こんにちは。
今回はいつもの1BA+1DD中華イヤホンレビュー編を一休みし先日発売されたNEX N3についてレビューをまとめたいと思います。
今回は国内amazonのマーケットプレイス扱いにて中華イヤホン販売を展開しているNex Audio(@NexAudio)様から提供いただいております。
NEX N3はグラフェン振動膜を採用したダイナミックドライバを3基搭載する3DDのドライバ構成で同社のセラーオリジナルモデルとなります。
これまでの低価格帯複数ドライバ搭載機は1BA+1DDや2DDを初め2BA+1DDや1BA+2DDというモデルはありましたがダイナミックドライバを3基搭載するモデルは希少で他にKinboofi KBF F60やbboooll BOT1があり発売当初こそ物珍しさから話題に挙がったものの殆ど見かけることのないマニア向けという趣が強いモデルでした。
何れも昨年夏ごろに発売されており久しぶりにマニア向けと云える3DDモデルの新作登場を期待を胸にこの記事を書いております。
さて間違いなくレアモデルと云えるNEX N3は3DDモデルとして注目度も高く他のKBF F60やBOT1との違いも気になるところですよね。
N3とそれらを比べたときに先ず目につくのがシェルの形状がF60と似ているということです。F60はそのフェイスプレートのデザインからネット上ではでんでん太鼓というニックネームを早々に冠しセラー自らもそれに呼応しでんでん太鼓と呼ぶなど特に男性受けし話題になりました。一方BOT1はシェルの形状がハートの形であることから女子受けするデザインとして贈答用に重宝された方もいらっしゃったのではないでしょうか。
それらのモデルはデザインの話題が先行する形となりましたが音質面でも実はその実力は高くF60の低音域の響きの心地よさやBOT1の3DDを感じさせないクリアで自然な音質はなかなかどうしてマニアを唸らせており特異性という面で高評価を得ていました。
今回NEX N3がF60に似たシェルのデザインでありながらフェイスプレートのデザインをがらりと変えてシックなデザインで発売されそのでんでん太鼓という男性寄りを捨て去り女性にも十分に満足できるユニセックスなデザインとなったことで改めて万人受けするモデルとして期待が持てますね。
N3はF60同様にmmcxコネクタが採用されていてリケーブル可能となっています。万が一の断線の際などはケーブル交換により修理が可能というのは長く使う1本としてコスパが良いですが、BOT1はリケーブル不可のためそういう面では少々不利と言わざるを得ませんね。
そして大事なのは音質ですがN3は特にF60と非常に酷似したシェル本体であり明らかに違うであろうBOT1とそれぞれどの様な個性を聴かせてくれるのか今回は昨年発売された3DDモデルの先述の2機種と比較をしながらまとめていきたいと思います。
NEX N3の納期は今回は国内amazon倉庫からの発送のため数日で届きました。やはりこういうところはamazonの強さですね。
そんな訳で、一般的にAliExpressでの購入では国内で購入するより安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。
NEX N3のスペックは3,000円以下の低価格中華イヤホンでは珍しいダイナミックドライバ3基を搭載する複数ドライバモデルです。一般的に1BA+1DDの低価格ハイブリッドモデルではドライバ構成からBAが中高音域を、DDが中低音域を主に担当していて3ドライバ以上の構成よりも中音域が薄くなりどの音域を重視するかによって音質が大きく変わる傾向がありました。しかし異なるドライバを複数搭載するこれまでレビューした低価格中華1BA+1DDイヤホンとは違い同じダイナミックドライバを3基並列とすることで小型のダイナミックドライバでは不利になる低音域を補うことができますし高音域と低音域が重なる中音域のクロスオーバーもそれぞれのダイナミックドライバが全音域を鳴らすわけですので有利と云えます。それ故重要なのは並列の小型ダイナミックドライバがそれぞれの各音域のどこを重視するのかというチューニングが肝となりそうです。このチューニング次第でNEX N3が「当り」か「外れ」という評価に繋がってくるといえます。
それでは、早速NEX N3のレビューを以下、まとめていきます。
パッケージングは低価格帯のそれとは異なり装飾品の化粧箱のような青箱を基調としたケースタイプです。
ケースを開けると内装は黒地でシックにな印象がありそれこそ生地も装飾品を彷彿させる肌触りでイヤホンとイヤーピース等が小袋に収納されています。
付属品はイヤーピースがシリコンの材質違いの2種類の内、S、M、Lの3種セットと同Mサイズが本体取付け済みと材質違いで開口部の小さめMサイズが1セットで、他にはケーブルです。流石に低価格帯ののそれと同様の付属品となり決して豪華ではありませんが、個人的にはこの潔さは好感が持てますね。
とはいえこれまでの低価格帯とは一線を画す化粧箱となりセラーオリジナルモデルとしての力の入れようが窺えますね。
ビルドクオリティですが、このNEX N3は他の低価格帯中華イヤホンで心配されるような各所の仕上りに雑なところを感じません。最近では低価格帯の製品も安心して購入できるようになったのではと感じています。カラーバリエーションは黒のみですね。
付属ケーブルは黒色のツイストタイプです。イヤホン側コネクタもシュア掛け前提のコネクタが採用されていますし耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けがありますがワイヤーはありませんので、ワイヤーが苦手な方には朗報ですね。そして全体的に絡まりにくくしなやかなものとなります。これはそのまま使用できますし落ち着いた色合いも普段使いするには目立たず嬉しいですよね。
唯一の難点はイヤホン本体とコネクタの勘合が少し緩く、くるくる回ってしまうところですが私の個体だけかもしれませんし、音が途切れることはありませんので問題ないですね。
シェル本体はF60同様に樹脂製です。ステムノズルには金属製のメッシュフィルターがあります。
F60もそうでしたがシェル本体の形状からは想像できない程の無難な装着感で使い勝手は良さそうです。
次に先述の3DDイヤホンとN3を比較すると全体的にBOT1よりやや小さく若干本体の厚みがありますがデザインのせいなのかコンパクトに見えます。重量はほぼ同じですが僅かにBOT1が一番重くなりますが誤差範囲ですね。ただしBOT1はステムノズルの角度がきつくこれにより耳への装着は結構個人差を感じるかもしれません。N3とF60は本当にそっくりなこともありみぃねこは付属の開口部大きめイヤピMサイズで割としっかり蓋をする形で装着感も良好です。この辺りは個人差があるかもしれませんね。
このように低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)
それではいよいよ音質についてまとめていきます。
今回の再生環境はShanling M0、直挿しです。
これまでの低価格中華イヤホンではiPhone6s、直挿しでレビューをしてきましたが今回からはShanling M0を基準としてレビューを行うことにしました。もちろんiPhone6sでも十分鳴らすことができましたし、音質傾向が高価格DAPを使用した時ほど極端な差が出るわけではありませんので、ご容赦ください。気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。
それでは実際に聴いてみます。
ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳をとじて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。
先述の通りイヤピは付属品 開口部大きめのMサイズ、ケーブルは付属品を使用しています。
箱出しで聴いてみた第一印象は「高音低音が主張する典型的なドンシャリ」でした。(もちろんスマホ付属品とは大違いです。)
箱出し直後は低音が膨らみすぎて中音に重なりを感じたため今回も先に鳴らし込みを行っています。
音場は普通からやや左右に広く感じ音の分離感は普通もやや音の重なりを感じることがあります。
低音は量感十分で広がりがあり締りとキレも良好でベースラインも追えます。重低音の沈み込みは深く強さと響きもあり低音の質の高さを感じます。
高音は主張があり煌びやかさは十分ですが曲によって少し重なりを感じられる場合がありますが低音に埋もれることはありません。
中音は高音低音より相対的に弱く感じるものの分離は良くボーカルを中心にその周りで存在感を示します。
ボーカルは近くも遠くもない自然な位置から聴こえクールな印象です。
一言で云えば分かりやすい典型的なドンシャリです。
高音や低音は分かりやすく感じノリの良い曲との相性は良く特に低音の表現力はかなり好印象です。
一方で中音域は相対的にやや弱く感じますが分離感は悪くなく高音域や低音域とのつながりは自然で聴きやすさがあります。
ボーカルはそのクールな感じから曲によってややかすれを感じることがあり、バラードのボーカルでは少し物足りなさを感じるかもしれません。
ですが、このN3の特徴は質感の高い低音域の表現力であり低価格帯では注目すべき存在と云えます。
それは締まりとキレを求めれば響きが抑えられる相反するものを3DDという荒業によって実現したといえ大袈裟に言えばイヤホンでヘッドホンのような低音を再現したと云えば伝わりやすいでしょうか。
F60やBOT1との比較で云えば先述の通りBOT1はN3やF60とは異なり3DDを感じさせない聴きやすさが魅力がありドンシャリ感はそれほどでもありません。F60もN3と同様に低音域の響きが心地よい音質でしたが僅かに中音域の粗さを感じます。
結果としてN3が後発としての面目躍如となりそうな印象は拭えませんが、F60の方がやや低音の主張が強めに感じますのでどれが良くて悪いということよりも度の音質傾向が好みに合うかという基準で選ぶ方が良さそうですね。
そして改めてN3とそれらを聴き比べると高音域はF60と同様に主張が有り、中音域は明快さやボーカルはBOT1一歩譲る形。低音域はF60の方がやや響きがあり質の高さを魅せてくれます。
これらの音質傾向を纏めると以下の様な関係が浮かんできます。
高音 N3 ≧ F60 ≧ BOT1
中音 BOT1 > F60 ≧ N3
低音 F60 ≧ N3 ≧ BOT1
ボーカル BOT1 > N3 ≧ F60
上記の通りN3はF60とほぼ同じ音質傾向でBOT1とは異なりますが、これは各メーカーのどこを狙ったのかという結果とも云えそうですね。
そしてこれらのモデルは強弱あるもののドンシャリ傾向となりますので、明らかな音質の優劣では表わしにくく使う方の嗜好の違いによって選択するのが最適解と云えそうですね。
そのためN3は同じ低価格帯のなかでも高音の派手さや低音の主張を求める方には好評となるのではないでしょうか。一方中音域の派手さやボーカル中心に聴きたい方からは評価が分かれることになりそうです。
さてNEX N3は最近の低価格中華1BA+1DDイヤホンの高中低音域をバランス良く表現するタイプとは異なり分かりやすいドンシャリで特に低音の表現力が独特のイヤホンとまとめました。
手持ちのお蔵入りイヤホンや先月末にオーダーした商品が届きつつある中、相変わらずネタ的なレビューは書きかけで放置という状態ではありますが、いつかこれらの商品も1BA+1DDイヤホン同様にレビューしてみたいと思いますのでそれらも気長にお待ちいただけますと幸いです。
最後に、今回は3,000円以下で買える低価格中華イヤホンの紹介となりました。amazonではもちろんNexAudio専売で、現在(2019年6月6日)2,000円後半と3,000円を切る価格で販売されています。またAliExpressでは取り扱いを確認できていませんがその入手性に少々難があります。とはいえこれまでの低価格中華イヤホンと同様の実売価格となり、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっていますので低価格中華イヤホンの購入を考えていて少しでも気になった方は安心確実なamazonを。少しでも安い方が良い方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。
N3
以下、付属ケーブル、イヤピ付属開口部大きめM使用、DAP M0
高音★★★☆
中音★★☆
低音★★★★
音場★★★
分離★★★
お勧め度★★★☆ (低音の質の高さを求める方★4)
※☆0.5、★1.0
あとがきとして、今回は3DD低価格中華イヤホンの新商品をレビューをしてみました。低価格中華イヤホンもその搭載ドライバのバリエーションが増え日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですね。
今後も気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ