こんにちは。
今回は中華イヤホンの中から多ドラハイブリッドモデルのレビュー編として中価格帯で発売されたCCA CA16 Proについてレビューをまとめたいと思います。
今回はAliExpressのSA Audio Storeから購入しています。
国内amazonでも本国発送ですが取扱があります。
1. CCA CA16 Proについて
CCA CA16 Proは中華イヤホンの中価格帯で今年10月に発売された片側8ドライバ、7BA+1DD構成の多ドラハイブリッドモデルの新商品です。中価格帯U10Kの多ドラハイブリッドモデルとしては前回Trn VX Proの片側9ドライバ、8BA+1DD構成が最上位のモデルとなりますが、KZを中心とする同価格帯中華イヤホンの競争はTrnがスペックでは一歩リード。今後KZ系の巻き返しに期待しているところです。
CCAは中華イヤホンの低、中価格帯の雄であり市場を牽引するメーカー、KZの兄弟ブランドと云えるメーカーです。KZを兄としたときにCCAは弟と云えそうですが、実は少し趣が異なります。KZは云わずと知れた元気で明快なドンシャリサウンドが代名詞であり、特に低価格帯の1BA+1DDハイブリッドモデルでは同価格帯のシングルダイナミックモデルよりも音域の幅が広く、高音と低音を強めに聴かせてくれます。一方CCAではKZよりも大人のサウンドで、高音と低音をやや抑え中音を明朗に聴かせてくれ、兄弟というよりも従兄弟の方が腑に落ちます。兄弟ってやっぱり似ているもので、どちらかの親が兄弟という血の繋がりのある従兄弟の方が似て非なるものと個人的に考えてしまいます。もちろんCCAとKZの全ての商品がそういう分け方ではなく、CCAでもC12やC10 Pro等は寧ろKZ寄りの傾向だったモデルですし、KZでもZASのようなモデルも存在します。そういうイメージというか、先入観はCCAの最初期に登場したC10がCCAのブランドとしてのイメージを植え付けているのかもしれません。本当にCCA C10は当時KZ ZS10とは違う当時洗練した音を聴かせてくれたものでした。今でも手放さずに所有しているのはあの頃の感動や衝撃を忘れないようにする想い出の逸品です。
CCAの音としては前述の通り、高音に主張させすぎずやや抑えながら中低音を重視した弱ドンシャリサウンドです。特に中音域を凹ませずに鳴らすことで全音域のバランスが良い音質が特徴と云えます。
これが今回7BA+1DDの多ドラハイブリッドと前作のCA16とドライバ構成は同じですが中身の違うCA16 Proが登場。先に登場したKZ ZASと同じドライバ構成を踏襲し、それこそ兄弟機だよね?と以前のKZ ZSX、CCA C12でもありましたが、聴き比べれば音場の広さの違いを感じる結果もあり、勝手な想像では前作CA16とは全然違う、そしてKZ ZASとも違うのではないか?という期待感がこのCA16 Proにはあります。
前作のCA16が中低音を豊かに雰囲気良く聴かせてくれるモデルでしたが、KZ ZASと同じ7BA+1DD構成とした上で一体どんな音を聴かせてくれるのか?CCAらしいアプローチなのか。はたまたKZ寄りのサウンドになるのか。楽しみで仕方がありません。
個人的に中価格帯U10K多ドラハイブリッドモデルのベストバイに成り得るのか?中価格帯U10K多ドラハイブリッドモデルの兄弟機(従兄弟)KZ ZASと前作CCA CA16との違いを含めながら、レビューを纏めていきます。
CCA CA16 Proは前作のCA16同様に比較的カスタムIEMに近い造形のシェルデザインが採用されていて、KZ ZASも同じシェルを採用しています。そのシェル本体は樹脂製でKZ ZASもフェイスプレートとステムノズルが金属製。CCA CA16ではシェル本体とフェイスプレートが樹脂製でステムノズルが金属という構成とは異なります。肝心の耳への収まりはカスタムIEM風の造形、デザインによりやや大柄のシェルは耳の形によって合う合わないがあるかもしれません。
CCA CA16 Proのスペックは先述の通り片側8ドライバ、7BA+1DDと同社の多ドラハイブリッドの旗艦モデルの構成です。同価格帯多ドラハイブリッドモデルの中でも上位のドライバ構成となりますが、最近発売されたTrn VX Proが片側9ドライバ、8BA+1DDに一歩及ばず。CA16 Proの搭載ドライバは中低音域用のダイナミックドライバに10mm径のデュアルマグネティックドライバを。BAは30019シングル1基が高音域を担当しシェル内のダイナミックドライバ傍に並列配置。50024sデュアル(2BA)3基が中高音域を担当します。
前作のCA16のスペックから変化があり片側8ドライバ、7BA+1DDのドライバ構成と同じですが、低音域用ドライバは7mm径デュアルマグネティックから10mm径デュアルマグネティックダイナミックドライバに進化。BAは前作から変更され30095シングル3基から30019を1基となり高音域を担当し、シェル内のダイナミックドライバ傍に1基を並列配置。50024sデュアル(2BA)2基から3基に増え中高音域を担当し、シェル内のダイナミックドライバ傍にこちらも並列配置しています。
ドライバ構成だけで比較すればKZ ZASの7BA+1DD構成と同じ。前作CA16との比較では高音域BAは30095の3基から30019を1基と中高音域ばの50024sデュアル(2BA)を2→3基と高音と中高音のBA構成とデュアルマグネティックダイナミックドライバを7mm径→10mm径に変更し、評判の良かったZASに寄せたことが窺えます。
比較対象のKZ ZASのスペックをあらためて。片側8ドライバ、7BA+1DDと昨年発売された同社ZAXやCCA CA16とドライバ数が同じ(構成は異なります)。搭載ドライバは中低音域用のダイナミックドライバにZAXと同様の10mm径ではありますが、それとは異なるデュアルマグネティック(二重磁気)ダイナミックドライバを。BAは30019シングル1基が高音域を担当しダイナミックドライバに並列に配置。ZAXやCA16で採用された50024改良版、50024sデュアル(2BA)3基が中高音域を担当し、こちらもダイナミックドライバに並列に配置しており、これまでKZでは頑なにステムノズル内に配置したBAが全てシェル内部に配置です。
次にCA16のスペックも。片側8ドライバ、7BA+1DDとなり搭載ドライバは低域用ドライバは7mm径デュアルマグネティックダイナミックドライバで、C12の10mm径から小型化されていますが力強さはこちらが上。キレの良さは10mm径のタイプに軍配が挙がります。BAは30095シングル3基が高音域を担当し配置がC12のステムノズル部からシェル内に。50024デュアル(2BA)2基が中音域を担当しこちらも高音域用BA同様にダイナミックドライバに並列に配置され、低音域を前述のDD1基が担います。
そのため、スペックからはCA16 ProとZASが同じドライバ構成&配置でCA16がドライバ構成は異なりますが、配置が同じとなり比較対象として最適と考えています。Trn VX Proは、まあ…、その…。BAが1基多いですし価格帯もやや上ですので外しました。
次に、前述の通りCA16 Proは全てのドライバがシェル内に納まり高音域用BAを1基。新世代の中高音域用デュアルBA3基をダイナミックドライバに並列に配置した、1BA+6BA(3デュアルBA)+1DDの高、高中、中低音域の3way方式を採用しています。
これに対し、ZASもドライバ構成&配置を先立って採用し中高音域を新世代BAに。搭載位置もシェル内部のダイナミックドライバに全て並列配置し1BA+6BA(3デュアルBA)+1DDの高、高中、中低音域の3Way方式です。
また、CA16ではZSXやC12の中音域に厚みを持たせていた1BA+4BA+1DDの3way方式を踏襲し高音域用のBAを追加した、高、中、低音域を3BA+4BA+DDの3way方式とスペック上、バランスの良いドライバ構成となります。
どれを見てもスペック上、わくわくする構成ですね。
とはいえ、一般的に多ドラハイブリッドや複数BAモデルで採用する3way方式では各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングが重要となります。このチューニングポイント、経験則を活かしたチューニング次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくると云えます。
※宜しければ過去記事もご参考ください
CCA CA16 Proの納期は今回AliExpressで購入したため、流石の国内amazonのようにはいきません。まだAliExpress同様に中国本土からの発送は中国からの航空便減便による輸送への影響が大きく、それなりに時間が掛かる覚悟は必要です。幸い11.11セール前にオーダーしており、その混乱には遭わずに済んだようです。
そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くの少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。
2. CCA CA16 Pro実機レビュー
それでは、実機レビューを以下、まとめていきます。
パッケージングは黒を基調としたKZ系の豪華版ですが、中価格帯U10Kとしてみれば現在ではやや物足りない化粧箱です。
今回も箱潰れというか明らかに重量物に圧迫されて箱が破れているのはAliExpress購入の証です(中身が無事なら細かいことを気にしてはいけません)。
上蓋を開けると黒地の内装の台座にイヤホンが収納され、台座の下側にはモデル名のプレートが。内装を取り外すと箱の底にはイヤーピース等の付属品が収納されています。
付属品は最近のCCAやKZ系に付属する軸短白ノーマル傘シリコンイヤーピース、S、M、L、3種各1セットと軸短白かまぼこ傘シリコンイヤーピースが付属します。その内、軸短白かまぼこ傘シリコンイヤピMサイズがイヤホン本体取付け済みで、他にはケーブルです。U10Kの中価格帯としては少々寂しい付属品ですが、イヤホンにコスト全振りは個人的に嫌いではありません。
ビルドクオリティですが、中華イヤホンで心配されるような各所の仕上りに問題はありませんでした。綺麗に仕上げられていると思います。
カラーバリエーションはクリア色と黒色の2種で、今回はクリア色にしました。
付属ケーブルは従来のCCAで付属するタイプではない白色(シルバー?)の4芯銀メッキ銅線の2本並列タイプが採用されています。プレイヤー側コネクタはL字タイプでロゴ入り。イヤホン側はKZ-Cタイプ(2ピン)、もちろんKZ極性(上がプラス)です。最近の中華イヤホンはKZ-Cタイプが多く採用されていますのでリケーブルの際には注意が必要です。私は気にせず2ピン仕様を使っています。
この付属ケーブルはシュア掛け用にチューブで癖付けがあり耳への装着性、使用感はそれほど悪くはありませんし、全体的にやや絡まり易いもののしなやかなものとなります。また、U10Kの中価格帯に付属するケーブルとしては前作CA16の付属品よりも品質は向上しており必要十分。そのまま使用することもできますし綺麗な色合いのケーブルはイヤホン本体にマッチしていると思います。
参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。
※画像左からCCA CA16、CCA CA16 Pro、KZ ZAS
CCA CA16 ProはZASやCA16と同じやや大柄なシェルです。片側に8ドライバが搭載されていることを考えると妥当な気がします。
前項で触れた通りCA16 Proのシェルはステムノズルとフェイスプレートが金属でシェル本体が樹脂製なのはZASと同様。CA16はステムノズルのみ金属製です。
三機種共にフェイスプレートはラウンドタイプ。重量はほぼ同じで耳への装着時には殆ど重さが気になりません。
次にステムノズルは三機種共に細め。長さと角度は三機種共にもちろん同じ。CA16 Proはステムノズルの太さに影響するイヤーピースの圧迫感は感じませんので、イヤーピース選択をしっかりできれば問題なく使えそうです。尤も耳の小さな女性や子供を除き、殆どの方で不満を感じることはないのではと思います。
また、これらにはステムノズル先端端面にメッシュフィルターが装備されていて、音質への影響は三機種共に同じ程度といえます。
そして、シェル本体の形状や付属ケーブルからは三機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。
※左ノーマル傘タイプ、右かまぼこ傘タイプ
付属イヤーピースはKZ系のTWSに付属する軸短の白色タイプ、ノーマル形状(右)とかまぼこ形状(左)の二種です。個人的にこの付属のイヤピは傘にコシが無く、フニャフニャ、パサパサしていて装着感がイマイチに感じます。
音質的にはやや高音中音がクリアに聴こえるタイプに感じますが、あくまでも耳への装着感がどうかというフィッティングを重視し他社製も含めて選択した方が良いと思います。
残念ながらこの付属イヤーピースでも私は上手く合わせられず、形状からは耳の奥に栓をするように装着も、大き目で浅めに装着もフィットしませんでした。
低価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じますが、今回は特にこの付属タイプは合った試しがなく、手持ちのKBEAR 07 M-を使用しています。
このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)
余談ですが、Sedna EarFit(shortではない)は軸が長めで傘がやや硬めなこともあり、最近一周回ってなかなかフィットしない場合に重用しています。
3. CCA CA16 Pro音質レビュー
それではいよいよ音質についてまとめていきます。
いつも通り、Sony NW-ZX507を基準としてレビューを行います。
ZX507については他の方のサイトでも詳しく解説していますので、簡単に。SONYのミドルクラスのサブスク対応android機です。エントリーモデルのNW-A100シリーズとの違いは4.4バランス接続にも対応しています。DACには独自開発のS-Master、フルデジタルアンプが採用されています。
音質傾向としては、高音域と低音域をしっかりと鳴らすやや派手な音ながらも、ボーカルを邪魔せずにそれを引き立てています。所謂ドンシャリ傾向と云えますが、過剰なほどではなくて若干の演出という感じ。そして中音はボーカルに対し相対的に控えめに感じられますが、その分ボーカルはクリアです。特徴としては低音に厚みがありますので音楽を雰囲気良く聴くことができるSONYの音といえます。
個人的には音楽を楽しく聴くという本来の目的を達成するために必要十分なDAPと考えており、今年6月からは音楽配信サブスクリプションサービス、Apple Musicがロスレス対応しましたが、android搭載DAPとして勿論対応(※1※2)しています。そして、何よりもBluetooth接続は安定していてLDAC対応していますので、同社の左右独立型完全ワイヤレスイヤホン、WF-1000XM4との相性も良く、標準アプリで再生する場合にワイヤレスでもハイレゾ級(24bit/96kHz、最大990kbps)で音楽を楽しめますが、強いて云えば電池持ちが悪い位しか不満はないです。
※1:2021/07/19現在 android版Ver3.6.0ベータ版(1115)で動作確認
※2:2021/07/22現在 android版Ver3.6.0正式版(1118)が配信開始
低価格帯のイヤホンの場合でDAPの違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。
それではZX507に直挿し4.4バランス接続で実際に聴いてみます。
ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。
先述の通りイヤピはKBEAR 07 M-サイズ、付属ケーブルです。
箱出しで聴いてみた第一印象は「華やかな中高音にしっかりとした低音の中高音寄りのドンシャリバランス。」でした。
箱だしではやや低音に緩さを感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音が締まり落ち着きました。
音場はやや広め。曲によって広く感じます。
高音は煌びやかさ華やかさがあり響きの良さありますが、刺さるような尖りを感じることはありません。
低音の量感は十分で強さもあり、キレや締まりもあって、ベースラインは追いやすい。
重低音は沈み込みの深さを感じ十分な強さがある。
中音は華やかで彩の多さを感じますが、ボーカルの周り僅かに後ろに位置し邪魔することはありません。
そのボーカルはクリアで自然から僅かにドライ寄りで、位置は僅かに近く感じます。
一言で云えば中高音寄りのややドンシャリのバランス。
高音域の主張は適度で常に前に出るような感じではなく、必要な時に必要なだけ弁えながらもしっかりと鳴る。低音域が比較的しっかりと鳴りますが、高音中音域の華やかさを邪魔する印象はありませんし、中音域よりも前に出るような主張もありません。必要な時に存在感を示す、CCAの高音という印象です。
もっと云えば、高音は常にシャリつくような五月蠅さはなく欲しい時にしっかりと存在感を示し、伸びと響きのある音を感じられます。
中音は高音よりも華やかさを感じ、ボーカルが埋もれることなくその周り僅かに後ろで引き立たせてくれます。音数が多い曲でもボーカルは演奏と重なりを感じ難く分離感は良好でクリアに聴こえます。
そのボーカルは僅かに近く感じクリアに聴かせてくれますが、若干ドライ気味のために特に女性ボーカルのバラードでは相性を感じることがあるかもしれません。
低音は十分な量感があり強さがありますが、音の強弱、表現力の良さを感じます。KZ系の低音には強さというか芯が感じられるものが多く、このあたりは従来のKZ系の音となりますが、ただ量が多く強いだけの音ではありません。
CA16 Proは高音は常に前に出るような主張は無いものの曲に十分なアクセントを加えており心地良さを感じます。それでも中音域の華やかさ印象が強く、しっかりと鳴る低音域も併せて全体的に明るく鮮やかな印象を与えてくれます。特に高音は所謂喧しさがなく、シャリシャリする様な音数や量感でお茶を濁してはいませんので、一聴するとつまらない音に感じピラミッド型の印象となってしまいそうですが、音数や量感で誤魔化そうとしない誇張のない自然な音かもしれません。中高音域の華やかさのある音色は決して騒がしくなく聴きやすく上手くまとめていると思います。
前作CA16では中低音が豊かな雰囲気の良さがありましたので万人向けとは言えず、人を選ぶというか好みの差が大きく出るイヤホンでした。CA16 Proではこれを改善しており、バランスが良くなりました。特に中高音の鮮やかさは、過度なアクセントに感じることも無く、全体のバランスが整った音色が心地良さを感じます。低音もしっかりと鳴る強さとキレを兼ね備えながらも、全体を覆うような鳴り方ではなく、芯のある音は高音や中音域をマスクすることもありません。中音域は特に華やかさがありますがごちゃつきを抑え、分離も良好。高音、中音、低音域はバランスは良く鳴り従来のCCAの悪く云えば地味な音ではなく寧ろ明るく明瞭に鳴ります。それでも従来のKZの代名詞のドンシャリとまではいかない音色は心地よく聴きやすくまとめたバランスだと思います。
※以前のTrn VX Proのレビューもご参考ください
比較対象のKZ ZASと一聴しただけでは殆ど差を感じなかったのが正直な感想です。強いて云えば異なるのは中音域で特にCA16 Proの方が華やかさを感じる音は一方でごちゃつきを感じる事があります。ZASの方がそれは抑えられていて整理された音の印象です。高音域も同様でCA16 Proの中高音域の方が強く聴こえるので高音域も僅かに前に出ている印象です。低音域はほぼ同じ。ZASの方が音場が広くCA16 Proよりも見通し良く広がりとシャープさのある整った音に感じます。ZASもCA16 Proも同様の音質傾向で全域でまとまった音ですが、寧ろCA16 Proの方が従来のKZの音という感想です。
次にCCA CA16と比較した場合、真逆の音と云えます。中低音寄りのその音は必要以上に高音に存在感を与えず、必要な時に必要な量を奏でます。都合の良い音扱いです。しかし、それがCA16の真骨頂でもあり、特に同じ傾向のブラッシュアップ版、CCA CKXではその高音に響きの良さ、余韻を与えられています。つまりCA16よりもCKXは同じ中低音寄りながらも高音の伸びやかさと中音域の分離感を感じられるモデルと云えます。くり返しになりますが、CA16は豊かな中低音が雰囲気の良さを醸し出す音であり、これはこれで良い音ではあるのですが、中高音の華やかで彩のある音色のCA16 Proとは全く違うと云えます。
もちろんそれぞれの良さはあるのであくまでも音の傾向として捉えてください。それが絶対評価ではなく、相対評価という評価軸の確定できない音質レビューの難しさとなります。
そのため今回の比較対象の中ではCA16 ProとZASが中高音寄りの華やかな音。CA16がそれとは異なる中低音寄りの雰囲気の良い音というそれぞれの良さがあり、中高音の華やかな音が好きならCCA CA16 Pro。中高音の見通しの良い整った音を聴きたいならKZ ZAS。中低音を雰囲気良く聴きたいならCCA CA16となります。個人的にはKZ ZASが僅かにリードかなと。中低音寄りのボーカル重視ならばCA16でしょうし、中高音成分多めを聴きたいならばこのCA16 Proとなります。
まとめとして、CCA CA16 Proは従来のCCAのイメージからは少し異なるKZの音に近い華やかさのある音。その傾向はやや中高音を鮮やかに彩りのある弱ドンシャリは従来のCCAの大人しい音を覆す新たな魅力を引き出しているように感じます。個人的にはCA16 ProとZASの音はメーカーが逆で出して欲しかった。そうすればユーザーにも分かりやすい傾向の中で選択し易くもっと楽しめたと思います。
蛇足ですが、以前のレビューでも触れている通り中華イヤホンの単純にドライバ数を増やす足し算では未だ限界があります。残念ながらそれをBAオンリーの低~中価格帯複数ドライバ搭載モデルが証明しています。それでも次々と投入される中華の新モデルが我々を楽しませてくれており、今後も期待していきたいですね。
高音 CA16 Pro ≧ ZAS ≧ CA16 (単純な強さの順)
中音 ZAS ≧ CA16 Pro ≧ CA16 (整った音の順)
低音 CA16 ≧ ZAS = CA16 Pro (単純な強さの順)
ボーカル CA16 ≧ ZAS = CA16 Pro
音場 ZAS ≧ CA16 Pro ≧ CA16
4. CCA CA16 Proの総評
CCA CA16 ProはこれまでのCCAの音のイメージから少し異なる華やかで鮮やかな音を鳴らし新境地を開き魅せてくれました。中高音寄りのCA16 Proは前作CA16とは真逆の傾向となり新しいCCAが垣間見れたそんな気がします。一方でこの価格帯の中華イヤホンの覇権争いはTrn VX Proが一歩リードしており、KZ系メーカーの逆襲に期待する。今後も楽しみが尽きません。
最後に、今回は国内amazonとAliExpressで発売された低価格帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2021年11月22日)はAliExpressやamazonで発売されており、AliExpressで7,000円台。一方amazonでは本国発送の9,000円を僅かに超える価格。今後(2021年11月25日~)のBFセール後の輸送の混乱を考慮してもAliExpressでの購入がお勧めです。一方AliExpressでは安価に入手できますが、その入手性には現在から年末まで特に難がある時期です。とはいえこれまでの中価格帯U10K中華イヤホンの中でも安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっておりますので、中価格帯U10Kの中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱い品を。新製品を少しでも早く入手したい又は、少しでも安く手に入れたい方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。
CA16 Pro
以下、付属ケーブル、イヤピKBEAR 07 M-使用、DAP ZX507アンバランス接続
高音★★★★☆
中音★★★★☆
低音★★★★☆
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★ (華やかな音が好きな方)
※☆0.5、★1.0
ZAS
以下、付属ケーブル、イヤピKBEAR 07 M-使用、DAP ZX507アンバランス接続
高音★★★★☆
中音★★★★☆
低音★★★★☆
音場★★★★☆
分離★★★★☆
お勧め度★★★★★ (見通し良い音が好きな方)
※☆0.5、★1.0
CA16
以下、ケーブルHi8、イヤピAET07 M-使用、DAP ZX507バランス接続
高音★★★★☆
中音★★★★☆
低音★★★★★
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★ (雰囲気の良い音が好きな方)
※☆0.5、★1.0
あとがき
あとがきとして、今回はいつもの低価格中華イヤホン、1BA+1DDハイブリッドモデルではなく、多ドラハイブリッドモデルの新商品のレビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後も低価格?を中心に、複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンや中華据え置き機器をご紹介していきたいと考えています。
また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ