こんにちは。
早いもので、新年を迎えてからもう3週間が過ぎようとしています。ご挨拶が遅れてしまいましたが、本年もよろしくお願い申し上げます。
さて、新年一発目。今回は中華イヤホンのシングルドライバモデルのレビュー編として中価格帯で発売されたKBEAR Diamondについてレビューをまとめたいと思います。
今回は国内amazonのWTSUN Audio(@Zhuo520x)から購入しています。
AliExpressでもWooeasy Earphone Store(@hulang9078)に取り扱があります。
KBEAR DiamondはKBEARブランドから発売されているシングルドライバ搭載モデルです。KBEARブランドのイヤホンは以前レビューしたF1やOPALやi4がありますがこれらはそれぞれ1BA、1DD、1BA+1DDとドライバ構成に違いがありました。今回のDiamondはOPAL同様に1基のダイナミックドライバを搭載したモデルとなりますが、このダイナミックドライバはDLCコーティングされたドライバを採用しています。
そもそもDLCとは何?ということですが、調べてみると「ダイヤモンドライクカーボン」をコーティングしたドライバのようです。で?だから何が如何なの?といわれても、まあ、、、その、、、よくわからないですけどダイヤモンドとカーボンというどちらも炭素で硬い素材という浅い知識しかありませんが、これらを使用した振動膜(ドライバ)はなんとなく硬質で反応が良さそうな雰囲気がありますよねぇ。
硬質で反応が良いドライバと云えばグラフェン振動膜のドライバを採用するTFZ社の商品が思いつきますが、それらとの違いも気になります。
兎も角、このDiamondにはこれまで有名国内/海外メーカー製や高価格帯中華イヤホンで採用されていたDLC(Diamondはコーティングです)ドライバが採用されていて、しかも中価格帯U10,000で採用されたという画期的な商品ということはご理解いただけるのではないでしょうか。流石中華イヤホンというところです。
※以前の平面磁気駆動ドライバの技術的な説明と同様にどうしても知りたい方はgoogle先生で検索してみてくださいね。だってそれを長々と書いても興味がない方はつまらなくて読む気にならないと思いますし結局音は如何なんだよって方が殆どではないかと思いますので。
さて、このDiamondはこれまでのKBEARブランドの商品の中では比較的高値です。現在(2020/01/17)はi3が中華価格帯U20,000、実売16,000前後と旗艦モデルといえ、それよりは比較的安価な販売価格が設定されていますが、国内amazonでも約10,000円と簡単に手が出せる金額とは言いにくいです。やはり10,000円を超える中価格帯ともなれば吟味して購入したいですからね。
TIN HiFi P1のレビューでも書きましたが、みぃねこは所有していてもこの辺りの価格帯の商品は殆どレビューすることはありません。何故にDiamondを購入し記事を書いているのかと云えば、やはり「良い商品は誰かに伝えたい」ですから。何よりもDiamondはKBEARらしい良い音を聴かせてくれています。しかし、新発売されたものの初動は鈍くこの辺りの価格帯の所為かレビューが少なく折角の良い商品なのに販売に繋がっていない印象です。勿論、音質は嗜好による良し悪しが現実であり理想は数値化による可視化な訳ですが、どうしても味覚と一緒で「甘い・辛い・苦い」という主要素は説明しやすく伝えやすいですが「どれくらい」という評価に繋がる客観的要素が個人の主観によるものになりますので。
繰り返しになりますが、元々この備忘録は一般的な国内及び海外有名メーカーではないけど良い音を聴かせてくれる商品が沢山あっても試聴できなくて二の足を踏んでいる方の背中を押してあげることができるように始めています。つまり、このDiamondもぴったりの題材となる訳です。
そして、なによりも国内及び海外有名メーカーに勝るとも劣らない(かもしれない)中華イヤホンの楽しさを伝えていけたら幸いです。まあ、いつも通りの言い訳ですね、はい。なんやかんやでDiamondが気になっていて、やはり自分の耳で確認したくなったというのが一番の理由でございます(笑)。
※TIN HiFi P1の過去記事もよろしければご参考ください
そんな訳でDLCコーティングドライバを搭載したKBEAR Diamondを他のグラフェンドライバを採用する中価格帯モデルとの違いを交えながらレビューを纏めていきたいと思います。
KBEAR Diamondはオール金属製のシェルが採用されています。商品画像を一見してKZ AS12の様な大柄なシェルを想像しましたが、それより一回り以上もコンパクトな造形で材質はアルミ合金となります。ステムノズルはコンパクトなシェルに対し、太めに見えますが実はやや細め。そのため、多くの方で装着感は比較的良好となりそうです。
Diamondのスペックは先述の通り8.5mmのDLCコーティングされたドライバを片側1基搭載し、付属するケーブルも上質なものが採用されています。尤もDLCドライバもコーティングとはいえ比較的高価なことと、金属シェル、上質な付属ケーブルが採用されていることからも必要な部分には惜しみなくコストを掛けた妥協のないKBEARブランドの商品づくりは共感できますね。
特にDLCドライバとTFZ社のグラフェンドライバでは狙う特性が同じと推測できますし、中高音域のキレの良さ、表現力や低音域の質感の良さは、少し聴いただけでもその実力の片鱗に触れることができます。
そして、Diamondは片側に1ドライバのため、多ドラの様な複雑なクロスオーバーもなくシンプルで実績がある方式のため安定した音を奏でることにアドバンテージがあります。それはこれまでレビューしてきた中価格中華多ドラハイブリッドイヤホンとは異なり1ドライバ故の自然なつながりがある音が期待できるからです。複数のドライバを搭載した場合、各ドライバの担当する音域が重なるクロスオーバーのチューニングという難題があり低価格帯では特にこの辺りを誤魔化した商品も多くありますが派手な音づくりで結構それを感じさせない様な音作りがされていたりします。もちろんDiamondは1ドライバとはいえチューニングは行いますし大事ですが、このチューニングポイント、経験則を活かし易くそれ次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくるといえますね。
KBEAR Diamondの納期としては流石の国内amazonの当日発送、翌日配達です。AliExpressにてオーダーした場合はチャイナポストを選択しても早くても約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間かかりますし、万が一の不良の際に返品交換に結構な手間と時間がかかります。
そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くの少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。
それでは、早速KBEAR Diamondの実機レビューを以下、まとめていきます。
パッケージングは黒を基調とし金色のブランドロゴをワンポイントとしたシンプルな黒箱化粧箱です。
箱の上蓋を外すと黒地の内装の台座にイヤホンとイヤーピース、イヤホンケースが収納されています。またイヤホンケースが収納された台座を取り外すと小箱になっていて、その中にイヤホンケースが入っています。
ケーブル等の付属品はイヤホンケースの中に収納されています。この辺りはいつもの中低価格帯同様の合理的な化粧箱ですね。
付属品のイヤーピースはシリコンイヤーピースがS、M、Lの3種各2セットとフォームタイプのM?が白黒2セットの計4セットが付属します。シリコンイヤピは口径と傘の材質が異なりそれぞれ好みの音質に調整が可能です。
※画像でお気づきの方もいるかもしれませんが、シリコン黒イヤピがMが2セットで、Sがありませんでした(泣)
ケーブルは付属するケーブルとして上質なもの付属しており、約10,000円の中価格帯でも比較的高価なクラスとして十分な付属品ですが、個人的にこれだけで完結できる満足感の高いセットと云えますね。
ビルドクオリティですが、KBEAR Diamondは中華イヤホンで心配されるような各所の仕上りに雑なところを感じません。今回は付属品でポカがありましたが、以前よりも安心して購入できると思います。
カラーバリエーションは緑(銀)色のみです。
付属ケーブルは8芯、OFCの銀メッキ線材を使用した明るい灰色(銀色?)の編込みタイプが採用されています。プレイヤー側コネクタはI字タイプで、イヤホン側は2ピンコネクタです。この付属ケーブルは耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的に絡まりにくくしなやかなものとなり中価格帯U10Kの商品に付属するケーブルとして十分でそのまま使用できますし、少し落ち着いた色合いのケーブルが本体色との一体感もありますね。
※画像左からMLE、Diamond、KING pro、KZ AS12
Diamondのコンパクトなシェルを伝えるためにKZ AS12とTFZ KING proとMLE(My Love Edition)を並べてみました。この4機種の中で同じ中価格帯のU10KではMLEとAS12となりますが、今回の直接的な比較対象としてはMLEが適切でしょうか。AS12は片側にBAを6ドライバ搭載する為、やはりシェルが大きく感じます。一方MLEや価格帯は違えどKING proはシングルドライバモデルとしては小さい方ではないシェルと云えそうですね。それらと比べるとやはりDiamondはコンパクトなモデルとなりますね。
またDiamondのシェルデザインは直線的な部分を持ち合わせながらも丸みを帯びた造形で且つコンパクトなシェルが功を奏し耳への装着感はかなり良好です。ただしシェル自体はコンパクトですがステムノズル部はかなり長め。みぃねこは個人的に装着感が良好でしたが、個人差がありそうな印象ですね(装着感に個人差はあることをご了承ください)。
勿論ステムノズルの先端端面にメッシュフィルターが装備されています。
そして、シェル本体の形状と付属ケーブルからはシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。
先述の通りDiamondはステムノズルが比較的長めながらも、耳へは付属のイヤーピースでしっかりと装着できましたが、音質的に少し低音が抜け気味で軽く感じたため、いくつか試した結果、AZLA Sedna Earfitで浅めに蓋をする感じが、みぃねこは一番しっくりきました。低~中価格帯では毎度付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じることが多くありますので手持ちのイヤピと交換しています。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。
このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)
それではいよいよ音質についてまとめていきます。
今回の再生環境はSONY NW-ZX507、直挿しアンバランス接続です。
これまで中価格帯はFiiO M9を基準としていましたが今回からZX507にてレビューを行います。ZX507のエージングはまだ完了していないので、現時点の音であることをご了承ください。(だって200時間ってさぁ)
もちろんSHANLING M0とFiiO M5やiPhone6sでも鳴らすことができましたが、中高音域の解像感や低音域の表現力で本来の性能を発揮できないと感じましたのでご容赦ください。
低価格帯のイヤホンの場合でその違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。
それでは実際に聴いてみます。
ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳をとじて、倖田來未/Moon Crying。高音/低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。
先述の通りイヤピはAZLA Sedna Earfit Mサイズへ。ケーブルは付属品を使用しています。
箱出しで聴いてみた第一印象は「中高音にキレがあり低音も十分。中高音域はクリアで解像感が高く聴きやすい」でした。
こちらも箱出し直後は低音が控えめに感じたため今回も先に鳴らし込みを行っています。
音場は普通からやや広め。曲によって普通程度。
高音は煌びやかさがあり響きもあるがしつこさはなく刺さりも感じない。
低音は量感は十分で芯があり適度な響きがある。その分締りがありキレは良好。ベースラインは追いやすい。
重低音は沈み込みの深さを感じ十分な強さがある。
中音は解像感が高く音の強弱をや描写を掴み易く、ボーカルはクリアで自然な位置から聴かせてくれ艶やかさを感じます。
一言で云えばやや中高音寄りのややドンシャリ。
もっと云えば、高音はしっかりと存在感を示し、十分な煌びやかさと華やかさがありながら尖りはなく刺さりは感じずにしっかり描写しています。低価格中華1BA+1DDイヤホンの高音よりは控えめに感じますが、しつこさがなく上品というか丁寧という表現が合いそうです。
中音は響きが良く音の描写も良いのに前へ前へと出しゃばらず、ボーカルがクリアで聴きやすく高音低音に埋もれないので、ボーカル曲を好んで聴く方には不満が出ないと思います。
低音は量感は中高音に比べ控えめに感じますが、芯があり適度な響きと締りの良さがあるキレの良い音で、重低音は強さがと深さを感じられる質の高さを感じます。
この適度なバランスが何処かの音域を強調せずに全てを丁寧に聴くことができる心地良さがあります。
反面、高音は適度にまとめられており、どこまでも伸びるような、そして刺激的な強さを求める方には物足りなさがあるかもしれません。
低音はその音に包まれるような広がりや、体に響くような低音とはいきませんので、低音を重視する方には物足りなさがあるかもしれません。
そしてMLEとの比較です。MLEも中高音寄りのドンシャリでキレの良さがありますが、低音の量感や表現力はMLEが良好。高音もMLEの方が解像感は高くよりくっきりはっきりと描写しています。Diamondと比較しやや派手に感じます。そして一番の違いは中音でこちらはDiamondが優れていて、一言で云えばMLEには粗さを感じ、音の重なりがあります。特に女性ボーカルでは楽器とボーカルが被りそれが聴きにくさとして感じてしまいます。また少し平面的に聴こえることも影響があるのだと思います。
とはいえMLE単体で聴くのであればやはりTFZの音であり、上手い音づくりだと思いますし、グラフェンドライバのMLEとDLCコーティングドライバのDiamondでは同じ中高音のキレの良さがありチューニングの違いでどこを重視しているのかが分かりますね。
この音作りをどちらが好みか。加えて、先述した音質傾向によって評価が分かれるもののどこかが破綻せずに上手くバランスを整えた良い音を聴かせてくれる、それがKBEAR Diamondなのだと感じます。
なお、DiamondはパワーのあるDAPやポタアン等を使用してみると印象が良い方向に変わると思いますので低音が物足りないと感じた方は是非お試しいただければと付け加えさせていただきます。
まとめとして、KBEAR Diamondは中華イヤホンでは珍しい1DDモデルとシンプルな構成でありながらDLCドライバを搭載し価格を抑えた挑戦的なモデルで、同社のハズレの無い音づくりからも十分満足できるモデルと云える仕上がりです。
ですが、スマホ直挿しでは本来の性能を発揮できず、ポタアンを介し出力を確保した上で聴く場合に新たな世界を感じることができると感じましたし、出力の高いDAPを使用しても同様に非常にバランスの良い印象を持たれると思います。
最後に、以前のレビューでも何度か触れていますが単純にドライバ数を増やす足し算では未だ限界があります。残念ながらそれをBAオンリーの低~中価格帯複数ドライバ搭載モデルが証明しています。それでも次々と投入される中華の新モデルが我々を楽しませてくれており、今後も期待していきたいと思います。
高音 MLE ≧ Diamond
中音 Diamond > MLE
低音 Diamond ≧ MLE
ボーカル Diamond > MLE
音場 Diamond ≧ MLE
最後に、今回は国内amazonのセールなどで実売10,000円以下で購入できる中価格帯中華イヤホンの紹介となりました。現在(2020年1月17日)もamazonで取り扱いがありますし、AliExpressではフォロワー割で8,000円台前半とお求め易い価格ですが、その入手性に少々難があります。とはいえこれまでの中価格中華イヤホンのDLCモデルの中では安価な実売価格となりますし、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっていますので低~中価格中華イヤホンの中で間違いのないものを購入したいと考えていて気になった方は安心確実なamazonで。新商品を少しでも早く入手したい、少しでも安い方が良い方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。
Diamond
以下、付属ケーブル、イヤピAZLA Sedna Earfit M使用、DAP ZX507
高音★★★★
中音★★★★★
低音★★★★
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★ (中華に特徴を求める方★4)
※☆0.5、★1.0
あとがきとして、今回はDLCシングルドライバ搭載の中価格中華イヤホンの商品レビューをしてみました。それと同時に再生環境も更新しています。再生環境更新はこれまでの基準との相関を必要としますが、そのあたりは別途記事にしたいと思います。
そして、日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですね。今後も低価格を中心に、複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。
また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ