みぃねこの備忘録

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KZ ZST Xレビュー

こんにちは。

今回はいつもの1BA+1DD中華イヤホンレビュー編として低価格帯で発売されたKZ ZST

 Xについてレビューをまとめたいと思います。

AliExpressのLuckLZ Audio Store(@lucky52143915)から購入しています。

 

ja.aliexpress.com

 

国内amazonでも取扱があります。

 

 

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1. KZ ZST Xについて 

ZST XはKZ社の1BA+1DDハイブリッドの新モデルです。このレビュー執筆中に同じ1BA+1DDハイブリッドモデルのKZ ZSN Pro Xが発売されていますので「最新」とは云えませんが、このZST X同様にKZ社の新たな「X」シリーズモデルとして最新となります。KZ社は中華イヤホンファンには説明不要なトップブランドであり、これまでに低価格帯で発売した1BA+1DDハイブリッドモデルは数知れず、みぃねこもKZ社の低価格1BA+1DDハイブリッドモデルのレビューを行っていて親しんできました。

KZ社と云えば元気で派手なドンシャリが代名詞ですが、一昨年の終わり頃にZSNが発売。ZSNは高音域を控えめにし中音域を中心としたバランス重視の音は、それまでのKZの音とは一線を画す音質傾向が話題となったのは記憶に新しいですね。

そしてこのZST Xは以前レビューした同社の代名詞とも云えるZST(pro)の新型として同価格帯の他ブランドKBEAR KS2やTrn ST1等の低価格中華イヤホン1BA+1DDハイブリッドモデルとして満を持して登場。販売価格が3,000円以下の低価格帯U5Kの激戦区に真打となるのか期待感が高まります。

加えてKZ社と云えば、中華イヤホンの低価格帯を牽引してきたメーカーです。しかし最近は有線イヤホンよりも無線イヤホンである完全ワイヤレスイヤホン(以下TWS)に力を入れていてTWSのラインナップが増えてきていますが、しばらくの間代名詞と云える低価格有線イヤホンの発信がなく、物足りなさを感じていました。

そんな時に発表されたこのZST Xは心の隙間を埋めるのに十分な存在であり、迷うことなくオーダーをしています。そう、最早これは恋心。この時「相川七瀬」の曲が脳内で流れていたのは言うまでもありませんね。

 

さて、ZST(Pro)と云えば生産ロットによって仕様変更があること。メーカーがそれを公開していないことから一体どのVerを指すのかが難しく、以前レビューしたZST(Pro)も正直どのVerなのか判りません。言えるのは付属ケーブルがゴムゴムのヤツでシェルが紫色。箱には「Pro」と記載があったモデルということです。そのため今回はそれとの比較になるということをご容赦ください。

そしてZST Xは先代のZST(Pro)同様にシェル本体は全て樹脂。ステムノズルやフェイスプレートも樹脂です。低価格帯も今ではフェイスプレートやステムノズルが金属製のモデルが多いため、このオール樹脂製タイプは珍しいですが、「あのZSTが帰ってきた」という謎の安心感がありますよね。

 

というわけで今年4つ目の低価格1BA+1DDハイブリッドモデルを手に入れましたので、これまでに評価の良かったKZ ZSN Proや同価格帯KBEAR KS2との違いを交えながら、KZ ZST Xのレビューを纏めていきたいと思います。

 

ZST Xのスペックですが先述の通り中華イヤホンの低価格帯で多く採用されている高音域用のバランスドアーマチュアドライバ(BA)を1基と中・低音域用のダイナミックドライバ(DD)を1基搭載した片側デュアルドライバ構成のハイブリッドモデルです。2つのドライバはダイナミックドライバにZSN Pro等で搭載した直径10mmの二重磁気駆動ドライバを採用し中・低音域用を。BAはKZお馴染みの30095を高音域用として搭載しています。

イヤホン本体は先述の通りオール樹脂製で、ZSN ProやKS2のシェル本体が樹脂製。フェイスプレートとステムノズルが金属製とは異なります。最近ではドライバのハイブリッド構成と共にシェル素材のハイブリッド構成という低価格帯のスタンダードからは一歩劣る構成に映りますが、ZST Xはこれで良いんです。元々ZSTは「僅か1,000円でこの音!?」という国内有名メーカーができないことをやってのけた「高コスパモデル」だった訳ですから。

勿論以前ステムノズルの素材が金属製と樹脂製との違いによって音質傾向への影響をこれまでレビューした経験から、それが高音域に現れると感じています。多くの低価格1BA+1DDハイブリッドイヤホンでは高音域を担当するBAドライバがステムノズルの中に配置されておりますが、音道管を使用していない為、高音域の伸びや響きに影響があると経験則で捉えているからです。

とはいえ最も大切なのはこれまでレビューした低価格中華1BA+1DDイヤホン同様に各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングが重要となります。このチューニング次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくるといえますね。

 

ZST Xの納期としては中国本土からの発送という事もあり、国内amazonのようにはいきません。今回6月下旬にプレオーダーし発送まで10日待ち。オーダー時にチャイナポストを選択していますので発送されてからは16日で届きました。昨今、感染症の影響で中国からの輸送は平時の様にはいきませんが、それも徐々に回復傾向であり最近はシンガポール経由も再開し動き始めていますので、もう少しというところですね。平時であればAliExpressならば早くても約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

2. KZ ZST X実機レビュー 

それでは、早速KZ ZST Xの実機レビューを以下、まとめていきます。


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パッケージングはKZ社のシンプルな白地のデザインのスリーブタイプの化粧箱です。
箱の表にはイヤホンイラストが。裏にはスペックが記載されています。


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スリーブを外すと白地の内装の台座にイヤホンが収納されています。またイヤホンが収納された台座を取り出すと箱の下側にイヤーピースやケーブルなどの付属品が入っています。

 

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付属品はKZイヤホンに付属する溝有シリコンイヤーピースがS、M、Lの3種各1セット。そのシリコン黒色イヤピMサイズが本体取付け済み、他にはケーブルです。U5Kの低価格帯としては必要十分の付属品となります。また特筆すべきはケーブルです。後述しますが、先代ZST(Pro)の初期に付属したゴムゴムケーブルではなく、KZアップグレードケーブル相当が付属しています。


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次にビルドクオリティですが、数年前に発売したZST(Pro)と比べるとレベルアップを感じられ、綺麗に仕上がっています。カラーバリエーションは黒色と紫色(青色)と緑色があるようですが、今回紫色を選択しています。

 

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付属ケーブルは先述の通り従来のゴムゴムケーブルからKZアップグレードケーブル相当の銀(白)色の編込みタイプで4芯銀メッキ銅線の線材が採用されています。プレイヤー側コネクタはL字タイプで、イヤホン側は従来のKZタイプB、2ピン仕様、KZ極性(上がプラス)です。この付属ケーブルは耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的に絡まりにくくしなやかなものとなり低価格帯に付属するケーブルの中でも質感が高くそのまま使用できますし銀(白)色ケーブルはやや派手なところもありますが、シェルのカラフルさと相まって普段使いでも気にならないですね。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けは結構Rがきつめです。どうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

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※画像左からZSN Pro、ZST X、KS2 

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ZST XとZSN Pro、KS2の外観の比較として、サイズ感はほぼ同じ。シェルの造形もほぼ同様ですが、ZST XとZSN Proのシェル本体はステムノズルとフェイスプレートを除き造形が一致しています。

ZSN ProとKS2は金属製ステムノズル。ZSN Proはフェイスプレートも金属製。それらのの厚みやデザインも異なりますが、やはりZST Xのオール樹脂製が一番軽量です。それでも耳への装着時には殆ど気にならないレベルの差でしかなく、3機種共に耳への装着感は悪くありません。ステムノズルの太さは3機種共にやや太め。その中ではZST Xが細めとなり、角度は3機種ともほぼ同じとなります。

そのため耳への装着時には3機種共に装着感は良好ですね。

また、ZST Xのステムノズルはシェル本体と一体型で樹脂製となりますが、金属製のZSN ProやKS2全てにメッシュフィルターがあります。

そして、シェル本体の形状は3機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

 

※左がZST X付属品。右がZSN ProやCCA等の付属品。 

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なお、先述の通りZST Xはステムノズルは比較的太めです。太いステムノズルは装着感に影響があり、付属のKZ溝有黒イヤーピースは傘が固めのため、みぃねこは長時間の使用時に痛くなり易いので、ZSN Pro等に付属する溝無シリコンイヤーピースに変更し奥の方で栓をするように装着する形がみぃねこはしっくりきました。低価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じるので手持ちのイヤピと交換していますが、今回は同社の付属品に交換することで対応できました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. KZ ZST X音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今回の再生環境はSHANLING Q1、直挿しアンバランス接続です。

これまで低価格帯はShanling M0やFiiO X3markIII(以下X3III)を基準としてレビューを行ってきましたが、前回同様にQ1にて行います。これまでにShanling M0とFiiO M5の比較や、M0とiPhone6sの比較を行っており、X3IIIへ移行も考えましたが、初心に帰りSHANLING Q1で比較しますので、ご容赦ください。

M0とQ1はDACやアンプ等の主要のスペックには変わりがありませんが、聴き比べるとQ1はM0よりも低音が豊かに感じます。どちらもバッテリー駆動なのでM0よりもQ1の方が容量が増え電源供給に余裕があるからなのかもしれませんね。

低価格帯のイヤホンの場合でそれらの違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。

 
miineco106.hatenadiary.jp

 

※FiiO M5とShanling M0の比較もよろしければご参考ください。 

miineco106.hatenadiary.jp

 

それでは実際に聴いてみます。
ソースは宇多田ヒカル/First Love平井堅/瞳をとじて倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピはZSN Pro付属品 溝無黒Mサイズ、付属ケーブルを使用しています。

箱出しで聴いてみた第一印象は「KZの音が脳に語り掛けられます。KZらしい高音と低音が強いドンシャリ。ただしボーカルは前に出ていて聴きやすい。」でした。(もちろんスマホ付属品とは大違いです)

箱だしはドンシャリが強く低音も膨らみを感じたので今回も先に鳴らし込みを行っています。

鳴らし込み後は低音の量感が落ち着き締まった印象です。

音場は広くも狭くもない普通。

高音は煌びやかさがあり華やかさは十分ですが、刺さりは感じない。

低音は箱出しから一変。適度な量感があり芯が感じられ締りとキレがある。ベースラインは追いやすい。

重低音の沈み込みは深さがあり強さもある。

中音はすっきりしながらも華やかさは十分。ボーカルはクリアでやや近い位置から聴かせてくれますがややドライ。曲によって近く聴きやすい。

一言で云えば中高音寄りのややドンシャリ

高音はしっかりとした低音域に埋もれない存在感のある煌びやかさと華やかさがありますが尖りはありません。KZらしく中高音域に華やかさがあります。

中音は楽器の音がやや遠く感じます。ただしボーカルが前に居て近くクリアで聴きやすく高音低音に埋もれません。KS2ではやや重なりを感じましたが、ZST Xではボーカルの一歩後ろ、その周りに感じます。ZSN Proではボーカルの横に位置していますので、ZST Xではよりボーカルを聴きやすいことを感じられると思います。

また、ボーカルはドライ寄りではありますが、女性ボーカルのバラード等では生々しさも感じられ、しっとりとした雰囲気も楽しめます。

低音は適度な量感と強さがあり中高音を支え、中高音をマスクすることはありません。不足のない量感と芯のある音で締りとキレがあり強さが心地良い。重低音は強さがあり沈み込みも十分。この適度な低音がクリアな高音と中音を支えることでバランスの良さを感じます。

 
これはこれまでにレビューしたKZの低価格帯1BA+1DDハイブリッドの音とは明らかに違いを感じます。何処かを誇張しない聴きやすいドンシャリであり、従来のKZ低価格帯で代名詞とも云えるドンシャリとは一味も二味も違う音。以前KZ ZSNの中低音中心の音で受けた衝撃をこのZST Xで受けています。そう、これはもうセカンドインパクトですね。

そして同社ZSN Proでは従来のKZの音を踏襲し、極端ではないバランスを取った高音低音は壮大な演奏メインの曲には相性の良さがありましたが、ボーカルはやや遠く感じボーカルメインの曲には相性の悪さがありました。

KBEAR KS2は高音と低音の存在感がありながらも出しゃばらない良くまとまった音質傾向でしたが、ZST Xの中・高音域の質感が一枚上手。特にボーカル曲の相性の良さを感じます。

 

まとめるとZST Xは中・高音域は煌びやかさ華やかさがあり十分な存在感を示しますが尖りは無く、低音域が強さがあり締まりとキレのある存在感で出しゃばらず、中音域はボーカルが聴きやすさを感じられる完成度の高さは先代のZST(Pro)とは違うボーカルメインのリスニング用途としてお勧めできる低価格中華1BA+1DDハイブリッドイヤホンと云えそうです。

尤もこのボーカルメインのリスニング用途としてのバランスの良さは中華イヤホンには高音域のシャリつく刺激的な強さや低音のドンの量が多い強ドンシャリを求める演奏メインで聴きたい方には、少しもの足りないと感じ評価が分かれてしまいそうです。

 

高音   ZSN Pro ≧ ZST X ≧ KS2

中音   ZSN Pro ≧ ZST X ≧ KS2

低音   KS2 ≧ ZST X ≧ ZSN Pro (量はZSN Proが一番多い)

ボーカル ZST X ≧ KS2 ≧ ZSN Pro

 

最後に、今回はAliExpressで先月発売された低価格帯中華イヤホンの紹介となりました。現在(2020年8月8日)はAliExpressやamazonで販売されており、一足先にAliExpressでは1,000円台後半で販売し、そのAliExpressではフォロワー割によって1,000円台半ばの価格です。一方amazonではprime扱いの2,000円台半ばと、AliExpressでは安価に入手できますが、その入手性には特に現在難があります。とはいえこれまでの低価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっていますので低価格中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、少しでも安い方が良い方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

ZST X

以下、付属ケーブル、ZSN Pro付属溝無黒イヤピ M使用、DAP Q1
高音★★★★ 
中音★★★☆  
低音★★★★ 
音場★★★
分離★★★
お勧め度★★★★ (ボーカルメインの曲★5)

※☆0.51.0

 

あとがきとして、今回はいつもの中華低価格1BA+1DDハイブリッドイヤホンの新商品のレビューをまとめました。これで通算28個目となります。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですね。今後も低価格?を中心に、複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

※2020/11/13画像差替え