みぃねこの備忘録

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Trn ST1レビュー

こんにちは。

今回は久しぶりにいつもの1BA+1DD中華イヤホンレビュー編として低価格帯で発売されたTrn ST1についてレビューをまとめたいと思います。

ST1はAliExpressのNiceHCK Audio Store(@hckexin,@NiceHCK_Audio)から購入しています。

 

ja.aliexpress.com

 

国内amazonでも取り扱いがあるようです。(2020/01/30現在)

 

 

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ST1はTrn社が昨年11月に新発売した低価格帯の最新モデルで昨年末AliExpressにて先行販売されています。

このST1は某メーカーのアレに「トニカク似ている」ギリギリ…いや、オマージュにしては寄せ過ぎの外観は最近のTrnは評判が良かっただけに「あの頃のTrnが帰ってきた」悪ノリが過ぎる本来の?Trnと云えそうですね。

ST1ですが中華イヤホンを追っている界隈の中で低価格モデルを販売する有名メーカーとしては久しぶりの1BA+1DDハイブリッドモデルで販売価格が1,000円台と低価格帯U5Kの中で最も安価なプライスゾーンとなります。その低価格1BA+1DDハイブリッドモデルで以前レビューしたのが昨年8月のRevoNext NEX202で国内未発売モデルですが、こちらは4,000円と低価格帯でも少々お高め。実質的な競合製品としては同社IM2が昨年6月、Yinyoo Ashが同5月と実に半年以上前に発売されたモデルという事になります。中華にしては珍しくスパンが長く?待たされた感がありますね。そしてこの価格帯で忘れてはいけないのはKZ社の製品です。それは言うまでもなく同社ZSNやZSN Proとなりますが、それらともドライバ構成やスペックだけではなく販売価格からも競合する商品と云え、違いが気になるところです。

 

Trn社はこれまでに1BA+1DDハイブリッドモデルのV20やIM1及び、IM2を発売しており、2018年4Qに発売したIM1ではST1同様に某メーカーをオマージュしたデザインを採用していたのが記憶に残っています。その後2019年1Qから3Qまではオリジナルデザインのモデルを発売しておりましたが、4Qに発売した5BAモデルでこれまた某メーカーをオマージュし、このST1でもオマージュするという「4Qに何かあるのか?」というTrn社の社風を疑う次第です。

とはいえ昨年のTrn社はオマージュではないオリジナルデザインを採用したり、以前レビューした1BA+1DDのIM2や4BA+1DDのV90に加え、外観はオマージュだけど5BAのBA5等は中々の完成度でネットの評価も上々の様ですし、今回のST1も外観はアレだけど期待値は高く、突撃してみた次第です。

最近は葛藤もありまして、低価格に自分が求めるものは無いと気が付いているのに購入し続ける様に、

「認めたくないものだな。自分自身の若さゆえの過ちというものを」

という赤い彗星の名言を引用し、更に、

「見せてもらおうか、連邦軍(中華)のモビルスーツ(ハイブリッドイヤホン)の性能とやらを」

と、息巻いている。

これが沼というものなのですよ(アホ)。

…茶番はここまで。

半年ぶりに待望の低価格1BA+1DDハイブリッドモデルを手に入れましたので、これまでに評価の良かったKZ ZSN Proや同価格帯CCA CA4との違いを交えながら、ST1のレビューを纏めていきたいと思います。

 

ST1のスペックですが低価格帯で多く採用されている1BA+1DDのハイブリッドです。2つのドライバの内、ダイナミックドライバには10mm径の比較的大きなドライバを中低音域用として搭載しBAにはTrnオリジナル30095が高音域用に搭載さています。

イヤホン本体はフェイスプレートとステムノズルに金属製を用い、シェルは樹脂製とZSN ProやCA4と同様です。実際の商品を見るとシェル本体とフェイスプレートの接合名は綺麗で数年前のZSTと比べるとクオリティの高さを感じられますね。

そしてST1はこれまでレビューした低価格中華1BA+1DDイヤホン同様に各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングが重要となります。このチューニング次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくるといえますね。

 

ST1の納期としては11月下旬にオーダーし12月初旬に発送。12月下旬に届きましたのでオーダーから約1か月。発送後からは約2週間掛かっていますが、今回は新製品のプレオーダーですしまあ普通レベルと云えそうですね。流石に国内amazonの当日発送、翌日配達とは比較してはいけませんし、AliExpressにてオーダーした場合は早くても約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間かかりますし、万が一の不良の際に返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

それでは、早速Trn ST1の実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングはTrn社のオリジナルデザイン、白を基調とした側面が黒のスリーブタイプの化粧箱です。
箱の表にはイヤホンイラストが。裏にはスペックが記載されています。

 

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スリーブを外すと白地の内装の台座にイヤホンが収納されています。またイヤホンが収納された台座を取り外すと、その他付属品が箱の底に入っています。

 

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付属品はシリコンイヤーピースがS、M、Lの3種各1セット。そのシリコンイヤピMサイズが本体取付け済み。他にはケーブルです。U2Kの低価格帯としては必要十分以上の付属品となります。


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ビルドクオリティですが、私のST1は右側ステムノズルのメッシュが浮いていて(上記画像が浮いた状態で修正前)「またかよ」と思いながらそっと本来の位置に押し込み事なきを得ましたが、最近の中華イヤホンではあまり雑なところがないのに本当このメーカーだけはV30といい未だにアレですね。Trnの製品は偶にがっかりすることもありますので、手放しでお勧めしにくいですが、最近はかなりマシになってきていますし、それ以外はこのST1では低価格帯としては綺麗に仕上がっています。カラーバリエーションは青(FP銀色)と紫(FP銀色)と黒(FP黒色)の3種類あり、みぃねこは黒を選択しています。

 

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付属ケーブルはシェルの色と同様に黒色の編込みタイプで細めのしっかりした線材が採用されています。プレイヤー側コネクタはI字タイプで、イヤホン側はKZ Cタイプ2ピン仕様です。この付属ケーブルは耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的に絡まりにくくしなやかなものとなり低価格帯に付属するケーブルの中でも質感が高くそのまま使用できますし黒色ケーブルが本体色と同色で一体感がありますね。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これにより良い塩梅になり装着感が良くなりますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

  

※画像左からCA4、ST1、ZSN Pro 
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ST1とZSN Pro、CA4の外観の比較として、樹脂シェル本体はZSN Proと同じ様子。フェイスプレートの造形による厚みが異なるようです。一方CA4は樹脂シェル本体造形に加えフェイスプレートの造形も異なっていて、一番の違いはステムノズルの角度になり一番起きています。ステムノズルはST1がやや細めでZSN ProとCA4が太めで、これらは同じタイプを使用しているようですね。

そのため耳への装着時にはステムノズルの角度が寝ていてやや細めのST1の装着感が一番良好でした。

また、ST1を始め全てステムノズルが金属でこの3機種ともにメッシュフィルターがあります。まあ先述の通りみぃねこのST1はメッシュフィルターが浮いていましたが。

そして、シェル本体の形状は3機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、先述の通りST1はステムノズルは比較的細めのため、耳へは付属のイヤーピースで奥の方で栓をするように装着する形がみぃねこは一番しっくりきました。低価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じるので手持ちのイヤピと交換していますが、今回はその必要はありませんでした。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今回の再生環境はShanling M0、直挿しアンバランス接続です。

これまで通り低価格帯はM0を基準としてレビューを行います。もちろんShanling M0ではなくiPhone6sでも鳴らすことができましたが、中高音域の解像感や低音域の表現力で本来の性能を発揮できないと感じましたのでご容赦ください。

低価格帯のイヤホンの場合でその違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。

 
miineco106.hatenadiary.jp

 

それでは実際に聴いてみます。
ソースは宇多田ヒカル/First Love平井堅/瞳をとじて倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属品 Mサイズ、付属ケーブルを使用しています。

箱出しで聴いてみた第一印象は「ボーカル聴きやすく低音も厚みがあり高音も十分に華やかさがある」でした。(もちろんスマホ付属品とは大違いです)
ただし箱出し直後は低音にボワつきを感じたため今回も先に鳴らし込みを行っています。

音場は広くも狭くもなく普通程度に感じ分離も普通です。 

高音は煌びやかさは十分も伸びは普通で刺さりも感じない。

低音は十分な量感と広がりがある。反面やや緩く感じキレは普通程度。ベースラインは追いやすい。

重低音は沈み込みはそれ程深さを感じないものの十分な強さがある。

中音は音が中心に集まり曲によって音の重なりをやや感じることがありますが、ボーカルはクリアで自然な位置から聴かせてくれやや暖かみを感じます。

一言で云えばやや中低音寄りのフラットからややドンシャリ

高音は中低音域に比べて主張は強くないがしっかりと存在感があり十分な煌びやかさがあり尖りがないですが、しっかり描写しています。

中音は凹まずボーカルがクリアで聴きやすく音に厚みがあると云えば聞こえは良いが、音数が多いハードな曲では音に重なりを感じてしまいます。一方バラード等はバランスは悪くないので聴きやすいです。基本的にボーカルが高音低音に埋もれないバランスです。

低音はTrnの低音です。弾むような広がりがある音で、重低音の強さはありますが深さはそれ程感じません。ですが、これが高音中音低音域の全てをバランス良く聴かせてくれて丁度良い印象があります。

これはこれまでにレビューしたTrnのそれとは異なり例えばIM2のドンシャリとは一線を画す音でありKZ ZSNの中低音中心の音とも異なるバランスです。良くまとまった音質傾向ですね。

個人的に欲を言えば低音の質感ですが、こちらは好みがありますので、締まりがあり深さを重視しされる方には物足りなく感じられ評価が分かれてしまうかもしれません。

 

比較対象としてKZ ZSN Pro、CCA CA4を挙げましたが、これらはそれぞれに良さがある評価が高いイヤホンでした。正直ZSN Proに肩を並べ更に超えることができるのかが個人的な興味でした。しかしST1はその少しばかり斜に構えた興味を超えてくれました。

ST1は強いて云えばZSN Proの完成度の高さを狙うものではなく、音楽を楽しく聴くという本来の目的を実現しているZSN Proとは違うイヤホンと云えます。

それはZSN Proの全方位隙の無い音を目指すのではなく、音楽として楽しく聴くために強い音は強く、弱くても届けたい音をちゃんと聴こえるように。ボーカルも自然で暖かさのある声を届ける。その結果、取捨選択された音は生まれようとも音楽的に楽しさが伝わることを重視した音づくりのように感じました。

 

ただし、CA4のようにボーカルのクールな感じが息遣い感じられて好きという方には評価が分かれるかもしれません。

そのCA4は傾向としてはZSN Proと同様に強ドンシャリ傾向ではありますが、それとの一番の違いがボーカルであり、その分高音や低音の強さは上と感じます。そのためZSNやZSN Pro登場前の低価格1BA+1DDハイブリッドモデルのそれと云え悪くはないのですが、発売が昨年春としては少々古臭さ感じられてしまいますね。

勿論、この強ドンシャリが好きという方にはZSN Proはさておき、ST1は物足りない音に感じてしまうかもしれません。

 

まとめるとST1は高音域は煌びやかさ華やかさが出しゃばらず存在感を示し、低音域は十分な存在感があり、中音域はボーカルが聴きやすいクリアで華やかさも感じられる聴き疲れのない心地よさがリスニング用途の低価格中華イヤホン1BA+1DDハイブリッドイヤホンと云えそうです。

尤もこのリスニング用途としてのバランスの良さは中華イヤホンには高音域の刺激的な強さや低音の量が多い強ドンシャリを求めるという方にはやはり少しもの足りないと感じ評価が分かれてしまいそうです。

 

高音   CA4 ≧ ZSN Pro ≧ ST1

中音   ZSN Pro ≧ ST1 ≧ CA4

低音   CA4 ≧ ZSN Pro ≧ ST1

ボーカル ST1 ≧ ZSN Pro ≧ CA4

 

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最後に、今回は国内amazonでは2,000円台で購入できる低価格帯中華イヤホンの紹介となりました。現在(2020年1月30日)はamazonでは取り扱いセラーが少なく、AliExpressでは1,000円程度で販売しています。そのAliExpressではフォロワー割がなくても1,000円台程度と安値安定していますが、その入手性に少々難があります。とはいえこれまでの低価格中華イヤホンの中でも非常に安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっていますので低価格中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になった方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、少しでも安い方が良い方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

ST1

以下、付属ケーブル、付属イヤピ M使用、DAP M0
高音★★★☆ 
中音★★★★  
低音★★★☆ 
音場★★★
分離★★★
お勧め度★★★★ (音楽を分析的に聴きたい方★3)

※☆0.51.0

 

あとがきとして、今回は本当に久しぶりに中華低価格1BA+1DDハイブリッドイヤホンの新商品のレビューをまとめました。これで通算26個目となります。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですね。今後も低価格?を中心に、複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ