みぃねこの備忘録

いろいろなこと、主に趣味の備忘録として活用。アフィリエイトやってません。お気軽にリンクからどうぞ。

CCA CX4 & CX10レビュー

こんにちは。

今回は中華ワイヤレスイヤホンレビューとして、CCAから先日発売されたCCA CX4とCX10についてレビューをまとめたいと思います。

今回は国内amazonのWTSUN Audio(@Zhuo520x)から購入しています。

 

 

 

AliExpressではWooeasy Earphones Store(@hulang9078)で取扱があります。

 

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1. CCA CX4 & CX10について 

CCA CX4及び、CX10は以前レビューしたTrn T200やKZ E10と同様のイヤホン本体と音楽プレイヤーを無線電波によってケーブルを介さずにワイヤレスで接続し、更にイヤホンの左右がケーブルで繋がれていない左右完全独立型のワイヤレスイヤホンとなります。

昨年後半からKZ社やTrn社も左右完全独立型の完全ワイヤレスイヤホン(True Wireless Stereo。以下TWS)をリリースしておりますが、KZの兄弟ブランドであるCCAからもこの度発売され、いよいよ役者がそろったというところです。

しかも、一度に二機種。

CX4が1BA+1DDハイブリッドでTrn T200の対抗と云え、更にKZ S1やS2のSシリーズ、KZ Z1のZシリーズのブランド違いモデルと云えそうです。

またCX10は4BA+1DD多ドラハイブリッドでKZ E10の耳掛け式からシンプルなシェル本体のみとしたTWSとなっています。

完全ワイヤレスタイプのイヤホンは昨年から安価でありながら実用性能が十分なモデルが多く発売されています。

その中でも愛用しているのが、以前レビューしたQ70やTrn T200です。

Q70は1DDを搭載するモデルで、T200は1BA+1DDハイブリッドモデルであり、Q70の低音が豊潤で中低音寄りなため動画視聴、特に音声作品に強く、Netflix等を観る時に便利です。

一方、T200はすっきりとした音色で1BA+1DDハイブリッドの解像感は低音が控えめながらもSpotify等を聴きながら作業するのに丁度良く便利でした。

これらのポジションを脅かす存在にCX4とCX10は成りえるのか。

その期待を胸に両方購入し試すという力技をまたしても実践していく訳です。

そう、これは新しい沼。「TWS沼へようこそ」という世界観をお楽しみください。

 

※気になる方は以前の記事も併せてご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

miineco106.hatenadiary.jp

 

さて、以前レビューしたQ70やTrn T200はBluetoothチップにQualcomm QCC3020を搭載しapt-Xにも対応していましたが、CCA CX4とCX10ではapt-Xには対応していません。SBC、AACの無線コーデックに対応しています。みぃねこのスマホiPhoneですので、困ることはありませんが、androidスマホユーザーは少々残念なところです。

 

CX10とCX10の納期は流石の国内amazon。当日発送、翌日配達です。AliExpressで購入した場合、平時はオーダーして2~3週間で届くのは「普通」というところでしたが、現在の状況では一ヵ月程度は覚悟が必要です。尤も配送オプションでFedEXやDHL等を選択すれば一週間から10日程度となりますが、数千円のもに数千円の送料を掛けるならば、国内で簡単に手続き可能な保証付きを購入する方が賢明と云えそうです。

そんな訳で、一般的にAliExpressでの購入では国内で購入するより安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 
それではCCA CX4 & CX10のスペックを詳しく見ていきます。

 

■主要スペック(amazon及びAliExpress商品ページ抜粋)

  CX4 CX10
低音域ドライバ 7mmダブルマグネティックダイナミック 1基
中音域ドライバ - バランスドアーマチュア 30024 2基
高音域ドライバ バランスドアーマチュア 30019 1基 バランスドアーマチュア 30095 2基
Bluetoothバージョン 5.0
通信距離 約20m
コーデック AAC、SBC
ケース電池容量 400mAh 400mAh
音楽再生 約3-4時間 約2-3時間
連続使用時間 約22時間 約18時間
イヤホン充電時間 約2時間
ケース充電時間 約2時間
イヤホン重量 約4.9g
ケース重量 約50g
ケースサイズ 約60x60x30mm

 

二つの機種は搭載するドライバ数及び種類が異なることが大きな違いで、他には再生時間が搭載するドライバ数の多いCX10が短くなります。

価格をみるとCX4の4000円に対し、CX10が8,000円と倍になりますが、CX10は5,000円以上10,000円未満の中価格完全ワイヤレス中華イヤホンでは先述の通り片側5ドライバを搭載した4BA+1DDのドライバ構成です。同価格帯の有線イヤホンではおなじみのドライバ構成ですが、この価格帯では本当に珍しい希少価値のある機種と云えますので、それを考慮すると圧倒的なコストパフォーマンスと云えると思います。

正直に云えば、もう少し安価な方が初めて購入する方にもお勧めしやすいですけど。

とはいえ、プライムセール等を活用して購入すればもっと安価に購入することもできると思いますので、チェックをしてみてくださいね。

 

CX4とCX10はどちらもBluetoothバージョン5.0を採用し省電力と接続安定性が高く、以前レビューしたQ70やTrn T200同様に通信は安定していてリビングにiPhoneを置きイヤホンを装着したまま家事を行ったり壁を隔てた部屋間の移動でも途切れることはなく、屋外での使用では駅構内等でも殆ど途切れることがありませんでした。

また、連続使用は特にCX10は流石にドライバ数が多いこともあり2時間程度の連続使用にとどまり公称よりはやや短め。尤もこれは使用環境、条件により変わりますので参考程度にお願いします。

多ドラTWSの商品はこれが今後の最優先課題となると思いますが、バッテリー性能に依存しており直ぐには難しいでしょうね。

そして、iPhoneとの無線接続の際にはAACで接続することができSBC接続時より高音質で音楽を聴くことができました。次に他のDAPでも試してみました。Shanling Q1やSONY NW-ZX507でもAAC接続を使用できます。ただし経験上少々難がある認識で、やはり先述の条件では屋内は途切れは問題ないのものの、屋外では結構途切れることがありました。そのため個人的にはAACで接続できるiPhoneとの親和性は高いと感じています。

 

次に使用時間や充電時間ですが実際に使ってみた印象として充電時間はほぼスペック通りと感じましたが、私の環境では音楽再生は少し短く感じました。スペックの7割程度ですね。とは言え、家で映画を観たり通勤往復でも十分ですし、会社についたらケースに入れれば自動的に充電されますので実用上問題ないです。実際のところメーカー公称時間とユーザーの実行時間として、これは他のメーカーでも云えることですので有効使用時間として問題なく満足できると云えます。

イヤホンの充電はケースに入れると始まります。CX4とCX10ではTrn T200よりバッテリー容量が少なくなります(その為連続使用時間は短い)。こちらは使用した時間=電池残量にもよりますが数分から数十分程度で完了しますが、バッテリーローからは2時間かからない程度でした。

ケースの充電は残量によりますが2時間程度で完了します。ケースのバッテリー容量が小さいため他社製品より少し充電時間は短め。一度フル充電しておけばイヤホン本体をバッテリローから理屈では4回程充電できることになります。そしてケースの充電残量はケースのLEDにより残量が分かります。これは地味ですが便利な機能の一つですね。

  • ケースLED表示赤色:30%未満
  • ケースLED表示黄色:30%以上70%未満
  • ケースLED表示緑色:70%以上

 

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惜しいのはケースの充電はmicroUSBが採用されていますので、最近のスマホDAP等との兼用ができません。充電器は一般的なUSBタイプの5V1A仕様が推奨されています。

注意点として、音量が初期接続時かなり大きいです。スマホDAP側で音量を下げてから再生をしてください。

イヤホン本体はカスタムIEM風の造形です。そのため他のTWS同様に耳へはイヤーピースで保持し収めるタイプとなりますので、イヤーピース合わせは重要になります。

 

■初回ペアリング方法(iPhone iOS14.0.1で検証済)

  • iPhoneBluetoothを有効にする。
  • ケースからイヤホンを取り出す。
  • iPhoneの設定メニューでBluetooth機器の画面に「CX4」又は「CX10」が表示されるのでそれを選択する。
  • iPhoneの画面右上バッテリー残量表示の左にヘッドホンマークがでれば完了。

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これだけです。

注意点としては、

初めにiPhoneBluetoothを有効にしてください。

取り出したイヤホンは最初に左右のイヤホンがペアリング(Pairing)します。その次にスマホ及びDAPと接続(Connected)します。

この手順が重要です。

上手くいかない場合、一度iPhoneからCX4又はCX10の接続の登録を削除して再度初めから実施してみてください。ペアリングが完了している場合、2回目以降はiPhoneBluetoothをONにしてケースから取り出せば自動的に接続します。上手く接続しない場合はiPhoneBluetooth設定画面から「CX4」又は「CX10」を選択してください。それでもダメなときはイヤホン側をリセットしてください。

 

■リセット方法

  • ケースから取り出しスマホ等と接続していない状態にする。
  • 左右イヤホンを6秒長押しタップ。(電源OFF)
  • 次に左右イヤホンを7秒長押しタップ。(電源ON。ペアリングモードへ)
  • その次に左右イヤホンを4回タップ。(ペア情報リセット。その後電源OFF)
  • ケースに戻し、リセット完了。

 

■イヤホン本体の操作方法(初回ペアリング済で検証)

  • iPhoneBluetoothを有効にする。
  • ケースから取り出すと接続開始。
  • iPhoneの画面右上にヘッドホンマークがでれば接続完了。
  • iPhone標準のミュージックアプリで聴きたい曲を選択し再生する。
  • イヤホン左/右本体を1回タップすると再生/停止する。
  • 再生停止中に左本体を2タップすると前の曲に戻る。
  • 再生停止中に右本体を2タップすると次の曲に進む。
  • 再生中に左本体を2回タップすると再生中の曲の頭に戻る。これを繰り返すと前の曲に戻る。
  • 再生中に右本体を2回タップすると次の曲を再生する。
  • 再生中/停止中に左右本体を2秒長押しタップするとSriを呼び出し。
  • 着信中にイヤホン左右のどちらかを1回タップで通話開始。通話中にイヤホン左右どちらかを1回タップして通話終了。
  • 着信中にイヤホン左右の何方かを長押しすると着信拒否。
  • (電源OFFの状態で)イヤホン左右を3秒長押しタップし電源ON。
  • (電源ONの状態で)イヤホン左右を6秒長押しタップし電源OFF。
  • (電源ONの状態で)ゲームアプリ起動後、イヤホン左右を3回タップしゲームモードに変更。もう一度行うと元に戻る。
  • 使い終わったらイヤホンをケースに戻す。
  • 接続が解除される。
  • ケースのバッテリー残量がある場合イヤホン充電開始。
 

音楽再生にかかわる主な操作方法を抜粋し検証した方法をまとめてみました。基本的にどちらも操作方法は同じ様です。

少し惜しいのはQ70同様に音量調整がイヤホン本体からできないことですね。Trn T200ではこれが可能でしたので残念です。

またCX4とCX10はQ70同様にタッチ式ですが操作感は良好です。Q70では少し慣れが必要でしたが、初めて使う方でも自然に使えるレベルですのでかなりポイントが高いです。 

操作の反応は少々ラグがありますので一呼吸置くくらいでOKです。これも他のモデルと同じレベルですので最初は戸惑うかもしれませんが慣れれば問題ないですし、くれぐれも反応しないと焦って連続で操作しない事。少し間を置くことが大事ですね。

TWSと云えばやはりケースから取り出すと自動でイヤホンの電源が入り接続が完了することと、ケースに戻すとイヤホンの電源が切れて接続が解除され充電開始されるという使う/仕舞うの一連の流れがケースから出す/戻す事で完了する手軽さですね。ネックバンドタイプは手動で電源ON/OFFの操作が必要ですからね。

 

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 接続はトニカク簡単でスムース。

 

※充電中ステータスをイヤホン本体のLEDで表示。

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イヤホン充電ステータスは左右のイヤホンのフェイスプレートにあるLEDが点灯し充電完了後は消灯します。CX4は赤色、CX10は緑(青?)色が点灯。

 

※ケースの充電ステータス表示。 こちらはどちらも共通で充電中は赤色点灯。完了後、緑色点灯。

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ケースの充電ステータスは左右イヤホンの間にあるLEDが点灯し残量を示しその後消灯します。ケース充電中は赤色点灯し充電完了後は緑色点灯します。 

 

 

2. CCA CX4 & CX10実機レビュー 

それでは、早速CX4とCX10の実機レビューを以下、まとめていきます。

 

先ずは、CX4。
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次にCX10。 

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どちらもパッケージングは白箱を基調としていてCX10は最近のCA16等と同じシンプルなタイプです。一般ウケが良いのはCX4の方ですね。

 

次に付属品を。先ずはCX4。 

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次にCX10を。
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付属品はイヤーピースがS、Mの2種2セットでMサイズが本体取付け済みで、他にはmicroUSB-タイプA充電ケーブルです。流石に必要最低限の付属品ですね。

もちろん取扱説明書が付属していますがCX4は英語表記と中国語のみでCX10には日本語もあります。まあ図解もありますしamazon当該ページに使用方法の説明もありますので余程のことがない限り困ることはないと思いますし、万が一の際はセラーのサポートがありますので問題ないと思います。

 

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イヤーピースは他の中華TWSの付属品同様に特殊なタイプが2種付属。両種共に軸がかなり短めです。所謂TWS専用タイプですね。

 

それでは実際にイヤホンを見てみましょう。先ずはCX4。

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次にCX10を。 

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ビルドクオリティですが、このCXシリーズアは中華イヤホンで心配されるような各所の仕上りに雑なところを感じません。以前購入したネックバンドタイプの商品では残念ながら不良品に当たりましたがそんな心配は不要ですね。カラーバリエーションはCX4が紫色と灰色。CX10が緑色、黒色、灰色があります。

そしてどちらも付属の充電用ケーブルは短めなので充電のみで使用する場合、手持ちのmicroUSB-タイプAケーブルを使用した方が便利かもしれません。

 

※左からTrn T200、CCA CX4、CCA CX10 

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三機種共にシェル本体は樹脂製でステムノズルにはメッシュフィルターがあります。

CX4とCX10はステムノズルが金属で細めのタイプが採用されています。

シェル本体の形状もカスタムIEM風で丸みを帯びており装着感は悪くありません。

 

※ケースの大きさも三機種で比較

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Trn T200のケースが圧倒的にコンパクトです。しかしCX4とCX10も十分にコンパクトでポケットに入るサイズですので持ち運びに困ることはありません。

次に耳への装着は付属品イヤーピースでは音質的に抜けてくる感じがありましたので最近発売されたFinal タイプE 完全ワイヤレス用、Sサイズを使用し耳の奥の方に栓をするように装着するとみぃねこはしっくりきましたが、この辺りは個人差があるかもしれませんね。このイヤーピースならケースに干渉せずに収納でき、充電できていないという事もありませんでした。

この音が抜けてくる感覚は付属イヤピではどうしようもなく、フィット感はさておき音質が本来のものと異なると感じました。

加えて、低価格帯の完全ワイヤレスイヤホンの難点に付属のイヤピが特殊サイズでアフターマーケットのイヤピで音質やフィット感が良くなっても肝心のケースに入らないことがあり使用を諦めてしまう方がいるようです。

諦める前に一度このFinal タイプE 完全ワイヤレス用を試してみてください。SS、S、M、L、LLの5サイズ展開で多くの方にフィットできると思いますし、完全ワイヤレスイヤホン用に使うなら先ずはコレと云えるくらいにお勧めですよ。

 

 

3. CCA CX4 & CX10音質について 

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

今回の再生環境はiPhone8、Bluetooth コーデックAAC接続です。

実際に聴いてみます。

ソースは宇多田ヒカル/First Love平井堅/瞳をとじて倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。
先述の通りイヤピはFinal タイプE 完全ワイヤレス用 Sサイズを使用しています。

箱出しで聴いてみた第一印象はCX4が「低音が豊かなドンシャリながらもボーカルが聴きやすい」、CX10が「中高音の分離が良く見通しも良い音場の広さを感じる」でした。※加えて先述の通り音量が大きめです。最初にスマホ側で音量を下げてから再生してください。

先ずはCX4から。

音場は普通で音の分離感も普通。
低音は量感があり締りとキレは普通程度。ベースラインも追いやすい。重低音の沈み込みの深さはそれほど感じませんが、TWSとしてはかなりしっかりとした強さのある低音域です。
高音は煌びやかさがあり中低音に埋もれることもなくしっかりと主張しますが尖りはなく刺さりも感じません。

中音は演奏がやや凹みを感じますが、すっきり聴きやすい。

ボーカルは自然な位置からやや近く聴こえクリアに聴こえます。

一言で云えば中低音寄りのボーカルが聴きやすいドンシャリです。

次にCX10です。

音場は広めで音の分離感は流石の5ドライバです。
低音は量感十分で締りとキレは普通程度。ベースラインも追いやすい。重低音の沈み込みの深さはそれ程は感じませんが、こちらもTWSとしてはしっかりとした強さのある低音域です。

高音は煌びやかさがあり華やかさも十分で小さな音も感じられますが、尖りは無く刺さりも感じません。

中音は凹みを感じず、広さのある見通しが良さとクリアさがあります。演奏もしっかりと聴こえ小さな音も聴こえます。

ボーカルは自然な位置から聴こえ近くも遠くもなくクリアに聴こえます。

一言で云えばやや中高音寄りの聴き疲れの無いややドンシャリです。

 

両者を比較すると、その性格の違いが明らかです。

CX10のCX4よりも低音を僅かに抑えながらもしっかりとした強さがあり中高音邪魔せずに下支えしていて寧ろワイヤレスイヤホンとしての全体のバランスでは丁度良い感じ。T200では中高音のクリアさを重視した音色のため、低音に物足りなさを感じましたが、CX4やCX10では十分な低音の強さが心地よさを感じます。

高音はCX10の音数の多さは華やかさがありますが、寧ろ高音の強さはCX4の方が鋭さを感じます。CX10の華やかさとCX4の煌びやかさという両者共に刺さりとは無縁で聴きやすく性格の異なる音色で上手くまとめている印象です。

中音は両者の方向性の違いが感じやすく、CX10が相対的に強いかというとそうでもなく寧ろボーカルは自然な位置からクリアで聴きやすい中音域の音づくりは、CX4のボーカルの聴きやすさと引き換えに演奏が凹むのとは違う音色と云えます。

傾向としてCX4の低音≧高音≧中音とCX10の中音≧高音≧低音の関係とはやはり違うと云えそうです。まあ、流石に1BA+1DDと4BA+1DDのドライバ構成では奏でる音が異なるのは当然と云えばそれまでですが。

 

今回CCAが二つのワイヤレスイヤホンを発売した意味はそこにあるのかもしれませんね。

如何しても無線接続ではその性質上高音低音域の超高音や重低音がカットされてしまいますし、上を見れば10,000円を超えるモデルで音質が良いのは当たり前。でも先述した性質上の問題は変わりません。

つまり、接続するコーデックと味付けの問題とした場合、必要十分と感じられるのであれば安価に越したことはありません。コストパフォーマンスが高いという事です。

もちろんスマホまたはDAPでイヤホンをapt-X HDやLDACで接続できる数万円の高価格モデルであれば音質的に先述の性質もクリアできベストな選択ですが、高価ですのでなかなか手が出にくいですし、そもそも同じ土俵で比べられません。

そのため、このCCA CX4は低価格帯で。CCA CX10は中価格帯の完全ワイヤレスモデルの中で4BA+1DDという他にほとんど例のない最強の武器を持ち、一般ウケの良い低音域の強さも兼ね備えています。そして、有線接続の多ドラに慣れた、もっと云えばその多ドラの華やかな音が好きな方にはCX10は価値があるモデルと云え、一方CX4は低価格帯1BA+1DDハイブリッドの音が好きな方に価値のあるモデルと云えるのではないでしょうか。

 
さてCCA CX4はスマホで音楽を楽しんでいる、特にiPhoneユーザーに低価格帯のTWSイヤホンの中で選ぶなら。同様にCX10は中価格帯の中華TWSイヤホンの中でもお勧めできる商品とまとめました。

 

最後に、今回は低価格帯5,000円以下及び、5,000円以上10,000円未満で買える中価格帯中華TWSイヤホンの紹介となりました。現在(2020年10月3日)amazonで取り扱いがあり

CX4は4,000円、CX10は8,000円程度で購入できるようです。AliExpressでもCX4は3,000円台、CX10は5,000円台と安価になりますが、その入手性に少々難があります。とはいえこれまでのCX4は低価格帯1BA+1DDの、CX10は中価格帯4BA+1DD中華有線イヤホンと同様の実売価格となり、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっていますので中価格中華イヤホンの購入を考えていて少しでも気になった方は安心確実なamazon。少しでも安い方が良い方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

CX4

以下、イヤピFinal タイプE TWS用 Sサイズ白DAP iPhone8
高音★★★☆ 
中音★★★  
低音★★★★ 
音場★★★
分離★★★
お勧め度★★★★☆ (低音豊かなドンシャリが好きな方)

※☆0.51.0

 

CX10

以下、イヤピFinal タイプE TWS用 Sサイズ黒DAP iPhone8
高音★★★☆ 
中音★★★☆  
低音★★★★ 
音場★★★☆
分離★★★☆
お勧め度★★★★☆ (TWSでも多ドラの音を聴きたい方)

※☆0.51.0

 

あとがきとして、今回は中華完全ワイヤレスイヤホン、二機種をレビューをしてみました。完全ワイヤレスの中華イヤホンは5つ目となります。最新技術を低価格で投入し日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですね。

今後も気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

KZ EDXレビュー

こんにちは。

今回はいつもの1BA+1DD中華イヤホンレビュー編を一休みして低価格帯で発売されたKZ EDXについてレビューをまとめたいと思います。

国内amazonのWTSUN Audio(@Zhuo520x)からサンプル提供いただきました。国内amazonでもWTSUN Audioからの出品があります。が、未だ国内amazon倉庫に入庫しておりませんので中国からの発送となります。(2020/9/25現在)

※国内amazon倉庫に入庫済み(2020/10/10現在)

 

  

 

余談になりますが、マケプレの中国発送はAliExpressから購入する場合と違いamazonの出品者輸送網を利用し1週間程度で届く場合があります。これは新商品をAliExpressのプレセールで購入するよりも、amazonに入庫を待ってから購入した方が手元に届くのが早いという最近の事情がその理由です。

恐らく本国から同じ便で届いても事業者への何かしらの優遇処置があり税関処理が優先されるのかも。まあ、実際のところは判りませんが、個人の経験上その様に感じる事例がいくつかあります。尤も安価な商品の場合、通常発送のChina Post等だったりしますので、その場合はAliExpressと同様に数週間かかりますのでご注意ください。

 

AliExpressのWooeasy Earphones Store(@hulang9078)でも取扱があります。

 

ja.aliexpress.com

 

 

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1. KZ EDXについて 

KZ EDXはただでさえ安価なKZ社の商品の中でも群を抜いていて、低価格帯U1000です。もちろん1BA+1DDハイブリッド等ではなく、ダイナミックドライバ一基の1DD新モデルとなります。中華の1,000円以下のイヤホンでしょ?と思われるかもしれませんが、全然そんなことを感じさせません。以前レビューした1BA+1DDハイブリッドモデルのKZ ZSN Pro XやKZ ZST Xと比較しても外観上遜色はありませんし、音質もかなりバランス良く仕上がっています。

KZ EDXと云えば同社EDシリーズを思いだします。そうです、ED12やED16です。ED12はEDX同様にダイナミックドライバ一基のモデル。ED16は2BA+1DDと多ドラハイブリッドモデルとなります。どちらの後継モデル?と問われればED12と答えても問題は無いと思います。実際それを意図したようにシェルの造形も同じですので。

このEDXはZSN pro XやZST X同様にKZ社の新たな「X」シリーズモデルとして同社のEDシリーズ最新モデルと云えそうですね。そしてKZ社は中華イヤホンファンには説明不要なトップブランド、リーディングカンパニーであり、これまでに低価格帯で発売した優れた音質の1BA+1DDハイブリッドモデルは数知れず。EDXはそれらよりもドライバ構成はシンプルに1DDとなってしまいますが、更に安価な、1,000円を下回る、AliExpressでは700円というバカみたいな(最大級の賛辞)価格のイヤホンが音質が良いなんて…、信じられないでしょ?

でも、あるんですよ。

嘘みたいな本当の話…、気になりますよね(笑)。

 

KZ社と云えば元気で派手なドンシャリが代名詞ですが、一昨年の終わり頃にZSNが発売。ZSNは高音域を控えめにし中音域を中心としたバランス重視の音は、それまでのKZの音とは一線を画す音質傾向が話題となったのは記憶に新しいですね。

そしてこのEDXはシンプルな1DDモデルのため高音域をBAで強調することはできません。また、異なる音域を複数のドライバを用いて鳴らすことで有利となる分離の良さを感じさせたり解像感に特化させることもバランスの良い音を創るために上質なドライバとチューニングの上手さが必要になります。

 

そのため、複数のドライバを使うことで演出してきた解像感の高い音や高音低音を強調した音づくりをしようとしても特定の音域、特に中音域が犠牲にしていることが多く、そういった音が好きな人にはハマる「音」となり「音が良い=好きな音」と評価されているのが現実です。

ところが、このEDXではそういった従来の考え方を見直さなければいけないと考えさせられる、そんな未来を感じさせる音になっていると思います。

 

さて、KZ EDXは以前レビューしたZST X同様にシェル本体は全て樹脂。ステムノズルやフェイスプレートも樹脂です。低価格帯も今ではフェイスプレートやステムノズルが金属製のモデルが多いため、このオール樹脂製タイプは珍しいです。ですが、くれぐれもU1000です。同じ低価格帯と云えどもU3000のZSN pro Xとは異なってしまうのは仕方がないでしょうね。

 

というわけでKZの最新Xシリーズを手に入れましたので、これまでに評価の良かったKZ ZSN pro XやZST Xとの違いを交えながら、KZ EDXのレビューを纏めていきたいと思います。

 

※KZ ZST Xレビューも宜しければご参考ください 

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※KZ ZSN pro Xレビューも宜しければご参考ください 

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EDXのスペックですが先述の通り中華イヤホンの低価格帯U1000でもオーソドックスな高・中・低音の全音域をダイナミックドライバ(DD)一基搭載したシンプルな片側シングルドライバ構成のモデルです。ダイナミックドライバには直径10mmの複合素材磁気ドライバを採用しています。

イヤホン本体は先述の通りオール樹脂製でZST Xと同様。ZSN pro Xのシェル本体が樹脂製、フェイスプレートとステムノズルが金属製とは異なります。最近ではドライバのハイブリッド構成と共にシェル素材のハイブリッド構成という低価格帯のスタンダードからは一歩劣る構成に映りますが、EDXの価格を考えれば高望みはいけませんよね。EDXもZST同様に「僅か700円がこの音!?」を実現しています。

以前レビューした1BA+1DDハイブリイヤホンはステムノズルの素材が金属製と樹脂製との違いによって音質傾向への影響をこれまでレビューした経験から、それが高音域に現れると感じています。多くの低価格1BA+1DDハイブリッドイヤホンでは高音域を担当するBAドライバがステムノズルの中に配置されておりますが、音道管を使用していない為、高音域の伸びや響きに影響があると経験則で捉えていると書きました。EDXはBAがありませんので、影響は無いと考えています。

とはいえ最も大切なのはこれまでレビューした低価格中華1BA+1DDイヤホンの様な複数のドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングはありませんが、シンプルなシングルドライバ故に音域調整のチューニングが一番重要となります。このチューニング次第で「当り」か「外れ」、「良い音」や「音が悪い」という評価に繋がってくるといえますね。

 

EDXの納期としては中国本土からの発送という事もあり、国内amazonのようにはいきません。発送の連絡をいただいてからは1週間程度で届きました。昨今、感染症の影響で中国からの輸送は平時の様にはいきませんが、それも徐々に回復傾向であり最近はシンガポール経由も再開し動き始めていますので、もう少しというところですね。平時であればAliExpressならば早くても約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

 

2. KZ EDX実機レビュー 

それでは、早速KZ EDXの実機レビューを以下、まとめていきます。


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パッケージングはKZ社のシンプルな白地のデザインのスリーブタイプの化粧箱です。
箱の表にはイヤホンイラストが。裏にはスペックが記載されています。


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スリーブを外すと白地の内装の台座にイヤホンが収納されています。またイヤホンが収納された台座を取り出すと箱の下側にイヤーピースやケーブルなどの付属品が入っています。

 

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付属品はKZイヤホンに付属する溝有シリコンイヤーピースの黒色ではなく白色がS、M、Lの3種各1セット。そのシリコン白色イヤピMサイズが本体取付け済み、他にはケーブルです。U1Kの低価格帯としては必要十分の付属品となります。また白色のEDXには前述の白色イヤーピースとなります。そして特筆すべきはケーブルです。後述しますが、先代ZST(Pro)の初期に付属したゴムゴムケーブルではなく、ZSNに付属したものと同様のケーブルが付属しています。


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次にビルドクオリティですが、数年前に発売したZST(Pro)と比べるとレベルアップを感じられ、綺麗に仕上がっていますが、多少ZST Xよりは勘合に甘さが見受けられます。カラーバリエーションは黒色と白色があるようですが、今回白色が届いています。


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付属ケーブルは先述の通りZSN付属ケーブル相当の茶(明るい銅)色の編込みタイプで4芯銅線の線材が採用されています。プレイヤー側コネクタはL字タイプで、イヤホン側は従来のKZタイプB、2ピン仕様、KZ極性(上がプラス)です。この付属ケーブルは耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的に絡まりにくくしなやかなものとなり低価格帯に付属するケーブルの中でも質感が高くそのまま使用できますし茶(明るい銅)色ケーブルは落ちつきもあり、シェルのクリアさと相まって普段使いも可能ですね。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けは結構Rがきつめです。どうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

※画像左からZST X、EDX、ZSN pro X 
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EDXはZST XとZSN pro Xの外観の比較として、サイズ感はほぼ同じ。シェルの造形もほぼ同様で、EDXとZST XとZSN pro Xのシェル本体はステムノズルとフェイスプレートを除き造形が一致しています。

これら三機種ではZSN pro Xのみ金属製ステムノズルと金属製フェイスプレートで、それらの厚みやデザインは異なります。そしてEDXとZST Xのオール樹脂製が一番軽量ですが、それでも耳への装着時には殆ど気にならないレベルの差でしかなく、三機種共に耳への装着感は悪くありません。ステムノズルの太さは三機種共にやや太め。その中ではEDXとZST Xが細めとなり、角度は三機種ともほぼ同じとなり、耳への装着感は良好ですね。

また、EDXとZST Xはステムノズルはシェル本体と一体型で樹脂製となり、金属製のZSN pro X含め全てにメッシュフィルターがありますのでシェル内に異物の混入は防げます。

シェル本体の形状からは三機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。 

 

なお、先述の通りEDXはステムノズルはやや太めです。太いステムノズルは装着感に影響があり、付属のKZ溝有白イヤーピースは同黒色よりも比較的傘が柔らかく、みぃねこは長時間の使用でも痛くらなりにくかったです。そして耳には奥の方で栓をするように装着する形がみぃねこはしっくりきました。低価格帯では毎度付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じるので手持ちのイヤピと交換していますが、今回は付属品のままで対応できました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. KZ EDX音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今回の再生環境はSHANLING Q1、直挿しアンバランス接続です。

これまで同様に低価格帯はShanling Q1にて行います。以前Shanling M0とFiiO M5の比較や、M0とiPhone6sの比較レビューを行っております。

M0とQ1はDACやアンプ等の主要のスペックには変わりがありませんが、聴き比べるとQ1はM0よりも低音が豊かに感じます。どちらもバッテリー駆動なのでM0よりもQ1の方が容量が増え電源供給に余裕があるからなのかもしれませんね。

低価格帯のイヤホンの場合でそれらの違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。

 
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※FiiO M5とShanling M0の比較もよろしければご参考ください。 

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それでは実際に聴いてみます。
ソースは宇多田ヒカル/First Love平井堅/瞳をとじて倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属品 溝無白Mサイズ、付属ケーブルを使用しています。

箱出しで聴いてみた第一印象は「KZらしく明るく華やかさがあり特定の音域を強調していないドンシャリ。」でした。(もちろんスマホ付属品とは大違いです)

箱出しは低音にやや膨らみを感じたので、今回も先に鳴らし込みを行っています。

鳴らし込み後は低音の量感が落ち着き締まった印象です。

音場は広くも狭くもない普通。

高音は控えめながら煌びやかさ華やかさは十分で、刺さりは感じない。

低音は適度な量感があり芯を感じ締りとキレは適度。ベースラインは追いやすい。

重低音の沈み込みは適度で深さはそれほど深さはないものの強さはある。

中音はすっきり聴きやすく適度な華やかさ。ボーカルはクリアで自然な位置から聴かせてくれますがややドライ。曲によってやや近く聴きやすい。

一言で云えば中低音寄りのややドンシャリ

高音はしっかりとした低音域に埋もれず適度な存在感はしつこさは無く適度な煌びやかさと華やかさを感じる事ができる。そのため尖りを感じる事はありません。

中音は楽器の音がボーカルのやや後ろ側及び横に存在を感じますが、曲によってやや遠さを感じます。ただしボーカルを引き立て邪魔をしないようにすっきりとした聴きやすさがあります。

また、ボーカルはドライ寄りで、女性ボーカルのバラード等では暖かさよりもややクールなボーカルの方が好印象だと思います。そのため生々しさやしっとりとした雰囲気を味わいたい方には相性を感じます。

低音は適度な量感と強さがあり中低音寄りも相まって、雰囲気の良さを感じやすい。それは決して高音や中高音をマスクする程ではありません。適度な量感と広がりは脳に響くような低音を求める方ではない限り十分で不足は感じないバランス。芯のある低音は締りとキレもあり適度な強さはクリアな高音と中音を支えバランスの良さを感じます。

とはいえ、やはり1DDというシンプルな構成故に1BA+1DDハイブリッドのような派手な華やかさの演出で隠すことができた粗さを感じますが、価格を考えれば相当のものだと個人的に思います。

 
さて、EDXはこれまでにレビューしたKZの低価格帯1BA+1DDハイブリッドの音とは明らかに違いを感じます。何処かを誇張しない聴きやすい中低音寄りのドンシャリであり、従来のKZ低価格帯で代名詞とも云えるドンシャリとは違う音。強いて云えば最近のKZ ZSN  pro Xの音に近いですが、やはりそれとも違う。それとの違いは明確で高音と中高音及び、低音域はZSN pro Xよりも弱く、音数が少なく圧が弱い印象です。

そして同社ZST Xでは高音低音はKZらしい音でありながらも中音、特にボーカルが聴きやすい音質傾向でしたので、EDXとは毛色が違います。

とはいえ、やはり比較した機種よりも1DDというシンプルな構成故に派手さで隠すことができない粗さは感じます。

 

まとめるとEDXは高音と中高音域は適度な華やかさで十分な存在感がありますが、尖りは無く、低音域は不足なく鳴らし出しゃばらず、中音域は適度な華やかさでボーカルを聴きやすく感じられるバランスの良い音質傾向は、その販売価格から国産低価格U2000のイヤホンを購入するならばこちらをお勧めしたい、U1000の低価格中華イヤホンと云えそうです。

尤もこのリスニング用途としてのバランスの良さは中華イヤホンには高音域のシャリつく刺激的な強さや低音のドンの量が多い強ドンシャリを求める方には、もの足りないと感じ評価が分かれてしまいそうです。

 

高音   ZSN pro X ≧ ZST X ≧ EDX

中音   ZSN pro X ≧ ZST X ≧ EDX

低音   ZSN pro X ≧ ZST X ≧ EDX 

ボーカル ZST X ≧ ZSN pro X ≧ EDX

※1DDと1BA+1DDイヤホンを比べるのは残酷ですよね。

 あくまでも参考程度に。

 

最後に、今回はAliExpressで先日発売された低価格帯中華イヤホンの紹介となりました。現在(2020年9月25日)はAliExpressやamazonで販売されておりますが、海外発送です。一足先にAliExpressでは900円台前後で販売し、そのAliExpressではフォロワー割によって700円を切る価格です。一方amazonでは1500円未だprime扱いの取り扱いは無いものの、冒頭で説明した通り海外発送ですが1,000円と、AliExpressでは安価に入手できますが、その入手性には特に現在難があります。とはいえこれまでの低価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっていますので低価格中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、少しでも安い方が良い方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

amazon入庫しprime扱いの価格に修正(2020/10/10)

 

EDX

以下、付属ケーブル、付属溝有白イヤピ M使用、DAP Q1
高音★★★☆ 
中音★★★☆  
低音★★★★ ※ 
音場★★★
分離★★★
お勧め度★★★★ (1000円以下で選択ならお勧め★5)

※☆0.51.0

 

あとがきとして、今回はいつもの中華低価格1BA+1DDハイブリッドイヤホンではなく、それよりも安価な中華イヤホン新商品のレビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですね。今後も低価格?を中心に、複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

※2021/06/19 誤記修正

 

KBEAR S1 Bluetooth ケーブルレビュー ※KBEAR KS2 Bluetooth

こんにちは。

以前1BA+1DD Bluetoothイヤホン、KZ BTEとの比較として同社のBluetoothケーブル、KZ AP2を用いKZ ZS4をBluetoothイヤホンとしてレビューをしました。

今回も1BA+1DDイヤホンレビュー第二章、応用編 第二回として、無線と有線の音質変化を試してみたいと思います。

用意したものはこちら。

KBEAR S1 Bluetooth ケーブルです。amazonのWTSUN Audio(@Zhuo520x)から購入しました。

 

 

 

1. KBEAR S1について

以前のレビューでも触れましたが、低価格帯のBluetoothイヤホンはスマホで気軽に音楽を楽しむユーザーからのニーズが圧倒的に高く、我々の様な音楽を良い音で聴くためにDAP(Digital Audio Player)を所有し有線イヤホンで愛用する層は少数派。特に日本では20代前半以下のiPhone普及率は世界的に見ても高く、かくいう私もスマホiPhoneを機種変更こそすれどもずっと愛用していますが、最新のandroid機はかなり優秀みたいですね。そして、スマホだけではなくミドルクラス以上のDAPにはandroid OS搭載機が多くなってきており、Wi-Fi通信網の下であればSpotify等のサブスクリプションによる楽曲配信サービスに対応したりyoutube等の動画配信サービスを視聴できる等、ほぼスマホと同じような使い方ができるようになっています。

そんな時代の流れもあり、近年それらのスマホからステレオミニジャック(3.5mmのイヤホンを接続する穴)が廃止されイヤホンとスマホは無線接続が前提となり、加えてイヤホン左右が線で繋がらずそれぞれが独立している左右独立型、所謂TWS(True Wireless Stereo)が数年前よりも高音質化と低価格化が進みました。

このTWSは私も複数所有しており、一度この便利さを体験すると有線イヤホンよりも気軽に使えて音もそこそこ良ければ普段通勤のお供で使用するのには十分だと感じていますが、やっぱり少しでも音が良い「無線」イヤホンでお気に入りの曲を聴きたいと思う日々。

勿論私はDAPも所有していますのでDAPTWSでも使用していますが、こちらはもっぱら家で使っていて、外出時はiPhoneTWSです。そんな時に目にしたのがaptX HDというキーワード。これは無線コーデックといって簡単にいうと無線の接続規格です。このaptX HDで無線接続するとハイレゾ相当で聴くことができる優れもの。といっても元々の曲データ(音源)がハイレゾ相当でないと意味がなく、圧縮音源(MP3等)ではその恩恵を受けられませんので注意が必要です。幸い私はDAPを所有しているくらいのポータブルオーディオファンなので、そこは問題なし。

そして色々調べて探した結果、冒頭の商品に巡り合ったわけです。で、何故にTWSではなくイヤホン左右を線で繋がったネックバンドタイプなのか?

答えは簡単です。現在販売しているTWSにはaptX HD接続できるものが存在しないからです。ニーズがありそうなのに何故販売されていないのか?

それは各社メーカーの理由として簡単にいえば半導体チップ等の技術的なものというよりも電力供給や連続使用時間といったバッテリー性能によるもののようです。もっと小型で電池容量の大きなものが開発されれば近い将来?登場するかもしれませんね。

そんな訳で、KBEAR S1 Bluetooth ケーブルは有線イヤホンを無線イヤホンへアップグレードするリケーブルとして販売されていて、スペックは以前レビューしたKZ AP2 Bluetooth ケーブルの無線仕様から接続品質と高音質無線コーデックが向上している最新モデルになります。

 

KBEAR S1 Bluetoothの主なスペックは以下の通り。

  • Bluetooth      5.0
  • チップ     Qualcomm QCC3034
  • 対応コーデック SBC/AAC/aptX/aptX HD
  • 通話性能    CVC8.0
  • 待機時間    100時間
  • 連続使用時間  7-10時間
  • 充電時間    1-2時間
  • コネクタ    2ピン/TFZ 2ピン/mmcx 3種のコネクタ違いを販売
  • 防水性能    IPX5

 

Bluetoothイヤホンとして使用する場合の凡そ必要な条件を満たしています。一つ注意点があるのは2ピンモデルが2種あり、接続するイヤホンによって通常の2ピンタイプ、TFZ 2ピンタイプを選択する必要があります。

また、KZ-Cタイプのイヤホンには通常の2ピンタイプを選択してください。

 
 

2. KBEAR S1実機レビュー

 
今回通常の2ピンタイプを選択しておりますので、それの説明となりますのでご了承ください。
S1の形状およびケーブル長さですが、所謂ネックバンドタイプでAP2のネックストラップタイプとは異なります。どちらもケーブル途中、イヤホン側の方に2つのケースを左右対称位置に配置し大きさはほぼ一緒。一方はリモコン部、もう一方はバッテリーが収納されています。その為、TWSよりも比較的大きなバッテリーを搭載できるため、一般的なTWSよりも連続使用時間は長くなっています。
TWSはケースに入れて充電して断続的使用時間は長くなります
 
※左がS1、右がAP2 
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S1のケース配置位置はAP2に対し少しイヤホン側に近く、AP2はシュア掛けし易いようにコネクタ側はチューブにワイヤー内臓し癖付けができるようになっていて自由度が高くなっていますが、S1はチューブのみでシュア掛けの癖付けがしてあります。
 
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通常2ピンタイプのイヤホン接続コネクタ部には左右を示す「L」、「R」の表記がありますので迷わずに接続可能です。
 
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リモコン部はAP2同様に音楽再生に関わる操作の殆どが可能となっていて、マイクを搭載していることもあり通話も可能なようです(みぃねこは使用していないので使用感はわかりません)。
 
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※充電中は赤点灯
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※充電完了後、青点灯
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充電はリモコン部のサイドのキャップを外し、付属のUSBケーブルで充電を行います。このタイプの中華製品では充電は5V1A以下が推奨されている場合が多く、特にメーカーで指定がない場合は、それに準じた運用の方が製品故障を防ぐ意味でも安心です。
無線接続品質はiPhoneとの組合せで新幹線や電車内で使用してみました。普段iPhone上着の胸内ポケットいれていますが、この時期は流石にカバンの中に入れています。あくまでも個人の感想となりますが、そのカバンを持ち歩いている限り瞬間的に途切れることはあるものの使用に耐えないようなことはありませんでした。まあ、今の技術、環境では無線は切れるものという認識です。
 
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そして地味に便利なのが最新iosを搭載するのプレイヤー、所謂iOSを搭載する機器、iPhone等では画面右上にこのS1のバッテリー残量が確認できます(ios13でもOKでした)。
 
※自分のデバイス(接続機器名)に「KBEAR S1」と表記 
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無線コーデックはAACとなりますが、iPhoneとの接続は兎に角スムースですし、接続安定性を求める方にはiPhoneとの組合せをお勧めします。
 
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KBEAR S1のパッケージングはKZ AP2と異なりかなり大きい白箱です。
表にはKBEARのメーカーロゴと商品名、aptX HD対応の証として「APT-X HD」の文字。下側面にはスペックが記載されたパッケージングです。
 
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上蓋を開けると白地の台座に収納されたケーブル本体が。その台座を取り出すと箱の下に付属品が収納されています。
 
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付属品はUSB充電ケーブルと取り扱い説明書が同梱されており、USBケーブルはmicro USBとUSB Type-Aのタイプですが、短いので実用的ではないですね。家にあるほかの機器のを流用しましょう。

 

それではこのKBEAR S1 BluetoothをKBEAR KS2にリケーブルしてみます。

 

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流石の純正オプションはフィッテイングも抜群です。社外リケーブル時によくあるコネクタ勘合部の微妙な隙間はできません。また、今回KBEAR KS2のイヤピをfinal TWS用イヤーピース Mサイズに変更しています。このイヤーピースは開口部が大きく音がダイレクトに耳に届くのと傘が非常に柔らかく装着感がかなり良いのでTWSだけでなく他のイヤホンでもお勧めです。

 

次にDAPiPhoneからSONY NW-ZX507へ変更し、肝心のaptX HDで接続してみます。

 

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※予めandroid OSの開発オプションを有効にしBluetoothコーデックをチェック
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無事にZX507とaptX HD接続できました。これで当初の目的である無線接続でありながらハイレゾ相当で音楽を聴く環境が整いました。

 

 

3. KBEAR S1音質レビュー

 

肝心の音質ですが、iPhone 8と無線コーデックAAC接続とZX507と無線コーデックaptX HD接続で試してみました。

ソースはどちらもいつもの宇多田ヒカル/First Love、平井堅/瞳をとじて倖田來未/Moon Cryingですが、iPhoneAAC、ZX507はFLACと何方もCDからのリッピング音源です。

 

先ずはaptX HDのZX507を試しますが、実際に聴く前に以前レビューしたKBEAR KS2を改めてZX507と有線接続で聴き込みます。

 

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※KBEAR KS2の過去レビューもご参考ください

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KBEAR KS2は既に鳴らし込みを終えており、以前のレビューで高音低音がしっかりと存在感があるリスニング用途に最適なイヤホンと評価していましたが、SHANLING Q1と付属イヤピの組み合わせに比べZX507では音場がやや広がり中・低音域に厚みが増した印象です。

そして、aptX HD接続での音質は正直驚きました。ほぼ変わらないです。信じがたいお話かもしれませんが、iPhoneAAC接続した場合に比べるとその差ははっきりと感じます。

iPhoneAACでは高音域の上の方が薄く尖りはなく聴きやすい。その代わり低音域も下の方、重低音は弱く低音の広がりも狭くなりますが、結果としてすっきりとして聴きやすい音に感じます。

一方、ZX507のaptX HDでは先に聴いた有線接続と遜色なく、高音域の上の方で感じる煌びやかさや伸びやかさも低音域の重低音の強さや低音の広がりも十分で、中音域の厚みも感じられます。

厳密にいえばやはり有線接続に分がありますが、そこはあくまでも「遜色がない」ということです。まあ、ブラインドテストで聴き分けられる自信は無いですし、恐るべしaptX HDというのが正直な感想です。

元々AACとaptX接続(HDではない)でもAACよりもaptXの方が低音が強めに感じる傾向はaptX HDでも感じますが、この場合のAACとaptXでは好みの差程度の印象です。すっきりとしたAACと濃い目のaptXぐらいの個人の意見です。

しかし、aptX HDはそうではなかったのです。

もし無線でも良い音で聴きたい方がいればこれをお勧めしますね。

 

音の濃さや華やかさ

 有線KS2 ≧ 無線aptX HD KS2 >> 無線AAC KS2

 

さて、いいところばかりでもいけませんので惜しいところも。

無音時のホワイトノイズはあります。ただし私の環境だけかもしれませんが、断続的に「サー・・・(無音)サー・・・(無音)」と入ります。

曲を再生すれば全く聴こえないので私は気になりませんけど。

次にiPhone及び、ZX507どちらも音量調整の段階の幅が大きく、1段上げ下げすると音量が結構大きく変動します。もう少し小さな音量にしたかったのですが、下げると小さすぎ、上げると大きすぎとなりこの中間が欲しいところです。これだけは個人的に残念。

 

まとめとして、無線の手軽さに加えaptX HDによるハイレゾ相当の高音質で気軽に音楽が楽しめるKBEAR S1は対応するDAPをお持ちの方にお勧めです。

ですが、BluetoothイヤホンはTWSでしょ?という方にはお手持ちのスマホで接続できる無線コーデックをお確かめの上、TWSをお選びくださいね。

今回レビューしたKBEAR S1と同KS2はそれぞれamazonで3,000台で購入できます。僅か6,000円台で手軽で且つ高音質を楽しめ、同価格で買えるTWSよりも音質が頭一つ抜けているためコスパは良いと云えそうです。

気になる方は是非検討してみてくださいね。

 

高音★★★★

中音★★★☆

低音★★★★

音場★★★

分離★★★

お勧め度★★★★ (aptX HDで無線接続する場合)

※KS2とS1を組み合わせてaptX HDでBluetooth接続した評価です

 

あとがきとして、今回はいつもの中華低価格1BA+1DDハイブリッドイヤホンをワイヤレスイヤホン化するBluetoothケーブルの新商品のレビューをまとめました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後も低価格?を中心に、複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

 

  

KZ ZAXレビュー ※CCA CA16 KZ ZSX 比較含む

こんにちは。

今回は中華イヤホンの中から多ドラハイブリッドモデルのレビュー編として中価格帯で発売されているKZ ZAXについてレビューをまとめたいと思います。

今回は国内amazonのWTSUN Audio(@Zhuo520X)から購入しています。

 

 

AliExpressのWooeasy Earphones Store(@hulang9078)でも取扱があります。

 

ja.aliexpress.com

 

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1. KZ ZAXについて 

KZ ZAXは先日レビューしたCCA CA16と同じ多ドラハイブリッドの最新モデルです。前回レビューしたCCA C10 proは4BA+1DDのドライバ構成と5,000円前後の価格という事もあり、中華多ドラハイブリッドモデルのエントリーモデルとしてお勧めしましたが、このZAXは少し先に発売されたCCA CA16と同じ7BA+1DDと片側8ドライバ構成(搭載するドライバは同じではない)となり、昨年登場したCCA C16とKZ AS16が同じく片側8ドライバでもオールBA構成とは異なる多ドラハイブリッドの旗艦モデルです。片側8BAのC16及び、AS16は発売当初の価格が10,000円を超える中価格帯A10K-U20Kモデルとなっており、気軽に手を出しにくい価格でしたが、CA16及び、ZAXは低音域用ドライバにダイナミックドライバを採用することでコストを下げ、発売当初の価格をCA16及び、ZAXは7,000円台(日本amazon)と手が届きやすい価格で発売開始しています。

そんな最新の中華多ドラハイブリッドモデルを前回のC10 proと同様にamazon取扱を待ってオーダーしており、KZ ZAXはCVJ CSN、CCA CA16、Trn VXと今年のCOVID-19の混乱以降 4つ目の多ドラハイブリッドとなります。

KZ ZAXはCCA CA16の兄弟モデルと云え、KZのやんちゃな音質傾向と大人な音質傾向のCCAと棲み分けされてきた従来の関係が本モデルでも維持されているのかどうか非常に楽しみです。

以前レビューでも触れ繰り返しになりますが、どちらが優れているとかは野暮な質問ですし、そういう事を伝えたい訳ではありません。純粋に音楽を楽しむ為にその手段を実現する道具として「好みの差はあれど嗜好に上も下もない」そんな風に認め合えるのがどの世界でも理想的な姿だと思います。仮にそれを否定し「○○こそが正義」がありえる世界ならば、やはりそれはファンタジーなのだと思います。もしも現実から離れた世界でも誰かが誰かと争い誰かと対峙しなければ生きられないならば、そんな世界は知らない方が幸せですし無くなってしまえば良いのに。

 

閑話休題

以前のレビューでも触れましたが、昨年のZSXやC12以降中価格U10000の多ドラハイブリッドモデルが実に半年以上発売されておらず、待ちに待ったKZの新商品です。そして、一時はワイヤレスイヤホンメーカーと揶揄されたKZの久しぶりに登場した多ドラハイブリッドイヤホンの新商品はただただ魅力的に見えますよね。

だって、昨年話題になったKZ ZSXやCCA C12から先日のCCA CA16とこのKZ ZAXは、ZSXやC12の5BA+1DDのドライバ構成(搭載ドライバは同じではありません)からBAを2基増やした片側8つのドライバ構成となり、昨年のオールBA旗艦モデルCCA C16とKZ AS16の系譜と異なる多ドラハイブリッドZSXの系譜としても、CA16に続き登場したKZの多ドラハイブリッド旗艦モデルとしても、一体どんな音を聴かせてくれるのか、期待せざるを得ませんよね。

 

※CCA CA16やKZ ZSXの過去記事もよろしければご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

 

miineco106.hatenadiary.jp

 

いつも通り前置きが長くなりましたが、待望の中価格帯の多ドラハイブリッドモデル、KZ ZAXをCCA CA16に続き入手しましたので、昨年の注目モデルKZ ZSXの片側6ドライバ、5BA+1DDを搭載した多ドラハイブリッドモデルとの違いを含めながら、レビューを纏めていきたいと思います。

 

KZ ZAXはCCA CA16のカスタムIEM風デザインとは異なり、CCA C12等と同じオーソドックスなデザインが採用されています。シェル本体は樹脂製となっており、ステムノズルとフェイスプレートに金属が採用されています。サイズ感はほぼC12と同じですが、ZSXもカスタムIEM風の造形のため、見た目はほぼC12と同じです。肝心の耳への収まりは悪くなく、C12で問題ない方は苦労することは無いと思います。そしてCA16とはステムノズルを除く樹脂製シェルが異なるZAXが音質傾向にどのようなアクセントをつけられているのか気になります。

 

ZAXのスペックは先述の通りCA16とドライバ数が同じであり、ZSXやC12の片側5BA+1DDドライバ構成にBAを2基追加した片側7BA+1DDとなります。搭載ドライバは低域用ドライバをCA16の7mmとは異なる10mmデュアルマグネティックを採用した新型ダイナミックドライバで、C12の10mmと同サイズながらも新型が搭載されています。BAは定評がある30095シングル1基が高音域を担当しCA16と異なりZSX同様にステムノズル部に配置。新開発50024デュアル(2BA)2基が中高音域を担当しこちらはCA16同様にダイナミックドライバに並列に配置。更にCA16と異なり中音域用に30019シングル(1BA)2基がダイナミックドライバに並列配置され、低音域を前述のDD1基が担います。ZSXやC12が高音域30095シングル1基に中音域50060デュアル(2BA)を2基とDD1基の構成で、CA16の高音域30095シングル3基に中音域50024デュアル(2BA)を2基とDD1基の構成とも異なることから、ドライバ構成ではZSXの中高音から中音域のBAを変更し追加したZSXの進化版と勘ぐってしまいますね。

この辺りは実際に聴いてみない事には判りませんが、ZSXの音場の広さと下品ではない華やかさを進化させた(かもしれない)ZAXへの期待感が高まります。

 

次に、先述の通りKZ ZAXはCCA CA16と同じ片側8ドライバ、7BA+1DDモデルではありますが、搭載するBAの種類が一部異なります。実はそれだけではなく、更に搭載位置も異なります。CCA CA16では全てダイナミックドライバに並列配置しておりましたが、ZAXではZSXやC12の様にステムノズル内に1基配置しています。これによりCA16が高、中、低音域を3BA+4BA+1DDの3way方式としていたものをZAXでは1BA+4BA+2BA+1DDの高、中高、中、低音域の4way方式と更にスペック上理想的なドライバ構成と進化してきました。これはもう凄いですし、KZの本気が感じられます。恐ろしや中華。

とは云え、3wayでも大変なのに4wayとこれまで世の中に送り出された中価格多ドラハイブリッド中華イヤホンのように各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーのチューニングポイントを活用できるかが重要となります。このチューニングポイント、経験則を活かしたチューニング次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくるといえますね。

 

KZ ZAXの納期は流石の国内amazon。当日発送、翌日着でした。最近はAliExpressで先行発売しても、結局セラーのamazon発売の方が到着が早く、価格もamazon新発売時のクーポン等で1Kも違わないため、AliExpressのメリットが薄れてきているように感じます。また、AliExpressの中国本土からの発送は未だ中国からの航空便減便による輸送への影響が大きく、AliExpressにてオーダーした場合はチャイナポストを選択しても早くても約2週間。平時は10日から2週間。遅いと3週間でしたが、それなりに時間が掛かる覚悟は必要です。加えて万が一の不良の際に返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くの少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

  

2. KZ ZAX実機レビュー

それでは、早速KZ ZAXの実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングはいつものKZの初期LOT豪華版。シンプルながらも黒を基調とした豪華版化粧箱です。


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箱の上蓋を開けると黒地の内装の台座にイヤホンが収納されています。そして豪華版だけに製品プレートが鎮座するタイプは購入し手にした喜びが増しますね。

イヤホンが収納された台座の下側にはケーブル等の付属品入っています。

 

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付属品はいつものKZの中価格帯商品と同様にシリコンイヤーピースがS、M、Lの3種各1セットが付属します。その内、シリコンイヤピMサイズがイヤホン本体取付け済みで、他にはケーブルです。A5K-U10Kの中価格帯としては少々寂しい付属品ですが、個人的にこれまで同様本体にコスト全振りは嫌いではありません。


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ビルドクオリティですが、KZ ZAXは中華イヤホンで心配されるような各所の仕上りに雑なところを感じません。安心して購入でき、お勧めできると思います。

カラーバリエーションは青色と黒色の2種で、今回は黒色にしました。

 

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付属ケーブルはいつものKZに付属する茶色の編込みタイプではなく、白(銀?)色の編込み銀メッキ銅線タイプが採用されています。プレイヤー側コネクタはL字タイプで、イヤホン側はKZ-Cタイプ(2ピン)、もちろんKZ極性(上がプラス)です。最近の中華イヤホンはKZ-Cタイプが多く採用されていますのでリケーブルの際には注意が必要ですが、みぃねこは気にせず2ピン仕様を使っています。

この付属ケーブルはシュア掛け用にチューブで癖付けがあり耳への装着性、使用感はそれほど悪くはありませんし、全体的に絡まりにくくしなやかなものとなります。また、中価格帯に付属するケーブルとして力不足の印象があるものの、そのまま使用できますし落ち着いた色合いの本体とケーブルとの一体感があり普段使いも可能ですね。

 

※画像左からKZ ZSX、KZ ZAX、CCA CA16
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ZAXは先述の通りC12とほぼ同じ。ZSXの方がシェル本体に厚みがありますが、ややコンパクトです。CA16と比べるとZAXは一回り以上コンパクトです。

ZSXは特徴的なフェイスプレートが話題になりますが実は装着感は良く、CA16もシェル自体は大き目ですが、それと同様にカスタムIEM風の造形は装着感へ好影響を与えていますし、実際装着感は良好です。なによりもCA16はそれらと異なりシェル本体が樹脂製により重量が軽めというのが大きいですね。ZAXはオーソドックスなシェルの造形からは耳への装着感への影響はあまり人を選ばずに使えそうですし、耳の小さな女性や子供を除き、殆どの方で不満を感じることはないのではと思います。

次にステムノズルはZAXは太め。ZSXやC12のように太さに影響するイヤーピースの圧迫感は多少感じます。

また、これらにはステムノズル先端端面にメッシュフィルターが装備されていてシェル内部への異物混入が防げますので、長期の使用にも耐えることができますね。

最後に、シェル本体の形状や付属ケーブルからは3機種ともにシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

ZAXはステムノズルがやや太めのため耳へは付属のイヤーピースでも装着感は悪くないのですが、少々音が軽く抜け気味となったため、いつものAET07 Mに交換し浅めに蓋をするように装着した形がみぃねこは一番しっくりきました。低~中価格帯では毎度付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じることが多くありますので手持ちのイヤピと交換しています。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

なお付属ケーブルも片側8ドライバ、7BA+1DDの性能を活かすためにTrn T4、8芯OCC線へリケーブルしています。

 

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3. KZ ZAX音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今回の再生環境はSONY NW-ZX507、直挿しアンバランス接続です。

前回同様に中価格帯はZX507を基準としてレビューを行います。もちろんShanling Q1やiPhone6sでも鳴らすことができましたが、中高音域の解像感や低音域の表現力で本来の性能を発揮できないと感じましたのでご容赦ください。

低価格帯のイヤホンの場合でその違いを比較しました。気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」や「FiiO M5とSHANLING M0を比較」をご覧ください。

 
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それでは実際に聴いてみます。
ソースは宇多田ヒカル/First Love平井堅/瞳をとじて倖田來未/Moon Crying。高音/低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピはAET07 Mサイズへ。イヤホンの本領を発揮させる為に付属ケーブルからYYX4762にリケーブルしています。

箱出しで聴いてみた第一印象は「音場が広く開放感があり中高音は華やかで響きが良く、低音はしっかりしており量感も十分。良いなコレ。」でした。(もちろんスマホ付属品とは大違いです)
こちらも箱出し直後は低音のボワつきも感じたため今回も先に鳴らし込みを行っています。

音場はやや広め。曲によって広く感じます。

高音は華やかさと煌びやかさがあり響きも良好です。強弱や小さな音も聴き分けられ、刺さりは感じない。

低音は量感十分で強さがありキレも良く締まりがある。ベースラインは追いやすい。

重低音は沈み込みの深さを感じ十分な強さがある。

中音は高音同様に小さな音や強弱を掴み易く解像感は良好。

ボーカルはクリアで滑らか。僅かにドライ気味ですが、自然な位置に感じます。

一言で云えば中高音寄りでややドンシャリに近いバランス。

補足すると、中高音域は凹みを感じず、高音域や低音域も主張が強くない為に中音域をマスクしていません。

もっと云えば、高音はシャリつくような華やかさではなく存在感を示し、伸びの良さと響きの良さを感じます。

中音は響きが良く分離の良さを感じ解像感も良好で、音数が多い曲でもボーカルと演奏は分離良く埋もれることはありません。そのボーカルはクリアで聴きやすく艶があり息遣いを感じられ滑らかさがあります。ただしバラードでは僅かにドライ気味なため女性ボーカルとの相性を感じられる事があるかもしれません。

低音は適度な量感ですが、芯がある強さが曲を下支えし心地良さを感じます。それ故に曲によっては中高音の華やかさが目立ち、物足りなく感じてしまうかもしれません。低音の解像感は良好で音の強弱は十分に掴め、質は良く所謂量感でお茶を濁してはいません。一聴すると低音重視に感じ強ドンシャリの印象となってしまいそうですが、華やかさもある中高音域で、高音と中音の間を凹ませずに上手くまとめていると思います。

 
このバランスは以前レビューしたCA16やKZ ZSXと比較した時に音の傾向はZSXに近く、ZSXの中高音域の凹みを改善した音。またはCCA C12の音場を広くして、高音の主張と低音の量感を控えめにし、中高音域の解像感を増した音と云えそうです。

CA16と最も異なるのは中低音域で特に暖かさを感じる音のCA16に対し、ZAXの音の広がりとシャープさです。

次にZSXと最も異なるのは解像感で、ZSXでは中高音域の凹みを感じ、低音域では解像感よりも量感に振っているように感じます。そういう意味ではやはりCA16の兄弟機であるはずが、ZSXのもう少しを改良した進化版に相応しい音質傾向はこれまでの多ドラハイブリッド旗艦モデルKZ ZSX直系の後継機にと云えるのかもしれません。

そのためC12よりもZSXの音が好きだけどもう少しだけ中高音をシャープさと繊細さのある音を探している方や兎に角多ドラでバランス良く音を求めている方には好評となるのではないでしょうか。

一方CCAの系譜でC10やCA16の様な大人しくも繊細さのある音が好きな方には違和感を感じてしまうかもしれません。

 

KZ ZAXはCCA CA16とは異なるやはりKZ系の音でありながらも従来のやんちゃなドンシャリではなく、かなり明るく優等生としてまとまった音質傾向はKZの中価格帯の中で間違いないモデルと云えますね。

尤も、粗を探せば「定位が」とかある訳ですが、それも野暮ってもんです。この価格帯やこのクラスのモデルにそれを厳密に求める方は国内外の有名老舗メーカーをお持ちでしょうし、そちらの方でお楽しみくださいますと幸いです。

 

まとめとして、KZ ZAXは好評だったZSXの進化版モデルと云えますが、7mm径の新型DDとシェルを大きくせずに1BAをステムに、6BAをDDと並列に収めながらも十分な量感と強さのある低音とし、CA16とは異なり新型4BAを中高音域用に配置し中高音域全体のの厚みを維持させ、中音域を2BAと1DDで補い、高音域BAをZSX同様に1BAをステムノズル配置により他の音域とバランスを取ることで複数BA搭載機の不自然に凹む音域を無くす調整により、実際にZSXを軽く超えてきたと感じさせる音質傾向は中華多ドラハイブリッドモデルの中価格帯U10000の中で最もお勧めのモデルだと云えますね。

 

蛇足ですが、以前のレビューでも触れていますが単純にドライバ数を増やす足し算では未だ限界があります。残念ながらそれをBAオンリーの低~中価格帯複数ドライバ搭載モデルが証明しています。それでも次々と投入される中華の新モデルが我々を楽しませてくれており、今後も期待していきたいですね。

  

高音   ZAX ≧ ZSX ≧ CA16

中音   CA16 ≧ ZAX ≧ ZSX

低音   CA16 ≧ ZAX ≧ ZSX (質感の順。量感はZSXが多い)

ボーカル CA16 ≧ ZAX ≧ ZSX 

音場   ZAX ≧ CA16 ≧ ZSX

 

最後に、今回はAliExpressで実売6,000円前後で購入できる中価格帯U10000中華イヤホンの紹介となりました。国内amazonでも取扱があり7,000円台(2020/9/19現在)。クーポンで6,000円台(2020/9/19現在)。AliExpressではフォロワー割等で5,000円台前半とそのスペックからはお求め易い価格ですが、その入手性に少々難があります。とはいえこれまでの中価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格となりますし、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっていますので低~中価格中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になった方は安心確実なamazonの取り扱いを待って。新商品を少しでも早く入手したい、少しでも安い方が良い方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

ZAX
以下、ケーブルT4、イヤピAET07 M使用、DAP ZX507
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★☆
分離★★★★
お勧め度★★★★★ 
※☆0.5、★1.0

 

CA16
以下、ケーブルT4、イヤピAET07 M-使用、DAP ZX507
高音★★★★☆ 
中音★★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★ 
※☆0.5、★1.0

 

ZSX

以下、ケーブルYYX4732、イヤピAET07 M使用、DAP ZX507
高音★★★★☆ 
中音★★★★  
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★☆ 

※☆0.51.0

 

あとがきとして、今回は多ドラハイブリッドモデルの中価格U10000中華イヤホンの新商品のレビューを多ドラハイブリッドモデルの人気機種と併せて比較をまとめてみました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですね。今後も低価格を中心に、複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

 

  

 

 

CCA C10 proレビュー

こんにちは。

今回は中華イヤホンの中から多ドラハイブリッドモデルのレビュー編として中価格帯で発売されているCCA C10 proについてレビューをまとめたいと思います。

今回は国内amazonのHiFiHear Audio(@Qianqian_HRcase)から購入しています。

 

 

AliExpressのCCA Officail Store等でも取扱があります。

 

ja.aliexpress.com

 

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1. CCA C10 proについて 

CCA C10 proはこれまでにレビューしたCCA C10(色々あって単独レビューではないけど)や同社C12等と同じ多ドラハイブリッドの最新モデルです。先日レビューした同社CA16は旗艦モデルとなり、CCAの多ドラハイブリッドエントリーモデルの新商品としてC10 proが登場しました。

CCA社は中華イヤホンファンには言わずと知れたKZ社との兄弟機を発売しており、KZの元気で派手な音質傾向とまとまった大人しめの音質傾向のCCAと棲み分けされています。

そして、CCA C10 proは一昨年の同社C10の登場から実に1年半以上の歳月を経て中価格U10000の多ドラハイブリッドモデルとして新発売されました。今年はCOVID-19の影響で諸々のスケジュールが後ろ倒しとなった影響なのでしょう。それでも先日レビューした同社CA16や昨年発売され今なお人気が高い同社C12というC10 proよりも搭載するBAが多い上位機種が存在する中で、敢えて多ドラハイブリッドモデルのエントリーモデルが登場したわけです。まあ、エントリーと云っても4BA+1DDは国内外有名メーカーならばハイエンドクラスに迫るスペックですよね。「恐るべし、中華イヤホン」と云えます。

そんな訳ですから、昨年発売された5BA+1DDのCCA C12と先代C10と同じ4BA+1DDのC10 proのドライバ構成(後述しますが、搭載ドライバは同じではありません)は、C12と比べると一見デチューンに見えますが、それでも片側5つのドライバ構成であり第二世代に進化したC10 proが一体どんな音を聴かせてくれるのか、期待せざるを得ませんよね。

 

※CCA C12の過去記事もよろしければご参考ください

miineco106.hatenadiary.jp

※CCA C10の簡易レビューもよろしければご参考ください 

miineco106.hatenadiary.jp

 

CCA C10 proはその名前からC10の直系の後継機として「pro」の名を冠しており、昨年デビューしたCCA C12はC10の系譜ではあるものの大人しめのC10とは異なりメリハリのある音質傾向だったので1年以上空けて登場した直系後継機はどのような音を聴かせてくれるのか興味がありますよね。

また、C10 proはシェルの造形についてはC12と同じであり、フェイスプレートのデザインこそ違いますが、C10というよりはC12をベースにしたモデルと考えられます。

それは、搭載するBAこそ違えどその配置がC12のDD傍に置く配置同様であり、C10 proではステムノズル内にBAが無いというのが理由です。

 

C10 proのスペックは先述の通りC12の片側5BA+1DDドライバ構成にBAを1基減らした片側4BA+1DDとC10と同様になります。搭載ドライバは低域用ドライバは10mmデュアルマグネティックを採用したZSN pro Xと同じダイナミックドライバで、C12の10mmダイナミックドライバから進化しています。BAは定評がある30095シングル1基が高音域を担当し配置がC12ではステムノズル部内にあった30095シングル1基は削除され、シェル内に。これまた定評のある50060シングル1基が中音域を担当しこちらも高音域用BA同様にダイナミックドライバに並列に配置。中高音域をカスタムBAデュアル(2BA)1基、それぞれ30095と50060ベースのカスタマイズドBAの組合せで同様にDD傍に並列配置され、中低音域を前述のDD1基が担います。C12が高音域30095シングル1基に中音域50060デュアル(2BA)を2基とDD1基により中音域に厚みを持たせていた音質傾向でしたが、ドライバ構成からはC10の高音域用30095、1基と中音域用50060、1基と同様ですがカスタマイズBAの30095ベース、1基と50060ベースを、1基づつセットでDD傍に並列配置と異なります。それ故に、C10 proはC10とC12で得た経験から最適化をはかった音質傾向としているのではと期待感が高まりますね。

もっと云えば、CCA C10 proはC12の中音域に厚みを持たせたBA構成から高音域用のBAをステムノズル内から削除し、配置を変更。更に高、中、低音域をシンプルな2BA+2BA+DDの3way方式と多ドラハイブリッドのエントリークラスとして理想的なドライバ構成と云え、これまで世の中に送り出された中価格多ドラハイブリッド中華イヤホンのように各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーのチューニングポイントを活用できるかが重要となります。このチューニングポイント、経験則を活かしたチューニング次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくるといえますね。

 

CCA C10 proの納期は流石の国内amazon。当日発送、翌日着でした。最近はAliExpressで先行発売しても、結局セラーのamazon発売の方が到着が早く、価格もamazon新発売時のクーポン等で1Kも違わないため、AliExpressのメリットが薄れてきているように感じます。また、AliExpressの中国本土からの発送はかなり回復しておりますが、未だ輸送への影響が大きく、AliExpressにてオーダーした場合、チャイナポストを選択できれば平時より数日かかる程度まで回復も、スタンダードシッピングはほぼ1か月を覚悟しなければいけません。平時は10日から2週間。遅いと3週間でしたが、それなりに時間が掛かる覚悟は必要です。加えて万が一の不良の際に返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くの少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

  

2. CCA C10 pro実機レビュー

それでは、早速CCA C10 proの実機レビューを以下、まとめていきます。

 

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パッケージングはいつものCCAの白を基調とし黒字で文字が描かれた白箱化粧箱です。

飾り気のないシンプルな化粧箱です。

 
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箱の上蓋を外すと白地のカードケースがあり、その中に取扱説明書等が収納されています。これ地味に結構お洒落で気に入っています。カードケースを取り出すと白地の内装の台座にイヤホンが収納されています。イヤホンが収納された台座の下側には小箱が収納されていて、その小箱の中にはケーブル等の付属品入っています。

 

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付属品はいつものCCAの低中価格帯商品と同様にKZで付属する溝有シリコンイヤーピースがS、M、Lの3種各1セットが付属します。加えて、CCAで付属する溝無シリコンイヤピMサイズがイヤホン本体取付け済みで、他にはケーブルです。A5K-U10Kの中価格帯としては少々寂しい付属品ですが、個人的にこれまで同様本体にコスト全振りは嫌いではありません。

 

※左がKZ付属溝有イヤーピース、右がKZやCCAで付属する溝無イヤーピース 

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イヤピースはCA16では白地のシリコンイヤーピースが付属しましたが、C10 proではこれまでのCCAで付属した(KZ付属タイプと異なる先端に溝がない)黒地のシリコンイヤーピースとKZ付属溝有と従来通りです。


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ビルドクオリティですが、CCA C10 proは中華イヤホンで心配されるような各所の仕上りに雑なところを感じません。安心して購入でき、お勧めできると思います。

カラーバリエーションは黒色のみです。

 

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付属ケーブルはいつものCCAに付属する茶色の編込みタイプではなく新型の白(銀?)色の編込みタイプが採用され、4芯銀メッキ銅線タイプです。

プレイヤー側コネクタはL字タイプで、イヤホン側はKZ-Cタイプ(2ピン)、もちろんKZ極性(上がプラス)です。最近の中華イヤホンではKZ-Cタイプが多く採用されています。

この付属ケーブルはシュア掛け用にチューブで癖付けがあり耳への装着性、使用感はそれほど悪くはありませんし、全体的に絡まりにくくしなやかなものとなります。また、中価格帯に付属するケーブルとして力不足の印象があるものの、そのまま使用できますし綺麗な色合いのケーブルが本体色との一体感があり普段使いも可能ですね。

 

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※画像左からCCA C10、CCA C10 pro、CCA C12
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C10 proはC12とシェル本体の造形が同じですが、C10は異なる造形です。シェル本体の構成は、C10のそれらとはシェルがフェイスプレートを除き樹脂製というところが異なります。

C10 proはこれまでのCCAロゴがフェイスプレートから消えたものの、デザインを含めCA16を除き他のCCAと同じように非常にオーソドックスとなっています。それらは所謂安定した装着感をもたらし、多くの方は良好に感じるのではないでしょうか。個人的にはCA16がカスタムIEM風の造形で好きなんですが。それでも同価格帯では装着感は良好であり、なによりも複数のドライバを搭載するシェルとしてはコンパクトですし、それはやはり耳への装着感への影響は大きく耳の小さな女性や子供を除き、殆どの方で不満を感じることはないのではと思います。

次にステムノズルは3機種共に太め。太めのステムノズルに影響し同じサイズのイヤーピースでも微妙に大きく感じ圧迫感を多少ありますが、逆に耳穴への密着感は上がりますからね。

また、これらにはステムノズル先端端面にメッシュフィルターが装備されていてシェル内部への異物混入が防げますので、長期の使用にも耐えることができますね。

 

※左がC10 pro、右がC12 

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最も気になるのはC10proとC12の違いです。

DDの傍にBAが2基づつ2ヵ所に配置されており、更にC12はステムへドライバ配線が伸びていますが、C10 proにはありません。シェルの形状等からもC12のステムのBAを削った構成と云えますが、実際には搭載しているドライバの構成を先述の通り変えていますので、厳密には異なります。寧ろ、ステムのBAが無いために耳のすぐ近くからの音が無いことでC12とC10 proの音にどんな違いが出てくるのか楽しみです。

最後に、シェル本体の形状や付属ケーブルからは3機種ともにシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

C10 proはステムノズルが太めで耳へは付属溝無イヤーピースでも装着感は悪くないのですが、少々抜け気味となったため、いつものAET07 Mに交換し耳に浅めに蓋をするように装着した形がみぃねこは一番しっくりきました。低~中価格帯では毎度付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じることが多くありますので手持ちのイヤピと交換しています。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

なお付属ケーブルも片側5ドライバ、4BA+1DDの性能を活かしつつイヤホン本来の傾向を変えないためにTrn T4へリケーブルしています。

 

3. CCA C10 pro音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今回の再生環境はSONY NW-ZX507、直挿しアンバランス接続です。

前回同様に中価格帯はZX507を基準としてレビューを行います。もちろんShanling Q1やiPhone6sでも鳴らすことができましたが、中高音域の解像感や低音域の表現力で本来の性能を発揮できないと感じましたのでご容赦ください。

低価格帯のイヤホンの場合でその違いを比較しました。気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。

 
miineco106.hatenadiary.jp

 

※FiiO M5とSHANLING M0の比較もよろしければご参考ください。

miineco106.hatenadiary.jp

 

それでは実際に聴いてみます。
ソースは宇多田ヒカル/First Love平井堅/瞳をとじて倖田來未/Moon Crying。高音/低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピはAET07 Mサイズへ。イヤホンの本領を発揮させる為に付属ケーブルからTrn T4にリケーブルしています。

箱出しで聴いてみた第一印象は「中高音に適度な華やかさがあり明るくなった印象」でした。(もちろんスマホ付属品とは大違いです)
こちらも箱出し直後は低音にボワつきを感じたため今回も先に鳴らし込みを行っています。

音場は普通からやや広め。曲によってやや広く感じます。

高音は十分な煌びやかさがあり響きも感じますが、不快な尖りや刺さりは感じません。

低音は十分な量感と強さがありキレも良く適度に締まりがあって、ベースラインも追いやすい。

重低音は沈み込みの深さを感じ十分な強さがある。

中音は横の広さを感じられ華やかに響く様は明るさを感じられますが、解像感は適度。

ボーカルはクリアでややドライ。自然な位置に感じ、曲によってやや近く感じます。

一言で云えば中低音寄りでややドンシャリに近いバランス。

補足すると、高音域の主張は中音域と遜色ありませんが、低音域も主張が強くない為に中高音域をマスクしない丁度良いバランスです。

もっと云えば、高音は明るさがあるもののシャリつくような華やかさではなく、適度なな存在感を示します。

中音は高音同様に明るさがあり適度な響きと十分な解像感は、音数が多い曲でもボーカルと演奏は分離良く埋もれることはありません。そのボーカルはクリアで聴きやすくややドライながらも息遣いを感じられます。

低音は量感十分ですが、芯のある強さは曲を下支えし心地良さを感じます。全域でどこかを強調せずに過不足なく鳴らす、そんな丁度良さを感じられます。

 
このバランスは以前レビューしたCCA C12と比較した時に音の傾向はC12の悪く云えばしつこい高音は鳴りを潜めており、中音域はすっきりしています。

また、CCA C10と比較した場合、音場を広くし低音の量感を控えめにした代わりに質感を高め、中高音域を明るく華やかさした音と云えそうです。

C12と最も異なるのは中音域の解像感と高音域の強さで、C10との違いは中高音域の明るさ華やかさとボーカルです。そういう意味ではやはりC12のデチューンではなく、C10の改良型、後継機と云えそうで音質傾向は直系の後継機に相応しいと感じます。

そのためC10の音が好きだけどもう少しだけ中高音を華やかさがある音を探している方や、C12の派手過ぎずすっきりとした音を好む方には好評となるかもしれません。

一方、ZSXやC12の様な全体的に明るくて低音の量感を求めている方には、明るさはクリアできても低音に物足りなさを感じてしまうかもしれません。

 

折角なのでCA16との違いは、C10の音質傾向は悪く云えば暗い大人しい音です。同様に中低音寄りの大人しい音の傾向がありますが、これに中高音に華やかさを持たせ解像感を上げた音は実は本当の意味での直系上位機種、CCA旗艦モデルなのかもしれませんね。

 

以上のことからC10 proはC12とC10の良さを洗練させ良いところどりをしたモデルと云えますが、これは10mm径の新世代DDと高音域BAをC12等のステムノズル配置により強すぎた高音をDDとの並列配置によって音響調整をおこなった意欲作と云え、実際にC10をブラッシュアップしてきたと感じさせる音質傾向と感じます。

 

まとめとして、CCA C10 proは多ドラハイブリッドモデルのエントリーモデルとして。また多ドラハイブリッドの最初のモデルとして十分にお勧めできます。それは特定の音域を強調せずに高音も疎かにしていない中低音域中心に聴きやすい音質傾向は、満足できると云える仕上がりです。一方、とにかく明るく華やかな音を求める方にはもの足りない音と感じるかもしれません。

 

蛇足ですが、以前のレビューでも触れていますが単純にドライバ数を増やす足し算では未だ限界があります。残念ながらそれをBAオンリーの低~中価格帯複数ドライバ搭載モデルが証明しています。それでも次々と投入される中華の新モデルが我々を楽しませてくれており、今後も期待していきたいですね。

  

高音   C10 pro ≧ C12 ≧ C10 (量感はC12が一番)

中音   C12 ≧ C10 pro ≧ C10

低音   C10 pro ≧ C12 ≧ C10 (量感はC12が一番)

ボーカル C10 ≧ C12 ≧ C10 pro (暖かさの順)

音場   C10 pro ≧ C10 ≧ C12

 

最後に、今回はAliExpressで実売4,000円台で購入できる中価格帯U10000中華イヤホンの紹介となりました。国内amazonでも取扱があり5,000円台(2020/9/12現在)。AliExpressではフォロワー割等で4,000円台前後とお求め易い価格ですが、その入手性に少々難があります。とはいえこれまでの中価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格となりますし、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっていますので低~中価格中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になった方は安心確実なamazonの取り扱いを待って。新商品を少しでも早く入手したい、少しでも安い方が良い方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

C10 pro
以下、ケーブルT4、イヤピAET07 M使用、DAP ZX507
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★★
お勧め度★★★★★ 
※☆0.5、★1.0

 

C12

以下、ケーブルYYX4761、イヤピAET07 M使用、DAP ZX507
高音★★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★☆
分離★★★★
お勧め度★★★★★ 

※☆0.51.0

 

C10
以下、ケーブルKBF4736、イヤピAET07 M使用、DAP ZX507
高音★★★☆ 
中音★★★★☆  
低音★★★★☆ 
音場★★★★
分離★★★☆
お勧め度★★★★☆ (DAPをZX507で再評価)
※☆0.5、★1.0

 

あとがきとして、今回は多ドラハイブリッドモデルの中価格U10000中華イヤホンの新商品のレビューを多ドラハイブリッドモデルの人気機種と併せて比較をまとめてみました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですね。今後も低価格を中心に、複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

 

 

  

 

KZ ZSN pro Xレビュー

こんにちは。

今回もいつもの1BA+1DD中華イヤホンレビュー編として低価格帯で発売されたKZ ZSN

pro Xについてレビューをまとめたいと思います。

AliExpressのWooeasy Earphones Store(@hulang9078)から購入しています。

 

ja.aliexpress.com

 

国内amazonでもHiFiHear Audio(@Qianqian_HRcase)等で取扱があります。

 

 

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1. KZ ZSN pro Xについて 

ZSN pro XはKZ社の1BA+1DDハイブリッドの最新モデルです。このところ本来の低価格1BA+1DDハイブリッドモデルをレビューしており面目躍如といったところですが、このKZ ZSN Pro Xは8月中旬に入手していました。そのため前回レビューしたTrn STMの方が少しだけ後発のため低価格帯としては「最新」とは云えませんが、先日レビューしたZST X同様にKZ社の新たな「X」シリーズモデルとして最新と云えますね。

KZ社は以前ZST Xのレビューでも触れた通り中華イヤホンファンには説明不要なトップブランドです。これまでに数多の低価格帯1BA+1DDハイブリッドモデルを発売し、このブログでも紹介させていただきました。

KZ社の代名詞は「高音低音が元気で派手なドンシャリ」と云えますが、一昨年の終わり頃に発売したZSNから少し趣向が変わってきています。ZSNの高音域を控えめにし中音域を中心とした音はそれまでのKZの音とは一線を画す音質傾向であり、多くの中華イヤホンファンを驚かせました。まあ、そのあとに出たZSN proは元のKZの音に戻ってしまいましたけど。それでもZSNの登場前の音とは異なり、ただただ高音と低音が強調された派手で元気な音ではない非常にまとまったバランスの良い音にシフトしていたのは事実であり、KZの新しい展開に期待が高まりました。

そしてついにこのZSN pro Xでは以前レビューしたZST X同様に「X」という新しいシリーズとしての展開を期待させ、それを裏切らないモデルあることはZST Xで証明されつつあるといっても過言ではないかもしれません。

実際に聴いてみたZSN pro XはKZ社の最新型として同価格帯の他ブランドKBEAR KS2やTrn STM等の低価格中華イヤホン1BA+1DDハイブリッドモデルとして頭一つ抜けています。

これまでレビューしてきて最初に主文を書くのは初めてですね。今これを執筆してるのは勿論他モデル含め散々聴き込んだ後です。

もう一度言います。販売価格が3,000円以下の低価格帯U5Kの激戦区に真打登場です。

 

さて、ZSN proはZSNほどのインパクトがない(失礼)モデルでしたが、バランスの良い音は完成度が高く今でも演奏中心で聴くのに適したモデルです。先述の通り、それまでの高音がシャリつき低音がドンドン来るKZとは違う聴きやすい音は中音域もクリアで同価格帯の国内有名メーカー製品と比べても勝るところはあっても劣ることはないモデルと云えます。

それもその筈。国内有名メーカー製品はその価格帯では1DDモデルのラインナップが殆どで、重低音が売り文句という物ばかり。勿論嗜好の違いですから重低音好きには堪らない訳ですが、その場合高音域がもの足りない。又は、高音も結構あるが中音域がこもっている…というような訳です。個人的には唯一Final E1000が音の嗜好の違いの中でも良い音としてお勧めできる商品です。

そんな不遇のZSN proの正統後継機として、先述の通り「Xシリーズ」として発売されたKZ ZSN pro Xに期待し即オーダーしたものの入手順を無視して最後に回した理由は、主文をブログの最初に持ってくるというセオリーを無視したことからも、ご理解いただけたのではないでしょうか。

 

というわけで今年6つ目の低価格1BA+1DDハイブリッドモデルを、先代のZSN proや同Xシリーズ、ZST Xとの違いを交えながら、KZ ZSN pro Xのレビューを纏めていきたいと思います。

 

ZSN pro Xのスペックですが先述の通り中華イヤホンの低価格帯で多く採用されている高音域用のバランスドアーマチュアドライバ(BA)を1基と中・低音域用のダイナミックドライバ(DD)を1基搭載した片側デュアルドライバ構成のハイブリッドモデルです。2つのドライバはダイナミックドライバにZSN Pro等で搭載した直径10mmの二重磁気駆動ドライバを改良、採用し中・低音域用に。BAはKZお馴染みの30095を高音域用として搭載しています。

イヤホン本体はZSN Proのシェル本体が樹脂製。フェイスプレートとステムノズルが金属製と同様。ZST Xのオール樹脂製とは異なり、ドライバのハイブリッド構成と共にシェル素材のハイブリッド構成という低価格帯のスタンダードです。

以前ステムノズルの素材が金属製と樹脂製との違いによって音質傾向への影響をこれまでレビューした経験から、それが高音域に現れると感じていますが、多くの低価格1BA+1DDハイブリッドイヤホンでは高音域を担当するBAドライバがステムノズルの中に配置されており、音道管を使用していない為、高音域の伸びや響きに影響があると経験則で捉えています。

とはいえ最も大切なのはこれまでレビューした低価格中華1BA+1DDイヤホン同様に各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングが重要となります。このチューニング次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくるといえますね。

 

ZSN pro Xの納期としては今回AliExpressで購入し中国本土からの発送という事もあり、国内amazonのようにはいきません。今回7月下旬にプレオーダーし発送まで3日待ち。スタンダードシッピングを選択していますので発送されてからは21日で届きました。昨今、感染症の影響で中国からの輸送は平時の様にはいきませんが、それも徐々に回復傾向であり最近はシンガポール経由も再開し動き始めていますので、もう少しというところですね。平時であればAliExpressならば早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

2. KZ ZSN pro X実機レビュー 

それでは、早速KZ ZSN pro Xの実機レビューを以下、まとめていきます。


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パッケージングはKZ社のシンプルな白地のデザインのスリーブタイプの化粧箱です。
箱の表にはイヤホンイラストが。裏にはスペックが記載されています。


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スリーブを外すと白地の内装の台座にイヤホンが収納されています。またイヤホンが収納された台座を取り出すと箱の下側にイヤーピースやケーブルなどの付属品が入っています。

 

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付属品はKZイヤホンに付属する溝有シリコンイヤーピースがS、M、Lの3種各1セットと、ZSN proで付属した溝無シリコン黒色イヤピMサイズが本体取付け済み、他にはケーブルです。U5Kの低価格帯としては必要十分の付属品となります。またケーブルは後述しますが、先代ZSN proに付属したものからKZアップグレードケーブル相当に変更されています。


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次にビルドクオリティですが、数年前に発売したZST(Pro)と比べるとレベルアップを感じられ、ZSN pro同様に綺麗に仕上がっています。カラーバリエーションは黒色と金色があるようですが、今回はZSN proにはなかったpro Xのみの金色を選択しています。


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付属ケーブルは先述の通り先代ZSN proの従来の4芯銅線からKZアップグレードケーブル相当の銀(白)色の編込みタイプで4芯銀メッキ銅線の線材が採用されています。プレイヤー側コネクタはL字タイプで、イヤホン側はKZタイプC、2ピン仕様、KZ極性(上がプラス)です。この付属ケーブルは耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的に絡まりにくくしなやかなものとなり低価格帯に付属するケーブルの中でも質感が高くそのまま使用できますし銀(白)色ケーブルはやや派手なところもありますが、シェルの金色と相まって普段使いでは少々目立ちますね。

参考までにこのシュア掛け用のチューブでの癖付けがどうしても耳に合わない場合には、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

※画像左からZST X、ZSN pro X、ZSN pro 
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ZSN pro XとZSN Pro、ZST Xの外観の比較として、サイズは同じ。シェルの造形も同様です。ベースがZSTなのでしょうから不思議はありません。

ZSN Pro XとZSN Proはステムノズルとフェイスプレートが金属製でフェイスプレートのデザインも同じ。こうなるとZST Xのオール樹脂製が一番軽量ですね。それでも耳への装着時には殆ど気にならないレベルの差でしかなく、3機種共に耳への装着感は悪くありません。ステムノズルの太さは3機種共にやや太め。その中ではZST Xが細めとなり、角度は3機種とも同じとなります。

そのため耳への装着時には3機種共に装着感は良好ですね。

また、ZST Xのステムノズルはシェル本体と一体型で樹脂製となりますが、金属製のZSN Pro XやZSN pro全てにメッシュフィルターがあり異物混入を防いでくれますので安心ですね。

そして、シェル本体の形状は3機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、先述の通りZSN pro Xはステムノズルは比較的太めです。太いステムノズルは装着感に影響があり、付属のKZ溝無黒イヤーピースを使用し耳の奥の方で栓をするように装着する形がみぃねこはしっくりきました。低価格帯ではいつも付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じますが、今回は付属のイヤピを使用しています。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. KZ ZSN pro X音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今回の再生環境はSHANLING Q1、直挿しアンバランス接続です。

これまで低価格帯はShanling M0をメインに基準としてレビューを行ってきましたが、前回同様にQ1にて行います。以前Shanling M0とFiiO M5の比較や、M0とiPhone6sの比較を行っており、それぞれの違いもありますが、今後は新型のSHANLING Q1で比較しますので、ご容赦ください。

M0とQ1はDACやアンプ等の主要のスペックには変わりがありませんが、聴き比べるとQ1はM0よりも低音が豊かに感じます。どちらもバッテリー駆動なのでM0よりもQ1の方が容量が増え電源供給に余裕があるからなのかもしれませんね。

低価格帯のイヤホンの場合でそれらの違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。

 
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※FiiO M5とShanling M0の比較もよろしければご参考ください。 

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それでは実際に聴いてみます。
ソースは宇多田ヒカル/First Love平井堅/瞳をとじて倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピはZSN Pro付属品 溝無黒Mサイズ、付属ケーブルを使用しています。

箱出しで聴いてみた第一印象は「KZらしい所謂ドンシャリだが、ボーカルが聴きやすく、どこかの音域を極端に強調していないクリアで聴きやすい音。」です。(もちろんスマホ付属品とは大違いです)

箱だしでは低音の主張が強く膨らみも感じたので先に鳴らし込み。

鳴らし込み後は低音が締まり落ち着きました。

音場は広くも狭くもない普通。

高音は煌びやかさがあり華やかさがあるが、刺さりは感じない。

低音は十分な量感があり芯が感じられ締りとキレがある。ベースラインは追いやすい。

重低音は沈み込みは深さがあり強さもある。

中音は華やかさがあるがゴチャつきは抑えられ分離良くすっきりしている。ボーカルはクリアで自然な位置から聴かせてくれ、曲によってやや近く感じ聴きやすい。

一言で云えば中高音寄りのドンシャリ

高音はしっかりとした低音域に埋もれない存在感のある煌びやかさと華やかさと伸びの良さがありますが尖りはありません。

中音は僅かに凹を感じますが、楽器の音、特にギターの音が他の楽器の音に埋もれずに聴く事ができます。ボーカルもクリアで聴きやすく高音低音に埋もれません。

中音域の音に華やかさがあり心地良く音数が多いハードな曲でも音の重なりは少なく、それでいてちゃんとボーカルの周りにいる印象です。

ボーカルはバラード等ではやや近く感じ、アップテンポの曲ではややドライですが楽しく聴けます。ドライの為しっとりとした雰囲気を楽しみたい場合に相性がありそうです。

低音は量感がしっかりしておりますが、支配的ではなく不足のない十分な量と芯のある音で締りとキレがあり強さがあります。重低音は強さはあり深く沈み込む低音を疎かにしていません。この低音がクリアな高音中音を適度な強さで支えることでKZらしさを損なう事なく且つバランスが破綻していない音を聴かせてくれている印象です。

 
これは以前レビューしたZSN proのドンシャリとは異なる音と云え、高音と低音だけではない中音域を疎かにせず寧ろ重視した聴きやすい音であり、従来のKZらしい低価格帯のポピュラーなドンシャリとは一味違う音と言う印象です。

 

※以前のKZ ZSN proのレビューもご参考ください 

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※以前のKZ ZST Xのレビューもご参考ください

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勿論同じ低価格帯のKZ ZSNの中低音中心の音と異なるバランスですが、ZSNは高音域がもの足りなく、ZSN proは中音域が凹みもの足りない。それら二つの高音域と中音域の良いとこ取りした音の様に感じます。尤も厳密には異なる訳ですが、それらに近づけている、そんな印象を受けます。

そして同社ZST Xも中高音寄りの特にボーカルの良いKZらしからぬまとまった音質傾向でしたが、ZSN pro Xは全体のバランスが一枚上の印象で何でも対応できそうですね。

恐らくZSN pro Xは高音域と中音域の間を凹ませずにピークを持ってくることで従来のKZの強ドンシャリとは異なる中音域重視の聴きやすいドンシャリを狙ったのかも知れません。

これは多ドラハイブリッドや複数BA機ではポピュラーなチューニングですが、従来の1BA+1DDハイブリッド機ではあまり例を見ないですね。

 
まとめるとZSN pro Xは中・高音域は煌びやかさ華やかさがあり十分な存在感を示しますが尖りは無く、低音域は強さがあり締まりとキレのある存在感はけして出しゃばらず、中音域は凹みを感じさせずに音の華やかさ分離の良さとボーカルの聴きやすさを感じられる完成度の高さは先代ZSN proのネガティブを消したリスニング用途として完成度の高いKZ低価格帯史上最もお勧めできる低価格中華1BA+1DDハイブリッドイヤホンと云えそうです。

尤もこのリスニング用途としてのバランスの良さは中華イヤホンには高音域のシャリつく刺激的な強さや低音のドンの量が多い強ドンシャリを求める演奏メインで聴きたい方には、少しもの足りないと感じ評価が分かれてしまいそうです。

 

高音   ZSN Pro X ≧ ZST X ≧ ZSN pro (量感はZSN proが一番)

中音   ZSN Pro X ≧ ZST X ≧ ZSN pro

低音   ZSN pro X ≧ ZST X ≧ ZSN Pro (量感はZSN Proが一番)

ボーカル ZST X ≧ ZSN pro X ≧ ZSN Pro

 

最後に、今回はAliExpressで先月発売された低価格帯中華イヤホンの紹介となりました。現在(2020年9月5日)はAliExpressやamazonで販売されており、一足先にAliExpressでは2,000円台前半で販売し、そのAliExpressではフォロワー割によって1,000円台後半の価格です。一方amazonではprime扱いの2,000円台後半と、AliExpressの方が安価に入手できますが、その入手性には特に現在難があります。とはいえこれまでの低価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっていますので低価格中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、少しでも安い方が良い方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

ZSN pro X

以下、付属ケーブル、付属溝無黒イヤピ M使用、DAP Q1
高音★★★★ 
中音★★★★  
低音★★★★ 
音場★★★
分離★★★
お勧め度★★★★★ (低音好きの方★4)

※☆0.51.0

 

あとがきとして、今回はいつもの中華低価格1BA+1DDハイブリッドイヤホンの新商品のレビューをまとめました。3回続けて中華低価格1BA+1DDハイブリッドイヤホンのレビューと本ブログの本領発揮してみました。初期のころ以来ですね。そしてこれで通算30個目、記念すべき30個目はやはりKZが〆てくれました。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですが、今後も低価格?を中心に、複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ

 

Trn STMレビュー

こんにちは。

今回もいつもの1BA+1DD中華イヤホンレビュー編として低価格帯で発売されたTrn STMについてレビューをまとめたいと思います。

今回は国内amazonのHiFiHear Audio(@Qianqian_HRcase)から購入しています。

 

 

AliExpressのTrn オフィシャルストアや有名どころのセラーでも取扱があります。

 

ja.aliexpress.com

 

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1. Trn STMについて 

Trn STMはTrn社の1BA+1DDハイブリッドイヤホンの最新モデルです。このSTMの前に同じ1BA+1DDハイブリッドモデルのKZ ZSN Pro Xを購入しており既に届いていますが、前回レビューしたZST X同様にKZ社の新たな「X」シリーズモデルのレビューはまた次回という事で…。

Trn社はKZ社と鎬を削る中華イヤホンファンには説明不要なトップブランドに成長しています。これまでに低価格帯で発売した1BA+1DDハイブリッドモデルは、みぃねこもほぼフォローしておりTrn社の低価格1BA+1DDハイブリッドモデルのレビューを行っています。

このTrn社はKZ社からスピンオフした社員が設立した会社として知られ、初期はKZ社後追い的な製品を発売しKZ同様に元気で派手なドンシャリの音質傾向でしたが、昨年あたりから様子が変わっており、KZ社の音とは一線を画す音づくりにシフトチェンジしています。そのシフトチェンジした製品の代表として中価格帯となりますが以前レビューしたV90は4BA+1DDの多ドラハイブリッドとしてかなり上手くチューニングされた音という印象で、実際中華イヤホンファン界隈でも評価の高いモデルとなっています。

具体的には以前のレビューを参照いただくとして、割とはっきりとしたドンシャリ傾向なのはKZ社と同じですが、KZ社の兎に角ハッキリとした音と異なり程よく抑制した大人の音という個人的な評価です。これはどちらかが上という事ではなく、音の味付けの嗜好の違いとして楽しむ部分だと考えられますね。

それ故にこのSTMは以前レビューした同社のST1の新型として、KZ ZST Xや同価格帯の他ブランドKBEAR KS2等の低価格中華イヤホン1BA+1DDハイブリッドモデルとの違いが気になるところであり、販売価格が3,000円以下の低価格帯U5Kの激戦区にどのようなインパクトを与えてくれるのか期待感が高まります。

加えてこのSTMには低価格帯として初のステムノズル部、フィルタ交換ギミックが搭載されています。これまでにも中価格帯A10000クラスではありましたが、この価格帯での採用は記憶がないですね。ついにというか、してやったりというか、Trn社のSTMは低価格帯での意気込みを感じるモデルと云えそうです。

 

というわけで今年5つ目の低価格1BA+1DDハイブリッドモデルを手に入れましたので、これまでにレビューした同社ST1や先日発売されたKZ ZST Xとの違いを交えながら、Trn STMのレビューを纏めていきたいと思います。

 

STMのスペックですが先述の通り中華イヤホンの低価格帯で多く採用されている高音域用のバランスドアーマチュアドライバ(BA)を1基と中・低音域用のダイナミックドライバ(DD)を1基搭載した片側デュアルドライバ構成のハイブリッドモデルです。2つのドライバにはダイナミックドライバにKZ社も採用している直径10mmの二重磁気駆動ドライバ(KZ社と同じものか不明)を採用し中・低音域用に。BAにTrnのオリジナルカスタマイズの30019を高音域用として搭載しています。

イヤホン本体はST1同様のシェル本体が樹脂製。ステムノズルとフェイスプレートが金属製となり、ZSN Pro等も同じ構成ですね。ドライバのハイブリッド構成と共にシェル素材のハイブリッド構成という低価格帯のスタンダードとなります。

尤も以前ステムノズルの素材が金属製と樹脂製との違いによって音質傾向への影響をこれまでレビューした経験から、それが高音域に現れると感じています。多くの低価格1BA+1DDハイブリッドイヤホンでは高音域を担当するBAドライバがステムノズルの中に配置されておりますが、音道管を使用していない為、高音域の伸びや響きに影響があると経験則で捉えているからです。つまりSTMは低価格帯の最もスタンダードな仕様に加え、先述のフィルタ交換による音質調整可能とした新たなスタンダードを開拓しようとした意欲作と云えるのかもしれませんね。

とはいえ最も大切なのはこれまでレビューした低価格中華1BA+1DDイヤホン同様に各ドライバが担当する音域が重なるクロスオーバーチューニングが重要となります。このチューニング次第で「当り」か「外れ」という評価に繋がってくるといえまので、単純ではありませんよね。

 

STMの納期としては国内amazonからの発送という事もあり、当日発送、翌日配達と流石の国内amazonです。(いろいろあったりしますが)日本の物流の雄に変わりはありませんね。AliExpressの物流もまだまだ感染症の影響で中国からの輸送は平時の様にはいきませんが、徐々に回復傾向であり最近はシンガポール経由も平時程ではありませんが動いており、もう少しというところですね。平時であればAliExpressでも早くて約1週間。通常10日から2週間。遅いと3週間。万が一の不良の際には返品交換に結構な手間と時間がかかります。

そんな訳で一般的にAliExpressでの購入は国内で購入した場合より安いが届くのに少し日数が掛かることと、心配なのが「届かない、不良品だった、頼んだものと違うものが届いた」というような今や国内ネットショッピング大手ではあり得ないことが稀(?)に起こるデメリット(リスク)です。それでも国内で発売前の商品を入手できたり国内より安く入手できるメリットを比較した場合に止められない魅力があり、みぃねこは活用しています。なおこのリスクに不安がある方には全くお勧めできませんので国内amazon等での購入及び取り扱いを待って購入をお勧めします。

 

2. Trn STM実機レビュー 

それでは、早速Trn STMの実機レビューを以下、まとめていきます。


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パッケージングはTrn社のシンプルな白地に側面が黒色デザインのスリーブタイプの化粧箱です。
箱の表にはイヤホンイラストが。裏にはスペックが記載されています。


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スリーブを外すと白地の内装の台座にイヤホンが収納されています。またイヤホンが収納された台座を取り出すと付属品は箱の下側に収められ、イヤーピースやケーブルなどの付属品が入っています。

 

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付属品はいつものTrnイヤホンに付属するシリコンイヤーピースがS、M、Lの3種各1セット。そのシリコンイヤピMサイズが本体取付け済み、他にはケーブル、ノズル部フィルタです。U5Kの低価格帯としては必要十分の付属品となります。特筆すべきは音質調整用のノズル部フィルタですが、詳しくは後述します。


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次にビルドクオリティですが、以前までと比べると大分安定してきたと思いますが、やはり何かしらあるのがTrn社の製品です。今回もフィルタが少し浮き気味でしたのでそっと押し込んでおきました(笑)。それ以外は綺麗に仕上がっています。カラーバリエーションは青色と緑色がり、今回緑色を選択しています。


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付属ケーブルはいつものTrn社製に付属する黒色の編込みタイプっぽいですが、新型の4芯OCC線の線材が採用されています。プレイヤー側コネクタはL字タイプで、イヤホン側はKZタイプC、2ピン仕様、KZ極性(上がプラス)です。この付属ケーブルは耳への装着性や使用感は悪くなくシュア掛け用にチューブで癖付けされています。全体的に絡まりにくくしなやかなものとなり低価格帯に付属するケーブルの中でも質感が高くそのまま使用できますし黒色ケーブルは落ち着いた色あいは普段使いでも気にならないですね。

参考までにTrn社のこのシュア掛け用のチューブでの癖付けは結構癖があり、どうしても耳に上手く掛けられない場合に、みぃねこはこのチューブをライターで焙り(チューブに火を直接当てる=炙る。誤解しないように!)、自分の耳に合うように癖付けを手直しています。これによって良い塩梅に調整し装着感を改善することができますので自己責任となりますが、興味のある方はお試しくださいね。

 

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今回のSTMの最大の特徴である音質調整用フィルタ三種付属し、標準の金色フィルタが本体取り付け済みです。

フィルタを時計の反対周りに回すと外れますが画像の通り左側のステム部に搭載されたBAが少し凸っていて右側はねじ部と面一です。恐らく面一が設計通りではないかと推測しますが、いつものTrnクオリティですので、それも一興とお楽しみください。


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三種のフィルタ内部に音質調整用のフィルタが張り付けてあります。

標準のバランスタイプ金色フィルタには調整用フィルタなし。

低音域強化のDEEP BASSタイプ赤色フィルタは調整用フィルタの目が小さく少ない。

高音域を抑制したResolving Trebleタイプ青色フィルタは中間程度のフィルタです。

結論から云えば、この三つのフィルタは高音域に効き目があり、

金色 > 青色 > 赤色 の順に高音域が大人しくなります。

それに加えて中音域が控えめになっていく印象です。

赤色を使っても低音が増えたようには感じませんでした。

つまり、特に高音域及び、中音域の印象を大人しく変化させることで、全体の音質傾向と云うよりは音の印象を華やかさのある音から大人しい音へ変化させるように感じました。

 

※画像左からZST X、STM、ST1 
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STMとST1及び、ZST Xの外観の比較として、サイズ感はほぼ同じ。シェルの造形もほぼ同様です。勿論STMとST1は全く一緒ですが、ZST Xとも同じものにしか見えませんね。尤も、ステムノズルとフェイスプレートはデザインが異なりますが、他メーカーでもこれだけ造形が一致するのは珍しいですよね。

STMとST1はステムノズルとフェイスプレートが金属製。ZST Xはオール樹脂製シェルと異なりますが、やはりZST Xのオール樹脂製が一番軽量です。それでも耳への装着時には殆ど気にならないレベルの差でしかなく、3機種共に耳への装着感は悪くありません。ステムノズルの太さはST1がやや細め。その中ではST1、ZST X、STMの順に太くなり、STMは交換可能なフィルタが構造上仇になっていますが、角度も三機種ともほぼ同じとなります。

そのため耳への装着時には3機種共に装着感は比較的良好です。

また、ステムノズルはSTMの交換可能なフィルタ含め三機種全て先端にメッシュフィルターがあり異物の内部侵入を防ぐことができます。

そして、シェル本体の形状は3機種共にシュア掛け前提となりますので、シュア掛けが苦手な方は注意が必要です。

なお、先述の通りSTMはステムノズルが比較的太めです。太いステムノズルは装着感に影響がありますが、Trn付属のイヤーピースはKZ社付属のイヤーピースよりも使い勝手が良くMサイズを奥の方で栓をするように装着する形がみぃねこはしっくりきました。低価格帯では付属イヤーピースでは装着感と音質的に実力を発揮できないと感じる事が多いですが、今回は同社の付属品で対応できました。まあ、この辺りは個人差があるかもしれませんね。

このことからも低~中価格の中華イヤホンでは付属のイヤピでは装着感は基より音質面でも本来の実力を発揮できない場合がありますので、個人的な意見となりますが装着感を優先し音質の傾向を変えないタイプへ交換する事をお勧めします。(この辺りは個人差やステムの太さや角度等も関係していると思いますのであくまでも参考程度にお願いします)

 

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3. Trn STM音質レビュー

それではいよいよ音質についてまとめていきます。

 

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今回の再生環境はSHANLING Q1、直挿しアンバランス接続です。

これまで低価格帯はShanling M0やFiiO X3markIII(以下X3III)を基準としてレビューを行ってきましたが、前回同様にQ1にて行います。これまでにShanling M0とFiiO M5の比較や、M0とiPhone6sの比較を行っており、X3IIIへ移行も考えましたが、初心に帰りSHANLING Q1で比較しますので、ご容赦ください。

M0とQ1はDACやアンプ等の主要のスペックには変わりがありませんが、聴き比べるとQ1はM0よりも低音が豊かに感じます。どちらもバッテリー駆動なのでM0よりもQ1の方が容量が増え電源供給に余裕があるからなのかもしれませんね。

低価格帯のイヤホンの場合でそれらの違いが気になる方は以前の「Shanling M0とiPhone 6sをDAPとして比較」をご覧ください。

 
miineco106.hatenadiary.jp

 

※FiiO M5とShanling M0の比較もよろしければご参考ください。 

miineco106.hatenadiary.jp

 

それでは実際に聴いてみます。
ソースは宇多田ヒカル/First Love平井堅/瞳をとじて倖田來未/Moon Crying。高音低音域の確認用に松岡充/SURPRISE-DRIVEです。

先述の通りイヤピは付属品Mサイズ、付属ケーブルを使用しています。

箱出しで聴いてみた第一印象は「最近のTrn らしいバランスの良いややドンシャリ。ボーカルは聴きやすく、どこかの音域を強調していないクリアで聴きやすい音。」でした。(もちろんスマホ付属品とは大違いです)

箱だしでは低音の膨らみを感じたので先に鳴らし込み。鳴らし込み後は低音が締まり落ち着きました。

先ずは箱出しに引き続き標準金色フィルタで聴いてみます。

音量はZST Xよりやや取りにくい(少し上げる必要がある)。

音場は広くも狭くもない普通。

高音は煌びやかさがあり華やかさを感じ、刺さるか刺さらないかのところで上手く調整している。曲によっては刺さりを感じるかもしれません。

低音は適度な量感があり芯を感じられ締りとキレは十分。ベースラインも追いやすい。

重低音は沈み込みはそれほど深さはありませんが十分な強さがあります。

中音は華やかさがあり小さい音も聴き取れます。ボーカルはクリアで自然な位置から聴かせてくれ、曲によってやや近く感じ聴きやすい。

一言で云えば中高音寄りのドンシャリ

高音は低音域に埋もれない存在感のある煌びやかさと華やかさと伸びの良さがありますが尖りは上手く抑えられていて、刺激的で聴きにくさを感じるほどではありません。

中音は凹を殆ど感じません。演奏の音は重なりをやや感じますが、小さな音も埋もれずに聴く事ができます。ボーカルもクリアで聴きやすく高音低音に埋もれません。

中高音域の音は華やかさがあり心地良く音数が多いハードな曲でも音の重なりは少なく、ボーカルの周りで引き立ててくれる印象です。

ボーカルはドライですが、バラード等ではやや近く感じられ曲に浸りやすく、アップテンポの曲では楽しく聴けます。基本的にドライ気味の為しっとりとした曲の雰囲気を楽しみたい場合に相性がありそうです。

低音は適度な量感のため主張を強く感じませんが、それでも控えめという事もなくしっかりと感じられます。不足のない十分な量と芯のある音で締りとキレがあり強さがある低音です。重低音は強さはありますが、深く沈み込み響く低音ではありません。それでも十分な強さを持っており不足を感じる事はなく疎かにしていません。この低音がクリアな高音中音を適度な強さで支えることで中高寄りのバランスが破綻していない音を聴かせてくれている印象です。

 
これは以前レビューしたST1のドンシャリとは異なる音と云え、高音と低音がしっかりしたドンシャリではなく中音域を疎かにせず寧ろそこをクリアに聴かせる為に中高音を重視した聴きやすい音であり、低価格帯のポピュラーなドンシャリとは違う音と言う印象です。

勿論初期のTrnの音とも違いますし、何よりもST1ではTrnの弾む低音でしたが、STMではそれとは異なる締まりとキレを重視した低音です。同じTrnとはちょっと思えない違いです。

このSTMのバランスはST1の中低音寄りで高音の尖りは感じられ無い音から一転、中高音寄りの煌びやかで華やかさのある音とは対極にいる印象です。

また、何方もドンシャリではありますが、中音域はSTMの方が広がりもあり印象が良く聴こえます。

同じ低価格帯のKZ ZST Xの中音、ボーカルの聴きやすいドンシャリとも異なるバランスですが、ZST Xは高音、低音もしっかり主張していますので、やはりSTMとは異なります。

 

次にいよいよ音質調整フィルタを交換して聴いてみます。 

音の変化を感じやすくするために赤色フィルタを試します。 

金色フィルタは標準として中高音寄りの高音域と中音域の華やかさを感じる明るい音でしたが、その華やかさは鳴りを潜め大人しく悪く云えば暗い音に感じます。しかし悪く云えばの話であり、好意的な表現で云えばすっきりクリアでしっとりとした雰囲気のあるバラードに合いそうな印象です。ただし先述の通りDEEP BASSと表現されていますが低音が増えるというようなことは無く、相対的に主張が増したかなという程度です。過度な期待はできません。

次に青色フィルタです。金色と赤色の中間のバランスを期待し、寧ろこれが標準なのではと聴くまでは考えていましたが、けしてそういうことではないです。ただ中高音の煌びやかさ華やかさのある音は好きだけど標準では五月蠅く感じる方は一度試してみても良いかもしれません。恐らくそれを好む方は赤色フィルタではSTMがつまらない音に感じるかもしれませんので。悪く云えばちょっと中途半端な存在かもしれませんね。

以上のようにこのSTM最大の売りであった音質調整フィルタは金色と赤色はハマる方にはハマるかもしれませんが、未だ未だ発展途上のギミックであり今後更なる改良を期待したいところです。

 

 

まとめるとSTMは中・高音域は煌びやかさ華やかさがあり十分な存在感を示しやや尖りを感じるかもしれませんが、低音域は強さがあり締まりとキレのある存在感で下支えし出しゃばらない。中音域は華やかさの中にボーカルが聴きやすさを感じられるバランスは従来のTrnの低価格の音とも異なる中高音寄りの華やかさがある音質傾向が好きな方にハマるかもしれない低価格中華1BA+1DDハイブリッドイヤホンと云えそうです。

尤もこの中高音寄りの華やかなリスニング用途としてのバランスの良さは中華イヤホンには高音域のシャリつく刺激的な強さや低音のドンの量が多い強ドンシャリを求める演奏メインで聴きたい方には、少しもの足りないと感じ評価が分かれてしまいそうです。

 

高音   STM ≧ ZST X ≧ ST1

中音   STM ≧ ZST X ≧ ST1

低音   ZST X ≧ STM ≧ ST1 (量感はST1が一番多い)

ボーカル ZST X ≧ ST1 ≧ STM

 

最後に、今回はAliExpressで先月、国内amazonで今月発売された低価格帯中華イヤホンの紹介となりました。現在(2020年8月29日)AliExpressやamazonで販売されており、一足先にAliExpressでは2,000円台前半で販売し、そのAliExpressではフォロワー割によって2,000円を切る価格です。一方amazonではprime扱いの3,000円と、AliExpressでは安価に入手できますが、その入手性には特に現在難があります。とはいえこれまでの低価格中華イヤホンの中でも安価な実売価格でありながら、その音質を含めクオリティは日々進化を感じられ十分満足できる内容となっていますので低価格中華イヤホンの中で間違いのないものの購入を考えていて少しでも気になる方は安心確実なamazonでの取り扱いを待って。少しでも早く入手したい、少しでも安い方が良い方はAliExpressでの購入も検討してみてくださいね。

 

STM

以下、付属ケーブル、付属イヤピ M使用、DAP Q1
高音★★★★ 
中音★★★☆  
低音★★★☆ 
音場★★★
分離★★★
お勧め度★★★★☆ (中高音好き★5)

※☆0.51.0

 

あとがきとして、今回はいつもの中華低価格1BA+1DDハイブリッドイヤホンの新商品のレビューをまとめました。これで通算29個目となります。日々進化を見せる中華イヤホンにはこれからも非常に楽しみですね。今後も低価格?を中心に、複数BA及び多ドラハイブリッド中価格中華イヤホンにも挑戦していきたいと考えています。

また、気になる商品や1BA+1DDイヤホンの新商品が出れば追加でチェックしていきますのでよろしくお願いいたします。
沼にハマった者の戯言に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
みぃねこ