みぃねこの備忘録

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KZ PR1 Balanced Edition レビュー

こんにちは。

今回はいつもの中華イヤホンレビュー編として、中価格A5000-U10000帯で発売された1PD、平面駆動モデルのKZ PR1 Balanced Editionについてレビューをまとめたいと思います。

今回はAliExpressのDUDO Audio Storeから購入しました。

 

ja.aliexpress.com

 

国内amazonでも取扱があります。

 

 

 

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1. KZ PR1 Balanced Editionについて 

今年の中華イヤホンのトレンドの一つは平面駆動ドライバです。平面駆動ドライバ搭載モデルは他メーカーでこれまでにも中価格A10000-U20000帯で発売されていましたが、販売価格は15,000円を超え20,000円前後のモデル展開となっています。そこにTrn Kirinが販売価格17,000円で攻勢をかけており、現在のTrnの勢いを感じていました。ところがKZ系ブランドのCCAが平面駆動ドライバを搭載したCCA PLA13を販売価格10,000円を下回り発売。いつも通り、今回兄弟ブランドのKZからも平面駆動ドライバ搭載のPR1を同価格帯で新発売してきました。あの平面駆動ドライバ搭載モデルを10,000円で試す事ができるインパクトは中華イヤホンファンに衝撃を与え、中華イヤホンの恐ろしさを改めて感じられる今年のハイライトと云えます。

価格のインパクトはさておき、KZ系ブランドの新モデル発売の際に先ずはCCAから発売し、その評判をフィードバックしてKZから後発する流れがありました。このKZ PR1もその流れを踏襲しておりますが、今回は少し趣が違います。それはKZ PR1は異なる二つのバリエーションモデルがあり、それを同時発売したことです。

二つのバリエーションモデルは、それぞれKZ PR1 Balanced EditionとKZ PR1 HiFi Editionと名付けられており、音質チューニングを変えて登場しました。

 

※PR1(メーカーHP抜粋)

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二種のバリエーションモデルを語る上でメーカー発表のf特を引用します。グラフからは中音、高音域はほぼ同じですが、Balanced EditionよりもHiFi Editionの方が低音域が抑えられている様に窺えます。f特で音質の全てが分かる訳ではありませんが、大凡の傾向が分るという理解に留めていただくとして、実は注目は高音域です。1kを超えた辺りから2kと3kの間にピークがあり、やや下降した後に10k手前まで維持し下降。10kはやや抑えられていることが分かります。

 

※KZの4BA+1DD最新モデル(メーカーHP抜粋)

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比較用として多ドラモデルの高音域BAではこの辺りはもっとグラフの振れ幅も広く、そして大きく上下していますが、PR1は非常に安定した高音域を実現しています。

 

※CCAの平面駆動モデル(メーカーHP抜粋)

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※Trnの平面駆動モデル(メーカーHP抜粋)
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次に同じKZ系ブランドのCCA PLA13ではPR1同様に2kと3kの間にピークがあり、そこからやや右下がりのグラフです。傾向は同じと云えますが、異なるのはPR1の様に10kはそれ程抑えられておらず、ピークからのやや右肩下がりの群の中に収まっています。そして低音域はPR1 balanced Editionと同じ。f特が似ていても同じ出音になるとは限りませんが、実際のPLA13の出音も従来の平面駆動モデルとは異なりしっかりとした低音が特徴的で、明るく派手目に鳴る高音域というKZらしい音質傾向です。

折角なので価格帯は一クラス上となりますが、Trnの平面駆動モデルとf特を比べてみるとPR1の高音域に近く、10kはPR1よりも抑えられています。加えて低音域も抑えられていることが分かります。こちらも実際の出音は低音域は抑えられておりタイトな鳴り方。解像感の高い高音域は耳障りの無い高音質モデルです。

結局のところf特は出音の参考にはなりますがそれで全てが分る訳ではなく聴いてみて音質を評価することが一番だと個人的に考えています。そういう意味ではKZ PR1は二種類のバリエーションモデルが発売され、兄弟ブランドのCCA PLA13と3種類の音質を楽しめる事になりますので、今回はBalanced EditionとHiFi Editionの両方を購入して比較してみたい欲求が勝ってしまいました。

そのため、今回は先ずBalanced Editionからレビューしていきますが、実際に届いたPR1 Balanced Editionを一聴した限り、CCA PLA13によく似た音という印象です。鳴らし込み後に聴きこんでどの様な印象を感じられるのか、中華イヤホンファンとしても楽しみです。

 

さて、KZ PR1 Balanced Editionのスペックですが中華イヤホンで最近流行りの平面駆動ドライバを1基搭載した片側シングルドライバ構成モデルです。

このドライバはCCA PLA13同様の直径13.2mmの振動膜にデュアルキャビティを採用しており平面駆動ドライバのレスポンスに加え芯の強さを引き出すことを狙ったものです。

イヤホン本体にはステムノズル一体型の樹脂製シェルカバー上下に金属製のフェイスプレートを被せており低価格帯のステムノズル側シェルカバーと金属製フェイスプレートを接合するものとは異なります。

 

※宜しければ平面駆動ドライバの搭載モデルの過去記事もご参考ください

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KZ PR1 Balanced Editionの納期として今回AliExpressでオーダー、2週間強で届きました。現在(2022/10/29)は国内amazonでも取扱がありますが、本国発送ですのでAliExpressでのオーダーと同程度の納期となります。昨今、HiFiGoやAliExpressで購入した本国発送の場合でも以前の様な感染症の影響で遅延は少なくほぼ回復したと云えます。尤も、万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかるのが、海外通販のリスクです。

そんな訳で一般的に海外通販での購入は国内通販で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが偶に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットがありましたが、最近では円安でその恩恵も受け難く、国内では入手できない商品を早く手に入れる事がメリットと云えます。それらを天秤にかけた場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. KZ PR1 Balanced Edition実機レビュー 

それでは、実機レビューを以下、まとめていきます。


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パッケージングはいつものKZのシンプルな白を基調としたスリーブタイプの化粧箱です。
箱の裏にはイヤホンスペック等が記載されています。

 

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スリーブを外すと内箱の白地のプラ台座にイヤホンが収納されています。


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内箱の下側の蓋を開けると箱の底に付属品が収納されています。

 

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付属品は従来のKZ系に付属するシリコンイヤーピース、溝有黒色タイプS、M、Lの3種が1セット。他にはケーブルです。中価格A5000-U10000帯としては物足りない付属品となります。

次にイヤホン本体です。

 

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PLA13同様にシェルは何かの流用の様ですが、低価格帯のように樹脂と金属を嵌め合わせ接合しただけの構造ではなく、シェルの樹脂上下カバーを嵌め合わせた後に、金属フェイスプレートを被せたもの。その分それらよりもシェルに厚みがあります。ビルドクオリティには問題を感じられず、中華イヤホンで心配されるような雑なところ感じさせません。低価格帯でよくあるシェルの合わせ面等のズレや隙間は無く綺麗に仕上がっています。

カラーバリエーションは黒色のみです。

次にケーブルです。

 

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付属ケーブルは先述の通り最近のKZに付属する4芯銀メッキOFC線、並列フラットケーブルの白(銀)色タイプです。プレイヤー側コネクタはL字タイプ。イヤホン側はKZ-C、2ピン仕様。極性はもちろんKZ極性の上側がプラスです。この付属ケーブルは被膜に多少引っ掛かりがありますが、タッチノイズは殆ど感じません。肝心の耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的に柔らかくしなやかなものとなり取り回しは悪くありません。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、私はこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

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続いて他機種とのサイズ感や造形の比較です。

 

※画像左からCCA PLA13、KZ PR1 Balanced Edition、KZ PR1 HiFi Editoin

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KZ PR1のBalanced EditionとHiFi Editionは基本的に同じ。CCA PLA13とはフェイスプレートのデザイン違いです。PR1の二種とPLA13はKZ ZSN pro X等と比べるとシェルの厚みがあり、ZS10 pro Xと同等程度です。Trn Kirinのオール金属製と異なり、樹脂と金属のハイブリッド素材となり重量は3機種共に同じ。軽量とまでは云いませんが装着時にはその装着感の良さから殆ど気になりません。

ステムノズルの長さや太さも三機種共に同じ。ZS10 pro Xを標準的とした場合に、それよりもやや短く、太さも僅かに細い。角度もやや寝ています。

また、ステムノズル部には三機種全てにフィルターがあり異物混入による故障を防ぐと同時に細目タイプで音質に影響があるタイプの様です。

そして、シェル本体の形状と付属ケーブルからは三機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、装着感はステムノズルの長さや太さに影響がありますので、イヤーピースのフィッティングは重要となります。


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付属イヤーピースは従来のKZに付属するKZ黒色溝有タイプ。個人的に従来のKZ黒色溝有はパサつくというかかさつくので、最近のKZに付属するKZ白色溝有イヤーピースに交換しています。こちらのタイプは傘のコシもありしっとりとしていて遮音性も十分に感じますので低価格帯では十分使えます。

音質的には従来のKZ黒色溝有イヤピは中低音に厚みが増すタイプ。白色タイプの方が中高音がクリアに聴こえるタイプの様で、そういう意味でも白色溝有タイプの方がKZの強い低音には丁度良い印象です。

この付属イヤーピースで私は耳が痛くなり易く、耳から抜け落ち易くなるので前述の通り、最近のKZに付属する白色溝有タイプに交換し、耳の奥に栓をするように装着しフィットしています。

低価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じます。今回は付属のイヤピで上手くフィットした為、そのまま使用しました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれません。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感はもとより音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えない他社製へ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. KZ PR1 Balanced Edition音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今年から再生環境を更新し、スマホとUSB-DACの組合せを基準としてレビューを行っています。スマホにはSony Xperia 5 IIを。USB-DACにはShanling UP5の組み合わせです。Xperia 5 IIは音質にも拘ったandroidスマホの代表として。Shanling UP5は同社のエントリーハイDAPであるM3X相当の音質と云えます。

UP5の音質傾向ですが、高音は演出感が少なく自然に鳴らし綺麗に聴こえます。低音は脚色は無くしっかりと鳴り量感に不足はありません。中音は特に違いを感じ、音場が左右に広がり解像感と分離感は良好です。ボーカルはクリアですが淡々と聴こえ、艶とかリアルさはそれ程感じませんが、エントリーハイDAPと比較してもレベルの高い音質と云えます。

昨年はSony NW-ZX507を使用していましたが、やや演出感のあるドンシャリはメリハリがありグルーブ感のある音はSonyの音で音楽を楽しく聴く事が出来ました。しかし、音質レビューという役割にはM3X相当のUP5の方がモニターライクながらも、決してつまらない音ではなくリスニングでも使えて万能と考えたからです。

Shanling UP5をUSB-DACとして使用した音質が気になる方は以前の「Shanling UP5レビュー【USB-DAC編】」をご覧ください。

 

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より上位のUSB-DACとしてShanling UA5もご参考ください。

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USB-DACのエントリークラスでも十分な音質変化が楽しめます。

Shanling UA2は以下を参考ください。

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それでは実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳を閉じて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピはKZ付属白色溝有 Mサイズ、付属ケーブルです。

箱出しで聴いてみた第一印象は「PLA13に似た音。平面駆動らしい高音と中音域に解像感を感じられる音。一方で平面駆動らしくない低音がしっかりと鳴る音。それでもKZにしては比較的低音を抑え気味。高音中音はすっきりとして見通しが良くクリア。ボーカルは聴きやすい、全体的に整った音」でした。あと、気になったのはPLA13同様に音量がやや取りにくく普段よりもボリュームを上げる必要がありました。

箱だしでは低音の緩さを感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音が締まりタイトになりました。

 

音場

やや広めから広め。前後の奥行を感じられ、特に左右の空間の広さを感じられます。

 

高音域

煌びやかで響きが良く上までよく伸びる印象です。華やかで存在感のある鳴り方は、悪戯に前に出るような主張ではありませんが、比較的しっかりと鳴るものの刺さりや尖りは感じません。繊細に鳴る音は決して線の細い音ではなく細やかな音を届けてくれ解像感の高さを感じる音です。

 

中音域

高音同様に広さを感じられる空間を感じ、その空間に響く繊細な音は華やかさがありますが、複数ドライバ搭載機によくあるような音が中心に集まる団子感や音が重なるゴチャつきを感じず、分離の良い音です。高音同様に解像感の高さを感じられ、小さな音の消え入る様を感じられます。ボーカルはクリアで自然な位置から聴かせてくれ、ほぼニュートラルから僅かにドライ気味なものの息遣いを感じられます。

 

低音域

量感は抑えられ、広がりはそれ程ありませんが、軽い音ではなくしっかりと鳴り、芯のある強さを感じられます。全体的な印象として締りとキレは良好で音の強弱や音階を掴みやすく、ベースラインも追いやすい。重低音の沈み込みはそれほど深さを感じませんが、強さを感じる音。

 

出音のバランス

一言で云えば明るい中高音寄りの弱ドンシャリ。出音は高音と低音の主張がそれほど強くないので全域のバランスはフラット寄りに感じられます。

 

高音は煌びやかで響きも良く華やかに鳴りますが、刺さりをギリギリ攻めたような派手に鳴る様な様ではなく、音の強弱や響きを脚色なく繊細に鳴らしてくれます。超高音までの伸びも良く自然でなめらか。強めの音でも刺さりや尖りはなくあくまでも自然な強さ。小さな音は不自然にかき消されず、耳に届けてくれます。低価格帯の中華BAの高音の様に最初の一音だけを強調した演出感のある鳴り方ではなく、解像感の高さを感じる音。高音を単に強調した解像感の高さを演出するような音ではなく、繊細さも持ち合わせた音は質の高い高音です。

中音は凹みを感じずに縦横の空間の広さを感じられます。楽器の音はボーカルの周りやや後ろ辺りの離れた位置に感じ、華やかさのある鳴り方ですが、その音は統制されていて、音の強弱や大小を自然な強さで鳴らし、見通しが良くクリアです。そして高音同様に音の消え入る様を掴みやすく、解像感の高い分離の良い音を感じられます。

ボーカルは自然な位置から聴きやすく、高音や低音の音に埋もれません。中音に重なり、かき消されることはありません。声色は自然なニュートラルから僅かにドライ気味なものの息遣いを感じられ生々しさを感じられます。ボーカルはクリアに聴こえます。

低音は量感は抑えられ広がりはそれ程感じませんが、決して軽い音ではなくしっかりと鳴り、広がりよりも芯がある強くて締りの良い音はキレの良い小気味良い鳴り方です。従来のKZの二重磁気ダイナミックドライバの様な強いアタック感ではありませんし、量感で誤魔化していない低音はその音階や強弱を掴みやすく解像感の高い音を感じられます。そのためバラードなどのしっとりとした雰囲気の良い曲との相性はそれほど良くないかもしれません。中高音寄りの弱ドンシャリの出音はフラット寄りのイヤホンという印象を受け、低音をやや抑えた適度な強さの音は高音中音をマスクしていません。

重低音は沈み込みはそれほど深くありませんが、芯のある強さがあり小気味良く鳴ります。繊細に鳴る高音中音域を下支えするキレの良い低音は丁度良い塩梅であり、無駄に存在感を誇示する様な事はありません。

 

PR1 Balanced Editionの音はほぼPLA13と同じ音という印象です。箱出し一聴した時点で感じたそれは最後まで払拭できませんでした。特に低音域はHiFi Editionでは一聴した限り低音を抑えた傾向に対し、従来よりは抑えられているもののしっかりと鳴る印象は同じです。それでも強いて云えばPLA13よりも高音域が少しだけ整理されて整った印象を受け、金属音の刺激的な部分を抑えながら華やかさのある印象です。

Balanced Editionは普通に良い音という印象を受けますし、平面駆動ドライバの特徴的な繊細な音は特に高音域では解像感を感じられ、広い空間に左右や奥行きを感じられる音は描写がしっかりとしています。何処かの音域を極端に強調してはいないものの、やや高音域が強く感じられますが、全音域をバランス良く鳴らしてくれ、中価格帯のイヤホンとしてレベルが高い音質と云えます。従来のKZからは想像し難い、新しいKZ系ブランドの音と云えます。

一方で刺激的な高音や脳に響く低音を感じたい方にはつまらない音に感じるかもしれません。

 

次に同様の平面駆動ドライバ搭載機との比較としてTrn Kirinとの比較です。販売価格帯が一クラス上となる為、参考程度となります。

先ず、同じ平面駆動ドライバと云ってもKirinは14.5mmとPR1の13.2mmとは異なりますし、聴き比べると全体的に近しい音とは云えますが、やはり少し違います。

一番の違いは低音です。PR1 Balanced Editionの方が低音に強さがあり、強さを感じます。そのためどちらも弱ドンシャリですが、PR1 Balanced Editionの方がドンシャリ加減が強く感じます。加えて高音域もKirinの非常に繊細で整った音の方が、質の高い高音域を描写できています。

また、Kirinの方が音場の広さ、特に奥行を感じやすい印象です。これはPR1 Balanced Editionの3.5mmアンバランスとKirinの4.4mmバランスという違いもあると思いますが、やはり一クラス上であることを実感します。

とはいえ聴き比べればの話であって、PR1 Balanced Editionだけまたは、Kirinだけを聴いている限りはどちらも同じ傾向の弱ドンシャリの繊細で高解像の音は、過度に強調するところが無く自然に鳴らすレベルの高い音と感じます。少なくても同じ中価格A5000-U10000帯で発売されている多ドラハイブリッドモデルでは不自然に感じてしまう部分をPR1 Balanced Editionでは感じられず、分離の良い繊細で解像感の高い音は多ドラハイブリッドモデルの様に相性の良い楽曲に左右されがちな音質評価もそれらよりも万能感のある高音質と云えます。

 

※以前のKZ ZS10 pro Xのレビューもご参考ください

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まとめるとPR1 Balanced EditionはCCA PLA13とほぼ同じ音質であり、高音域の不快なピークを抑えたブラッシュアップモデルと云えそうです。

また、今年のトレンドである平面駆動ドライバを採用し、KZブランドとしても音質に妥協していない姿をユーザーに提案できたモデルです。そして何よりもKZのアイデンティティー、他社と比較した場合の圧倒的コストパフォーマンスのが高さがあります。

なお、PR1 Balanced Editionはリスニング用途としての聴いていて楽しいドンシャリバランスが好きという方には評価が分かれてしまうかもしれませんし、既にPLA13を所有している方は改めて購入する必要はないと個人的に考えます。

 

高音   Kirin ≧ PLA13 ≧ PR1 Balanced Edition (質感の順)

中音   Kirin ≧ PR1 Balanced Edition ≧ PLA13 (整っている順)

低音   PLA13 ≧ PR1 Balanced Edition ≧ Kirin (出音の強さの順)

ボーカル Kirin ≧ PR1 Balanced Edition ≧ PLA13 (質感の順)

※高音の出音はPR1 Balanced Editionが一番強い

 

 

4. KZ PR1 Balanced Editionの総評

KZ PR1 Balanced Editionは同社の得意とする複数BAや多ドラハイブリッドモデルとは異なりシングルダイナミックの平面駆動ドライバモデルをライバルを大きく下回る販売価格で新発売しました。相変わらず付属品が貧相だったと従来のワリキリを踏襲していますが、我々中華イヤホンファンもKZにそれは求めていないですし、個人的にはアリと思います。それでも平面駆動ドライバのモデルが9,000円程度で購入でき、音質も同価格帯の多ドラハイブリッドモデルを凌ぐ万能感のある音質は、総評として高音質と云えますのでお勧めです。そして前述の通り、先に発売したKZ系ブランドCCA PLA13のブラッシュアップ版として完成度が上がっていますので、これからどちらかを購入する場合にはKZ PR1 Balanced Editionの方をお勧めします。…でも、次回HiFi Editionの記事を参考にしていただいてからの方が良いかも、と付け加えておきますね。

KZ PR1は二つのEditionを同時発売するという新たな展開をしてきました。今回は先ず、Balanced Editionのレビューをまとめましたが、この記事をまとめている時点でほぼHiFi Editionとの比較について「ネーム」が終わっていますので、少々お待ちいただければと思います。

 

最後に、今回は今年9月に発売された中価格U5000-A10000帯の中華イヤホンの紹介となりました。現在(2022年10月29日)はAliExpressで9,000円程で販売し、国内amazonでは11,000円程の価格で販売されています。海外通販でもHiFiGoの発送は早く届くのも早い印象がありますが、一方のAliExpressでオーダーした場合の入手性もかなり改善しています。とはいえこれまでの中華イヤホンの中では高価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは十分満足できる内容となっておりますので、中価格帯中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、新製品を少しでも早く(安く)手に入れたい方はHiFiGoでの購入も検討してみてくださいね。

 

PR1 Balanced Edition

以下、付属ケーブル、KZ付属白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★★
分離★★★★★
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

 

PLA13

以下、付属ケーブル、付属白イヤピ M使用、DAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★★
分離★★★★★
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

 

Kirin

以下、付属ケーブル4.4mm、付属白イヤピ M使用、Referenceノズル、DAC UP5
高音★★★★★ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★★
分離★★★★★
お勧め度★★★★★

※☆0.51.0

 

 

あとがき

今回はいつもの中華イヤホンの中価格帯の新商品レビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後も低価格?を中心に、中華据え置き機器や複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

※2022/11/3 3項の表現を修正