こんにちは。
今回もいつもの低価格中華イヤホンレビュー編として、1BA+1DDハイブリッドモデルではなく1DD、シングルダイナミックモデルのTrn CS1についてレビューをまとめたいと思います。
AliExpressのTRN Promo Discount Store(@TrnDiscount)等で取扱があります。
国内amazonでは未だ取扱がないようです。
1. Trn CS1について
Trn CS1は今年6月にシングルダイナミックドライバのモデルとして新発売されました。Trnは今年3月にMT1を発売しましたが、続いてCS1をリリースしたことになります。
Trnといえば低価格帯の中華イヤホンファンにはお馴染みのメーカーで、低価格帯の中華イヤホンと云えばKZとなりますが、そのKZのライバルメーカーとなります。
これまでもKZ対抗として1BA+1DDハイブリッドモデルや複数BAモデル及び、多ドラハイブリッドモデルをリリースしており、互いのモデルを本ブログでレビューしています。
そのTrnが昨年のKZのシングルダイナミックモデル、EDXへの対抗としてMT1を発売しEDXとは異なる最近のTrnの音を低価格帯で踏襲しメーカーの方向性を示したモデルとなっていましたが、間を空けずに同じシングルダイナミックモデルのCS1を投入してきました。
MT1では前述の通りTrnの音、中高音の解像感を重視し低音域はその高音と中音域を邪魔しない控えめな低音域が、良く云えば国内外有名メーカー高級シングルダイナミックモデルに近しい傾向となっています。尤も、流石にそれらと比べれば搭載するドライバの質が追いついておらず、粗さのある高音と中音域に加え低音域は薄いだけという印象は拭えません。とはいえ、実売1,000円以下という価格でこの音を楽しめるという圧倒的コスパは驚異的と云え、中華イヤホンの楽しみ方として正しいものだと思います。
以前の記事でも触れましたが、Trnはその生い立ちからもKZ対抗という立ち位置であり、現在はその筆頭と云えます。もちろんCCAやKBEAR等も低価格帯の中華イヤホンで存在感を示しておりますが、KZとはそもそも音の傾向が異なりますし、CCAに至っては兄弟メーカーとなります。過去からはTrnはKZ後追いのモデルを登場させる印象がありましたが、最近ではその後追いを止め、Trnの音を展開しており新しいTrnで魅せ始めています。
その為、KZの元気で派手な突き抜けた音とは違う中高音の解像感を重視し低音を控えめにしたバランスの音はその質はさておき、もうKZの後追いメーカーではない本当の意味で対抗メーカーへ成長したと云え、今後の両者の展開が楽しみになります。
さて、今回は昨年のKZ EDXから続く低価格帯のエントリーモデルとして、トレンドになっているシングルダイナミックモデルの最後発、Trn CS1をこれまでのシングルダイナミックモデルの中でライバル達との違いが気になります。
Trn CS1は先月6月に発売され、片側に一つのダイナミックドライバを搭載する各社一連のトレンドモデルの最後発となります。低価格帯の中華イヤホンでポピュラーな1BA+1DDハイブリッドモデルでは高音域をバランスドアーマチュア(BA)ドライバ1基がそれを担いましたが、CS1ではダイナミックドライバ(DD)1基が高音から低音域までをフルレンジで担っています。音を繊細に高い解像感で表現するのにBAは最適ではありますが、中華イヤホンの低価格帯で採用されているBAの質は残念ながら高いとは言えず、音に粗さがあり解像感を重視した結果、シャープさはあるが故に尖りも兼ね備えてしまう痛し痒し。もちろんドライバの質だけでなくチューニングも重要です。高音域のBAと中・低音域のDDの各音域のクロスオーバーはメーカーの腕の見せ所となりますが、今回はダイナミック1基となりますのでその心配は不要です。
とはいえ、それらチューニング技術は数年前に比べればかなり良くなってきており、実際KZ ZSN pro XやKBEAR LARKは国内有名メーカーのU5K辺りとも良い勝負をすると思います。
ですが、初期ZSTの頃の1,000円ちょっとという圧倒的コスパからはやや高価になり、現在は2,000~3,000円と国内メーカーのエントリーモデルと同等となってきていています。それでも十分にコスパは良いのですが、これらトレンドモデルでは敢えてシングルダイナミックドライバ1基とすることで原点回帰とも云える「鬼コスパ再び」と人気が高くなっています。
それらは昨今の中華イヤホンのレベルアップを感じさせ、中華本来のコスパを忘れないトレンドモデルとして、KZ EDXやCCA CA2との違いを交えながらレビューを。
そして本レビューはいよいよ1DDモデルレビュー編、最終章としてトレンドモデル総括を含めてまとめていきたいと思います。
Trn CS1のスペックですが先述の通り中華イヤホンの低価格帯で多く採用されている高音域用のバランスドアーマチュアドライバ(BA)を1基と中・低音域用のダイナミックドライバ(DD)を1基搭載した片側デュアルドライバ構成のハイブリッドモデルとは異なり、一つの大径ダイナミックドライバを搭載し、高音域から低音域の全域を担当しています。
ダイナミックドライバには同社MT1とは異なる直径10mmドライバを採用。イヤホン本体はシェル本体が樹脂製。フェイスプレートとステムノズルが金属製となりKZ EDXのオール樹脂製、MT1やKS1のステムノズルのみ金属製とは異なります。
そして大切なのはこれまでレビューした低価格中華1BA+1DDイヤホンでは各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングが重要となりますが、CS1ではシングルダイナミックドライバであることから音域毎のチューニングが重要です。このチューニング次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくると云えますね。
Trn CS1の納期として今回AliExpressで購入し中国本土からの発送という事もあり、国内amazonのようにはいきません。今回もオーダーから2週間強で届きました。昨今、感染症の影響で中国からの輸送は平時の様にはいきませんが、それも徐々に回復傾向であり最近はシンガポール経由ではなく台湾経由等で動き始めていますので、物流の安定化までもう少しというところですね。尤も平時であればAliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間から1か月。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。
そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。
2. Trn CS1実機レビュー
それでは、早速Trn CS1の実機レビューを以下、まとめていきます。
パッケージングはいつもの白を基調としたサイドが黒のTrnの小箱で、スリーブタイプの化粧箱です。
箱の表にはイヤホンイラストが。裏にはスペックが記載されています。
スリーブを外すと白地の内装の台座にイヤホンが収納され、台座を取り外すと箱の底に付属品が収納されています。
付属品はシリコンイヤーピースが白色タイプのS、M、Lの3種が計1セット。そのシリコンイヤピMサイズが本体取付け済。他にはケーブルです。U1K、実売1,000円以下の低価格帯として必要最低限の付属品となります。
次にビルドクオリティですが、中華イヤホン、特にTrnで心配されるような雑なところ感じさせない、近年のレベルアップを感じられ、寧ろKZ EDXよりもシェルの合わせ面等が綺麗に仕上がっています。カラーバリエーションはクリアとブラックがあり、今回はクリアを選択しています。
付属ケーブルはTrnの4芯銅線、黒色の編込みタイプが採用されています。プレイヤー側コネクタはI字タイプで、イヤホン側は従来のKZ-Bタイプ、2ピン仕様、KZ極性(上がプラス)です。この付属ケーブルは耳への装着性や使用感は特別良くも悪くもなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。KZ等に付属するケーブルよりも絡まり難く、しなやかなものとなり低価格帯に付属するケーブルの中ではそれ程悪い印象はありません。そのためそのまま使用できますし黒色ケーブルは落ち着いた色味からは、シェル本体をブラックを選択した場合、その色と相まって普段使いでは気になりません。
参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。
※画像左からKZ EDX、Trn CS1、CCA CA2
Trn CS1とCCA CA2、KZ EDXの外観の比較として、サイズ感や体積はそれらよりも僅か小さくなっています。
三機種共にシェルの造形はカスタムIEM風のオーソドックスな横に広いタイプ。
CS1のみフェイスプレートとステムノズルが金属製。EDXとCA2はオール樹脂製です。
重量はCS1が僅かに重さを感じますが、その造形から耳への装着時には殆ど差が分からないレベルです。三機種共に耳への装着感は悪くありません。ステムノズルの太さも先種共にほぼ同じで太くも細くもなく。CS1が金属製でありその加工性の有利さからイヤピの抜け防止の返し部は細め。CA2とEDXは一体成形の都合上、強度を持たせる為に太さがあります。角度については三機種共にほぼ同じ。
また、ステムノズル部には全てにメッシュフィルターがあり異物混入による故障を防げます。そしてCS1のフィルターはEDXやCA2の長穴と違い丸穴。
そして、シェル本体の形状は3機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。
なお、先述の通りCS1はステムノズルは太くも細くもなく、太いステムノズルでは装着感に影響があり、圧迫感を感じやすいですが、CS1ではイヤーピースの大きさでシンプルに調節可能です。今回は付属の白色イヤーピースMサイズを耳奥に栓をするように装着する形が音質的にもしっくりきました。
この付属イヤーピースはTrnで付属する赤軸傘黒色タイプの白色タイプで、最近のTrnで付属しています。個人的にTrn付属の黒タイプは傘がパサパサしていて遮音性がイマイチに感じる事が多いのですが、こちらは色の違いだけでなく傘に粘りがあってしっくりきます。寧ろ他の低価格でもこれを標準にしてほしいです。
音質的にはTrn付属黒色に比べやや高音中音がクリアに聴こえるタイプに感じますが、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。
幸いこの付属イヤーピースでも私は上手く合わせられ、耳の奥に栓をするように装着しフィットしています。
低価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じますが、今回は同じ付属のイヤピ白色で十分と感じられそれを使用しています。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。
このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)
3. Trn CS1音質レビュー
それではいよいよ音質についてまとめていきます。
今後は価格帯関係なくSony NW-ZX507を基準としてレビューを行います。ずっとスマホ同等かやや良いくらいという基準を持ってきましたが、ご容赦ください。
ZX507については他の方のサイトでも詳しく解説していますので、SONYのまあまあの価格帯のサブスク対応android機です。従来のShanling Q1は3.5アンバランス接続のみですが、ZX507は4.4バランス接続にも対応しています。DACには独自開発のS-Master、フルデジタルアンプが採用されています。
Shanling Q1とZX507の音質の違いは音場がやや平面的に感じられるQ1に対し、ZX507は奥行きのある立体的な印象。具体的にはボーカルの位置に対し、高音や中音の演奏音がその周りやや離れた後ろ側に位置し自然な位置関係に感じられます。
次に、音質傾向ですが、音楽を正確に淡々と鳴らそうとするQ1に対し、ZX507は高音域と低音域をしっかりと鳴らすやや派手な音ながらも、ボーカルを邪魔せずにそれを引き立てています。所謂ドンシャリ傾向と云えますが、過剰なほどではなくて若干の演出という感じ。そして中音はボーカルに対し相対的に控えめに感じられますが、その分ボーカルはクリアです。特徴としては低音に厚みがありますので音楽を雰囲気良く聴くことができるSONYの音といえます。
個人的には音楽を楽しく聴くという本来の目的を達成するために必要十分なDAPと考えており、今年6月からは音楽配信サービス、Apple Musicがロスレス対応しましたが、android搭載DAPとして勿論対応(※)しています。そして、何よりもBluetooth接続は安定していますので、強いて云えば電池持ちが悪い位しか不満はないです。
※2021/06/19現在 android版Ver3.6.0ベータ版
低価格帯のイヤホンの場合でDAPの違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。
※FiiO M5とShanling M0の比較もよろしければご参考ください。
それでは実際に聴いてみます。
ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。
先述の通りイヤピは付属白色Mサイズ、付属銅線ケーブルです。
箱出しで聴いてみた第一印象は「やや膨らみを感じる低音と過不足ない高音域、ボーカルに近すぎる低音の音が不自然に感じるドンシャリバランス」で正直外れたかなと思いました。
箱出しではやや低音に膨らみと、ボーカルと低音の位置に不自然さ感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音が締まり落ち着き相対的に高音中音がクリアに感じられます。そして箱出しで外れたと思ったボーカルに対する低音の位置の違和感は抑えられました。
音場は広くも狭くもなく普通。
高音は適度な煌びやかさがと華やかさはありますが、主張は控えめ。その分刺さりは感じません。
低音はやや量感があり芯が感じられ締りとキレがある。ベースラインが目立ち追いやすい。重低音は沈み込みは深く強さも有る。
中音は適度な華やかさがありますが、主張は少なくゴチャつきも少なく感じます。ボーカルはクリアでやや近い位置から聴かせてくれ聴きやすく、曲によって近く感じます。
一言で云えば中低音寄りのドンシャリ。
高音は適度な煌びやかさと華やかさはとにかく前に出るような主張は無く控えめに感じ、超高音までの伸びも弱い。良く云えば不快に感じる尖りはなく、ボーカルを邪魔することなく自然な高音。これはCCA CA2の傾向と同じですが、KZを始めとする低価格帯1BA+1DDハイブリッドモデルと比べると、やはり弱く物足りなさを感じることもあります。これは低価格帯の1BA+1DDハイブリッドモデルが人気のある所以ですね。
中音は凹みを感じ難く、楽器の音はボーカルの周りに位置し華やかに鳴りますが、決してボーカルを邪魔しません。ボーカルはクリアで聴きやすく、高音、中音、低音に埋もれません。
全体的に中低音域がしっかりとしていて音楽を聴きやすい音です。特筆は音数が多いハードな曲でも高音や中音の音が重なり、ごちゃつく感じが少ないので分離感が良く、ボーカルを中心にしっかりと聴くことができます。
そのボーカルは自然な暖かみを感じられ、熱量を感じます。しっとりとした雰囲気を楽しみたい場合にはかなり相性の良さを感じられます。
低音はやや量感がありますが、過度な演出感は少なく、適度に広がり響きがある音。そして芯のある音は締りとキレを感じ強さもありますので、MT1とは真逆と云えます。重低音は沈み込みは深く強さがあり、音楽を心地良く聴くことができます。
一つ気になるのは箱出しで感じた違和感です。
箱出しの音の違和感は抑えられていますが、曲によってボーカルの位置と低音の鳴る位置が重なるというかボーカルの直ぐ下に感じる事があります。通常はその他の演奏含めボーカルよりもやや後ろに感じられますが、そこに違和感を感じます。立体的と云えば言葉は良いのですが、個人的に不自然さを感じてしまいます。恐らく距離感というか定位が通常と異なるのではないでしょうか。もしもボーカルを含め全体的に少し離れた位置に感じられる調整であれば、この違和感は単に立体的な音場として評価できたのかもしれません。
この低音の違和感を除けば高音中音を邪魔しない低音と中高音の自然な華やかさと分離感の高さ、ボーカルにフォーカスされたバランスの良いドンシャリは最近のTrnの音とは異なり、そしてKZの後追いではない音を個人的には推すことができたと思います。
さて、CS1は最近のTrnの音ではなく、前回レビューしたCCA CA2と傾向は同じです。そしてEDXのドンシャリとは違いますし、KS1の中低音寄りの音とも違います。
もっと云えば、EDXの元気で派手な音はKZのそれであり、KS1の中低音寄りながらも聴かせ所をわきまえたバランスはKBEARの音と云えます。CA2の誇張の無い大人の音はCCAの音ですし、MT1ではそれらと異なり中高音をクリアに聴かせる音で最近のTrnの音です。
ここにきてTrnが最近のTrnの音を踏襲しなかった理由は分かりませんが、低価格帯では高級機の様にドライバにコストを掛けられない制約があり、中高音を聴かせる為に低音が犠牲になっている感があります。それを単に嫌いオーソドックスな音を造り、MT1から間を空けずに新モデルを投入したと考えると合点は行きます。まあ、邪推でしかありませんが。
そして一連の1DDトレンドモデルはやはり高音は伸びや華やかさが1BA+1DDハイブリッドモデルに比べるともの足りなさがあり最新1DDモデルの聴き比べからは、1BA+1DDハイブリッドを再評価できます。もちろん1DDには1BA+1DDハイブリッドと違い高音域と中低音域の繋がりに不自然なところを感じず、それを高音の音数や音圧で誤魔化すことによる高音域の過度な演出による不自然さはなく、あくまでも自然な音を楽しめる、何方も違ってそれで良いと云えますね。
次に、代表して同社MT1とKZ EDXやCCA CA2との違いをピックアップ。
EDXとCA2は同じ中低音寄りで、CS1も中低音寄り、MT1の中高音寄りとは違います。ではEDXとCA2が同じ音かと云えばそれは違い、各社の音を造っています。CS1はボーカルフォーカスの音。そういう意味でドンシャリ感は控えめで高音や中音域のクリアさを疎かにしていません。CA2はどちらかと言えばCS1に近いもののそれよりもドンシャリ感があります。EDXはやはりKZのドンシャリを踏襲しているものの上手く高音と低音の強さを整えています。
またCS1はKZ EDXやCA2同様にベースラインがしっかり感じられますが、CS1の方がよりしっかりしていて存在感は強め。CA2やEDXも低音はしっかりしていますが、CA2の方がより強めに感じ、CS1とEDXと続きます。
CS1の中音域はクリアですが、CA2同様に暖かみがあり熱量を感じます。EDXではそれらに比べるとMT1に近くドライに感じますが、それともやや違います。MT1の中音域はすっきりクリアに聴かせる音色ですが、CS1やCA2では低音域が多少重なると云えます。CS1やCA2は中低音に豊かさを感じられるのに、EDXよりもボーカルのクリアさが特徴的。すっきりクリアの度合いはMT1>EDX>CS1>CA2ですが、明朗さクリア度合いはMT1>CS1>CA2>EDXと感じます。
※以前のKZ EDXのレビューもご参考ください
※以前のCCA CA2のレビューもご参考ください
※以前のMT1のレビューもご参考ください
まとめるとTrn CS1はボーカルフォーカスの中低音重視のイヤホンです。高音は相対的に控えめ、低音は強さがある音。中音域は低価格帯でよくあるごちゃ付きを感じ難く分離感が高くクリアです。自然で熱量を感じるボーカルは聴きやすくボーカル特化イヤホンと云えそうです。そして従来の1BA+1DDハイブリッドモデルでは派手すぎると感じる方にシンプルな1DDモデルの選択肢が増えることは良いことです。
尤もリスニング用途としての聴いていて楽しいドンシャリバランスは中華イヤホンには高音域のシャリつく刺激的な強さや低音のドンの量が多い強ドンシャリを求め、演奏メインで聴きたい方には、もの足りなさを感じ評価が分かれてしまうかもしれません。
高音 EDX ≧ MT1 ≧ CA2 ≧ CS1
中音 CS1 ≧ CA2 ≧ MT1 ≧ EDX
低音 CA2 ≧ CS1 ≧ EDX ≧ MT1
ボーカル CS1 ≧ CA2 ≧ MT1 ≧ EDX
4. Trn CS1の総評
さて、Trn CS1は最近のTrnの中高音寄りの中高音を解像感を重視したクリアな音とは異なる中低音寄りの聴きやすい音でありCCAに近い音とまとめました。
一連の1DDトレンドモデルと同じ1BA+1DDハイブリッドモデルからBAを取ったバランスではなく、1DDのみで十分良い音を造る各社の音に感心します。そして各社の音はそれぞれ特色がありその音色を体験することができ、従来のハイブリッドモデルではその不自然さを嫌う方に試して欲しい音と考えています。
そういう意味で中華イヤホンを「コスパ重視」で検討される方へお勧めできますが、中華イヤホンの強ドンシャリを求め検討されている方には注意が必要な商品ですね。
最後に、今回はAliExpressで先月発売された低価格帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2021年7月3日)はAliExpressやamazonで発売されており、AliExpressでは1,000円以下の価格で入手可能です。一方amazonでは本国発送の1,000円台の価格と、AliExpressの方が安価に入手できますが、その入手性には現在も難があります。とはいえこれまでの低価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっておりますので、低価格中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、少しでも安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。
CS1
以下、付属ケーブル、付属イヤピ M使用、DAP ZX507
高音★★★
中音★★★★
低音★★★★
音場★★★☆
分離★★★☆
お勧め度★★★☆
※☆0.5、★1.0
CA2
以下、付属ケーブル、付属イヤピ M使用、DAP ZX507
高音★★★☆
中音★★★★
低音★★★★
音場★★★
分離★★★☆
お勧め度★★★★
※☆0.5、★1.0
MT1
以下、付属ケーブル、付属イヤピ M使用、DAP ZX507
高音★★★☆
中音★★★☆
低音★★★☆
音場★★★☆
分離★★★☆
お勧め度★★★★
※☆0.5、★1.0
EDX
以下、付属ケーブル、付属溝有白イヤピ M使用、DAP ZX507
高音★★★☆
中音★★★☆
低音★★★★
音場★★★☆
分離★★★
お勧め度★★★★
※☆0.5、★1.0
あとがき
今回はいつもの低価格中華1BA+1DDハイブリッドイヤホンではなく同じ低価格帯の1DDモデルの新商品のレビューをまとめました。これで一通り1DDトレンドモデルのレビューを終えました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後も低価格?を中心に、中華据え置き機器や複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。
また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ