こんにちは。
今回はいつもの1BA+1DD中華イヤホンレビュー編ではなく、多ドラハイブリッド編として先日発売されたKZ ZS10 Proについてレビューをまとめたいと思います。
今回はAliExpressのWooeasy Earphones Store(@hulang9078)から購入しています。
国内amazonでも取り扱いが始まっているようです。(2019年4月29日現在)
KZ ZS10 Proは昨年KZ社から発売されたZS10の後継モデルです。ZS10は4BA+1DDのドライバ構成モデルで昨年の発売と同時に話題になったモデルです。それまでの同社の製品はZS6のような高音と低音が派手なドンシャリモデルに定評がありユーザーから一定の評価を得ていましたが、このZS10では全く異なるベクトルのチューニングで派手さを抑えつつ音場の広さや分離性の良さが特徴的なモデルとしてラインナップに追加され、同時にそのドライバ構成が高級機さながらでありながら販売価格が5,000円程度と暴力的なコストパフォーマンスの高さで他社を圧倒したことが拍車をかけていました。
そのZS10の後継モデルとして以前レビューした同じ4BA+1DDドライバ構成(※採用しているドライバが同じという意味ではありません)のCCA C10に遅れること数か月、満を持して登場したのがZS10 Proとなります。
C10はZS10と異なり高音中音低音域、全ての音域のつながりの良さが特徴的で良くも悪くもZS10の各音域の分離感の高さとは対極的な存在で完成度としてはC10の方が上と云えそうですが、後発のZS10 Proがどのようなチューニングで音質を仕上げてきたのか非常に気になるところです。
また同じ中価格帯になりますがA10000では以前レビューしたYinyoo Topazが同じドライバ構成(※略)となりこちらはC10の上位互換と云える音質傾向でしたので、KZ社の本気をこのZS10 Proで見せてくれるのか届くのが楽しみで仕方がなかったですね。
ZS10 Proの納期としては4月上旬にオーダーし2週間ほどで届きましたが発送がオーダーの5日後でしたので実質10日程度ですね。最近は本当にAliExpressで購入しても発送さえされれば1週間から10日程度で届きますので利便性が上がり買いやすくなったと思います。
そんな訳で、一般的にAliExpressでの購入では国内で購入するより安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。
ZS10 Proのスペックは5,000円前後の中価格帯中華イヤホンでは最近では珍しくない4BA+1DDのハイブリッドです。KZでは他にZS7もありA5000の中価格帯で昨年末頃から4BA+1DDのハイブリッドモデルが複数発売されており、4BA+1DDや5BAのモデルが中心となってきていてZS6系の2BA+2DDモデル新型を見かけなくなりましたね。
そしてZS10 Proは5ドライバのハイブリッドモデルですが、それぞれのドライバは役割がはっきりしており低価格帯の2ドライバ構成ではBAが中高音域を、DDが中低音域を主に担当しているドライバの分担では中音域が弱くなりがちでどの音域を重視するかによって音質が大きく変わる傾向があります。そのためこれまでレビューした低価格中華1BA+1DDイヤホンとは異なり4BAで中高音域を。DDが低音域を担うことができ中音域の弱さの心配はありませんがそれぞれ各音域毎は兎も角、その音域のつながりを意識したチューニングがポイントになり、各音域が重なるクロスオーバーがチューニング技術の見せどころとなります。このチューニング次第でZS10 Proが「当り」か「外れ」という評価に繋がってくるといえます。個人的にはこの構成でC10が良かったのでZS10 ProがC10と音質傾向をどのように違っているのか。若しくは同じなのかが気になって仕方がないんですよね。
それでは、早速KZ ZS10 Proのレビューを以下、まとめていきます。
パッケージングはいつものKZの白箱のスリーブタイプです。スリーブを外すと白地の内装にイヤホンが収納されているこれまで同様の化粧箱です。
内装を取り出すと付属品がその下、箱の中にあります。
付属品はイヤーピースがいつものKZ付属シリコンS、M、Lの3種各1セットとC10で付属しているシリコンの別タイプMサイズ(本体取付け済)イヤピとケーブルです。いつも通り中価格帯のようにケース等はありません。余計な付属品はいらないとう潔さは好感が持てます。
ビルドクオリティですが、このZS10 Proは従来のKZ低価格帯とは異なる丁寧な造りです。最近は低価格帯でも各所の仕上りに雑なところが無くなってきましたが流石の中価格帯でしょうか、安心して購入できるのではと感じています。カラーバリエーションはみぃねこは青色を選択しましたが他に紫色と黒色が選択できます。
付属ケーブルはZSN Pro等に付属するものと似ている暗い茶色の編込みタイプでZSN Pro同様のqdcコネクタ2ピン仕様です。またシュア掛け用のチューブ加工がされており耳への装着性も悪くありません。肝心の使用感も悪くなくシュア掛け部にはワイヤーはありませんので、ワイヤーが苦手な方には朗報ですね。そして全体的に絡まりにくくしなやかなものとなります。これは低価格帯で交換前提の質感の悪いケーブルとは異なりそのまま使用できますし落ち着いた色合いも普段使いするには目立たず嬉しいですよね。
シェル本体はZSN(無印)に似ていてフェイスプレートのデザインがそっくりですが、寧ろCCA C10と同じといって良さそうです。C10と異なるのはフェイスプレートのデザインとステムノズルがZS10 Proでは金属というところが明らかな違いですが、ステムノズルの角度と長さが微妙に違うようですね。
ZS10と比較した場合には全然違い一回り以上コンパクトになりデザインも洗練された印象を受けます。
それらを比較した場合、重量はZS10が一番重くZS10 Pro及びC10がほぼ同じですね。ただしステムがC10と微妙に異なっている影響かC10ではイヤピを定番のAET07でその装着感は良好でしたがZS10 Proでは最初から付属していたイヤピでも装着感は良好も低音が少し弱く感じたためAET07へ交換。これも最初は良好でしたが少し長い間(アルバム1枚程度)つけていると耳が痛くなり少し迷走しました。結局最近発売された七福神商事の丸七長楽青Mサイズで装着感及び音質が本来のものと感じられたのでそれに交換しています。
これは低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)
ではいよいよ音質についてまとめていきます。
今回の再生環境はFiiO M9、アンバランス直挿し。ケーブルは多ドラハイブリッドということもありC10同様に音質傾向が極端に変わらずに情報量を上げるタイプとしてYYX4733にリケーブルしています。これは先述したイヤピ同様に本来の性能を発揮させるためとなります。(これにより見た目もかなり青で統一感がでてきましたので結果満足しています。)
加えて以前のKZ AS06、ZS7、C10(及びAS10)レビュー同様に中価格帯イヤホン相応のDAPということでFiiO M9を基準としてレビューを行いますのでご容赦ください。尤もiPhone6sやShanling M0でも十分鳴らすことができましたが特に低音の良さを引き出し中高音の解像度を感じるためには相応のDAPを使用することをお勧めします。気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。
それでは実際に聴いてみます。
ソースは宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳をとじて、倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。
先述の通りイヤピは丸七長楽青 Mサイズ、リケーブルはYYX4733を使用しています。
箱出しで聴いてみた第一印象は「中高音の主張がしっかり感じられながら締まりのある低音が心地よい」でした。(もちろんスマホ付属品とは大違いです。)
箱出し直後は低音域が少し弱く感じたため今回も先に鳴らし込みを行い聴き込んでみました。
音場は普通からやや広めで音の分離感も普通からやや良好です。
ボーカルは近くも遠くも無く普通で曲によってやや近く感じます。
低音は量感は十分で広がりは控えめながら締りとキレもあり芯を感じます。バスドラムの強さと沈み込みを感じられベースラインもしかっりと追えます。
高音は煌びやかさと伸びを感じますが刺さりは感じませんし低音に埋もれることはありません。シンバルは音の響きを十分感じることができます。
中音は明快にギターの音を捉えボーカルは音の中心にいて存在感を示し高音低音に埋もれることがないバランスです。
傾向として一言で云えばややドンシャリと感じます。
一言で云えば以前レビューしたC10のなめらかですっきりクリアな中高音域とは方向性が異なる傾向でZS7の中高音域の派手さとも異なります。
もっと云えばZS10無印と比較してみるとやはりこちらの改良版としての認識を強く持たざるを得ないこと。これはZS10の各音域の分離の良さや音場の広さを感じられる音作りを踏襲し物足りなかった高音域は主張を増し、中音域はZS10で感じた良く云えば分離感。悪く云えば好き勝手に鳴っていた高音域と低音域のつながりの不自然さがなくなり、ZS10のやや乾いたボーカルより自然になりなめらかさがあります。低音域はZS10の量感よりややあり広がりもありますが沈み込みも感じられる質の高さがあります。
次にC10との比較では先述の通り中高音域の明快さが最も違い、高音域、中音域、低音域全音域の自然なつながりの良さはC10に一歩譲る感じで低音はC10と同傾向ですがC10の方がやや良感がありやや広がりがあります。
上記の通りこのZS10 ProはこれまでのKZが突き詰めたドンシャリの爽快感や心地よさを備え聴きやすく進化した一つの完成形と云えるかもしれませんね。
ということで折角なのでC10、ZS10 Pro、ZS10の3機種の比較を項目ごとに以下まとめてみます。
高音
ZS10 Pro > C10 > ZS10
ZS10から進化したKZサウンドのPro。
C10はベクトルが違うまとめ方。
ZS10は好き勝手に鳴らしてる感が否めない
中音
C10 ≧ ZS10 Pro > ZS10
高中低音域のつながりとなめらかさのC10。
Proの明快さが好きという意見も分かります。
粗さというか不自然さが目立つ。
低音
C10 ≧ ZS10 Pro > ZS10
C10はベースラインが優秀
C10同様に強く芯がある低音のPro
DDの低音として優秀も分が悪い。
ボーカル
C10 > ZS10 Pro > ZS10
クリアでなめらかなC10。
ZS10から進化したPro
音場
ZS10 Pro ≧ C10 ≧ ZS10
左右に広さを感じるPro
クリアですっきりとなめらかさのあるC10も悪くない
悪くないが相対的に不自然さを感じるZS10
分離
ZS10 Pro ≧ ZS10 ≧ C10
強いて云えば音数が多く主張が強い順に。
音量
ZS10 Pro > C10 > ZS10
ZS10はアンプが必要という評価の通りですね
総合評価
C10 ≧ ZS10 Pro > ZS10
C10の高中低音域のつながりはレベルが高くなめらかな中音域。
Proの無印から進化したKZサウンドのレベルは高い。
今となってはZS10の優位性もProの登場によって終焉に向かう。
まとめとして、総合評価の項でも触れましたがCCA C10とKZ ZS10 Proはこの価格帯の多ドラハイブリッドとしてかなりレベルが高く、恐らく殆どの方が満足していただける音質と云えそうですね。実際みぃねこはどちらも好きですし使い分けられるこの2つに関しては聴く人の嗜好によって評価が分かれるのではないでしょうか。
そしてZS10ですが、みぃねこが沼にハマるきっかけの一つとなったお気に入りの1本でしたがProの登場によりそのポジションが奪われたという印象です。いつの時代も生きの良い若手が中心選手のベテランをベンチに追いやり世代交代を続ける、、そんな光景をイヤホンで感じることになるとは思いもよりませんでしたが。
このあたりの比較は以前レビューしたAS06、ZS7やC10(及びAS10)との比較レビューも併せてご参考ください
さてKZ ZS10 Proは最近の中価格帯中華多ドラハイブリッドイヤホンの中でも高中低音域がバランス良くZS10の後継モデルとして完成度の高いイヤホンとまとめました。
手持ちでは相変わらず先に届いているのにどんどん後回しになりお蔵入りしそうなイヤホンもありますが、いつかこれらのイヤホンも低価格帯の中華1BA+1DDイヤホン同様にレビューしてみたいと思います。それらも気長にお待ちいただけますと幸いです。
最後に、今回はA5,000円前後で買える中価格中華イヤホンの紹介となりました。現在amazonでも取り扱いが始まりAliExpressでは3,000円後半~4,000円半ば程度で購入できるようですが入手性に少々難があります。とはいえこれまでの低価格帯と違い中価格中華イヤホンの実売価格では、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっていますので中価格帯の中華イヤホンの購入を考えていて少しでも気になった方は安心確実のamazonを。少しでも安い方が良い方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。
ZS10 Pro
以下、イヤピ丸七長楽青 M、リケーブルYYX4733、DAP M9
高音★★★★
中音★★★★
低音★★★★
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★ (C10とお好みで)
※☆0.5、★1.0
C10
以下、イヤピAET07 M、リケーブルKBF4736、DAP M9
高音★★★☆
中音★★★★★
低音★★★★☆
音場★★★★
分離★★★☆
お勧め度★★★★★ (ZS10 Proとお好みで)
※☆0.5、★1.0
※DAP FiiO M9で再評価
ZS10
以下、イヤピAET06 M、リケーブルYYX4743、DAP M9
高音★★★☆
中音★★★☆
低音★★★☆
音場★★★☆
分離★★★☆
お勧め度★★★☆ (積極的に購入はお勧めしません)
※☆0.5、★1.0
あとがきとして、今回は4BA+1DDの中価格中華イヤホンの商品をレビューをしてみました。以前レビューした4BA+1DDや3BA、5BAの中価格帯中華イヤホンとも比較として併せてご参考ください。
今後も気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
平成最後の日に更新できた事にホッとしていますが令和になっても挑戦していきたいと思います。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ