こんにちは。
今回はいつもの低価格中華イヤホンレビュー編として、1BA+1DDハイブリッドモデルのCCZ Emeraldについてレビューをまとめたいと思います。
国内amazonのWTSUN Audio(@Naruto88814)から購入しました。
WTSUN Audio楽天市場店と合わせて先行販売しています。
AliExpressのWooeasy Earphones Store(@hulang9078)では未だ取り扱いが無いようです。(2021/08/14現在)も取り扱いが開始しました。※
1. CCZ Emeraldについて
CCZ Emeraldは以前レビューした同社Coffee Bean DC-1がシングルダイナミック機であったのに対し、低価格帯の中華イヤホンではポピュラーな1BA+1DDハイブリッド機です。Emeraldは今年8月頭に兄弟機のMelodyと同時発売されています。
CCZは新進のブランドとなりますが、中華イヤホンファンには馴染みのある販社オリジナルブランドの展開は良くある話ですので、中華イヤホンの新しいブランドと理解していただければと思います。以前も紹介しましたが、CCZは先ず中価格帯でCCZ Plumeという商品を発売しています。こちらもWTSUN Audioでの取り扱いで、4BA+1DD多ドラハイブリッドモデルの販売価格20,000円強と桁が一つ多い高級路線です。
一方、CCZ EmeraldとMelodyは低価格帯の兄弟機ということで1BA+1DDハイブリッド機です。販売開始こそ同時期でしたが、MelodyはAliExpressで早々に取り扱いが始まったものの、Emeraldは日本先行販売であり、WTSUN Audioの楽天市場店とamazonのEasy系セラーでのみ販売しています(2021/08/14現在)。
気になる音質傾向はそれぞれ特徴を持たせているようで、ネットの評判ではEmeraldはCoffee Beanの高音補強されたバランス型ドンシャリ。MelodyはEmeraldよりも高音抑え目のピラミッド型ドンシャリとのこと。今回はEmeraldのみですが、両者の違いも試してみたいところです。
さて、今回は1BA+1DDハイブリッド機のレビューとなりますが、なんだろうこの実家にいる安心感。やはりこれぐらいが丁度良いのかもしれません。それもその筈。今年は1DDトレンドモデルのレビューが多く、昨年のKZ EDXを皮切りに、KBEAR KS1、Trn MT1、CCA CA2、Trn CS1、CCZ Coffee Beanと6機種を行いましたが、何れも一言で云えば「BAがあれば…」です。実は1DDトレンドモデル比較用にQKZ VK4を入手していて単機レビュー後に、全機種比較をまとめようと企画していましたが「ボツ」としました。だって、レベルが違うんです、VK4は。VK4を褒めるだけのレビューに需要は無いです、はい。VK4はいつかTFZ MLEとの比較レビューでまとめたいと思います。
とはいえ以前のレビューで触れましたが、お浚いとして。1DDモデルのEDXやMT1はBA無でもメーカーの音として楽しめるモデルとなっていましたが、それ以外は前述の感想が正直なところです。そのEDXもドンシャリに頼った粗さを感じますし、MT1は高音中音を重視し過ぎて低音が蔑ろ。勿論、それらは1,000円未満の販売価格に対し、健闘していると思います。低価格帯で使用するドライバの質の限界なのでしょうね。価格に対しては十分に良い音なんですけど、何かしっくりしない気がします。
このモヤモヤはいったい何なんだ、と思っているところにCCZ Emeraldの発売です。先述の「実家にいる安心感」を感じたかったのだと納得した時には既にポチった後でした。
これはもう仕方がありませんよね(笑)
いつも通り前置きが長くなりましたが、今回は実家にいる安心感、見慣れた光景通りの低価格帯中華イヤホン1BA+1DDハイブリッド機、CCZ Emeraldのレビューとなりますが、これまた安心感のあるKZ ZSN pro XとCCA CSNというキャラの違う二機種との違いが気になります。
CCZ Emeraldは低価格帯の中華イヤホンでポピュラーな1BA+1DDハイブリッドモデルです。高音域をバランスドアーマチュア(BA)ドライバ1基がそれを担い、ダイナミックドライバ(DD)1基が中音から低音域までを担っています。音を繊細に高い解像感で表現するのにBAは最適ではありますが、中華イヤホンの低価格帯で採用されているBAの質は残念ながら高いとは言えず、音に粗さがあり解像感を重視した結果、シャープさはあるが故に尖りも兼ね備えてしまう痛し痒し。もちろんドライバの質だけでなくチューニングも重要です。高音域のBAと中・低音域のDDの各音域のクロスオーバーはメーカーの腕の見せ所となります。
尤も、そのチューニング技術は数年前に比べればかなり進化してきており、実際KZ ZSN pro XやKBEAR LARKは国内有名メーカーのU5K辺りとも良い勝負をすると思います。
ですが、初期ZSTの頃の1,000円ちょっとという圧倒的コスパからはやや高価になり、現在は2,000~3,000円と国内メーカーのエントリーモデルと同等となってきていています。それでも十分にコスパは良いのですが、一般層が買うのかと云えば?疑問符が付きます。
CCZ Emeraldのスペックですが先述の通り中華イヤホンの低価格帯で多く採用されている高音域用のバランスドアーマチュアドライバ(BA)を1基と中・低音域用のダイナミックドライバ(DD)を1基搭載した片側デュアルドライバ構成のハイブリッドモデルで、BAはシェル内DD傍に並列に配置しています。
ダイナミックドライバには直径10mmの二重磁気ドライバを採用。イヤホン本体はシェル本体が樹脂製、ステムノズルとフェイズプレートが金属製となりKZ ZSN pro XやCCA CSNと同様です。
そして大切なのはこれまでレビューした低価格中華1BA+1DDイヤホンでは各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングが重要となります。このチューニング次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくると云えますね。
CCZ Emeraldの納期として今回は国内amazonですので当日発送、翌日配達です。AliExpressではこのようにはいきません。昨今、AliExpressで購入した際は感染症の影響で中国からの輸送は平時の様にはいきませんが、それも徐々に回復傾向であり最近はシンガポール経由ではなく台湾経由等で動き始めていますので、物流の安定化までもう少しというところですね。尤も平時であればAliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。
そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。
2. CCZ Emerald実機レビュー
それでは、早速CCZ Emeraldの実機レビューを以下、まとめていきます。
パッケージングは白を基調とした縁に緑色のアクセントがある小箱で、スリーブタイプの化粧箱です。
箱の表にはイヤホンイラストが。裏にはスペックが記載されています。
スリーブを外すと白地の内装の台座にイヤホンが収納され、その下側に小箱が。
台座を取り外すと箱の底にイヤーピースが。小箱にはケーブルが収納されています。
付属品はシリコンイヤーピースが黒色タイプのS、M、Lの3種が計1セット。そのシリコンイヤピMサイズが本体取付け済。他にはケーブルです。U3K、実売2,000円後半の低価格帯として必要最低限の付属品となります。
次にビルドクオリティですが、中華イヤホンで心配されるような雑なところ感じさせない、近年のレベルアップを感じられ、寧ろKZ EDXよりもシェルの合わせ面等が綺麗に仕上がっています。
Coffee Beanもそうですが、Emeraldにもシェルに耳甲介艇への安定感を得られる耳ウィングが装備されています。
カラーバリエーションは緑色と青色があり、今回はEmeraldという事で緑色を選択しています。
付属ケーブルは4芯4N無酸素銅線(OFC)、黒色の編込みタイプが採用されています。プレイヤー側コネクタはL字タイプでCCZロゴ入り、イヤホン側はTFZタイプ、2ピン仕様、KZ極性(上がプラス)です。この付属ケーブルは耳への装着性や使用感は特別良くも悪くもなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。最近のKZ等に付属するケーブルと同等でやや絡まり易いものの、しなやかなものとなり低価格帯に付属するケーブルの中ではそれ程悪い印象はありません。そのためそのまま使用できますし黒色ケーブルは落ち着いた色味からは、シェル本体に囚われずに普段使いでは気になりません。
参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。
※画像左からKZ ZSN pro X、CCZ Emerald、CCA CSN
CCZ EmeraldとKZ ZSN pro X、CCA CSNの外観の比較として、EmeraldとZSN pro Xのサイズ感はほぼ同じ。CSNはそれらよりも大柄となります。
EmeraldとKZ ZSN pro Xはシェルの造形はカスタムIEM風のオーソドックスな横に広いタイプ。CSNはよりカスタムIEMに近い造形です。
三機種共にステムノズルとフェイスプレートは金属製。
重量はCSNが僅かに重さを感じますが、その造形から耳への装着時には殆ど差が分からないレベルです。三機種共に耳への装着感は悪くありません。ステムノズルの太さはEmeraldとKZ ZSN pro Xはやや太目、CSNが細目です。
余談ですが、以前Coffee Beanのレビュー時に邪推した件、国内amazonの商品ページ画像にステムノズルとシェル内部にBAらしき画像があるものが使われていて、1BA+1DDハイブリッド機の登場をお話しています。これ当たりましたね。
次に、ステムノズル角度にEmeraldとKZ ZSN pro Xついてはほぼ同じ。CSNはそれらよりも起きています。
また、ステムノズル部には全てにメッシュフィルターがあり異物混入による故障を防げます。そしてEmeraldとCSNのフィルターはZSN pro Xの丸穴と違い、音質に影響がありそうな所謂フィルタータイプ。
そして、シェル本体の形状は3機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。
なお、先述の通りEmeraldはステムノズルは太目であり、太いステムノズルは装着感に影響があり、圧迫感を感じやすくなりますので、イヤーピースのフィッティングは重要です。
付属イヤーピースはCoffee Beanと同形状です。傘の頂点開口部に段差がありメーカではパテントイヤーピースと命名しています。形状がCoffee Beanと同じという事であまり期待していませんでしたが、Emeraldに付属しているものとは微妙に異なるのか、鮮度が高いのか、Coffee Beanで個人的に感じたイヤーピースの傘がパサパサ、ペラフニャが改善されています。傘は適度のしっとり感とコシが有り遮音性も十分に感じます。
音質的には低音がしっかりするタイプのようですが、開口部が大きく高音をスポイルすることもなさそうです。
この付属イヤーピースで私は耳に浅めに蓋をするように装着しフィットしています。
低価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じます。今回は付属のイヤピで上手くフィットした為、そのまま使用しました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。
このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)
3. CCZ Emerald音質レビュー
それではいよいよ音質についてまとめていきます。
今後は価格帯関係なくSony NW-ZX507を基準としてレビューを行います。ずっとスマホ同等かやや良いくらいという基準を持ってきましたが、ご容赦ください。
ZX507については他の方のサイトでも詳しく解説していますので、SONYのまあまあの価格帯のサブスク対応android機です。従来のShanling Q1は3.5アンバランス接続のみですが、ZX507は4.4バランス接続にも対応しています。DACには独自開発のS-Master、フルデジタルアンプが採用されています。
Shanling Q1とZX507の音質の違いは音場がやや平面的に感じられるQ1に対し、ZX507は奥行きのある立体的な印象。具体的にはボーカルの位置に対し、高音や中音の演奏音がその周りやや離れた後ろ側に位置し自然な位置関係に感じられます。
次に、音質傾向ですが、音楽を正確に淡々と鳴らそうとするQ1に対し、ZX507は高音域と低音域をしっかりと鳴らすやや派手な音ながらも、ボーカルを邪魔せずにそれを引き立てています。所謂ドンシャリ傾向と云えますが、過剰なほどではなくて若干の演出という感じ。そして中音はボーカルに対し相対的に控えめに感じられますが、その分ボーカルはクリアです。特徴としては低音に厚みがありますので音楽を雰囲気良く聴くことができるSONYの音といえます。
個人的には音楽を楽しく聴くという本来の目的を達成するために必要十分なDAPと考えており、今年6月からは音楽配信サービス、Apple Musicがロスレス対応しましたが、android搭載DAPとして勿論対応(※1※2)しています。そして、何よりもBluetooth接続は安定していますので、強いて云えば電池持ちが悪い位しか不満はないです。
※1:2021/07/19現在 android版Ver3.6.0ベータ版(1115)で動作確認
※2:2021/07/22現在 android版Ver3.6.0正式版(1118)が配信開始
低価格帯のイヤホンの場合でDAPの違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。
※FiiO M5とShanling M0の比較もよろしければご参考ください。
それでは実際に聴いてみます。
ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。
先述の通りイヤピは付属Mサイズ、付属ケーブルです。
箱出しで聴いてみた第一印象は「量感を感じる低音としっかりと鳴る高音域の強ドンシャリ」でした。
箱出しでは低音に膨らみと、高音域のシャリつき感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は高音と低音が落ち着きでできたように感じられます。
音場は広くも狭くもなく普通。
高音は煌びやかさと華やかさは感じられ、主張はやや強め。それでもシャリつくような刺さりは適度に抑えられています。
低音は量感がありますが、広がりと響きは程々。その分締りとキレは良好。ベースラインは追いやすい。重低音は沈み込みは深く強さも有る。
中音は適度な華やかさがありますが、主張は強くなく多少ゴチャつきを感じます。ボーカルはクリアで自然な位置から聴かせてくれ聴きやすく、曲によってやや近く感じます。
一言で云えば中高音寄りのドンシャリ。
高音は煌びやかさと華やかさはやや前に出るような主張がありますが、超高音までの伸びはあまり感じない。良く云えば不快に感じる尖りはなく、ボーカルに彩りを与えています。これはCCA CSNよりも強く、ZSN pro Xよりは抑えています。KZを始めとする低価格帯1BA+1DDハイブリッドモデルと比べると、同等か僅かに弱目の印象ですが、尖りが無く丁度良い。
中音は凹みを感じますが、楽器の音はボーカルの周りから僅かに後ろ、近くに位置し華やかに鳴り、多少の重なりを感じますが、ボーカルをマスクする程ではありません。ボーカルは比較的クリアで聴きやすさいですが、高音、低音に僅かに重なりも感じます。
全体的に高音中音域がしっかりと鳴り、低音に強さのあるノリの良い音です。その分音数が多いハードな曲では中音の音が重なり、ごちゃつく感じがありますが、演奏をノリ良く聴くことができます。
そのボーカルは自然な僅かにドライ気味に感じる一方、息遣いを感じられます。しっとりとした雰囲気を楽しみたい場合には相性を感じるかもしれません。
低音はCoffee Beanより量感は抑えられていますが、適度に広がり響きがある音。そして強さがあります。代わりに締りとキレはCoffee Beanよりも良好に感じます。重低音は沈み込みは深く強さがあり、音楽を小気味良く聴くことができます。
高音の煌びやかさは心地よく、中音の華やかさは音の重なりとのトレードオフとなるかもしれませんが、小気味良い低音が下支えする中高音の華やかさは、ボーカルも十分に聴きやすくこれまでにレビューした1BA+1DDハイブリッドモデルの中でも引けを取らない小気味良いドンシャリと云えそうです。
さて、CCZ Emeraldはこれまでレビューした1BA+1DDハイブリッドモデルの音の傾向ではKZ系が近く、以前のTrnにも似ていますが、中音域の質感がKBEARやCCAとは異なる印象です。特に音の雰囲気はKZ EDXのドンシャリをイメージしてもらい、その高音と低音をしっかりと鳴らす音と感じます。
補足すれば、EDXと同様にEmeraldも元気で派手な音はKZの音のそれであり、CSNの中低音寄りながらも聴かせ所をわきまえたバランスはとは異なります。そしてZSN pro XのKZの明るく派手なドンシャリなのに中音域を疎かにしていないバランスとも異なる、王道のドンシャリと云えば伝わるでしょうか。
もちろんKBEAR LARKのようにフラットに近い僅かにドンシャリの音。中音域を聴かせてくれ誇張の無い音とも違います。
それでもEmeraldは一聴して数年前のKZに通じる音でありながらもそれらと比較した場合に決して劣ることのない、寧ろ小気味良さはドンシャリのあるべき姿なのかもしれません。
CCZ EmeraldはCoffee BeanにBAを追加しただけでなく、高音の強さと低音の質を調整したバランスの良いドンシャリは、1DDトレンドモデルには届かないそれを実現する、やはり高音の伸びや華やかさが1BA+1DDハイブリッドモデルだよね、と再評価できました。もちろん1DDには1BA+1DDハイブリッドと違い高音域と中低音域の繋がりに不自然なところを感じず、それを高音の音数や音圧で誤魔化すことによる高音域の過度な演出による不自然さはなく、あくまでも自然な音を楽しめますし、何方も違って何方も良いですね。
次に、今回の比較対象としてKZ ZSN pro XやCCA CSNとの違いをピックアップ。
ZSN pro XとEmeraldは同じ中高音寄りで、CSNは中低音寄りです。ではZSN pro XとEmeraldは傾向が同じであるものの同じ音かと云えばそれは違います。Emeraldは低音を重視した小気味良さに雰囲気もある音。低音域の強弱、解像感はZSN pro Xにはない特徴と云えます。一方高音域はZSN pro Xと比べた場合、上の方までの伸びは弱くなりますが、その分耳に優しい。一番の違いは中音域です。これはZSN pro Xの方が整理された音の印象です。
次にCSNとEmeraldはCoffee Bean同様にベースラインがしっかり感じられます。しっかりとした存在感は強めですが、国産低音イヤホンを謳うモデルよりも不自然な強調感は無く心地良さを感じる音。質感は悪くありません。高音はEmeraldの方がややはっきり鳴らしています。
CCZ Emeraldの中音域はそれらと比較した場合にごちゃ付がありますが、十分にも感じられます。特にボーカルの聴きやすさではそれらに比べると暖かさも感じられますが、基本的にドライのため、Coffee Beanの様な雰囲気の良さは抑えられています。それでもアップテンポの曲ではZSN pro Xよりもボーカルの粗さを感じません。
※以前のKZ ZSN pro Xのレビューもご参考ください
※以前のCCA CSNのレビューもご参考ください
まとめるとCCZ EmeraldはCoffee Beanの低音の響きとボーカルの熱量、雰囲気の良さを高音域のBAによって華やかさを得ることで相対的に抑えられましたが、十分に質感の高い低音域を持った中高音寄りのイヤホンです。高音はしっかりと鳴り低音は強さがある音。中音域は低価格帯でよくあるごちゃ付きを多少感じるものの、自然な位置で唄うボーカルは聴きやすく、アニソン等で相性の良さを感じられそうです。そして従来の1BA+1DDハイブリッドモデルの良さを感じられるバランスの良いドンシャリは、低音の質を求め高音にも華やかさを求める方へ選択肢が増えたと云えます。
尤もリスニング用途としての聴いていて楽しいドンシャリバランスはやや苦手という方には評価が分かれてしまうかもしれません。
高音 ZSN pro X ≧ Emerald ≧ CSN (強さの順)
中音 CSN ≧ ZSN pro X ≧ Emerald (整っている順)
低音 Emerald ≧ CSN ≧ ZSN pro X (質感の順)
ボーカル Emerald ≧ CSN ≧ ZSN pro X (質感の順)
4. CCZ Emeraldの総評
CCZ Emeraldは最近の1BA+1DDハイブリッドモデルの中でも低音域の質感が高くCoffee Beanで感じられた高音域の物足りなさを改善した小気味良い音を聴かせてくれる中高音寄りの音とまとめました。
これまでにレビューしてきた1BA+1DDハイブリッドモデルと比較しても特徴の感じられるバランスの良いドンシャリモデルという印象です。
そういう意味で中華イヤホンの醍醐味を感じられる商品であり、実家のような安心感を求める方へお勧めできますが、中華イヤホンに個性を求め検討されている方には注意が必要な商品ですね。
最後に、今回は国内amazonで今月発売された低価格帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2021年8月14日)はAliExpressでは見当たらずAliExpressで2,000円台で販売開始し(※)、国内amazon及び楽天市場では3,000円前後の価格で販売しています。一方今後AliExpressでも販売開始した際には恐らくその方が安価に入手できると思いますが、未だ取り扱いもなくオーダーした場合の入手性にも現在も難があります。とはいえこれまでの低価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっておりますので、低価格中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、少しでも安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。
Emerald
以下、付属ケーブル、付属イヤピ M使用、DAP ZX507
高音★★★★
中音★★★☆
低音★★★★
音場★★★☆
分離★★★
お勧め度★★★★★ (低音重視の方に)
※☆0.5、★1.0
ZSN pro X
以下、付属ケーブル、付属溝無黒イヤピ M使用、DAP ZX507
高音★★★★
中音★★★★
低音★★★★
音場★★★☆
分離★★★
お勧め度★★★★★ (演奏重視の方に)
※☆0.5、★1.0
CSN
以下、付属ケーブル、何かの付属白イヤピ M使用、DAP ZX507
高音★★★★
中音★★★★
低音★★★★
音場★★★☆
分離★★★
お勧め度★★★★★
※☆0.5、★1.0
あとがき
今回はいつもの低価格中華1BA+1DDハイブリッドイヤホンの新商品のレビューをまとめました。通算35個目のレビューとなります。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後も低価格?を中心に、中華据え置き機器や複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。溜まってきている多ドラハイブリッドモデルにもそろそろ手を付けていきますが、順番は入手順ではないことをご了承ください。
また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ
※2021/08/17 AliExpress取り扱い開始