開始

 

 

 

低価格帯のイヤホンの場合でDAPの違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。


miineco106.hatenadiary.jp

 

miineco106.hatenadiary.jp

 

それではZX507に直挿し3.5アンバランス接続で実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピはfinal Eタイプ Mサイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「豊かな低音とクリアな中・高音のドンシャリ」でした。

箱だしではやや低音に緩さを感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音が締まり落ち着きました。

音場は普通からやや広め。それ程広さは感じません。

高音は煌びやかさ伸びやかさはありますが、華やかさは適度。伸びやかさがありながらも刺さるような尖りを感じることはありません。

低音の量感は適度で強さもあり、キレや締まりは良好、ベースラインは追いやすいです。

重低音は沈み込みの深さをそれ程感じませんが、強さがある。

中音は適度な華やかさがありますが、ボーカルの周りやや離れた場所に位置し邪魔することはありません。

そのボーカルはクリアで自然な声、自然な位置から曲によってやや離れた位置に感じます。

一言で云えば中高音寄りのドンシャリ

高音域は前に出るような主張はありませんが、伸びやかで音の消え入る様を感じられます。その高音域は音量自体は大きくはないのですが、澄んだ高音域は小さい音もしっかりと届けてくれ音の輪郭を掴みやすく解像感は高い印象です。

もっと云えば、高音域は高音の上、超高音域までなめらかでクールに鳴らし響きますが、シャリつくような華やかさではなく、上品に必要なだけ強調せずに自然に鳴らし、伸びと響きのある音を感じられます。

中音域は高音よりも音量はありますが、こちらも過度の華やかさは無く、暖かさを感じ、ボーカルは音数が多い曲でも演奏の重なりは抑えられていてクリアで見通しの良く解像感の高さと分離の良さを感じさせます。

そのボーカルは自然でクリアに耳に届き誇張の無い自然な暖かさと艶を感じられますが、中音域の暖かさの反面、僅かに曇りを感じるのと位置がやや遠く感じます。

低音は量感はそれ程多くなく適度ですが、強さがあり芯のある音。音の強弱が感じられ輪郭の分かる表現力の高い音。ただ強く鳴ったり、ただ響くだけの音ではない解像感のある低音です。

GK10は高音と中音の見通しが良いものの高音はクールに、中音と低音は暖かさのある音は相対的に高音域が控えめに感じられますが、派手に誇張し存在感を示す音ではなく、煌びやかで伸びやかに綺麗な音を感じられる自然な音に上手くまとめられています。低音域も同様に大きく強く響く音ではない音の輪郭を掴みやすい質の高い音です。しかしボーカルがやや遠く、僅かに曇りを感じられ位置もやや遠く感じられます。全体的に地味でつまらない音ではなく派手過ぎず丁寧に音を鳴らしてくれ音楽に浸ることができる音色です。

 

※以前のKBEAR Robinのレビューもご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

miineco106.hatenadiary.jp

 

このバランスは以前レビューしたKZ ZASと比較した時に音の傾向は似ていて、ZASの方が中音に上品な華やかさがあり、ボーカルが前にでて演奏の位置がそれの周りやや後ろに感じられます。中音域の音の厚みと低音域の強さはZASの方が良いものの、高音域はGK10と感じます。

そしてRobinはフラットな音の傾向でありますが、高音域の主張はそれらに比べ相対的にRobinの方が出ているように感じます。中音域も華やかさではRobinですが、見通しの良さはGK10と一長一短。低音域の強さはRobinも質感はGK10と感じます。

GK10はやはりそれらと比較し最も異なるのは高音域です。GK10のピエゾとBAによる超高音~高音域はなめらかさがあり、この価格帯のBAでは強さは出せてもなめらかさはピエゾに分があります。また中音域のDDにGK10はグラフェンドライバによるキレの良い音で解像感のある音を実現しており、BAの繊細な音を複数基を束ねそれを狙う音づくりはこの価格帯では限界があります。尤もこれが高級機で採用されるBAであればまた評価は違うのかもしれません。低音域では強さは二重磁気ドライバに分がありますが、チタンコートドライバの解像感の高い音は甲乙つけがたいです。

そういう意味でもZASの中音域に肉薄するGK10。高音域はGK10の真骨頂。低音域はZASに肉薄する。惜しい点としてはボーカルですね。薄く曇った印象とやや遠い位置が、ボーカル曲との相性を感じてしまいます。もちろんこれは中価格帯で比較していればそれ程ネガティブなものではありません。

 

次に、ZX507から据え置きでも聴いてみました。いつも通りDACTOPPING D10Sとヘッドホンアンプは同社L30の組合せです。

GK10との接続は付属ケーブルが3.5プラグなので、6.35ヘッドホン出力端子に変換プラグを通して接続しています。ゲインはLowです。

結果はZX507の3.5アンバランス出力よりも過不足ない低音、伸びやかな高音と見通しの良い中音はクリアなボーカルを楽しめましたが、やはりボーカルは曇り、位置が遠く変わらず。ZX507で聴いた時よりも低音域の解像感は高くなり、心地よさを感じます。

全体的に定位感が向上した印象で中音域はすっきりとし、特に高音域と低音域では音質が向上していると感じられますが、ボーカルも改善するものの解消される程ではなく流石にこれが限界なのかもしれません。

今回は、ZX507も3.5アンバランスと、据え置きもアンバランスでの評価です。それでも据え置きではしっかりとした音場を感じられしたので、興味のある方はご検討ください。

 

最後にリケーブルを試してみました。使用したケーブルはKBX4904、2ピン2.5mmバランス仕様です。ZX507に4.4変換を使用し接続しています。

このケーブルは純銀4芯線で中・高音域の伸びと見通しの良さ、低音が締まる傾向があり、GK10の音質で「もう少しこうだったら良いのに」という傾向に良い変化を期待して選択しています。

結果は期待した中・高音域は伸びやかに、低音域は締まりが良好に変化しましたが、肝心のボーカルの曇りは少なくなるものの、やはり解消とまではいきませんでした。

 

まとめとして、Geek Wold GK10はピエゾドライバによる澄んでなめらかな高音と中音と低音の解像感のある音は心地良い音と云えます。ですが、ボーカルに曇りを感じられことで聴く音楽によって相性の良し悪しがある音となっています。

そのためボーカル曲を聴きたい方には注意が必要となります。

 

蛇足となりますが、以前のレビューでも触れている通り、中華イヤホンの単純にドライバ数を増やす足し算では未だ限界があります。残念ながらそれをBAオンリーの低~中価格帯複数ドライバ搭載モデルが証明しています。それでも次々と投入される中華の新モデルが我々を楽しませてくれており、今後も期待していきたいですね。

 

高音   GK10 ≧ ZAS ≧ Robin (質感の順)

中音   ZAS ≧ GK10 ≧ Robin (質感の順)

低音   ZAS ≧ GK10 ≧ Robin (質感の順)

ボーカル ZAS ≧ Robin ≧ GK10 

音場   ZAS ≧ Robin ≧ GK10 

 

 

4. Geek Wold GK10の総評

Geek Wold GK10はピエゾドライバの高音域と解像感の高い中音低音が小気味良さを味わえるイヤホンとまとめました。

そしてこれを5,000円程度で購入でき、中華多ドラハイブリッドのBAとピエゾドライバの音の違いを楽しめます。

現時点では中華中価格帯U10000多ドラハイブリッドイヤホンではKZ ZASとCCA CKXを押さえておき、A5000多ドラハイブリッドではこのKBEAR Robinを押さえておけば使い分けも可能ですし、十分楽しめそうです。本当、中華イヤホンは楽しいですね(病気)。

 

最後に、今回はAliExpressで先月発売された中価格帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2021年9月4日)はAliExpressや国内amazonで発売されており、AliExpressでは5,000円程度で購入可能。一方amazonでは5,000円半ばと僅かに高くなります。そのためAliExpressの方が安価に入手できますが、その入手性には現在特に難があります。とはいえこれまでの低価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっておりますので、中価格中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、少しでも安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。 

 

GK10
以下、付属ケーブル、イヤピfinal Eタイプ M使用、DAP ZX507アンバランス接続
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★☆
お勧め度★★★★☆  
※☆0.5、★1.0

 

ZAS
以下、付属ケーブル、イヤピKBEAR 07 M-使用、DAP ZX507アンバランス接続
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★  
※☆0.5、★1.0

 

Robin
以下、ケーブルKBX4905、付属イヤピ M使用、DAP ZX507バランス接続
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★  
※☆0.5、★1.0

 

 

あとがき

あとがきとして、今回はいつもの中価格中華多ドラハイブリッドイヤホンの新商品のレビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、中華ヘッドホンアンプ等、今後も低価格?を中心に、複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ