みぃねこの備忘録

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MEMT R1レビュー

こんにちは。

今回もいつもの1BA+1DD中華イヤホンレビュー編をお休みし低価格帯で発売されているMEMT R1についてレビューをまとめたいと思います。

国内amazonのHiFiHear Audio(@Qianqian_HRcase)から購入しましたが、現在は取り扱いが無いようです(2020/11/3現在)。

以下商品ページにレビューが残っています。

 

 

AliExpressでも取扱いのあるセラーがありますが、取扱いの数は少ない様子。

 

ja.aliexpress.com

 

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1. MEMT R1について 

MEMT R1ですが、そのブランドを調べてみたところあまり情報がなく詳細が分からないマイナーブランドのようです。MEMTで検索すればインナーイヤー型のイヤホンがヒットし、スマホの付属イヤホン代替え需要を狙う商品ばかり。それでもそのインナーイヤー型は結構評判が良いようで、そちらもちょっと気になります。

そして今回のR1は結局良く分からないままでしたので、同社のオリジナルというよりは何処かのOEM製品なのかもしれませんね。

さて、MEMT R1はシングルダイナミックドライバと思いきや、直列に2つのドライバを搭載するデュアルダイナミックドライバを搭載するイヤホンです。中華イヤホンの低価格帯と云えば、1BA+1DDハイブリッドモデルがポピュラーでありKZ ZSN Pro X等が音質含めその代表モデルと云っても過言ではないと思います。それもその筈、各社挙って1BA+1DDハイブリッドモデルを投入しており、本当の激戦区。いや、新陳代謝の激しい市場と云えます。

そんな中にそれとは異なる2DD構成のはやはり気になる存在であり、もっと云えばその綺麗な樹脂シェルは左右の色を変えており、カスタムIEMの様なシェルの造形も魅力的。

はい、今回は完全にパケ買いです。

当初1DDだと思っていましたから。ところが冒頭のMEMTを調べているうちに、2DDなのこれ!?と。

まあ、いつも通りの適当さが偶然見つけた原石に喜ぶ滑稽さは、俯瞰してみればなんと愚かなさまでしょうね。

 

というわけでいつもの中華低価格1BA+1DDハイブリッドモデルとは異なる2DD、デュアルダイナミックドライバモデルを手に入れましたので、これまでにレビューしたKZ EDX(1DDモデル)や Trn IM2(シェルの造形が似ている)との違いを交えながら、MEMT R1のレビューを纏めていきたいと思います。

 

R1のスペックですが先述の通り中華イヤホンの低価格帯で多く採用されている高音域用のバランスドアーマチュアドライバ(BA)を1基と中・低音域用のダイナミックドライバ(DD)を1基搭載した片側デュアルドライバ構成のハイブリッドモデルとは異なり、片側デュアルダイナミックドライバモデルです。

2つのダイナミックドライバの詳細も不明ですが、出音は素直な音がして結構良い音を奏でてくれたのには驚きました。

※この時点で奇をてらった製品ではないと考えを改め本気モードへ。

 

イヤホン本体はKZ EDX同様のオール樹脂製。Trn IM2はステムノズルが金属製となります。R1はオール樹脂製といってもEDXのような大量生産を意識したシェルとは異なる製法となりますので、それなりにコストは掛かっていますね。

 

次に音質への影響ですが、以前ステムノズルの素材が金属製と樹脂製との違いによって音質傾向への影響をこれまでレビューした経験から、それが高音域に現れると感じています。多くの低価格1BA+1DDハイブリッドイヤホンでは高音域を担当するBAドライバをステムノズルの中に配置し、音道管を使用せずに開放型としている為、高音域の伸びや響きに影響があると経験則で捉えています。

R1では樹脂シェルのステムノズル直下に直列デュアルダイナミックドライバを配置していますが、これがかなり考えられていてドライバのステム側に凸のカバーが取り付けられていてその凸の先端が出口となりステムノズル開口部に徐々に広がりを持たせたトンネルのような構造にしています。つまりR1ではこれが音道管の役割をしていることになり、音道管をそもそも使用していない低価格帯のハイブリッドモデルのスタンダードな仕様とは異なります(Trn IM2は音道管を採用)。

これがR1の音づくりにどのような影響をもたらしているのか気になりますね。

 

MEMT R1の納期としては国内amazonからの発送という事もあり、当日発送、翌日配達と流石の国内amazonです。(いろいろ問題もありますが)日本の物流の雄に変わりはありませんね。AliExpressの物流もまだまだ感染症の影響で中国からの輸送は平時の様にはいきません。最近はシンガポールではなく台湾経由となっていたり。それでも平時程ではありませんが回復してきているのを実感します。尤も平時であればAliExpressでも早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. MEMT R1実機レビュー 

それでは、早速MEMT R1の実機レビューを以下、まとめていきます。


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パッケージングはKZやTrn社のシンプルな箱とは異なるカラフルで鮮やかなデザインのスリーブタイプ化粧箱です。
箱の表にはイヤホンイラストがプリントされ、裏にはスペックが記載されています。


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スリーブを外すと黒地の内装の台座にイヤホンが収納されています。またイヤホンが収納された台座を取り出すとケーブルが。付属品は箱の下側に収められ、イヤーピースや収納ポーチが入っています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースがS、M、Lの3種各1セット。そのシリコンイヤピMサイズが本体取付け済み、他にはケーブル、収納ポーチです。U5Kの低価格帯としては必要十分の付属品となります。


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次にビルドクオリティですが、数年前までと比べると安定してきていると思います。非常に綺麗なシェルです。イヤホン右が赤色、左が青色となり左右も見わけもし易いです。カラーバリエーションはなし。


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付属ケーブルは黒色の編込みタイプでTrn社の付属ケーブルっぽいといえば伝わりやすいですかね。付属するケーブルはマイク付きですのでプレイヤー側コネクタはL字タイプの4極仕様です。イヤホン側はKZタイプC、2ピン仕様、KZ極性(上がプラス)です。この付属ケーブルは耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的に絡まりにくくしなやかなものとなり低価格帯に付属するケーブルの中でも質感が高くそのまま使用できますし黒色ケーブルは落ち着いた色あいは普段使いでも気にならないですね。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けは結構癖があり、どうしても耳に上手く掛けられない場合に、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

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※画像左からIM2、R1、EDX

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R1とEDX及び、IM2の外観の比較として、R1とIM2のサイズ感はほぼ同じ。シェルの造形もほぼ同様です。尤も、IM2はステムノズルが金属。イヤホン側コネクタもKZ-Cタイプではないものですが、ベースのシェルの造形は同じものと考えられます。他メーカーでもこれだけ造形が一致するのはやはりOEMなのか、汎用シェルなのかなと。

IM2のステムノズルが金属という事以外、R1とEDXはオール樹脂製シェルとなりますが、EDXのオール樹脂製が一番軽量です。R1やIM2を含めそれでも耳への装着時には殆ど気にならないレベルの差でしかなく、3機種共に耳への装着感は悪くありません。ステムノズルの太さはIM2が意外にもやや細め。これは低価格ハイブリモデルの中でも音道管を採用していることから細くすることができていると云えます。角度はEDXが一番寝ていますが、耳への装着時には3機種共に装着感は比較的良好です。

また、ステムノズルも三機種全て先端にメッシュフィルターがあり異物の内部侵入を防ぐことができます。

そして、シェル本体の形状は3機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、R1のステムノズルが比較的太めです。太いステムノズルは装着感に影響がありますが、付属のイヤーピースは思ったよりも低音が抜け気味。仕方ないのでfinal Eタイプ TWS用Mサイズを浅めに蓋をするように装着する形でしっくりきました。低価格帯では付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じる事が多いのでお気に入りイヤピを用意されると良いと思います。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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そして付属ケーブルはマイク付きという事もあり、以前購入した中華イヤホンのおまけで頂いた銀メッキ銅線へリケーブルしました。恐らくKZのアップグレードケーブルかと。

流石にマイク付きケーブルの4極プラグをDAPに接続したくありませんので。

例えばFiiO X3IIIはマイク付きケーブル対応ですが、…ねぇ。

 
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イヤホン赤青とケーブルの白(銀?)色がそれぞれ綺麗ですね。

 

 

3. MEMT R1音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今回の再生環境はSHANLING Q1、直挿しアンバランス接続です。

これまで低価格帯はShanling M0やFiiO X3markIII(以下X3III)を基準としてレビューを行ってきましたが、前回同様にQ1にて行います。これまでにShanling M0とFiiO M5の比較や、M0とiPhone6sの比較を行っており、X3IIIへ移行も考えましたが、初心に帰りSHANLING Q1で比較しますので、ご容赦ください。

M0とQ1はDACやアンプ等の主要のスペックには変わりがありませんが、聴き比べるとQ1はM0よりも低音が豊かに感じます。どちらもバッテリー駆動なのでM0よりもQ1の方が容量が増え電源供給に余裕があるからなのかもしれませんね。

低価格帯のイヤホンの場合でそれらの違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。

 
miineco106.hatenadiary.jp

 

※FiiO M5とShanling M0の比較もよろしければご参考ください。 

miineco106.hatenadiary.jp

 

それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピはfinal Eタイプ TWS用Mサイズ、銀メッキ銅線にリケーブルしています。

箱出しで聴いてみた第一印象は「自然な出音でバランスの良いややドンシャリ。ボーカルは聴きやすく、クリアで聴きやすい音。」でした。

箱だしではやや低音に膨らみを感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音が締まり落ち着きました。

音場は広くも狭くもない普通。

高音は煌びやかさがありますが華やかさは適度。刺さりは感じません。

低音は適度な量感がありながら締りとキレは十分。ベースラインも追いやすい。

重低音は沈み込みは深さを感じ十分な強さがあります。

中音は華やかさがあり小さい音も聴き取れます。ボーカルはクリアで自然な位置から聴かせてくれ、曲によってやや近く感じ聴きやすい。

一言で云えば中低音寄りのドンシャリ

もっと云えば、高音は低音域に埋もれない煌びやかさは存在感がありしつこくない華やかさは尖りを上手く抑えられていて、刺激的で聴きにくさを感じることはありません。

中音は演奏の音は重なりをやや感じますが、小さな音を埋もれずに聴く事ができます。ボーカルはクリアで聴きやすく高音低音に埋もれずに暖かく生々しさがあります。

中低音域を中心に高音がそれを引き立てる音は決して地味ではなく、寧ろ適度な華やかさが心地良く音楽を楽しめる印象です。惜しいのは音数が多いハードな曲で音の重なりを感じてしまいう場合があります。

ボーカルは暖かみを感じ伸びやかで生々しさを感じられ、バラード等の相性は良いものの、ハードな曲ではやや粗く感じられる事も。ポップスなどのアップテンポの曲では楽しく聴けますし、基本的にしっとりとした曲の雰囲気を楽しみたい場合に相性が良さそうです。

低音は適度な量感のため主張を強く感じませんが、それでも控えめという事もなくしっかりと感じられます。不足のない十分な量は締りとキレもあり適度な強さがある低音です。重低音は深く深く沈み込み響く低音ではありませんが十分。この適度な低音がクリアな高音中音を支え、中低音寄りのバランスの良い音を聴かせてくれている印象です。

 
これは以前レビューしたEDXのドンシャリと同じ傾向でありますが、もっとEDXは寒色寄りですので異なる音。ZSNをもっとマイルドにした音と云えば伝わりやすいでしょうか。高音は主張しすぎず適度に煌びやかに。低音は量感に頼らずしっかりと中高音を支えたドンシャリ。中音域をクリアに聴かせる、中音を重視した聴きやすい音であり、低価格帯のポピュラーなドンシャリとは違う音と言う印象です。

勿論IM2とは全然違う音。IM2はR1やEDXと比べれば、ザ・ドンシャリですから。

 

まとめるとR1は中・高音域は煌びやかさがあり適度な華やかさは出しゃばらず、低音域は主張しすぎず締まりとキレのある音で中高音を下支えする。中音域は華やかさの中にボーカルが暖かい聴きやすさを感じられるバランスは1BA+1DDハイブリッドとは異なる音で、低価格1BA+1DDハイブリッドの音が苦手な方に一度聴いてほしい音と云えそうです。

尤もこの中低音寄りのリスニング用途としてのバランスの良さは中華イヤホンには高音域のシャリつく刺激的な強さや低音のドンの量が多い強ドンシャリを求める演奏メインで聴きたい方には、もの足りないと感じ評価が分かれてしまいそうです。

 

高音   IM2 ≧ R1 ≧ EDX

中音   R1 ≧ EDX ≧ IM2

低音   R1 ≧ IM2 ≧ EDX (量感はIM2が一番) 

ボーカル R1 ≧ IM2 ≧ EDX

 

上記は比較対象がフェアではありませんので参考程度に。 

 

 

4. MEMT R1の総評 

MEMT R1はトニカク綺麗なシェルが目を引きますが、音もバランスも良い本当の優等生タイプです。中華イヤホンといえば高音シャンシャン、低音ドンドンの強ドンシャリを想像される方が多いと思いますが、このMEMT R1はあくまでも音源に対して自然な音を聴かせてくれます。
BAの刺さりとのトレードオフによる高音域の伸びはありませんし、中音をマスクするような重低音もありません。ハッキリ言って地味です。
それでもこのMEMT R1の音質は多くの音楽ファンを満足させられるのではないでしょうか。

 

最後に、今回は現在(2020年11月3日)AliExpressでは販売されており、AliExpressでは2,000円台の価格で。一方amazonでは取扱いが無くなっており、復活するのかわかりません。AliExpressでは安価に入手できますが、その入手性には特に現在難があります。とはいえこれまでの低価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっていますので低価格中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、少しでも安い方が良い方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

R1

以下、銀メッキ銅線ケーブル、付属イヤピ M使用、DAP Q1
高音★★★☆ 
中音★★★★  
低音★★★★ 
音場★★★
分離★★★
お勧め度★★★★☆ 

※☆0.51.0

 

あとがきとして、今回はいつもの中華低価格1BA+1DDハイブリッドイヤホンではなく2DDの商品レビューをしてみました。日々進化を魅せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみにしています。今後も低価格?を中心に複数BA機や多ドラハイブリッド中華イヤホン等にも挑戦してきたいと考えています。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ